(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140550
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】鋳造合金、抵抗合金およびシャント抵抗器
(51)【国際特許分類】
C22C 9/05 20060101AFI20241003BHJP
B22D 11/00 20060101ALI20241003BHJP
H01C 3/00 20060101ALI20241003BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C22C9/05
B22D11/00 F
H01C3/00 Z
H01C13/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051733
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金内 直輝
(57)【要約】
【課題】鋳造合金の湯流れ性を改善する。
【解決手段】銅とマンガンとスズとを含む鋳造合金において、前記鋳造合金は、鉄を更に含み、前記鋳造合金において、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合が70%以下である。シャント抵抗器に用いられる抵抗合金において、前記抵抗合金の原料は、銅とマンガンとスズと鉄とを含む鋳造合金であり、前記鋳造合金は、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合が70%以下であり、前記抵抗合金は、対銅熱起電力が-1~1μV/Kの範囲内である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅とマンガンとスズとを含む鋳造合金であって、
前記鋳造合金は、鉄を更に含み、
前記鋳造合金において、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合が70%以下である、鋳造合金。
【請求項2】
マンガンは6.5~12質量%であり、スズは1.8~3.0質量%であり、鉄は0.01~0.2質量%であり、残りが銅で構成された、請求項1に記載の鋳造合金。
【請求項3】
1~4質量%のニッケルを更に含む、請求項2に記載の鋳造合金。
【請求項4】
0.05~0.1質量%のクロムを更に含み、
前記鋳造合金において、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合が67%以下である、請求項2または3に記載の鋳造合金。
【請求項5】
シャント抵抗器に用いられる抵抗合金の原料となる、請求項1に記載の鋳造合金。
【請求項6】
シャント抵抗器に用いられる抵抗合金であって、
前記抵抗合金の原料は、銅とマンガンとスズと鉄とを含む鋳造合金であり、
前記鋳造合金は、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合が70%以下であり、
前記抵抗合金は、対銅熱起電力が-1~1μV/Kの範囲内である、抵抗合金。
【請求項7】
抵抗体と電極とを備えるシャント抵抗器であって、前記抵抗体は、請求項6に記載の抵抗合金によって形成される、シャント抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造合金、抵抗合金およびシャント抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
電流検出等に用いられる抵抗器用の抵抗合金としては、銅-マンガン系合金、銅-ニッケル系合金、ニッケル-クロム系合金、鉄-クロム系合金等がある。一般的な銅-マンガン系合金(たとえば銅-マンガン-ニッケル系合金)は、比抵抗が29μΩ・cm以上50μΩ・cm以下のものが市販されている。ニッケル-クロム-アルミニウム-銅合金に関しては、比抵抗が120μΩ・cm以上のものが市販されている(特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、電流検出に使用される抵抗合金の抵抗温度係数(TCR)は20~100℃で0ppm/K付近の値を目標にして設計される。このような抵抗材料により、温度条件が変化しても安定した電流検出精度が得られる。
【0004】
特許文献2の段落[0018]には、20℃以上150℃以下の広い温度範囲におけるTCRが小さいCu合金材の例として、Cu-MnにSnを含む成分組成が開示されており、7.0質量%以上20.0質量%以下のマンガン、1.0質量%以上3.0質量%以下のスズ、残部銅および不可避的な不純物という組成比が開示されている。具体的な記載としては、「本発明のCu合金は、前記Mnの他、Snを含んでよい。Snを含む場合、1.0質量%以上3.0質量%以下が好ましく、TCRを20℃以上150℃以下の温度範囲において小さくすることができる。Snが1.0質量%未満である場合、Snの添加によって得られる前記作用効果を得難い。一方、Snが3.0質量%を超える場合、Cu合金材の抵抗値が不都合な程に大きくなることがある。」とされている。
【0005】
これらの抵抗合金は、たとえば鋳造合金を原料とし、これを伸線加工して作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-329421号公報
【特許文献2】特開2016-069724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の銅-マンガン系合金にスズを含む鋳造合金の鋳造では、溶解した合金材料(溶湯)の湯流れ性が悪いという課題があった。とくに、スズの含有率が高い場合(たとえば1.8質量%以上)には、鋳造時の凝固形態がマッシー(粥状)型となり湯流れ性が悪化する。
【0008】
溶湯の湯流れ性が悪いと、鋳造材の表層に鋳造欠陥が起きやすく、後加工(伸線や圧延)で割れが発生する等の問題があった。その対策として鋳造材の表層を削り欠陥を除去することが考えられるが、2つの問題がある。第一に、工程が増えることによるコストアップ、第二に、表層を削ることによる歩留まりの低下である。このため、鋳造材の表層を削ることはコストの増加につながるため問題があると言える。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、溶湯の湯流れ性を改善し、鋳造合金の鋳造欠陥を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る鋳造合金の一例は、
銅とマンガンとスズとを含む鋳造合金であって、
前記鋳造合金は、鉄を更に含み、
前記鋳造合金において、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合が70%以下である。
【0011】
一例において、マンガンは6.5~12質量%であり、スズは1.8~3.0質量%であり、鉄は0.01~0.2質量%であり、残りが銅で構成されている。
【0012】
一例において、1~4質量%のニッケルを更に含む。
【0013】
一例において、0.05~0.1質量%のクロムを更に含み、前記鋳造合金において、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合が67%以下である。
【0014】
一例において、シャント抵抗器に用いられる抵抗合金の原料となる。
【0015】
本発明に係る抵抗合金の一例は、
シャント抵抗器に用いられる抵抗合金であって、
前記抵抗合金の原料は、銅とマンガンとスズと鉄とを含む鋳造合金であり、
前記鋳造合金は、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合が70%以下であり、
前記抵抗合金は、対銅熱起電力が-1~1μV/Kの範囲内である。
【0016】
本発明に係るシャント抵抗器の一例は、抵抗体と電極とを備えるシャント抵抗器であって、前記抵抗体は、上述の抵抗合金によって形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明は銅-マンガン-スズの3元系の鋳造合金に鉄を添加することで湯流れ性を向上することができる。これによって、たとえば鋳造材表層の欠陥除去工程を省略または簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係る、銅とマンガンとスズと鉄とを含む四元系合金からなる鋳造合金の相図。
【
図4】
図3に示すシャント抵抗器の製造工程の一例。
【
図5】
図3に示すシャント抵抗器の製造工程の一例であり、
図4に続く図。
【
図6】
図3に示すシャント抵抗器の製造工程の一例であり、
図5に続く図。
【
図7】
図3に示すシャント抵抗器の製造工程の一例であり、
図6に続く図。
【
図8】
図3に示すシャント抵抗器の製造工程の一例であり、
図7に続く図。
【
図9】
図3に示すシャント抵抗器の製造工程の一例であり、
図8に続く図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
[実施形態1]
実施形態1は、鋳造合金に係る。本実施形態の鋳造合金は、様々な用途に応用可能であり、たとえば抵抗合金、導線(回路内の配線等)、等に利用することができる。
【0021】
図1は、本実施形態に係る銅とマンガンとスズと鉄とを含む四元系合金からなる鋳造合金の相図である。銅の含有率(単位は質量%、以下同じ)が左上辺側の軸上に示され、スズおよび鉄の含有率が右上辺側の軸上に示されている。一方、マンガンの含有率が、底辺側の軸上に示されている。
【0022】
図1には、本実施形態による鋳造合金の例を特徴付ける黒塗りの領域Rを示している。領域Rにおけるマンガンの含有率は6.5~12質量%であり、スズの含有率は1.8~3.0質量%であり、鉄の含有率は0.01~0.2質量%であり、残りが銅で構成されている。不可避的不純物を含んでもよい。なお各成分の含有率はこの範囲に限らない。
【0023】
本実施形態に係る鋳造合金の実施例(サンプル5~14)を、比較例(サンプル1~4)とともに以下の表1に示す。本実施形態では、成分、デンドライト率および鋳造欠陥を検討する(なお、伸線加工後の割れ、対銅熱起電力および比抵抗は実施形態2以降において検討する)。グレーで示したセルは、好ましくない組成または特性を示す。
【0024】
【0025】
鋳造合金の作製方法は、当業者が公知技術等に基づいて適宜設計可能であるが、たとえば連続鋳造によって作製することができる。連続鋳造において、たとえば棒状の鋳造材を作製することができる。鋳造材の直径はたとえば12mmであり、鋳造材の長さはたとえば30mであるが、寸法はこれらに限らない。
【0026】
表1の「成分」において、各成分の含有率が質量%単位で、当該成分元素の前の数字で表される。たとえばサンプル5では「Cu-10.6Mn-3.0Sn-0.01Fe」と記載しているが、これは「マンガンを10.6質量%、スズを3.0質量%、鉄を0.01質量%含み、残部が銅である」という組成を意味する。また、不可避的不純物を含むものを除外しない。
【0027】
表1に示すように、サンプル5~14は、銅とマンガンとスズとを含む鋳造合金であって、鉄を更に含む。なお、サンプル1~4は、銅とマンガンとスズとを含む鋳造合金であるが、鉄を含まない。
【0028】
表1の「デンドライト率」は、鋳造合金において、表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合を示す。各実施例(サンプル5~14)については、この割合が70%以下である。比較例1~4については、この割合が70%を超えている。
【0029】
図2を用いて、デンドライト構造について説明する。湯流れ性は、鋳造材表面近くにおけるデンドライト率を用いて定量化することができる。比較例および実施例の一部について、顕微鏡画像と、デンドライト構造が視認しやすくなるよう加工した画像とを示す。
図2の例では、鋳造合金において表面から100μmの位置で観察されるデンドライト組織の割合を測定した。以下、デンドライト率は、いずれも同様の条件で測定したものをいう。
【0030】
また、
図2の例では、Φ12mm、長さ30mの鋳造材を鋳造し、鋳造終わりから2mの位置において鋳造欠陥の有無を判定した。以下、鋳造欠陥は、いずれも同様の条件で測定した。
【0031】
鉄を含まないサンプル(比較例1)では、鋳造の際に鋳造欠陥が生じる。また、比較例1のデンドライト率は70%を超えており、湯流れ性が悪い。
【0032】
これに対し、鉄を含む実施例(サンプル5、7および8)ではいずれも鋳造欠陥は生じなかった。また、デンドライト率は70%以下となり、湯流れ性は良好である。このように、鉄を添加したサンプルは表層のデンドライト率が下がることが確認された。
【0033】
上記表1に示すように、本実施形態に係るすべての実施例(サンプル5~14)はいずれもデンドライト率が70%以下であり、より厳密には、いずれもデンドライト率が67%以下である。
【0034】
このように、本実施形態に係る実施例(サンプル5~14)の鋳造合金では、湯流れ性が改善された。
【0035】
サンプル10~12は、いずれも1~4質量%のニッケルを更に含むが、これらについても同様に、デンドライト率は70%以下(とくに67%以下)となっており、湯流れ性は改善されている。
【0036】
サンプル13および14は、いずれも0.05~0.1質量%のクロムを更に含むが、これらについても同様に、デンドライト率は70%以下(とくに67%以下)となっており、湯流れ性は改善されている。
【0037】
[実施形態2]
実施形態2は、実施形態1の鋳造合金を原料とする抵抗合金に係る。この抵抗合金は、たとえばシャント抵抗器に用いられるが、他の製品に用いてもよい。
【0038】
たとえば、実施形態1の各サンプルを用い、連続鋳造としてΦ12mm、長さ30mの棒状の鋳造材を作製し、その後、この鋳造材を、Φ12mmからΦ6mmへと伸線加工することにより、抵抗合金が作製される。または、抵抗合金は、鋳造材に対して減面率40%の伸線加工を施して作製されてもよい。
【0039】
上記表1には、各サンプルに減面率40%の伸線加工を行って抵抗合金を作製した場合の、伸線加工の割れの有無、対銅熱起電力および比抵抗を示す。表1に示すように、減面率40%の伸線加工を行った場合、比較例(サンプル2および4)では割れが発生したが、本実施形態に係る実施例(サンプル5~14)ではいずれも割れは発生しなった。
【0040】
本実施形態に係る抵抗合金は、湯流れ性が改善された鋳造合金を原料とすることにより、鋳造材表層の欠陥除去工程を省略または簡素化することができる。
【0041】
とくに、鉄の添加により、デンドライト率を低下させるだけでなく、対銅熱起電力を調整することができる。とくに、鉄を添加することで対銅熱起電力を負方向にシフトさせることができる。マンガンは対銅熱起電力を正方向にシフトさせるため、鉄とマンガンの含有率を調整することにより、対銅熱起電力を好ましい-1~1μV/Kの範囲内とすることができる。
【0042】
たとえば、上記表1において、実施例の一部(サンプル6~9)では、マンガンの含有率(6.5~12.0質量%)に対して適切な含有率(0.05~0.2質量%)の鉄が添加されており、対銅熱起電力が0μV/K付近の好ましい値となっている。
【0043】
サンプル10~12に示すように、ニッケルを、対銅熱起電力調整、延性の向上、等の目的で添加しても良い。ただし、サンプル12のようにニッケルの含有率が3.0質量%を超えると対銅熱起電力が負方向にシフトしすぎてしまい、抵抗合金としては特性の悪化につながる。このため、抵抗合金としては、サンプル10および11のように、ニッケルの含有率は1~3質量%とすることが好ましい(抵抗合金以外の用途についてはこの限りではなく、サンプル12も有益に利用可能である)。
【0044】
サンプル13および14に示すように、クロムを、結晶粒微細化の目的で添加しても良い。クロムは、結晶粒成長を抑制する効果がある。ただし、クロムの含有率が0.1質量%を超えると、クロムは固溶せず機械特性(伸び、延性)の悪化につながるため、クロムの含有率は0.05~0.1質量%とすると好適である。
【0045】
なお、表1に示すように、比抵抗は、すべての実施例(サンプル5~14)について好適な値となった。
【0046】
[実施形態3]
実施形態3は、実施形態2の抵抗合金を用いて作製されるシャント抵抗器に係る。
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態による抵抗器用の合金を用いたシャント抵抗器の一構成例を示す斜視図である。
図3(b)は、シャント抵抗器の平面図と側面図である。
図3(b)には、寸法(mm)を示している。
【0047】
図3(a),(b)に示すシャント抵抗器Aは、プレス等により個片状の抵抗体11を作成し、その両端に銅の電極15a,15bを突合せ溶接した構造である。
【0048】
抵抗体11と電極15a,15bは、EB(電子ビーム)溶接、LB(レーザービーム)溶接等で接合することができる。
図3に示すシャント抵抗器Aは、比較的大型のシャント抵抗であり、一個ずつ作ることがある。抵抗体11は、実施形態2に係る抵抗合金によって形成することができる。
【0049】
本実施形態に係るシャント抵抗器は、湯流れ性が改善された鋳造合金を原料とする抵抗合金を用いることにより、鋳造材表層の欠陥除去工程を省略または簡素化することができる。
【0050】
図4~
図9を用いて、
図3に示すシャント抵抗器Aの製造工程の一例を示す。
図4に示すように、例えば、長尺の平板状等の抵抗材21と、抵抗材21と同様の長尺の平板状の第1の電極材25a、第2の電極材25bを準備する。抵抗材21は、実施形態2に係る抵抗合金を用いる。
【0051】
図5に示すように、抵抗材21の両側に第1の電極材25aと第2の電極材25bとをそれぞれ配置する。
【0052】
図6にも示すように、例えば電子ビームやレーザービームなどで溶接して1枚の平板とする(接合位置L11、L12で接合する)。
図6(a)は、溶接の際に電極材25a、25bと抵抗材21とによる平坦面側に電子ビーム等を照射した例である。
図6(b)は、溶接の際に電極材25a、25bと抵抗材21とによる凹みの内側に電子ビーム等を照射した例である。電極材25a、25bにおける抵抗材21より突出した面には、電子ビーム等が照射されないようにして影響を少なくする。
【0053】
抵抗材21と電極材25a、25bとの厚さの差により、抵抗値を調整することもできる。また、
図9において後述する段差(Δh
2)を形成することができる。接合位置により、抵抗値や形状に関する種々の調整を行うことも可能である。
【0054】
次いで、
図7(a)に示すように、
図5の状態から、除去部分17として示すように、抵抗材21の領域を含むように、くし歯状に、平板を打ち抜くなどにより取り除く。次いで、第1の電極材25a、第2の電極材25bの一部をプレスなどで曲げ加工することで、
図7(b)に断面図(
図7(a)のX方向から見た図)で示すような断面形状を有する構造を形成する。尚、溶接部21a、21bは、電子ビーム照射などで接続されている部分である。
【0055】
次いで、
図8に示すように、電極が切り離されていない側を、切断位置L31に沿って、残りの領域25b’(基部)から切り離し、電極35bを形成する。これによって、電流検出装置に用いる突合せ構造の抵抗器を形成することができる。本実施形態による製造方法を用いると、電極35a、35bと抵抗体31とからなる抵抗器の量産化が可能となるという利点がある。
【0056】
なお、
図9に示すように、抵抗器には溶接痕43a、43bが形成される。一般に電子ビーム等による溶接痕の表面は荒れた状態になる。精密な電流検出のためには、ボンディングワイヤーをなるべく抵抗体に近い位置に固定するのが好ましいが、このとき溶接痕が邪魔になることがある。本実施形態によれば、
図6の説明で詳述した方法により、ボンディング面となる領域35a-2、35b-2に溶接痕が形成されることを避けることができる。したがって、抵抗体に近い位置にワイヤを固定することができるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、鋳造合金、抵抗合金またはシャント抵抗器として利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
11…抵抗体
21…抵抗材
31…抵抗体
15a,15b…電極
35a,35b…電極
A…シャント抵抗器