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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014055
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240125BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240125BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20240125BHJP
   G05F 1/10 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/00 398
H05B3/00 335
H05B3/00 310D
H05B3/00 310K
G05F1/10 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116614
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田尻 文威
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
3K058
5H410
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033BA25
2H033BA31
2H033BB01
2H033BB17
2H033BB28
2H033BC01
2H033CA02
2H033CA07
2H033CA27
2H033CA30
2H033CA41
2H033CA45
2H033CA46
2H033CA47
2H270KA35
2H270KA46
2H270LA10
2H270LA25
2H270LD05
2H270MA35
2H270MB25
2H270MB36
2H270MB41
2H270MB43
2H270MB55
2H270MC44
2H270MC78
2H270MD01
2H270MD02
2H270MF16
2H270MF17
2H270MF21
2H270MF22
2H270MG01
2H270MG04
2H270MH09
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC06
2H270ZC08
3K058AA42
3K058BA18
3K058CA23
3K058GA06
5H410CC03
5H410DD03
5H410EA03
5H410FF03
(57)【要約】
【課題】簡単な制御によりヒータを制御可能な画像形成装置の実現。
【解決手段】制御部(45)は、ゼロクロス信号のエッジの入力に応じてオン期間を決定し、決定されたオン期間に基づくパルス信号を、次のエッジの入力に応じて出力回路(46)が出力するように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給される交流電圧によって発熱するヒータを有し、シートに現像剤像を定着する定着器と、
前記ヒータに供給される交流電圧をスイッチングするスイッチング素子であって、前記交流電源と前記ヒータとを導通させる状態であるオン状態と、前記交流電源と前記ヒータとを導通させない状態であるオフ状態とを切り替えるスイッチング素子と、
前記交流電圧のゼロクロス点を示すゼロクロス信号を出力するゼロクロス回路と、
制御部と、
前記スイッチング素子に対して、パルス信号を出力する出力回路と、を備え、
前記パルス信号は、前記ゼロクロス信号の立ち上がり/立ち下がりのエッジに応じて、オン期間の間、前記スイッチング素子を前記オン状態とし、その後、前記スイッチング素子を前記オフ状態とし、
前記制御部は、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力に応じて前記オン期間を決定し、決定されたオン期間に基づくパルス信号を、次のエッジの入力に応じて前記出力回路が出力するように制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、前記定着器の温度を検知する温度センサを備え、
前記制御部は、
前記温度センサが検知する検知温度に基づいて、前記スイッチング素子の状態を前記オン状態、又は、前記オフ状態にするかについて前記交流電圧の半波毎に定められた制御パターンを用いて、前記出力回路の制御を行い、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすること、及び、更に次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オフ状態にすることが前記制御パターンに定められている場合に、前記オン期間を所定期間より短くするように決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすること、及び、更に次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすることが前記制御パターンに定められている場合に、前記オン期間を前記所定期間より長くするように決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングに、決定したオン期間の情報を、前記出力回路の記憶部に書き込み、
前記出力回路は、
前記記憶部に記憶されたオン期間の情報に基づいて、次のエッジの入力に応じて前記パルス信号を出力する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
更に、前記定着器の温度を検知する温度センサを備え、
前記制御部は、
前記温度センサが検知する検知温度に基づいて、前記スイッチング素子の状態を前記オン状態、又は、前記オフ状態にするかについて前記交流電圧の半波毎に定められた制御パターンを用いて、前記出力回路の制御を行い、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、当該エッジの入力を検出時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にしたこと、及び、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすることが前記制御パターンに定められている場合、当該次のエッジの入力に応じて遅延無しでパルス信号を出力するように前記出力回路を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、当該エッジの入力を検出時の前記スイッチング素子の状態を前記オフ状態にしたこと、及び、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすることが前記制御パターンに定められている場合、当該次のエッジの入力に応じて遅延有りでパルス信号を出力するように前記出力回路を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、当該エッジの入力を検出時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にしたこと、及び、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすることが前記制御パターンに定められている場合、前記オン期間を前記交流電圧の半波の周期よりも長くする
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングに、決定したオン期間の情報を、前記出力回路の記憶部に書き込み、
前記出力回路は、
前記記憶部に記憶されたオン期間の情報に基づいて、次のエッジの入力に応じて前記パルス信号を出力する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記出力回路は、
前記スイッチング素子に対して、前記ゼロクロス信号の立ち上がり又は立ち下がりのエッジに応じて、オン期間の間、前記スイッチング素子が前記オン状態となり、その後、前記スイッチング素子が前記オフ状態となるPWM信号を出力する複数の出力部を有し、
前記複数の出力部は、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力に応じて、順番にPWM信号を出力し、
前記パルス信号は、前記出力回路の前記複数の出力部が出力するPWM信号が重ね合わさって生成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記出力回路は、
前記複数の出力部が3つの出力部であり、
前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングに、決定したオン期間の情報を書き込まれる記憶部を前記3つの出力部ごとに更に有し、
前記3つの出力部は、対応する前記記憶部に記憶されたオン期間の情報に基づいて、次のエッジの入力に応じて前記パルス信号を出力する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒータを有しシートに現像剤像を定着させる定着器を備えた画像形成装置が知られている。特許文献1では、ヒータはトライアック等のスイッチング素子を介して交流電源に接続され、画像形成装置は、交流電源から供給される交流電圧のゼロクロスポイントが検出されるタイミングを基準としてスイッチング素子を切り替えることによって、定着器の温度が目標温度になるように、ヒータの通電制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-208450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の画像形成装置では、ゼロクロス点が検出されるタイミングに、そのタイミングを基準として、スイッチング素子へ制御信号を出力するタイミングを決定しているため、性能の良い制御部を要する難しい制御であった。
【0005】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な制御によりヒータを制御可能な画像形成装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る画像形成装置は、交流電源から供給される交流電圧によって発熱するヒータを有し、シートに現像剤像を定着する定着器と、前記ヒータに供給される交流電圧をスイッチングするスイッチング素子であって、前記交流電源と前記ヒータとを導通させる状態であるオン状態と、前記交流電源と前記ヒータとを導通させない状態であるオフ状態とを切り替えるスイッチング素子と、前記交流電圧のゼロクロス点を示すゼロクロス信号を出力するゼロクロス回路と、制御部と、前記スイッチング素子に対して、パルス信号を出力する出力回路と、を備え、前記パルス信号は、前記ゼロクロス信号の立ち上がり/立ち下がりのエッジに応じて、オン期間の間、前記スイッチング素子を前記オン状態とし、その後、前記スイッチング素子を前記オフ状態とし、前記制御部は、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力に応じて前記オン期間を決定し、決定されたオン期間に基づくパルス信号を、次のエッジの入力に応じて前記出力回路が出力するように制御する。
【0007】
制御部が、ゼロクロス信号の次のエッジの入力に先立って、次のエッジに応じて出力回路が出力するパルス信号のオン期間を決定しておき、実際の次のゼロクロス信号のエッジのタイミングに、決定されたオン期間の間スイッチング素子がオン状態となるパルス信号を出力回路が出力するように制御する。次のエッジの入力に先立ってオン期間を決定しておくため、従来に比べて簡単にヒータを制御することができる。
【0008】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、更に、前記定着器の温度を検知する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサが検知する検知温度に基づいて、前記スイッチング素子の状態を前記オン状態、又は、前記オフ状態にするかについて前記交流電圧の半波毎に定められた制御パターンを用いて、前記出力回路の制御を行い、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすること、及び、更に次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オフ状態にすることが前記制御パターンに定められている場合に、前記オン期間を所定期間より短くするように決定する。
【0009】
次にエッジの入力を検出した時のスイッチング素子の状態をオン状態にすること、及び、更に次にエッジの入力を検出した時のスイッチング素子の状態をオフ状態にすることが制御パターンに定められている場合、オン期間を短くすることによって、交流電圧の波形の変動によって、スイッチング素子の状態がオフ状態にならない場合を防ぐことができる。
【0010】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、前記制御部は、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすること、及び、更に次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすることが前記制御パターンに定められている場合に、前記オン期間を前記所定期間より長くするように決定する。
【0011】
次にエッジの入力を検出した時のスイッチング素子の状態をオン状態にすること、及び、更に次にエッジの入力を検出した時のスイッチング素子の状態をオン状態にすることが制御パターンに定められている場合、オン期間を長くすることによって、スイッチング素子の状態を連続してオン状態、すなわち、ヒータに交流電圧を連続して通電することができ、ノイズの発生を抑制することができる。
【0012】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、前記制御部は、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングに、決定したオン期間の情報を、前記出力回路の記憶部に書き込み、前記出力回路は、前記記憶部に記憶されたオン期間の情報に基づいて、次のエッジの入力に応じて前記パルス信号を出力する。
【0013】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、更に、前記定着器の温度を検知する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサが検知する検知温度に基づいて、前記スイッチング素子の状態を前記オン状態、又は、前記オフ状態にするかについて前記交流電圧の半波毎に定められた制御パターンを用いて、前記出力回路の制御を行い、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、当該エッジの入力を検出時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にしたこと、及び、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすることが前記制御パターンに定められている場合、当該次のエッジの入力に応じて遅延無しでパルス信号を出力するように前記出力回路を制御する。
【0014】
エッジの入力を検出した時のスイッチング素子の状態をオン状態にしたこと、及び、次にエッジの入力を検出した時のスイッチング素子の状態をオン状態にすることが制御パターンに定められている場合、出力回路が遅延無しでパルス信号を出力することで、スイッチング素子の状態を連続してオン状態、すなわち、ヒータに交流電圧を連続して通電することができ、パルス信号にオフがないため、ノイズの発生を防ぐことができる。
【0015】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、前記制御部は、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、当該エッジの入力を検出時の前記スイッチング素子の状態を前記オフ状態にしたこと、及び、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすることが前記制御パターンに定められている場合、当該次のエッジの入力に応じて遅延有りでパルス信号を出力するように前記出力回路を制御する。
【0016】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、前記制御部は、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングにおいて、当該エッジの入力を検出時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にしたこと、及び、次のエッジの入力時の前記スイッチング素子の状態を前記オン状態にすることが前記制御パターンに定められている場合、前記オン期間を前記交流電圧の半波の周期よりも長くする。
【0017】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、前記制御部は、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングに、決定したオン期間の情報を、前記出力回路の記憶部に書き込み、前記出力回路は、前記記憶部に記憶されたオン期間の情報に基づいて、次のエッジの入力に応じて前記パルス信号を出力する。
【0018】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、前記出力回路は、前記スイッチング素子に対して、前記ゼロクロス信号の立ち上がり又は立ち下がりのエッジに応じて、オン期間の間、前記スイッチング素子が前記オン状態となり、その後、前記スイッチング素子が前記オフ状態となるPWM信号を出力する複数の出力部を有し、前記複数の出力部は、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力に応じて、順番にPWM信号を出力し、前記パルス信号は、前記出力回路の前記複数の出力部が出力するPWM信号が重ね合わさって生成されている。
【0019】
また、本開示の一態様に係る画像形成装置では、前記出力回路は、前記複数の出力部が3つの出力部であり、前記ゼロクロス信号の前記エッジの入力を検出したタイミングに、決定したオン期間の情報を書き込まれる記憶部を前記3つの出力部ごとに更に有し、前記3つの出力部は、対応する前記記憶部に記憶されたオン期間の情報に基づいて、次のエッジの入力に応じて前記パルス信号を出力する。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一態様によれば、簡単な制御によりヒータを制御可能な画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施形態1に係る画像形成装置の概略構成を示す側断面図である。
図2】本開示の実施形態1に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図3】本開示の実施形態1に係るヒータと回路基板との関係を示す図である。
図4図2のタイミングジェネレータの概略構成を示すブロック図と、第1PWM信号の一例を示す図である。
図5図4の第1PWMブロックの作動に関するフローチャートである。
図6】ヒータの制御に関するフローチャートである。
図7】制御パターンの一例を示す図である。
図8図6のヒータ点灯判定に関するフローチャートである。
図9】本開示の実施形態1における図8の第2レジスタ書込処理に関するフローチャートである。
図10】本開示の実施形態1における制御パターンとタイミングジェネレータの出力信号との関係の説明に用いるタイミングチャートである。
図11】本開示の実施形態1における図8の第1レジスタ書込処理に関するフローチャートである。
図12】本開示の実施形態2における図8の第1および第2レジスタ書込処理に関するフローチャートである。
図13】本開示の実施形態2における制御パターンとタイミングジェネレータの出力信号との関係の説明に用いるタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0023】
図1は、本開示の実施形態1に係る画像形成装置1の縦断面を概略的に表した図である。
【0024】
画像形成装置1は、本体筐体2内の下部に配置されたトレイ3又は手差しトレイ4から供給されるシート5に対し、画像形成部6にて現像剤像を形成する。その後、画像形成装置1は、定着部7にてその現像剤像が形成されたシート5を加熱して定着処理を行い、最後に画像形成装置1は、排紙ローラにてそのシートを本体筐体2内の上部に位置する排紙トレイ8に排紙する。
【0025】
画像形成部6は、レーザユニット10、現像カートリッジ13、感光ドラム17、帯電装置18、転写ユニット19等を備えている。
【0026】
レーザユニット10は、本体筐体2内の上部に配置されており、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー11、複数の反射鏡12及び図示しない複数のレンズ等を備えている。レーザユニット10では、レーザ発光部から発射されたレーザ光を、ポリゴンミラー11、反射鏡12、レンズを介して一点鎖線で示すように感光ドラム17の表面上に高速走査にて照射させる。
【0027】
現像カートリッジ13は、本体筐体2に着脱可能に装着されており、その内部には、現像剤が収容されている。また、現像カートリッジ13の現像剤供給口には、現像ローラ14、供給ローラ15が互いに対向した状態で配置されている。現像カートリッジ13内の現像剤は、供給ローラ15の回転により現像ローラ14に供給され、現像ローラ14に担持される。
【0028】
感光ドラム17の上方には、帯電装置18が間隔を隔てて配置されている。また、感光ドラム17の下方には、転写ユニット19が感光ドラム17に対向して配置されている。感光ドラム17の表面は回転されつつ、まず帯電装置18によって一様に、例えば、正極性に帯電される。次いで、レーザユニット10からのレーザ光により感光ドラム17上に静電潜像が形成される。
【0029】
その後、感光ドラム17が現像ローラ14と接触して回転するときに、現像ローラ14上に担持されている現像剤が感光ドラム17の表面上の静電潜像に供給されて担持されることによって現像剤像が形成される。その後、現像剤像は、シート5が感光ドラム17と転写ユニット19との間を通る間に、転写ユニット19に印加される転写バイアスによって、シート5に転写される。
【0030】
定着部7は、現像剤による画像をシート5に定着させるものである。定着部7は、画像形成部6に対してシート搬送方向の下流側に配置され、定着ローラ22、定着ローラ22を押圧する加圧ローラ23、及び定着ローラ22を加熱するヒータ31等を備える。
【0031】
ヒータ31は、例えば、ハロゲンヒータで構成され、回路基板25に接続され、回路基板25からのオンオフ信号によって通電制御される。画像形成装置1は、ヒータ31と回路基板25とパネルユニット27とを備える。
【0032】
図2は、画像形成装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。図2に示されるように、画像形成装置1は、画像形成部6と、定着部7と、回路基板25と、パネルユニット27とを備える。
【0033】
回路基板25は、メイン基板40と低圧電源41とを有する。メイン基板40には、SOC(System on Chip)44と、DC/DCコンバータ48と、インタフェース50と、LANインタフェース51と、USBインタフェース52とを有する。低圧電源41は、トライアック42と、ゼロクロス回路43とを有する。
【0034】
低圧電源41は、交流電源から電力を受電し、定着部7のヒータ31へ交流電圧Vinを供給する。また、低圧電源41は、交流電圧Vinを所定の直流電圧に変換し、メイン基板40へ供給する。図2では、低圧電源41は、交流電圧Vinを24Vの直流電圧に変換している。
【0035】
低圧電源41のトライアック42は、スイッチング素子の一例であり、後述するオンオフ信号に基づいて、定着部7のヒータ31に供給される交流電圧Vinをスイッチングする。ヒータ31は、交流電圧Vinが供給されると発熱し、定着ローラ22を加熱する。サーミスタ32は、温度センサの一例であって、ヒータ31の温度を検知する。図2では、サーミスタ32を定着部7の一部として図示しているが、サーミスタ32は、ヒータ31の温度を検知することができればよく、定着部7の外部に設けることにしてもよい。また、ヒータ31の温度を検知する温度センサは、サーミスタ32だけに限定されない。例えば、ヒータ31の温度を検知する温度センサとして、熱電対、測温抵抗体を用いることにしてもよい。
【0036】
なお、定着部7のヒータ31に供給される交流電圧Vinをスイッチングするスイッチング素子は、トライアック42だけに限定されない。例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いて、定着部7のヒータ31に供給される交流電圧Vinをスイッチングすることにしてもよい。
【0037】
ゼロクロス回路43は、定着部7のヒータ31へ供給する交流電圧Vinのゼロクロス点を示すゼロクロス信号を出力する。ゼロクロス信号は、交流電圧Vinの電圧値の絶対値が所定の閾値電圧Vthを下回ったタイミングに、ハイレベルからローレベルに立ち下がり、交流電圧の電圧値の絶対値が閾値電圧Vthを上回ったタイミングにローレベルからハイレベルに立ち上がる。ゼロクロス信号は、メイン基板40のタイミングジェネレータ46およびラッチ回路47へ入力される。以下、ゼロクロス信号が立ち下がることをエッジが入力されると記載する。
【0038】
メイン基板40のSOC44は、CPU(Central Processing Unit)45と、タイミングジェネレータ46と、ラッチ回路47とを少なくとも有する。CPU45は、制御部の一例であって、不図示の記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、SOC44のタイミングジェネレータ46並びに、パネルユニット27及び画像形成部6等、画像形成装置1の各部を制御する。なお、SOC44を制御部としてもよく、SOC44の外部に設けたCPUを制御部としてもよい。
【0039】
タイミングジェネレータ46は、出力回路の一例であって、レジスタREGを複数有する。複数のレジスタREGには、記憶部の一例であって、CPU45によって情報が書き込まれる。タイミングジェネレータ46は、複数のレジスタREGに書き込まれた情報に基づいて、パルス信号の一例であるオンオフ信号を生成し、ゼロクロス信号のエッジの入力に応じてオンオフ信号を低圧電源41へ出力する。オンオフ信号の生成方法については後に詳述する。
【0040】
ラッチ回路47は、ゼロクロス信号のエッジの入力が検出されると、すなわち、ゼロクロス信号が立ち下がると、エッジの入力が検出されたことを示すエッジオン情報を保持する。
【0041】
DC/DCコンバータ48は、低圧電源41から供給される直流電圧を所定の直流電圧に降圧し、降圧後の直流電圧をSOC44に供給する。図2では、DC/DCコンバータ48は、低圧電源41から供給される24Vの直流電圧を3.3Vの直流電圧に降圧している。なお、図2に示したDC/DCコンバータ48の入出力電圧の電圧値は、あくまで例示であって、これに限定されない。
【0042】
SOC44は、インタフェース50を介して、パネルユニット27に接続されている。パネルユニット27は、例えば、電源スイッチ53と、複数の操作キーを含むパネル54と、液晶ディスプレイ55とを含む。また、SOC44は、LANインタフェース51を介してLANに接続可能であり、USBインタフェース52を介して不図示のUSBストレージ等に接続可能である。
【0043】
図3は、ヒータ31と回路基板25との関係を示す図である。図3では、ゼロクロス信号がCPU45とタイミングジェネレータ46とに入力されているが、CPU45へのゼロクロス信号の入力は、図3には不図示のラッチ回路47を介したエッジオン情報の読み出しを意味する。
【0044】
ゼロクロス回路43は、整流回路60と、フォトカプラ61と、トランジスタ62とを備えている。フォトカプラ61は、発光ダイオード61Aと受光素子61Bとを有する。交流電圧Vinは、整流回路60により全波整流され、発光ダイオード61Aにより光信号に変換される。フォトカプラ61は、交流電圧Vinを全波整流した信号が閾値電圧Vth以上の場合に、受光素子61Bに電流が流れる。フォトカプラ61に電流が流れることによって、トランジスタ62のエミッタコレクタ間に電流が流れなくなり、ゼロクロス信号がハイレベルとなる。すなわち、交流電圧Vinの絶対値が閾値電圧Vth以上の場合に、ゼロクロス信号がハイレベルとなる。
【0045】
一方、フォトカプラ61は、交流電圧Vinを全波整流した信号が閾値電圧Vth未満の場合に、受光素子61Bに電流は流れない。これによって、トランジスタ62にベース電流が流れるため、トランジスタ62のエミッタコレクタ間に電流が流れ、ゼロクロス信号がローレベルとなる。すなわち、交流電圧Vinの絶対値が閾値電圧Vth未満の場合に、ゼロクロス信号がローレベルとなる。
【0046】
SOC44のタイミングジェネレータ46から出力されるオンオフ信号は、トライアックカプラ63に入力される。トライアック42は、トライアックカプラ63により、定着部7のヒータ31に供給される交流電圧Vinをスイッチングする。トライアック42は、オンオフ信号がハイレベルの期間、すなわちオンオフ信号がオンの期間にオン状態となり、ヒータ31と図2の交流電源とを導通させ、ヒータ31へ交流電圧Vinを供給させる。また、トライアック42は、オンオフ信号がローレベルの期間、すなわちオンオフ信号がオフの期間にオフ状態となり、ヒータ31と交流電源とを導通させず、ヒータ31へ交流電圧Vinを供給させない。
【0047】
図4には、タイミングジェネレータ46のブロック図1000が示されている。タイミングジェネレータ46は、第1PWMブロックBL1と、第2PWMブロックBL2と、第3PWMブロックBL3とを有する。第1PWMブロックBL1、第2PWMブロックBL2および第3PWMブロックBL3は、出力部の一例である。第1PWMブロックBL1は、第1レジスタREG1を有する。第2PWMブロックBL2は、第2レジスタREG2を有する。第3PWMブロックBL3は、第3レジスタREG3を有する。第1レジスタREG1、第2レジスタREG2および第3レジスタREG3は、図2に示した複数のREGの一例である。
【0048】
CPU45は、ゼロクロス信号のx番目のエッジの入力の検出タイミングには第1レジスタREG1へ遅延時間DLY、オン時間WIDおよび時間PERに関する情報を書き込む。第1PWMブロックBL1は、ゼロクロス信号のx+1番目のエッジの入力の検出タイミングに、第1レジスタREG1に書き込まれた遅延時間DLY、オン時間WIDおよび時間PERに関する情報に基づいて、第1PWM信号を生成する。第1PWM信号の波形例を図4の波形図1001に示す。第1PWM信号は、ゼロクロス信号のエッジの入力の検出タイミングから遅延時間DLYだけ遅延した後、オン時間WIDだけオンとなり、時間PER-WIDだけオフとなる。
【0049】
CPU45は、ゼロクロス信号のx+1番目のエッジの入力の検出タイミングには第2レジスタREG2へ遅延時間DLY、オン時間WIDおよび時間PERに関する情報を書き込む。第2PWMブロックBL2は、ゼロクロス信号のx+2番目のエッジの入力の検出タイミングに、第2レジスタREG2に書き込まれた情報に基づいて、第2PWM信号を生成する。
【0050】
CPU45は、ゼロクロス信号のx+2番目のエッジの入力の検出タイミングには第3レジスタREG3へ遅延時間DLY、オン時間WIDおよび時間PERに関する情報を書き込む。第3PWMブロックBL3は、ゼロクロス信号のx+3番目のエッジの入力の検出タイミングに、第3レジスタREG3に書き込まれた情報に基づいて、第3PWM信号を生成する。
【0051】
CPU45は、ゼロクロス信号のx+3番目のエッジの入力の検出タイミングには、再度第1レジスタREG1へ遅延時間DLY、オン時間WIDおよび時間PERに関する情報を書き込む。以降、CPU45は、ゼロクロス信号のエッジ入力に応じて、遅延時間DLY、オン時間WIDおよび時間PERに関する情報を書き込むレジスタREGを、第2レジスタREG2、第3レジスタREG3および第1レジスタREG1の順に切り替える。
【0052】
第1PWM信号および第2PWM信号はOR回路OR1に入力される。OR回路OR1は、第1PWM信号または第2PWM信号がハイレベルのとき、ハイレベルの信号を出力し、第1PWM信号および第2PWM信号がローレベルのとき、ローレベルの信号を出力する。
【0053】
また、OR回路OR1の出力信号と、第3PWM信号とはOR回路OR2に入力される。OR回路OR2は、OR回路OR1の出力信号または第3PWM信号がハイレベルのとき、ハイレベルの信号を出力し、OR回路OR1の出力信号および第3PWM信号がローレベルのとき、ローレベルの信号を出力する。
【0054】
OR回路OR2の出力が前述のオンオフ信号となる。すなわち、オンオフ信号は、第1PWM信号、第2PWM信号および第3PWM信号が重ね合わされたものである。なお、第1PWM信号、第2PWM信号および第3PWM信号を重ね合わせる方法は、OR回路OR1およびOR2だけに限られない。例えば、3入力タイプのOR回路1つで構成することにしてもよいし、NAND回路等で構成することにしてもよい。
【0055】
以下の説明では、タイミングジェネレータ46が出力するオンオフ信号がハイレベルであり、トライアック42の状態がオン状態になる期間をオン期間と呼称する。また、CPU45がレジスタREGに書き込む遅延時間DLY、オン時間WIDおよび時間PERに関する情報のことをオン期間の情報と呼称する。
【0056】
前述したとおり、オンオフ信号は、パルス信号の一例であり。また、重ね合わされることによりオンオフ信号を構成する第1PWM信号、第2PWM信号および第3PWM信号も、パルス信号の一例である。
【0057】
図5は、第1PWMブロックBL1の一作動例を示すフローチャートである。第1PWMブロックBL1は、ゼロクロス信号のエッジが入力されると(S100:YES)、第1レジスタREG1からオン期間の情報、すなわち遅延時間DLY、オン時間WIDおよび時間PERに関する情報を読み込む(S101)。以下の説明では、S100で入力されたゼロクロス信号のエッジが上述のx+1番目のエッジであるものとする。
【0058】
第1PWMブロックBL1は、S101において読み込まれたWIDが0より大きい場合(S102:YES)、x番目のエッジが入力されたタイミングにCPU45により第1レジスタREG1へオン期間の情報が書き込まれたと判定し、第1パルス信号を出力する(S103)。S103において出力される第1パルス信号は、S100においてエッジが入力されたタイミングからS101において読み出された遅延時間DLYだけ遅延した後、S101において読み出されたオン時間WIDだけオンとなり、時間PER-WIDだけオフとなる。第1PWMブロックBL1は、x+1番目のエッジが検出されたタイミングから時間DLY+PER経過すると、すなわち、第1パルス信号の出力が完了すると、S104に進む。
【0059】
S102において、第1PWMブロックBL1は、S101において読み込まれたオン時間WIDが0の場合(S102:NO)、CPU45により第1レジスタREG1へオン期間の情報が書き込まれていないと判定し、S105に進む。
【0060】
S104において、第1PWMブロックBL1は、x+3番目のエッジの入力の検出タイミングにCPU45が第1レジスタREG1へオン期間の情報を書き込むことに備えるため、第1レジスタREG1に書き込まれた情報をクリアする。例えば、第1レジスタREG1に記憶されているオン時間WIDの値を0にする。以降、CPU45により、オン時間WIDとして、第1レジスタREG1に0より大きい値が書き込まれるまで、S102の判定は否定判定される。
【0061】
第1PWMブロックBL1は、画像形成装置1の電源がオンの場合(S105:NO)はS100に進み、図2の電源スイッチ53が操作される等により画像形成装置1の電源がオフされた場合(S105:YES)は図5の処理を終える。第2PWMブロックBL2および第3PWMブロックBL3の作動も図5に示した第1PWMブロックBL1の作動と同様である。
【0062】
図6は、CPU45によるヒータ31の制御に関するフローチャートである。CPU45は、例えば、インタフェース50、LANインタフェース51またはUSBインタフェース52を介して印刷ジョブを受信すると、図6の制御を開始する。S200において、CPU45は、変数Nを1に設定する。変数Nは、CPU45が第1レジスタREG1、第2レジスタREG2および第3レジスタREG3のいずれのレジスタREGにオン期間の情報を書き込むかを決定する変数である。N=1のとき、CPU45は、第1レジスタREG1にオン期間の情報を書き込む。N=2のとき、CPU45は、第2レジスタREG2にオン期間の情報を書き込む。N=3のとき、CPU45は、第3レジスタREG3にオン期間の情報を書き込む。
【0063】
S201において、CPU45は、タイミングジェネレータ46のレジスタREGを初期化する。より詳細には、CPU45は、第1レジスタREG1、第2レジスタREG2および第3レジスタREG3を初期化する。例えば、CPU45は、第1レジスタREG1、第2レジスタREG2および第3レジスタREG3に記憶されているオン時間WIDの値を0にする。
【0064】
S202において、CPU45は、サーミスタ32が検知したヒータ31の検知温度を取得する。
【0065】
S203において、CPU45は、S202にて取得した検知温度に応じて、トライアック42の制御パターンを決定する。制御パターンとは、トライアック42の状態をオン状態およびオフ状態のいずれにするかについて、交流電圧Vinの半波毎に定められたものである。
【0066】
図7は、サーミスタ32が検知したヒータ31の検知温度と、トライアック42の制御パターンとの関係の一例を示すテーブル70を示す。図7に示すテーブル70には、最左列にサーミスタ32が検知したヒータ31の目標温度と検知温度との差に応じたレベル、最右列にそのレベルに対応する制御パターンが例示されている。目標温度とは、定着部7により現像剤による画像をシート5に定着させるために適したヒータ31の温度である。レベルは、検知温度が目標温度を下回るほど大きくなる。例えば、検知温度が目標温度以上の場合にレベルは1となり、目標温度から検知温度を減じた差Tdが所定温度大きくなるごとにレベルが大きくなる。
【0067】
制御パターンには、ゼロクロス信号からエッジの入力が検出される周期、すなわち交流電圧Vinの半波毎に、トライアック42の状態をオン状態およびオフ状態のいずれにするかが定められている。図7の制御パターンは、トライアック42の状態をオン状態にする半波を「ON」で表し、オフ状態にする半波を「OFF」で表しており、「ON」と「OFF」の列でトライアック42の状態遷移が表されている。
【0068】
制御パターンは、レベルが大きくなるほど、すなわち、ヒータ31の検知温度が目標温度を大きく下回るほど、ヒータ31により定着ローラ22を強く加熱するように定められている。各制御パターンに含まれる「ON」の半波数は図7の左から3列目に示され、「OFF」の半波数は図7の左から4列目に示されている。テーブル70の左から2列目には、その制御パターンに含まれる「ON」の半波数の割合、ヒータ31の加熱の強度(パワー)が示されている。
【0069】
例えば、図6のS203において、CPU45が取得されたヒータ31の検知温度に応じて「レベル4」と判定された場合、制御パターンを「ON ON OFF」に決定する。この場合、トライアック42の状態は、次にエッジの入力が検出される半波、例えば、x+1番目にエッジの入力が検出される半波のタイミングにはオン状態に遷移する。また、更に次にエッジの入力が検出される半波、例えば、x+2番目にエッジの入力が検出される半波には、トライアック42の状態はオン状態に遷移する。更に次にエッジの入力が検出される半波、例えば、x+3番目にエッジが入力される半波には、オフ状態に遷移する。
【0070】
CPU45は、図6のS203において制御パターンを決定すると、ラッチ回路47にエッジオン情報が保持されるまで(S205:YES)待機する(S204)。より具体的には、S204において、CPU45は、所定期間、例えば5ms待機する。CPU45は、S204の待機中にラッチ回路47にエッジオン情報が保持された場合(S205:YES)、ラッチ回路47を初期化し(S206)、図8に示すヒータ点灯判定の実行を開始する(S207)。一方、CPU45は、S204の待機中にラッチ回路47にエッジオン情報が保持されなかった場合(S205:NO)、S204に進み、再び所定期間待機する。
【0071】
図8は、図6のS207においてCPU45が実行するヒータ点灯判定に関するフローチャートである。図8のS300において、CPU45は、制御パターンの最後の制御中か否かを判定する。例えば、図6のS203にて制御パターンを「ON ON OFF」に決定した直後であれば、CPU45は、制御パターンの最後の制御、「ON ON OFF」の「OFF」でないと判定し(S300:NO)、図9に示す第2レジスタ書込処理を実行する(S301)。例えば、S203にて制御パターンを「ON」に決定した場合は、CPU45は、制御パターンの最後の制御であると判定し(S300:YES)、S302に進む。
【0072】
以下では、図6のS203にて制御パターンを「ON ON OFF」に決定した場合について、図9図10および図11を用いて説明する。図9は、図8のS301においてCPU45が実行する第2レジスタ書込処理に関するフローチャートである。図10は、制御パターンを「ON ON OFF」に決定した場合にタイミングジェネレータ46から出力されるオンオフ信号に関するタイミングチャートである。図11は、図8のS304においてCPU45が実行する第1レジスタ書込処理に関するフローチャートである。
【0073】
図9のS400において、CPU45は、今回、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、次のエッジE1の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものであるか否かを判定する。例えば、CPU45は、制御パターン「ON ON OFF」の先頭の「ON」に基づいて、今回、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、次のエッジE1の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものであると判定し(S400:YES)、S401に進む。
【0074】
S401において、CPU45は、次のエッジE1の入力の検出タイミングに、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、更に次のエッジE2の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものであるか否かを判定する。例えば、CPU45は、制御パターン「ON ON OFF」の2番目の「ON」に基づいて、次のエッジE1の入力の検出タイミングに、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、更に次のエッジE2の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものであると判定し(S401:YES)、S402に進む。
【0075】
S402において、CPU45は、レジスタREGへオン期間の情報を書き込む。図6のS200で変数Nを1に設定した後、変数Nを更新していないため、CPU45は、第1レジスタREG1へ情報を書き込む。S402において第1レジスタREG1へ書き込むオン期間の情報を、それぞれ遅延時間DLY1、オン時間WID1および時間PER1とする。S402において、CPU45は、オン時間WID1を、所定時間Tよりも長い時間に設定する。所定時間Tとは、例えば、交流電圧Vinの半波の周期である。第1レジスタREG1へオン期間の情報を書き込むことにより、次のエッジE1の入力の検出タイミングにおけるトライアック42の状態がオン状態となるオン期間が決定される。図10の例では、交流電圧Vinの半波の周期は、10msである。CPU45は、第1レジスタREG1へ情報を書き込んだ後、図8のS305に進む。
【0076】
図8のS305において、CPU45は、変数Nの値を1増やす。この演算によりN=2となり、次にオン期間の情報が書き込まれるレジスタREGは、第2レジスタREG2となる。CPU45は、変数Nがタイミングジェネレータ46に備わるレジスタREGの個数を超えていないため(S306:NO)、図8のヒータ点灯判定を終えて、図6のS208に進む。
【0077】
図6のS208において、CPU45は、S203により決定した制御パターン「ON ON OFF」について、ヒータ31の制御を終えていないため、S204に進み、ラッチ回路47にエッジオン情報が保持されるまで待機する(S204、S205:NO)。CPU45は、ラッチ回路47にエッジオン情報が保持されると(S205:YES)、すなわちゼロクロス信号の次のエッジE1の入力が検出されると、ラッチ回路47を初期化し(S206)、図8に示すヒータ点灯判定の実行を開始する(S207)。一方、第1PWMブロックBL1は、ゼロクロス信号の次のエッジE1の入力が検出されたこのタイミング(図5のS100:YES)に、図9のS402にて書き込まれたオン期間の情報、遅延時間DLY1、オン時間WID1および時間PER1を読み込み(S101)、第1PWM信号を出力する(S103)。S103で出力される第1PWM信号の一例を図10に示す。
【0078】
図10に示すとおり、第1PWM信号は、ゼロクロス信号のエッジE1の入力が検出されたタイミングから遅延時間DLY1だけ遅延し、オン時間WID1だけハイレベルとなっている。第1PWM信号がハイレベルとなっているため、図4のOR回路OR1およびOR2により、第1PWM信号~第3PWM信号を重ね合わせたオンオフ信号もハイレベルとなる。そのため、制御パターン「ON ON OFF」の先頭の「ON」のとおり、トライアック42の状態はオン状態となる。
【0079】
CPU45によるヒータ31の制御の説明に戻る。CPU45は、図8のヒータ点灯判定を再び開始する。CPU45は、制御パターン「ON ON OFF」の先頭の「ON」の制御を行っているため、制御パターンの最後の制御、「ON ON OFF」の「OFF」でないと判定し(S300:NO)、図9に示す第2レジスタ書込処理を実行する(S301)。図9のS400において、CPU45は、制御パターン「ON ON OFF」の2番目の「ON」に基づいて、今回、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、次のエッジE2の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものであると判定し(S400:YES)、S401に進む。
【0080】
S401において、CPU45は、制御パターン「ON ON OFF」の最後の「OFF」に基づいて、次のエッジの入力が検出されるタイミングに、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、更に次のエッジE3の入力が検出されるタイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものでないと判定し(S401:NO)、S403に進む。
【0081】
S403において、CPU45は、変数Nが2であるため、第2レジスタREG2へオン期間の情報を書き込む。S403に第2レジスタREG2へ書き込んだオン期間の情報を、それぞれ遅延時間DLY2、オン時間WID2および時間PER2とする。CPU45は、オン時間WID2を所定時間Tよりも短い時間に設定する。第2レジスタREG2へオン期間の情報を書き込むことにより、次のエッジE2の入力の検出タイミングにおけるトライアック42の状態がオン状態となるオン期間が決定される。CPU45は、第2レジスタREG2へ情報を書き込んだ後、図8のS305に進む。
【0082】
図8のS305において、CPU45は、変数Nの値を1増やす。この演算によりN=3となり、次にオン期間の情報が書き込まれるレジスタREGは、第3レジスタREG3となる。CPU45は、変数Nがタイミングジェネレータ46に備わるレジスタREGの個数を超えていないため(S306:NO)、図8のヒータ点灯判定を終えて、図6のS208に進む。
【0083】
図6のS208において、CPU45は、S203により決定した制御パターン「ON ON OFF」について、ヒータ31の制御を終えていないため、S204に進み、ラッチ回路47にエッジオン情報が保持されるまで待機する(S204、S205:NO)。CPU45は、ラッチ回路47にエッジオン情報が保持されると(S205:YES)、ラッチ回路47を初期化し(S206)、図8に示すヒータ点灯判定の実行を開始する(S207)。第2PWMブロックBL2は、ゼロクロス信号の次のエッジE2の入力が検出されたこのタイミングに、図5と同様の制御により、図9のS403にて書き込まれたオン期間の情報を読み込み(S101)、第2PWM信号を出力する(S103)。S103で出力される第2PWM信号の一例を図10に示す。
【0084】
図10に示すとおり、第2PWM信号は、ゼロクロス信号のエッジE2の入力が検出されたタイミングから遅延時間DLY2だけ遅延し、オン時間WID2だけハイレベルとなっている。第2PWM信号がハイレベルとなっているため、図4のOR回路OR1およびOR2により、第1PWM信号~第3PWM信号を重ね合わせたオンオフ信号もハイレベルとなる。そのため、制御パターン「ON ON OFF」の2番目の「ON」のとおり、トライアック42の状態はオン状態となる。
【0085】
第1PWM信号のオン時間WID1が交流電圧Vinの半波より長い時間に設定されているため、エッジE2の入力が検出されたタイミングにおいて第1PWM信号と第2PWM信号との両方がハイレベルとなっている。第1PWM信号がエッジE2の入力が検出されたタイミングよりも早くローレベルになると、オンオフ信号が一瞬だけローレベルとなることにより、ノイズが発生する虞がある。実施形態1の画像形成装置1では、第1PWM信号のオン時間WID1が交流電圧Vinの半波より長い時間に設定され、オンオフ信号が一時的にローレベルとなることがないため、ノイズの発生が抑制されている。
【0086】
CPU45は、図8のヒータ点灯判定を再び開始する。CPU45は、制御パターン「ON ON OFF」の2番目の「ON」の制御を行っているため、制御パターンの最後の制御、「ON ON OFF」の「OFF」でないと判定し(S300:NO)、図9に示す第2レジスタ書込処理を実行する(S301)。図9のS400において、CPU45は、制御パターン「ON ON OFF」の最後の「OFF」に基づいて、今回、レジスタREGへ書き込む情報は、次のエッジE3の入力が検出されるタイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものでないと判定し(S400:NO)、第3レジスタREG3へ情報を書き込むことなく図9の処理を終了し、図8のS305に進む。
【0087】
図8のS305において、CPU45は、変数Nの値を1増やす。この演算によりN=4となる。CPU45は、変数Nがタイミングジェネレータ46に備わるレジスタREGの個数を超えているため(S306:YES)、変数Nを1に初期化する(S307)。したがって、次にオン期間の情報が書き込まれるレジスタREGは、第1レジスタREG1となる。CPU45は、変数Nを初期化した後(S307)、図8のヒータ点灯判定を終えて、図6のS208に進む。
【0088】
図6のS208において、CPU45は、S203により決定した制御パターン「ON ON OFF」について、ヒータ31の制御を終えていないため、S204に進み、ラッチ回路47にエッジオン情報が保持されるまで待機する(S204、S205:NO)。CPU45は、ラッチ回路47にエッジオン情報が保持されると(S205:YES)、ラッチ回路47を初期化し(S206)、図8に示すヒータ点灯判定の実行を開始する(S207)。第3PWMブロックBL3は、ゼロクロス信号の次のエッジE3の入力が検出されたこのタイミングに、図5と同様の制御により、第3レジスタREG3から情報を読み込む(S101)。CPU45により第3レジスタREG3に情報が書き込まれず、第3レジスタREG3に書き込まれているWIDはクリア後の値0のままであるため(S102:NO)、図10に示すとおり、第3PWMブロックBL3は、第3PWM信号を出力しない。そのため、制御パターン「ON ON OFF」の最後の「OFF」のとおり、トライアック42の状態はオフ状態となる。
【0089】
図10では、第2PWM信号のオン時間WID2が交流電圧Vinの半波より短い時間に設定されているため、エッジE3の入力が検出されるタイミングにおいてオンオフ信号がローレベルとなっている。そのため、エッジE3の入力が検出されるタイミングにおいて、トライアック42がオフ状態となる。もし、第2PWM信号のオン時間WID2が第2PWM信号と同様に交流電圧Vinの半波より長い時間に設定されていると、図10に示すタイミングT1までオンオフ信号がハイレベルとなる。トライアック42は、エッジE3の入力が検出されるタイミングにおいて、オンオフ信号がハイレベルであると、次のエッジの入力の検出タイミングまでオフ状態とすることができず、制御パターンどおりにヒータ31の制御ができなくなる虞がある。交流電源には、半波の周期が安定しないものがある。図10に示すように、トライアック42をオフ状態とする半波の直前の半波の周期が通常よりも短くなってしまった場合、制御パターンどおりにヒータ31の制御ができなくなる可能性が高くなる。S403において、CPU45がオン時間WIDを交流電圧Vinの半波より短い時間に設定することで、交流電源の周期が安定しない場合であっても、トライアック42を適切にオフ状態にすることができる。
【0090】
CPU45は、図8のヒータ点灯判定を再び開始する。CPU45は、制御パターン「ON ON OFF」の最後の「OFF」の制御であると判定し(S300:YES)、サーミスタ32からヒータ31の検知温度を取得する(S302)。S303において、CPU45は、S302にて取得した検知温度に応じて、トライアック42の次の制御パターンを決定する。以下の説明では、トライアック42の次の制御パターンが「ON OFF」に決定されたものとする。なお、S302の時点では、トライアック42の制御パターンが直ちに次の制御パターンに移行するわけではない。
【0091】
CPU45は、次の制御パターン「ON OFF」を決定すると、S304へ進む。S304において、CPU45は、図11に示す第1レジスタ書込処理を実行する。図11のS500において、CPU45は、図8のS303にて決定された次の制御パターン「ON OFF」の先頭の「ON」に基づいて、今回、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、次のエッジの入力が検出されるタイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものであると判定し(S500:YES)、S501へ進む。
【0092】
S501において、CPU45は、S303で決定した次の制御パターン「ON OFF」の「OFF」に基づいて、次のエッジE3の入力が検出されるタイミングに、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、更に次のエッジの入力が検出されるタイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものでないと判定し(S501:NO)、S503に進む。
【0093】
S503において、CPU45は、変数Nが1であるため、第1レジスタREG1へオン期間の情報を書き込む。CPU45は、オン時間WIDを交流電圧Vinの半波より短い時間に設定する。CPU45は、第1レジスタREG1へ情報を書き込んだ後、図8のS305に進む。
【0094】
図8のS305において、CPU45は、変数Nの値を1増やす。この演算によりN=2となる。CPU45は、変数Nがタイミングジェネレータ46に備わるレジスタREGの個数を超えていないため(S306:NO)、図8のヒータ点灯判定を終えて、図6のS208に進む。CPU45は、S203にて決定した制御パターン「ON ON OFF」について制御を終えているため(S208:YES)、制御パターンを図8のS303で決定した次の制御パターン「ON OFF」に更新する(S209)。
【0095】
S210において、CPU45は、ヒータ31の制御を終え、ヒータ31への通電をオフするか否かを判定する。CPU45は、例えば、インタフェース50、LANインタフェース51またはUSBインタフェース52を介して受信した印刷ジョブについて印刷が終了すると、ヒータ31の制御を終え、通電をオフすると判定し(S210:YES)、図6のヒータ31の制御を終了する。他方で、CPU45は、例えば印刷が終了していない場合には、ヒータ31への制御を継続すると判定し(S210:NO)、S204に進み、更新された制御パターン「ON OFF」によるヒータ31の制御を行う。
【0096】
以下、図11に示す第1レジスタ書込処理について補足する。S501において、CPU45は、S303で決定した次の制御パターンに基づいて、次のエッジの入力が検出されるタイミングに、レジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、更に次のエッジの入力が検出されるタイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものであると判定した場合(S501:YES)、S502に進む。
【0097】
S502において、CPU45は、変数Nに応じたレジスタREGにオン期間の情報を書き込む。S502において、CPU45は、交流電圧Vinの半波より長い時間を、オン時間WIDとしてレジスタREGに書き込む。CPU45は、変数Nに応じたレジスタREGへの情報の書き込みを終えると、図8のS305に進む。
【0098】
〔実施形態1の作用効果〕
以上説明した実施形態1に係る画像形成装置1によれば、CPU45は、ゼロクロス信号のエッジE1等の入力に応じてトライアック42の状態をオン状態にするオン期間を決定し、決定されたオン期間に基づく第1PWM信号、第2PWM信号および第3PWM信号ならびにオンオフ信号を、次のエッジE2等の入力に応じてタイミングジェネレータ46が出力するように制御する(図9図11)。
上記構成によれば、CPU45が、ゼロクロス信号の次のエッジE2等の入力に先立って、次のエッジE2等に応じてタイミングジェネレータ46が出力する第1PWM信号、第2PWM信号および第3PWM信号ならびにオンオフ信号のオン期間を決定しておき、実際の次のゼロクロス信号のエッジE2等のタイミングに、決定されたオン期間の間トライアック42の状態がオン状態となるオンオフ信号をタイミングジェネレータ46が出力するように制御する。次のエッジE2等の入力に先立ってオン期間を決定しておくため、従来に比べて簡単にヒータ31を制御することができる。
【0099】
また、画像形成装置1は、定着部7のヒータ31の温度を検知するサーミスタ32を更に備える。CPU45は、サーミスタ32が検知するヒータ31の検知温度に基づいて、トライアック42の状態をオン状態、又は、オフ状態にするかについて交流電圧Vinの半波毎に定められた制御パターン(図7のテーブル70により定められる「ON ON OFF」等)を用いて、タイミングジェネレータ46の制御を行い、ゼロクロス信号のエッジE1等の入力を検出したタイミングにおいて、次のエッジE2等の入力時のトライアック42の状態をオン状態にすること、及び、更に次のエッジE2等の入力時のトライアック42の状態をオフ状態にすることが制御パターンに定められている場合に、WIDを所定期間Tより短くするように決定する。
上記構成によれば、次にエッジE2等の入力を検出した時のトライアック42の状態をオン状態にすること、及び、更に次にエッジE3等の入力を検出した時のトライアック42の状態をオフ状態にすることが制御パターンに定められている場合、WIDを短くすることによって、交流電圧Vinの波形の変動によって、トライアック42の状態がオフ状態にならない場合を防ぐことができる。
【0100】
また、CPU45は、ゼロクロス信号のエッジE1等の入力を検出したタイミングにおいて、次のエッジE2等の入力時のトライアック42の状態をオン状態にすること、及び、更に次のエッジE2等の入力時のトライアック42の状態をオン状態にすることが制御パターンに定められている場合に、WIDを所定期間Tより長くするように決定する。
上記構成によれば、次にエッジE1等の入力を検出した時のトライアック42の状態をオン状態にすること、及び、更に次にエッジE2等の入力を検出した時のトライアック42の状態をオン状態にすることが制御パターンに定められている場合、WIDを長くすることによって、トライアック42の状態を連続してオン状態、すなわち、ヒータに交流電圧を連続して通電することができ、ノイズの発生を抑制することができる。
【0101】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0102】
実施形態2では、図8のS301において実行する第2レジスタ書込処理(図9)およびS304において実行する第1レジスタ書込処理(図11)は、共に図12に示す処理となる。図12は、実施形態2における第1レジスタ書込処理および第2レジスタ書込処理に関するフローチャートである。
【0103】
S600において、CPU45は、図9のS400と同様の判定を行う。すなわち、CPU45は、制御パターンに基づいて、今回、レジスタREGへ書き込む情報は、次のエッジの入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものであるか否かを判定する。CPU45は、今回、レジスタREGへ書き込む情報が次のエッジの入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものである場合は(S600:YES)、S601に進む。一方、CPU45は、今回、レジスタREGへ書き込む情報が次のエッジの入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものでない場合は(S600:NO)、S604に進む。
【0104】
S601において、CPU45は、制御パターンに基づいて、前回、レジスタREGへ書き込んだ情報は、トライアック42の状態をオン状態にするものであったか否かを判定する。例えば、前回のx-1番目のエッジの入力の検出タイミングにおいて、制御パターン「ON ON OFF」の2番目の「ON」に基づいて第2レジスタREG2に情報を書き込んだ場合、CPU45は、今回のx番目のエッジの入力の検出タイミングにおいて、S601を肯定判定する。CPU45は、S601を肯定判定した場合は(S601:YES)、S602に進み、S601を否定判定した場合は(S601:NO)、S603に進む。
【0105】
S602において、CPU45は、変数Nに応じたレジスタREGへオン期間の情報を書き込む。このとき、CPU45は、遅延時間DLYを0に設定し、オン時間WIDを所定時間Tよりも長い時間に設定する。
【0106】
S603において、CPU45は、変数Nに応じたレジスタREGへオン期間の情報を書き込む。このとき、CPU45は、遅延時間DLYを0より長い時間に設定し、オン時間WIDを所定時間Tよりも短い時間に設定する。
【0107】
S604において、CPU45は、今回、レジスタREGへ書き込んだオン期間の情報がトライアック42の状態をオン状態およびオフ状態のいずれにするものであったか、その情報を不図示の記憶部等に保持する。保持された情報は、次のエッジが検出された場合には、前回、レジスタREGへ書き込んだオン期間の情報がトライアック42の状態をオン状態にするものであったか否かを示す情報となる。CPU45は、S601において、この情報に基づいて、前回、レジスタREGへ書き込んだ情報は、トライアック42の状態をオン状態にするものであったか否かを判定することにしてもよい。
【0108】
図13は、図12のS602およびS603において設定されるオン期間の情報について説明するための図である。図13では、ゼロクロス信号のエッジE4-E8が順に入力される。エッジE4およびE8の入力が検出されるタイミングには、制御パターンに基づいて、トライアック42の状態をオフ状態にするものとする。また、エッジE5-E7の入力が検出されるタイミングには、制御パターンに基づいて、トライアック42の状態をオン状態にするものとする。変数Nは、エッジE4を検出するタイミングにN=1になっているものとする。
【0109】
(エッジE4の入力の検出タイミング)
エッジE4の入力の検出タイミングにおいて、CPU45がレジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、エッジE5の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものである。そして、エッジE4の1つ前のエッジの入力の検出タイミングにおいて、CPU45がレジスタREGへ書き込んだオン期間の情報は、エッジE4の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオフ状態にするものである。従って、エッジE4の入力の検出タイミングにおいて、CPU45は、図12のS600を肯定判定し、S601を否定判定する。CPU45は、S603において、第1レジスタREG1に遅延時間DLY3、オン時間WID3および時間PER3を書き込む。遅延時間DLY3は、0より大きい値に設定される。オン時間WID3は、所定時間Tより短い時間に設定される。例えば、オン時間WID3は、T-DLY3<WID3<Tに設定される。
【0110】
(エッジE5の検出タイミング)
エッジE5の入力の検出タイミングにおいて、第1PWMブロックBL1が第1レジスタREG1から遅延時間DLY3、オン時間WID3および時間PER3を読み込み(図5のS101)、第1PWM信号を出力する(S103)。また、エッジE5の入力の検出タイミングにおいて、CPU45がレジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、エッジE6の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものである。そして、エッジE5の1つ前のエッジE4の入力の検出タイミングにおいて、CPU45が第1レジスタREG1へ書き込んだ情報は、エッジE5の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものである。従って、エッジE5の入力の検出タイミングにおいて、CPU45は、図12のS600およびS601を肯定判定する。CPU45は、S603において、第2レジスタREG2に遅延時間DLY4、オン時間WID4および時間PER4を書き込む。遅延時間DLY4は、0に設定される。オン時間WID4は、所定時間Tより長い時間に設定される。
【0111】
(エッジE6の検出タイミング)
エッジE6の検出タイミングにおいて、第2PWMブロックBL2が第2レジスタREG2から遅延時間DLY4、オン時間WID4および時間PER4を読み込み(図5のS101)、第2PWM信号を出力する(S103)。また、エッジE6の入力の検出タイミングにおいて、CPU45がレジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、エッジE7の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものである。そして、エッジE6の1つ前のエッジE5の入力の検出タイミングにおいて、CPU45が第2レジスタREG2へ書き込んだオン期間の情報は、エッジE6の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものである。従って、エッジE6の入力の検出タイミングにおいて、CPU45は、図12のS600およびS601を肯定判定する。CPU45は、S603において、第3レジスタREG3に遅延時間DLY5、オン時間WID5および時間PER5を書き込む。遅延時間DLY5は、0に設定される。オン時間WID5は、所定時間Tより長い時間に設定される。
【0112】
(エッジE7の検出タイミング)
エッジE7の検出タイミングにおいて、第3PWMブロックBL3が第3レジスタREG3から遅延時間DLY5、オン時間WID5および時間PER5を読み込み(図5のS101)、第3PWM信号を出力する(S103)。また、エッジE7の入力の検出タイミングにおいて、CPU45がレジスタREGへ書き込むオン期間の情報は、エッジE8の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオフ状態にするものである。そして、エッジE7の1つ前のエッジE6の入力の検出タイミングにおいて、CPU45が第3レジスタREG3へ書き込んだオン期間の情報は、エッジE7の入力の検出タイミングにトライアック42の状態をオン状態にするものである。従って、エッジE7の入力の検出タイミングにおいて、CPU45は、図12のS600を否定判定し、レジスタREGに情報を書き込まない。
【0113】
オン時間WID3をT-DLY3より長く設定し、遅延時間DLY4を0に設定しているため、エッジE6の入力の検出タイミング近傍にて、オンオフ信号が一時的にローレベルになることを防ぎ、ノイズの発生を防ぐことができる。また、オン時間WID4を所定時間Tよりも長く設定し、遅延時間DLY5を0に設定しているため、エッジE7の入力の検出タイミング近傍にて、オンオフ信号が一時的にローレベルになることを防ぎ、ノイズの発生を防ぐことができる。
【0114】
〔実施形態2の作用効果〕
以上説明した実施形態2に係る画像形成装置1は、CPU45は、エッジE4等の入力を検出したタイミングに当該エッジE5等の入力を検出時のトライアック42の状態をオン状態にしたこと、及び、次のエッジE6等の入力時のトライアック42の状態をオン状態にすることがゼロクロス信号のエッジE5等の入力を検出したタイミングにおいて制御パターンに定められている場合、当該次のエッジE6等の入力に応じて遅延無しでパルス信号を出力するようにタイミングジェネレータ46を制御する。
上記構成によれば、例えば、エッジE5の入力を検出した時のトライアック42の状態をオン状態にしたこと、及び、次にエッジE6の入力を検出した時のトライアック42の状態をオン状態にすることが制御パターンに定められている場合、エッジE6のタイミングジェネレータ46の第2PWMブロックBL2が遅延なし(遅延時間DLY4=0)で第2PWM信号を出力させることで、トライアックの状態を連続してオン状態、すなわち、ヒータに交流電圧を連続して通電することができ、パルス信号にオフがないため、ノイズの発生を防ぐことができる。
【0115】
〔変形例〕
上記の実施形態1および実施形態2では、ゼロクロス回路43は、交流電圧Vinの電圧値の絶対値が所定の閾値電圧Vthを下回ったタイミングに、ゼロクロス信号がハイレベルからローレベルに立ち下がり、交流電圧の電圧値の絶対値が閾値電圧Vthを上回ったタイミングに、ゼロクロス信号がローレベルからハイレベルに立ち上がる回路構成とした。しかし、ゼロクロス回路43の回路構成は、これだけに限定されない。例えば、ゼロクロス回路43は、交流電圧Vinの電圧値の絶対値が所定の閾値電圧Vthを上回ったタイミングに、ゼロクロス信号がローレベルからハイレベルに立ち上がり、交流電圧の電圧値の絶対値が閾値電圧Vthを上回ったタイミングに、ゼロクロス信号がハイレベルからローレベルに立ち下がる回路構成であってもよい。この場合、ラッチ回路47は、ゼロクロス信号の立ち上がりが検出されたタイミングにエッジオン情報を保持することにすればよい。また、タイミングジェネレータ46は、ゼロクロス信号の立ち上がりのエッジに応じてオンオフ信号を低圧電源41へ出力することにすればよい。
【0116】
上記の実施形態1および実施形態2では、タイミングジェネレータ46は、それぞれが出力部の一例である、第1PWMブロックBL1と、第2PWMブロックBL2と、第3PWMブロックBL3とを有するものとした。また、タイミングジェネレータ46は、第1PWMブロックBL1、第2PWMブロックBL2および第3PWMブロックBL3の各々に記憶部の一例であるレジスタREGを有するものとした。タイミングジェネレータ46に設ける出力部が3つの場合、CPU45がラッチ回路47にアクセスする周期が長いときに効果がある。しかし、タイミングジェネレータ46に設ける出力部および記憶部の数は、3つずつに限定しない。タイミングジェネレータ46は、出力部および記憶部を4つ以上有してもよく、第1PWMブロックBL1と第2PWMブロックBL2とだけを有することにしてもよい。
【0117】
タイミングジェネレータ46を第1PWMブロックBL1と第2PWMブロックBL2とで構成する場合、CPU45は、レジスタREGへ新しい情報を書き込む前に、過去のエッジの入力の検出タイミングにレジスタREGへ書き込まれた情報に基づいたPWM信号の出力が完了しているかどうかを確認する。CPU45は、レジスタREGへ書き込まれた情報に基づいたPWM信号の出力が完了した後のエッジの入力の検出タイミングにレジスタREGへ新しい情報を書き込む。
【0118】
上記の実施形態1および実施形態2では、図7に示すように、サーミスタ32が検知したヒータ31の検知温度に応じて制御パターンを決定した。しかし、ヒータ31の制御パターンは、図7に示すものだけに限定されない。例えば、図7に示した制御パターン以外の制御パターンを有することにしてもよいし、ヒータ31の検知温度とヒータ31の目標温度との差分Tdに応じて制御パターンを決定することにしてもよい。
【0119】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1 画像形成装置
7 定着部
31 ヒータ
32 サーミスタ
41 低圧電源
42 トライアック
43 ゼロクロス回路
44 SOC
45 CPU
46 タイミングジェネレータ
70 テーブル
DLY、DLY1、DLY2、DLY3、DLY4、DLY5 遅延時間
E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8 エッジ
WID、WID1、WID2、WID3、WID4、WID5 オン時間
REG レジスタ
REG1 第1レジスタ
REG2 第2レジスタ
REG3 第3レジスタ
T 所定時間
Vin 交流電圧
Vth 閾値電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13