(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140547
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F16K31/06 305L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051730
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100100365
【弁理士】
【氏名又は名称】増子 尚道
(72)【発明者】
【氏名】津久井 良輔
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DA31
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD03
3H106DD07
3H106EE34
3H106GB08
3H106KK23
3H106KK31
(57)【要約】
【課題】開弁性能を高める。
【解決手段】流入路17、流出路18及び主弁室16を有する弁本体15と、主弁座20を有する主弁口19と、主弁口を開閉する主弁体21と、プランジャ室34内に収容されたプランジャ33及び吸引子44を含み主弁体を開弁方向へ移動させる駆動装置41と、主弁体を閉弁方向へ付勢する閉弁ばね36を備えた電磁弁で、主弁室とプランジャ室の間に介在されるように形成されプランジャ室に連通し主弁室に選択的に連通する副弁室26と、副弁座24を有し主弁室と副弁室を連通させる副弁口23と、主弁体と相対移動可能に備えられ副弁座に対し進退動する副弁体25と、副弁体を閉弁方向へ付勢する副弁閉鎖ばね27と、プランジャ室と主弁室間の流体の流通を遮断するシール部材28と、プランジャ室と流出路を連通させる導入路35を備え、電磁弁の開弁動作時に主弁体が主弁座から離間した後に副弁体が副弁座から離れるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流入させる流入路と前記流体を流出させる流出路とに連通する主弁室を有する弁本体と、
主弁座を有するとともに前記主弁室に開口するように前記流出路と前記主弁室との間に備えた主弁口と、
前記主弁座に対して進退動することにより前記主弁口を開閉する主弁体と、
プランジャ室内に摺動可能に収容されたプランジャ、および、当該プランジャを吸引する吸引子、を含み、前記主弁体を開弁方向へ移動させる、駆動装置と、
前記主弁体を閉弁方向へ付勢し、前記駆動装置の非駆動時に前記主弁体を閉弁方向へ移動させる、閉弁ばねと、
を備えた電磁弁であって、
前記電磁弁は、
前記主弁室と前記プランジャ室との間に介在されるように形成され、前記プランジャ室に連通するとともに、前記主弁室に選択的に連通する副弁室と、
副弁座を有するとともに前記主弁室と前記副弁室とを連通させる副弁口と、
前記電磁弁の軸線方向について前記主弁体と相対移動可能に備えられ、前記副弁座に対して進退動することにより前記副弁口を開閉する、副弁体と、
前記副弁体を閉弁方向へ付勢する副弁閉鎖ばねと、
前記プランジャ室と前記主弁室との間の流体の流通を遮断するシール部材と、
前記主弁体により前記主弁口が閉鎖されているときに前記プランジャ室と前記流出路とを連通させる導入路と、
をさらに備え、
前記電磁弁の開弁動作時に、前記主弁体が前記主弁座から離間した後に前記副弁体が前記副弁座から離間する
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記電磁弁の開弁動作時に、開弁方向へ移動する前記主弁体または前記主弁体の開弁方向へ移動する前記プランジャが前記副弁体を押し上げることにより、前記副弁体が開弁方向へ移動する
請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
主弁室およびパイロット弁室を内部に有するとともに、前記主弁室に流体を流入させる流入路および前記主弁室から流体を流出させる流入路を有する、弁本体と、
主弁座を有するとともに前記主弁室に開口するように前記流出路と前記主弁室との間に備えた主弁口と、
前記主弁座に対して進退動することにより前記主弁口を開閉する主弁体と、
前記主弁体を貫通して前記パイロット弁室と前記流出路とを選択的に連通させるパイロット通路と、
前記主弁室と前記パイロット弁室とを連通させる均圧路と、
前記パイロット通路のパイロット弁室側の端部に形成したパイロット弁座と、
前記パイロット弁座に対して進退動して前記パイロット通路を開閉するパイロット弁体と、
プランジャ室内に摺動可能に収容されたプランジャ、および、当該プランジャを吸引する吸引子、を含み、前記パイロット弁体を開弁方向へ移動させる、駆動装置と、
前記パイロット弁体を閉弁方向へ付勢し、前記駆動装置の非駆動時に前記パイロット弁体を閉弁方向へ移動させる、閉弁ばねと、
を備えた電磁弁であって、
前記電磁弁は、
前記パイロット弁室と前記プランジャ室との間に介在されるように形成され、前記プランジャ室に連通するとともに、前記パイロット弁室に選択的に連通する副弁室と、
副弁座を有するとともに前記パイロット弁室と前記副弁室とを連通させる副弁口と、
前記電磁弁の軸線方向について前記パイロット弁体と相対移動可能に備えられ、前記副弁座に対して進退動することにより前記副弁口を開閉する、副弁体と、
前記副弁体を閉弁方向へ付勢する副弁閉鎖ばねと、
前記プランジャ室と前記パイロット弁室との間の流体の流通を遮断するシール部材と、
前記パイロット弁体が前記パイロット弁座に着座するとともに前記主弁体が前記主弁座に着座しているときに前記プランジャ室と前記流出路とを連通させる導入路と、
をさらに備え、
前記電磁弁の開弁動作時に、前記パイロット弁体が前記パイロット弁座から離間した後に前記副弁体が前記副弁座から離間する
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項4】
前記電磁弁の開弁動作時に、開弁方向へ移動する前記パイロット弁体または前記パイロット弁体の開弁方向へ移動する前記プランジャが前記副弁体を押し上げることにより、前記副弁体が開弁方向へ移動する
請求項3に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記シール部材は、前記プランジャの動作方向である軸線方向について互いに対向するように広がるプランジャ下面と副弁体上面との間に介在されるように備えられている
請求項1から4のいずれか一項に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に係り、特に、開弁時の動作性を向上させる副弁を備えた電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁アクチュエータを使用して弁の開閉を行う電磁弁が空気調和機や冷蔵装置、冷凍装置など冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置に従来から使用されている。
【0003】
また、このような電磁弁を開示する文献として下記特許文献1がある。この文献記載の電磁弁は、プランジャ室に出口圧(流出路側の低圧)を導入することで弁体にかかる差圧荷重をキャンセルし、開弁性能を向上させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電磁弁は構造上、弁体が弁座に着座した閉弁時に最大の差圧荷重(流入路側の流体圧と流出路側の流体圧との差による荷重)が弁体にかかる。またこの閉弁時には、ノーマルクローズ(常時閉)の電磁弁であれば、プランジャは吸引子から最も離れた位置にあり、コイル(駆動装置)の吸引力は最も小さくなる。このため、開弁動作の確実性を担保することは必ずしも容易ではない。
【0006】
特に、弁口径が大きくなるほど弁体にかかる差圧荷重は大きくなり、開弁し難くなることから、弁口径を大きくするには従来、コイルを大型化するか、あるいはパイロット式にせざるを得なかった。
【0007】
一方、前記特許文献1記載の発明を利用し、出口圧をプランジャ室に導入することで差圧をキャンセルし、開弁性能を高めることも考えられる。
【0008】
ところが、当該文献記載の発明では、流入路側の高圧流体がプランジャ室へ浸入することを阻止するシール部材によって弁体(弁ホルダ)に摺動抵抗が生じることから、その分、開弁動作が阻害され、開弁性能の改善効果が減殺されてしまう面がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、開弁性能を向上させる新たな弁構造を得る点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するため、本願は2つの発明を提示する。第1の発明は、直動式電磁弁に係るもので、第2の発明はパイロット式電磁弁に係るものである。なお、本願において「本発明」と言う場合には、これら第1発明と第2発明の双方を指すものとする。また本願では、電磁弁の軸線方向(プランジャや主弁体の動作方向でもある)の一方側を「上」、他方側を「下」とし、弁本体の上側に駆動装置を、駆動装置の下側に弁本体をそれぞれ配置するものとして説明を行うが、本発明(第1発明及び第2発明)の電磁弁は様々な向き(姿勢)で使用することが可能であり、当該「上」や「下」(「上面」や「下面」、「上側」、「下側」、「上方」、「下方」等についても同様)は、本発明を理解しやすくするための便宜上の(相対的な)概念である(後に述べる実施形態についても同様)。
【0011】
〔第1発明〕
本願の第1の発明に係る電磁弁は、流体を流入させる流入路と流体を流出させる流出路とに連通する主弁室を有する弁本体と、主弁座を有するとともに主弁室に開口するように流出路と主弁室との間に備えた主弁口と、主弁座に対して進退動することにより主弁口を開閉する主弁体と、プランジャ室内に摺動可能に収容されたプランジャおよび当該プランジャを吸引する吸引子を含み主弁体を開弁方向へ移動させる駆動装置と、主弁体を閉弁方向へ付勢し駆動装置の非駆動時に主弁体を閉弁方向へ移動させる閉弁ばねとを備えた電磁弁である。
【0012】
そして上記電磁弁は、主弁室とプランジャ室との間に介在されるように形成されプランジャ室に連通するとともに主弁室に選択的に連通する副弁室と、副弁座を有するとともに主弁室と副弁室とを連通させる副弁口と、当該電磁弁の軸線方向について主弁体と相対移動可能に備えられ副弁座に対して進退動することにより副弁口を開閉する副弁体と、副弁体を閉弁方向へ付勢する副弁閉鎖ばねと、プランジャ室と主弁室との間の流体の流通を遮断するシール部材と、主弁体により主弁口が閉鎖されているときにプランジャ室と流出路とを連通させる導入路とをさらに備え、電磁弁の開弁動作時に、主弁体が主弁座から離間した後に副弁体が副弁座から離間するようにした。
【0013】
本願の第1の発明に係る電磁弁は、前記特許文献1記載の発明と同様にプランジャ室(特にプランジャと吸引子との間)に流出路側の低圧を導入する導入路を備えている。したがって、閉弁時に主弁体にかかる差圧をキャンセルする(差圧荷重を零にする)ことで開弁性能を向上させることが出来る。
【0014】
一方、上記第1発明の電磁弁では、特許文献1記載の発明のような摺動抵抗を生じるシール部材を備える代わりに、主弁(主弁室に備えられた、主弁体、主弁座及び主弁口を含み、流入路から流出路への流体流路を開閉する弁を本願では「主弁」と称する)より後に開弁する副弁(副弁室に備えられた副弁体、副弁座及び副弁口を含む弁を本願では「副弁」称する)を備える。
【0015】
また、プランジャ室と主弁室との間の流体の流通を遮断するシール部材を、開弁動作時に主弁体やプランジャに摺動抵抗を生じさせない位置に配置する。例えば、プランジャの動作方向である軸線方向(電磁弁の軸線方向)について互いに対向するように広がるプランジャ下面と副弁体上面との間に介在されるようにシール部材を備えれば、摺動抵抗を生じさせずに、プランジャ室と主弁室との間の流体の流通を遮断することが出来る。
【0016】
なお、上記第1発明の電磁弁では、主弁体が主弁座から離れた時点から副弁体が副弁座から離れるまでの期間(この期間を「開弁初動期」と言う)は、プランジャは上方へ移動するのに対し副弁体は静止しているため、プランジャ下面と副弁体上面の間隔が変化する(広がる)ことになるが、上記のようなシール部材の配置構造(プランジャ下面と副弁体上面との間にシール部材を介在させる)を採ったとしても、当該変化(プランジャ下面と副弁体上面間の間隔の変化)を吸収できる弾性部材によりシール部材を構成しておけば、シール機能を維持することが出来る。つまり、本発明におけるシール部材は、開弁初動期に軸線方向(プランジャの動作方向)に伸長(復元)することにより、プランジャ室と主弁室との間の流体の流通を遮断するシール機能を維持する。
【0017】
また、副弁室について前記「主弁室に選択的に連通する」とは、副弁が開弁したときにのみ主弁室と副弁室とが連通され、副弁が閉弁しているときには主弁室と副弁室とが非連通状態となることを意味する。
【0018】
上記第1発明の電磁弁では、主弁が開弁すると、次に、副弁が開弁し、流入路側の高圧流体が主弁室から副弁室に流れ込む。副弁室は、主弁室とプランジャ室との間に介在されるように、つまり、主弁室の上側で且つプランジャ室の下側に、形成されている。したがって流入路側の高圧流体は、副弁室を通ってプランジャ室へと進行するが、このときプランジャ室内に配置されているプランジャを下側から上方へ(つまり開弁方向へ)押し上げ、開弁動作が一層促進される。
【0019】
このように本願の第1の発明に係る電磁弁では、主弁が開弁するときには主弁体にかかる差圧荷重が導入路によってキャンセルされ、さらに、主弁に続いて副弁が開弁した後には、副弁室を通ってプランジャ室に流れ込む高圧流体によってプランジャが押し上げられ、これらにより開弁性能が向上される。したがって上記第1の発明によれば、弁口径の拡大やコイル(駆動装置)の小型化が可能となる、また従来、パイロット式を採用せざるを得なかった電磁弁についてこれを直動式に変更することも可能となる。さらに、流入路側と流出路側が高差圧であっても開弁が可能となるから、環境負荷が小さく安全性が高い(毒性が低い)高圧冷媒(例えばCO2冷媒)も使用しやすくなる。
【0020】
また上記第1発明において、主弁が開弁した後に副弁を開弁させる具体的機構としては、例えば、電磁弁の開弁動作時に、開弁方向へ移動する主弁体または主弁体の開弁方向へ移動するプランジャが副弁体に当接し、副弁体を押し上げることにより、副弁体が開弁方向へ移動するようにすれば良い。
【0021】
〔第2発明〕
本願の第2の発明に係る電磁弁は、主弁室およびパイロット弁室を内部に有するとともに主弁室に流体を流入させる流入路および主弁室から流体を流出させる流入路を有する弁本体と、主弁座を有するとともに主弁室に開口するように流出路と主弁室との間に備えた主弁口と、主弁座に対して進退動することにより主弁口を開閉する主弁体と、主弁体を貫通してパイロット弁室と流出路とを選択的に連通させるパイロット通路と、主弁室とパイロット弁室とを連通させる均圧路と、パイロット通路のパイロット弁室側の端部に形成したパイロット弁座と、パイロット弁座に対して進退動してパイロット通路を開閉するパイロット弁体と、プランジャ室内に摺動可能に収容されたプランジャおよび当該プランジャを吸引する吸引子を含みパイロット弁体を開弁方向へ移動させる駆動装置と、パイロット弁体を閉弁方向へ付勢し駆動装置の非駆動時にパイロット弁体を閉弁方向へ移動させる閉弁ばねとを備えた電磁弁である。
【0022】
また当該電磁弁は、パイロット弁室とプランジャ室との間に介在されるように形成されプランジャ室に連通するとともにパイロット弁室に選択的に連通する副弁室と、副弁座を有するとともにパイロット弁室と副弁室とを連通させる副弁口と、当該電磁弁の軸線方向についてパイロット弁体と相対移動可能に備えられ副弁座に対して進退動することにより副弁口を開閉する副弁体と、副弁体を閉弁方向へ付勢する副弁閉鎖ばねと、プランジャ室とパイロット弁室との間の流体の流通を遮断するシール部材と、パイロット弁体がパイロット弁座に着座するとともに主弁体が主弁座に着座しているときにプランジャ室と流出路とを連通させる導入路とをさらに備え、電磁弁の開弁動作時に、パイロット弁体がパイロット弁座から離間した後に副弁体が副弁座から離間するようにした。
【0023】
上記第2発明に係る電磁弁では、前記第1発明において主弁の開弁動作を促進する機能を果たす特徴的な構成(導入路や副弁)をパイロット弁に適用している。したがって、この第2発明によれば、パイロット弁の開弁性能を高めることで主弁の開弁性能を向上させることが出来る。また、パイロット方式を採用すれば直動式に比べて一般に弁口径を大きくすることが出来るが、上記第2発明によれば、従来のパイロット式電磁弁に比べ更に弁口径を大きくすることも可能となる。
【0024】
また、上記第2発明に係る電磁弁においても、副弁を作動させる同様の機構を採用することが出来る。すなわち、電磁弁の開弁動作時に、開弁方向へ移動するパイロット弁体またはパイロット弁体の開弁方向へ移動するプランジャが副弁体に当接し、副弁体を押し上げることにより、副弁体が開弁方向へ移動するように構成することが可能である。
【0025】
シール部材は、第2発明においても、例えば、プランジャの動作方向である軸線方向について互いに対向するように広がるプランジャ下面と副弁体上面との間に介在されるように配置すれば良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電磁弁の開弁性能を向上させることが出来る。
【0027】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基いて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。なお、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電磁弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、前記第1実施形態に係る電磁弁が閉弁状態にあるときの主弁および副弁部分を拡大して示す縦断面図(
図1の要部拡大図)である。
【
図3】
図3は、前記第1実施形態に係る電磁弁の開弁動作中の状態(主弁が開弁し、未だ開弁していない副弁体に主弁体が当接した状態)を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、前記第1実施形態に係る電磁弁が開弁動作中にあるときの主弁および副弁部分を拡大して示す縦断面図(
図3の要部拡大図)である。
【
図5】
図5は、前記第1実施形態に係る電磁弁の開弁状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、前記第1実施形態に係る電磁弁が開弁状態にあるときの主弁および副弁部分を拡大して示す縦断面図(
図5の要部拡大図)である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る電磁弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、前記第2実施形態に係る電磁弁の開弁動作中の状態(パイロット弁が全開となったが、主弁は未だ開弁していない状態)を示す縦断面図である。
【
図9】
図9は、前記第2実施形態に係る電磁弁の開弁状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1実施形態〕
図1から
図6に基いて本発明の第1の実施形態に係る電磁弁について説明する。なお、この第1実施形態は、前記第1発明を具体化したものである。
【0030】
図1および
図2に示すように本実施形態の電磁弁11は、非通電時に閉弁状態となるノーマルクローズ(常時閉)型の直動式電磁弁で、流路の開閉を行う弁部12と、弁部12を駆動する電磁アクチュエータ(駆動装置)41とを備えている。
【0031】
弁部12は、主弁室16および副弁室26となる内部空間を有するとともに上面に電磁アクチュエータ41を接続するための接続開口を有する弁本体15と、接続開口に固定したリング状の接続部材32と、接続部材32を介して弁本体15に固定され前記内部空間を上下に仕切るシート板22と、シート板22により仕切られた下側の内部空間である主弁室16内に配置した主弁体21と、シート板22により仕切られた上側の内部空間である副弁室26内に配置した副弁体25と、弁本体15の上部から垂直上方に立ち上がるように接続部材32に溶接した円筒状のスリーブ31とを備えている。
【0032】
弁本体15の側面には、主弁室16に冷媒(流体)を流入させる流入管17を接続して流入路とする。弁本体15の底面には、前記接続開口に向けて主弁室16内を垂直上方へ立ち上がる主弁口19を形成し、主弁口19の上端部に主弁座20を形成する。主弁口19の下端部には、主弁室16から冷媒を流出させる流出管18を接続して流出路とする。また、弁本体15の内部空間に(主弁室16と副弁室26との間に)水平(軸線Aに直交する方向)に広がるように備えられたシート板22は、ドーナツ状の平板部材で、副弁口23となる中心孔を有し、当該中心孔の上縁部に副弁座24が形成されている。また副弁口23には、プランジャ33の小径下端部33b(後述する)と主弁体21の上端部が挿通されている。
【0033】
一方、電磁アクチュエータ41は、中心に筒状部を有するボビン42に巻線を施したコイル43と、スリーブ31内に摺動可能に配置したプランジャ33と、プランジャ33を引き付ける吸引子44とを有する。吸引子44とスリーブ31(スリーブ31内に配置されたプランジャ33も)は、前記ボビン42の筒状部内に配置される。吸引子44は、スリーブ31の上面開口を塞ぐようにスリーブ31の上端部に溶接されている。
【0034】
プランジャ33は、スリーブ31内に上下方向に摺動可能に配置されたプランジャ本体部33aと、プランジャ本体部33aより径が小さくプランジャ本体部33aの下面中心部から下方へ垂直に延びる小径下端部33bとを有する。またプランジャ33には、プランジャ本体部33aおよび小径下端部33bを上下方向に貫通してプランジャ室34(プランジャ本体部33aの上面空間)に出口側(流出路18内)の低い圧力を導入する低圧導入路35を形成してある。なお、この低圧導入路35は、プランジャ33(小径下端部33b)の下端に備えた主弁体21も貫通している。また、プランジャ33と吸引子44との間には、圧縮コイルばねからなりプランジャ33を閉弁方向である下方へ付勢する閉弁ばね36を備える。
【0035】
さらに、プランジャ本体部33aの下端周縁には、垂直下方に立ち下がってシール部材28を保持できるように下端が内側に折れ曲がった周壁部33cを形成し、この周壁部33cの内側にシール部材28を設置する。
【0036】
シール部材28は、主弁13と副弁14の双方が閉じている閉弁時に主弁室16とプランジャ室34との間の冷媒の流通を遮断する機能を果たすリング状の弾性部材である。このためにシール部材28は、上下にそれぞれ突出する凸条部29を、より詳しくは、シール部材28の上面から上方に突出してプランジャ本体部33aの下面に押圧状態で当接するリング状の上面側凸条部29aと、シール部材28の下面から下方に突出して副弁体25(フランジ部25c)の上面に押圧状態で当接するリング状の下面側凸条部29bとを有する。
【0037】
またこれらの凸条部29a,29bは、後の動作説明で述べる開弁初動期に主弁体21とプランジャ33のみが上方に移動することによりプランジャ本体部33aの下面と副弁体25(フランジ部25c)の上面との間の間隔が広がっても上下方向に復元することで、両シール面(プランジャ本体部33aの下面と副弁体34の上面)に対する押圧状態(シール機能)を維持する。
【0038】
プランジャ33(小径下端部33b)の下端部には、主弁体21を固定してある。主弁体21は、主弁座20に対向するように備えられ、プランジャ33と一緒に上下動して主弁座20に接離(当接及び離間)することにより主弁口19を開閉する。また、主弁体21を主弁座20に向けて付勢するため、プランジャ本体部33aと吸引子44との間には、圧縮コイルばねからなる閉弁ばね36を備える。
【0039】
プランジャ33の小径下端部33bの中間部には、副弁体25を上下方向に移動可能に配置する。副弁体25は、プランジャ33の小径下端部33bを貫通させることが出来るように円筒状の全体形状を有し、副弁座24に着座する傾斜外周面を備えたリング状の(中心孔を有する)底板部25aと、底板部25aから上方に立ち上がる円筒状の胴部25bと、胴部25bの上端部から外方へ水平に広がるフランジ部25cとを有する。そして、底板部25aの中心孔にプランジャ33の小径下端部33bが摺動可能に挿通されている。
【0040】
さらに、副弁体25を副弁座24に向けて付勢するため、副弁閉鎖ばね27を備える。この副弁閉鎖ばね27は、プランジャ本体部33aの下面と副弁体25の底板部25aの上面との間に圧縮された状態で備えられる圧縮コイルばねで、シール部材28の内周面と小径下端部33bの外周面との間の隙間、ならびに、副弁体25の胴部25bの内周面と小径下端部33bの外周面との間の隙間、に配置されるように設ける。
【0041】
また、副弁体25は、開弁動作時に上方へ移動する主弁体21によって押し上げられることにより開弁する(上方へ移動する)が、主弁13に遅れて(主弁13が開弁した後に)副弁14を開弁させるために、副弁体25(の下面)と主弁体21(の上面)との間には、閉弁状態(主弁13及び副弁14が閉弁している状態)において一定の隙間Sが形成されるようにしてある。なお、当該動作については後に詳しく述べる。
【0042】
また本実施形態において、主弁口19、主弁体21、プランジャ33(プランジャ本体部33a及び小径下端部33b)、副弁口23、ならびに、副弁体25は、同軸状に(同一の中心軸Aを有するように)配置されている。
【0043】
本実施形態の電磁弁の動作を述べれば、次のとおりである。
【0044】
図1および
図2に示す閉弁状態では、プランジャ33と吸引子44との間に圧縮状態で備えられている閉弁ばね36の反発力によりプランジャ33を介して主弁体21が主弁座20に押し付けられることにより主弁13は閉弁している。また、プランジャ33と副弁体25との間に圧縮状態で備えられている副弁閉鎖ばね27の反発力により副弁体25が副弁座24に押し付けられ、副弁14も閉弁している。この状態からコイル43に通電すると、吸引子44に引き寄せられることにより閉弁ばね36の付勢力に抗してプランジャ33が上方へ移動する。これにより、プランジャ33の下端部に固定された主弁体21も上方へ移動し、主弁体21が主弁座20から離れて主弁13が開弁する。
【0045】
なお、低圧導入路35によってプランジャ室34(特にプランジャ33の上面側の空間、即ちプランジャ33と吸引子44との間の空間)には流出路18側の低い圧力が導入されているから、上記のように主弁13が開弁するときには、吸引子44の吸引力が最も弱い閉弁状態にあってもプランジャ33が吸引されやすく、主弁13が開弁しやすくなっている。
【0046】
また、本実施形態では、各シール径を合わせて差圧による荷重をキャンセルしている。ここで、主弁体21が主弁座20に当接することによるシール径を第1シール径(
図2の符号d1)、副弁体25が副弁座24に当接することによるシール径を第2シール径(
図2の符号d2)、シール部材28の上面側凸条部29aとプランジャ下面のシール面のシール径を第3シール径(
図2の符号d3)、下面側凸条部29bと副弁体25(フランジ部25c)の上面のシール面のシール径を第4シール径(
図2の符号d4)とすると、主弁体21(プランジャ33)に負荷される荷重(差圧荷重)は、第1シール径d1と第3シール径d3の面積差に比例し、副弁座24に負荷される差圧荷重は、第2シール径d2と第4シール径d4の面積差に比例する。
【0047】
本実施形態では、第1シール径d1と第3シール径d3を同じ直径にし、且つ、第2シール径d2と第4シール径d4を同じ直径にしたことで、閉弁状態では、流入管17側の流体の圧力と流出管18側の流体の圧力との圧力差(差圧)によって、主弁体21(プランジャ33)に負荷される上下方向の荷重(差圧荷重)と、副弁座24に負荷される上下方向の差圧荷重がいずれも相殺されてゼロになる。そのため、差圧によってプランジャ33が受ける上下方向の差圧荷重がなく、差圧が大きくても開弁できる。なお、本実施形態では、第1シール径d1から第4シール径d4をいずれも同じ直径に設定しているが、第1シール径d1と第3シール径d3が同じで、且つ、第2シール径d2と第4シール径d4が同じであれば、第1シール径d1と第2シール径d2、または、第3シール径d3と第4シール径d4が異なる直径であっても良い。
【0048】
そして、主弁座20から離れ上方へ移動する主弁体21は、
図3および
図4に示すように副弁体25に当接し、その後、副弁体25を押し上げる。これにより、副弁体25が副弁座24から離れ、副弁14が開弁する。なお、主弁体21が主弁座20から離れて副弁体25に当接するまでの間(開弁初動期)には、プランジャ33は上方へ移動するのに対し副弁体25は静止しているため、プランジャ本体部33aの下面と副弁体25の上面との間が広がることになるが、シール部材28の凸条部29が上下方向に伸長(復元)するから主弁室16とプランジャ室34との連通を遮断するシール機能は維持されている。
【0049】
副弁14が開弁すると、主弁室16から副弁室26内に流入路17側の高圧冷媒が流れ込む。流れ込んだ高圧冷媒は、副弁室26を通ってプランジャ室34へ進行するが、このときプランジャ33を下面側から押し上げる。これにより、主弁13の開弁が一層促進され、
図5および
図6に示すようにプランジャ33が吸引子44に当接して主弁13が全開となった開弁状態となる。この開弁状態では、流入路17から主弁室16に流れ込んだ冷媒は、流出路18を通じて外部へ流れ出すこととなる(
図5の矢印F参照)。
【0050】
一方、コイル43への通電を停止すると、吸引子44によるプランジャ33に対する吸引力が失われ、プランジャ33は、吸引子44との間に圧縮状態で備えられている閉弁ばね36の反発力により吸引子44から離れてスリーブ31内を下方へ移動する。これに伴い、プランジャ33に固定された主弁体21も下方へ移動して主弁座20に着座する。また、副弁体25は、副弁閉鎖ばね27の反発力によって下方へ押し戻され、副弁座24に着座する。その結果、前記
図1および
図2に示したような閉弁状態となり、流入路17から流出路18への流路が遮断される。
【0051】
〔第2実施形態〕
図7から
図9に基いて本発明の第2の実施形態に係る電磁弁について説明する。なお、この第2実施形態は、前記第2発明を具体化したものである。
【0052】
本発明の第2の実施形態に係る電磁弁51は、前記第1実施形態の電磁弁と同様のノーマルクローズ(常時閉)型の電磁弁であるが、パイロット弁52を介して主弁13を駆動するパイロット式電磁弁である。また、前記第1実施形態では主弁13に対して副弁14を設けたが、本実施形態ではパイロット弁52に対して同様の副弁14を設ける。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略し、相違点を中心に説明を行う。
【0053】
図7に示すように本実施形態の電磁弁51は、主弁13、パイロット弁52および副弁14を含む弁部12と、パイロット弁52を駆動する電磁アクチュエータ41とを有する。主弁13は、主弁座20に対して進退動(上下動)して主弁口19を開閉可能に弁本体15の内部に配置した主弁体21を含む。主弁体21は、パイロット通路56と均圧路57を有し、パイロット通路56の上面部にパイロット弁座54が形成されている。
【0054】
主弁体21の上側(主弁体21とシート板22との間)はパイロット弁室55とされ、プランジャ33(小径下端部33b)の下端部に固定したパイロット弁体53がパイロット弁座54に対して進退動(上下動)することによりパイロット通路56を開閉する。
【0055】
副弁体25は、パイロット弁体53とプランジャ本体部33aとの間に介在されるように備えられる。このため、副弁座24を備えたシート板22は、本実施形態ではパイロット弁室55の上部(パイロット弁室55と副弁室26の間)に設置される。また本実施形態では、シート板22の下面に下方へ突出するストッパ部58を形成してある。このストッパ部58は、電磁弁51の開弁時(コイル43への通電時)に主弁13の全開状態を維持するためのもので、当該開弁時に押し上げられた主弁体21は、ストッパ部58に突き当たって停止されるため、主弁体21の上面中心部のパイロット弁座54がパイロット弁体53に当接してパイロット弁52が閉じられることはなく、パイロット通路56は開放されたままで開弁状態が維持される。
【0056】
また、シール部材28は、主弁13とパイロット弁52と副弁14の総てが閉じている閉弁時にパイロット弁室55とプランジャ室34との間の流体の流通を遮断する機能を果たし、パイロット弁体53とプランジャ33のみが上方に移動する開弁初動期に上下方向に伸長(復元)してシール機能を維持する凸条部29を備えている。
【0057】
また、副弁14がパイロット弁52に遅れて開くように、パイロット弁体53と副弁体25との間には、第1実施形態で主弁体21と副弁体25との間に形成した隙間Sと同様の隙間を形成しておく。さらに本実施形態では、閉弁状態において、パイロット通路56と、プランジャ33に形成された低圧導入路35とにより流出路18とプランジャ室34とが連通され、これによりプランジャ室34に流出路18側の低い圧力が導入される。なお、低圧導入路35は、プランジャ33とパイロット弁体53を貫通している。
【0058】
また本実施形態において、主弁口19、主弁体21、パイロット弁座54、パイロット弁体53、プランジャ33(プランジャ本体部33a及び小径下端部33b)、副弁口23、ならびに、副弁体25は、同軸状に(同一の中心軸Aを有するように)配置されている。
【0059】
本実施形態の電磁弁の動作を述べれば、次のとおりである。
【0060】
図7に示す閉弁状態では、プランジャ33と吸引子44との間に圧縮状態で備えられている閉弁ばね36の反発力によりプランジャ33を介してパイロット弁体53がパイロット弁座54に押し付けられ、パイロット弁52は閉じている。このため、パイロット通路56は閉鎖されており、均圧路57を介して主弁室16と連通しているパイロット弁室55の内部圧力が主弁室16内の圧力と等しくなる一方、均圧路57によって均圧化されている主弁室16およびパイロット弁室55よりも流出路18(主弁口19)内の圧力が低くなっており、この圧力差(正確には、パイロット弁室55と流出路18内の空間との差圧)によって主弁体21が主弁座20に着座し、閉弁状態が維持されている。また、プランジャ33と副弁体25との間に圧縮状態で備えられている副弁閉鎖ばね27の反発力により副弁体25が副弁座24に押し付けられ、副弁14も閉じている。
【0061】
この閉弁状態においてコイル43に通電すると、吸引子44に引き寄せられることにより閉弁ばね36の付勢力に抗してプランジャ33が上方へ移動する。これにより、プランジャ33の下端部に固定されたパイロット弁体53も上方へ移動し、パイロット弁体53がパイロット弁座54から離れてパイロット弁52が開く。
【0062】
なお、低圧導入路35によってプランジャ室34(特にプランジャ本体部33aと吸引子44との間の空間)には流出路18側の低い圧力が導入されているから、上記のようにパイロット弁52が開弁するときには、吸引子44の吸引力が最も弱い閉弁状態にあってもプランジャ33が吸引されやすく、パイロット弁52が開きやすくなっている。
【0063】
そして、上方へ移動するパイロット弁体53は、副弁体25に当接して副弁体25を押し上げる。これにより、副弁体25が副弁座24から離れ、副弁14が開弁する。なお、パイロット弁体53がパイロット弁座54から離れて副弁体25に当接するまでの開弁初動期には、プランジャ33は上方へ移動するのに対し副弁体25は静止しているため、プランジャ本体部33aの下面と副弁体25の上面との間が広がることになるが、シール部材28の凸条部29が上下方向に伸長(復元)するからパイロット弁室55とプランジャ室34との連通を遮断するシール機能は維持されている。
【0064】
副弁14が開くと、パイロット弁室55から副弁室26内に流入路17側の高圧冷媒が流れ込む。流れ込んだ高圧冷媒は、副弁室26を通ってプランジャ室34へ進行するが、このときプランジャ33を下面側から押し上げる。これにより、パイロット弁52の開弁が一層促進され、パイロット弁52が全開となる(
図8参照)。
【0065】
そして、パイロット弁52が開いてパイロット通路56が開放されると、均圧路57を通じてパイロット弁室55に導入される冷媒がパイロット通路56を通じて流出路18へ放出され、パイロット弁室55内の圧力は次第に低下する。また、均圧路57よりもパイロット通路56の断面積が大きく、パイロット通路56を通じてパイロット弁室55から流出路18に放出される冷媒量の方が均圧路57を通じて主弁室16からパイロット弁室55内に流入する冷媒量より多いことから、パイロット弁室55内の圧力が主弁室16内の圧力より低くなり、主弁体21を上方へ引き上げる差圧が主弁体21の上下面に生じる。すると、主弁体21が押し上げられて流出路18(主弁口19)が開放された開弁状態となり(
図9参照)、流入路17から主弁室16内に流れ込んだ冷媒は、流出路18を通って外部へ排出されることとなる(
図9の符号F参照)。なお、押し上げられた主弁体21は、シート板22の下面のストッパ部58に突き当たって停止されるため、主弁体21の上面のパイロット弁座54がパイロット弁体53に当接してパイロット弁52が閉じられることはなく、パイロット通路56は開放されたままで開弁状態が維持される。
【0066】
一方、この開弁状態からコイル43への通電を停止すると、吸引子44の吸引力が消失してプランジャ33が吸引子44から解放されるから、プランジャ33は閉弁ばね36によって下方に押し戻され、パイロット弁体53がパイロット弁座54に着座してパイロット通路56が閉鎖される。またこのとき、副弁体25は、副弁閉鎖ばね27の反発力によって下方へ押し戻されて副弁座24に着座し、副弁14が閉じられる。すると、均圧路57を通じてパイロット弁室55内に流入する冷媒がパイロット弁室55内に蓄積されてパイロット弁室55内の圧力が高まり、この圧力(正確には、パイロット弁室55と流入路17に面した主弁室16との差圧)によって主弁体21が押し下げられ、主弁座20に着座する。その結果、前記
図7に示したような閉弁状態となり、流入路17から流出路18への流路が遮断される。
【符号の説明】
【0067】
A 軸線(中心軸)
F 冷媒の流れ
S 主弁体と副弁体との間の隙間
d1 第1シール径
d2 第2シール径
d3 第3シール径
d4 第4シール径
11,51 電磁弁
12 弁部
13 主弁
14 副弁
15 弁本体
16 主弁室
17 流入路(流入管)
18 流出路(流出管)
19 主弁口
20 主弁座
21 主弁体
22 シート板
23 副弁口
24 副弁座
25 副弁体
25a 底板部
25b 胴部
25c フランジ部
26 副弁室
27 副弁閉鎖ばね
28 シール部材
29 凸条部
29a 上面側凸条部
29b 下面側凸条部
31 スリーブ
32 接続部材
33 プランジャ
33a プランジャ本体部
33b 小径下端部
33c 周壁部
34 プランジャ室
35 低圧導入路
36 閉弁ばね
41 電磁アクチュエータ(駆動装置)
42 ボビン
43 コイル
44 吸引子
52 パイロット弁
53 パイロット弁体
54 パイロット弁座
55 パイロット弁室
56 パイロット通路
57 均圧路
58 ストッパ部