(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140485
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両のすれ違い調停システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051641
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】川谷 健太
(72)【発明者】
【氏名】三国 司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】市川 駿
(72)【発明者】
【氏名】山中 正貴
(72)【発明者】
【氏名】坂田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐之
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF01
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL04
5H181LL11
(57)【要約】
【課題】道幅が狭くなっている通行路において、スムーズなすれ違い運転を支援する。
【解決手段】ドライバごとの運転スキルを評価する運転スキル評価部110と、ドライバごとの体調を判定する体調判定部120と、ドライバごとに狭路における通過順序を提案するすれ違い順序提案部150と、対向車両と通信する通信部160と、を備え、すれ違い順序提案部150は、運転スキル評価部110による評価結果および体調判定部120による体調の判定結果を含む情報に基づいて通過順序を提案し、通信部160は、対向車両に提案する通過順序を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバごとの運転スキルを評価する運転スキル評価部と、
前記ドライバごとの体調を判定する体調判定部と、
前記ドライバごとに狭路における通過順序を提案するすれ違い順序提案部と、
対向車両と通信する通信部と、
を備え、
前記すれ違い順序提案部は、前記運転スキル評価部による評価結果および前記体調判定部による体調の判定結果を含む情報に基づいて通過順序を提案し、
前記通信部は、前記対向車両に提案する前記通過順序を送信することを特徴とする車両のすれ違い調停システム。
【請求項2】
前記すれ違い順序提案部は、自車両および前記対向車両の車両情報を含めて、通過順序を提案することを特徴とする請求項1に記載の車両のすれ違い調停システム。
【請求項3】
車外情報を評価する車外情報評価部を備え、
前記すれ違い順序提案部は、前記車外情報の評価結果を含めて、通過順序を提案することを特徴とする請求項2に記載の車両のすれ違い調停システム。
【請求項4】
前記ドライバごとのスケジュール情報を評価するスケジュール情報評価部と、を備え、
前記すれ違い提案部は、前記スケジュール情報の評価結果を含めて、通過順序を提案することを特徴とする請求項3に記載の車両のすれ違い調停システム。
【請求項5】
1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、対向車両と通信する通信部と、
を備え、
前記1つまたは複数のプロセッサは、
ドライバごとの運転スキルを評価する運転スキル評価部と、
前記ドライバごとの体調を判定する体調判定部と、
前記ドライバごとに狭路における通過順序を提案するすれ違い順序提案部と、
を備え、
前記すれ違い順序提案部は、前記運転スキル評価部による評価結果および前記体調判定部による体調の判定結果を含む情報に基づいて通過順序を提案し、前記通信部に前記対向車両に対して、提案する前記通過順序を送信させることを特徴とする車両のすれ違い調停システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のすれ違い調停システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、道幅が狭い道や工事等により片側通行となっている狭路において、対向車両と対峙する場面で、一方の車両が強引に進行してきた場合には、他方の車両のドライバや乗員に恐怖心を与えることになる。
また、どちらが道を譲るのかをめぐって、双方の車両がにらみ合うような場面では、トラブルに発展する場合もある。
【0003】
上記のような問題を解決する手法として、一方の車両の運転者の運転技量と、他方の運転者の運転技量と、を評価する運転技量評価部と、運転技量評価部の評価に基づき、運転技量が高いと評価された運転者に車両を進行させる旨の案内を行い、運転技量が低いと評価された運転者に車両を待機させる旨の案内を行う運転案内部と、備える運転支援システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、運転者の運転技量と、他方の運転者の運転技量と、のみを評価し、運転技量が高いと評価された運転者に車両を進行させる旨の案内を行い、運転技量が低いと評価された運転者に車両を待機させる旨の案内を行っている。
そのため、運転技量以外の要因によって、狭路での運転が難しい場合等については、考慮されておらず、適切な案内ができない場合があるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、道幅が狭いあるいは道幅が狭くなっている走行路において、スムーズなすれ違い運転を支援する車両のすれ違い調停システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、ドライバごとの運転スキルを評価する運転スキル評価部と、前記ドライバごとの体調を判定する体調判定部と、前記ドライバごとに狭路における通過順序を提案するすれ違い順序提案部と、前記対向車両と通信する通信部と、を備え、前記すれ違い順序提案部は、前記運転スキル評価部による評価結果および前記体調判定部による体調の判定結果を含む情報に基づいて通過順序を提案し、前記通信部は、前記対向車両に提案する前記通過順序を送信することを特徴とする車両のすれ違い調停システムを提案している。
【0008】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記すれ違い順序提案部は、自車両および前記対向車両の車両情報を含めて、通過順序を提案することを特徴とする車両のすれ違い調停システムを提案している。
【0009】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車外情報を評価する車外情報評価部を備え、前記すれ違い順序提案部は、前記車外情報の評価結果を含めて、通過順序を提案することを特徴とする車両のすれ違い調停システムを提案している。
【0010】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ドライバごとのスケジュール情報を評価するスケジュール情報評価部と、を備え、前記すれ違い提案部は、前記スケジュール情報の評価結果を含めて、通過順序を提案することを特徴とする車両のすれ違い調停システムを提案している。
【0011】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、対向車両と通信する通信部と、を備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、ドライバごとの運転スキルを評価する運転スキル評価部と、前記ドライバごとの体調を判定する体調判定部と、前記ドライバに対向車両との通過順序を提案するすれ違い順序提案部と、を備え、前記すれ違い順序提案部は、前記運転スキル評価部による評価結果および前記体調判定部による体調の判定結果を含む情報に基づいて通過順序を提案し、前記通信部に前記対向車両に対して、提案する前記通過順序を送信させることを特徴とする車両のすれ違い調停システムを提案している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、道幅が狭いあるいは道幅が狭くなっている走行路において、スムーズなすれ違い運転を支援することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムにおける自車両の各パラメータと判定評価値および総合評定との関係を例示した図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムにおける対向車両の各パラメータと判定評価値および総合評定との関係を例示した図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムにおいて自車両に表示される提案内容を例示した図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムにおいて対向車両に表示される提案内容を例示した図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムにおいて自車両および対向車両により、提案内容に合意した場合に、自車両および対向車両に表示される表示内容を例示した図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムの処理フローを示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムの構成を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムにおける自車両の各パラメータと判定評価値および総合評定との関係を例示した図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムにおける対向車両の各パラメータと判定評価値および総合評定との関係を例示した図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る車両のすれ違い調停システムの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
図1から
図7を用いて、本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1について説明する。
【0015】
<車両のすれ違い調停システム1の構成>
本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1は、
図1に示すように、プロセッサ100と、メモリ200と、を含んで構成されている。
なお、以下では、自車両と対向車両とが同じ車両のすれ違い調停システム1を搭載しているものとして説明する。
また、以下では、自車両の処理を中心に説明する。
【0016】
プロセッサ100は、道幅が狭いあるいは道幅が狭くなっている狭路におけるすれ違い調停を実行する。
プロセッサ100は、本実施形態においては、例えば、狭路におけるすれ違い調停を実行するために、複数のパラメータに対する評価に基づく自車両および対向車両の総合評定により、それぞれのドライバに狭路における通過順序を提案する。
なお、各処理の詳細については、後述する。
【0017】
メモリ200は、ROM(Read Only Memory)あるいはRAM(Random Access Memory)等から構成され、プログラムや各種データを保存、格納する。
メモリ200は、本実施形態においては、記憶部210を備え、例えば、制御プログラムや各パラメータに関するデータあるいは、対向車両から受信したデータ、センサや機器から取得したデータ等を保存、格納する。
【0018】
<プロセッサ100の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1のプロセッサ100は、運転スキル評価部110と、体調判定部120と、車両情報評価部130と、車外情報評価部140と、すれ違い順序提案部150と、通信部160と、表示部170と、制御部180と、を含んで構成されている。
【0019】
運転スキル評価部110は、狭路をすれ違おうとする車両(自車両、対向車両)のドライバごとの運転スキルを評価する。
ここで、運転スキルとは、自車両のドライバに対する運転操作のスキルを定量的に表す情報である。
運転スキルは、例えば、5段階で表され、高い数値ほど運転スキルが高いことを示している。
また、運転スキルは、様々な観点で細分化されていてもよい。
具体的には、車両の前進、後退、転回、幅寄せ等の各種の運転操作ごとに運転スキルを設定してもよい。
また、運転スキルは、ドライバが自己申告により設定することができるようにしてもよい。
例えば、図示しない入出力部に、運転スキルを入力するための画面を表示し、入出力部を介してドライバからの運転スキル情報を取得するようにしてもよい。
また、運転スキル評価部110は、例えば、車車間通信により、対向車両から対向車両のドライバの運転スキル情報を取得する。
また、後述する制御部180は、通信部160を介して、運転スキル評価部110の評価結果を自車両のドライバの運転スキル情報として、対向車両に送信させる。
なお、後述する制御部180は、通信部160を介して、運転スキル評価部110の評価に用いた情報を自車両のドライバの運転スキル情報として、対向車両に送信させるようにしてもよい。
【0020】
体調判定部120は、ドライバごとの体調を判定する。
体調判定部120の判定は、例えば、5段階で表され、低い数値ほど体調が良くないことを示している。
体調判定の情報は、例えば、乗員監視装置300からの画像を解析して得られるドライバの挙動等の情報であってもよい。
また、例えば、ドライバが装着するスマートウォッチ等のバイタル情報を取得可能な機器から無線通信により取得したバイタル情報であってもよい。
また、体調判定部120は、例えば、車車間通信により、対向車両から対向車両のドライバのバイタル情報、画像情報を取得する。
また、後述する制御部180は、体調判定部120の判定結果を自車両のドライバの体調情報として、対向車両に送信させる。
なお、後述する制御部180は、通信部160を介して、体調判定部120の判定に用いた情報を自車両のドライバの体調情報として、対向車両に送信させるようにしてもよい。
【0021】
車両情報評価部130は、車両ごとの車幅情報等を含む車両情報を評価する。
車両情報評価部130の評価は、例えば、5段階で表され、低い数値ほど狭路のすれ違いに不利であることを示している。
また、車両情報評価部130は、例えば、車車間通信により、対向車両から対向車両の車両情報を取得する。
また、後述する制御部180は、車両情報評価部130の評価結果を自車両の車両情報として、対向車両に送信させる。
なお、後述する制御部180は、通信部160を介して、車両情報評価部130の評価に用いた情報を自車両の車両情報として、対向車両に送信させるようにしてもよい。
【0022】
車外情報評価部140は、例えば、撮像装置400から得られる自車両周辺の画像情報から車外環境を評価する。
ここで、車外情報とは、例えば、後続車両の台数あるいは、車両後方の交通環境等の情報である。
車外情報評価部140の評価は、例えば、5段階で表され、低い数値ほど狭路のすれ違いに不利であることを示している。
また、車外情報評価部140は、例えば、車車間通信により、対向車両から対向車両周辺の車外情報を取得する。
また、後述する制御部180は、車外情報評価部140の評価結果を自車両周辺の車外情報として、対向車両に送信させる。
なお、後述する制御部180は、通信部160を介して、車外情報評価部140の評価に用いた情報を自車両周辺の車外情報として、対向車両に送信させるようにしてもよい。
【0023】
すれ違い順序提案部150は、ドライバごとに狭路における通過順序を提案する。
すれ違い順序提案部150は、例えば、運転スキル評価部110による評価結果および体調判定部120による体調の判定結果を含む情報に基づいて、ドライバごとに通過順序を提案する。
また、すれ違い順序提案部150は、例えば、運転スキル評価部110による評価結果および体調判定部120による体調の判定結果に加えて、車両情報評価部130の評価結果を含めた情報に基づいて、ドライバごとに通過順序を提案する。
具体的には、すれ違い順序提案部150は、自車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、自車両の車両情報評価結果、自車両周辺の車外情報評価結果から総合評定を算出する。
同様に、すれ違い順序提案部150は、対向車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、対向車両の車両情報評価結果、対向車両周辺の車外情報評価結果から総合評定を算出する。
そして、すれ違い順序提案部150は、自車両の総合評定と対向車両の総合評定とに基づいて、自車両と対向車両とのすれ違い順序をドライバごとに提案する。
また、すれ違い順序提案部150は、例えば、運転スキル評価部110による評価結果、体調判定部120による体調の判定結果、車両情報評価部130の評価結果に加えて、車外情報評価部140の評価結果を含めた情報に基づいて通過順序を提案する。
図2に示すように、自車両のドライバの運転スキルの判定評価値が「3」、体調の判定評価値が「4」、自車両の車両情報の判定評価値が「3」、自車両周辺の車外情報の判定評価値が「4」で、総合評定が「3.5」であり、
図3に示すように、対向車両のドライバの運転スキルの判定評価値が「5」、体調の判定評価値が「3」、対向車両の車両情報の判定評価値が「3」、自車両周辺の車外情報の判定評価値が「5」で、総合評定が「4.0」である場合、すれ違い順序提案部150は、自車両のドライバに対して、「譲る」ように提案し、対向車両のドライバに対して、「先に行く」よう提案する。
なお、
図2、
図3では、各パラメータの判定評価値を単純平均して総合評定を求める例について示したが、特定のパラメータに重み付けをする加重平均等の他の算出方法で、総合評定を求めてもよい。
また、上記のように、
図2、
図3では、総合評定が低いドライバに対して、「譲る」提案をし、総合評定が高いドライバに対して、「先に行く」提案をすることを例示したが、総合評定が高いドライバに対して、「譲る」提案をし、総合評定が低いドライバに対して、「先に行く」提案をするようにしてもよい。
すれ違い順序提案部150の提案内容は、後述する制御部180に出力される。
【0024】
通信部160は、対向車両と車車間通信を行う。
通信部160は、例えば、対向車両からドライバの運転スキル情報の評価結果、体調情報の判定結果、車両情報の評価結果、車外情報の評価結果等を受信する。
また、通信部160は、例えば、制御部180の指示に基づいて、自車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、自車両の車両情報評価結果、自車両周辺の車外情報評価結果を対向車両に送信する。
【0025】
表示部170は、例えば、すれ違い順序提案部150の提案内容や自車両と対向車両のドライバ双方から提案内容に関して確認がとれた旨のテキスト情報を表示する。
表示部170は、
図2、
図3の例の場合には、
図4に示すように、「総合評定の結果、道を譲ることをご提案します。」とテキストを表示するとともに、自車両のドライバの同意を確認するための「OK」ボタンを表示する。
また、対向車両の表示部には、
図5に示すように、「総合評定の結果、先に行くことをご提案します。」とテキストを表示するとともに、対向車両のドライバの同意を確認するための「OK」ボタンを表示する。
さらに、自車両のドライバと対向車両のドライバとの双方の同意が確認できた場合には、自車両の表示部170および対向車両の表示部に、
図6に示すような「確認が取れました。」というメッセージを表示するとともに、その下部に同意内容を表示する。
【0026】
制御部180は、図示しないROM(Random Access Memory)に格納された制御プログラムに基づいて、車両のすれ違い調停システム1全体の動作を制御する。
制御部180は、本実施形態においては、例えば、情報の取得を契機に、運転スキル評価部110、体調判定部120、車両情報評価部130、車外情報評価部140を作動させ、通信部160に対して、例えば、自車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、自車両の車両情報評価結果、自車両周辺の車外情報評価結果を対向車両に送信させる。
また、制御部180は、通信部160に対して、例えば、すれ違い順序提案部150の提案内容を対向車両に送信させる。
【0027】
<車両のすれ違い調停システム1の処理>
図7を用いて、本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1の処理について説明する。
【0028】
制御部180は、自車両前方の撮像画像から自車両前方に狭路が存在するか否かを判定する(ステップS110)。
制御部180は、自車両前方の撮像画像から自車両前方に狭路が存在しないと判定する場合(ステップS110の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0029】
制御部180は、自車両前方の撮像画像から自車両前方に狭路が存在すると判定する場合(ステップS110の「YES」)には、狭路に対向車両が存在するか否かを判定する(ステップS120)。
制御部180は、狭路に対向車両が存在しないと判定する場合(ステップS120の「NO」)には、処理をステップS110に戻して、待機モードに移行する。
【0030】
制御部180は、狭路に対向車両が存在すると判定する場合(ステップS120の「YES」)には、運転スキル評価部110、体調判定部120、車両情報評価部130、車外情報評価部140を作動させて評価判定処理を実行させる(ステップS130)。
【0031】
すれ違い順序提案部150は、自車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、自車両の車両情報評価結果、自車両周辺の車外情報評価結果から総合評定を算出する。
同様に、すれ違い順序提案部150は、対向車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、対向車両の車両情報評価結果、対向車両周辺の車外情報評価結果から総合評定を算出する(ステップS140)。
【0032】
すれ違い順序提案部150は、自車両の総合評定と対向車両の総合評定とに基づいて、自車両と対向車両とのすれ違い順序を提案する。
具体的には、制御部180を介して、自車両に対しては、
図4に示すようなメッセージを表示させ、対向車両に対しては、
図5に示すようなメッセージを表示させ、自車両のドライバと対向車両のドライバとの双方の同意が確認できた場合には、自車両の表示部170および対向車両の表示部に、
図6に示すようなメッセージを表示させて処理を終了する(ステップS150)。
【0033】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1は、ドライバごとの運転スキルを評価する運転スキル評価部110と、ドライバごとの体調を判定する体調判定部120と、ドライバごとに狭路における通過順序を提案するすれ違い順序提案部150と、対向車両と通信する通信部160と、を備え、すれ違い順序提案部150は、運転スキル評価部110による評価結果および体調判定部120による体調の判定結果を含む情報に基づいて通過順序を提案し、通信部160は、対向車両に提案する通過順序を送信する。
つまり、すれ違い順序提案部150は、ドライバごとの運転スキルを評価する運転スキル評価部110による評価結果およびドライバごとの体調を判定する体調判定部120による体調の判定結果を含む情報に基づいて通過順序を提案し、通信部160は、対向車両に提案する通過順序を送信する。
すなわち、すれ違い順序提案部150は、ドライバごとの運転スキルだけではなく、体調も考慮して、すれ違い順序を提案する。
そのため、運転スキルが高いドライバであっても体調が思わしくない場合には、過度なプレッシャーを受けることなく、無理をせず、狭路を通過することができる。
また、運転スキルが低いドライバも、道を譲る、あるいは、先に行ってもらうという同意が取れていることにより、安心して狭路を通過することができる。
【0034】
本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1において、すれ違い順序提案部150は、さらに、自車両および対向車両の車両情報を含めて、通過順序を提案する。
そのため、運転スキルが高いドライバであっても、例えば、車幅が広い等の車両が狭路の通過には不利な場合には、過度なプレッシャーを受けることなく、無理をせず、狭路を通過することができる。
また、運転スキルが低いドライバも、車両情報を含めた調停により、道を譲る、あるいは、先に行ってもらうという同意が取れていることから、安心して狭路を通過することができる。
【0035】
本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1において、すれ違い順序提案部150は、さらに、車外情報の評価結果を含めて、通過順序を提案する。
つまり、例えば、すれ違い順序の提案において、「道を譲る」と案内された場合であっても、車両が狭路の入り口付近に停車しており、後続車が複数存在する場合には、直ちに、「道を譲る」ことができない場合がある。
しかしながら、すれ違い順序提案部150は、さらに、車外情報の評価結果を含めて、通過順序を提案することにより、スムーズなすれ違い走行を行うことができる。
【0036】
<第2の実施形態>
図8から
図11を用いて、本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1Aについて説明する。
【0037】
<プロセッサ100Aの構成>
図8に示すように、本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1Aのプロセッサ100Aは、運転スキル評価部110と、体調判定部120と、車両情報評価部130と、車外情報評価部140と、すれ違い順序提案部150Aと、通信部160と、表示部170と、制御部180Aと、スケジュール情報評価部190と、を含んで構成されている。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0038】
すれ違い順序提案部150Aは、後述するスケジュール情報評価部190の評価結果を含めて、通過順序を提案する。
すれ違い順序提案部150Aは、自車両の総合評定と対向車両の総合評定とに基づいて、自車両と対向車両とのすれ違い順序を提案する。
また、すれ違い順序提案部150Aは、例えば、運転スキル評価部110による評価結果、体調判定部120による体調の判定結果、車両情報評価部130による評価結果、車外情報評価部140の評価結果に加えて、後述するスケジュール情報評価部190の評価結果を含めた情報に基づいて通過順序を提案する。
例えば、
図9に示すように、自車両のドライバの運転スキルの判定評価値が「3」、体調の判定評価値が「4」、自車両の車両情報の判定評価値が「3」、自車両周辺の車外情報の判定評価値が「4」、スケジュール情報評価部190の評価結果が「5」で、総合評定が「3.8」であり、
図10に示すように、対向車両のドライバの運転スキルの判定評価値が「5」、体調の判定評価値が「3」、対向車両の車両情報の判定評価値が「3」、自車両周辺の車外情報の判定評価値が「5」、スケジュール情報評価部190の評価結果が「1」で、総合評定が「3.4」である場合、すれ違い順序提案部150Aは、自車両のドライバに対して、「先に行く」ように提案し、対向車両のドライバに対して、「譲る」よう提案する。
なお、上記においては、総合評定が低いドライバに対して、「譲る」提案をし、総合評定が高いドライバに対して、「先に行く」提案をすることを例示したが、総合評定が高いドライバに対して、「譲る」提案をし、総合評定が低いドライバに対して、「先に行く」提案をするようにしてもよい。
【0039】
スケジュール情報評価部190は、ドライバごとのスケジュール情報を評価する。
スケジュール情報評価部190は、例えば、自車両のドライバが所持するスマートフォンと通信接続し、スケジュール管理アプリやSNSの投稿内容等から、自車両のドライバのこれからのスケジュール情報を入手し、スケジュール情報を評価する。
また、スケジュール情報評価部190は、例えば、対向車両からドライバのスケジュール情報を入手し、スケジュール情報を評価する。
【0040】
制御部180Aは、図示しないROM(Random Access Memory)に格納された制御プログラムに基づいて、車両のすれ違い調停システム1A全体の動作を制御する。
制御部180Aは、本実施形態においては、例えば、情報の取得を契機に、運転スキル評価部110、体調判定部120、車両情報評価部130、車外情報評価部140、スケジュール情報評価部190を作動させ、通信部160に対して、例えば、自車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、自車両の車両情報評価結果、自車両周辺の車外情報評価結果を対向車両に送信させる。
また、制御部180Aは、通信部160に対して、例えば、すれ違い順序提案部150Aの提案内容を対向車両に送信させる。
【0041】
<車両のすれ違い調停システム1Aの処理>
図11を用いて、本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1Aの処理について説明する。
【0042】
制御部180Aは、自車両前方の撮像画像から自車両前方に狭路が存在するか否かを判定する(ステップS110)。
制御部180Aは、自車両前方の撮像画像から自車両前方に狭路が存在しないと判定する場合(ステップS110の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0043】
制御部180Aは、自車両前方の撮像画像から自車両前方に狭路が存在すると判定する場合(ステップS110の「YES」)には、狭路に対向車両が存在するか否かを判定する(ステップS120)。
制御部180Aは、狭路に対向車両が存在しないと判定する場合(ステップS120の「NO」)には、処理をステップS110に戻して、待機モードに移行する。
【0044】
制御部180Aは、狭路に対向車両が存在すると判定する場合(ステップS120の「YES」)には、運転スキル評価部110、体調判定部120、車両情報評価部130、車外情報評価部140、スケジュール情報評価部190を作動させて評価判定処理を実行させる(ステップS210)。
【0045】
すれ違い順序提案部150Aは、自車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、自車両の車両情報評価結果、自車両周辺の車外情報評価結果、スケジュール情報の評価結果から総合評定を算出する。
同様に、すれ違い順序提案部150Aは、対向車両のドライバの運転スキル評価結果、体調判定結果、対向車両の車両情報評価結果、対向車両周辺の車外情報評価結果、スケジュール情報の評価結果から総合評定を算出する(ステップS220)。
【0046】
すれ違い順序提案部150Aは、自車両の総合評定と対向車両の総合評定とに基づいて、自車両と対向車両とのすれ違い順序を提案する(ステップS150)。
【0047】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両のすれ違い調停システム1Aは、ドライバごとのスケジュール情報を評価するスケジュール情報評価部190と、を備え、すれ違い順序提案部150Aは、スケジュール情報の評価結果を含めて、通過順序を提案する。
つまり、すれ違い順序提案部150Aは、各ドライバの目的地到着までの時間的な切迫度合いを含めて、通過順序を提案する。
そのため、ドライバは、はやる気持ちを増幅させることなく、穏やかな気持ちで車両走行を行うことができる。
【0048】
<変形例1>
第1の実施形態および第2の実施形態においては、自車両と対向車両とが、同じ車両のすれ違い調停システム1Aを搭載しているとして説明したが、例えば、自車両が車両のすれ違い調停システム1Aを搭載し、対向車両が、自車両からの要請により、対向車両のドライバの運転スキル情報、体調情報、対向車両の車両情報、対向車両周辺の車外情報、対向車両のドライバのスケジュール情報等を自車両に送信する機能と、自車両のすれ違い順序提案部150、150Aからの提案内容を受信し、受信情報を表示あるいは通知する機能とを備えるようにしてもよい。
【0049】
<変形例2>
第1の実施形態および第2の実施形態においては、自車両と対向車両とが、同じ車両のすれ違い調停システム1Aを搭載しているとして説明したが、例えば、サーバが自車両および対向車両からドライバの運転スキル情報、体調情報、車両情報、自車両および対向車両周辺の車外情報、ドライバのスケジュール情報等を取得し、評価して、自車両および対向車両に提案内容を送信するようにしてもよい。
【0050】
なお、プロセッサ100の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをプロセッサ100に読み込ませ、実行することによって本発明の画像処理装置1を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0051】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0052】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0053】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1;車両のすれ違い調停システム
1A;車両のすれ違い調停システム
100;プロセッサ
100A;プロセッサ
110;運転スキル評価部
120;体調判定部
130;車両情報評価部
140;車外情報評価部
150;すれ違い順序提案部
150A;すれ違い順序提案部
160;通信部
170;表示部
180;制御部
180A;制御部
190;スケジュール情報評価部
200;メモリ
210;記憶部
300;乗員監視装置
400;センサ