(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140510
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】液圧駆動システム
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20241003BHJP
F15B 11/00 20060101ALI20241003BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F15B11/02 M
F15B11/00 Q
F15B11/02 F
E02F9/22 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051674
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】原田 龍樹
(72)【発明者】
【氏名】地頭所 久雄
(72)【発明者】
【氏名】畑 直希
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003AB05
2D003BA05
2D003BB12
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB08
2D003FA02
3H089AA22
3H089AA60
3H089AA72
3H089AA74
3H089BB30
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA03
3H089DA07
3H089DA13
3H089DA14
3H089DB33
3H089DB44
3H089DB47
3H089DB48
3H089DB49
3H089EE36
(57)【要約】
【課題】第1液圧ポンプの寿命を向上させることができる液圧駆動システムを提供する。
【解決手段】液圧駆動システムは、第1液圧ポンプと、第2液圧ポンプと、複数の第1方向制御弁と、第1バイパスカット弁と、複数の第2方向制御弁と、第2バイパスカット弁と、を備え、複数の第1方向制御弁は、複数の液圧アクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータに接続される圧源切換機能付き方向制御弁を含み、圧源切換機能付き方向制御弁は、液通路を介して第1液圧ポンプに接続され、対象アクチュエータと液通路とを接続し且つ第1バイパス通路を開く供給位置に切換ることができ、液通路は、圧源切換機能付き方向制御弁への流れを許容する逆止弁が介在し、且つ逆止弁の下流側に合流通路が接続され、合流通路は、第2バイパス通路であって第2バイパスカット弁の上流側に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液を吐出する第1液圧ポンプと、
作動液を吐出する第2液圧ポンプと、
前記第1液圧ポンプに夫々接続され且つ互いに異なる液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第1液圧ポンプとタンクとに繋がる第1バイパス通路を夫々開閉する複数の第1方向制御弁と、
前記第1バイパス通路において前記複数の第1方向制御弁より下流側に介在する第1バイパスカット弁と、
前記第2液圧ポンプに夫々接続され且つ互いに異なる前記液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第2液圧ポンプとタンクとに繋がる第2バイパス通路を夫々開閉する複数の第2方向制御弁と、
前記第2バイパス通路において複数の前記第2方向制御弁より下流側に介在する第2バイパスカット弁と、を備え、
前記複数の第1方向制御弁は、複数の前記液圧アクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータに接続される圧源切換機能付き方向制御弁を含み、
前記圧源切換機能付き方向制御弁は、液通路を介して前記第1液圧ポンプに接続され、前記対象アクチュエータと前記液通路とを接続し且つ前記第1バイパス通路を開く供給位置に切換ることができ、
前記液通路は、前記圧源切換機能付き方向制御弁への流れを許容する逆止弁が介在し、且つ前記逆止弁の下流側に合流通路が接続され、
前記合流通路は、前記第2バイパス通路における前記第2バイパスカット弁の上流側に接続されている、液圧駆動システム。
【請求項2】
前記液通路の接続先を前記第1液圧ポンプから前記第2液圧ポンプに切換える切換弁を更に備えている、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項3】
前記複数の第1方向制御弁には、前記液圧アクチュエータの1つである第1走行モータに接続される第1走行用方向制御弁が含まれ、
前記複数の第2方向制御弁には、前記液圧アクチュエータの1つである第2走行モータに接続される第2走行用方向制御弁が含まれ、
前記第2走行用方向制御弁は、前記第2バイパス通路から分岐する分岐通路に接続され、
前記切換弁は、前記第1液圧ポンプを前記液通路に接続し且つ前記第2液圧ポンプを前記第2バイパス通路に接続する第1位置と、前記第2液圧ポンプを前記液通路及び前記第2バイパス通路に接続する第2位置と、前記第2バイパス通路に前記第1液圧ポンプを接続し且つ前記液通路に前記第2液圧ポンプを接続する第3位置に切換可能に構成されている、請求項2に記載の液圧駆動システム。
【請求項4】
前記圧源切換機能付き方向制御弁に接続される前記対象アクチュエータは、液圧ブレーカを作動させるブレーカ用アクチュエータである、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項5】
複数の前記液圧アクチュエータの各々を操作する操作指令を出力する操作装置と、
前記圧源切換機能付き方向制御弁、前記第1バイパスカット弁、及び前記第2バイパスカット弁を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ所定の圧源切換条件を充足すると、前記圧源切換機能付き方向制御弁を供給位置に切換えると共に、前記第1バイパスカット弁を開き且つ前記第2バイパスカット弁を閉じる、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項6】
前記複数の液圧アクチュエータの各々を操作する操作指令を出力する操作装置と、
前記圧源切換機能付き方向制御弁、前記第1バイパスカット弁、前記第2バイパスカット弁、及び前記切換弁を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ所定の圧源切換条件を充足すると、前記切換弁を第2位置に切換且つ前記圧源切換機能付き方向制御弁を供給位置に切換えると共に、前記第1バイパスカット弁を開き且つ前記第2バイパスカット弁を閉じる、請求項2に記載の液圧駆動システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記対象アクチュエータを含む前記複数の液圧アクチュエータを操作する操作指令が出力されると、前記切換弁を第1位置に切換ると共に、前記第1バイパスカット弁を閉じ且つ前記第2バイパスカット弁を開く、請求項6に記載の液圧駆動システム。
【請求項8】
前記第2液圧ポンプは、可変容量形の液圧ポンプであって、
前記制御装置は、前記対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ所定の圧源切換条件を充足すると、操作指令に応じて前記第2液圧ポンプの吐出容量を変える、請求項6に記載の液圧駆動システム。
【請求項9】
作動液を吐出する第1液圧ポンプと、
作動液を吐出する第2液圧ポンプと、
前記第1液圧ポンプに並列するように夫々接続され且つ互いに異なる液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第1液圧ポンプ及びタンクに繋がる第1バイパス通路を夫々開閉する複数の第1方向制御弁と、
前記第1バイパス通路において前記複数の第1方向制御弁より下流側に設けられる第1バイパスカット弁と、
前記第2液圧ポンプに並列するように夫々接続され且つ互いに異なる前記液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第2液圧ポンプに繋がる第2バイパス通路を夫々開閉する複数の第2方向制御弁と、
前記第2バイパス通路において複数の前記第2方向制御弁より下流側に設けられる第2バイパスカット弁と、
前記第1液圧ポンプと前記第2液圧ポンプの接続先を切換える切換弁と、を備え、
前記複数の第1方向制御弁は、圧源切換機能付き方向制御弁と、第1走行用方向制御弁と、を含み、
前記複数の第2方向制御弁は、第2走行用方向制御弁を含み、
前記圧源切換機能付き方向制御弁は、複数の前記液圧アクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータに接続されると共に液通路及び前記切換弁を介して前記第1液圧ポンプに接続され、前記対象アクチュエータと前記液通路とを接続し且つ前記第1バイパス通路を開く供給位置に切換可能であり、
前記第1走行用方向制御弁は、前記液圧アクチュエータの1つである第1走行モータに接続され、
前記第2走行用方向制御弁は、前記液圧アクチュエータの1つである第2走行モータに接続されると共に前記第2バイパス通路から分岐する分岐通路に接続され、
前記切換弁は、前記第1液圧ポンプを前記液通路に接続し且つ前記第2液圧ポンプを前記第2バイパス通路に接続する第1位置と、前記第1液圧ポンプを前記液通路及び前記第2バイパス通路に接続する第2位置と、前記第1液圧ポンプを前記第2バイパス通路に接続し且つ前記第2液圧ポンプを前記液通路に接続する第3位置に切換可能に構成されている、液圧駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つの液圧ポンプを備える液圧駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両及び建設車両等の液圧車両は、バケット及びブレーカ等のアタッチメントを液圧アクチュエータによって動かすことによって、種々の作業を行う。このような機能を有する液圧車両には、液圧アクチュエータに作動液を供給して動かすべく液圧駆動システムを備えている。液圧駆動システムの一例として例えば特許文献1の液圧制御装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液圧制御装置では、予備用制御弁を備えており、予備用制御弁にブレーカを駆動するブレーカ用アクチュエータが接続されている。ブレーカ用アクチュエータには、主に第1ポンプからの作動液が供給される。他方、ブレーカ用アクチュエータは、ツールを打撃ストロークさせる際に脈動を発生させる。それ故、第1ポンプにかかる負担が大きくなるので、第2ポンプに対して第1ポンプの寿命が短くなる。
【0005】
そこで本開示は、第1液圧ポンプの寿命を向上させることができる液圧駆動システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示の液圧駆動システムは、作動液を吐出する第1液圧ポンプと、作動液を吐出する第2液圧ポンプと、前記第1液圧ポンプに夫々接続され且つ互いに異なる液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第1液圧ポンプとタンクとに繋がる第1バイパス通路を夫々開閉する複数の第1方向制御弁と、前記第1バイパス通路において前記複数の第1方向制御弁より下流側に介在する第1バイパスカット弁と、前記第2液圧ポンプに夫々接続され且つ互いに異なる前記液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第2液圧ポンプとタンクとに繋がる第2バイパス通路を夫々開閉する複数の第2方向制御弁と、前記第2バイパス通路において複数の前記第2方向制御弁より下流側に介在する第2バイパスカット弁と、を備え、前記複数の第1方向制御弁は、複数の前記液圧アクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータに接続される圧源切換機能付き方向制御弁を含み、前記圧源切換機能付き方向制御弁は、液通路を介して前記第1液圧ポンプに接続され、前記対象アクチュエータと前記液通路とを接続し且つ前記第1バイパス通路を開く供給位置に切換ることができ、前記液通路は、前記圧源切換機能付き方向制御弁への流れを許容する逆止弁が介在し、且つ前記逆止弁の下流側に合流通路が接続され、前記合流通路は、前記第2バイパス通路における前記第2バイパスカット弁の上流側に接続されているものである。
【0007】
第1の開示の液圧駆動システムに従えば、圧源切換機能付き方向制御弁が供給位置に切換可能であって、合流通路が液通路における逆止弁の下流側と第2バイパス通路における第2バイパスカット弁の上流側とに接続されている。それ故、第1バイパスカット弁を開きつつ第2バイパスカット弁を閉じ、且つ圧源切換機能付き方向制御弁を供給位置に切換えることによって、液圧駆動システムが以下のように駆動する。即ち、第1液圧ポンプをアンロード状態にしつつ、第2液圧ポンプの作動液を合流通路を介して対象アクチュエータに供給することができる。それ故、対象アクチュエータに作動液を供給する圧源を第2液圧ポンプに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプの寿命(即ち、交換時期)を向上させることができる。
【0008】
第2の開示の液圧駆動システムは、作動液を吐出する第1液圧ポンプと、作動液を吐出する第2液圧ポンプと、前記第1液圧ポンプに並列するように夫々接続され且つ互いに異なる液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第1液圧ポンプ及びタンクに繋がる第1バイパス通路を夫々開閉する複数の第1方向制御弁と、前記第1バイパス通路において前記複数の第1方向制御弁より下流側に設けられる第1バイパスカット弁と、前記第2液圧ポンプに並列するように夫々接続され且つ互いに異なる前記液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第2液圧ポンプに繋がる第2バイパス通路を夫々開閉する複数の第2方向制御弁と、前記第2バイパス通路において複数の前記第2方向制御弁より下流側に設けられる第2バイパスカット弁と、前記第1液圧ポンプと前記第2液圧ポンプの接続先を切換える切換弁と、を備え、前記複数の第1方向制御弁は、圧源切換機能付き方向制御弁と、第1走行用方向制御弁と、を含み、前記複数の第2方向制御弁は、第2走行用方向制御弁を含み、前記圧源切換機能付き方向制御弁は、複数の前記液圧アクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータに接続されると共に液通路及び前記切換弁を介して前記第1液圧ポンプに接続され、前記対象アクチュエータと前記液通路とを接続し且つ前記第1バイパス通路を開く供給位置に切換可能であり、前記第1走行用方向制御弁は、前記液圧アクチュエータの1つである第1走行モータに接続され、前記第2走行用方向制御弁は、前記液圧アクチュエータの1つである第2走行モータに接続されると共に前記第2バイパス通路から分岐する分岐通路に接続され、前記切換弁は、前記第1液圧ポンプを前記液通路に接続し且つ前記第2液圧ポンプを前記第2バイパス通路に接続する第1位置と、前記第1液圧ポンプを前記液通路及び前記第2バイパス通路に接続する第2位置と、前記第1液圧ポンプを前記第2バイパス通路に接続し且つ前記第2液圧ポンプを前記液通路に接続する第3位置に切換可能に構成されているものである。
【0009】
第2の開示の液圧駆動システムに従えば、圧源切換機能付き方向制御弁は、供給位置に切換可能に構成されている。それ故、切換弁を第2位置に切り替えた状態で、第1バイパスカット弁を開きつつ第2バイパスカット弁を閉じることによって、液圧駆動システムが以下のように駆動する。即ち、第1液圧ポンプをアンロード状態にしつつ、第2液圧ポンプの作動液を液通路を介して対象アクチュエータに供給することができる。それ故、対象アクチュエータに作動液を供給する圧源を第2液圧ポンプに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプの寿命(即ち、交換時期)を向上させることができる。
【0010】
また、切換弁は、第3位置において第2バイパス通路に第1液圧ポンプを接続することによって、分岐通路を介して第2方向制御弁を第1液圧ポンプに接続する。それ故、切換弁は、第3位置において、第1液圧ポンプから第1走行用方向制御弁及び第2走行用方向制御弁の両方に作動液を供給することができる。即ち、切換弁は、走行直進弁として機能することができる。このような切換弁を圧源切換弁としても機能させることができるので、液圧駆動システムの部品点数を低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
第1及び第2の開示の液圧駆動システムによれば、第1液圧ポンプの寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態に係る液圧駆動システムを示す液圧回路図である。
【
図2】
図1の液圧駆動システムで実施されるブレーカ駆動方法の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図1の液圧駆動システムにおいて、第1液圧ポンプの作動液がブレーカシリンダに供給される状態を示す液圧回路図である。
【
図4】
図1の液圧駆動システムにおいて、第2液圧ポンプの作動液がブレーカシリンダに供給される状態を示す液圧回路図である。
【
図5】本開示の他の実施形態に係る液圧駆動システムを示す液圧回路図である。
【
図6】本開示の更に他の実施形態に係る液圧駆動システムを示す液圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る実施形態の液圧駆動システム1について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する液圧駆動システム1は、本開示の一実施形態に過ぎない。従って、本開示は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0014】
<液圧車両>
建設車両及び産業車両等の液圧車両は、走行し、また様々な作業を行うことができる。本実施形態において、液圧車両は、液圧ショベル(図示せず)である。液圧ショベルは、走行装置によって走行することができる。更に詳細に説明すると、走行装置は、
図1に示すような2つの走行モータ2,3を備えている。液圧アクチュエータの一例である2つの走行モータ2,3は、作動液(例えば、油又は水等の液体)が供給されることによって液圧ショベルを走行させる。
【0015】
また、液圧ショベルにおいて、走行装置の上には、旋回体が旋回可能に設けられている。更に、旋回体には、ブーム及びアームを介してバケットが設けられている。それ故、液圧ショベルは、旋回体を旋回させることによってバケットを種々の方向に向けることができる。また、液圧ショベルは、ブーム、アーム、及びバケットを上下方向に揺動させることによって、バケットを用いて掘削や均平整地を行うことができる。
【0016】
また、液圧ショベルでは、バケットに代えてアームの先端部分にブレーカを取り付けることができる。ブレーカは、バケット同様に、旋回体を旋回させることによって種々の方向に向けられる。更に、ブレーカのツールを振動させることによって破砕作業、掘削作業、及び小割作業等を行うことができる。
【0017】
このように構成されている液圧ショベルは、2つの走行モータ2,3の他にも複数の液圧アクチュエータ4~8及び液圧駆動システム1を備えている。複数の液圧アクチュエータ4~8は、例えば旋回モータ4、アームシリンダ5、バケットシリンダ6、ブームシリンダ7、及びブレーカ用アクチュエータ8である。旋回モータ4、アームシリンダ5、バケットシリンダ6、及びブームシリンダ7は、旋回体、アーム、バケット、及びブームを夫々動かす。また、ブレーカ用アクチュエータ8は、ブレーカのツールを駆動させる(即ち、振動させる)。ブレーカ用アクチュエータ8は、例えばブレーカシリンダ8であるが、液圧モータであってもよい。
【0018】
<液圧駆動システム>
図1に示す液圧駆動システム1は、複数の液圧アクチュエータ4~8に作動液を供給することによって複数の液圧アクチュエータ4~8を作動させる。より詳細に説明すると、液圧駆動システム1は、複数の液圧アクチュエータ2~8への作動液の流れを制御する。これにより、液圧駆動システム1は、複数の液圧アクチュエータ2~7の動きを制御する。以下では、液圧駆動システム1の構成が更に詳細に説明される。
【0019】
液圧駆動システム1は、2つの液圧ポンプ11L,11Rと、複数の第1方向制御弁12~15と、第1バイパスカット弁16と、複数の第2方向制御弁17~19と、第2バイパスカット弁20と、切換弁21と、操作装置22と、モード切換装置23と、制御装置24と、を備えている。本実施形態において、液圧駆動システム1には、4つの第1方向制御弁12~15と、3つの第2方向制御弁17~19が備わっている。但し、液圧駆動システム1における第1方向制御弁及び第2方向制御弁の数は、前述するに限定されない。
【0020】
2つの液圧ポンプ11L,11Rの各々は、作動液を吐出する。更に詳細に説明すると、2つの液圧ポンプ11L,11Rは、図示しない駆動源(例えば、エンジン又は電動機)に繋がっている。2つの液圧ポンプ11L,11Rは、駆動源によって回転駆動されることによって作動液を吐出する。2つの液圧ポンプ11L,11Rは、本実施形態において可変容量形の斜板ポンプである。即ち、2つの液圧ポンプ11L,11Rは、入力される信号に応じて吐出容量を変更する。なお、2つの液圧ポンプ11L,11Rは、斜板ポンプに限定されるものではなく、斜軸ポンプであってもよい。また、液圧ポンプ11L,11Rは、第1ポンプ通路31L及び第2ポンプ通路31Rに夫々接続されている。第1ポンプ通路31Lには、第1バイパス通路32Lが接続されている。また、第1ポンプ通路31Lは、後述する切換弁21を介して第1液通路33Lにも接続されている。第2ポンプ通路31Rは、第2液通路33Rに繋がっている。また、第2ポンプ通路31Rは、後で詳述する切換弁21を介して第2バイパス通路32Rにも繋がっている。
【0021】
4つの第1方向制御弁12~15は、第1液圧ポンプ11Lに並列するように夫々接続されている。より詳細に説明すると、4つの第1方向制御弁12~15は、切換弁21を介して互いに繋がる第1ポンプ通路31L及び第1液通路33Lに並列するように接続されている。本実施形態では、第1ポンプ通路31Lに1つの第1方向制御弁12(後で詳述する第1走行用方向制御弁12)が接続され、第1液通路33Lに3つの第1方向制御弁13~15が並列するように接続されている。更に詳細に説明すると、第1液通路33Lは、接続通路33La~33Lcを有している。接続通路33La~33Lcは、第1液通路33Lにおいて互いに並列しており、各々に第1方向制御弁13~15が夫々接続されている。また、接続通路33La~33Lcには、第1方向制御弁13~15への流れを許容する逆止弁34~36が介在している。また、第1液通路33Lには、接続通路33La~33Lcの上流側において、接続通路33La~33Lcへの流れを許容する逆止弁43が介在している。
【0022】
また、第1方向制御弁12~15の各々は、ノーマルオープン形の方向制御弁であって、第1バイパス通路32Lに介在している。本実施形態において、第1方向制御弁12~15の各々は、その順番で第1バイパス通路32Lに介在している。第1方向制御弁12~15の各々は、第1バイパス通路32Lを開閉する。また、第1バイパス通路32Lは、後で詳述する第1走行用方向制御弁12と旋回用方向制御弁13との間において、第1液通路33Lの流れを許容する逆止弁37を介して第1液通路33Lと繋がっている。以下では、第1方向制御弁12~15の各々が更に詳細に説明される。
【0023】
第1方向制御弁12~15は、互いに異なる液圧アクチュエータ2,4,5,8に夫々接続されている。より詳細に説明すると、第1方向制御弁12~15の各々は、第1走行用方向制御弁12、旋回用方向制御弁13、アーム用方向制御弁14、及びブレーカ用方向制御弁15である。第1方向制御弁12は、一方の走行モータ2である第1走行モータ2に接続されている。旋回用方向制御弁13は、旋回モータ4に接続されている。アーム用方向制御弁14は、アームシリンダ5に接続されている。ブレーカ用方向制御弁15は、対象アクチュエータであるブレーカシリンダ8に接続されている。第1方向制御弁12~15の各々は、接続される液圧アクチュエータ2,4,5,8への作動液の流れ(即ち、作動液の方向及び流量)を制御する。
【0024】
より詳細に説明すると、第1方向制御弁12~14の各々は、例えば電子制御式のスプール弁である。即ち、第1方向制御弁12~14の各々は、入力される信号に応じてスプール12a~14aを動かす。そして、第1方向制御弁12~14の各々は、スプール12a~14aを動かすことによって、接続される液圧アクチュエータ2,4,5に流れる作動液の方向を制御する。また、第1方向制御弁12~14の各々は、スプール12a~14aを動かすことによって開度を変えることができる。これにより、第1方向制御弁12~14の各々は、接続される液圧アクチュエータ2,4,5に流れる作動液の流量を制御する。更に、第1方向制御弁12~14は、前述の通りノーマルオープン形の方向制御弁であって、スプール12a~14aを動かすことによって第1バイパス通路32Lを絞るようになっている。
【0025】
圧源切換機能付き方向制御弁の一例であるブレーカ用方向制御弁15は、前述の通り、第1液通路33Lを介して第1液圧ポンプ11Lに接続されている。より詳細に説明すると、ブレーカ用方向制御弁15は、第1液通路33Lの接続通路33Lcに接続されている。また、接続通路33Lcには、後で詳述する合流通路41が逆止弁36の下流側に接続されている。更に、ブレーカ用方向制御弁15は、供給位置の一例である第1供給位置A1に切り替えることができる。第1供給位置A1では、ブレーカシリンダ8と第1液通路33L(より詳細に説明すると、接続通路33Lc)とが接続される。
【0026】
より詳細に説明すると、ブレーカ用方向制御弁15は、例えば電子制御式のスプール弁である。即ち、ブレーカ用方向制御弁15は、入力される信号に応じてスプール15aを動かす。そして、ブレーカ用方向制御弁15は、スプール15aを動かすことによって、ブレーカシリンダ8に流れる作動液の方向を制御する。また、ブレーカ用方向制御弁15は、スプール15aを動かすことによって開度を変えることができる。これにより、ブレーカ用方向制御弁15は、ブレーカシリンダ8に流れる作動液の流量を制御する。また、第1供給位置A1では、第1バイパス通路32Lが開かれる。
【0027】
また、ブレーカ用方向制御弁15は、3ポジションの方向制御弁であって、スプール15aを動かすことによって中立位置M1、第1供給位置A1、及び第2供給位置A2に切換えることができる。中立位置M1では、ブレーカシリンダ8と第1液通路33Lとの間が遮断され、第1バイパス通路32Lが開かれる。第1供給位置A1では、前述の通り、第1バイパス通路32Lが開かれたまま、ブレーカシリンダ8と第1液通路33Lとが接続される。第2供給位置A2では、第1バイパス通路32Lが開かれ、且つブレーカシリンダ8と第1液通路33Lとが接続される。
【0028】
第1バイパスカット弁16は、第1バイパス通路32Lにおいて、4つの方向制御弁12~15より下流側に介在している。第1バイパスカット弁16は、第1バイパス通路32Lからタンク25への作動液の流れを遮断することができる。第1バイパスカット弁16は、例えば電磁切換弁及び電子制御式スプール弁である。即ち、第1バイパスカット弁16は、入力される信号に応じて第1バイパス通路32Lを閉じる。これにより、第1バイパス通路32Lからタンク25への作動液の流れが遮断される。
【0029】
3つの第2方向制御弁17~19は、第2液圧ポンプ11Rに並列するように夫々接続されている。より詳細に説明すると、3つの第2方向制御弁17~19は、互いに繋がる第2ポンプ通路31R及び第2液通路33Rに並列するように接続されている。より詳細に説明すると、複数の第2方向制御弁17~19のうちの1つの第2方向制御弁17(後で詳述する第2走行用方向制御弁17)は、後で詳述する切換弁21を介して第2ポンプ通路31Rに接続されている。更に詳細に説明すると、第2方向制御弁17は、第2バイパス通路32Rから分岐する分岐通路42に接続されており、分岐通路42、第2バイパス通路32R及び切換弁21を介して第2ポンプ通路31Rに接続されている。2つの第2方向制御弁18,19は、第2液通路33Rに並列するように接続されている。なお、第2方向制御弁18~19は、本実施形態において逆止弁38,39を介して第2液通路33Rに接続されている。また、第2液通路33Rには、逆止弁38,39より更に上流側において、各第2方向制御弁18~19への流れを許容する逆止弁44が介在している。
【0030】
また、3つ第2方向制御弁17~19の各々は、ノーマルオープン形の方向制御弁であって、第2バイパス通路32Rに介在している。本実施形態において、第2方向制御弁17~19の各々は、その順番で第2バイパス通路32Rに介在している。第2方向制御弁17~19の各々は、第2バイパス通路32Rを開閉する。また、第2バイパス通路32Rは、後で詳述する第2走行用方向制御弁17とバケット用方向制御弁18との間において、第2液通路33Rの流れを許容する逆止弁40を介して第2液通路33Rと繋がっている。以下では、第2方向制御弁17~19の各々が更に詳細に説明される。
【0031】
第2方向制御弁17~19は、互いに異なる液圧アクチュエータ3,6,7に夫々接続されている。より詳細に説明すると、第2方向制御弁17~19の各々は、第2走行用方向制御弁17、バケット用方向制御弁18、及びブーム用方向制御弁19である。第2走行用方向制御弁17は、他方の走行モータ3である第2走行モータ3に接続されている。バケット用方向制御弁18は、バケットシリンダ6に接続されている。ブーム用方向制御弁19は、ブームシリンダ7に接続されている。第2方向制御弁17~19の各々は、接続される液圧アクチュエータ3,6,7への作動液の流れを制御する。
【0032】
より詳細に説明すると、第2方向制御弁17~19の各々は、例えば電子制御式のスプール弁である。即ち、第2方向制御弁17~19の各々は、入力される信号に応じてスプール17a~19aを動かす。そして、第2方向制御弁17~19の各々は、スプール17a~19aを動かすことによって、接続される液圧アクチュエータ3,6,7に流れる作動液の方向を制御する。また、第2方向制御弁17~19は、スプール17a~19aを動かすことによって開度を変えることができる。これにより、第2方向制御弁17~19は、接続される液圧アクチュエータ3,6,7に流れる作動液の流量を制御する。また、第2方向制御弁17~19は、前述の通りノーマルオープン形の方向制御弁であって、スプール17a~19aを動かすことによって第1バイパス通路32Lを絞るようになっている。
【0033】
第2バイパスカット弁20は、第2バイパス通路32Rにおいて、3つの方向制御弁17~19より下流側に介在している。第2バイパスカット弁20は、第2バイパス通路32Rからタンク25への作動液の流れを遮断することができる。第2バイパスカット弁20は、例えば電磁切換弁及び電子制御式スプール弁である。即ち、第2バイパスカット弁20は、入力される信号に応じて第2バイパス通路32Rを閉じる。これにより、第2バイパス通路32Rからタンク25への作動液の流れが遮断される。
【0034】
また、第2バイパス通路32Rには、合流通路41が接続されている。合流通路41は、第2バイパス通路32Rであって第2バイパスカット弁20の上流側に接続されている。また、合流通路41は、前述の通り、接続通路33Lcであって逆止弁36の下流側に接続されている。また、合流通路41には、第2バイパスカット弁20から接続通路33Lcへの流れを許容する逆止弁45が介在している。
【0035】
切換弁21は、第1液通路33Lの接続先を第1液圧ポンプ11Lから第2液圧ポンプ11Rに切換える。より詳細に説明すると、切換弁21は、2つの液圧ポンプ11L,11R(更に詳細に説明すると、ポンプ通路31L,31R)、第2バイパス通路32R、及び第1液通路33Lに接続されている。そして、切換弁21は、本実施形態において以下のようにして第2走行用方向制御弁17と接続されている。即ち、切換弁21は、第2バイパス通路32R及び分岐通路42を介して第2走行用方向制御弁17に接続されている。
【0036】
切換弁21は、本実施形態においていわゆる走行直進弁であって、2つの液圧ポンプ11L,11Rの各々の接続先を切換える。詳細に説明すると、切換弁21は、電子制御式のスプール弁であって、入力される信号に応じてスプール13aを3つの位置M2,A1,A2に切換える。第1位置である中立位置M2では、第1ポンプ通路31Lと第1液通路33Lとが接続され、且つ第2ポンプ通路31Rと第2バイパス通路32Rとが接続される。第2位置である第1オフセット位置B1では、第2ポンプ通路31Rが第1液通路33L及び第2バイパス通路32Rの両方に接続される。そして、第1ポンプ通路31Lは、切換弁21において遮断される。第3位置である第2オフセット位置B2では、第1ポンプ通路31Lと第2バイパス通路32Rとが接続され、且つ第2ポンプ通路31Rと第1液通路33Lとが接続される。
【0037】
操作装置22は、複数の液圧アクチュエータ2~8を作動させる操作指令を制御装置24に出力する。操作装置22は、例えば操作弁、電気ジョイスティック、及びフットペダル等である。本実施形態において、操作装置22は、電気ジョイスティック及びフットペダルである。操作装置22は、複数の操作具22a~22eを有している。本実施形態において、複数の操作具22a~22eは、4つの操作レバー22a~22d及びペダル22eを含む。そして、操作装置22は、4つの操作レバー22a~22b及びペダル22eの操作(本実施形態において操作方向及び操作量)に応じて各液圧アクチュエータ2~8に対する操作指令を出力する。なお、操作指令は、複数の液圧アクチュエータ2~8の各々の動作量(変位量及び速度等)を指示する指令である。
【0038】
モード切換装置23は、圧源モードを切換えることができる。圧源モードは、通常モードと圧源切換モードとを切換えることができる。通常モードは、後で詳述するようにブレーカシリンダ8の圧源を第1液圧ポンプ11Lとするモードである。圧源切換モードは、後で詳述するようにブレーカシリンダ8の圧源を第2液圧ポンプ11Rとするモードである。モード切換装置23は、圧源モードを切換える切換操作に応じて切換指令を出力する。モード切換装置23は、例えばタッチパネル又はスイッチ装置である。本実施形態において、モード切換装置23は、スイッチ装置である。
【0039】
制御装置24は、操作装置22からの操作指令に応じて第1方向制御弁12~15、第1バイパスカット弁16、第2方向制御弁17~19、第2バイパスカット弁20,及び切換弁21の動作を制御する。より詳細に説明すると、制御装置24には、操作装置22からの各操作指令が入力される。制御装置24は、操作指令に応じた信号を方向制御弁12~15,17~19に出力することによって、方向制御弁12~15,17~19の動きを制御する。また、制御装置24は、各操作指令に応じて信号を切換弁21、第1バイパスカット弁16、及び第2バイパスカット弁20に出力する。これにより、制御装置24は、切換弁21、第1バイパスカット弁16、及び第2バイパスカット弁20の動きを制御する。これにより、制御装置24は、操作指令に応じた流量及び方向の作動液を各液圧アクチュエータ2~8に供給する。
【0040】
また、制御装置24は、2つの液圧ポンプ11L、11Rの吐出容量を変える。より詳細に説明すると、制御装置24は、操作指令に応じて吐出容量(又は吐出流量)を算出する。制御装置24は、算出した吐出容量(又は吐出流量)に応じた信号を液圧ポンプ11L、11Rに夫々出力することによって、液圧ポンプ11L、11Rの吐出容量を夫々変える。更に、制御装置24は、モード切換装置23からの切換指令に応じて圧源モードを通常モード及び圧源切換モードの何れかに切換える。
【0041】
<液圧システムの動作について>
液圧駆動システム1は、操作レバー22a~22d及びペダル22eを操作することによって、液圧車両を走行させたり、様々な作業を行わせたりできる。以下では、操作レバー22a~22d及びペダル22eが夫々操作された場合の液圧駆動システム1の動作について更に詳しく説明する。
【0042】
[直進走行操作]
液圧駆動システム1は、操作レバー22a,22bである走行用レバー22a,22bが同時に操作されると、液圧車両を直進走行させる。より詳細に説明すると、制御装置24は、走行用レバー22a,22bが同時に操作されると、切換弁21を第2オフセット位置B2に切換える。また、制御装置24は、2つ方向制御弁12,17のスプール12a,17aを動かすことによって2つ方向制御弁12,17を作動させる。そうすると、第1液圧ポンプ11Lからの作動液が2つの走行モータ2,3の両方に供給される。これにより、液圧車両が直進走行する。また、制御装置24は、操作指令に応じて第1液圧ポンプ11Lの吐出容量を制御することによって、走行用レバー22a,22bの操作量に応じた速度で走行モータ2,3を作動させる。
【0043】
[バケット操作等]
次に操作レバー22c,22dである作業用レバー22c,22dが操作される場合について説明する。例えば、作業用レバー22c,22dが操作されると、制御装置24は、切換弁21を中立位置M2に保持しつつ、出力される操作指令に応じて方向制御弁13,15,18,19のスプール13a,15a,18a,19aを夫々作動させる。これにより、操作指令に応じて方向制御弁13,15,18,19の開度を制御することができる。また、制御装置24は、操作指令に応じて液圧ポンプ11L,11Rの吐出容量を制御する。このように開度及び吐出容量を制御することによって、操作レバー22c,22dの操作量に応じた速度で液圧アクチュエータ4~7を作動することができる。
【0044】
<ブレーカ操作>
ブレーカ用操作具の一例であるペダル22eが操作されると、制御装置24は、
図2に示すようなブレーカ駆動方法を実行する。ブレーカ駆動方法が実行されると、ステップS1に移行する。圧源切換条件判定工程であるステップS1では、制御装置24が圧源切換条件を充足しているか否かを判定する。本実施形態において、圧源切換条件は、モード切換装置23によって切換えられる圧源モードが圧源切換モードであることである。制御装置24は、モード切換装置23によって切換えられた圧源モードが通常モード及び圧源切換モードの何れであるかを判定する。なお、圧源切換条件は、第1液圧ポンプ11Lの経年劣化に応じた条件、例えば第1液圧ポンプ11Lの使用年数又は駆動時間等が所定値以上としてもよい。圧源モードが通常モードである場合、ステップS2に移行する。他方、圧源モードが圧源切換モードである場合、ステップS3に移行する。
【0045】
通常駆動工程であるステップS2では、制御装置24が第1液圧ポンプ11Lの作動液によってブレーカシリンダ8を駆動させる。即ち、制御装置24は、
図3に示すように切換弁21を中立位置M2に保持し、ブレーカ用方向制御弁15を第1供給位置A1に切換える。更に、制御装置24は、第1バイパスカット弁16を閉じ、且つ第2バイパスカット弁20を開く。これにより、第1ポンプ通路31Lが切換弁21及び逆止弁37を介して第1液通路33Lに接続される。そうすると、第1液圧ポンプ11Lの作動液が、第1液通路33Lを通り、ブレーカ用方向制御弁15を介してブレーカシリンダ8に導かれる(
図3の太線参照)。これにより、第1液圧ポンプ11Lから吐出される作動液によってブレーカシリンダ8を駆動することができる。この際、制御装置24は、操作指令に応じた信号を第1液圧ポンプ11Lに出力することによって、第2液圧ポンプ11Rの吐出容量を変える。これにより、制御装置24は、ペダル22eの操作量に応じた速度でブレーカシリンダ8(即ち、ブレーカのツール)を駆動する。その後、ペダル22eに対する操作が終了すると、ブレーカ駆動方法が終了する。
【0046】
複合操作判定工程であるステップS3では、制御装置24が操作指令に基づいてペダル22eと共に他の操作レバー22a~22dが同時に操作されたか否かを判定する。同時操作されていない場合、ステップS4に移行する。他方、同時操作されている場合、ステップS5に移行する。
【0047】
圧源切換工程であるステップS4では、制御装置24がブレーカシリンダ8を駆動する圧源を第2液圧ポンプ11Rに切換える。制御装置24は、
図4に示すように切換弁21を第1オフセット位置B1に切換え、且つブレーカ用方向制御弁15を第1供給位置A1に切換える。そうすると、第2ポンプ通路31Rが第1液通路33L及び第2バイパス通路32Rに接続される。これにより、第2液圧ポンプ11Rの作動液が第1液通路33Lを通り、ブレーカ用方向制御弁15を介してブレーカシリンダ8に導かれる(
図4の符号Aの太線参照)。また、制御装置24は、第2バイパスカット弁20を閉じる。これにより、第2バイパス通路32Rを流れる作動液が合流通路41を通り、ブレーカ用方向制御弁15を介してブレーカシリンダ8に導かれる(
図4の符号Bの太線参照)。このように、第2液圧ポンプ11Rの作動液は、第1液通路33L及び合流通路41を夫々通り、接続通路33Lcで合流する。そして、合流した作動液は、ブレーカ用方向制御弁15を介してブレーカシリンダ8に導かれる。これにより、第2液圧ポンプ11Rから吐出される作動液によってブレーカシリンダ8を駆動することができる。即ち、制御装置24は、ブレーカシリンダ8に供給する圧源を第1液圧ポンプ11Lから第2液圧ポンプ11Rに切換えることができる。また、制御装置24は、操作指令に応じた信号を第2液圧ポンプ11Rに出力することによって、第2液圧ポンプ11Rの吐出容量を変える。これにより、制御装置24は、ペダル22eの操作量に応じた速度でブレーカシリンダ8(即ち、ブレーカのツール)を駆動する。
【0048】
更に制御装置24は、第1バイパスカット弁16を開く。これにより、第1ポンプ通路31Lが第1バイパス通路32Lを介してタンク25に繋がる。第1ポンプ通路31Lは、切換弁21を第1オフセット位置B1に切換えることによって、第1ポンプ通路31Lが切換弁21によって第1液通路33L及び第2バイパス通路32Rから遮断される。それ故、第1液圧ポンプ11Lの作動液は、第1バイパス通路32Lを介してタンク25に排出され、第1液圧ポンプ11Lをアンロード状態にすることができる。その後、ペダル22eに対する操作が終了すると、ブレーカ駆動方法が終了する。
【0049】
複合操作工程であるステップS5では、制御装置24が液圧アクチュエータ2~7の少なくとも1つとブレーカシリンダ8を作動させる。例えば、制御装置24がアームシリンダ5、ブームシリンダ7、及びブレーカシリンダ8を作動させる場合について説明する。この場合、制御装置24は、切換弁21を中立位置M2に保持する。また、制御装置24は、第1バイパスカット弁16を閉じ、且つ第2バイパスカット弁20を開く。更に、制御装置24は、アーム用方向制御弁14及びブーム用方向制御弁19の各々のスプール14a,19aを作動させる。これにより、第1液圧ポンプ11Lからの作動液がアームシリンダ5に導かれ、且つ第2液圧ポンプ11Rの作動液がブームシリンダ7に作動液に導かれる。これにより、アームシリンダ5及びブームシリンダ7を作動させることができる。
【0050】
また、制御装置24は、ブレーカ用方向制御弁15を第1供給位置A1に切換える。これにより、第1ポンプ通路31Lが切換弁21及び逆止弁37を介して第1液通路33Lに接続される。そうすると、第1液圧ポンプ11Lの作動液が、第1液通路33Lを通り、ブレーカ用方向制御弁15を介してブレーカシリンダ8に導かれる。これにより、ブレーカシリンダ8を駆動させることができる。
【0051】
更に制御装置24は、操作指令に応じた信号を第1液圧ポンプ11L及び第2液圧ポンプ11Rに出力する。更に、制御装置24は、操作指令に応じてスプール14a,19aを動かすことによって、アーム用方向制御弁14及びブーム用方向制御弁19の開度を調整する。これにより、制御装置24は、操作レバー22c,22dの操作量に応じた速度でアームシリンダ5及びブームシリンダ7を作動させる。同様に、制御装置24は、操作指令に応じてブレーカ用方向制御弁15のスプール15aを動かすことによって、ブレーカ用方向制御弁15の開度を調整する。これにより、制御装置24は、ペダル22eの操作量に応じた速度でブレーカシリンダ8(即ち、ブレーカのツール)を駆動する。このように複合操作ではブレーカシリンダ8の圧源が第1液圧ポンプ11Lとなる。その後、ペダル22eに対する操作が終了すると、ブレーカ駆動方法が終了する。
【0052】
本実施形態の液圧駆動システム1において、ブレーカ用方向制御弁15が第1供給位置A1に切換可能であって、合流通路41が接続通路33Lcにおける逆止弁36の下流側と第2バイパス通路32Rにおける第2バイパスカット弁20の上流側とに接続されている。それ故、第1バイパスカット弁16を開きつつ第2バイパスカット弁20を閉じ、且つブレーカ用方向制御弁15を第1供給位置A1に切換えることによって、液圧駆動システム1が以下のように駆動する。即ち、第1液圧ポンプ11Lをアンロード状態にしつつ、第2液圧ポンプ11Rの作動液を合流通路41を介してブレーカシリンダ8に供給することができる。それ故、ブレーカシリンダ8に作動液を供給する圧源を第2液圧ポンプ11Rに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプ11Lの寿命を向上させることができる、即ち交換時期を延ばすことができる。
【0053】
また、本実施形態の液圧駆動システム1において、第1液通路33Lの接続先を第1液圧ポンプ11Lから第2液圧ポンプ11Rに切換える切換弁21が備わっている。それ故、切換弁21によって第1液通路33Lの接続先を第1液圧ポンプ11Lから第2液圧ポンプ11Rに切換えると、第2液圧ポンプ11Rからの作動液をブレーカシリンダ8に導くことができる。これにより、ブレーカシリンダ8に導く作動液の圧源を第2液圧ポンプ11Rに切換える際に、第2液圧ポンプ11Rからの作動液を合流通路41及び切換弁21の各々を介してブレーカシリンダ8に導くことができる。従って、ブレーカシリンダ8に導かれる作動液の流路圧損を低減することができる。
【0054】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1において、切換弁21は、第2オフセット位置B2において第2走行用方向制御弁17に第1液圧ポンプ11Lを接続することによって、分岐通路42を介して第2方向制御弁17を第1液圧ポンプ11Lに接続する。それ故、切換弁21は、第2オフセット位置B2において、第1液圧ポンプ11Lから第1走行用方向制御弁12及び第2走行用方向制御弁17の両方に作動液を供給することができる。即ち、切換弁21は、走行直進弁として機能することができる。このような切換弁21を圧源切換弁としても機能させることができるので、液圧駆動システム1の部品点数を低減することができる。
【0055】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1において、ブレーカ用方向制御弁15は、液圧ブレーカを作動させるブレーカシリンダ8に接続されている。それ故、液圧ブレーカを作動させる圧源を第1液圧ポンプ11L及び第2液圧ポンプ11Rに夫々切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプ11Lにかかる負荷を低減することができるので、第1液圧ポンプ11Lの寿命(即ち、交換時期)を向上させることができる。
【0056】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1において、制御装置24は、ブレーカシリンダ8を操作する操作指令が出力され且つ圧源切換条件を充足すると、ブレーカ用方向制御弁15を第1供給位置A1に切換えると共に、第1バイパスカット弁16を開き且つ第2バイパスカット弁20を閉じる。それ故、圧源切換条件を充足する際、ブレーカシリンダ8に供給される作動液の圧源を第2液圧ポンプ11Rに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプ11L第1液圧ポンプの寿命を向上させることができる。
【0057】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1では、制御装置24は、ブレーカシリンダ8を操作する操作指令が出力されると、切換弁21を第1オフセット位置B1に切換え且つブレーカ用方向制御弁15を第1供給位置A1に切換える。更に、制御装置24は、第1バイパスカット弁16を開き且つ第2バイパスカット弁20を閉じる。それ故、圧源切換条件を充足する際、ブレーカシリンダ8に供給される作動液の圧源を第2液圧ポンプ11Rに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプ11Lの寿命を向上させることができる。
【0058】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1では、制御装置24は、ブレーカシリンダ8を含む複数の液圧アクチュエータ2~8を操作する操作指令が出力されると、切換弁21を中立位置M2に切換えると共に、第1バイパスカット弁16を閉じ且つ第2バイパスカット弁20を開く。それ故、ブレーカシリンダ8に供給される作動液の圧源を第1液圧ポンプ11Lにすることができる。これにより、複数の液圧アクチュエータ2~8が同時操作される際の操作フィーリングに影響することを抑制することができる。
【0059】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1では、制御装置24は、ブレーカシリンダ8を操作する操作指令が出力され且つ圧源切換条件を充足すると、操作指令に応じて第2液圧ポンプ11Rの吐出容量を変える。それ故、操作指令に応じた速度でブレーカシリンダ8を作動させることができる。
【0060】
<その他の実施形態>
本実施形態の液圧駆動システム1は、
図5に示すようなその他の実施形態の液圧駆動システム1Aのように構成されてよい。即ち、液圧駆動システム1Aでは、液圧駆動システム1において切換弁21Aが中立位置M2と第2オフセット位置B2とに切換可能に構成されている。液圧駆動システム1Aでは、制御装置24は、切換弁21を中立位置M2に保持すると共に、第1バイパスカット弁16を開き且つ第2バイパスカット弁20を閉じる。これにより、液圧駆動システム1と同様にブレーカシリンダ8の圧源を第1液圧ポンプ11Lから第2液圧ポンプ11Rに切換えることができる。
【0061】
また、本実施形態の液圧駆動システム1は、
図6に示すような更に他の実施形態の液圧駆動システム1Bのように構成されてよい。即ち、液圧駆動システム1Bでは、液圧駆動システム1において合流通路41が形成されていない。この場合、液圧駆動システム1Bでは、第1実施形態の液圧駆動システム1と同様の方法でブレーカシリンダ8の圧源を切換えることができる。
【0062】
更に、本実施形態の液圧駆動システム1,1A,1Bでは、対象液圧アクチュエータがブレーカシリンダ8であるが、対象液圧アクチュエータはブレーカシリンダ8に限定されず、他の液圧シリンダ及び液圧モータであってもよい。また、液圧駆動システム1,1A,1Bが備える第1方向制御弁12~15及び第2方向制御弁17~19の各々の数も前述する数に限定されず、他の方向制御弁を備えていてもよい。また、第1方向制御弁及び第2方向制御弁の各々に1つの液圧アクチュエータに接続される方向制御弁が備わっていてもよい。例えば、第1方向制御弁に第1ブーム用方向制御弁が含まれ且つ第2方向制御弁に第2ブーム用方向制御弁が含まれ、各ブーム用方向制御弁がブームシリンダ7に接続されてもよい。また、ブレーカ用方向制御弁15のスプール15aは、必ずしも3ポジションの方向制御弁である必要はなく、中立位置M1及び第1供給位置A1に切換可能な2ポジションの方向制御弁であってもよい。液圧駆動システム1,1A,1Bにおいて、液圧ポンプ11L,11Rは、可変容量形の液圧ポンプに限定されず、固定容量形の液圧ポンプであってもよい。
【0063】
また、液圧駆動システム1を備える車両は、アームシリンダ5、バケットシリンダ6、及びブームシリンダ7を備えているが、それ以外のアクチュエータを備えてもよい。そして、液圧駆動システム1は、アームシリンダ5、バケットシリンダ6、及びブームシリンダ7以外のアクチュエータに作動液を供給するように構成されてもよい。
【0064】
また、液圧駆動システム1の操作装置22は、ブレーカを操作する操作具としてペダル22eを含んでいるが、ボタン及びトリガ等であってもよい。更に液圧駆動システム1の操作装置22は、必ずしも操作具を有している必要はなく、プログラム等に基づいて操作指令を作成して出力するような構成であってもよい。この場合、液圧駆動システム1は、液圧車両を自動運転することができる。
【0065】
<例示的な実施形態>
第1の局面における液圧駆動システムは、作動液を吐出する第1液圧ポンプと、作動液を吐出する第2液圧ポンプと、前記第1液圧ポンプに夫々接続され且つ互いに異なる液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第1液圧ポンプとタンクとに繋がる第1バイパス通路を夫々開閉する複数の第1方向制御弁と、前記第1バイパス通路において前記複数の第1方向制御弁より下流側に介在する第1バイパスカット弁と、前記第2液圧ポンプに夫々接続され且つ互いに異なる前記液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第2液圧ポンプとタンクとに繋がる第2バイパス通路を夫々開閉する複数の第2方向制御弁と、前記第2バイパス通路において複数の前記第2方向制御弁より下流側に介在する第2バイパスカット弁と、を備え、前記複数の第1方向制御弁は、複数の前記液圧アクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータに接続される圧源切換機能付き方向制御弁を含み、前記圧源切換機能付き方向制御弁は、液通路を介して前記第1液圧ポンプに接続され、前記対象アクチュエータと前記液通路とを接続し且つ前記第1バイパス通路を開く供給位置に切換ることができ、前記液通路は、前記圧源切換機能付き方向制御弁への流れを許容する逆止弁が介在し、且つ前記逆止弁の下流側に合流通路が接続され、前記合流通路は、前記第2バイパス通路における前記第2バイパスカット弁の上流側に接続されている。
【0066】
上記局面によれば、圧源切換機能付き方向制御弁が供給位置に切換可能であって、合流通路が液通路における逆止弁の下流側と第2バイパス通路における第2バイパスカット弁の上流側とに接続されている。それ故、第1バイパスカット弁を開きつつ第2バイパスカット弁を閉じ、且つ圧源切換機能付き方向制御弁を供給位置に切換えることによって、液圧駆動システムが以下のように駆動する。即ち、第1液圧ポンプをアンロード状態にしつつ、第2液圧ポンプの作動液を合流通路を介して対象アクチュエータに供給することができる。それ故、対象アクチュエータに作動液を供給する圧源を第2液圧ポンプに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプの寿命(即ち、交換時期)を向上させることができる。
【0067】
第2の局面における液圧駆動システムは、第1の局面の液圧駆動システムにおいて、前記液通路の接続先を前記第1液圧ポンプから前記第2液圧ポンプに切換える切換弁を更に備えている。
【0068】
上記局面によれば、液通路の接続先を第1液圧ポンプから第2液圧ポンプに切換える切換弁が備わっている。それ故、切換弁によって液通路の接続先を第1液圧ポンプから第2液圧ポンプに切換えると、第2液圧ポンプからの作動液を対象アクチュエータに導くことができる。これにより、対象アクチュエータに導く作動液の圧源を第2液圧ポンプに切換える際に、第2液圧ポンプからの作動液を合流通路及び切換弁の各々を介して対象アクチュエータに導くことができる。従って、対象アクチュエータに導かれる作動液の流路圧損を低減することができる。
【0069】
第3の局面における液圧駆動システムでは、第2の局面の液圧駆動システムにおいて、前記複数の第1方向制御弁には、前記液圧アクチュエータの1つである第1走行モータに接続される第1走行用方向制御弁が含まれ、前記複数の第2方向制御弁には、前記液圧アクチュエータの1つである第2走行モータに接続される第2走行用方向制御弁が含まれ、前記第2走行用方向制御弁は、前記第2バイパス通路から分岐する分岐通路に接続され、前記切換弁は、前記第1液圧ポンプを前記液通路に接続し且つ前記第2液圧ポンプを前記第2バイパス通路に接続する第1位置と、前記第2液圧ポンプを前記液通路及び前記第2バイパス通路に接続する第2位置と、前記第2バイパス通路に前記第1液圧ポンプを接続し且つ前記液通路に前記第2液圧ポンプを接続する第3位置に切換可能に構成されている。
【0070】
上記局面によれば、切換弁は、第3位置において第2バイパス通路に第1液圧ポンプを接続することによって、分岐通路を介して第2方向制御弁を第1液圧ポンプに接続する。それ故、切換弁は、第3位置において、第1液圧ポンプから第1走行用方向制御弁及び第2走行用方向制御弁の両方に作動液を供給することができる。即ち、切換弁は、走行直進弁として機能することができる。このような切換弁を圧源切換弁としても機能させることができるので、液圧駆動システムの部品点数を低減することができる。
【0071】
第4の局面における液圧駆動システムでは、第1乃至3の何れかの局面の液圧駆動システムにおいて、前記圧源切換機能付き方向制御弁に接続される前記対象アクチュエータは、液圧ブレーカを作動させるブレーカ用アクチュエータである。
【0072】
上記局面によれば、圧源切換機能付き方向制御弁は、液圧ブレーカを作動させるブレーカ用アクチュエータに接続されている。それ故、液圧ブレーカを作動させる圧源を第1液圧ポンプ及び第2液圧ポンプに夫々切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプにかかる負荷を低減することができるので、第1液圧ポンプの寿命(即ち、交換時期)を向上させることができる。
【0073】
第5の局面における液圧駆動システムでは、第1乃至4の何れかの局面の液圧駆動システムにおいて、複数の前記液圧アクチュエータの各々を操作する操作指令を出力する操作装置と、前記圧源切換機能付き方向制御弁、前記第1バイパスカット弁、及び前記第2バイパスカット弁を制御する制御装置を更に備え、前記制御装置は、前記対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ所定の圧源切換条件を充足すると、前記圧源切換機能付き方向制御弁を供給位置に切換えると共に、前記第1バイパスカット弁を開き且つ前記第2バイパスカット弁を閉じる。
【0074】
上記局面によれば、制御装置は、対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ所定の圧源切換条件を充足すると、圧源切換機能付き方向制御弁を供給位置に切換えると共に、第1バイパスカット弁を開き且つ第2バイパスカット弁を閉じる。それ故、圧源切換条件を充足する際、対象アクチュエータに供給される作動液の圧源を第2液圧ポンプに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプの寿命を向上させることができる。
【0075】
第6の局面における液圧駆動システムでは、第2、4、及び5の何れかの局面の液圧駆動システムにおいて、前記複数の液圧アクチュエータの各々を操作する操作指令を出力する操作装置と、前記圧源切換機能付き方向制御弁、前記第1バイパスカット弁、前記第2バイパスカット弁、及び前記切換弁を制御する制御装置を更に備え、前記制御装置は、前記対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ所定の圧源切換条件を充足すると、前記切換弁を第2位置に切換且つ前記圧源切換機能付き方向制御弁を供給位置に切換えると共に、前記第1バイパスカット弁を開き且つ前記第2バイパスカット弁を閉じる。
【0076】
上記局面によれば、制御装置は、対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ所定の圧源切換条件を充足すると、切換弁を第2位置に切換え且つ圧源切換機能付き方向制御弁を供給位置に切換える。更に、制御装置は、第1バイパスカット弁を開き且つ第2バイパスカット弁を閉じる。それ故、所定の圧源切換条件を充足する際、対象アクチュエータに供給される作動液の圧源を第2液圧ポンプに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプの寿命を向上させることができる。
【0077】
第7の局面における液圧駆動システムでは、第6の局面の液圧駆動システムにおいて、前記制御装置は、前記対象アクチュエータを含む前記複数の液圧アクチュエータを操作する操作指令が出力されると、前記切換弁を第1位置に切換ると共に、前記第1バイパスカット弁を閉じ且つ前記第2バイパスカット弁を開く。
【0078】
上記局面によれば、制御装置は、対象アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータを操作する操作指令が出力されると、切換弁を第1位置に切換えると共に、第1バイパスカット弁を閉じ且つ第2バイパスカット弁を開く。それ故、対象アクチュエータに供給される作動液の圧源を第1液圧ポンプにすることができる。これにより、複数の液圧アクチュエータが同時操作される際の操作フィーリングに影響することを抑制することができる。
【0079】
第8の局面における液圧駆動システムでは、第6又は7の局面の液圧駆動システムにおいて、前記第2液圧ポンプは、可変容量形の液圧ポンプであって、前記制御装置は、前記対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ所定の圧源切換条件を充足すると、操作指令に応じて前記第2液圧ポンプの吐出容量を変える。
【0080】
上記局面によれば、制御装置は、対象アクチュエータを操作する操作指令が出力され且つ圧源切換条件を充足すると、操作指令に応じて前記第2液圧ポンプの吐出容量を変える。それ故、操作指令に応じた態様(例えば、速度)で対象アクチュエータを作動させることができる。
【0081】
第9の局面における液圧駆動システムは、作動液を吐出する第1液圧ポンプと、作動液を吐出する第2液圧ポンプと、前記第1液圧ポンプに並列するように夫々接続され且つ互いに異なる液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第1液圧ポンプ及びタンクに繋がる第1バイパス通路を夫々開閉する複数の第1方向制御弁と、前記第1バイパス通路において前記複数の第1方向制御弁より下流側に設けられる第1バイパスカット弁と、前記第2液圧ポンプに並列するように夫々接続され且つ互いに異なる前記液圧アクチュエータに夫々接続され、前記第2液圧ポンプに繋がる第2バイパス通路を夫々開閉する複数の第2方向制御弁と、前記第2バイパス通路において複数の前記第2方向制御弁より下流側に設けられる第2バイパスカット弁と、前記第1液圧ポンプと前記第2液圧ポンプの接続先を切換える切換弁と、を備え、前記複数の第1方向制御弁は、圧源切換機能付き方向制御弁と、第1走行用方向制御弁と、を含み、前記複数の第2方向制御弁は、第2走行用方向制御弁を含み、前記圧源切換機能付き方向制御弁は、複数の前記液圧アクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータに接続されると共に液通路及び前記切換弁を介して前記第1液圧ポンプに接続され、前記対象アクチュエータと前記液通路とを接続し且つ前記第1バイパス通路を開く供給位置に切換可能であり、前記第1走行用方向制御弁は、前記液圧アクチュエータの1つである第1走行モータに接続され、記第2走行用方向制御弁は、前記液圧アクチュエータの1つである第2走行モータに接続されると共に前記第2バイパス通路から分岐する分岐通路に接続され、前記切換弁は、前記第1液圧ポンプを前記液通路に接続し且つ前記第2液圧ポンプを前記第2バイパス通路に接続する第1位置と、前記第1液圧ポンプを前記液通路及び前記第2バイパス通路に接続する第2位置と、前記第1液圧ポンプを前記第2バイパス通路に接続し且つ前記第2液圧ポンプを前記液通路に接続する第3位置に切換可能に構成されている。
【0082】
上記局面によれば、圧源切換機能付き方向制御弁は、供給位置に切換可能に構成されている。それ故、切換弁を第2位置に切り替えた状態で、第1バイパスカット弁を開きつつ第2バイパスカット弁を閉じることによって、液圧駆動システムが以下のように駆動する。即ち、第1液圧ポンプをアンロード状態にしつつ、第2液圧ポンプの作動液を液通路を介して対象アクチュエータに供給することができる。それ故、対象アクチュエータに作動液を供給する圧源を第2液圧ポンプに切換えることができる。これにより、第1液圧ポンプの寿命(即ち、交換時期)を向上させることができる。
【0083】
また、切換弁は、第3位置において第2バイパス通路に第1液圧ポンプを接続することによって、分岐通路を介して第2方向制御弁を第1液圧ポンプに接続する。それ故、切換弁は、第3位置において、第1液圧ポンプから第1走行用方向制御弁及び第2走行用方向制御弁の両方に作動液を供給することができる。即ち、切換弁は、走行直進弁として機能することができる。このような切換弁を圧源切換弁としても機能させることができるので、液圧駆動システムの部品点数を低減することができる。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,1B 液圧駆動システム
2 第1走行モータ(液圧アクチュエータ)
3 第2走行モータ(液圧アクチュエータ)
4 旋回モータ(液圧アクチュエータ)
5 アームシリンダ(液圧アクチュエータ)
6 バケットシリンダ(液圧アクチュエータ)
8 ブレーカシリンダ(対象アクチュエータ)
11L 第1液圧ポンプ
11R 第2液圧ポンプ
12 第1走行用方向制御弁(第1方向制御弁)
13 旋回用方向制御弁(第1方向制御弁)
14 アーム用方向制御弁(第1方向制御弁)
15 ブレーカ用方向制御弁(圧源切換機能付き方向制御弁)
16 第1バイパスカット弁
17 第2走行用方向制御弁(第2方向制御弁)
18 バケット用方向制御弁(第2方向制御弁)
19 ブーム用方向制御弁(第2方向制御弁)
20 第2バイパスカット弁
21,21A 切換弁
22 操作装置
24 制御装置
25 タンク
32L 第1バイパス通路
32R 第2バイパス通路
33L 第1液通路(液通路)
36 逆止弁
41 合流通路
42 分岐通路