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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140476
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/33 20180101AFI20241003BHJP
   F21S 41/26 20180101ALI20241003BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20241003BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20241003BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20241003BHJP
【FI】
F21S41/33
F21S41/26
F21S41/148
F21S41/143
F21W102:155
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051626
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野末 洋和
(72)【発明者】
【氏名】三菅 大
(72)【発明者】
【氏名】持丸 治美
(72)【発明者】
【氏名】武藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
(57)【要約】
【課題】車幅方向において車両の外方に照明光の照射領域を広げた配光パターンを形成する。
【解決手段】車両用灯具10は、第1発光部24と、車両の幅方向において第1発光部24よりも車両の中心側に配置されるとともに、車両の前後方向において第1発光部24よりも前方に配置される第2発光部25と、第2発光部25からの光を、第1発光部24から光の光軸L2に対して角度θ1傾けた方向に反射する第2リフレクタ23と、第1発光部24からの光及び第2リフレクタ23にて反射した反射光を、車両の前方に照射する投影レンズ40と、を有している。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発光部と、
車両の幅方向において前記第1発光部よりも前記車両の中心側に配置されるとともに、前記車両の前後方向において前記第1発光部よりも前方に配置される第2発光部と、
前記第2発光部からの光を、前記第1発光部から光の光軸に対して所定の角度傾けた方向に反射する反射部材と、
前記第1発光部からの光及び前記反射部材にて反射した反射光を、前記車両の前方に照射するレンズと、
を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用灯具において、
前記第2発光部は、前記車両の中央から外側に向けて、前記車両の後方に傾斜するように配置された複数の発光素子を有し、
前記反射部材は、複数の前記発光素子からの光を反射する複数の反射面を備えている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用灯具において、
複数の前記発光素子は、複数の前記発光素子の中心位置を結ぶ直線が前記第1発光部から光の光軸に対して所定の角度傾いて配置され、
前記所定の角度は、前記第1発光部から光が前記反射部材の各反射面に入射しない角度に設定されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用灯具において、
前記第1発光部及び前記第2発光部は、前記車両の幅方向及び前記車両の前後方向の各々に直交する前記車両の上下方向において、同一の高さに設けられている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用灯具において、
前記第1発光部及び前記第2発光部が設けられた基板と、
前記基板が上面に固定されるとともに、前記第1発光部及び前記第2発光部の発光により生じる熱を外部に放熱する放熱部材と、
を備えていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
請求項2に記載の車両用灯具において、
前記レンズの出射面は、
前記車両の幅方向における中心側から外側に向けて、前記車両の後方に傾斜する形状をしており、
前記レンズは、
前記車両の後方に向けて凸形状となる第1の入射面を有するとともに、前記第1発光部からの光を前記第1の入射面から入射させる第1レンズ部と、
シリンドリカル形状から構成されるとともに、前記反射部材により反射した反射光を入射させる第2の入射面を有する第2レンズ部と、
を有している
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用灯具において、
前記反射面は、前記反射面の下方に位置する発光素子からの光を前記第2レンズ部に向けて反射する、又は、前記車両の幅方向において、前記反射面の下方に位置する発光素子に隣接する発光素子からの光を前記第1レンズ部に向けて反射する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用灯具において、
前記反射面は、複数の発光素子の各々の上方に配置される複数の第1の反射面と、複数の前記第1の反射面のうち、前記車両の幅方向において最も外方に位置する第1の反射面のさらに外方に配置される第2の反射面と、を含む
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項9】
請求項6に記載の車両用灯具において、
前記車両の幅方向及び前記車両の前後方向を含む平面上において、前記第1レンズ部の焦点の位置に配置されるとともに、前記第1発光部からの光の一部を遮る遮光部材を、有し、
前記第2発光部及び前記反射部材は、前記車両の前後方向において、前記遮光部材よりも前方に配置される
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項10】
請求項6に記載の車両用灯具において、
前記車両の幅方向において、前記第1発光部及び前記第2発光部よりも前記車両の中心側に配置される第3発光部を、備え、
前記レンズは、前記車両の後方に凸形状となる第3の入射面を有するとともに、前記第3発光部からの光を前記第3の入射面を介して入射させる第3レンズ部を有する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項11】
請求項10に記載の車両用灯具において
前記第1レンズ部及び前記第3レンズ部は、前記第2レンズ部を介して連結されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項12】
請求項6に記載の車両用灯具において、
前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部から出射される照明光は、すれ違い用ビームの配光パターンを形成する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項13】
請求項11に記載の車両用灯具において、
前記第3レンズ部から出射される照明光は、走行用ビームの配光パターンを形成する
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の前照灯として、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子を光源とした車両用灯具が提供されている(特許文献1、特許文献2参照)。例えば特許文献1では、第1光源としての第1LED22を有する第1サブ灯具ユニット20と、第2光源としての第2LED42を有する第2サブ灯具ユニット40と、を上下方向に隣接して配置した車両用灯具を開示している。また、特許文献2では、第1から第3灯具ユニット20A,20B,20Cのうち、第1灯具ユニット20Aのリフレクタ24Aに付加リフレクタ34Aを、第2灯具ユニット20Bのリフレクタの24Bに付加リフレクタ34Bを設けた車両用灯具を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-238604号公報
【特許文献2】特許第6180794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の車両用灯具では、第1サブ灯具ユニット20からの照射光が配光パターンの集光領域を形成し、第2サブ灯具ユニット40が配光パターンの側方領域を形成している。しかしながら、特許文献1の車両用灯具では、車両の幅方向(以下、車幅方向と称する場合もある)における照射範囲が限定された配光パターンとなる。したがって、車幅方向において車両の外方へと照射領域を広げるためには、追加の灯具ユニットが必要となる。
【0005】
また、特許文献2の車両用灯具では、第1灯具ユニット20Aのリフレクタ24Aに設けられる付加リフレクタ34Aは、第2灯具ユニット20Bの発光素子からの照明光を反射し、第2灯具ユニット20Bのリフレクタ24Bに設けられる付加リフレクタ34Bは、第1灯具ユニット20Aの発光素子からの照明光を反射する。したがって、特許文献2の車両用灯具における配光パターンは、中心における光度が高くなる配光パターンとなる。また、第1から第3灯具ユニット20A,20B,20Cを車幅方向に配置することで、特許文献1の車両用灯具に比べて、車幅方向における照射範囲が広い配光パターンを得ることができる。しかしながら、第1から第3灯具ユニット20A,20B,20Cを車幅方向に配置し、また、第1及び第2灯具ユニットに設けたリフレクタに付加リフレクタを設けることで、車両用灯具が大型化するという問題もある。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車幅方向において車両の外方に照明光の照射領域を広げた配光パターンを形成することができるようにした車両用灯具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の車両用灯具は、第1発光部と、車両の幅方向において第1発光部よりも車両の中心側に配置されるとともに、車両の前後方向において第1発光部よりも前方に配置される第2発光部と、第2発光部からの光を、第1発光部から光の光軸に対して所定の角度傾けた方向に反射する反射部材と、第1発光部からの光及び反射部材にて反射した反射光を、車両の前方に照射するレンズと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車幅方向において車両の外方に照明光の照射領域を広げた配光パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態における車両用灯具の前面側の一構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す車両用灯具の背面側の一構成を示す斜視図である。
図3図3は、車両用灯具を前方から視認したときの基板及び当該基板に配置される発光部の位置関係を示す図である。
図4図4は、車両用灯具の上方から視認したときの基板及び当該基板に配置される発光部の位置関係を示す図である。
図5図5は、ロービームを照射するときの光の流れを示す図である。
図6図6は、ロービームの配光パターンの一例を示す図である。
図7図7は、ハイビームを照射するときの光の流れを示す図である。
図8図8は、第2の実施の形態における車両用灯具を、上方から視認したときの基板及び当該基板に配置される発光部の位置関係を示す図である。
図9図9は、第2光源部の第2発光部が発光したときの光の流れを示す図である。
図10図10は、ロービームの配光パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施の形態に係る車両用灯具について、図面を用いて説明する。以下に示す実施の形態において、車両が前方又は後方に直進する時の方向を前後方向、車両の車幅方向を左右方向、前後方向及び左右方向の各々に直交する方向を上下方向と称する。また、以下の実施の形態では、車両の右前部に設けられる前照灯に用いられる車両用灯具について説明する。なお、車両の左前部に設けられる前照灯に用いられる車両用灯具は、車両の右前部に設けられる前照灯に用いられる車両用灯具と対称となる。
【0011】
<第1の実施の形態>
以下、第1の実施の形態に係る車両用灯具について、図1から図4を用いて説明する。なお、図1は、車両用灯具の前面側の一構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す車両用灯具の背面側の一構成を示す斜視図である。また、図3は、車両用灯具を前方から視認したときの基板及び当該基板に配置される発光部の位置関係を示す図である。また、図4は、車両用灯具の上方から視認したときの基板及び当該基板に配置される発光部の位置関係を示す図である。
【0012】
ここで、第1の実施の形態に係る車両用灯具10は、車両の前部右側に設けられる前照灯として用いられる。車両用灯具10は、図示を省略した灯室の内部に設けられている。なお、図示は省略するが、灯室は、ランプハウジングとアウターレンズとで形成されている。
【0013】
図1から図4に示すように、車両用灯具10は、第1光源部20と、第2光源部30と、投影レンズ40と、放熱部材(ヒートシンク)50と、を有している。車両用灯具10は、第1光源部20を有することで、すれ違い用ビーム(以下、ロービームと称する)の配光パターンを形成する。また、車両用灯具10は、第2光源部30を有することで、走行用ビーム(以下、ハイビームと称する)の配光パターンを形成する。なお、一例として、第2光源部30により走行用ビーム(以下、ハイビームと称する)の配光パターンを形成するとしているが、第2光源部30を、例えば車両の前方の明るさをカメラにより判定して、配光を制御する、例えばAHS(Adaptive High beam System)用の光源としてもよい。
【0014】
第1光源部20は、基板21と、第1リフレクタ22と、第2リフレクタ23と、を有している。第2リフレクタ23は、請求項に記載の反射部材に相当する。基板21は、放熱部材50の上面右側に設けられている。基板21は、左右方向に延びる基板本体21aと、基板本体21aの左側端部から前方に延びる延出部21bとを有している。
【0015】
基板本体21aの上面には、第1発光部24が設けられている。第1発光部24は、発光素子として、例えば5個のLED(Light Emitting Diode)24a,24b,24c,24d,24eを有している。5個のLED24a,24b,24c,24d,24eのうち、中央に位置する3個のLED24b,24c,24dは、前後方向において、同一の位置に配置されている。また、5個のLED24a,24b,24c,24d,24eのうち、左右端部に配置されるLED24a,24eは、前後方向において、中央に配置される3個のLED24b,24c,24dよりも前方に配置されている。
【0016】
また、延出部21bの先端部上面には、第2発光部25が設けられている。第2発光部25は、発光素子として、例えば2個のLED25a,25bを有している。2個のLED25a,25bのうち、右側に配置されるLED25aは、左側に配置されるLED25bに対して後方に配置されている。したがって、2個のLED(その中心位置)25a,25bを結ぶ直線L1は、第1発光部24の光軸(L2)方向に対して所定の角度θ1傾いている。なお、所定の角度θ1は、例えば、第1発光部24が発光したときに第1リフレクタ22により反射される光が、第2リフレクタ23の内部に入り込んで、第2リフレクタ23の各反射面において反射することが防止できる角度に設定されている。また、第2発光部25は、第1発光部24よりも前方に配置されている。
【0017】
なお、第1発光部24が有するLEDの数を5個、第2発光部25が有するLEDの数を2個としているが、各発光部24,25が有するLEDの数は、適宜設定することが可能である。
【0018】
第1リフレクタ22は、第1発光部24の上側を覆い、前方に向けて開口する形状をした部材である。第1リフレクタ22は、光不透過性の部材、又は表面に反射被膜を蒸着した樹脂部材から構成されている。第1リフレクタ22は、基板21の基板本体21aを放熱部材50との間で挟持した状態で、放熱部材50の上面に固定されている。第1リフレクタ22は、第1発光部24が有する5個のLED24a,24b,24c,24d,24eの各々に対応する反射面26a,26b,26c,26d,26eを有している。これら反射面26a,26b,26c,26d,26eは、楕円形状を基調とする湾曲面から形成されている。なお、第1発光部24が有する5個のLED24a,24b,24c,24d,24eは、対応する反射面の焦点と一致する位置、もしくは、その近傍の位置に配置されている。
【0019】
第2リフレクタ23は、第2発光部25の上側を覆い、前方に向けて開口する形状をした部材である。第2リフレクタ23は、第1リフレクタ22と同様に、光不透過性の部材、又は表面に反射被膜を蒸着した樹脂部材から構成されている。また、第2リフレクタ23は、基板21の延出部21bを放熱部材50との間で挟持した状態で、放熱部材50の上面に固定されている。第2リフレクタ23は、第2発光部25が有する2個のLED25a,25bの各々に対応する反射面27a,27bを有している。これら反射面27a,27bは、楕円形状を基調とする湾曲面から形成されている。なお、第2発光部25が有する2個のLED25a,25bは、対応する反射面の焦点と一致する位置、もしくは、その近傍の位置に配置されている。
【0020】
第2リフレクタ23は、当該第2リフレクタ23の前端部に、シェード28が一体に設けられている。シェード28は、第2リフレクタ23からの反射光の一部を遮って投影レンズ40へ入射させる遮光板である。シェード28は、請求項に記載の遮光部材に相当する。なお、シェード28を第2リフレクタ23と一体とした場合を例に挙げるが、シェード28と第2リフレクタ23とは、一体に限定する必要はなく、シェード28と第2リフレクタ23とを別体としてもよい。
【0021】
第2光源部30は、基板31と、第3発光部32と、レンズ33と、を有する。基板31は、放熱部材50の前面左側に設けられている。基板31の表面には、第3発光部32が設けられている。図示は省略するが、第3発光部32は、例えば左右方向に配置される、例えば12個のLEDを有している。レンズ33は、第3発光部32を覆い、また、基板31を放熱部材50とで挟持した状態で放熱部材50に固定されている。なお、第2光源部30は、第3発光部32が有する12個のLED(その中心位置)が第1光源部20の第1発光部24の各LED、及び第2発光部25の各LEDの各々と、上下方向において同一の位置(図中直線L3上)となるように、放熱部材50に配置されている。
【0022】
投影レンズ40は、上述した第1光源部20から出射された光を入射して、入射した光を車両前方に向けて照射する。また、投影レンズ40は、上述した第2光源部30からレンズ33を介して出射された光を入射して、入射した光を車両前方に向けて照射する。
【0023】
投影レンズ40は、保持部材41を介して、放熱部材50の前面に固定されている。投影レンズ40は、光透過性を有する樹脂材料から形成されている。一方、保持部材41は、光不透過性の樹脂部材から形成されている。投影レンズ40は、その表面形状が、左右方向において、左側から右側にかけて後方に傾斜した形状(スラント形状)をした部材である。投影レンズ40の後面には、左右方向における右側端部及び左側端部のそれぞれに、後方に凸形状となる入射面40a,40bが設けられている。また、投影レンズ40の後面に設けられる入射面40a,40bの間には、当該入射面40a,40bを繋ぐ入射面40cが設けられている。ここで、入射面40aが請求項に記載の第1の入射面、入射面40cが請求項に記載の第2の入射面に各々相当する。なまた、入射面40bが請求項に記載の第3の入射面に相当する。
【0024】
したがって、投影レンズ40は、左右方向における右側から、第1光源部20の第1発光部24用のレンズ部(以下、第1レンズ部)42、第1光源部20の第2発光部25用のレンズ部(以下、第2レンズ部)43、第2光源用のレンズ部(以下、第3レンズ部)44として機能する。そして、投影レンズ40は、入射面40a,40bが車両の後方に向けて凸形状となる第1レンズ部42及び第3レンズ部44を、第2レンズ部43によって連結することで形成されている。なお、第2レンズ部43は、一例としてシリンドリカル形状のレンズである。なお、第2レンズ部43をシリンドリカル形状のレンズとすることで、車両の側方に照明光を照射させやすくなる。
【0025】
ここで、第1レンズ部42の焦点P1は、例えば後述するシェード51上に位置する。また、第2レンズ部43の焦線C1は、例えば後述するシェード28上に位置する。
【0026】
なお、投影レンズ40の表面形状をスラント形状としているが、投影レンズ40の表面の形状は、スラント形状に限定する必要はなく、車両の幅方向、すなわち左右方向に延びる水平面としてもよい。
【0027】
放熱部材50は、上述した第1光源部20の第1発光部24、及び第2発光部25、第2光源部30の第3発光部32のいずれかが発光したときに発生する熱を放熱する部材である。
【0028】
放熱部材50には、第1光源部20と、第2光源部30と、投影レンズ40と、が固定されている他に、当該放熱部材50の前面右側に、シェード51が固定されている。シェード51は、第1リフレクタ22からの反射光の一部を遮って投影レンズ40へ入射させる遮光板である。なお、放熱部材50の前面に固定されるシェード51の位置は、第1光源部20の第2発光部25及び第2リフレクタ23の位置よりも後方に位置している。
【0029】
図5に示すように、例えば、ロービームを車両前方に照射するとき、第1光源部20に電力が供給され、第1光源部20を構成する第1発光部24のLED24a,24b,24c,24d,24e及び第2発光部25のLED25a,25bが、各々発光する。
【0030】
第1発光部24のLED24a,24b,24c,24d,24eが発光すると、LED24a,24b,24c,24d,24eからの光は、各LEDに対応して設けた第1リフレクタ22の反射面26a,26b,26c,26d,26eにて反射し、その反射光がシェード51によって一部が遮られて投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aに入射する。第1レンズ部42の入射面40aから当該第1レンズ部42に入射する照射光は屈折した後、投影レンズ40の第1レンズ部42を透過して、投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dから出射する。投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dから出射する光(照明光)は、投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dにおいて屈折した後、車両の前方に、ロービームの配光パターンの集光領域を形成する。
【0031】
また、第2発光部25が発光すると、LED25a,25bのそれぞれから出射される光は、第2リフレクタ23の対応する反射面27a,27bにて反射し、その反射光がシェード28によって一部が遮られて投影レンズ40の第2レンズ部43の入射面40cに入射する。第2レンズ部43の入射面40cから当該第2レンズ部43に入射する光は屈折した後、投影レンズ40の第2レンズ部43を透過して、投影レンズ40の第2レンズ部43の出射面40eから出射する。
【0032】
ここで、第2リフレクタ23にて反射した光の光軸L4は、第1リフレクタ22にて反射した光の光軸L2に対して、所定の角度θ2(=90°-θ1)傾斜している。したがって、投影レンズ40の第2レンズ部43の出射面40eから出射する光は、投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dにおいて屈折した後、車両の前方において、第1発光部24の発光により形成される配光パターンの集光領域の外側に側方領域を形成する。
【0033】
なお、第2発光部25が発光したとき、LED25bから出射される光は、第2リフレクタ23の反射面27aにおいて反射する光の他、反射面27bにおいて反射する光もある。例えば、LED25bから出射され、反射面27bで反射した光は、第1レンズ部42の入射面40aの領域A1及び領域A2のうち、第1レンズ部42の光軸L2に対して左側の領域A1に入射する。投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aの領域A1に入射する光は屈折した後、投影レンズ40の第1レンズ部42を透過して、投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dから出射する。投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dから出射する光は、その過程でさらに屈折して、車両の前方に、ロービームの配光パターンの側方領域を形成する。
【0034】
また、第2光源部30が発光すると、第2光源部30の第3発光部32から出射される光は、投影レンズ40の第3レンズ部44の入射面40bに入射する。第3レンズ部44の入射面40bから当該第3レンズ部44に入射する照射光は屈折した後、投影レンズ40の第3レンズ部44を透過して、投影レンズ40の第3レンズ部44の出射面40fから出射する。投影レンズ40の第3レンズ部44の出射面40fから出射する光は、投影レンズ40の第3レンズ部44の出射面40fにおいて屈折した後、車両の前方において、例えばハイビームの配光パターンを形成する。
【0035】
図6に示すように、第1発光部24の各LEDが発光したときに、投影レンズ40から出射される光は、配光パターンにおける集光領域A11を形成する。一方、第2発光部25の各LED25a,25bが発光したときに、第2リフレクタ23の反射面27a,27bを反射した照射光は、例えば、領域A21,A22を形成する。なお、図6中、Vは鉛直方向、Hは水平方向を示している。したがって、第2発光部25の発光により、第1発光部24の発光により形成される配光パターンの集光領域の外側に側方領域を形成することができる。
【0036】
図7に示すように、ハイビームを車両前方に照射するとき、第2光源部30に電力が供給され、第2光源部30を構成する第3発光部32の各LEDが発光する。第3発光部32が有するLEDは、レンズ33を透過した後、投影レンズ40の第3レンズ部44の入射面40bに入射する。第3レンズ部44の入射面40bから入射する光は屈折した後、投影レンズ40の第3レンズ部44を透過して、投影レンズ40の第3レンズ部44の出射面40fから出射する。投影レンズ40の第3レンズ部44の出射面40fから出射する光は、その過程でさらに屈折して、車両の前方に、ハイビームの配光パターンを形成する。
【0037】
上述した車両用灯具10では、第1光源部20を構成する第2発光部25は、車両用灯具10の左右方向において、第1光源部20を構成する第1発光部24と、第2光源部30との間に配置されている。また、第1光源部20を構成する第2発光部25は、前後方向において、第1光源部20を構成する第1発光部24やシェード51、及び第2光源部30よりも前方に位置している。したがって、左右方向における幅を縮小した車両用灯具10を提供することができる。また、第1光源部20を構成する第2発光部25が発光することで照射光は、第2リフレクタ23を反射した後、車両用灯具10を構成する他の構成部品などに邪魔されることなく、ロービームの配光パターンにおいて、集光領域よりも車両から外方へと広がる側方領域を形成する。同時に、第1光源部20を構成する第2発光部25の発光による照射光は、第1光源部20を構成する第1発光部24の発光による照射光の影響を受けることなく、上記側方領域を形成することが可能となる。
【0038】
また、第1光源部20の第2発光部25の光軸L4は、第1光源部20の第1発光部24の光軸L2に対して所定の角度θ2外側に傾いている。したがって、第2発光部25が発光して第2リフレクタ23にて反射される照射光は、投影レンズ40から出射されることで、さらに車両の外側に屈折した光となる。その結果、配光パターンにおいて、車両の外側に向けた側方領域を形成することが可能となる。
【0039】
また、第1光源部20において、第1発光部24及び第2発光部25を基板21に設けることで、第1発光部24と第2発光部25との位置(高さ)が同一の高さとなるので、これら第1発光部24及び第2発光部25の発光時に、グレアの発生を抑制することができる。
【0040】
なお、第1の実施の形態では、すれ違い用ビーム(以下、ロービームと称する)の配光パターンを形成する第1光源部20と、走行用ビーム(以下、ハイビームと称する)の配光パターンを形成する第2光源部30と、を有する車両用灯具10について説明した。しかしながら、すれ違い用ビーム(以下、ロービームと称する)の配光パターンを形成する第1光源部20のみを有する車両用灯具であってもよい。
【0041】
また、第1の実施の形態では、第1光源部20の第2発光部25を、左右方向において、第1光源部20の第1発光部24と第2光源部30との間に配置し、第1光源部20の第2発光部25からの照明光によって、ロービームの配光パターンの側方領域を形成している。なお、第1光源部20の第2発光部25の発光により形成されるロービームの配光パターンの側方領域を、第2リフレクタ23によって、車両の外方へと広げることも可能である。以下、第2リフレクタ23によって、車両の外方へと広がる側方領域を、さらに車両の外方へと広げる場合について第2の実施の形態として説明する。
【0042】
以下、第2の実施の形態では、第1光源部20の第2発光部25の構成が異なるが、他の構成については、第1の実施の形態と同一である。したがって、第1の実施の形態に示す車両用灯具10と同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0043】
<第2の実施の形態>
図8図9に示すように、例えば、第1光源部20を構成する基板21の延出部21bの先端部上面には、第2発光部60が設けられている。第2発光部60は、例えば4個のLED60a,60b,60c,60dを有している。なお、この場合も、4個のLED60a,60b,60c,60dの各中心位置を結ぶ直線L5は、第1発光部24の光軸(L2)方向に対して所定の角度θ3傾いている。すなわち、4個のLED60a,60b,60c,60dは、左側に配置されるほど前方に位置している。なお、所定の角度θ3は、4個のLED60a,60b,60c,60dが発光したとき、第2リフレクタ65にて反射する光が、投影レンズ40の第2レンズ部43の入射面40bの他、第1レンズ部42の入射面40aの光軸L2の左側の領域A1に入射できる角度に設定されている。なお、第2リフレクタ65は、請求項に記載の反射部材に相当する。
【0044】
第2リフレクタ65は、第2発光部60の上側を覆い、前方に向けて開口する形状をした部材である。第2リフレクタ65は、光不透過性の部材、又は表面に反射被膜を蒸着した樹脂部材から構成されている。また、第2リフレクタ65は、基板21の延出部21bを放熱部材50との間で挟持した状態で、放熱部材50の上面に固定されている。第2リフレクタ65は、第2発光部60の発光による光を投影レンズ40に向けて反射する反射面65a,65b,65c,65d,65eを有している。なお、第2リフレクタ65の反射面65a,65b,65c,65d,65eのうち、反射面65b,65c,65d,65eは、第2発光部60のLED60a,60b,60c,60dの各々に対応した位置(例えば、各LEDの上方となる位置)に設けられている。また、反射面65aは、左右方向において、最も右側に配置される反射面65bのさらに外方に配置されている。なお、反射面65aの下方にはLEDは配置されていないので、反射面65aは、当該反射面65aに隣り合う反射面65bに対応するLED60aからの光を反射する反射面として機能する。ここで、反射面65b,65c,65d,65eが請求項に記載の第1の反射面に、反射面65aが請求項に記載の第2の反射面に、各々、相当する。
【0045】
図9に示すように、反射面65aは、LED60aから照射される一部の光を反射して、投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aの領域A1及び領域A2のうち、第1発光部24における光軸L2に対して左側の領域A1に入射させる。
【0046】
反射面65bは、LED60aから照射される光を反射して、投影レンズ40の第2レンズ部43の入射面40cに入射させる。また、反射面65bは、LED60bからの光の一部を反射して、投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aの領域A1及び領域A2のうち、第1発光部24における光軸L2に対して左側の領域A1に入射させる。
【0047】
反射面65cは、LED60bから照射される光を反射して、投影レンズ40の第2レンズ部43の入射面40cに入射させる。また、反射面65cは、LED60cからの光の一部を反射して、投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aの領域A1及び領域A2のうち、第1発光部24における光軸L2に対して左側の領域A1に入射させる。
【0048】
反射面65dは、LED60cから照射される光を反射して、投影レンズ40の第2レンズ部43の入射面40cに入射させる。また、反射面65dは、LED60dから照射される一部の光を反射して、投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aの領域A1及び領域A2のうち、第1発光部24における光軸L2に対して左側の領域A1に入射させる。
【0049】
反射面65eは、LED60dから照射される光を反射して、投影レンズ40の第2レンズ部43の入射面40cに入射させる。
【0050】
なお、第2リフレクタ65の反射面65a,65b,65c,65d,65eは、楕円形状を基調とする湾曲面から形成されている。
【0051】
第2の実施の形態においても、第2発光部60及び第2リフレクタ65は、第1発光部よりも前方に位置している。さらに、第2発光部60及び第2リフレクタ65は、投影レンズ40の第1レンズ部42の焦点P1よりも前方に位置している。
【0052】
例えば、ロービームを車両前方に照射するとき、第1光源部20に電力が供給され、第1光源部20を構成する第1発光部24のLED24a,24b,24c,24d,24e及び第2発光部60のLED60a,60b,60c,60dが、各々発光する。第1発光部24が有するLED24a,24b,24c,24d,24eは、各LED24a,24b,24c,24d,24eに対応して設けた第1リフレクタ22の反射面26a,26b,26c,26d,26eにて反射し、その反射光がシェード51によって一部が遮られて投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aに入射する。第1レンズ部42の入射面40aから入射する光は屈折した後、投影レンズ40の第1レンズ部42を透過して、投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dから出射する。投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dから出射する光は、その過程でさらに屈折して、車両の前方に、ロービームの配光パターンの集光領域を形成する。
【0053】
また、第1光源部20に電力が供給されると、第2発光部60のLED60a,60b,60c,60dが発光する。図9に示すように、第2発光部60の各LED60a,60b,60c,60dが発光すると、各LEDからの光は、各LEDに対応した位置(例えば、LEDの上方となる位置)に設けられた第2リフレクタ65の反射面65b,65c,65d,65eにおいて反射する。これら反射光は、シェード66によって一部が遮られて投影レンズ40の第2レンズ部43の入射面40cに各々入射する。第2レンズ部43の入射面40cから当該第2レンズ部43に入射する光は屈折した後、投影レンズ40の第2レンズ部43を透過して、投影レンズ40の第2レンズ部43の出射面40eから出射する。投影レンズ40の第2レンズ部43の出射面40eから出射する光は、その過程でさらに屈折して、車両の前方に、ロービームの配光パターンの側方領域を形成する。
【0054】
第2発光部60のLED60a,60b,60c,60dが発光したとき、各LEDからの光は、各LEDに対応した位置(例えば、LEDの上方となる位置)に設けられた第2リフレクタ65の反射面65b,65c,65d,65eだけでなく、その側方(右側)に位置する反射面65a,65b,65c,65dにおいても反射される。例えば、LED60aの場合には、LED60aからの光は、第2リフレクタ65の反射面65bの他、反射面65bの右側に位置する反射面65aにおいて反射される。例えば、LED60aからの光が、反射面65bの右側に位置する反射面65aにおいて反射されると、その反射光は、投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aの領域A1に入射する。一方、LED60aからの光が反射面65bの左側に位置する反射面65cにおいて反射されたときには、その反射光は、投影レンズ40に入射することはない。なお、第2発光部60を構成する、他のLEDが発光した場合も同様である。
【0055】
第2発光部60のLED60a,60b,60c,60dが発光したときに、投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aの領域A1に入射する光は屈折した後、投影レンズ40の第1レンズ部42を透過して、投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dから出射する。投影レンズ40の第1レンズ部42の出射面40dから出射する光は、その過程でさらに屈折して、車両の前方に、ロービームの配光パターンの側方領域を形成する。
【0056】
なお、第2発光部60の発光により、投影レンズ40の第1レンズ部42の入射面40aの領域A1に入射した光は、投影レンズ40の第1レンズ部42に入射した光よりも車両の外側に向けて、投影レンズ40から出射される。したがって、投影レンズ40の第2レンズ部43から出射される光により形成される側方領域の外側に、投影レンズ40の第1レンズ部42から出射される光により形成される側方領域がさらに形成される。
【0057】
具体的には、図10に示すように、第1発光部24の各LED24a,24b,24c,24d,24eが発光したときに、投影レンズ40から出射される照射光は、配光パターンにおける集光領域A11を形成する。一方、第2発光部60の各LED60a,60b,60c,60dが発光したときに、第2リフレクタ65の反射面65b,65c,65d,65eを反射した照射光は、例えば、領域A41,A42,A43,A44を形成する。また、第2発光部60の各LED60a,60b,60c,60dが発光したときに、第2リフレクタ65の反射面65a,65b,65c,65dを反射した照射光は、例えば、領域A51,A52,A53,A54を形成する。
【0058】
<効果のまとめ>
【0059】
本発明の車両用灯具は、第1発光部24と、車両の幅方向(左右方向)において第1発光部24よりも車両の中心側に配置されるとともに、車両の前後方向において第1発光部24よりも前方に配置される第2発光部25と、第2発光部25からの光を、第1発光部24の光軸L1に対して所定の角度θ2傾けた方向に反射する第2リフレクタ23(65)と、第1発光部24からの光及び第2リフレクタ23(65)にて反射した反射光を、車両の前方に照射する投影レンズ40と、を有する。
【0060】
これによれば、第2発光部を第1発光部24よりも車両の中心側に配置し、また、第2発光部からの光を第2リフレクタ23(65)により、第1リフレクタ22にて反射した反射光の光軸L1に対して所定の角度θ2傾けた方向に反射することで、車幅方向において車両の外方に照明光の側方領域を広げた配光パターンを形成することができる。
【0061】
また、第2発光部25は、車両の中央から外側に向けて、車両の後方に傾斜するように配置されたLED25a,25b(又はLED60a,60b,60c,60d)を有し、第2リフレクタ23(65)は、LED25a,25b(又はLED60a,60b,60c,60d)からの光を反射する複数の反射面27a,27b(又は反射面65a,65b,65c,65d,65e)を備えているものである。
【0062】
これによれば、第2発光部25として、LED25a,25b(又はLED60a,60b,60c,60d)を設けた場合であっても、車幅方向において車両の外方に照明光の側方領域を広げた配光パターンを形成することができる。
【0063】
また、LED25a,25b(又はLED60a,60b,60c,60d)は、LED25a,25b(又はLED60a,60b,60c,60d)の中心位置を結ぶ直線L1(L5)が第1リフレクタ22により反射される照射光の光軸L2に対して所定の角度θ1傾いて配置され、所定の角度θ1は、第1発光部24からの光が第2リフレクタ23の各反射面27a,27b(又は反射面65a,65b,65c,65d,65e)に入射しない角度に設定されているものである。
【0064】
これによれば、第1発光部24の発光により、第1リフレクタ22において反射する反射光が、第2リフレクタ23で反射することがなくなり、グレアの発生を抑えることができる。
【0065】
また、第1発光部24及び第2発光部25は、車両の幅方向及び車両の前後方向の各々に直交する車両の上下方向において、同一の高さに設けられているものである。
【0066】
これによれば、第1リフレクタ22において反射する反射光と、第2リフレクタ23で反射することがなくなり、グレアの発生を抑えることができる。
【0067】
また、第1発光部24及び第2発光部25が設けられた基板21と、基板21が上面に固定されるとともに、第1発光部24及び第2発光部25の発光により生じる熱を外部に放熱する放熱部材50と、を備えているものである。
【0068】
これによれば、第1発光部24と第2発光部25とを、基板上において離れた位置に配置することで、各部位で放熱できるので、放熱部材50を小型化することができる。
【0069】
また、投影レンズ40の出射面は、車両の幅方向における中心側から外側に向けて、車両の後方に傾斜する形状をしており、投影レンズ40は凸形状となる入射面40aを有するとともに、第1発光部24からの光を入射面40aから入射させる第1レンズ部42と、シリンドリカル形状から構成されるとともに、第2リフレクタ23により反射した照射光を入射させる入射面40cを有する第2レンズ部43と、を有しているものである。
【0070】
これによれば、投影レンズの形状に自由度を持たせることが可能となる。また、第2レンズ部43をシリンドリカル形状とすることで、第2発光部25からの光を車両の側方(左右方向)に拡散させて照射しやすくなる。
【0071】
また、反射面27a,27b(又は反射面65a,65b,65c,65d,65e)は、反射面27a,27b(又は反射面65a,65b,65c,65d,65e)の下方に位置するLED25a,25b(又はLED60a,60b,60c,60d)からの光を投影レンズ40に向けて反射する、又は、車両の幅方向において、反射面27a,27b(又は反射面65a,65b,65c,65d,65e)の下方に位置するLED25a,25b(又はLED60a,60b,60c,60d)に隣接する発光素子からの光を投影レンズ40に向けて反射するものである。
【0072】
これによれば、車両の前後方向に対して車両の外方に傾斜した光を、照射光として出射させることができる。
【0073】
また、反射面65a,65b,65c,65d,65eは、複数のLED60a,60b,60c,60dの各々の上方に配置される複数の反射面65b,65c,65d,65eと、複数の反射面65b,65c,65d,65eのうち、車両の幅方向において最も外方に位置する反射面65bのさらに外方に配置される反射面65aと、を有しているものである。
【0074】
例えば、複数のLED60b,60c,60dが発光したとき、複数のLED60b,60c,60dからの光は、各LEDに対応する位置にある反射面65c,65d,65eで各々反射されるだけでなく、その側方にある反射面65b,65c,65dにて各々反射される。反射面65aがない第2リフレクタの場合、LED60aからの光は、対応する位置に設けた反射面65bのみの反射となり、反射面65b以外の箇所に到達した光は照射光として利用することができない。本発明では、第2リフレクタに反射面65aを設けることで、LED60aの発光に伴う光を、反射面65bだけでなく、反射面65aにおいても反射させて、第1レンズ部42の入射面40aにおける領域A1に入射させる。その結果、第1レンズ部42の入射面40aにおける領域A1に入射する光の光量が増えることになって、側方領域の照度が高い配光パターンを照射することができる。
【0075】
また、車両の幅方向及び車両の前後方向を含む平面上において、投影レンズ40の焦点の位置に配置されるとともに、第1発光部24からの光の一部を遮るシェード51を有し、第2発光部25及び第2リフレクタ23は、車両の前後方向において、シェード51よりも前方に配置されるものである。
【0076】
これによれば、第2発光部25を前方に配置することで、車幅方向における幅を狭くした車両用灯具を提供することができる。また、第2発光部25を投影レンズ40に近づけて配置することができるので、配光パターンの側方領域の照度が高い配光パターンを照射することができる。
【0077】
また、車両の幅方向において、第1発光部24及び第2発光部25よりも車両の中心側に配置される第3発光部32を、備え、投影レンズ40は、車両の後方に凸形状となる入射面40bを有するとともに、第3発光部32からの光を入射面40bを介して入射させる第3レンズ部44を有するものである。
【0078】
これによれば、複数の照射光を照射できる車両用灯具を小型化することができる。
【0079】
また、第1レンズ部42及び第3レンズ部44は、第2レンズ部43を介して連結されているものである。
【0080】
これによれば、第1レンズ部42及び第3レンズ部44の間の空間に、第2レンズ部43を配置するため、レンズの裏側の空間を有効に活用できる。また、第1レンズ部42や第3レンズ部44を後方に突となるレンズとした場合、第2レンズ部43として使用するシリンドリカル形状のレンズで接続することで、レンズの表面及び裏面の形状を滑らかな形状とすることができる。さらに、シリンドリカル形状のレンズを第2レンズ部43として用いることで、車両の側方に光を照射させやすくなり、その結果、配光パターンの側方領域の照度が高い配光パターンを照射することができる。
【符号の説明】
【0081】
10…車両用灯具、20…第1光源部、21…基板、22…第1リフレクタ、23…第2リフレクタ、24…第1発光部、25…第2発光部、25a,25b,60a,60b,60c,60d…LED、27a,27b,65a,65b,65c,65d,65e…反射面、28…シェード、30…第2光源部、40…投影レンズ、50…放熱部材(ヒートシンク)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10