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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140508
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/02 20060101AFI20241003BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A47L9/02 D
A47L9/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051671
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】井上 幹允
(72)【発明者】
【氏名】藤田 孝一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 理基
(72)【発明者】
【氏名】裏 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】岸本 紘明
(72)【発明者】
【氏名】重藤 元暢
(72)【発明者】
【氏名】土屋 武士
【テーマコード(参考)】
3B057
3B061
【Fターム(参考)】
3B057DA00
3B061AA04
3B061AA06
3B061AA13
(57)【要約】
【課題】ミストの生成量を調整可能な掃除機を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源を内蔵した掃除機本体と、吸引源の吸引力により塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間を形成しているとともに床面上を移動可能に構成されたノズルケースと、液体を貯留する貯液部と、貯液部内の液体からミストを生成するミスト生成部と、ミスト生成部からのミストの生成量を調整するミスト調整部と、を備えている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、
前記吸引源の吸引力により塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間を形成しているとともに床面上を移動可能に構成されたノズルケースと、
液体を貯留する貯液部と、
前記貯液部内の液体からミストを生成するミスト生成部と、
前記ミスト生成部によるミストの生成量を調整するミスト調整部と、を備え、
前記ミスト生成部は、前記貯液部に設けられた開口を塞ぐように設けられた振動膜と、前記貯液部内の液体を流動させるように前記振動膜を振動させる振動発生部と、を有しており、
前記振動膜には、前記振動膜が静止しているときに液体を通過させない大きさを有している一方で、前記振動膜が振動しているときに液体を通過させてミストを前記ノズルケースの周囲に放出する複数の放出孔が形成されており、
前記ミスト調整部は、前記振動膜の振幅を変更することにより、前記複数の放出孔を通過した液体がミストになって前記貯液部の外に放出される量を調整可能に構成されている、掃除機。
【請求項2】
前記吸込空間内に配置されて床面に接触しながら回転できるように前記ノズルケースに保持されたブラシローラを更に備え、
前記貯液部には、液体として水が貯留され、
前記ブラシローラは、前記ノズルケースによって回転可能に保持されたローラ本体と、前記ローラ本体の外周面から突出して床面に接触する親水性のブラシと、を有している、請求項1に記載の掃除機。
【請求項3】
湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備え、
前記ミスト調整部は、前記情報取得部が取得した前記湿度情報の湿度が所定の下限値を下回っているときには、前記下限値を上回っているときよりも前記振動膜の振幅を大きくするように構成されている、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項4】
湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備え、
前記ミスト調整部は、前記情報取得部が取得した前記湿度情報の湿度が所定の上限値を上回っているときには、前記上限値を下回っているときよりも前記振動膜の振幅を小さくするように構成されている、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項5】
湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備え、
前記ミスト調整部は、前記情報取得部が取得した前記湿度情報の湿度が高ければ高いほど前記振動膜の振幅を小さくするように構成されている、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項6】
床面の種類を検出する床面検出部を更に備え、
前記ミスト調整部は、前記床面検出部が検出した床面の種類が、第1種の床面よりも吸湿性の高い第2種の床面である場合には、前記床面検出部が検出した床面の種類が前記第1種の床面であるときよりも前記振動膜の振幅を小さくするように構成されている、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項7】
塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、
前記吸引源の吸引力により塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間を形成しているとともに床面上を移動可能に構成されたノズルケースと、前記吸込空間内に配置されて床面に接触しながら回転できるように前記ノズルケースに保持されたブラシローラと、を有している吸込ノズルと、
液体を貯留する貯液部と、
前記貯液部内の液体からミストを生成するミスト生成部と、
前記ミスト生成部によるミストの生成量を調整するミスト調整部と、を備え、
前記ミスト生成部は、前記貯液部に設けられた開口を塞ぐように設けられた振動膜と、前記貯液部内の液体を流動させるように前記振動膜を振動させる振動発生部と、を有しており、
前記振動膜には、前記振動膜が静止しているときに液体を通過させない大きさを有している一方で、前記振動膜が振動しているときに液体をさせてミストを前記吸込空間内に放出する複数の放出孔が形成されており、
前記ミスト調整部は、前記振動膜の振幅を変更することにより、前記複数の放出孔を通過した液体がミストになって前記貯液部の外に放出される量を調整可能に構成されている、掃除機。
【請求項8】
前記貯液部には、液体として水が貯留され、
前記ブラシローラは、前記ノズルケースによって回転可能に保持されたローラ本体と、前記ローラ本体の外周面から突出して床面に接触する親水性のブラシと、を有している、請求項7に記載の掃除機。
【請求項9】
湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備え、
前記ミスト調整部は、前記湿度センサが検出した湿度が所定の上限値を上回っているときには、前記上限値を下回っているときよりも前記振動膜の振幅を小さくするように構成されている、請求項7又は8に記載の掃除機。
【請求項10】
湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備え、
前記ミスト調整部は、前記情報取得部が取得した湿度が高ければ高いほど前記振動膜の振幅を小さくするように構成されている、請求項7又は8に記載の掃除機。
【請求項11】
前記振動発生部は、交流電圧の印加により伸縮する圧電素子と、前記圧電素子に交流電圧を印加する電圧印加部と、を有しており、
前記圧電素子は、前記圧電素子の伸縮により前記振動膜が振動するように前記振動膜に接続されている、請求項1又は7に記載の掃除機。
【請求項12】
前記ミスト調整部は、前記電圧印加部が印加する交流電圧の振幅又は周波数を変更可能に構成されている、請求項11に記載の掃除機。
【請求項13】
前記貯液部内の液体の温度を検出する温度センサを更に備え、
前記ミスト調整部は、前記温度センサが検出した温度が所定の値を下回っているときには、前記所定の値を上回っているときよりも前記振動膜の振幅が大きくするように構成されている、請求項1又は7に記載の掃除機。
【請求項14】
使用者によって操作される操作部を更に備え、
前記ミスト生成部は、前記操作部が操作されると作動するように構成されており、
前記ミスト調整部は、前記操作部が操作された操作時刻よりも前記操作時刻から所定の時間が経過した後において前記振動膜の振幅が小さくなるように、前記振動膜の振幅を変更する、請求項2又は7に記載の掃除機。
【請求項15】
使用者によって操作される操作部を更に備え、
前記ミスト生成部は、前記操作部が操作されると作動するように構成されており、
前記ミスト調整部は、前記操作部が操作された操作時刻から前記振動膜の振幅が低減していくように、前記振動膜の振幅を変更する、請求項2又は7に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミストを放出しながら塵埃を吸引する掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図24に示す掃除機300が開示されている。この掃除機300は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源311を内蔵した掃除機本体310と、掃除機本体310から延設された吸引管320と、吸引管320の先端に取り付けられて床面上を移動する吸込ノズル330と、を備えている。吸込ノズル330は、吸引源311の吸引力により塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間を形成している。吸込ノズル330の上面には、ミストを発生するミスト発生部340が搭載されている。
【0003】
ミスト発生部340は、図25に示すように、水を貯留する貯水部341と、貯水部341内に収容された超音波発生器342と、を有している。貯水部341は、超音波発生器342が水中内に完全に沈んだ状態が得られるとともに、超音波発生器342上で水柱を形成可能な空間を得ることが可能な容積を有している。また、貯水部341には、この空間を貯水部341の外に連通させる放出口343が形成されている。
【0004】
超音波発生器342が超音波を発生させると、超音波発生器342の上側の空間に水柱が立つ。この水柱から微細な水滴(ミスト)が放出され、この水滴は、貯水部341の放出口343を通じて、貯水部341の外に出る。放出口343を通じて外部に放出された微細な水滴は、重力作用により、吸込ノズル330の周囲に落下する。水滴が床面に落下するまでの間、空中で浮遊している塵埃は水滴に付着し、水滴とともに床面に落下する。また、床面に落下した水滴によって、床面が濡れ、床面から舞い上がる塵埃が減る。この結果、掃除機300によって吸引可能な塵埃が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5239730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のミスト発生技術では、ミストを発生させることはできるが、ミストの生成量を増減することはできない。このため、たとえば、空中で浮遊している塵埃が多い環境下で使用者が清掃を行っている場合には、空中において浮遊している塵埃に対して放出されるミストが少なすぎる状態が生じ得る。逆に、ミストの生成量が多すぎ、清掃後においても床面が湿った状態が長時間に亘って継続するという問題も生じ得る。
【0007】
本開示は、ミストの生成量を調整可能な掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示における掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力により塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間を形成しているとともに床面上を移動可能に構成されたノズルケースと、液体を貯留する貯液部と、貯液部内の液体からミストを生成するミスト生成部と、ミスト生成部によるミストの生成量を調整するミスト調整部と、を備えている。ミスト生成部は、貯液部に設けられた開口を塞ぐように設けられた振動膜と、貯液部内の液体を流動させるように振動膜を振動させる振動発生部と、を有している。振動膜には、振動膜が静止しているときに液体を通過させない大きさを有している一方で、振動膜が振動しているときに液体を通過させてミストをノズルケースの周囲に放出する複数の放出孔が形成されている。ミスト調整部は、振動膜の振幅を変更することにより、複数の放出孔を通過した液体がミストになって貯液部の外に放出される量を調整可能に構成されている。
【0009】
本開示における他の掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力により塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間を形成しているとともに床面上を移動可能に構成されたノズルケースと、吸込空間内に配置されて床面に接触しながら回転できるようにノズルケースに保持されたブラシローラと、を有している吸込ノズルと、液体を貯留する貯液部と、貯液部内の液体からミストを生成するミスト生成部と、ミスト生成部によるミストの生成量を調整するミスト調整部と、を備えている。ミスト生成部は、貯液部に設けられた開口を塞ぐように設けられた振動膜と、貯液部内の液体を流動させるように振動膜を振動させる振動発生部と、を有している。振動膜には、振動膜が静止しているときに液体を通過させない大きさを有している一方で、振動膜が振動しているときに液体を通過させてミストを吸込空間内に放出する複数の放出孔が形成されている。ミスト調整部は、振動膜の振幅を変更することにより、複数の放出孔を通過した液体がミストになって貯液部の外に放出される量を調整可能に構成されている。
【発明の効果】
【0010】
上述の掃除機は、ミストの生成量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】掃除機の概略的な斜視図(第1実施形態)
図2】掃除機の吸込ノズルの斜視図
図3】吸込ノズルの断面図
図4】吸込ノズルの展開斜視図
図5】吸込ノズルに搭載される貯液部の断面図
図6】貯液部に取り付けられる振動膜及び圧電素子の正面図
図7】吸込ノズルの斜視図
図8】圧電素子に交流電圧を印加するための回路構成図
図9】交流電圧の大きさを決定する手順を表すフローチャート
図10】交流電圧の大きさを決定する手順を表すフローチャート
図11】掃除機の吸込ノズルの斜視図
図12】交流電圧の大きさを決定する手順を表すフローチャート(第2実施形態)
図13】吸込ノズルの斜視図(第3実施形態)
図14】圧電素子に交流電圧を印加するための回路構成図
図15】交流電圧の大きさを決定する手順を表すフローチャート
図16】貯液部の断面図(第4実施形態)
図17】圧電素子に交流電圧を印加するための回路構成図
図18】交流電圧の大きさを決定する手順を表すフローチャート
図19】吸込ノズルの斜視図(第5実施形態)
図20】貯液部の断面図
図21】圧電素子に交流電圧を印加するための回路構成図
図22】吸込ノズルの底面図
図23】圧電素子に交流電圧を印加するための回路構成図
図24】従来の掃除機の断面図
図25】従来の掃除機に取り付けられた貯液部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、掃除機の実施形態を詳細に説明するが、当業者の理解を容易にするために、例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、スティック型の掃除機100の斜視図である。図1を参照して、掃除機100を説明する。
【0014】
掃除機100は、掃除機本体110と、掃除機本体110の下側に設けられて塵埃を貯留する貯塵部120と、貯塵部120に隣接して掃除機本体110の下面から下方に延設された吸引管130と、を備えている。また、掃除機本体110の上面からは、使用者が握持可能な太さを有している棒状の握持部140が延設されており、握持部140の外周面には、使用者によって操作される操作部141が設けられている。
【0015】
掃除機本体110は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源111を内蔵している。吸引源111は、掃除機本体110の下側に設けられた貯塵部120から空気を吸い出すように構成されている。吸引源111は、使用者が操作部141を操作することによって、作動したり、停止したりする。
【0016】
貯塵部120は、塵埃を貯留するための円筒形状の容器であり、貯塵部120の上部には、フィルタが設けられている(図示せず)。このフィルタは、空気の通過を許容する一方で、この空気に含まれている塵埃を捕捉するように構成されている。このため、貯塵部120内の空気が吸引源111によって吸い出されても、貯塵部120内の塵埃が掃除機本体110に流入することが防止される。
【0017】
貯塵部120の周壁部には、吸引管130の流路と貯塵部120の内部空間とを連通させる流入口が形成されている(図示せず)。流入口は、吸引管130から貯塵部120に流入した空気が貯塵部120の周壁部の内面に沿って流れて旋回流になるように形成されている。吸引管130から貯塵部120に流入した空気に含まれる塵埃は、貯塵部120内の旋回流によって遠心分離されて、貯塵部120内に貯留される。
【0018】
吸引管130の先端には、吸込ノズル150が接続されており、使用者は、吸込ノズル150を、床面上で前進又は後進させることができる。吸込ノズル150は、図2に示すように、吸引管130よりも幅広のノズルケース151と、ノズルケース151内に配置されたブラシローラ161,162と、を有している。ノズルケース151は、左右方向に長い箱形状の後ケース部153と、後ケース部153の左端から前方に突出した左ケース部154と、後ケース部153の右端から前方に突出した右ケース部155と、を有している。また、ノズルケース151は、図1に示すように、後ケース部153の前側で左右方向に延設された前ケース部156と、前ケース部156の前端の下側の空間を閉じるケースカバー152と、を更に有している。前ケース部156は、左ケース部154及び右ケース部155の上部に接続されている。
【0019】
後ケース部153は、左右方向における中央部分において吸引管130と接続可能に構成されている。後ケース部153の内部には、図3に示すように、吸引管130の先端から前方に延びる連通路157が形成されている。
【0020】
後ケース部153の前側には、後ケース部153、左ケース部154、右ケース部155、前ケース部156及びケースカバー152によって区画された吸込空間158が形成されている。吸込空間158の後部において連通路157の前端が前向きに開口しており、吸込空間158は、連通路157を通じて、吸引管130の流路と連通している。このため、吸引源111の吸引力は、貯塵部120、吸引管130及び連通路157を通じて吸込空間158に作用する。吸込空間158は、図2に示すように、下向きに開口しており、吸引源111の吸引力が吸込空間158に作用すると、吸込空間158の下側にある塵埃は、吸込空間158に吸い込まれる。その後、塵埃は、連通路157及び吸引管130を流れて、貯塵部120に流入する。
【0021】
吸込空間158内において、ブラシローラ161,162が左右に配置されている。左側のブラシローラ161は、左ケース部154によって回転可能に片持ち支持されている。また、右側のブラシローラ162は、右ケース部155によって回転可能に片持ち支持されている。なお、これらのブラシローラ161,162を回転駆動するための2つの駆動モータ(図示せず)が後ケース部153に内蔵されており、これらの駆動モータは、使用者が操作部141を操作することによって、作動したり、停止したりする。
【0022】
ブラシローラ161,162は、それぞれ、ノズルケース151によって回転可能に保持された基端部から先端に向けて細くなるローラ本体163と、ローラ本体163の外周面から突出して床面に接触するブラシ164と、を有している。ブラシ164は、ローラ本体163の外周面上で複数の螺旋帯を形成するように設けられた親水性の繊維材料(たとえば、ナイロン系の樹脂繊維(PA6又はPA66)又はポリエチレンテレフタレート(PET))により構成されている。ブラシローラ161,162が回転駆動されると、ブラシ164は、床面に擦れ、床面上の塵埃がブラシ164によって掻き取られる。
【0023】
ブラシ164は、ノズルケース151の前側部分を床面から浮いた状態で支持することができる硬さを有している。ノズルケース151の後側部分を床面から浮いた状態で支持するとともに、ノズルケース151が前後方向に床面上を移動することを補助するために、後ケース部153の底部には、ローラ165,166が設けられている。ノズルケース151は、ブラシローラ161,162及びローラ165,166によって床面から浮いた状態で支持されているので、ノズルケース151自体が床面に擦れることはない。
【0024】
左右方向における後ケース部153の略中央には、図4に示すように、後ケース部153の上面から凹設された収容凹部171が形成されている。収容凹部171は、図3に示すように、連通路157の上側に位置している。収容凹部171の前端は、前ケース部156によって区画されている。左右方向における前ケース部156の略中央には、放出洞172が形成されている。放出洞172は、収容凹部171から斜め下向きに開口している。放出洞172の開口面積は、吸込ノズル150の前端に近づくにつれて大きくなっている。
【0025】
収容凹部171には、水を貯留する略矩形箱状の貯液部180が収容される。貯液部180が収容凹部171に収容されると、貯液部180の上面は、図1に示すように、後ケース部153の上面と略面一になる。貯液部180は、後ケース部153に形成された収容凹部171に収容されるので、前ケース部156及びケースカバー152によって形成される吸込ノズル150の前端よりは後側に配置されている。
【0026】
貯液部180の前壁には、図5に示すように、貯液部180内の水の流出を許容する開口181が形成されている。貯液部180の前壁の前面からは係合リング183が突出しており、この係合リング183は、図3に示すように、前ケース部156の放出洞172の後端に嵌め込まれる。開口181は、係合リング183から貯液部180の内方(すなわち、後方)に向けて斜め上方に延設されている。
【0027】
貯液部180内の水をミストにして吸込ノズル150の前側に放出するために、吸込ノズル150には、ミスト生成部190が設けられている。ミスト生成部190は、貯液部180の開口181を塞ぐように設けられた振動膜191と、振動膜191を周方向に囲んで振動膜191に接続されたリング状の圧電素子192を有している振動発生部193と、を有している。振動膜191は、開口181の傾斜に合わせて前傾姿勢になっている。
【0028】
圧電素子192は、交流電圧が印加されると、径方向に伸縮するように構成されている。圧電素子192の伸縮量は、印加される交流電圧の振幅が大きくなればなるほど大きくなる。振動膜191は、開口181の軸方向(すなわち、図5の矢印A及び矢印Bの方向)に振動可能に構成されている。
【0029】
振動膜191には、図6に示すように、多数の放出孔194が形成されている。振動膜191は、前傾姿勢になっているので、これらの放出孔194は、振動膜191の内面(貯液部180の内部空間に臨む面)から前方に向けて斜め下向きに振動膜191を貫通している。なお、放出孔194は、振動膜191が静止している状態では、貯液部180内の水が通過することを許容しない大きさを有している。
【0030】
振動膜191の振動により、以下のように、ミストが生成されると考えられる。すなわち、振動膜191の中央部分が図5の矢印Bの方向(貯液部180の外方)に変位するように振動すると、振動膜191の内面の近傍において圧力が下がる。この圧力降下に応じて、振動膜191の内面の近傍の水は、外方に変位した振動膜191に向けて流れる。その後、振動膜191の中央部分が逆向き(貯液部180の内方)に変位すると、振動膜191のの中央部分の変位の向きは、振動膜191の内面の近傍における水の流れ方向とは逆向きになる。この結果、水は、振動膜191の内面に強く当たり、振動膜191の複数の放出孔194を通過する。これらの放出孔194を通過した水は、ミストになって、放射状に広がりながら前ケース部156の放出洞172内を移動し、放出洞172の前端から吸込ノズル150の前側の領域に放出される。
【0031】
圧電素子192に交流電圧を印加するために、圧電素子192には、図6に示すように、一対の電極195,196が取り付けられており、これらの電極195,196からは、電力線197,198が延設されている。電力線197,198の端部は、図4に示すように貯液部180の前壁の前面に取り付けられた電極211,212に接続されている。
【0032】
これらの電極211,212に交流電圧を印加するために、前ケース部156において収容凹部171の前端を区画している面には、図7に示すように、電極213,214が設けられている。電極213,214は、収容凹部171に貯液部180が収容されたときに、貯液部180側の電極211,212に接触する位置に配置されている。また、これらの電極213,214に交流電圧を印加する電圧印加部215と、電極213,214に印加される交流電圧の大きさを電圧印加部215に指示するように構成されたミスト調整部218と、が、後ケース部153内に配置されている。吸込ノズル150上には、室内の湿度を表す湿度情報を取得する湿度取得部219が搭載されている。なお、湿度取得部219は、室内の湿度を検出するとともに検出した湿度を表す信号を出力する湿度センサであってもよい。
【0033】
電圧印加部215は、吸引源111を起動するための操作部141が操作されると、振動膜191の共振周波数に近い又は等しい周波数の交流電圧を電極213,214に印加するように構成されている。電極213、214は、貯液部180が収容凹部171に収容されている状態では、電極211,212に接続されているので、交流電圧は、電極211,212、電力線197,198及び電極195,196を通じて圧電素子192に印加される。
【0034】
ミスト調整部218は、周囲の空気の湿度に適した値に、ミスト生成部190からのミストの生成量を調整するために設けられており、湿度取得部219が検出した湿度に基づいて、電圧印加部215から出力される交流電圧の大きさを設定するように構成されている。電圧印加部215は、操作部141が操作されると、ミスト調整部218が設定した大きさの交流電圧を出力するように構成されている。湿度取得部219、ミスト調整部218、電圧印加部215及び圧電素子192は、図8に示すように、電気的に接続されており、電圧印加部215が出力した交流電圧は、圧電素子192に印加される。
【0035】
(掃除機の動作の説明)
使用者が操作部141を操作すると、吸引源111は、吸引力を発生させて、貯塵部120内の空気を吸い出す。吸引源111の吸引力は、貯塵部120、吸引管130及び吸込ノズル150の連通路157を通じて吸込空間158に作用する。このとき、吸込空間158内のブラシローラ161,162は、操作部141に対する操作に応じて回転駆動されているので、床面の塵埃を掻き取っている。ブラシローラ161,162によって掻き取られた塵埃は、吸引源111の吸引力によって、吸込空間158から吸い出され、連通路157及び吸引管130を通じて、貯塵部120に流入する。貯塵部120内では、塵埃とともに吸い込まれた空気によって旋回流が生成されているので、貯塵部120に流入した塵埃は、旋回流によって遠心分離され、貯塵部120に貯留される。
【0036】
上述のように塵埃が吸引源111の吸引力によって吸引されている間、貯液部180内の水は、ミストになって吸込ノズル150の前側の領域に放出される。ミストは、放出洞172を経て吸込ノズル150の前側に落下するが、このとき、空中で浮遊する塵埃を捕捉し得る。その後、ミストは、床面に付着する。床面にミストが付着することにより、床面上の塵埃が舞い上がりにくくなる。この結果、ミストが付着した床面上を吸込ノズル150が移動すると、ミストが放出されないときよりも多くの塵埃が掃除機100に吸い込まれ得る。
【0037】
上述のように、ミストは、掃除機100に吸い込まれる塵埃を増やし得るが、清掃作業が行われる室内の湿度が高ければ、清掃作業後において床面上に付着したミストが長時間に亘って残存することが生じ得る。すなわち、床面が長時間に亘って湿った状態になり得る。このような事態を回避するために、図9に示す手順に従って、ミストの生成量が調整されることが好ましい。
【0038】
使用者が操作部141を操作して吸引源111を作動させると、湿度取得部219は、清掃作業が行われている室内の湿度を検出し、検出した湿度を表す湿度情報をミスト調整部218に出力する(ステップS110)。ミスト調整部218は、湿度情報が表している湿度が所定の上限閾値を上回っているか否かを判定する(ステップS120)。湿度情報が表している湿度がこの上限閾値を上回っていなければ(ステップS120:No)、ミスト調整部218は、交流電圧の大きさを所定の通常値に設定することを決定する(ステップS130)。そして、電圧印加部215は、ミスト調整部218が設定した通常値の大きさを有している交流電圧を出力する。
【0039】
電圧印加部215が出力した交流電圧は、収容凹部171に設けられた電極213,214に印加される。電極213,214は、貯液部180に設けられた電極211,212に接触しているので、電圧印加部215が出力した交流電圧は、電極211,212に印加される。そして、この交流電圧は、電力線197,198を通じて、圧電素子192に取り付けられた電極195,196に出力される。この結果、圧電素子192は、径方向に伸縮する。
【0040】
圧電素子192に印加される交流電圧の周波数は、振動膜191の共振周波数に近い又は等しいので、圧電素子192の伸縮動作の周波数も、振動膜191の共振周波数に近い又は等しい値になっている。この状態では、振動膜191の中央部分は、以下に述べるように、矢印A及び矢印Bの方向に変位して大きく撓むように振動する(すなわち、振動膜191は、共振状態になる)。
【0041】
圧電素子192が径方向に縮めば、振動膜191は、図5の矢印Bの方向に撓んだ状態になり得る。そして、圧電素子192が径方向に拡がると、振動膜191の中央部分は、図5の矢印Aの方向に変位し、矢印Aの方向に撓み得る。圧電素子192の伸縮動作の周波数が振動膜191の共振周波数に近い又は等しい値になっているとき、振動膜191の中央部分が矢印Aの方向に変位している間、圧電素子192は、縮径変形する。この結果、振動膜191は、圧電素子192に邪魔されることなく、矢印Aの方向に撓み変形する。
【0042】
その後、振動膜191は、振動膜191自身の復元作用により、矢印Bの方向に戻ろうとするが、圧電素子192の伸縮動作の周波数が振動膜191の共振周波数に近い又は等しい値になっていると、このタイミングで、圧電素子192は、拡径変形する。この結果、振動膜191自身の復元作用に圧電素子192の拡径作用が加重されて、振動膜191の中央部分は、図5の矢印Bの方向に大きく撓んで変位する。振動膜191の中央部分が矢印Bの方向に変位している間、圧電素子192は、縮径変形し、振動膜191が自身の復元作用により矢印Aの方向に戻ろうとするタイミングで、圧電素子192は、拡径変形する。この結果、振動膜191は、矢印Aの方向にも大きく撓む。このように、圧電素子192が振動膜191の共振周波数に近い又は等しい周波数で伸縮することにより、振動膜191は、矢印A及び矢印Bの方向に大きく振動する。このような振動膜191の振動により、上述の如く、ミストが生成される。このミストは、放射状に広がりながら、放出洞172を経由して、吸込ノズル150の前側の領域に落下する。
【0043】
床面に落下したミストは、床面上の塵埃が舞い上がることを防ぐ。このため、吸込ノズル150が前進して、ミストが落下した領域を通過すると、吸引源111の吸引力により床面上の塵埃が掃除機100によって吸い込まれる。ミストが落下した領域を吸込ノズル150が通過するとき、ブラシローラ161,162は、床面に接触する。これらのブラシローラ161,162のブラシ164は、親水性であるので、床面上のミストは、ブラシ164に付着しやすい。このため、床面上のミストの多くはブラシ164に乗り移り、床面に残るミストは、少なくなる。したがって、床面は、早期に乾燥し得る。
【0044】
床面上のミストの多くは、ブラシ164によって拭き取られるものの、室内の湿度が高い場合には、床面に残るミストは、乾燥しにくい。床面に残るミストの早期の乾燥を促すために、以下のような処理が行われて、ミストの放出量が低減される。すなわち、湿度取得部219が検出した湿度が所定の上限閾値を上回っている場合には(ステップS120:Yes)、ミスト調整部218は、通常値よりも小さな値に交流電圧の大きさを設定することを決定してもよい(ステップS140)。そして、電圧印加部215は、ミスト調整部218が設定した小さな値の大きさを有している交流電圧を出力する。この結果、圧電素子192には、小さな交流電圧が印加される。この場合、圧電素子192の径方向の伸縮量は小さくなり、この伸縮量の低下に伴って、振動膜191の中央部分の振幅も小さくなる。
【0045】
振動膜191の振幅が小さい場合、図5の矢印Aの方向に変位した振動膜191に向けて流れる水の量が減る。このため、振動膜191がその後矢印Bの方向に変位したときに、振動膜191の複数の放出孔194を通過することができる水の量が減る。この結果、振動膜191の複数の放出孔194を通じて放出されるミストが少なくなる。このため、清掃作業後において、床面が湿った状態が長時間に亘って持続するという事態が回避される。
【0046】
湿度取得部219が検出した湿度が上限閾値を上回っている場合には(ステップS120:Yes)、室内の湿気によって、床面からの塵埃の舞い上がりは、ある程度抑制されている。このため、ミストの生成量が低下しても、床面からの塵埃の舞い上がりの問題は生じない。
【0047】
一方、室内の湿度が低い場合、室内の湿気による塵埃の舞い上がりの抑制効果は小さく、室内で浮遊している塵埃が多くなっていることが考えられる。室内で浮遊している塵埃を可能な限り多く捕捉して床面に落下させるために、室内の湿度が低い場合において、図10に示すように、ミストの生成量を高くする制御が行われてもよい。
【0048】
すなわち、ミスト調整部218は、湿度取得部219が検出した湿度が所定の下限閾値を下回っているか否かを判定してもよい(ステップS125)。そして、湿度取得部219が検出した湿度が下限閾値を下回っている場合には、ミスト調整部218は、通常値よりも大きな値に交流電圧の大きさを設定することを決定する(ステップS145)。電圧印加部215は、ミスト調整部218が設定した大きな値の大きさを有している交流電圧を出力する。この結果、圧電素子192には、大きな交流電圧が印加される。この場合、圧電素子192の径方向の伸縮量は大きくなり、この伸縮量の増加に伴って、振動膜191の中央部分の振幅も大きくなる。
【0049】
振動膜191の振幅が大きくなればなるほど、図5の矢印Aの方向に変位した振動膜191に向けて流れる水の量が増える。このため、振動膜191がその後矢印Bの方向に変位したときに、振動膜191の複数の放出孔194を通過することができる水の量が増える。この結果、振動膜191の複数の放出孔194を通じて放出されるミストが多くなる。このように、ミストの生成量が多くなるので、ミストによって捕捉されて床面に落下する塵埃が増える。そして、ミストが落下した領域を吸込ノズル150が通過すると、床面に落下した塵埃が掃除機100に吸い込まれる。
【0050】
図9及び図10の制御では、ミスト調整部218は、上限閾値及び下限閾値を用いて判定処理を行って、交流電圧の大きさを決定している(ステップS120,S125)。代替的に、ミスト調整部218は、湿度取得部219が検出した湿度が高ければ高いほど、交流電圧の大きさを低い値に設定してもよい。この場合においても、図9及び図10の制御により得られる効果と同等の効果が得られる。
【0051】
上述の実施形態では、湿度取得部219は、室内の湿度を検出可能に構成されている。代替的に、室内の湿度の検出は、図11に示すように、室内に設けられた湿度センサ261によって行われてもよい。図11では、室内には、湿度センサ261が検出した湿度を表す無線信号を出力する送信機262も設けられている。この場合、湿度取得部219は、送信機262から出力された無線信号を受信可能な受信機により構成され得る。
【0052】
<第2実施形態>
第1実施形態では、床面上のミストは、ブラシローラ161,162の親水性のブラシ164によって拭き取られる。このため、清掃作業の開始時からある程度時間が経つと、ブラシ164は、湿った状態になる。この状態では、床面上のミストは、ブラシ164に付着しやすくなり、床面から除去される塵埃の量が増える。しかし、清掃作業の開始時には、ブラシ164は、乾燥状態になっており、ブラシ164への塵埃の付着効果は高くない。この点を改善するために、図12に示す制御が行われてもよい。
【0053】
すなわち、使用者が操作部141を操作すると、ミスト調整部218は、操作部141に対する操作に応じて計時を開始する。そして、使用者が操作部141を操作したとき(すなわち、清掃開始時)から所定の時間が経過するまでは(ステップS220:No)、ミスト調整部218は、通常値よりも大きな値に交流電圧の大きさを設定することを決定する(ステップS145)。電圧印加部215は、ミスト調整部218が設定した大きな値の大きさを有している交流電圧を出力する。この結果、圧電素子192には、大きな交流電圧が印加される。この場合、圧電素子192の径方向の伸縮量は大きくなる。この伸縮量の増加に伴って、振動膜191の中央部分の振幅も大きくなり、振動膜191からのミストの生成量が高くなる。
【0054】
清掃開始時から所定の時間が経過すると(ステップS220:Yes)、ミスト調整部218は、交流電圧の大きさを通常値に設定することを決定する(ステップS130)。電圧印加部215は、ミスト調整部218が設定した通常値の大きさを有している交流電圧を出力する。この結果、振動膜191の中央部分の振幅は、清掃開始時から所定の時間が経過するまでの振動膜191の中央部分の振幅よりも小さくなる。すなわち、振動膜191からのミストの単位時間当たりの生成量は、清掃開始時から所定の時間が経過するまでのミストの単位時間当たりの生成量よりも少なくなる。
【0055】
図12の制御が行われる場合には、清掃開始時から所定の時間が経過するまでの振動膜191からのミストの単位時間当たりの生成量は比較的多くなっているので、床面に付着するミストは多くなっている。このため、清掃開始時から所定の時間が経過するまでにブラシローラ161,162のブラシ164に付着するミストも多くなり、ブラシ164は、早期に湿った状態になる。清掃開始時から所定の時間が経過すると、ミストの生成量は低下する。このため、ブラシ164が過度に湿った状態になることが防止され、床面上のミストをブラシ164に付着させる機能がある程度長時間に亘って維持される。
【0056】
なお、ミスト調整部218は、振動膜191の振幅を操作部141が操作された操作時刻から徐々に低減させてもよい。この場合、ミストの生成量は、操作部141が操作された操作時刻において最大になり、その後、徐々に低下していく。この場合においても、ブラシ164は、早期に湿った状態になるし、ブラシ164が過度に湿った状態になることを防止することもできる。
【0057】
第2実施形態の制御は、第1実施形態の制御とともに実行されてもよい。代替的に、第1実施形態の制御が行われることなく、第2実施形態の制御のみが行われてもよい。第2実施形態の制御のみが行われる場合には、湿度取得部219は、設けられなくてもよい。
【0058】
<第3実施形態>
吸込ノズル150は、様々な種類の床面上を走行し得る。たとえば、吸込ノズル150がミストを放出しながら吸湿性の低い第1種の床面上(たとえば、フローリング床上)を走行した場合には、ミストは、清掃作業後にすぐに乾燥し得る。一方、吸込ノズル150が高い吸湿性の第2種の床面上(たとえば、絨毯床又はラグ上)を走行した場合には、ミストは、床面に吸い込まれ、ミストが乾燥するまでにある程度の時間がかかり得る。吸込ノズル150が走行する床面の種類によらず、ミストが短時間で乾燥するように、掃除機100は、図13に示すように構成されてもよい。
【0059】
図13に示す掃除機100は、床面の種類を検出する床面検出部263を有している。床面検出部263は、床面に向けて検出光を出射する反射型の光学センサにより構成されてもよい。この場合、吸込ノズル150がフローリング床上(第1種の床面上)を走行しているときには、床面検出部263は、強い反射光を床面から受けることができる。一方、吸込ノズル150が絨毯床上(第2種の床面上)を走行しているときには、床面検出部263が受ける反射光は弱くなる。
【0060】
本実施形態では、床面検出部263は、床面検出部263が受光した反射光の強さが所定の強度閾値を超えているときに、検出信号を出力するように構成されている。この強度閾値は、吸込ノズル150がフローリング床上を走行したときに想定される反射光の強度よりも小さく、且つ、吸込ノズル150が絨毯床上を走行したときに想定される反射光の強度よりも大きな値に設定され得る。
【0061】
床面検出部263は、図14に示すように、ミスト調整部218に電気的に接続されており、ミスト調整部218は、床面検出部263からの検出信号を受信可能になっている。この場合、ミスト調整部218は、床面検出部263からの検出信号の有無に基づいて、吸込ノズル150が走行している床面の種類を把握することができる。すなわち、検出信号が出力されている場合には、ミスト調整部218は、吸込ノズル150がフローリング床上(第1種の床上)を走行していると判定することができる。逆に、検出信号の出力がない場合には、ミスト調整部218は、吸込ノズル150が絨毯床上(第2種の床上)を走行していると判定することができる。このため、ミスト調整部218は、床面検出部263が検出した床面の種類に応じて、ミストの生成量を図15に示すように調整することができる。
【0062】
使用者が操作部141を操作すると、床面検出部263は、床面に向けて検出光を出射する。そして、この検出光の反射光が強度閾値を超えていれば、床面検出部263は、検出信号を出力する(ステップS320:Yes)。なお、床面検出部263が検出信号を出力した場合、吸込ノズル150が第1種の床面上(すなわち、フローリング床上)を走行していることが想定される。
【0063】
上述の検出信号は、床面検出部263からミスト調整部218に出力される。この場合、ミスト調整部218は、交流電圧の大きさを通常値に設定する(ステップS130)。このとき、振動膜191からは、通常値に対応する生成量のミストが放出される。
【0064】
一方、吸込ノズル150が絨毯床上(すなわち、第2種の床上)を走行している場合、床面検出部263が受光する反射光の強度は、強度閾値を超えない。この場合には、床面検出部263は、検出信号を出力しない(ステップS320:No)。ミスト調整部218は、検出信号を受信しない限り、交流電圧の大きさを通常値よりも小さな値に設定する(ステップS140)。この結果、振動膜191の振幅は、吸込ノズル150がフローリング床(すなわち、第1種の床上)を走行しているときの振動膜191の振幅よりも小さくなり、振動膜191から放出されるミストは、少なくなる。
【0065】
図15に示す制御が行われる場合、吸込ノズル150が絨毯床上を走行しているときのミストの生成量は少なくなるので、清掃作業後において絨毯床が乾くまでの時間は過度に長くならない。
【0066】
上述の実施形態では、床面検出部263として用いられる光センサは、強度閾値を超える反射光を受けたときに、検出信号を出力するように構成されている。代替的に、この光センサは、強度閾値を超える反射光を受けていない状態で信号を出力するように構成されていてもよい。この場合、ミスト調整部218は、光センサからの信号の受信があれば、交流電圧の大きさを通常値よりも小さな値に設定し、光センサからの受信がなければ、交流電圧の大きさを通常値に設定するように構成される。
【0067】
図13乃至図15では、床面検出部263は、反射型の光センサによって構成されている。代替的に、床面検出部263は、ブラシローラ161,162を駆動する駆動モータにかかる負荷を検出可能に構成されてもよい。この場合、床面検出部263は、吸込ノズル150が絨毯床上を走行しているときには、駆動モータに対する高い負荷を検出することができる。一方、吸込ノズル150がフローリング床上を走行しているときには、床面検出部263は、駆動モータに対する小さな負荷を検出することができる。これらの負荷の相違に基づいて、吸込ノズル150が走行している床面の種類が識別され得る。更に代替的に、床面検出部263は、床面を撮像する撮像装置により構成されてもよい。この場合、撮像装置が取得した画像データに基づいて、床面の種類が把握され得る。撮像装置が用いられる場合、たとえば、フローリング床と畳床との識別が容易になる。
【0068】
第3実施形態の制御は、第1実施形態及び/又は第2実施形態の制御とともに実行されてもよい。第3実施形態の制御が第1実施形態の制御とともに実行される場合には、ミストの生成量は、清掃作業が行われる床面の種類及び清掃作業が行われる湿度に基づいて決定され得る。また、第3実施形態の制御が第2実施形態の制御とともに実行される場合には、ミストの生成量は、清掃作業が行われる床面の種類及び清掃作業の開始からの経過時間に基づいて決定され得る。
【0069】
<第4実施形態>
ミストの生成量は、貯液部180内の水の粘度に影響され得る。すなわち、水の粘度が高ければ高いほど、貯液部180内の水は、振動膜191の放出孔194に入り込みにくくなる。したがって、水の粘度が高くなれば高くなるほど、ミストの生成量は低下する。ミストの生成量に対する水の粘度の影響を抑制するために、図16に示すように、水の粘度に影響する水の温度を検出する温度センサ222が貯液部180内に配置されてもよい。温度センサ222は、図17に示すように、ミスト調整部218に電気的に接続されており、検出した温度を表す温度信号をミスト調整部218に出力するように構成されている。そして、ミスト調整部218は、温度信号に基づいて、図18に示すように、ミストの生成量を調整する。
【0070】
使用者が操作部141を操作すると、温度センサ222は、貯液部180内の水の温度を検出し、検出した温度を表す温度信号をミスト調整部218に出力する。ミスト調整部218は、温度信号が表している温度が所定の値を下回っているか否かを判定する(ステップS420)。温度信号が表している温度が所定の値を下回っていなければ(ステップS420:No)、交流電圧の大きさを通常値に設定する。このとき、振動膜191からは、通常値に対応する生成量のミストが放出される。
【0071】
一方、温度信号が表している温度が所定の値を下回っていれば(ステップS420:Yes)、ミスト調整部218は、通常値よりも大きな値に交流電圧の大きさを設定する。この場合、振動膜191の振幅が大きくなる。この結果、貯液部180内の水の温度の低下に伴うミストの生成量の低下は、振動膜191の振幅の増加によりある程度相殺され得る。
【0072】
第4実施形態の制御は、第1実施形態乃至第3実施形態の制御とともに実行され得る。この場合、第1実施形態乃至第3実施形態の制御は、貯液部180内の水温の変動の影響が抑制された状態で実行され得る。
【0073】
図1乃至図18に示す掃除機100では、貯液部180は、吸込ノズル150に取り付けられている。代替的に、貯液部180は、吸引管130に取り付けられてもよい。この場合、ミストは、吸込ノズル150の後側で放出される。このとき、使用者が吸込ノズル150を後進させれば、空中で浮遊している塵埃を落下させるとともに床面からの塵埃の舞い上がりを抑制しつつ、塵埃を掃除機100に吸い込むことができる。
【0074】
図1乃至図18に示す掃除機100では、ブラシローラ161,162の親水性のブラシ164によって、床面に付着したミストが除去される。代替的に、吸込ノズル150の底面に吸水性の布材を設けて、この布材によって、ミストが除去されてもよい。この場合、吸込ノズル150は、ブラシローラ161,162を有さなくてもよい。
【0075】
<第5実施形態>
第1実施形態乃至第4実施形態では、ミスト生成部190は、吸込ノズル150の周囲にミストを放出している。代替的に、ミスト生成部190は、吸込ノズル150の吸込空間158内にミストを放出してもよい。この場合、図19に示すように、ノズルケース151の収容凹部171の底部には、収容凹部171の下側の吸込空間158へ貫通する2つの貫通穴243,244が形成され得る。詳細には、これらの貫通穴243,244は、吸込空間158内のブラシローラ161,162の上側に位置している。
【0076】
ミストが吸込空間158内に放出される場合、図20に示すように、2つの開口181,225が貯液部180の底部に形成される。開口181,225からは、2つの保持筒241,242が下方に突出している。これらの保持筒241,242は、貯液部180が収容凹部171に収容されたときに、収容凹部171の貫通穴243,244に嵌め込まれるように設けられている。
【0077】
保持筒241,242は、これらの開口181,225の下側で圧電素子192及び振動膜191を保持している。これらの振動膜191は、開口181,225を塞いだ状態になっており、これらの振動膜191が静止しているときには、水は、貯液部180内に留められる。一方、振動膜191が上下に振動すると、貯液部180内の水は、ミストになって下方に放出される。
【0078】
貯液部180の前壁には、第1実施形態と同様に、電極211,212が設けられており、これらの電極211,212は、貯液部180が収容凹部171に収容されたときに、収容凹部171に設けられた電極213,214と接触する。電極211からは、図21に示すように、2つの電力線197,231が延設されており、電力線197は、2つの圧電素子192のうち一方に設けられた電極195に接続されている。電力線231は、他方の圧電素子192に設けられた電極195に接続されている。同様に、電極212からは、2つの電力線198,232が延設されている。電力線198は、一方の圧電素子192に設けられた電極196に接続されている。また、電力線232は、他方の圧電素子192に設けられた電極196に接続されている。このため、2つの圧電素子192は、電極195,196、電力線197,198,231,232及び電極211~214を通じて、電圧印加部215に電気的に接続されている。したがって、電圧印加部215が交流電圧を出力すると、この交流電圧は、2つの圧電素子192に印加される。この電圧印加に応じて、これらの圧電素子192は、径方向に伸縮する。そして、圧電素子192の伸縮に応じて、振動膜191は、振動することができる。
【0079】
電圧印加部215から出力される交流電圧の大きさ、ひいては、振動膜191の振幅は、ミスト調整部218によって調整される。ミスト調整部218は、温度センサ222に電気的に接続されて、第4実施形態と同様に、温度センサ222が検出した貯液部180内の水の温度に基づいて、交流電圧の大きさを決定してもよい。この場合には、貯液部180内の水温の変化に拘わらず、ミストの生成量が略一定になり得る。
【0080】
代替的に、ミスト調整部218は、図12(第2実施形態)に示す制御を実行してもよい。この場合、清掃作業の開始時におけるミストの生成量が比較的大きくなる。この場合、ブラシローラ161,162が湿った状態が早期に得られる。特に、ミストが吸込空間158内に放出される場合には、ミストは、ブラシローラ161,162に直接的に拭きつけられる。この場合、ミストが吸込ノズル150の周囲の床面に放出される場合と比べて、ブラシローラ161,162は、早期に湿った状態になり得る。
【0081】
図12に示す制御が実行される場合、清掃開始時から所定の時間が経過すると、ミストの生成量は低減される。このため、ブラシローラ161,162は、過度に湿った状態にならない。したがって、吸込ノズル150が通り過ぎた後の床面が過度に湿った状態になることが防止される。とくに、ブラシローラ161,162のブラシ164は、親水性であるので、ブラシ164に付着したミストが床面に乗り移ることが抑制される。このため、床面に付着する水量を抑制することができ、清掃後において、床面が乾燥した状態が早期に得られる。一方、ブラシ164は、水を保持した状態を維持することができ、水を介して床面上の塵埃をブラシ164に付着させる機能を長時間に亘って有することができる。
【0082】
ブラシローラ161,162が過度に湿った状態になることを避けるために、図10に示す制御が実行されてもよい。この場合、情報取得部219は、図22に示すように、吸込空間158内の湿度を検出できるように吸込空間158内に配置された湿度センサであってもよい。情報取得部219によって検出された湿度の情報をミスト調整部218に伝達するために、情報取得部219は、図23に示すように、ミスト調整部218に電気的に接続され得る。この場合、電圧印加部215から出力される交流電圧の大きさは、図10に示す手順に従って設定され得る。すなわち、情報取得部219が検出した湿度が所定の上限閾値を上回っているときには、この閾値を上回っていないときの振動膜191の振幅よりも小さな振幅が得られる交流電圧の大きさがミスト調整部218によって設定される(ステップS140)。これにより、ブラシローラ161,162が過度に湿った状態になることが防止される。
【0083】
なお、ミスト調整部218は、上限閾値を用いることなく交流電圧の大きさを決定してもよい。たとえば、ミスト調整部218は、情報取得部219が検出した湿度(吸込空間158内の湿度)が高ければ高いほど、交流電圧の大きさを低い値に設定してもよい。この場合においても、ブラシローラ161,162が過度に湿った状態になることを防止する効果が得られる。
【0084】
ミストが吸込空間158内に放出される場合においても、第2実施形態乃至第4実施形態の制御が実行されてもよい。すなわち、ミストの生成量は、吸込空間158内の湿度だけでなく、吸込ノズル150が走行している床面の種類、清掃作業の開始からの経過時間及び/又は貯液部180内の水温に基づいて調整され得る。
【0085】
第1実施形態乃至第5実施形態では、ミスト調整部218は、電圧印加部215から出力される交流電圧の大きさを変更することにより、振動膜191の振幅、ひいては、ミストの生成量を調整している。代替的に、ミスト調整部218は、電圧印加部215から出力される交流電圧の周波数を変更可能に構成されていてもよい。この場合、振動膜191自身の共振周波数に近い値に交流電圧の周波数を設定すれば、振動膜191は、大きく振動する。この場合、ミストの生成量は多くなり得る。一方、電圧印加部215から出力される交流電圧の周波数がこの共振周波数から離れれば離れるほど、振動膜191の振幅は小さくなる。この場合、ミストの生成量は少なくなる。このように、電圧印加部215から出力される交流電圧の周波数を変更することによっても、ミストの生成量を調整することは可能である。
【0086】
第1実施形態乃至第5実施形態では、貯液部180は、吸込ノズル150から分離可能になっている。代替的に、貯液部180は、吸込ノズル150と一体的に形成されていてもよい。
【0087】
第1実施形態乃至第5実施形態では、貯液部180内には、水が貯留されている。代替的に、床面上の塵埃の除去に寄与する他の液体が貯液部180内に貯留されていてもよい。たとえば、界面活性剤を含んだ液体が貯液部180内に貯留されていてもよい。この場合、床面上の油分の除去が界面活性剤により促進され得る。
【0088】
第1実施形態乃至第5実施形態では、吸込ノズル150は、一対のブラシローラ161,162を有している。代替的に、吸込ノズル150は、単一のブラシローラのみを有していてもよい。更に代替的に、吸込ノズル150は、ブラシローラを有していなくてもよい。
【0089】
第1実施形態乃至第5実施形態では、掃除機100は、スティック型である。代替的に、掃除機100は、自走式の掃除機(いわゆる、ロボット掃除機)又はキャニスタ型の掃除機であってもよい。
【0090】
(効果等)
上述の実施形態に係る掃除機100は、以下の特徴を有しているとともに、以下の効果を奏する。
【0091】
上述の実施形態に係る一の局面に係る掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力により塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間を形成しているとともに床面上を移動可能に構成されたノズルケースと、液体を貯留する貯液部と、貯液部内の液体からミストを生成するミスト生成部と、ミスト生成部によるミストの生成量を調整するミスト調整部と、を備えている。ミスト生成部は、貯液部に設けられた開口を塞ぐように設けられた振動膜と、貯液部内の液体を流動させるように振動膜を振動させる振動発生部と、を有している。振動膜には、振動膜が静止しているときに液体を通過させない大きさを有している一方で、振動膜が振動しているときに液体を通過させてミストをノズルケースの周囲に放出する複数の放出孔が形成されている。ミスト調整部は、振動膜の振幅を変更することにより、複数の放出孔を通過した液体がミストになって貯液部の外に放出される量を調整可能に構成されている。
【0092】
上述の構成では、ミスト生成部がノズルケースの周囲にミストを放出すれば、ミストは、重力によって落下し床面に付着する。ミストが落下している間、空中で浮遊している塵埃は、ミストに付着し、ミストとともに床面に落下する。また、ミストによって床面が濡れるので、床面から舞い上がる塵埃が減る。この結果、ノズルケースが床面上を移動したとき、吸引源の吸引力によって吸込空間を通じて吸い込まれる塵埃が増える。
【0093】
ミスト生成部が振動発生部により振動膜を振動させると、貯液部内の液体が以下のように流動する。すなわち、振動膜が外方に変位すると、振動膜の内面の近傍における圧力が降下し、この圧力降下により、貯液部内の液体は、外方に変位した振動膜に向けて流れる。その後、振動膜が逆向きに変位すると、振動膜の内面の近傍における液体の流れ方向と振動膜の変位方向とが互いに逆向きになり、振動膜の内面の近傍の液体は、振動膜の内面に衝突し、振動膜の複数の放出孔を通過する。そして、これらの放出孔を通過した液体は、ミストになって貯液部の外に放出される。なお、振動膜の複数の放出孔は、振動膜が振動しているときには液体の通過を許容するが、振動膜が静止していれば、貯液部内に液体を通過させないので、振動膜を通じた不必要な漏液は生じない。
【0094】
振動膜の振幅が大きくなればなるほど、外方に変位した振動膜に向けて流れる液体は多くなり得る。このため、振動膜がその後逆向きに変位したときに、振動膜の複数の放出孔を通過する水(すなわち、ミスト)が増える。逆に、振動膜の振幅が小さくなれば、振動膜の放出孔を通じて放出されるミストは減る。このように、振動膜の振幅を変えることによりミストの放出量を増やしたり減らしたりすることができるので、掃除機は、振動膜の振幅を変更可能に構成されたミスト調整部を備えている。ミスト調整部が設けられる結果、多量のミストの放出が望まれる環境下において、多量のミストを放出することが可能になる。逆に、少量のミストの放出が望まれる環境下において、少量のミストを放出することが可能になる。
【0095】
上述の構成において、掃除機は、吸込空間内に配置されて床面に接触しながら回転できるようにノズルケースに保持されたブラシローラを更に備えていてもよい。貯液部には、液体として水が貯留されていてもよい。ブラシローラは、ノズルケースによって回転可能に保持されたローラ本体と、ローラ本体の外周面から突出して床面に接触する親水性のブラシと、を有していてもよい。
【0096】
湿度が低ければ低いほど、湿気による床面への塵埃の付着効果は小さくなる。したがって、湿度が低いときには、床面から浮遊している状態の塵埃が多くなっていることが想定される。このような状態を回避するために、上述の構成では、ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度情報の湿度が所定の下限値を下回っているときには、この下限値を上回っているときよりも振動膜の振幅が大きくする。この結果、湿度が下限値を下回るほど低いときには、ミストの生成量が多くなり、床面から浮遊している塵埃に対する落下効果が高まる。
【0097】
上述の構成において、掃除機は、湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備えていてもよい。ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度情報の湿度が所定の下限値を下回っているときには、下限値を上回っているときよりも振動膜の振幅を大きくするように構成されていてもよい。
【0098】
室内の湿度が低ければ低いほど、室内の湿気による床面への塵埃の付着効果は小さくなる。したがって、室内の湿度が低いときには、床面から浮遊している状態の塵埃が多くなっていることが想定される。このような状態を回避するために、上述の構成では、ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度情報の湿度が所定の下限値を下回っているときには、この下限値を上回っているときよりも振動膜の振幅が大きくする。この結果、室内の湿度が下限値を下回るほど低いときには、ミストの生成量が多くなり、床面から浮遊している塵埃に対する落下効果が高まる。
【0099】
上述の構成において、掃除機は、湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備えていてもよい。ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度情報の湿度が所定の上限値を上回っているときには、上限値を下回っているときよりも振動膜の振幅を小さくするように構成されていてもよい。
【0100】
湿度が高い場合、床面に付着したミストは乾燥しにくい。このため、湿度が高い場合には、ミストの放出量が低減されることが好ましい。湿度に応じてミストの放出量を調整できるように、上述の構成では、ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度情報の湿度が所定の上限値を上回っているときには、この上限値を下回っているときよりも振動膜の振幅が小さくする。この結果、湿度が上限値を上回るほど高いときには、ミストの生成量が少なくなり、床面が過度に濡れることが防止される。
【0101】
上述の構成において、掃除機は、湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備えていてもよい。ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度情報の湿度が高ければ高いほど振動膜の振幅を小さくするように構成されていてもよい。
【0102】
上述の構成では、ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度情報の湿度が高ければ高いほど、振動膜の振幅を小さくするので、湿度が高いときには、ミストの生成量は少なくなる。このため、床面が過度に濡れることが防止される。逆に、湿度が低いときには、ミストの生成量は多くなる。このため、ミストによって捕捉されて落下する塵埃の量を増加させることができる。
【0103】
上述の構成において、掃除機は、床面の種類を検出する床面検出部を更に備えていてもよい。ミスト調整部は、床面検出部が検出した床面の種類が、第1種の床面よりも吸湿性の高い第2種の床面である場合には、床面検出部が検出した床面の種類が第1種の床面であるときよりも振動膜の振幅を小さくするように構成されていてもよい。
【0104】
床面が、例えば、絨毯により形成されていれば、床面は、高い吸湿性を有する。高い吸湿性を有する床面に多量のミストが放出されれば、清掃後においても、床面が湿った状態が維持され得る。このような状態を回避するために、上述の構成では、吸湿性が比較的高い第2種の床面を床面検出部が検出した場合には、ミスト調整部は、振動膜の振幅を小さくする。これにより、ミストの生成量が小さくなり、床面が乾燥するまでの時間長が短くなる。
【0105】
上述の実施形態に係る他の局面に係る掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力により塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間を形成しているとともに床面上を移動可能に構成されたノズルケースと、吸込空間内に配置されて床面に接触しながら回転できるようにノズルケースに保持されたブラシローラと、を有している吸込ノズルと、液体を貯留する貯液部と、貯液部内の液体からミストを生成するミスト生成部と、ミスト生成部によるミストの生成量を調整するミスト調整部と、を備えている。ミスト生成部は、貯液部に設けられた開口を塞ぐように設けられた振動膜と、貯液部内の液体を流動させるように振動膜を振動させる振動発生部と、を有している。振動膜には、振動膜が静止しているときに液体を通過させない大きさを有している一方で、振動膜が振動しているときに液体を通過させてミストを吸込空間内に放出する複数の放出孔が形成されている。ミスト調整部は、振動膜の振幅を変更することにより、複数の放出孔を通過した液体がミストになって貯液部の外に放出される量を調整可能に構成されている。
【0106】
上述の構成では、ミスト生成部は、吸込空間にミストを放出するので、吸込空間内に配置されたブラシローラは、ミストによって湿る。湿ったブラシローラが床面に接触しながら回転すると、床面上の塵埃がブラシローラに付着し、床面に対して湿式の清掃がなされる。掃除機にはミスト調整部が設けられているので、ミスト調整部により、ブラシローラがどの程度湿った状態にされるかが調整可能になっている。
【0107】
上述の構成において、貯液部には、液体として水が貯留されていてもよい。ブラシローラは、ノズルケースによって回転可能に保持されたローラ本体と、ローラ本体の外周面から突出して床面に接触する親水性のブラシと、を有していてもよい。
【0108】
上述の構成では、ローラ本体の外周面から突出したブラシは、親水性であるので、ミスト生成部から放出されてブラシに付着したミストは、床面に接触しても、ブラシに付着した状態を維持しやすくなる。このため、ブラシは、湿った状態を維持しやすくなるとともに、過度に多くの水が床面に乗り移ることが防止される。
【0109】
上述の構成において、掃除機は、湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備えていてもよい。ミスト調整部は、湿度センサが検出した湿度が所定の上限値を上回っているときには、上限値を下回っているときよりも振動膜の振幅を小さくするように構成されていてもよい。
【0110】
湿度が高い状態で多量のミストが放出されれば、ブラシローラが過度に濡れた状態になる。この状態のブラシローラが床面に接触すれば、床面も過度に濡れた状態になり得る。床面が過度に濡れた状態になることを防ぐために、上述の構成では、ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度が所定の上限値を上回っているときには、この上限値を下回っているときよりも振動膜の振幅が小さくする。この結果、湿度が上限値を上回るほど高いときには、ミストの生成量が少なくなり、ブラシローラ、ひいては、床面が過度に濡れることが防止される。
【0111】
上述の構成において、掃除機は、湿度を表す湿度情報を取得する情報取得部を更に備えていてもよい。ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度が高ければ高いほど振動膜の振幅を小さくするように構成されていてもよい。
【0112】
上述の構成では、ミスト調整部は、情報取得部が取得した湿度が高ければ高いほど、振動膜の振幅を小さくするので、湿度が高いときには、ミストの生成量は少なくなる。このため、ブラシローラが過度に濡れた状態になることが防止される。
【0113】
上述の構成において、振動発生部は、交流電圧の印加により伸縮する圧電素子と、圧電素子に交流電圧を印加する電圧印加部と、を有していてもよい。圧電素子は、圧電素子の伸縮により振動膜が振動するように振動膜に接続されていてもよい。
【0114】
上述の構成では、電圧印加部が圧電素子に交流電圧を印加すると、圧電素子が伸縮する。圧電素子の伸縮により、振動膜が振動し、振動膜の放出孔を通じてミストが放出される。
【0115】
上述の構成において、ミスト調整部は、電圧印加部が印加する交流電圧の振幅又は周波数を変更可能に構成されていてもよい。
【0116】
上述の構成では、電圧印加部が印加する交流電圧の振幅がミスト調整部によって増加されれば、圧電素子の伸縮幅が大きくなる。この結果、振動膜の振幅が増加し、ミストの生成量が増加し得る。あるいは、電圧印加部が印加する交流電圧の周波数がミスト調整部によって振動膜の共振周波数に近づけられれば、振動膜の振幅が大きくなり、ミストの生成量が増加し得る。
【0117】
上述の構成において、掃除機は、貯液部内の液体の温度を検出する温度センサを更に備えていてもよい。貯液部内の水の温度を検出する温度センサを更に備えていてもよい。ミスト調整部は、温度センサが検出した温度が所定の値を下回っているときには、所定の値を上回っているときよりも振動膜の振幅が大きくするように構成されていてもよい。
【0118】
貯液部内の液体の温度が低くなればなるほど、液体の粘度が上がり、液体は、放出孔を通過しにくくなる。この結果、貯液部内の液体の温度が低くなればなるほど、ミストの生成量が低下し得る。このような生成量の低下を抑制するために、上述の構成では、ミスト調整部は、温度センサが検出した温度が所定の値を下回っているときには、所定の値を上回っているときよりも振動膜の振幅が大きくする。振動膜の振幅が大きくなれば、放出孔を通過する液体の量が増えるので、液温の低下に伴うミストの生成量の低下を、振動膜の振幅の増加により抑制することができる。
【0119】
上述の構成において、掃除機は、使用者によって操作される操作部を更に備えていてもよい。ミスト生成部は、操作部が操作されると作動するように構成されていてもよい。ミスト調整部は、操作部が操作された操作時刻よりも操作時刻から所定の時間が経過した後において振動膜の振幅が小さくなるように、振動膜の振幅を変更してもよい。
【0120】
上述の構成では、吸込空間内でブラシローラを回転することにより、ブラシローラは、床面に擦れて床面上の塵埃を掻き取ることができる。ブラシローラによって掻き取られた塵埃は、吸込空間に作用している吸引源の吸引力によって吸い込まれる。このとき、ブラシローラが湿っていれば、ブラシローラに付着して床面から除去される塵埃が増える。しかし、操作部が操作された操作時刻においては、ブラシローラが湿っていないことが想定される。ブラシローラを早期に湿った状態にするために、操作時刻においては、ミストの生成量を大きくすることがこのましい。このような大きなミスト生成量を得るために、振動膜の振幅は、比較的大きくされている。一方、ブラシローラがある程度湿った状態になった後にも多量のミストが放出されれば、清掃後に床面に残る液体が多くなり得る。清掃後の床面を早期に乾燥した状態にするため、操作時刻から所定の時間が経過した後の振動膜の振幅が比較的小さな値になっており、ミストの生成量が低減されている。
【0121】
上述の構成において、掃除機は、使用者によって操作される操作部を更に備えていてもよい。ミスト生成部は、操作部が操作されると作動するように構成されていてもよい。ミスト調整部は、操作部が操作された操作時刻から振動膜の振幅が低減していくように、振動膜の振幅を変更してもよい。
【0122】
上述の構成では、振動膜の振幅は、操作部が操作された操作時刻からが低減していくので、ミストの生成量は、操作時刻において高くなり、その後、低下していく。このため、ブラシローラは、早期に湿った状態になるし、清掃後に床面に残る液体が過度に多くなることも防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
上述の実施形態の掃除機は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0124】
100・・・・・・・・・掃除機
111・・・・・・・・・吸引源
150・・・・・・・・・吸込ノズル
151・・・・・・・・・ノズルケース
158・・・・・・・・・吸込空間
161,162・・・・・ブラシローラ
163・・・・・・・・・ローラ本体
164・・・・・・・・・ブラシ
165,166・・・・・ローラ
180・・・・・・・・・貯液部
181,225・・・・・開口
190・・・・・・・・・ミスト生成部
191・・・・・・・・・振動膜
193・・・・・・・・・振動発生部
194・・・・・・・・・放出孔
218・・・・・・・・・ミスト調整部
219・・・・・・・・・情報取得部
263・・・・・・・・・床面検出部
図1
図2
図3
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