(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140471
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】表示制御装置およびヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20241003BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20241003BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G1/14 A
B60K35/00 A
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051619
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】片桐 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】本間 華子
(72)【発明者】
【氏名】林 武
【テーマコード(参考)】
3D344
5H181
【Fターム(参考)】
3D344AA21
3D344AA30
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD13
5H181AA01
5H181CC12
5H181FF05
5H181FF24
5H181FF27
5H181FF32
5H181KK01
5H181KK06
5H181KK07
(57)【要約】
【課題】駐車操作に適した情報を運転者に提示する。
【解決手段】表示制御装置20は、案内画像の表示内容を設定する制御手段21と、設定された表示内容に基づいて案内画像を生成する画像生成手段22とを備える。制御手段21は、表示手段12に表示された案内画像を車両の走行位置に応じて変更するための駐車場内の表示変更位置の数を設定すると共に、設定された表示変更位置の数に応じて、各表示変更位置を、駐車場入口から車両駐車位置までの間のいずれかの位置に配置する。制御手段21は、案内画像の表示内容に、駐車操作の支援に有用な情報である第1情報を含めると共に、各表示変更位置から車両駐車位置までの距離に応じて、表示内容に含まれる第1情報の情報量が段階的に少なくなるように、表示変更位置毎に案内画像の表示内容を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車操作の支援を行うための案内画像の表示内容を設定する制御手段と、
該制御手段により設定された前記表示内容に基づいて、表示手段に表示させるための前記案内画像を生成する画像生成手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記表示手段に表示された前記案内画像を車両の走行位置に応じて変更するための駐車場内の表示変更位置の数を、少なくとも1以上設定し、
設定された前記表示変更位置の数に応じて、各表示変更位置を、駐車場入口から車両駐車位置までの間のいずれかの位置に配置し、
前記案内画像の前記表示内容に、駐車操作の支援に有用な情報である第1情報を含めると共に、
各表示変更位置から前記車両駐車位置までの距離に応じて、前記表示内容に含まれる前記第1情報の情報量が段階的に少なくなるように、前記表示変更位置毎に前記案内画像の前記表示内容を設定すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記第1情報は、前記案内画像に表示させるための図形情報と、前記案内画像に表示される前記駐車場の割合に関する情報との少なくとも一方を含み、
前記制御手段は、
前記第1情報の情報量が段階的に少なくなるように前記表示内容を設定する場合に、前記図形情報の数が段階的に少なくなるように設定を行うか、前記駐車場の割合が段階的に小さくなるように設定を行うかの、少なくとも一方の設定を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記駐車場の駐車率が第1閾値以上の場合に、前記案内画像に含める前記第1情報の情報量が少なくなるように前記表示内容を設定し、
前記駐車場の駐車率が前記第1閾値よりも低い第2閾値未満の場合に、前記案内画像に含める前記第1情報の情報量が多くなるように前記表示内容を設定すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記駐車場の駐車率が第1閾値以上の場合に、配置された前記表示変更位置のうち少なくとも1カ所の前記表示変更位置を、前記駐車場入口に寄せた位置に再配置し、
前記駐車場の駐車率が前記第1閾値よりも低い第2閾値未満の場合に、配置された前記表示変更位置のうち少なくとも1カ所の前記表示変更位置を、前記車両駐車位置に寄せた位置に再配置すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記駐車場の駐車率が第1閾値以上の場合に、設定された前記表示変更位置の数をより多くなるように調整し、
前記駐車場の駐車率が前記第1閾値よりも低い第2閾値未満の場合に、設定された前記表示変更位置の数をより少なくなるように調整すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記案内画像の前記表示内容に、車両駐車位置の把握を補助するための第2情報を含めると共に、
前記第1情報の設定が行われた表示内容に対して前記第2情報が付加された案内画像を、前記車両の走行位置に応じて前記表示手段に表示させるための前記駐車場内の情報付加位置の数を、少なくとも1以上設定し、
設定された前記情報付加位置の数に応じて、各情報付加位置を、前記駐車場入口から前記車両駐車位置までの間のいずれかの位置に配置し、
各情報付加位置と前記駐車場入口と間に位置して各情報付加位置に最も近い位置に配置された表示変更位置の前記表示内容に対して、前記第2情報を付加することにより、前記情報付加位置において表示される前記案内画像の前記表示内容を設定すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の表示制御装置と、
前記車両のウインドシールドを介して前記案内画像を車両前方の虚像として投影する前記表示手段と
を備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装置およびヘッドアップディスプレイ装置に関する。より詳細には、駐車支援を行うための案内画像を生成する表示制御装置およびその表示制御装置を備えたヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、右折あるいは左折等を行うべき交差点に車両が近づいたタイミングで、交差点近傍の建物を模した建物画像をディスプレイに表示させることにより、車両の右左折方向とそのタイミングを運転者に案内する車両用表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した車両用表示装置では、交差点等で案内表示を行うことを特徴としているが、駐車場内においても同様に案内表示を行って欲しいという要望が多い。一方で、駐車場内では、他の車両も敷地内を移動していることから、運転者は目視で周囲を確認して駐車場内の状況(他車両の状況や混雑状況等)を的確に把握し、駐車スペースを探して駐車操作を行う必要がある。このような状況で、ディスプレイに駐車位置までの案内表示を積極的に表示させると、周囲に対する注意が散漫となり、運転者が他車両の存在に気付き難くなるおそれがある。
【0005】
また、ディスプレイに駐車場内の様々な情報が表示されると、その情報を一見して把握することが容易ではなくなり、情報認識のための負担を運転者に与えてしまうという問題があった。特に、運転者の視線位置に案内情報を表示させるヘッドアップディスプレイ装置では、表示できる情報量や表示範囲に制限があるため、その傾向が顕著になるおそれがある。
【0006】
本開示は上述した事情に鑑みてなされたものであり、駐車操作に適した情報を運転者に提示することが可能な表示制御装置およびヘッドアップディスプレイ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示の第1実施形態における表示制御装置は、駐車操作の支援を行うための案内画像の表示内容を設定する制御手段と、該制御手段により設定された前記表示内容に基づいて、表示手段に表示させるための前記案内画像を生成する画像生成手段とを備え、前記制御手段は、前記表示手段に表示された前記案内画像を車両の走行位置に応じて変更するための駐車場内の表示変更位置の数を、少なくとも1以上設定し、設定された前記表示変更位置の数に応じて、各表示変更位置を、駐車場入口から車両駐車位置までの間のいずれかの位置に配置し、前記案内画像の前記表示内容に、駐車操作の支援に有用な情報である第1情報を含めると共に、各表示変更位置から前記車両駐車位置までの距離に応じて、前記表示内容に含まれる前記第1情報の情報量が段階的に少なくなるように、前記表示変更位置毎に前記案内画像の前記表示内容を設定する。
【0008】
また、第1実施形態に従属し得る第2実施形態における表示制御装置では、前記第1情報は、前記案内画像に表示させるための図形情報と、前記案内画像に表示される前記駐車場の割合に関する情報との少なくとも一方を含み、前記制御手段は、前記第1情報の情報量が段階的に少なくなるように前記表示内容を設定する場合に、前記図形情報の数が段階的に少なくなるように設定を行うか、前記駐車場の割合が段階的に小さくなるように設定を行うかの、少なくとも一方の設定を行う。
【0009】
また、第1又は第2実施形態に従属し得る第3実施形態における表示制御装置では、前記制御手段は、前記駐車場の駐車率が第1閾値以上の場合に、前記案内画像に含める前記第1情報の情報量が少なくなるように前記表示内容を設定し、前記駐車場の駐車率が前記第1閾値よりも低い第2閾値未満の場合に、前記案内画像に含める前記第1情報の情報量が多くなるように前記表示内容を設定する。
【0010】
また、第1乃至3の実施形態に従属し得る第4実施形態における表示制御装置では、前記制御手段は、前記駐車場の駐車率が第1閾値以上の場合に、配置された前記表示変更位置のうち少なくとも1カ所の前記表示変更位置を、前記駐車場入口に寄せた位置に再配置し、前記駐車場の駐車率が前記第1閾値よりも低い第2閾値未満の場合に、配置された前記表示変更位置のうち少なくとも1カ所の前記表示変更位置を、前記車両駐車位置に寄せた位置に再配置する。
【0011】
また、第1乃至4の実施形態に従属し得る第5実施形態における表示制御装置では、前記制御手段は、前記駐車場の駐車率が第1閾値以上の場合に、設定された前記表示変更位置の数をより多くなるように調整し、前記駐車場の駐車率が前記第1閾値よりも低い第2閾値未満の場合に、設定された前記表示変更位置の数をより少なくなるように調整する。
【0012】
また、第1乃至5の実施形態に従属し得る第6実施形態における表示制御装置では、前記制御手段は、前記案内画像の前記表示内容に、車両駐車位置の把握を補助するための第2情報を含めると共に、前記第1情報の設定が行われた表示内容に対して前記第2情報が付加された案内画像を、前記車両の走行位置に応じて前記表示手段に表示させるための前記駐車場内の情報付加位置の数を、少なくとも1以上設定し、設定された前記情報付加位置の数に応じて、各情報付加位置を、前記駐車場入口から前記車両駐車位置までの間のいずれかの位置に配置し、各情報付加位置と前記駐車場入口と間に位置して各情報付加位置に最も近い位置に配置された表示変更位置の前記表示内容に対して、前記第2情報を付加することにより、前記情報付加位置において表示される前記案内画像の前記表示内容を設定する。
【0013】
また、第7実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置は、第1乃至6の実施形態の表示制御装置と、前記車両のウインドシールドを介して前記案内画像を車両前方の虚像として投影する前記表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示の表示制御装置およびヘッドアップディスプレイ装置によれば、駐車操作に適した情報を運転者に提示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステムの概略構成を示したブロック図である。
【
図2】実施の形態に係る表示制御部の処理を示したフローチャートである。
【
図3】実施の形態に係る表示制御部の処理を示したフローチャートである。
【
図4】駐車率に基づいて混雑レベルを設定するための設定表である。
【
図5】駐車場入口から駐車指示位置までの距離に基づいて、表示変更位置の個数と配置とを設定するための設定表である。
【
図6】混雑レベルに基づいて、表示変更位置の個数と配置とを調整するための調整表である。
【
図8】表示変更位置が4個の場合において、案内画像の表示内容を設定するための設定表である。
【
図9】表示変更位置が4個の場合において、案内画像の表示内容を調整するための調整表である。
【
図10】変更表示位置の個数に基づいて、情報付加位置の個数を設定するための設定表である。
【
図11】情報付加位置が2個の場合における情報付加位置の配置を設定するための設定表である。
【
図12】混雑レベルに基づいて、情報付加位置の個数と配置とを調整するための調整表である。
【
図13】情報付加位置が2個の場合において、案内画像に付加される付加情報を設定するための設定表である。
【
図14】表示変更位置または情報付加位置に応じて設定された第1情報および第2情報と案内画像の内容とを示した表である。
【
図15A】表示変更位置CP21を車両が通過した場合に、表示部に表示される案内画像を示した図である。
【
図15B】表示変更位置CP31を車両が通過した場合に、表示部に表示される案内画像を示した図である。
【
図15C】情報付加位置AP32を車両が通過した場合に、表示部に表示される案内画像を示した図である。
【
図15D】表示変更位置CP41を車両が通過した場合に、表示部に表示される案内画像を示した図である。
【
図15E】表示変更位置CP51を車両が通過した場合に、表示部に表示される案内画像を示した図である。
【
図15F】情報付加位置AP52を車両が通過した場合に、表示部に表示される案内画像を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の表示制御装置について、ヘッドアップディスプレイシステムを一例として示し、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、ヘッドアップディスプレイシステムの概略構成を示したブロック図である。ヘッドアップディスプレイシステム1は、ヘッドアップディスプレイ装置10と、表示制御装置20と、ナビゲーションシステム装置30とを備えている。
【0017】
ヘッドアップディスプレイ装置10は、車両のウインドシールド等に案内画像等の情報を投影させる装置である。ヘッドアップディスプレイ装置10は、表示器制御部11と、表示部(表示手段)12と、光学系部13と、アクチュエータ14とにより主に構成されている。
【0018】
表示器制御部11は、アクチュエータ14を調整することにより、表示制御装置20で生成された案内画像を表示部12に表示させる処理を行う。表示部12は、案内画像を表示する機器であって、液晶パネルやスクリーン等により構成されている。表示部12を用いることにより、ウインドシールドを介して案内画像を車両前方の虚像として投影することができる。
【0019】
光学系部13は、平面鏡および凹面鏡により構成されており、アクチュエータ14によってその角度や位置等の調整が行われる。アクチュエータ14により光学系部13の位置調整が行われた状態で、表示器制御部11から光学系部13の平面鏡に対して案内画像が照射されると、案内画像は平面鏡および凹面鏡で反射されて表示部12に投影される。
【0020】
実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステム1では、案内画像を表示させる表示装置として、ヘッドアップディスプレイ装置10を一例として示して説明するが、表示装置は、ヘッドアップディスプレイ装置10だけには限定されない。例えば、車室内のインストルメントパネルの中央部分に表示部を備えるセンターインフォメーションディスプレイ(Center Information Display)を、表示装置として用いることも可能である。
【0021】
表示制御装置20は、ナビゲーションシステム装置30より受信する各種情報等に基づいて案内画像を生成し、ヘッドアップディスプレイ装置10に出力する。表示制御装置20は、表示制御部(制御手段)21と、画像生成部(画像生成手段)22と、情報記録部23とにより主に構成されている。
【0022】
表示制御部21は、案内画像の表示内容を設定・決定等する処理を行う。表示制御部21の具体的な処理内容については、後述する。画像生成部22は、表示制御部21により設定された表示内容に基づいて案内画像を生成する。
【0023】
情報記録部23には、表示制御部21によって設定された表示内容の情報(後述する「第1情報」や「第2情報」等の情報)が記録される。また、情報記録部23には、表示制御部21において判断される混雑レベルの設定に関する情報(後述する
図4に示す情報)や、表示変更位置の個数と配置の設定・調整に関する情報等(後述する
図5、
図6に示す情報)や、案内画像の表示内容の設定・調整に関する情報(後述する
図8、
図9、
図14に示す情報)や、情報付加位置の個数や配置の設定・調整に関する情報(後述する
図10~
図13に示す情報)等が記録される。さらに、情報記録部23には、表示制御部21の処理内容を示したプログラム等が記録される。表示制御部21は、情報記録部23よりプログラムを読み出して実行することにより、後述する処理を実行する。
【0024】
ナビゲーションシステム装置30は、表示制御部21の処理に必要な情報を提供する装置である。実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステム1では、ナビゲーションシステム装置30として、車両の経路案内等を電子的に行う一般的なカーナビゲーション装置を用いる場合を一例として示して説明する。
【0025】
ナビゲーションシステム装置30は、ナビゲーション制御部31と、位置情報取得部32と、地図情報格納部33と、駐車場情報取得部34とにより主に構成されている。ナビゲーション制御部31は、主として車両の経路案内処理(一般的なカーナビゲーション処理)を行う。位置情報取得部32は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等の位置測位手段を利用して、車両の「位置情報」を取得する。
【0026】
地図情報格納部33には、ナビゲーション制御部31の経路案内処理に必要な情報(地図データ、地名情報(文字情報)、ランドマーク画像や交差点画像等の画像情報、音声案内情報等)が記録されている。また、地図情報格納部33には、駐車場に関する各種情報を記録することが可能になっている。例えば、駐車場入口の位置情報(位置座標)や、駐車場内における各駐車スペースの位置情報(位置座標)や、駐車場入口から各駐車スペースまでの距離情報や、駐車スペースの総数に関する情報等を記録することが可能になっている。地図情報格納部33に記録される「駐車場に関する各種情報」を「地図情報」と称する。
【0027】
駐車場情報取得部34は、外部より駐車場に関する情報を取得する。例えば、駐車場に関する最新の情報が、駐車場の運営を行っている企業や地図情報を提供する企業等によって、インターネット上にアップロードされている場合(ファイルサーバやクラウドに記録されている場合等)、駐車場情報取得部34は、通信回線を通じてそれらの情報を取得する。駐車場に関する情報には、駐車場のどの駐車スペースに車両が駐車しており、どの駐車スペースが空いているかという「駐車場内の空きスペース情報」や、駐車場内にどの程度の数の車両が進入しているか等の情報(駐車スペースに駐車している車両の数の他、駐車場内を走行中の車両の数等の情報等)が含まれている。駐車場情報取得部34が外部から取得した「駐車場に関する情報」を、「駐車有無情報」と称する。
【0028】
ナビゲーション制御部31は、表示制御部21の要求に基づいて、位置情報取得部32で取得された車両の位置情報や、地図情報格納部33に記録される各種情報や、駐車場情報取得部34で取得された駐車有無情報等を、表示制御装置20に出力する処理を行う。
【0029】
図2および
図3は、表示制御部21が実行する処理を示したフローチャートである。表示制御部21は、位置情報取得部32で取得された位置情報が表示制御部21に出力されるタイミングや、所定の時間が経過したタイミングにおいて、
図2および
図3に示すフローチャートの処理を実行する。
【0030】
表示制御部21は、位置情報取得部32より位置情報を取得し(S.01)、地図情報格納部33より地図情報を取得する(S.02)。そして、表示制御部21は、取得した位置情報および地図情報に基づいて、車両が駐車場内に位置している(駐車場内を走行している場合を含む)かどうかの判断を行う(S.03)。車両が駐車場内に位置していない場合(S.03においてNo)、表示制御部21は、
図2および
図3に示した処理を終了する。処理を終了した場合であっても、上述したように、位置情報が表示制御部21に出力されるタイミング等において、表示制御部21が
図2および
図3に示された処理を実行するので、繰り返し処理が実行されることになる。
【0031】
車両が駐車場に位置する場合(S.03においてYes)、表示制御部21は、駐車指示位置(車両駐車位置)の設定を行う(S.04)。駐車指示位置(車両駐車位置)とは、駐車場内においてこれから車両を駐車させる位置・場所(駐車スペース)を示している。表示制御部21は、駐車場情報取得部34により取得された駐車有無情報に基づいて、駐車指示位置の設定を行う。あるいは、表示制御部21は、ナビゲーション制御部31が駐車有無情報に基づいて決定した駐車指示位置に基づいて、駐車指示位置を設定してもよい。
【0032】
また、表示制御部21やナビゲーション制御部31が外部のネットワークに接続して、駐車有無情報を直接取得することにより、駐車指示位置を設定してもよい。さらに、表示制御部21やナビゲーション制御部31は、地図情報格納部33から地図情報(駐車場に関する各種情報)を取得して、駐車指示位置を設定してもよい。
【0033】
次に、表示制御部21は、駐車場入口から駐車指示位置までの距離を求める(S.05)。具体的には、表示制御部21が、駐車指示位置の位置座標と駐車場入口の位置座標とに基づいて距離を算出する。また、ナビゲーション制御部31が、駐車指示位置の位置座標と駐車場入口の位置座標とに基づいて距離を算出して表示制御部21に出力してもよい。さらに、地図情報格納部33に、駐車場入口から各駐車スペースまでの距離情報が記録されている場合には、表示制御部21またはナビゲーション制御部31が、駐車場入口から駐車指示位置に該当する駐車スペースまでの距離を、地図情報格納部33より読み出して距離を求めてもよい。また、駐車場情報取得部34や表示制御部21は、外部のネットワークに接続することにより、駐車場入口から駐車指示位置までの距離を直接取得してもよい。
【0034】
次に、表示制御部21は、駐車場の混雑レベルを設定する(S.06)。まず、表示制御部21は、駐車場情報取得部34より駐車有無情報を取得して、駐車場の駐車率を求める。
図4は、駐車場の駐車率に基づいて混雑レベルを設定するための設定表を示している。混雑レベルの設定表に関する情報は、情報記録部23に記録されている。表示制御部21は、情報記録部23に記録される混雑レベルの設定表を参照することにより、求めた駐車場の駐車率に基づいて、混雑レベルを設定する。
【0035】
表示制御部21は、駐車率が20%(第2閾値)未満の場合に、混雑レベルを「小」に設定し、駐車率が20%以上80%未満の場合に、混雑レベルを「中」に設定し、駐車率が80%(第1閾値)以上の場合に、混雑レベルを「大」に設定する。また、表示制御部21は、外部のネットワークに接続して、駐車有無情報、駐車率の情報あるいは混雑レベルの情報を直接取得することにより、混雑レベルを設定してもよい。
【0036】
さらに、地図情報格納部33に混雑レベルの設定表を記録しておくことにより、ナビゲーション制御部31が、駐車場情報取得部34で取得された駐車有無情報に基づいて混雑レベルを決定し、表示制御部21に出力してもよい。さらに、駐車場情報取得部34が外部のネットワークに接続することにより、駐車率や混雑レベルの情報を直接取得して、表示制御部21に出力してもよい。
【0037】
なお、混雑レベルを設定するための駐車率の割合(数値:第1閾値および第2閾値)は、80%および20%には限定されない。混雑レベルを「小」と判断する割合(数値:第2閾値)が、混雑レベルを「大」と判断する割合(数値:第1閾値)よりも低い値であればよく、具体的なそれぞれの割合(数値)は、80%や20%以外であってもよい。
【0038】
次に、表示制御部21は、駐車場入口から駐車指示位置までの距離に基づいて、案内画像を表示部12に変更・表示させる回数と、案内画像を変更・表示させる位置の配置とを設定する(S.07)。なお、説明の便宜上、案内画像を変更・表示させる位置を、「表示変更位置」と称し、案内画像を変更・表示させる回数を、「表示変更位置の個数」と称し、さらに、案内画像を変更・表示させる位置の配置を、「表示変更位置の配置」と称する。
【0039】
図5は、駐車場入口から駐車指示位置までの距離に基づいて設定される「表示変更位置の個数」と「表示変更位置の配置」とを示した設定表である。表示制御部21は、
図5に示すように、距離が50m未満の場合に、「表示変更位置の個数」を3個に設定し、距離が50m以上150m未満の場合に、「表示変更位置の個数」を4個に設定し、距離が150m以上300m未満の場合に、「表示変更位置の個数」を5個に設定し、距離が300m以上の場合に、「表示変更位置の個数」を6個に設定する。表示制御部21は、駐車場入口から駐車指示位置までの距離が長くなるに従って、表示部12に表示させる案内画像の変更回数が段階的に増えるように、「表示変更位置の個数」を設定する。なお、
図5に示した「表示変更位置の個数」は一例であって、これらの個数には限定されない。
【0040】
また、表示制御部21は、「表示変更位置の個数」に応じて、駐車場入口から駐車指示位置までの距離を均等に分割(等分)した位置に、表示変更位置を配置する。
【0041】
実施の形態では、駐車場入口から駐車指示位置までの距離が100mであって、混雑レベルが「中」である場合を一例として、説明を行う。この場合、「表示変更位置の個数」は4個に設定され、「表示変更位置の配置」は、駐車場入口から駐車指示位置までの距離を均等に分割した位置にそれぞれ配置される。
【0042】
次に、表示制御部21は、混雑レベルに基づいて、「表示変更位置の個数と配置」の調整を行う(S.08)。
図6は、混雑レベルに基づいて、表示変更位置の個数と配置とを調整するための調整表を示している。混雑レベルが低い場合(混雑レベルが「小」の場合)、表示制御部21は、「表示変更位置の個数」を1個分少なく(つまり、案内画像の変更回数を1回分少なく)する処理を行う。次に、表示制御部21は、駐車場入口から駐車指示位置までの距離を、少なくなった表示変更位置の個数で均等に分割(等分)し、分割されたそれぞれの位置を10%ずつ駐車指示位置に寄せることにより、表示変更位置を再配置する。
【0043】
混雑レベルが高い場合(混雑レベルが「大」の場合)、表示制御部21は、「表示変更位置の個数」を1個分多く(つまり、案内画像の表示変更の回数を1回分多く)する処理を行う。そして、表示制御部21は、駐車場入口から駐車指示位置までの距離を、多くなった表示変更位置の個数で均等に分割(等分)し、分割されたそれぞれの位置を10%ずつ駐車場入口に寄せることにより、表示変更位置を再配置する。混雑レベルが「中」の場合、表示制御部21は、「表示変更位置の個数」を調整せず、「表示変更位置の配置」も再配置しない。実施の形態では、混雑レベルが「中」に設定されているため、「表示変更位置の個数」も「表示変更位置の配置」も変更されない。
【0044】
図7は、駐車場の概略構成を示した平面図である。
図7には、実施の形態における表示変更位置等の配置状態が示されている。
図7において△アイコンで示されるCP21,CP31,CP41,CP51は、表示制御部21により設定された表示変更位置の配置位置を示している。また、☆アイコンで示されたGP61は、駐車指示位置を示しており、○アイコンで示されたSP11は、駐車場入口を示している。また、□アイコンで示されたAP32,AP52は、後述する情報付加位置を示している。
【0045】
次に、表示制御部21は、「表示変更位置の個数」と、「混雑レベル」とに基づいて、案内画像の表示内容の設定処理を行う(S.09)。
【0046】
まず、表示制御部21は、表示変更位置の個数に基づいて、案内画像の表示内容を設定する。表示内容の情報は、表示変更位置の個数により変化するが、表示変更位置と駐車指示位置との距離が近くなるに従って、各表示変更位置で表示される案内画像の情報量が少なくなるように、表示内容の情報が設定される。
【0047】
図8は、表示変更位置の個数が4個の場合における案内画像の表示内容を示している。実施の形態では、表示変更位置の個数が4個に設定されるため、
図8に示す設定表に基づいて、案内画像の表示内容が設定される。
【0048】
図8に示すように、表示制御部21は、駐車場入口SP11に近いCP21の表示変更位置(
図7参照)において、駐車指示位置GP61の情報(IN1)と、白線の情報(IN2)と、駐車推奨位置の情報(IN3)と、駐車車両の情報(IN4)との4個(4種類)の図形情報(2Dアイコンまたは3Dアイコン等)を表示内容の情報として設定する。また、表示制御部21は、駐車場の全体に対する90%の範囲が案内画像に表示されるように駐車場の表示範囲(駐車場の割合)を設定する。さらに、表示制御部21は、CP21の表示変更位置よりも駐車指示位置GP61により近いCP31の表示変更位置において、3個(3種類)の図形情報(駐車指示位置の情報(IN1)、白線の情報(IN2)および駐車推奨位置の情報(IN3))を表示内容の情報として設定すると共に、案内画像における駐車場の表示範囲(駐車場の割合)を全体の70%に設定する。
【0049】
表示制御部21は、CP31の表示変更位置よりも駐車指示位置GP61により近いCP41の表示変更位置において、2個(2種類)の図形情報(駐車指示位置の情報(IN1)および白線の情報(IN2))を表示内容の情報として設定すると共に、案内画像における駐車場の表示範囲(駐車場の割合)を全体の60%に設定する。また、表示制御部21は、CP41の表示変更位置よりも駐車指示位置GP61により近いCP51の表示変更位置において、1個(1種類)の図形情報(駐車指示位置の情報(IN1))を表示内容の情報として設定すると共に、案内画像における駐車場の表示範囲(駐車場の割合)を全体の30%に設定する。表示制御部21によって設定された案内画像の情報(各図形情報の内容と駐車場の表示範囲(駐車場の割合)の情報)は、情報記録部23に記録される。
【0050】
ここで、「図形情報」と「駐車場の表示範囲(駐車場の割合)の情報(以下、表示範囲の情報)」とを、「第1情報」と称する。第1情報は、駐車操作の支援に有用な情報であって、運転者に視認させる必要が高い情報である。表示制御部21は、少なくとも1種類以上の第1情報が案内画像に表示・反映されるように、表示内容の設定を行う。
【0051】
また、図形情報の個数(種類)と表示範囲の情報とからなる第1情報の数量(データの種類・個数)とを「情報量」と定義する。例えば、表示変更位置CP31の案内画像では、3個(3種類)の図形情報(駐車指示位置の情報(IN1)、白線の情報(IN2)および駐車推奨位置の情報(IN3))と、1個(1種類)の表示範囲の情報(駐車場の全体の70%が案内画像に表示されるように設定した情報)とが設定されるため、情報量=4となる。表示変更位置CP21の案内画像では、情報量=5となる。
【0052】
なお、これらの情報量の定義は一例である。情報量の対象となる情報の種類は、図形情報に関する情報や表示範囲の情報だけには限定されない。例えば、情報量として、案内画像の輝度、明度、彩度あるいは案内画像を構成する色数等を定義してもよい。案内画像の平均輝度等を段階的に低減させる(情報量を段階的に少なくする)ことにより、運転者が案内画像を視認するときに受ける視覚的刺激等を低減させることができる。また、表示部12に表示される案内画像の表示面積を、情報量として定義することも可能である。表示面積を変化させることよって、視覚的に情報量を変化させることが可能になる。
【0053】
また、上述した表示内容の設定処理(S.09)において、表示制御部21は、設定された第1情報の情報量を、混雑レベルに応じて調整する処理を行う。
図9は、混雑レベルに基づいて案内画像の表示内容を調整するための調整表を示している。混雑レベルが「小」の場合、表示制御部21は、表示変更位置CP51以外の案内画像に対して、図形情報の個数を1個(1種類)増やすように調整を行うと共に、駐車場の表示範囲を10%増加させる調整を行う。混雑レベルが「大」の場合、表示制御部21は、表示変更位置CP51以外の案内画像に対して、図形情報の個数を1個(1種類)減らすように調整を行うと共に、駐車場の表示範囲を10%減少させる調整を行う。
【0054】
このように図形情報の個数と駐車場の表示範囲の情報との調整(変更)を行うことにより、混雑レベルが高い場合に案内画像の情報量を減らすことができるため、運転者が案内画像の内容を一見して理解しやすいように修正することが可能となる。また、混雑レベルが低い場合には、多くの情報を案内画像に表示させることができるので、駐車操作の支援に有用な情報(第1情報)を、運転者により多く提示することが可能になる。なお、混雑レベルが「中」の場合(実施の形態の場合)、表示制御部21は、図形情報の個数も駐車場の表示範囲の情報も調整(変更)しない。表示制御部21は、
図9に基づいて調整した表示内容の情報(図形情報の個数と表示範囲の情報とからなる第1情報)を、情報記録部23に記録させる。
【0055】
次に、表示制御部21は、「表示変更位置の個数」に基づいて、付加情報を付加した案内画像を表示(変更)させる位置(この位置を、「情報付加位置」と称する)の個数と、情報付加位置の配置との設定を行う(S.10)。ここで、付加情報とは、運転者が、駐車指示位置GP61を一見して把握(理解)しやすくするため(駐車指示位置GP61の把握を補助するため)に、案内画像に添える(付加する)情報を意味している。例えば、付加情報として、駐車指示位置GP61までの経路を示した矢印状の図形情報等を用いることができる。
【0056】
なお、付加情報は、案内画像の表示内容として必ずしも必須の情報ではなく、運転者の理解を補助するための「補助的な情報」である。従って、必ずしも案内画像に付加情報を付加する必要はない。案内画像に付加情報を全く付加しなかったり、選択的に付加したりすることも可能である。この点で、付加情報は、駐車操作の支援に有用な情報であって、少なくとも1種類以上の情報が案内画像の表示内容に設定される第1情報と、明らかに異なる情報である。従って、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステム1において、第1情報の個数(種類)等を示す「情報量」には、付加情報の個数や種類は含まれず、第1情報における情報量の判断に、付加情報の有無は影響を与えない。以後、付加情報のことを第2情報と称する。
【0057】
表示制御部21は、
図10に示すように、表示変更位置の個数が3個の場合には、情報付加位置の個数を1個に設定し、表示変更位置の個数が4個の場合には、情報付加位置の個数を2個に設定し、表示変更位置の個数が5個の場合には、情報付加位置の個数を3個に設定し、表示変更位置の個数が6個の場合には、情報付加位置の個数を4個に設定する。
【0058】
さらに、表示制御部21は、設定された情報付加位置の配置を、既に設定されている表示変更位置に対して所定距離だけ移動させた位置に設定する。実施の形態では、表示変更位置の個数が4個であるため、
図11に示すように、表示制御部21は、2個の情報付加位置(AP32とAP52)を設定する。そして、表示制御部21は、それぞれの情報付加位置(AP32とAP52)の配置を、
図7に示したCP31およびCP51の表示変更位置から1メートルだけ駐車指示位置GP61に寄せた位置に設定する。なお、表示変更位置と情報付加位置との間の距離は1メートルに限定されず、変更することが可能である。
【0059】
また、表示制御部21は、情報付加位置の個数と配置とを、混雑レベルに応じて調整する処理を行う(S.11)。
図12は、混雑レベルに基づいて、情報付加位置の個数と配置とを調整するための調整表を示している。
図12に示すように、混雑レベルが「小」の場合、表示制御部21は、情報付加位置の個数を1個減らす調整を行うと共に、情報付加位置の配置を全体の10%だけ駐車指示位置GP61に近づけるように調整して配置する。混雑レベルが「大」の場合、表示制御部21は、情報付加位置の個数を1個増やす調整を行うと共に、情報付加位置の配置を全体の10%だけ駐車場入口に近づけるように調整して配置する。なお、混雑レベルが「中」の場合(例えば、実施の形態の場合)、表示制御部21は、情報付加位置の個数も配置も調整しない。
【0060】
次に、表示制御部21は、設定・調整された情報付加位置の個数に応じて、案内画像に付加する第2情報(付加情報)を設定する(S.12)。第2情報は、上述したように、矢印状の図形情報を一例として用いることができる。実施の形態では、情報付加位置の個数が2個に設定されるため、矢印を模した2種類の図形情報を、第2情報(付加情報)として設定する。
【0061】
図13は、情報付加位置の個数が2個の場合に、案内画像に付加される付加情報を示した設定表である。表示制御部21は、情報付加位置AP32(
図7において□アイコンで示した位置AP32)で表示される案内画像の付加情報(第2情報)として、
図15Cの案内画像に符号AI1で示した「走行ルート情報AI1(駐車指示位置までの走行ルートを図示した矢印図形)」を設定する。また、表示制御部21は、情報付加位置AP52(
図7において□アイコンで示した位置AP52)で表示される案内画像の付加情報(第2情報)として、
図15Fの案内画像に符号AI2で示した「指示情報AI2(駐車指示位置の方向を図示した矢印図形)を設定する。
【0062】
また、表示制御部21は、情報付加位置AP32の案内画像の表示内容に、駐車場入口寄りに位置する表示変更位置CP31の第1情報((駐車指示位置の情報(IN1)、白線の情報(IN2)、駐車推奨位置の情報(IN3)および70%に設定された表示範囲の情報)が含まれるように、設定を行う。さらに、表示制御部21は、情報付加位置AP52の案内画像の表示内容に、駐車場入口寄りに位置する表示変更位置CP51の第1情報((駐車指示位置の情報(IN1)および30%に設定された表示範囲の情報)が含まれるように、設定を行う。
【0063】
また、走行ルート情報AI1(第2情報)は、情報付加位置AP32で、案内画像に付加された後に、次の情報付加位置AP52に車両が移動するまでの間、案内画像に付加された状態が維持される。このため、表示制御部21は、情報付加位置AP32と情報付加位置AP52との間に位置する表示変更位置CP41および表示変更位置CP51(
図7参照)の案内画像(
図15Dおよび
図15E参照)にも、「走行ルート情報AI1(付加画像、第2情報)」が表示されるように、第2情報(付加情報)の設定を行う。
【0064】
なお、上述したように、情報付加位置AP52の案内画像には、付加情報として「指示情報AI2が設定されるため、車両が情報付加位置AP52を通過したタイミングで、案内画像に表示される付加画像(第2情報)が、「走行ルート情報AI1」から「指示情報AI2」に変更されることになる。
【0065】
図14は、表示変更位置CP21~CP51および情報付加位置AP32,AP52を、駐車場入口SP11に近い順で上から並べると共に、各位置の案内画像に対して設定された第1情報および第2情報と、案内画像の画面表示とを示した表である。表示制御部21は、S.09において、各表示変更位置CP21~CP51に対して第1情報を設定し、S.12において、各情報付加位置AP32,AP52に対して第1情報を設定すると共に、表示変更位置CP31,CP51および情報付加位置AP32,AP52に対して第2情報をそれぞれ設定する。
【0066】
表示制御部21は、
図14に示したように、表示変更位置CP21~CP51および情報付加位置AP32,AP52に対して第1情報および第2情報をそれぞれ設定した後、これらの情報を情報記録部23に記録させる。情報記録部23にこれらの情報を記録させておくことにより、表示制御部21は、各位置を車両が通過したタイミングで、表示部12に表示させるべき案内画像の表示内容に関する情報(第1情報および第2情報)を、情報記録部23から読み出すことができ、適切なタイミングに有用な案内画像を表示部12に表示させることが可能になる。
【0067】
その後、表示制御部21は、位置情報取得部32から車両の位置情報を取得し(S.13)、車両が駐車場内に位置する(走行中を含む)かどうかの判断を行う(S.14)。車両が駐車場内に位置しない場合(S.14においてNo)、表示制御部21は、
図2および
図3に示した処理を終了する。例えば、処理を開始した段階において車両が駐車場内に位置していても(S.3においてYes)、その後に、駐車指示位置GP61に車両を駐車させることなく、駐車場を退出することもある。このように駐車場から車両が退出した場合(S.14においてNo)には、その後、駐車操作の支援を行う必要がないため、表示制御部21による処理を継続する必要がなくなる。
【0068】
一方で、車両が駐車場内に位置する場合(S.14においてYes)、表示制御部21は、車両が表示変更位置CP21~CP51または情報付加位置AP32,AP52を通過したかどうかの判断を行う(S.15)。車両が表示変更位置CP21~CP51または情報付加位置AP32,AP52を通過した場合(S.15においてYes)、表示制御部21は、該当する位置に対応付けられた表示内容(第1情報および第2情報)を、情報記録部23から読み出し(S.16)、読み出された第1情報および第2情報に基づいて、画像生成部22に案内画像を生成させる(S.17)。画像生成部22は、表示制御部21の指示に基づいて案内画像を生成し、表示部12に表示させる。
【0069】
既に説明したように、案内画像に表示される第1情報は、駐車指示位置GP61に近づくに従って、情報量が段階的に少なくなるように設定される。このため、案内画像には、車両位置に応じて有用とされる情報だけを表示させることができ、運転者に対し、案内画像を一見しただけで、簡易かつ瞬時に必要な情報を認識させることが可能となる。
【0070】
さらに、混雑レベルに応じて、案内画像に表示される情報量および案内画像の表示位置(表示タイミング)の調整が行われる。このため、混雑レベルが高い場合には、情報量を少なくすると共に案内画像の変更タイミングを早めることができるので、有用な情報を少しでも早いタイミングで運転者に視認・認識させることが可能となる。また、混雑レベルが低い場合には、情報量を多くすると共に案内画像の変更のタイミングが適切になるように設定することができるので、駐車操作に有効な情報を適切なタイミングで運転者に視認させることが可能になる。
【0071】
車両が表示変更位置CP21~CP51または情報付加位置AP32,AP52を通過していない場合(S.15においてNo)、または、画像生成部22に案内画像を生成させる処理(S.17)を行った場合、表示制御部21は、車両が駐車指示位置GP61に到達したかどうかの判断を行う(S.18)。車両が駐車指示位置GP61に到達した場合(S.18においてYes)、表示制御部21は、処理を終了する。一方で、車両が駐車指示位置GP61に到達していない場合(S.18においてNo)、表示制御部21は、既に説明した位置情報の取得処理(S.13)に処理を移行して、上述した処理(S.13~S.18)を繰り返し実行する。
【0072】
図15A~
図15Fは、表示変更位置CP21~CP51および情報付加位置AP32,AP52に車両が移動したタイミングで、表示部12に表示される案内画像(N120,N125,N130,N140,N145,N150)を示した図である。以下、これらの案内画像について、より詳細に説明する。
【0073】
車両が駐車場入口SP11から表示変更位置CP21へ移動して、表示変更位置CP21を通過した場合、表示部12には、
図15Aに示された案内画像N120が表示される。案内画像N120には、4種類の図形情報(駐車指示位置GP61の情報(IN1)と、白線の情報(IN2)と、駐車推奨位置の情報(IN3)と、駐車車両の情報(IN4))が示されおり、駐車場の広い範囲(90%の表示範囲)が表示されている。また、案内画像N120には、第2情報が付加されていない。
【0074】
運転者は、案内画像N120を視認することにより、駐車場の全体の状況を把握することができると共に、駐車車両の有無および駐車スペースの空き状況をより詳細に把握することが可能になる。さらに、駐車場の全体像に基づいて駐車指示位置GP61(IN1)の場所を相対的に知ることができるため、現在位置からどちらの方に向かって車両を進めれば駐車指示位置GP61(IN1)にたどり着くかを容易に判断することができる。
【0075】
車両が表示変更位置CP31を通過した場合、表示部12には、
図15Bに示された案内画像N125が表示される。案内画像N125には、3種類の図形情報(駐車指示位置GP61の情報(IN1)、白線の情報(IN2)および駐車推奨位置の情報(IN3))が示されおり、駐車場の比較的広い範囲(70%の表示範囲)が表示されている。また、案内画像N125には、第2情報が付加されていない。
【0076】
車両がより駐車指示位置GP61に近い位置に移動しているため、駐車場の表示範囲を70%まで狭めることにより、車両の周囲の状況に対応した表示範囲(画角)となるように案内画像を調整することができる。このため、運転者は、案内画像に違和感を持つことなく、案内画像を一見しただけで表示内容を把握することが可能になる。また、駐車車両の情報(IN4)を案内画像から削除することにより重要度の低い情報を減らすことができるので、表示内容の認識が容易になるとと共に案内画像の視認性を高めることが可能になる。
【0077】
車両が情報付加位置AP32を通過した場合、表示部12には、
図15Cに示された案内画像N130が表示される。案内画像N130は、案内画像N125(
図15B)に対して1種類の付加情報(第2情報:走行ルート情報AI1)を付加させた画像である。案内画像に走行ルート情報AI1を付加することによって、運転者は、駐車指示位置GP61(IN1)に向かって車両をどのように走行すればよいかを、容易に判断することができる。
【0078】
車両が表示変更位置CP41を通過した場合、表示部12には、
図15Dに示された案内画像N140が表示される。案内画像N140には、2種類の図形情報(駐車指示位置GP61の情報(IN1)および白線の情報(IN2))と、1種類の付加情報(第2情報:走行ルート情報AI1)とが示されおり、駐車場の表示範囲が60%に設定されている。
【0079】
案内画像N140における駐車場の表示範囲を、案内画像N130に比べてわずかに狭くすることにより、車両の周囲の状況に対応した表示範囲(画角)となるように案内画像を調整することができる。このため、運転者は、案内画像に違和感を持つことなく、一見しただけで、駐車操作に必要な情報を認識することが可能になる。さらに、案内画像N140では、案内画像N130から駐車推奨位置の情報(IN3)が削除されているため、運転者は容易かつ瞬時に、駐車指示位置GP61(IN1)の周辺の状況を把握することが可能になる。
【0080】
車両が表示変更位置CP51を通過した場合、表示部12には、
図15Eに示された案内画像N145が表示される。案内画像N145には、1種類の図形情報(駐車指示位置GP61の情報(IN1))と1種類の付加情報(第2情報:走行ルート情報AI1)とが示されおり、駐車場の表示範囲は30%に設定されている。案内画像N145では、案内画像N140から白線の情報(IN2)が削除されると共に、駐車場の表示範囲が狭くなっている。このため、運転者は一見して駐車指示位置GP61を認識することができる。
【0081】
車両が情報付加位置AP52を通過した場合、表示部12には、
図15Fに示された案内画像N150が表示される。案内画像N150は、案内画像N145に対して走行ルート情報AI1(付加画像、第2画像)が削除され、代わりに指示情報AI2(付加画像、第2画像)が付加された画像である。指示情報AI2は駐車方向を「<<<」で示した図形情報であって、走行ルート情報AI1に比べて駐車指示位置GP61(IN1)の方向がわかりやすく示されている。このため、運転者は、案内画像N150を視認することにより、簡易かつ迅速に駐車指示位置GP61の方向および位置を把握することができる。
【0082】
以上説明したように、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステム1では、車両が駐車指示位置GP61に近づくに従って、案内画像に表示される図形情報の数を減らし、また、表示される駐車場の表示範囲を狭くすること(第1情報の情報量を減らすこと)ができるので、駐車操作に有用な情報を、車両の位置に応じて適切に運転者等に提供することが可能となる。このため運転者は、駐車操作に有用な情報を状況に応じて把握することができ、また、案内画像の視認動作に煩わしさを感じることなく、駐車操作に集中することができる。
【0083】
さらに、案内画像における駐車場の表示範囲は、駐車場入口に近い位置では表示範囲が広範囲となり、駐車指示位置に近づくに従って表示範囲が周囲の状況に対応するように狭くなる。このため、運転者は実際の車両の周囲の状況に違和感を持つことなく、案内画像に表示された情報と目視により把握される周囲の情報とを関連付けて判断することが可能となる。
【0084】
さらに、一般的なカーナビゲーションシステムでは、交差点毎に交差点の周囲の建物等を模した画像データを予め用意しておき、交差点を通過するタイミングで予め用意した画像データを表示画面に表示させて、経路案内処理を行っている。しかしながら、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステム1では、予め画像データを用意するのではなく、駐車場入口SP11から駐車指示位置GP61までの距離や、駐車場内の混雑レベルなどに応じて、段階的に案内画像に表示される情報量が少なくなるように、表示内容の設定・調整が行われる。ヘッドアップディスプレイシステム1では、一般的なカーナビゲーションシステムと異なり、案内画像に表示させる情報を、駐車場の状況に応じて変化させることができるので、運転者による案内画像の視認負担を軽減させることができると共に、案内画像の確認動作が駐車操作の支障になることを防ぐことができる。
【0085】
以上、本開示の表示制御装置およびヘッドアップディスプレイ装置について、ヘッドアップディスプレイシステム1を一例として示して説明したが、表示制御装置は、実施の形態に記載した内容には限定されない。
【0086】
例えば、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステム1では、S.17において案内画像を生成させて表示部12に表示させる処理を行っている。しかしながら、S.13よりも前の処理段階で、各表示変更位置および各情報付加位置に応じて予め画像生成部22が案内画像を生成して情報記録部23に記録するようにしてもよい。車両が表示変更位置または情報付加位置を通過した場合(S.15でYes)に、表示制御部21が、予め生成された案内画像のうち最適な案内画像を、情報記録部23から読み出すことにより、表示部12に案内画像を表示させるように処理を行うことが可能となる。
【0087】
また、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステム1では、S.17において第1情報と第2情報とを含む表示内容の案内画像を生成する処理を行っている。しかしながら、第1情報を含む案内画像を生成する処理と、第2情報を含む案内画像を生成する処理とを別々に行うようにすることも可能である。
【0088】
既に説明したように、情報付加位置において設定される表示内容には、第2情報(付加情報)だけでなく、駐車場入口寄りに位置する表示変更位置で設定された第1情報が含まれている。このため、表示変更位置毎の案内画像を生成した後に、情報付加位置から駐車場入口寄りに位置する表示変更位置の案内画像をコピーして、コピーした案内画像に対して第2情報(付加情報)だけを付加することにより、各情報付加位置における案内画像を簡単に生成することができる。例えば、S.09において表示変更位置CP31の案内画像を生成し、S.12において、既に生成された表示変更位置CP31の案内画像をコピーして、第2情報(走行ルート情報AI1)だけを付加することにより、情報付加位置AP32の案内画像を生成することができる。
【0089】
さらに、駐車指示位置を設定する処理(S.04)や、混雑レベルを設定する処理(S.06)や、表示変更位置の個数と配置との設定・調整処理(S.07,S.08)や、情報付加位置の個数と配置との設定・調整処理(S.10,S.11)や、表示変更位置や情報付加位置等の表示内容を設定する処理(S.09,S.12)等のいずれかの処理を、S.13~S.17の処理の間で行うようにしてもよい。例えば、車両が表示変更位置または情報付加位置を通過したかどうかの判断(S.15)の前後に、混雑レベルの設定処理(S.06)等を行うことにより、混雑レベルが変化した場合に迅速に、案内画像に表示させる情報(第1情報および第2情報)の内容を変更・調整することが可能になる。
【0090】
また、S.13~S.17の処理の間に、駐車指示位置に他車両が駐車されているかどうかの判断処理を追加してもよく、また、一度設定した駐車指示位置に他車両が駐車していた場合には、新たな駐車指示位置の設定を行う処理を追加してもよい。このような処理を加えることにより、駐車指示位置に自車両を駐車することができなくなった場合であっても、迅速かつ柔軟に、新たな駐車操作の支援を行うための情報を提供することが可能になる。
【0091】
さらに、例えば、大規模テーマパークの大駐車場や、自走式の多層階立体駐車場のように、駐車場入口が1カ所であっても、駐車場内が複数(多数階)の駐車エリアに分かれている場合もある。大駐車場や自走式の多層階立体駐車場に車両を駐車させる場合には、まず、各駐車エリアまで車を移動させてから、駐車操作を開始することになる。このような場合には、単純に駐車場入口から駐車指示位置までの距離等を求めて駐車操作の支援処理を行っても、運転者に有用な情報を提供することができないおそれがある。
【0092】
従って、各駐車エリアに車両が到着たことを確認した後に、各駐車エリアの所定位置(駐車場入口に該当し得る位置)を基準として、駐車操作の支援処理を開始するように、処理方法を変更してもよい。各駐車エリアに到着してから、駐車操作の支援処理を開始することにより、運転者が駐車支援を必要とするタイミングで、最適な情報を提供することが可能になる。
【0093】
また、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイシステム1は、ヘッドアップディスプレイ装置10と表示制御装置20とが別構成となっているが、表示制御装置20がヘッドアップディスプレイ装置10に含まれるように構成することも可能である。具体的に、ヘッドアップディスプレイ装置10は、表示器制御部11、表示部12、光学系部13およびアクチュエータ14を備えると共に、表示制御装置20、表示制御部21および画像生成部22を備える構成であってもよい。表示制御装置20がヘッドアップディスプレイ装置10に含まれる構成であっても、実施の形態で説明した表示制御部21と同様の処理を、ヘッドアップディスプレイ装置10の表示制御部21として実行することにより、実施の形態で説明した効果と同様の効果を奏することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 …ヘッドアップディスプレイシステム
10 …ヘッドアップディスプレイ装置
11 …(ヘッドアップディスプレイ装置の)表示器制御部
12 …(ヘッドアップディスプレイ装置の)表示部(表示手段)
13 …(ヘッドアップディスプレイ装置の)光学系部
14 …(ヘッドアップディスプレイ装置の)アクチュエータ
20 …表示制御装置
21 …(表示制御装置の)表示制御部(制御手段)
22 …(表示制御装置の)画像生成部(画像生成手段)
23 …(表示制御装置の)情報記録部
30 …ナビゲーションシステム装置
31 …(ナビゲーションシステム装置の)ナビゲーション制御部
32 …(ナビゲーションシステム装置の)位置情報取得部
33 …(ナビゲーションシステム装置の)地図情報格納部
34 …(ナビゲーションシステム装置の)駐車場情報取得部
AI1 …走行ルート情報(第2情報、付加情報)
AI2 …指示情報(第2情報、付加情報)
AP32,AP52 …情報付加位置
CP21,CP31,CP41,CP51 …表示変更位置
GP61 …駐車指示位置(車両駐車位置)
IN1 …駐車指示位置の情報(第1情報、図形情報)
IN2 …白線の情報(第1情報、図形情報)
IN3 …駐車推奨位置の情報(第1情報、図形情報)
IN4 …駐車車両の情報(第1情報、図形情報)
N120,N125,N130,N140,N145,N150, …案内画像
SP11 …駐車場入口