(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140543
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】内視鏡用フード用の成形型及び内視鏡用フードの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/42 20060101AFI20241003BHJP
B29C 33/00 20060101ALI20241003BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B29C33/42
B29C33/00
A61B1/00 651
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051723
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000131245
【氏名又は名称】株式会社シード
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】尾形 聡
(72)【発明者】
【氏名】神田 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆郎
【テーマコード(参考)】
4C161
4F202
【Fターム(参考)】
4C161FF37
4C161JJ06
4F202AA13
4F202AA19
4F202AA28
4F202AA33
4F202AA45
4F202AB03
4F202AG07
4F202AG08
4F202AG24
4F202AG28
4F202AH63
4F202AR12
4F202CA30
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK32
4F202CK42
(57)【要約】
【課題】共重合反応後の内視鏡用フードの離形を容易とし、共重合反応時の液漏れを回避すること。
【解決手段】内視鏡用フードの成形型1において、中空の円筒形状の部材20Aは、両底面において開口しており、中空の円筒形状の部材20Aは、第1部材10の空洞部13に差し込まれることが可能であるように構成されており、円環部30Bの外径r
Bは、本体部30Aの外径r
Aよりも大きく、本体部30Aは、中空の円筒形状の部材20Aに差し込まれることが可能であるように構成されており、第4部材40の空洞部43の半径r
40は、第1部材10の外形r
10よりも大きい。第1部材10及び第4部材40は、係合可能である、
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1底面と、第2底面と、前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部とを有する円筒形状の第1部材と、
互いに結合することで中空の円筒形状の部材を形成する2つの半円筒形状の第2部材と、
第1底面、第2底面及び前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部を有する円筒形状の本体部と、前記第2底面に設けられている円環部とを有する第3部材と、
第1底面と、第2底面と、前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部とを有する円筒形状の第4部材と、を備え、
前記中空の円筒形状の部材は、両底面において開口しており、
前記中空の円筒形状の部材は、前記第1部材の空洞部に差し込まれることが可能であるように構成されており、
前記円環部の外径は、前記本体部の外径よりも大きく、
前記本体部は、前記中空の円筒形状の部材に差し込まれることが可能であるように構成されており、
前記第4部材の空洞部の半径は、前記第1部材の外形よりも大きく、
前記第1部材及び前記第4部材は、係合可能である、内視鏡用フードの成形型。
【請求項2】
前記第3部材の第1底面には、凸部が設けられている、請求項1に記載の内視鏡用フードの成形型。
【請求項3】
円筒形状の第1部材は、第1底面と、第2底面と、前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部とを有し、
第3部材は、第1底面、第2底面及び前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部を有する円筒形状の本体部と、前記第2底面に設けられており外半径が前記本体部の外形よりも大きい円環部とを有し、
円筒形状の第4部材は、第1底面と、第2底面と、前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部とを有し、
2つの半円筒形状の第2部材を結合して、両底面において開口している中空の円筒形状の部材を形成する工程と、
前記中空の円筒形状の部材を前記第1部材の空洞部に差し込む工程と、
前記中空の円筒形状の部材の開口に、親水性モノマーを含むモノマー混合物を注入する工程と、
前記第3部材の本体部を前記中空の円筒形状の部材の開口に差し込む工程と、
前記第4部材の開口を前記第1部材の外周に係合させて熱処理を行う工程とを有する、内視鏡用フードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用フード用の成形型及び内視鏡用フードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いた手術や検査においては、内視鏡の延出部(挿入側端部)から生体組織までの至適距離の確認及び視野の確保を目的として、内視鏡の延出部に透明なフードが装着される。ここで、かかるフードは、ABS、ポリカーボネート、塩化ビニル、シリコーンゴム等により形成されている。
【0003】
しかしながら、かかるフードは、内視鏡の延出部から生体組織までの至適距離の確認及び視野の確保を目的として装着されるものであり、カメラレンズや照明レンズの部分は、被覆されていないため、フードを装着した内視鏡を用いた検査や手術において、体液や油脂が付着し、視界が不鮮明になるという課題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような課題を解決するために、親水性モノマーを用いて形成されたハイドロゲルによって内視鏡用フードを形成することが考えられる。ハイドロゲルによって内視鏡用フードを形成する方法としては、親水性モノマーを含む材料をプラスチック等の成形型に充填し、昇温することで共重合反応させる。次いで、共重合反応した材料を水和膨潤させることによってハイドロゲルからなる内視鏡用フードを得ることができる。当該方法によって得られる内視鏡用フードの形状は、親水性モノマーを含む材料を充填する成形型の形状に対応する。
【0006】
しかしながら、従来の成形型を用いる場合、内視鏡用フードの成形型への密着性が高く、共重合反応後の内視鏡用フードの離形が困難であるという問題点があった。
【0007】
また、従来の成形型では、上述の材料を成形型内に注入して共重合反応に供する際の封止性が低く、液漏れが問題であった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、共重合反応後の内視鏡用フードの離形を容易とし、共重合反応時の液漏れを回避することができる内視鏡用フード用の成形型及び内視鏡用フードの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様に係る内視鏡用フードの成形型は、第1底面と、第2底面と、前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部とを有する円筒形状の第1部材と、互いに結合することで中空の円筒形状の部材を形成する2つの半円筒形状の第2部材と、第1底面、第2底面及び前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部を有する円筒形状の本体部と、前記第2底面に設けられている円環部とを有する第3部材と、第1底面と、第2底面と、前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部とを有する円筒形状の第4部材と、を備え、前記中空の円筒形状の部材は、両底面において開口しており、前記中空の円筒形状の部材は、前記第1部材の空洞部に差し込まれることが可能であるように構成されており、前記円環部の外径は、前記本体部の外径よりも大きく、前記第3部材の本体部は、前記中空の円筒形状の部材に差し込まれることが可能であるように構成されており、前記第4部材の空洞部の半径は、前記第1部材の外形よりも大きく、
前記第1部材及び前記第4部材は、係合可能である、ことを要旨とする。
【0010】
一態様に係る内視鏡用フードの製造方法は、円筒形状の第1部材は、第1底面と、第2底面と、前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部とを有し、第3部材は、第1底面、第2底面及び前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部を有する円筒形状の本体部と、前記第2底面に設けられており外半径が前記本体部の外形よりも大きい円環部とを有し、円筒形状の第4部材は、第1底面と、第2底面と、前記第2底面において開口する円筒形状の空洞部とを有し、2つの半円筒形状の第2部材を結合して、両底面において開口している中空の円筒形状の部材を形成する工程と、前記中空の円筒形状の部材を前記第1部材の空洞部に差し込む工程と、前記中空の円筒形状の部材の開口に親水性モノマーを含むモノマー混合物を注入する工程と、前記第3部材の本体部を前記中空の円筒形状の部材の開口に差し込む工程と、前記第4部材の開口を前記第1部材の外周に係合させて熱処理を行う工程とを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、共重合反応後の内視鏡用フードの離形を容易とし、共重合反応時の液漏れを回避することができる内視鏡用フード用の成形型及び内視鏡用フードの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型の斜視図の一例である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の第1部材10の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の第2部材20の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の第3部材30の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の第4部材40の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る内視鏡用フードの製造方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0014】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0015】
<第1実施形態>
図1~
図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型について説明する。
図1は、本実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の斜視図の一例を示す図であり、
図2は、
図1のX-X断面図の一例であり、
図3は、本実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の第1部材10の一例を示す図であり、
図4は、本実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の第2部材20の一例を示す図であり、
図5は、本実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の第3部材30の一例を示す図であり、
図6は、本実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1の第4部材40の一例を示す図であり、
図7は、一実施形態に係る内視鏡用フードの製造方法の一例を説明するための図である。
【0016】
本実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1は、ハイドロゲル製の内視鏡フードを製造するために用いられるものである。
【0017】
図1及び
図2に示すように、かかる成形型1は、第1部材10と、第2部材20と、第3部材30と、第4部材40とを備える。
【0018】
それぞれの部材の寸法は、目的の内視鏡用フードの形状に合わせて、適宜選択可能であり、特に限定はされない。
【0019】
また、本実施形態に係る内視鏡用フード用の成形型1に用いられる合成樹脂は、例えば、親水性モノマーを含むモノマー混合物を注入し、熱重合反応に供する工程に耐えうる程度の耐薬品性や耐熱性を有するものが好ましい。ここで、親水性モノマーを含むモノマー混合物は、親水性モノマー、及び、これらと共重合可能なモノマーよりなる。
【0020】
かかる合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、脂環式ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー等が挙げられ、本発明においては、成形性の観点から、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0021】
図3に示すように、第1部材10は、第1底面11と、第2底面12と、第2底面12において開口する円筒形状の空洞部13とを有する円筒形状の部材である。
【0022】
図4に示すように、第2部材20は、互いに結合することで中空の円筒形状の部材20Aを形成する2つの半円筒形状の部材である。ここで、
図2及び
図7(b)に示すように、中空の円筒形状の部材20Aは、両底面21A/22Aにおいて開口している。
【0023】
図5に示すように、第3部材30は、円筒形状の本体部30Aと、円環部30Bとを有する円筒形状の部材である。本体部30Aは、第1底面31と、第2底面32と、第2底面32において開口する円筒形状の空洞部33とを有する。円環部30Bは、第2底面32に設けられている。
【0024】
図6に示すように、第4部材40は、第1底面41と、第2底面42と、第2底面42において開口する円筒形状の空洞部43とを有する円筒形状の部材である。
【0025】
図7(b)に示すように、中空の円筒形状の部材20Aは、第1部材10の空洞部13に差し込まれることが可能であるように構成されている。
【0026】
また、
図5に示すように、第3部材30の円環部30Bの外径r
Bは、第3部材30の本体部30Aの外径r
Aよりも大きい。
【0027】
図7(c)に示すように、第3部材30の本体部30Aは、中空の円筒形状の部材20Aに差し込まれることが可能であるように構成されている。
【0028】
また、
図3及び
図6に示すように、第4部材40の空洞部43の半径r
40は、第1部材10の外形r
10よりも大きい。
【0029】
また、
図2に示すように、第4部材40の内側面及び第1部材の外側面にねじ山が形成されており、第1部材10及び第4部材40は、かかるねじ山によって係合するスクリューキャップの構造を有していてもよい。
【0030】
なお、内視鏡用フードを生成するための親水性モノマーを含むモノマー混合物は、
図2に示す隙間Sに注入される。
【0031】
上述の構成によれば、中空の円筒形状の部材20Aを2つの第2部材20に分離することができるため、共重反応後の内視鏡用フードの離形を容易にすることができる。
【0032】
また、上述の構成によれば、第1部材10及び第4部材40がスクリューキャップの構造を有しているため、封止性が高くなり、内視鏡用フードを生成するための親水性モノマーを含むモノマー混合物が漏れてしまうという問題点を解決することができる。
【0033】
また、
図2及び
図5に示すように、第3部材30の第1底面31には、得られる内視鏡用フードに、鉗子の出入口となる鉗子口を形成するための凸部35、及び、洗浄水の出口となる送水口を形成するための凸部36が設けられていてもよい。
【0034】
本実施形態では、内視鏡用フードは、ハイドロゲル製である。ハイドロゲルとしては、親水性モノマーのみを用いて形成されたハイドロゲルや、親水性モノマーに疎水性モノマー若しくは架橋性モノマー又はその両方を添加して形成されたハイドロゲル等が挙げられる。
【0035】
親水性モノマーは、ハイドロゲルの含水率に対して寄与し、疎水性モノマーは、ハイドロゲルの含水率や膨潤率の調整作用に対して寄与し、得られる内視鏡用フードの濡れ性や柔軟性に対して影響を与える。
【0036】
また、架橋性モノマーは、その含有量によって、ハイドロゲルの高分子鎖の密度を制御することが可能となり、ハイドロゲルに機械的強度や形状安定性や耐溶剤性を付与することができる。
【0037】
親水性モノマーとしては、1以上の親水基を分子内に有するものが好ましく、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルオキシエチルコハク酸、イタコン酸、メタクリルアミドプロピルトリアンモニウムクロライド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中から親水性モノマーを2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0038】
親水性モノマーの配合率は、特に限定されないが、得られる内視鏡用フードの含水率に影響を及ぼすことから、全重合成分中の50重量%以上であることが好ましい。親水性モノマーの配合率が50重量%未満の場合、十分な含水率を有する内視鏡用フードが得られないことから、内視鏡用フードの防汚性や防曇性が低下することが懸念されるため好ましくない。
【0039】
疎水性モノマーとしては、例えば、シロキサニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、メタクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中から疎水性モノマーを2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0040】
疎水性モノマーは、配合量に応じて得られる内視鏡用フードの含水性を変化させることができる。ところが、疎水性モノマーの配合率が高いと含水性が極端に低下し、得られる内視鏡用フードの柔軟性が低下することから、例えば、モノマー総量に対して30重量%未満であることが好ましい。
【0041】
架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、2-ヒドロキシ-1,3-ジメタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられ、これらの中から2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0042】
架橋性モノマーの配合量は、得られる内視鏡用フードの形状調節効果の観点から、モノマー総量に対して0.1~10重量%が好ましい。0.1重量%未満の場合は、内視鏡用フードの網目構造が不足し、10重量%を超えると逆に網目構造が過剰となり、内視鏡用フードが脆くなり、かつ、柔軟性が低下する。
【0043】
上述のモノマーの混合物を重合させる際に使用する重合開始剤としては、一般的なラジカル重合開始剤であるラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物や、アゾビスバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、モノマー総量に対して10~3500ppm程度が好ましい。
【0044】
本実施の形態に係る内視鏡用フードは、上述のモノマーを単一で或いは複数を混合した後、所望の形状に形成するものであり、単一の材料において形成される。
【0045】
ポリマーを得る工程として、構成成分であるモノマーを混合して得られるモノマー混合液を金属やガラスやプラスチック等の成形型に入れて密閉し、恒温槽等で段階的又は連続的に30~100℃の範囲で昇温し、5~50時間で共重合反応を完了させることによりポリマーを含む成形型を得ることができる。重合に関しては、紫外線や電子線やガンマ線等を用いることが可能である。
【0046】
ハイドロゲルを得る工程として、重合終了後の成形型を室温に冷却し、成形型に入っているポリマーを成形型から剥離し、ポリマーを水和膨潤させてハイドロゲルとする。使用する液体(膨潤液)としては、例えば、水、生理食塩水、等張性緩衝液及びこれらにエタノール等の有機溶媒を混合した溶液等が挙げられるがこれらに限定されない。膨潤液を60~100℃に加温し、ポリマーを一定時間膨潤液に浸漬させて膨潤状態とする。また、膨潤処理時にポリマーに付着する未反応のモノマーを除去することが好ましい。得られたハイドロゲルは、生理食塩水等の膨潤液に浸漬した状態で、110~130℃、10~60分間の高圧蒸気滅菌に供することにより定形化することができる。
【0047】
以下、
図7(a)~
図7(d)を参照して、本実施形態に係る内視鏡用フードの製造方法の一例について説明する。
【0048】
第1に、
図7(a)に示すように、2つの半円筒形状の第2部材20を結合して、両底面21A/22Aにおいて開口している中空の円筒形状の部材20Aを形成する。
【0049】
第2に、
図7(b)に示すように、中空の円筒形状の部材20Aを第1部材10の空洞部13に差し込む。
【0050】
第3に、中空の円筒形状の部材20Aの開口に、親水性モノマーを含むモノマー混合物を注入する。
【0051】
第4に、
図7(c)に示すように、第3部材30の本体部30Aを中空の円筒形状の部材20Aの開口に差し込む。
【0052】
第5に、
図7(d)に示すように、第4部材40の開口を第1部材10の外周に係合させた後に、30℃~100℃の範囲で5~50時間かけて熱処理を行い、共重合体を得る。例えば、かかる熱処理は、昇温することで共重合反応させる処理である。
【0053】
第6に、第1部材10と第4部材40とを分離した後に、第1部材10から第2部材20Aと第3部材30と共に、これらの空隙において形成された共重合体を取り出した後に、第2部材20Aを分割する。
【0054】
第7に、第3部材30の本体部30Aに付着した共重合体を、第3部材30と共に、0℃~100℃に加温した溶液中に浸漬させ、水和膨潤させることにより、第3部材30からハイドロゲルを剥離する。
【0055】
第8に、得られたハイドロゲルを、膨潤液に浸漬し、110℃~130℃で10分~60分の高圧蒸気滅菌に供することにより定形化する。
【0056】
本実施形態に係る内視鏡用フードの成形型1によれば、共重合反応後の内視鏡用フードの離形を容易とし、共重合反応時の液漏れを回避することができる。
【0057】
上述のように、本発明について、上述した実施形態によって説明したが、かかる実施形態における開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。かかる開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0058】
1…内視鏡用フードの成形型
10…第1部材
20…第2部材
20A…中空の円筒形状の部材
30…第3部材
30A…本体部
30B…円環部
35、36…凸部
40…第4部材
11、31、41…第1底面
12、32、42…第2底面
13、33、43…空洞部
rA…本体部の外径
rB…円環部の外径
r10…第1部材の外形
r40…第4部材の空洞部の半径