(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140481
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
G08B 21/02 20060101AFI20241003BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241003BHJP
B60N 2/26 20060101ALI20241003BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20241003BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 C
G08B25/04 K
B60N2/26
B60N2/90
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051634
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】長澤 勇
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3B084JC01
3B087CE01
3B087DE00
3B087DE10
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA01
5C086CB01
5C086CB27
5C086FA06
5C086FA12
5C086FA18
5C087AA12
5C087AA21
5C087AA37
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD14
5C087EE15
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF17
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】駐車した車内に置き去りにされた幼児IFを迅速に発見し、早急な緊急対応を図り、幼児IFの安全を確保する。
【解決手段】車両の駐車状態を検知する駐車状態検知部110と、車室内の状況を検知する車室内状況検知部120と、チャイルドシート10に設けられたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号により、幼児IFの存在と車室内における幼児IFの位置情報とを検知する幼児情報検知部130と、車室内の温度情報を取得する温度情報取得部140と、車室内に幼児IFが置き去りにされている場合に、車外に置き去りが発生していることを報知する報知部160と、車両が駐車状態である場合に、車室内の温度情報を含む情報に応じて、報知部160の報知態様を制御する制御部170と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐車状態を検知する駐車状態検知部と、
車室内の状況を検知する車室内状況検知部と、
チャイルドシートに設けられたセンサからの信号により、幼児の存在と車室内における幼児の位置情報とを検知する幼児情報検知部と、
前記車室内の温度情報を取得する温度情報取得部と、
前記車室内に前記幼児が置き去りにされている場合に、車外に置き去りが発生していることを報知する報知部と、
前記車両が前記駐車状態である場合に、前記車室内の温度情報を含む情報に応じて、前記報知部の報知態様を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記車両の周辺情報を取得する車両周辺情報取得部を備え、
前記制御部は、前記車両の周辺に人がいるか否かに応じて、前記報知部の報知態様を制御することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記車両の周辺情報を取得する車両周辺情報取得部を備え、
前記制御部は、前記車両の周辺に人がいる場合には、前記報知部に前記車両の周辺の携帯端末に対して、前記置き去りが発生していることを知らせる情報を送信させることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車室内の温度情報を含む情報により、前記幼児に緊急を要する事態が発生していると判断した場合には、前記報知部に対して、SNSを通じて前記置き去りが発生していることを知らせる報知を実行させることを特徴とする請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車両の周辺情報を取得する車両周辺情報取得部を備え、
前記制御部は、前記車両の周辺に人がいない場合には、前記報知部の報知態様を制御する温度を、前記車室内の温度が前記車両の周辺に人がいる場合よりも低くすることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項6】
1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、緊急通報センターを含む車外に警報を報知する報知部と、
を備え、
前記1つまたは複数のプロセッサは、
車両の駐車状態を検知する駐車状態検知部と、
車室内の状況を検知する車室内状況検知部と、
チャイルドシートに設けられたセンサからの信号により、幼児の存在と車室内における幼児の位置情報とを検知する幼児情報検知部と、
前記車室内の温度情報を取得する温度情報取得部と、
前記車室内に前記幼児が置き去りにされている場合に、車外に置き去りが発生していることを報知する報知部と、
前記車両が前記駐車状態である場合に、前記車室内の温度情報を含む情報に応じて、前記報知部の報知態様を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、駐車した車内に幼児等が置き去りにされ、事故となったケースが数多く報告されており、こうした事故が社会問題化している。
特に、異常気象の影響が色濃い夏場では、駐車した車内に幼児等が置き去りにされた場合には、昼夜を問わず、深刻な事態を招く虞が高い。
【0003】
上記のような事象への対応策として、車内にいる乗員を検出する乗員検出部と、車内の異常を検出する異常検出部と、乗員検出部により乗員を検出しかつ異常検出部により異常を検出した場合に、警報装置を制御して車内もしくは車外に対して警報し、または車載機器を制御して車内の異常を緩和する制御部とを備え、乗員検出部は、車内の乗員の身体的特徴または行動的特徴を抽出して、乗員の種別または異常に対する乗員の対応可否の状態をさらに検出し、制御部は、乗員検出部が検出した乗員の種別または状態に応じて、警報装置による警報または車載機器による異常緩和を実行する車内事故防止装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、乗員検出部が検出した乗員の種別または状態に応じて、警報装置による警報または車載機器による異常緩和を実行するとしている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、駐車した車内に置き去りにされた乗員が幼児であって、チャイルドシートに布等がかけられている場合には、画像等では、そもそも、幼児を検出することができない。
また、特許文献1には、開示されていないが、例えば、ミリ波レーダー等によるセンシングを用いても、幼児の微妙な動きを把握することは困難である。
さらに、幼児は、自力で車外に脱出することは困難であり、体力的にも劣っていることから、駐車した車内での置き去りに対する処置は緊急を要するが、特許文献1に記載の技術では、緊急対応までにも時間を要するという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、駐車した車内に置き去りにされた幼児を迅速に発見し、早急な緊急対応を図り、幼児の安全を確保する車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車両の駐車状態を検知する駐車状態検知部と、車室内の状況を検知する車室内状況検知部と、チャイルドシートに設けられたセンサからの信号により、幼児の存在と車室内における幼児の位置情報とを検知する幼児情報検知部と、前記車室内の温度情報を取得する温度情報取得部と、前記車室内に前記幼児が置き去りにされている場合に、車外に置き去りが発生していることを報知する報知部と、前記車両が前記駐車状態である場合に、前記車室内の温度情報を含む情報に応じて、前記報知部の報知態様を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする車載装置を提案している。
【0008】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記車両の周辺情報を取得する車両周辺情報取得部を備え、前記制御部は、前記車両の周辺に人がいるか否かに応じて、前記報知部の報知態様を制御することを特徴とする車載装置を提案している。
【0009】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記車両の周辺情報を取得する車両周辺情報取得部を備え、前記制御部は、前記車両の周辺に人がいる場合には、前記報知部に前記車両の周辺の携帯端末に対して、前記置き去りが発生していることを知らせる情報を送信させることを特徴とする車載装置を提案している。
【0010】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記制御部は、前記車室内の温度情報を含む情報により、前記幼児に緊急を要する事態が発生していると判断した場合には、前記報知部に対して、SNSを通じて前記置き去りが発生していることを知らせる報知を実行させることを特徴とする車載装置を提案している。
【0011】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記車両の周辺情報を取得する車両周辺情報取得部を備え、前記制御部は、前記車両の周辺に人がいない場合には、前記報知部の報知態様を制御する温度を、前記車室内の温度が前記車両の周辺に人がいる場合よりも低くすることを特徴とする車載装置を提案している。
【0012】
形態6;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、緊急通報センターを含む車外に警報を報知する報知部と、を備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、車両の駐車状態を検知する駐車状態検知部と、車室内の状況を検知する車室内状況検知部と、チャイルドシートに設けられたセンサからの信号により、幼児の存在と車室内における幼児の位置情報とを検知する幼児情報検知部と、前記車室内の温度情報を取得する温度情報取得部と、前記車室内に前記幼児が置き去りにされている場合に、車外に置き去りが発生していることを報知する報知部と、前記車両が前記駐車状態である場合に、前記車室内の温度情報を含む情報に応じて、前記報知部の報知態様を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする車載装置を提案している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、駐車した車内に置き去りにされた幼児を迅速に発見し、早急な緊急対応を図り、幼児の安全を確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車載装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るシートの構成を例示する図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るシートへの給電構造を例示する図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る車載装置の処理フロー図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る車載装置の構成を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る車載装置の処理フロー図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係る車載装置の構成を示す図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る車載装置の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
図1から
図4を用いて、本実施形態に係る車載装置1について説明する。
【0016】
<車載装置1の構成>
本実施形態に係る車載装置1は、
図1に示すように、プロセッサ100と、メモリ200と、を含んで構成されている。
【0017】
プロセッサ100は、駐車中の車室内に置き去りにされた幼児の存在を的確に把握し、早急な緊急対応を図り、幼児の安全を確保する処理を実行する。
なお、各処理の詳細については、後述する。
【0018】
メモリ200は、ROM(Read Only Memory)あるいはRAM(Random Access Memory) 等から構成され、プログラムや各種データを保存、格納する。
メモリ200は、本実施形態においては、記憶部210を備え、例えば、制御プログラムや検知あるいは取得された様々なデータ等を保存、格納する。
【0019】
<プロセッサ100の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る車載装置1のプロセッサ100は、駐車状態検知部110と、車室内状況検知部120と、幼児情報検知部130と、温度情報取得部140と、車両周辺情報取得部150と、報知部160と、制御部170と、を含んで構成されている。
【0020】
駐車状態検知部110は、車両の駐車状態を検知する。
駐車状態検知部110は、例えば、シフトセンサ300からのセンシング信号によりシフトポジションがパーキングポジションであるか否かを検知することにより、車両が駐車状態であるか否かを検知する。
駐車状態検知部110は、バスラインBLを介して、検知結果を後述する制御部170に出力する。
【0021】
車室内状況検知部120は、車室内の状況を検知する。
車室内状況検知部120は、例えば、乗員監視装置400から得られる車室内の画像情報から、車室内における乗員を検知する。
車室内状況検知部120は、バスラインBLを介して、検知結果を後述する制御部170に出力する。
【0022】
幼児情報検知部130は、チャイルドシートに設けられたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号により、幼児の存在と車室内における幼児の位置情報とを検知する。
図2に示すように、センサ11a、11b、12a、12b、13a、13bは、例えば、幼児IFがチャイルドシート10に着座した状態における幼児IFの頭部、胸部、座骨部に対応する頭部用センサ11a、11bと、胸部用センサ12a、12bと、座骨部用センサ13a、13bと、からなる。
頭部用センサ11a、11bと、胸部用センサ12a、12bと、座骨部用センサ13a、13bとは、チャイルドシート10のシートバック10aおよび座面10bにおいて幼児IFと当接する面の内側に左右対称に設けられている。
また、チャイルドシート10の内部には、ECU14と近距離無線用アンテナ15が設けられており、ECU14は、例えば、近距離無線用アンテナ15を介して、頭部用センサ11a、11bと、胸部用センサ12a、12bと、座骨部用センサ13a、13bとからの出力信号を図示しない車載装置1の受信部に無線送信し、受信部は、バスラインBLを介して、頭部用センサ11a、11bと、胸部用センサ12a、12bと、座骨部用センサ13a、13bとからの出力信号を後述する制御部170に供給する。
また、チャイルドシート10の後部下側の車幅方向両端側には、
図3に示すように、ISOFixアンカー16が設けられている。
ISOFixアンカー16は、チャイルドシート10を車両シート上で車両後方側にスライドすると、車両シートのシートバック下部と座面の後方端に形成される空隙に設けられたアームガイド20を摺動し、ISOFixアンカー16の先端部に形成された凹部16aが車両側に設けられたアンカー21と嵌合することによりロックする。
また、ISOFixアンカー16がロック位置までスライドすると、先端部に設けられた上側凸部16bが車両側に設けられた電極30に当接する。
電極30は、陽極30aと陰極30bとが対をなし、それぞれバッテリーの陽極あるいは陰極に接続されており、ECU14および頭部用センサ11a、11b、胸部用センサ12a、12b、座骨部用センサ13a、13bに電源を供給する。
なお、頭部用センサ11a、11bと、胸部用センサ12a、12bと、座骨部用センサ13a、13bとは、ラバーセンサであることが好ましく、近距離無線は、Bluetooth(登録商標)であることが好ましい。
幼児情報検知部130は、例えば、シフトセンサ300からのセンシング信号によりシフトポジションがパーキングポジションであり、エアコンが停止しており、ISOFixからの給電があり、頭部用センサ11a、11bあるいは、胸部用センサ12a、12b、あるいは座骨部用センサ13a、13bにより荷重が検出された場合に、検知処理が開始される。
また、幼児情報検知部130は、例えば、シフトセンサ300からのセンシング信号からシフトポジションがパーキングポジションであり、エアコンが停止しており、ISOFixからの給電があり、頭部用センサ11a、11bあるいは、胸部用センサ12a、12bあるいは、座骨部用センサ13a、13bにより荷重が検出されない場合には、15分間、検知処理を行い、その後、検知処理を停止するようにしてもよい。
また、幼児情報検知部130は、例えば、シフトセンサ300からのセンシング信号からシフトポジションがパーキングポジションであり、エアコンが停止しており、ISOFixからの給電があり、頭部用センサ11a、11bあるいは、胸部用センサ12a、12bあるいは、座骨部用センサ13a、13bにより5分間、重心移動の検出処理を実行し、重心移動を検出できなかった場合には、15分後に、検知処理を停止してもよい。
【0023】
温度情報取得部140は、車室内の温度情報を取得する。
温度情報取得部140は、例えば、温度センサ600であり、取得された温度情報は、バスラインBLを介して、後述する制御部170に出力される。
【0024】
車両周辺情報取得部150は、車両の周辺情報を取得する。
車両周辺情報取得部150は、例えば、ADASセンサ700から、車両周辺の人の数や駐車場所の詳細な地図データ、日差しの強さ等の天候情報等を取得する。
車両周辺情報取得部150は、バスラインBLを介して、検知結果を後述する制御部170に出力する。
【0025】
報知部160は、車室内に幼児IFが置き去りにされている場合に、車外に置き去りが発生していることを報知する。
報知部160の報知先としては、例えば、携帯端末800あるいは緊急通報センター900を含む車外を例示することができる。
報知部160は、音声あるいは光等で、車外に警報を報知する。
また、報知部160は、車両の周辺に人がいる場合には、幼児情報検知部130において、例えば、胸部用センサ12a、12bからの信号出力のタイミングに応じて、つまり、幼児IFの心拍に応じた音声報知あるいは点滅報知を行う。
【0026】
制御部170は、図示しないROM(Random Access Memory)に格納された制御プログラムに基づいて、車載装置1全体の動作を制御する。
制御部170は、本実施形態においては、例えば、車両が駐車状態である場合に、車室内の温度情報を含む情報に応じて、報知部160の報知態様を制御する。
制御部170は、例えば、車両の周辺に人がいる場合には、幼児情報検知部130において検出されたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号出力のタイミングに応じて、報知部160に対して、音声報知あるいは点滅報知を実行するよう制御する。
制御部170は、例えば、車両が駐車状態であり、車室内に幼児IFが置き去りにされている場合に、車両周辺の人通りが多く、気温が高く、日差しが強い場合には、報知部160における警報強度を高めるために、報知態様を変更する。
制御部170は、例えば、上記のような場合には、車両のハザードによる警報、緊急通報センター900への通報を実行するように、報知部160を制御する。
また、制御部170は、車両周囲において、特定のアプリをダウンロードしている携帯端末に対して、胸部用センサ12a、12bからの信号出力のタイミングに応じて、つまり、幼児IFの心拍に応じた音声報知あるいは点滅報知等を実行するように、報知部160を制御する。
また、制御部170は、車両の周辺に人がいない場合には、報知部160の作動閾値を低下させるよう制御する。
【0027】
<車載装置1の処理>
図4を用いて、本実施形態に係る車載装置1の処理について説明する。
【0028】
駐車状態検知部110は、シフトセンサ300からのセンシング信号からシフトポジションがパーキングポジションであるか否かを検知することにより、車両が駐車状態であるか否かを検知する(ステップS110)。
制御部170は、駐車状態検知部110からシフトポジションがパーキングポジションである旨の検知情報を入力できていない場合(ステップS110の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0029】
一方で、制御部170は、駐車状態検知部110からシフトポジションがパーキングポジションである旨の検知情報を入力した場合(ステップS110の「YES」)には、車室内状況検知部120からの情報により、車室内の状況を検知する処理を実行する(ステップS120)。
【0030】
制御部170は、車室内状況検知処理により、チャイルドシート10は確認できるが、車室内に他の乗員を確認できない場合には、幼児情報検知部130を作動させ、チャイルドシート10に設けられたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号により、幼児の存在と車室内における幼児IFの位置情報とを検知する幼児状態検知処理を実行する(ステップS130)。
【0031】
制御部170は、幼児状態検知処理により、幼児IFの存在と車室内における幼児IFの位置情報とを検知した場合には、温度情報取得部140から車室内の温度情報を取得する温度情報取得処理を実行する(ステップS140)。
【0032】
制御部170は、温度情報取得処理により、車室内の温度情報を取得した場合には、車両周辺情報取得部150から車両の周辺情報を取得する車両情報取得処理を実行する(ステップS150)。
【0033】
制御部170は、車両情報取得処理により、例えば、車両周辺に人がいないと判断する場合には、報知部160に対して、緊急通報センター900への通報を指示するとともに、車両のハザードによる警報を実行させる。
一方で、車両情報取得処理により、例えば、車両周辺に人がいると判断する場合には、報知部160に対して、車両周囲において、乗員の携帯端末を含む特定のアプリをダウンロードしている携帯端末に胸部用センサ12a、12bからの信号出力のタイミングに応じて、つまり、幼児IFの心拍に応じた音声報知あるいは点滅報知等を実行させる。
【0034】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車載装置1は、車両の駐車状態を検知する駐車状態検知部110と、車室内の状況を検知する車室内状況検知部120と、チャイルドシート10に設けられたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号により、幼児IFの存在と車室内における幼児IFの位置情報とを検知する幼児情報検知部130と、車室内の温度情報を取得する温度情報取得部140と、車室内に幼児IFが置き去りにされている場合に、車外に置き去りが発生していることを報知する報知部160と、車両が駐車状態である場合に、車室内の温度情報を含む情報に応じて、報知部160の報知態様を制御する制御部170と、を備えている。
つまり、制御部170は、駐車状態検知部110と、車室内状況検知部120と、幼児情報検知部130と、により、車両が駐車状態であり、車室内に幼児IFが置き去りにされている状況を把握する。
そのため、駐車中の車内に置き去りにされた幼児IFの存在を迅速に発見することができる。
また、制御部170は、駐車中の車内に置き去りにされた幼児IFがいる場合に、車室内の温度情報を含む情報に応じて、報知部160の報知態様を制御する。
つまり、制御部170は、駐車中の車内に置き去りにされた幼児IFがいる場合に、その状況の切迫度合いに応じて、報知部160の報知態様を制御する。
そのため、幼児IFに対して早急な緊急対応を図り、幼児IFの安全を確保することができる。
【0035】
本実施形態に係る車載装置1は、車両の周辺情報を取得する車両周辺情報取得部150を備え、センサ11a、11b、12a、12b、13a、13bは、幼児IFがチャイルドシート10に着座した状態における幼児IFの少なくとも胸部に対応するシートバック10aおよび座面10bにおいて幼児IFと当接する面の内側に左右対称に設けられ、報知部160は、音声あるいは光で警報を報知し、制御部170は、車両の周辺に人がいる場合には、幼児情報検知部130において検出されたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号出力のタイミングに応じて、音声報知あるいは点滅報知を制御する。
つまり、センサ11a、11b、12a、12b、13a、13bは、幼児IFがチャイルドシート10に着座した状態における幼児IFの少なくとも胸部に対して、シートバック10aおよび座面10bに当接する面の内側に左右対称に設けられている。
そのため、幼児IFの心拍を間欠的に捉えることができる。
また、制御部170は、車両の周辺に人がいる場合には、幼児情報検知部130において検出されたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号出力のタイミングに応じて、音声報知あるいは点滅報知するよう報知部160に対して、制御する。
つまり、制御部170は、車両の周辺に乗員を含む人がいる場合には、幼児IFの心拍のタイミングに応じて、音声報知あるいは点滅報知するよう報知部160に対して、制御する。
そのため、音声報知あるいは点滅報知の頻度および頻度の変化により、車両の周辺の乗員を含む人に対して、状況の切迫度をリアルに伝えることができる。
【0036】
本実施形態に係る車載装置1の制御部170は、車両の周辺に人がいない場合には、報知部160の作動閾値を低下させる。
そのため、幼児IFに緊急を要する事態になる前に、最善の処理を講ずることができる。
【0037】
<第2の実施形態>
図5から
図6を用いて、本実施形態に係る車載装置1Aについて説明する。
【0038】
<プロセッサ100Aの構成>
図5に示すように、本実施形態に係る車載装置1Aのプロセッサ100Aは、駐車状態検知部110と、車室内状況検知部120と、幼児情報検知部130と、温度情報取得部140と、車両周辺情報取得部150と、報知部160と、制御部170Aと、を含んで構成されている。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することからその詳細な説明は、省略する。
【0039】
制御部170Aは、図示しないROM(Random Access Memory)に格納された制御プログラムに基づいて、車載装置1A全体の動作を制御する。
制御部170Aは、本実施形態においては、例えば、車両の周辺に人がいる場合には、報知部160に車両の周辺の携帯端末に対して、泣き声の音声を送信させる。
制御部170Aは、例えば、駐車中の車内に置き去りにされた幼児IFがおり、ドアがロックされている場合には、ドアロックの開始から10分間は、ドアロックが解除されるまで、車両周囲において、特定のアプリをダウンロードしている携帯端末に対して、幼児IFの泣き声の音声を送信させる。
また、制御部170Aは、車両の周辺に人がいない場合には、報知部160の作動閾値を低下させるよう制御する。
【0040】
<車載装置1Aの処理>
図6を用いて、本実施形態に係る車載装置1Aの処理について説明する。
【0041】
駐車状態検知部110は、シフトセンサ300からのセンシング信号からシフトポジションがパーキングポジションであるか否かを検知することにより、車両が駐車状態であるか否かを検知する(ステップS110)。
制御部170Aは、駐車状態検知部110からシフトポジションがパーキングポジションである旨の検知情報を入力できていない場合(ステップS110の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0042】
一方で、制御部170Aは、駐車状態検知部110からシフトポジションがパーキングポジションである旨の検知情報を入力した場合(ステップS110の「YES」)には、車室内状況検知部120からの情報により、車室内の状況を検知する処理を実行する(ステップS120)。
【0043】
制御部170Aは、車室内状況検知処理により、チャイルドシート10は確認できるが、車室内に他の乗員を確認できない場合には、幼児情報検知部130を作動させ、チャイルドシート10に設けられたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号により、幼児IFの存在と車室内における幼児IFの位置情報とを検知する幼児状態検知処理を実行する(ステップS130)。
【0044】
制御部170Aは、幼児状態検知処理により、幼児IFの存在と車室内における幼児IFの位置情報とを検知した場合には、温度情報取得部140から車室内の温度情報を取得する温度情報取得処理を実行する(ステップS140)。
【0045】
制御部170Aは、温度情報取得処理により、車室内の温度情報を取得した場合には、車両周辺情報取得部150から車両の周辺情報を取得する車両情報取得処理を実行する(ステップS150)。
【0046】
制御部170Aは、車両情報取得処理により、例えば、車両周辺に人がいないと判断する場合には、報知部160に対して、緊急通報センター900への通報を指示するとともに、車両のハザードによる警報を実行させる。
一方で、車両情報取得処理により、例えば、車両周辺に人がいると判断する場合には、報知部160に車両の周辺の携帯端末800に対して、泣き声の音声を送信させる。
【0047】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車載装置1Aの制御部170Aは、車両の周辺に人がいる場合には、報知部160に車両の周辺の携帯端末に対して、泣き声の音声を送信させる。
つまり、単純な電子音ではなく、泣き声の音声で報知させることによって、車両周囲において、特定のアプリをダウンロードしている携帯端末800を所持する人に対して、幼児IFがおかれた状況を想起させる。
そのため、駐車した車内に置き去りにされた幼児IFを迅速に発見し、早急な緊急対応を図り、幼児IFの安全を確保することができる。
【0048】
<第3の実施形態>
図7から
図8を用いて、本実施形態に係る車載装置1Bについて説明する。
【0049】
<プロセッサ100Bの構成>
図7に示すように、本実施形態に係る車載装置1Bのプロセッサ100Bは、駐車状態検知部110と、車室内状況検知部120と、幼児情報検知部130と、温度情報取得部140と、車両周辺情報取得部150と、報知部160と、制御部170Bと、を含んで構成されている。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することからその詳細な説明は、省略する。
【0050】
制御部170Bは、図示しないROM(Random Access Memory)に格納された制御プログラムに基づいて、車載装置1B全体の動作を制御する。
制御部170Bは、本実施形態においては、例えば、車室内の温度情報を含む情報により、幼児IFに緊急を要する事態が発生していると判断した場合には、報知部160に対して、SNSによる異常報知を実行させる。
制御部170Bは、例えば、駐車中の車内に置き去りにされた幼児IFがおり、ドアがロックされている場合には、ドアロックの開始から15分間は、SNSが既読になるまで、直近のSNS既読者に対して、報知部160にSNSによる異常報知を実行させる。
また、制御部170Bは、車両の周辺に人がいない場合には、報知部160の作動閾値を低下させるよう制御する。
【0051】
<車載装置1Bの処理>
図8を用いて、本実施形態に係る車載装置1Bの処理について説明する。
【0052】
駐車状態検知部110は、シフトセンサ300からのセンシング信号からシフトポジションがパーキングポジションであるか否かを検知することにより、車両が駐車状態であるか否かを検知する(ステップS110)。
制御部170Bは、駐車状態検知部110からシフトポジションがパーキングポジションである旨の検知情報を入力できていない場合(ステップS110の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0053】
一方で、制御部170Bは、駐車状態検知部110からシフトポジションがパーキングポジションである旨の検知情報を入力した場合(ステップS110の「YES」)には、車室内状況検知部120からの情報により、車室内の状況を検知する処理を実行する(ステップS120)。
【0054】
制御部170Bは、車室内状況検知処理により、チャイルドシート10は確認できるが、車室内に他の乗員を確認できない場合には、幼児情報検知部130を作動させ、チャイルドシート10に設けられたセンサ11a、11b、12a、12b、13a、13bからの信号により、幼児IFの存在と車室内における幼児IFの位置情報とを検知する幼児状態検知処理を実行する(ステップS130)。
【0055】
制御部170Bは、幼児状態検知処理により、幼児IFの存在と車室内における幼児IFの位置情報とを検知した場合には、温度情報取得部140から車室内の温度情報を取得する温度情報取得処理を実行する(ステップS140)。
【0056】
制御部170Bは、温度情報取得処理により、車室内の温度情報を取得した場合には、車両周辺情報取得部150から車両の周辺情報を取得する車両情報取得処理を実行する(ステップS150)。
【0057】
制御部170Bは、車両情報取得処理により、例えば、車両周辺に人がいないと判断する場合には、報知部160に対して、緊急通報センター900への通報を指示するとともに、車両のハザードによる警報を実行させる。
一方で、車両情報取得処理により、例えば、車両周辺に人がいると判断する場合には、報知部160にSNSによる異常報知を実行させる。
【0058】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車載装置1Bの制御部170Bは、車室内の温度情報を含む情報により、幼児IFに緊急を要する事態が発生していると判断した場合には、報知部160に対して、SNSによる異常報知を実行させる。
つまり、SNSによる異常報知を行うことにより、SNS既読者に対して、幼児IFが緊急を要する事態に陥っていることを認知させるとともに、SNS既読者が車両の周辺にいない場合には、情報の拡散を期待することができる。
そのため、駐車した車内に置き去りにされた幼児IFを迅速に発見し、早急な緊急対応を図り、幼児IFの安全を確保することができる。
【0059】
なお、プロセッサ100、100A、100Bの処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをプロセッサ100、100A、100Bに読み込ませ、実行することによって本発明の車載装置1、1A、1Bを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0060】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0061】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0062】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1;車載装置
1A;車載装置
1B;車載装置
10;チャイルドシート
10a;シートバック
10b;座面
11a、11b;頭部用センサ
12a、12b;胸部用センサ
13a、13b;座骨部用センサ
14;ECU
15;近距離無線用アンテナ
16;ISOFixアンカー
16a;凹部
16b;凸部
20;アームガイド
21;アンカー
30;電極
100;プロセッサ
100A;プロセッサ
100B;プロセッサ
110;駐車状態検知部
120;車室内状況検知部
130;幼児情報検知部
140;温度情報取得部
150;車両周辺情報取得部
160;報知部
170;制御部
170A;制御部
170B;制御部
200;メモリ
210;記憶部
IF;幼児