(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140536
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】プリンタおよび用紙搬送装置
(51)【国際特許分類】
B41J 15/16 20060101AFI20241003BHJP
B41J 25/312 20060101ALI20241003BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241003BHJP
B65H 23/16 20060101ALI20241003BHJP
B41J 29/13 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
B41J15/16
B41J25/312
B41J29/00 G
B65H23/16
B41J29/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051714
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 知優
【テーマコード(参考)】
2C060
2C061
2C064
3F104
【Fターム(参考)】
2C060CB31
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AS06
2C061BB10
2C061BB15
2C061BB33
2C061BB35
2C061CD07
2C061CD12
2C061CD13
2C061CD14
2C061CF06
2C061DF01
2C061DF05
2C061DF17
2C064AA03
2C064AA05
2C064CC06
2C064FF06
3F104AA02
3F104DA27
3F104DA33
3F104EA01
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、収納される連続紙が表巻連続紙であっても裏巻連続紙であっても、用紙のセットを簡単に行うことが可能なプリンタおよび用紙搬送装置を提供することである。
【解決手段】実施形態のプリンタは、印字面が表側にある表巻連続紙および印字面が裏側にある裏巻連続紙を収納可能な収納部を備えたプリンタであって、本体と、前記本体に対して開閉可能なカバーと、前記収納部から引き出された前記表巻連続紙および前記裏巻連続紙の前記印字面に印字を行う印字ヘッドと、前記本体に設けられた、前記収納部から引き出された前記裏巻連続紙の非印字面に当接する方向に付勢可能な裏巻用ダンパーと、前記カバーに設けられた、前記収納部から引き出された前記表巻連続紙の前記印字面に当接する方向に付勢可能な表巻用ダンパーと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字面が表側にある表巻連続紙および印字面が裏側にある裏巻連続紙を収納可能な収納部を備えたプリンタであって、
本体と、
前記本体に対して開閉可能なカバーと、
前記収納部から引き出された前記表巻連続紙および前記裏巻連続紙の前記印字面に印字を行う印字ヘッドと、
前記本体に設けられた、前記収納部から引き出された前記裏巻連続紙の非印字面に当接する方向に付勢可能な裏巻用ダンパーと、
前記カバーに設けられた、前記収納部から引き出された前記表巻連続紙の前記印字面に当接する方向に付勢可能な表巻用ダンパーと、
を備えたプリンタ。
【請求項2】
前記裏巻用ダンパーは、前記本体に設けられた第1支軸を中心に回動可能であり、前記表巻用ダンパーは、前記カバーに設けられた第2支軸を中心に回動可能である、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記裏巻用ダンパーは、前記収納部の前記裏巻連続紙の引出口に近接して設けられ、前記表巻用ダンパーは、前記カバーが閉じられた状態で、前記収納部の前記表巻連続紙の引出口に近接して設けられた、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記裏巻用ダンパーによって付勢された前記裏巻連続紙および前記表巻用ダンパーによって付勢された前記表巻連続紙を前記印字ヘッドへと案内する案内部、をさらに備えた、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
印字面が表側にある表巻連続紙および印字面が裏側にある裏巻連続紙を収納可能な収納部を備えた用紙搬送装置であって、
本体と、
前記本体に対して開閉可能なカバーと、
前記本体に設けられた、前記収納部から引き出された前記裏巻連続紙の非印字面に当接する方向に付勢可能な裏巻用ダンパーと、
前記カバーに設けられた、前記収納部から引き出された前記表巻連続紙の前記印字面に当接する方向に付勢可能な表巻用ダンパーと、
を備えた用紙搬送装置。
【請求項6】
印字面が表側にある表巻連続紙および印字面が裏側にある裏巻連続紙を収納可能な収納部を備えたプリンタであって、
本体と、
前記本体に対して開閉可能なカバーと、
前記収納部から引き出された前記表巻連続紙および前記裏巻連続紙の前記印字面に印字を行う印字ヘッドと、
前記カバーに設けられた、前記収納部から引き出された前記裏巻連続紙の非印字面に当接する方向に付勢可能な裏巻用ダンパーと、
前記本体に設けられた、前記収納部から引き出された前記表巻連続紙の前記印字面に当接する方向に付勢可能な表巻用ダンパーと、
を備えたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタおよび用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルプやレシート等の用紙を搬送して印字するプリンタ等では、ロール状に巻回された連続紙を収納している。例えば印字するためにセットされた用紙を搬送すると、用紙が急激に引っ張られることで搬送された用紙と連続紙との間の張力が増加して、引き出した用紙との間で衝撃が発生することがある。プリンタの場合、発生した衝撃により印字品質に影響が出る場合がある。そのため、印字経路中に付勢力を有するダンパーを配置して、引き出した用紙をダンパーに当接させて用紙を引き出した際に発生する張力をダンパーが吸収することで、衝撃を緩和している。
【0003】
ところで、連続紙には、印字面(印字ヘッドに接触する面)が巻回された用紙の表側(外側)を向いた表巻連続紙と印字面が巻回された用紙の裏側(内側)を向いた裏巻連続紙とが存在する。そのため、表巻連続紙が当接する表巻用ダンパーと裏巻連続紙が当接する裏巻用ダンパーをそれぞれ設けていた。
【0004】
しかしながら、表巻連続紙および裏巻連続紙から引き出した用紙を装置に装着する場合、いずれも表巻用ダンパーと裏巻用ダンパーとの間を通す必要があるため、用紙のセットに手間取っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、収納される連続紙が表巻連続紙であっても裏巻連続紙であっても、用紙のセットを簡単に行うことが可能なプリンタおよび用紙搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のプリンタは、印字面が表側にある表巻連続紙および印字面が裏側にある裏巻連続紙を収納可能な収納部を備えたプリンタであって、本体と、前記本体に対して開閉可能なカバーと、前記収納部から引き出された前記表巻連続紙および前記裏巻連続紙の前記印字面に印字を行う印字ヘッドと、前記本体に設けられた、前記収納部から引き出された前記裏巻連続紙の非印字面に当接する方向に付勢可能な裏巻用ダンパーと、前記カバーに設けられた、前記収納部から引き出された前記表巻連続紙の前記印字面に当接する方向に付勢可能な表巻用ダンパーと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態のプリンタの上部カバーを開放した状態の外観斜視図である。
【
図4】
図4は、プリンタの上部カバーを開放した状態を横から見た説明図である。
【
図5】
図5は、表巻用ダンパーと裏巻用ダンパーの構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、裏巻連続紙を装着したプリンタを横から見た説明図である。
【
図7】
図7は、表巻連続紙を装着したプリンタを横から見た説明図である。
【
図8】
図8は、裏巻用ダンパー15による衝撃の緩和を説明するための図である。
【
図9】
図9は、表巻用ダンパー22による衝撃の緩和を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。なお、第1実施形態では、サーマルプリンタをプリンタの一例として説明する。また、感熱紙で構成された長尺状のレシート用紙や台紙に複数枚の感熱ラベルが貼付された長尺状のラベル用紙を連続紙の一例として説明する。なお、以下に説明する実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0009】
サーマルプリンタは、例えばPOS端末に接続され、収納したロール状の連続紙(感熱紙)に印字を行うレシートプリンタである。またサーマルプリンタは、例えば収納したロール状の連続紙(台紙)上に複数枚配列されたラベル(感熱紙)に対して印字を行うラベルプリンタである。サーマルプリンタは、サーマルヘッドとプラテンを有しており、プラテンが回転することで連続紙を引き出して、サーマルヘッドで印字面に印字を行う。印字した連続紙は、プラテンの回転により排紙口から排出される。なお、引き出した連続紙を搬送する装置を用紙搬送装置とする。用紙搬送装置は、サーマルプリンタ自体であってもよいし、例えばサーマルヘッドを備えておらず、サーマルプリンタに用紙を供給する装置であってもよい。
【0010】
図1は、本実施形態のサーマルプリンタ1の外観斜視図である。
図1に示すように、サーマルプリンタ1は、本体10とカバー20とを有する。カバー20は、本体10に対して開閉可能に取り付けられる。具体的には、カバー20は、本体10の一辺に軸支され、当該軸を中心に、本体10に対して開放方向と閉止方向に回動可能である。カバー20が開放方向に回動する(すなわちカバー20が本体10に対して開放される)と、サーマルプリンタ1の内部が露出して、連続紙の収納およびセットが可能となる。連続紙を収納およびセットしてカバー20を閉止方向に回動する(すなわちカバー20が本体10に対して閉止される)と、サーマルプリンタ1は、セットした連続紙に対して文字や図形等を印字可能となる。
【0011】
図1はカバー20を本体10に対して開放した状態のサーマルプリンタ1である。本体10は、略四角状の上方が開口した筐体である。本体10は、ヒンジ部11、保持部12、収納部13、プラテン14、裏巻用ダンパー15、案内部16等を備える。
【0012】
ヒンジ部11は、本体10の後部に位置し、カバー20を本体10の上部に回動可能に取り付ける支軸である。ヒンジ部11に取り付けられたカバー20は、ヒンジ部11を回動支点として、開放位置と閉止位置との間を回動可能である。
図1の位置が開放位置であり、本体10に対して閉止した位置が閉止位置である。
【0013】
保持部12は、連続紙を軸支する。収納部13は、連続紙を収納する領域である。保持部12は、連続紙を収納部13に収納した状態で軸支する。保持部12に軸支された連続紙は、収納部13に収納された状態で保持部12を中心に回転可能である。なお、連続紙は、保持部12によって軸支されない、投げ込み式であってもよい。この場合、保持部12は不要であり、連続紙は、軸支されずに収納部13に収納される。
【0014】
プラテン14は、例えばゴム製の円柱形状であり、後述する印字ヘッド21に対向した位置に設けられる。プラテン14は、回転することで連続紙を収納部13から印字ヘッド21に向けて搬送する。案内部16は、収納部13に収納された連続紙をプラテン14や印字ヘッド21まで案内する搬送経路を形成する板状の部材である。
【0015】
裏巻用ダンパー15は、本体10に回動可能に取り付けられる。裏巻用ダンパー15は、収納部13とプラテン14の間に位置する。
【0016】
裏巻用ダンパー15は、トルクバネ(図示せず)によって付勢されている。裏巻用ダンパー15は、付勢力によって回動して、収納部13から引き出された裏巻連続紙Pa(詳細は
図2で後述)に当接する。そして裏巻用ダンパー15は、付勢力と当接した裏巻連続紙Paの張力とがバランスした位置まで裏巻連続紙Paを押圧して停止する。プラテン14によって裏巻連続紙Paが搬送されると、裏巻連続紙Paの張力が増加することにより衝撃が発生するが、裏巻用ダンパー15が増加した張力によって付勢力に抗して付勢方向と反対側(反付勢方向)に回動する(移動する)ことで、発生する衝撃を吸収して緩和する。
【0017】
カバー20は、略四角状であり、本体10に閉止した状態で本体10の開口を塞ぐ、下方が開口したカバーである。カバー20は、ヒンジ部11によって本体10の後部の上部に取り付けられる。カバー20は、ヒンジ部11を支点として回動可能である。カバー20が本体10に対して開放されると、本体10の開口が露出され、カバー20が本体10に対して閉止されると、本体10の開口は閉止される。
【0018】
カバー20は、印字ヘッド21と表巻用ダンパー22を備える。印字ヘッド21は、例えば連続紙の搬送方向(矢印Ya方向(
図4を参照))と直行方向にライン状に発熱素子が配列されたサーマルヘッドである。印字ヘッド21は、カバー20が本体10に対して閉止した状態で、プラテン14と対向する位置に位置し、プラテン14に当接する。用紙がセットされている場合には、印字ヘッド21とプラテン14とで用紙を挟持する。印字ヘッド21は、発熱素子をデータに応じて発熱させることで、プラテン14が回転して搬送される用紙の印字面に対して印字を行う。
【0019】
表巻用ダンパー22は、カバー20に回動可能に取り付けられる。表巻用ダンパー22は、カバー20が閉止された状態で、収納部13と印字ヘッド21の間に位置する。
【0020】
表巻用ダンパー22は、トルクバネ(図示せず)によって付勢されている。表巻用ダンパー22は、付勢力によって回動して、収納部13から引き出された表巻連続紙Pb(詳細は
図3で後述)に当接する。そして表巻用ダンパー22は、付勢力と当接した表巻連続紙Pbの張力とがバランスした位置まで表巻連続紙Pbを押圧して停止する。プラテン14によって表巻連続紙Pbが搬送されると、表巻連続紙Pbの張力が増加することにより衝撃が発生するが、表巻用ダンパー22が増加した張力によって付勢力に抗して付勢方向と反対側(反付勢方向)に回動する(移動する)ことで、発生する衝撃を吸収して緩和する。
【0021】
ここからは、連続紙について説明する。連続紙は長尺状の用紙を巻回したロール状の用紙である。連続紙には、裏巻連続紙Paと表巻連続紙Pbが存在する。裏巻連続紙Paは、巻回した用紙の裏側(内側)が印字面(印字ヘッド21が当接して印字を行う面)の連続紙をいう。表巻連続紙Pbは、巻回した用紙の表側(外側)が印字面の連続紙をいう。
【0022】
図2に裏巻連続紙Paを示す。具体的には、
図2は、裏巻連続紙Paおよび裏巻連続紙Paの最外周から引き出された用紙Paaを示す図である。
図2に示すように、裏巻連続紙Paは、用紙Paaの裏面Pab(裏巻連続紙Paの内側の面)が感熱インクが塗布された印字面(すなわち印字面が用紙Paaの裏側)であり、用紙Paaの表面Pac(裏巻連続紙Paの外側の面)が非印字面である。裏巻連続紙Paには、中心部に用紙の幅方向に貫通する円柱状の孔Padが形成されている。用紙Paaは、プラテン14と印字ヘッド21に挟持されるまで引き出されてセットされる。
【0023】
図3に表巻連続紙Pbを示す。具体的には、
図3は、表巻連続紙Pbおよび表巻連続紙Pbの最外周から引き出された用紙Pbaを示す図である。
図3に示すように、表巻連続紙Pbは、用紙Pbaの表面Pbb(表巻連続紙Pbの外側の面)が感熱インクが塗布された印字面(すなわち印字面が用紙Pbaの表側)であり、用紙Pbaの裏面Pbc(表巻連続紙Pbの内側の面)が非印字面である。表巻連続紙Pbには、中心部に用紙の幅方向に貫通する円柱状の孔Pbdが形成されている。用紙Pbaは、プラテン14と印字ヘッド21に挟持されるまで引き出されてセットされる。
【0024】
なお、以降裏巻連続紙Paと表巻連続紙Pbの両方を指す場合、また、裏巻連続紙Paと表巻連続紙Pbのいずれであってもいい場合、連続紙Pと言う。
【0025】
図4は、サーマルプリンタ1において、本体10からカバー20が開放した状態を示す図である。
図4では、収納部13に裏巻連続紙Paが装着された状態を紙面す。
図4において、裏巻連続紙Paは、孔Padに支軸121を通して保持部12に軸支されている。この状態で、裏巻連続紙Paは収納部13内で保持部12に回転可能に取り付けられている。
図4では、まだ用紙Paaは引き出されていない。なお、表巻連続紙Pbも同様にして保持部12に回転可能に取り付けられる。
【0026】
また、本体10には駆動モータ19が備えられている。駆動モータ19は、例えばステッピングモータである。駆動モータ19は、プラテン14を回転させるための駆動源となるモータである。すなわち駆動モータ19は、連続紙Pを搬送させる搬送モータである。
【0027】
カバー20には、印字ヘッド21、表巻用ダンパー22、用紙検出センサ23が取り付けられている。用紙検出センサ23は、連続紙Pの有無を検出する。具体的には、用紙検出センサ23は、カバー20が本体10に対して閉止された状態で、連続紙Pから引き出されてセットされた用紙(PaaおよびPba)の有無を検出する。
【0028】
図4に示すように、本体10からカバー20が開放した状態では、本体10の上部が開口される。そして本体10側に裏巻用ダンパー15が取り付けられており、カバー20側に表巻用ダンパー22が取り付けられているため、表巻用ダンパー22は、カバー20の開放に伴い上方に移動し、裏巻用ダンパー15から分離され、収納部13が開放される構造となっている。そのため、連続紙Pを容易に収納部13に収納して保持部12に取り付けることができる。また、表巻用ダンパー22は、カバー20の開放に伴い上方に移動し、表巻用ダンパー22と裏巻用ダンパー15とが分離される構造となっているため、保持部12に取り付けた連続紙Pから用紙(PaaあるいはPba)を引き出して、分離された裏巻用ダンパー15と表巻用ダンパー22の間を通してプラテン14の位置にセットすることができる。そのため、保持部12に取り付けられる連続紙Pが表巻連続紙Pbであっても裏巻連続紙Paであっても、連続紙Pのセットを簡単に行うことが可能となる。セットされた用紙(PaaあるいはPba)は、カバー20が閉止されるとプラテン14と印字ヘッド21とで挟持され、印字ヘッド21によって印字されるとともに、プラテン14の回転に伴い矢印Ya方向に搬送される。
【0029】
ここからは、裏巻用ダンパー15と表巻用ダンパー22の構成について説明する。
図5は、裏巻用ダンパー15と表巻用ダンパー22の構造を示す斜視図である。
【0030】
裏巻用ダンパー15は、本体10に取り付けられる。裏巻用ダンパー15は、一対の支軸部151(第1支軸)、一対の腕部152、当接部153を有する。支軸部151は、本体10の案内部16の両側部に、本体10に対して回転可能に取り付けられている。
【0031】
腕部152は、両方の支軸部151からそれぞれ収納部13方向に延出する腕である。当接部153は、両方の腕部152を延出端部で接続するように形成され、曲線面を有する。当接部153は、曲線面が裏巻連続紙Paに当接する。当接部153の用紙の幅方向の長さは、矢印Ya方向に搬送される裏巻連続紙Paの幅より長い。
【0032】
支軸部151には、トルクバネ(図示せず)が内蔵されている。トルクバネは、腕部152および当接部153を矢印Yb方向に回動するよう付勢する。すなわち裏巻用ダンパー15は、トルクバネによって矢印Yb方向に付勢される。矢印Yb方向とは、保持部12に取り付けられた裏巻連続紙Paから用紙Paaが引き出されセットされた場合、用紙Paaの表面Pac(非印字面)に当接する方向であり、当接した表面Pac(非印字面)を裏面Pab(印字面)方向に押す方向である。
図5においては、矢印Yb方向は下側から用紙Paaの表面Pac(非印字面)に当接する方向である。すなわち裏巻用ダンパー15は、本体10の下側から上方に向けて付勢されて用紙Paaの非印字面に当接可能であり、当接した用紙Paaを、非印字面側から印字面側に付勢する。
【0033】
表巻用ダンパー22は、カバー20に取り付けられる。表巻用ダンパー22は、一対の支軸部221(第2支軸)、一対の腕部222、当接部223を有する。支軸部221は、カバー20の両側部に、カバー20に対して回転可能に取り付けられている。
【0034】
腕部222は、両方の支軸部221からそれぞれ収納部13方向に延出する腕である。当接部223は、両方の腕部222の延出端部を接続するように形成され、曲線面を有する。当接部223は、曲線面が表巻連続紙Pbに当接する。当接部223の用紙の幅方向の長さは、矢印Ya方向に搬送される表巻連続紙Pbの幅より長い。
【0035】
支軸部221には、トルクバネ(図示せず)が内蔵されている。トルクバネは、腕部222および当接部223を矢印Yc方向に回動するよう付勢する。すなわち表巻用ダンパー22は、トルクバネによって矢印Yc方向に付勢される。矢印Yc方向とは、保持部12に取り付けられた表巻連続紙Pbから用紙Pbaが引き出されセットされた場合、用紙Pbaの表面Pbb(印字面)に当接する方向であり、当接した表面Pbb(印字面)を裏面Pbc方向に押す方向である。
図5においては、矢印Yc方向は上側から用紙Pbaの表面Pbb(印字面)に当接する方向である。すなわち表巻用ダンパー22は、カバー20側から本体10に向けて付勢されて用紙Pbaの印字面に当接可能であり、当接した用紙Pbaを、印字面側から非印字面側に付勢する。
【0036】
なお、当接部153からプラテン14までの距離と当接部223からプラテン14までの距離は、可能な限り同じであることが望ましい。このような構成とすることで、裏巻用ダンパー15による衝撃の緩和の程度と表巻用ダンパー22による衝撃の緩和の程度が同じ程度となる。そのため、裏巻連続紙Paを使用した場合と表巻連続紙Pbを使用した場合とで、同程度の印字品質を確保することができる。
【0037】
図6は、裏巻連続紙Paを保持部12に装着し、カバー220を本体10に対して閉止した状態のサーマルプリンタ1の内部を横から見た説明図である。
図6に示すように、裏巻用ダンパー15は、連続紙Pを収納する収納部13から用紙Paaを引き出す引出口17に近接して配置されるように取り付けている。そのため、従来は引出口17付近はデッドスペースとなっていたスペースを、有効活用することができる。
【0038】
図6において、裏巻用ダンパー15はトルクバネによって付勢されており、
図5の矢印Yb方向に回動する。そして裏巻連続紙Paが保持部12に保持されて用紙Paaが引き出されてセットされると、裏巻用ダンパー15の当接部153が用紙Paaの表面Pac(裏巻連続紙Paの外側の面(非印字面))に当接する。すると当接部153(すなわち裏巻用ダンパー15)は、用紙Paaの張力と裏巻用ダンパー15の付勢力のバランスが取れる位置まで押し戻される。
【0039】
図8は、裏巻用ダンパー15の付勢力と用紙Paaの張力のバランスが取れた位置に裏巻用ダンパー15が位置している状態を示す。用紙Paaは、裏巻用ダンパー15の付勢力によって実線で示す位置に屈曲している。
【0040】
この状態でプラテン14が回転してセットされた用紙Paaの搬送を開始すると、用紙Paaの張力が増加する。しかしながら裏巻連続紙Paはまだ停止した状態である。このままでは増加した張力によって急激に裏巻連続紙Paが引っ張られることで衝撃が発生する可能性があるところ、
図8に示すように、増加した張力を受けて、裏巻用ダンパー15が付勢力に抗して矢印Yd方向に移動する。このように裏巻用ダンパー15が矢印Yd方向に点線の位置まで(あるいは点線の位置の近くまで)移動することで、用紙Paaの搬送によって増加した張力がある程度吸収されて直接裏巻連続紙Paに伝わらない。そのため、用紙Paaの搬送による衝撃を緩和することができる。用紙Paaの搬送による張力は、裏巻用ダンパー15によって衝撃が緩和されながら裏巻連続紙Paに伝わるため、裏巻連続紙Paは用紙Paaの搬送に伴う回転を開始する。
【0041】
図7は、表巻連続紙Pbを保持部12に装着し、カバー220を本体10に対して閉止した状態のサーマルプリンタ1の内部を横から見た説明図である。
図7に示すように、表巻用ダンパー22は、連続紙Pを収納する収納部13から用紙Pbaを引き出す引出口18に近接して配置されるように取り付けている。そのため、従来は引出口18付近はデッドスペースとなっていたスペースを、有効活用することができる。
【0042】
図7において、表巻用ダンパー22はトルクバネによって付勢されており、
図5の矢印Yc方向に回動する。そして表巻連続紙Pbが保持部12に保持されて用紙Pbaが引き出されてセットされると、表巻用ダンパー22の当接部223が用紙Pbaの表面Pbb(表巻連続紙Pbの外側の面(印字面))に当接する。すると当接部223(すなわち表巻用ダンパー22)は、用紙Pbaの張力と表巻用ダンパー22の付勢力のバランスが取れる位置まで押し戻される。
【0043】
図9は、表巻用ダンパー22の付勢力と用紙Pbaの張力のバランスが取れた位置に表巻用ダンパー22が位置している状態を示す。用紙Pbaは、表巻用ダンパー22の付勢力によって実線で示す位置に屈曲している。
【0044】
この状態でプラテン14が回転してセットされた用紙Pbaの搬送を開始すると、用紙Pbaの張力が増加する。しかしながら表巻連続紙Pbはまだ停止した状態である。このままでは増加した張力によって急激に表巻連続紙Pbが引っ張られることで衝撃が発生する可能性があるところ、
図9に示すように、増加した張力を受けて、表巻用ダンパー22が付勢力に抗して矢印Ye方向に移動する。このように表巻用ダンパー22が矢印Ye方向に点線の位置まで(あるいは点線の位置の近くまで)移動することで、用紙Pbaの搬送によって増加した張力がある程度吸収されて直接表巻連続紙Pbに伝わらない。そのため、用紙Pbaの搬送による衝撃を緩和することができる。用紙Pbaの搬送による張力は、表巻用ダンパー22によって衝撃が緩和されながら表巻連続紙Pbに伝わるため、表巻連続紙Pbは用紙Pbaの搬送に伴う回転を開始する。
【0045】
以上説明したように、第1実施形態のサーマルプリンタ1は、印字面が表側にある表巻連続紙Pbおよび印字面が裏側にある裏巻連続紙Paを収納可能な収納部13を備えたサーマルプリンタ1であって、本体10と、本体10に対して開閉可能なカバー20と、収納部13から引き出された表巻連続紙Pbおよび裏巻連続紙Paの印字面に印字を行う印字ヘッド21と、本体10に設けられた、収納部13から引き出された裏巻連続紙Paの表面Pacに当接する方向に付勢可能な裏巻用ダンパー15と、カバー20に設けられた、収納部13から引き出された表巻連続紙Pbの表面Pbbに当接する方向に付勢可能な表巻用ダンパー22と、を備える。
【0046】
このような第1実施形態のサーマルプリンタ1によれば、本体10からカバー20を開放すると、裏巻用ダンパー15と表巻用ダンパー22が分離するため、収納される連続紙Pが表巻連続紙Pbであっても裏巻連続紙Paであっても、用紙(用紙Paaおよび用紙Pba)のセットを簡単に行うことが可能となる。
【0047】
また、第1実施形態の用紙搬送装置は、印字面が表側にある表巻連続紙Pbおよび印字面が裏側にある裏巻連続紙Paを収納可能な収納部13を備えた用紙搬送装置であって、本体10と、本体10に対して開閉可能なカバー20と、本体10に設けられた、収納部13から引き出された裏巻連続紙Paの表面Pacに当接する方向に付勢可能な裏巻用ダンパー15と、カバー20に設けられた、収納部13から引き出された表巻連続紙Pbの表面Pbbに当接する方向に付勢可能な表巻用ダンパー22と、を備える。
【0048】
このような第1実施形態の用紙搬送装置によれば、本体10からカバー20を開放すると、裏巻用ダンパー15と表巻用ダンパー22が分離するため、収納される連続紙Pが表巻連続紙Pbであっても裏巻連続紙Paであっても、用紙(用紙Paaおよび用紙Pba)のセットを簡単に行うことが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
ここからは、第2実施形態について説明する。第2実施形態のサーマルプリンタ1は、第1実施形態のサーマルプリンタ1と比較して、印字ヘッド21とプラテン14が逆に設けられている。すなわち、第2実施形態のサーマルプリンタ1は、本体10に印字ヘッド21が取り付けられ、カバー20にプラテン14が取り付けられている。印字ヘッド21は、第1実施形態のプラテン14の位置に取り付けられ、プラテン14は、第1実施形態の印字ヘッド21の位置に取り付けられる。
【0050】
また、第2実施形態において、第1実施形態の裏巻用ダンパー15を表巻用ダンパー15と読み換える。また、第1実施形態の表巻用ダンパー22を裏巻用ダンパー22と読み換える。すなわち、表巻用ダンパー15は本体10に取り付けられ、裏巻用ダンパー22はカバー20に取り付けられている。表巻用ダンパー15と裏巻用ダンパー22の構造は、第1実施形態と同様である。表巻用ダンパー15は、表巻連続紙Pbの表面Pbbに当接する。裏巻用ダンパー22は、裏巻連続紙Paの表面Pacに当接する。表巻用ダンパー15と裏巻用ダンパー22による衝撃の緩和方法は、
図7および
図9に示したものと同様である。また、第2実施形態のサーマルプリンタ1のその他の構成は、第1実施形態のサーマルプリンタ1と同様である。
【0051】
このような第2実施形態のサーマルプリンタ1は、印字面が表側にある表巻連続紙Pbおよび印字面が裏側にある裏巻連続紙Paを収納可能な収納部13を備えたサーマルプリンタ1であって、本体10と、本体10に対して開閉可能なカバー20と、収納部13から引き出された表巻連続紙Pbおよび裏巻連続紙Paの印字面に印字を行う印字ヘッド21と、カバー20に設けられた、収納部13から引き出された裏巻連続紙Paの表面Pacに当接する方向に付勢可能な裏巻用ダンパー22と、本体10に設けられた、収納部13から引き出された表巻連続紙Pbの表面Pbbに当接する方向に付勢可能な表巻用ダンパー15と、を備える。
【0052】
このような構成の第2実施形態のサーマルプリンタ1において、表巻用ダンパー15は表巻連続紙Pbの表面Pbbに当接する。また、裏巻用ダンパー22は裏巻連続紙Paの表面Pacに当接する。
【0053】
このような第2実施形態の用紙搬送装置によれば、本体10からカバー20を開放すると、表巻用ダンパー15と裏巻用ダンパー22が分離するため、収納される連続紙Pが表巻連続紙Pbであっても裏巻連続紙Paであっても、用紙(用紙Paaおよび用紙Pba)のセットを簡単に行うことが可能となる。
【0054】
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0055】
例えば、実施形態では、プリンタを、サーマルヘッドを使用したサーマルプリンタ1として説明した。しかしながらこれに限らず、プリンタは、連続紙Pを使用するプリンタであれば、例えばインクジェットプリンタやワイヤドットプリンタのような他のプリンタであってもよい。
【0056】
また、実施形態では、プラテン14を回転させて用紙を搬送するようにした。しかしながらこれに限らず、プラテン14以外に用紙を搬送する機構を備えてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 サーマルプリンタ
10 本体
12 保持部
13 収納部
14 プラテン
15 裏巻用ダンパー
16 案内部
17 引出口
18 引出口
20 カバー
21 印字ヘッド
22 表巻用ダンパー
121 支軸
151 支軸部
152 腕部
153 当接部
220 カバー
221 支軸部
222 腕部
223 当接部
P 連続紙
Pa 裏巻連続紙
Paa 用紙
Pab 裏面
Pac 表面
Pb 表巻連続紙
Pba 用紙
Pbb 表面
Pbc 裏面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】