(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140561
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】熱拡散デバイス、電子機器及び熱拡散デバイス用のウィック
(51)【国際特許分類】
F28D 15/04 20060101AFI20241003BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20241003BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241003BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F28D15/04 A
F28D15/02 L
F28D15/02 101H
H05K7/20 Q
H01L23/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051748
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000139687
【氏名又は名称】株式会社安永
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】沼本 竜宏
(72)【発明者】
【氏名】森上 誠士
(72)【発明者】
【氏名】吉永 利行
(72)【発明者】
【氏名】松本 英二
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA06
5E322AA11
5E322DC02
5F136CC14
(57)【要約】
【課題】熱輸送量の大きい熱拡散デバイスを提供する。
【解決手段】熱拡散デバイスの一実施形態であるベーパーチャンバー1は、厚さ方向Zに対向する第1内面11a及び第2内面12aを有し、かつ、内部空間が設けられた筐体10と、筐体10の内部空間に封入された作動媒体20と、筐体10の内部空間に配置されたシート状のウィック30と、を備える。ウィック30は、厚さ方向Zに貫通する第1貫通孔61と、厚さ方向Zに貫通する第2貫通孔62と、を含む。第1貫通孔61の周縁には、第1内面11aに近接する方向に突出する第1凸部71が設けられている。第2貫通孔62の周縁には、第2内面12aに近接する方向に突出する第2凸部72が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、
前記筐体の前記内部空間に封入された作動媒体と、
前記筐体の前記内部空間に配置されたシート状のウィックと、を備え、
前記ウィックは、前記厚さ方向に貫通する第1貫通孔と、前記厚さ方向に貫通する第2貫通孔と、を含み、
前記第1貫通孔の周縁には、前記第1内面に近接する方向に突出する第1凸部が設けられており、
前記第2貫通孔の周縁には、前記第2内面に近接する方向に突出する第2凸部が設けられている、熱拡散デバイス。
【請求項2】
前記第1凸部の先端に向かって、前記第1凸部の外壁間の距離が狭くなる、請求項1に記載の熱拡散デバイス。
【請求項3】
前記第2凸部の先端に向かって、前記第2凸部の外壁間の距離が狭くなる、請求項2に記載の熱拡散デバイス。
【請求項4】
前記ウィックは、複数の前記第1貫通孔を含み、隣り合う前記第1貫通孔の中心間距離が一定である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱拡散デバイス。
【請求項5】
前記ウィックは、複数の前記第2貫通孔を含み、隣り合う前記第2貫通孔の中心間距離が一定である、請求項4に記載の熱拡散デバイス。
【請求項6】
前記ウィックは、複数の前記第1貫通孔と複数の前記第2貫通孔とを含み、隣り合う前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との中心間距離が一定である、請求項5に記載の熱拡散デバイス。
【請求項7】
前記厚さ方向において、前記ウィックと前記第1内面との間の距離は、前記ウィックと前記第2内面との間の距離よりも小さい、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱拡散デバイス。
【請求項8】
前記第1凸部の高さが、前記第2凸部の高さと同等である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱拡散デバイス。
【請求項9】
前記第1凸部の高さ及び前記第2凸部の高さのうち少なくとも一方の高さが、前記ウィックの導体厚さよりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱拡散デバイス。
【請求項10】
前記第1凸部の高さが前記ウィックの導体厚さよりも大きく、かつ、前記第2凸部の高さが前記ウィックの導体厚さよりも大きい、請求項9に記載の熱拡散デバイス。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか1項に記載の熱拡散デバイスを備える、電子機器。
【請求項12】
厚さ方向に貫通する第1貫通孔と、前記厚さ方向に貫通する第2貫通孔と、を含む、シート状のウィックであって、
前記第1貫通孔の周縁には、前記厚さ方向の一方向に突出する第1凸部が設けられており、
前記第2貫通孔の周縁には、前記厚さ方向の逆方向に突出する第2凸部が設けられている、熱拡散デバイス用のウィック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱拡散デバイス、電子機器及び熱拡散デバイス用のウィックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、素子の高集積化及び高性能化による発熱量が増加している。また、製品の小型化が進むことで、発熱密度が増加するため、放熱対策が重要となっている。この状況はスマートフォン及びタブレット等のモバイル端末の分野において特に顕著である。熱対策部材としては、グラファイトシート等が用いられることが多いが、その熱輸送量は充分ではないため、様々な熱対策部材の使用が検討されている。中でも、非常に効果的に熱を拡散させることが可能である熱拡散デバイスとして、面状のヒートパイプであるベーパーチャンバーの使用の検討が進んでいる。
【0003】
ベーパーチャンバーは、筐体の内部に、作動媒体(作動液ともいう)と、毛細管力によって作動媒体を輸送するウィックとが封入された構造を有する。作動媒体は、電子部品等の発熱素子からの熱を吸収する蒸発部において発熱素子からの熱を吸収してベーパーチャンバー内で蒸発した後、ベーパーチャンバー内を移動し、冷却されて液相に戻る。液相に戻った作動媒体は、ウィックの毛細管力によって再び発熱素子側の蒸発部に移動し、発熱素子を冷却する。これを繰り返すことにより、ベーパーチャンバーは外部動力を有することなく自立的に作動し、作動媒体の蒸発潜熱及び凝縮潜熱を利用して、二次元的に高速で熱を拡散することができる。
【0004】
特許文献1には、外縁部で接合された対向する上部筐体シートと下部筐体シートとを含み、内部空間を有する筐体と、上記内部空間に封入された作動液と、上記下部筐体シートのうち上記内部空間に配置され、上記作動液の流路を構成するマイクロチャネルと、上記筐体の上記内部空間に配置され、上記マイクロチャネルに接触して配置されたシート状のウィックと、を備え、上記ウィックと上記マイクロチャネルの接触面積は、上記内部空間を平面視した面積に対して5%~40%である、ベーパーチャンバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のべーパーチャンバーでは、筐体の内部空間で熱を放出して液体に戻った作動液は、ウィックの孔による毛細管力により、マイクロチャネルを移動して、再び熱源の近くに運ばれる。しかしながら、筐体の内部空間に配置されるウィックと、下部筐体シートに形成されたマイクロチャネルの凸状部との密着が充分でない場合には、液体の作動媒体が熱源の近くに輸送されにくくなってしまうため、ベーパーチャンバーの最大熱輸送量が低下してしまうおそれがある。
【0007】
なお、上記の問題は、ベーパーチャンバーに限らず、ベーパーチャンバーと同様の構成によって熱を拡散させることが可能な熱拡散デバイスに共通する問題である。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、熱輸送量の大きい熱拡散デバイスを提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記熱拡散デバイスを備える電子機器及び上記熱拡散デバイス用のウィックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の熱拡散デバイスは、厚さ方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、上記筐体の上記内部空間に封入された作動媒体と、上記筐体の上記内部空間に配置されたシート状のウィックと、を備える。上記ウィックは、上記厚さ方向に貫通する第1貫通孔と、上記厚さ方向に貫通する第2貫通孔と、を含む。上記第1貫通孔の周縁には、上記第1内面に近接する方向に突出する第1凸部が設けられている。上記第2貫通孔の周縁には、上記第2内面に近接する方向に突出する第2凸部が設けられている。
【0010】
本発明の電子機器は、本発明の熱拡散デバイスを備える。
【0011】
本発明の熱拡散デバイス用のウィックは、厚さ方向に貫通する第1貫通孔と、上記厚さ方向に貫通する第2貫通孔と、を含む、シート状のウィックである。上記第1貫通孔の周縁には、上記厚さ方向の一方向に突出する第1凸部が設けられている。上記第2貫通孔の周縁には、上記厚さ方向の逆方向に突出する第2凸部が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱輸送量の大きい熱拡散デバイスを提供することができる。さらに、本発明によれば、上記熱拡散デバイスを備える電子機器及び上記熱拡散デバイス用のウィックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱拡散デバイスの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る熱拡散デバイスの一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る熱拡散デバイスを構成するウィックの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2とは異なる位置での熱拡散デバイスの一例を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第1凸部の形状の一例を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1凸部の形状の別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態に係る熱拡散デバイスの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る熱拡散デバイスの一例を模式的に示す断面図である。
【0014】
以下、本発明の熱拡散デバイスについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0015】
本発明の熱拡散デバイスは、例えば、面状のベーパーチャンバーでもよく、管状のヒートパイプでもよい。
【0016】
なお、以下において説明する熱拡散デバイス用のウィックもまた、本発明の1つである。
【0017】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
【0018】
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の熱拡散デバイス」という。
【0019】
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
本明細書において、要素間の関係性を示す用語(例えば「垂直」、「平行」、「直交」等)及び要素の形状を示す用語は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。また、本明細書において、「同等」又は「一定」とは、完全に同等又は一定である場合のみを意味する表現ではなく、実質的に同等又は一定である場合、例えば、数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱拡散デバイスの一例を模式的に示す斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る熱拡散デバイスの一例を模式的に示す断面図である。なお、
図2は、
図1に示す熱拡散デバイスのII-II線に沿った断面図の一例である。
【0022】
図1及び
図2に示すベーパーチャンバー(熱拡散デバイス)1は、気密状態に密閉された中空の筐体10を備える。筐体10は、厚さ方向Zに対向する第1内面11a及び第2内面12aを有する。筐体10には、内部空間が設けられている。ベーパーチャンバー1は、さらに、筐体10の内部空間に封入された作動媒体20と、筐体10の内部空間に配置されたシート状のウィック30と、を備える。ベーパーチャンバー1は、筐体10の内部空間に配置された支柱40をさらに備えてもよい。
【0023】
筐体10には、封入した作動媒体20を蒸発させる蒸発部が設定される。
図1に示すように、筐体10の外面には、発熱素子である熱源(heat source)HSが配置される。熱源HSとしては、電子機器の電子部品、例えば中央処理装置(CPU)等が挙げられる。筐体10の内部空間のうち、熱源HSの近傍であって熱源HSによって加熱される部分が、蒸発部に相当する。
【0024】
ベーパーチャンバー1は、全体として面状であることが好ましい。すなわち、筐体10は、全体として面状であることが好ましい。ここで、「面状」とは、板状及びシート状を包含し、幅方向Xの寸法(以下、幅という)及び長さ方向Yの寸法(以下、長さという)が厚さ方向Zの寸法(以下、厚さ又は高さという)に対して相当に大きい形状、例えば幅及び長さが、厚さの10倍以上、好ましくは100倍以上である形状を意味する。
【0025】
ベーパーチャンバー1の大きさ、すなわち、筐体10の大きさは、特に限定されない。ベーパーチャンバー1の幅及び長さは、用途に応じて適宜設定することができる。ベーパーチャンバー1の幅及び長さは、各々、例えば、5mm以上500mm以下、20mm以上300mm以下又は50mm以上200mm以下である。ベーパーチャンバー1の幅及び長さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0026】
筐体10は、外縁部が接合された対向する第1シート11及び第2シート12から構成されることが好ましい。
【0027】
筐体10が第1シート11及び第2シート12から構成される場合、第1シート11及び第2シート12を構成する材料は、ベーパーチャンバー等の熱拡散デバイスとして用いるのに適した特性、例えば熱伝導性、強度、柔軟性、可撓性等を有するものであれば、特に限定されない。第1シート11及び第2シート12を構成する材料は、好ましくは金属であり、例えば銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄、又はそれらを主成分とする合金等であり、特に好ましくは銅である。第1シート11及び第2シート12を構成する材料は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、好ましくは同じである。
【0028】
筐体10が第1シート11及び第2シート12から構成される場合、第1シート11及び第2シート12は、これらの外縁部において互いに接合される。かかる接合の方法は、特に限定されないが、例えば、レーザー溶接、抵抗溶接、拡散接合、ロウ接、TIG溶接(タングステン-不活性ガス溶接)、超音波接合又は樹脂封止を用いることができ、好ましくはレーザー溶接、抵抗溶接又はロウ接を用いることができる。
【0029】
第1シート11及び第2シート12の厚さは、特に限定されないが、各々、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは30μm以上100μm以下、さらに好ましくは40μm以上60μm以下である。第1シート11及び第2シート12の厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、第1シート11及び第2シート12の各シートの厚さは、全体にわたって同じであってもよく、一部が薄くてもよい。
【0030】
第1シート11及び第2シート12の形状は、特に限定されない。例えば、第1シート11及び第2シート12は、各々、外縁部が外縁部以外の部分よりも厚い形状であってもよい。
【0031】
ベーパーチャンバー1全体の厚さは、特に限定されないが、好ましくは50μm以上500μm以下である。筐体10の内部空間の高さは特に限定されないが、好ましくは30μm以上400μm以下である。
【0032】
厚さ方向Zから見た筐体10の平面形状は特に限定されず、例えば、三角形又は矩形等の多角形、円形、楕円形、これらを組み合わせた形状等が挙げられる。また、筐体10の平面形状は、L字型、C字型(コの字型)、階段型等であってもよい。また、筐体10は貫通口を有してもよい。筐体10の平面形状は、ベーパーチャンバー等の熱拡散デバイスの用途、熱拡散デバイスの組み入れ箇所の形状、近傍に存在する他の部品に応じた形状であってもよい。
【0033】
作動媒体20は、筐体10内の環境下において気-液の相変化を生じ得るものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール類、代替フロン等を用いることができる。例えば、作動媒体20は水性化合物であり、好ましくは水である。
【0034】
ウィック30は、毛細管力により作動媒体20を移動させることができる毛細管構造を有する。
【0035】
ウィック30を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは金属であり、例えば銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄、又はそれらを主成分とする合金等であり、特に好ましくは銅である。ウィック30を構成する材料は、筐体10を構成する材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0036】
ウィック30の大きさ及び形状は、シート状であれば特に限定されないが、例えば、筐体10の内部空間において連続してウィック30が配置されていることが好ましい。厚さ方向Zから見て、筐体10の内部空間の全体にウィック30が配置されていてもよく、厚さ方向Zから見て、筐体10の内部空間の一部にウィック30が配置されていてもよい。
【0037】
図2に示すように、筐体10の内部空間には、第2内面12aに接する支柱40が配置されていてもよい。筐体10の内部空間に支柱40を配置することによって筐体10及びウィック30を支持することが可能である。
【0038】
支柱40を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、樹脂、金属、セラミックス、又はそれらの混合物、積層物等が挙げられる。また、支柱40は、
図2に示すように、筐体10と一体であってもよく、例えば、筐体10の第2内面12aをエッチング加工すること等により形成されていてもよい。
【0039】
支柱40の形状は、筐体10及びウィック30を支持できる形状であれば特に限定されないが、支柱40の高さ方向に垂直な断面の形状としては、例えば、矩形等の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。
【0040】
支柱40は、
図2に示すように、筐体10の第2内面12aからウィック30に向かって幅が狭くなるテーパー形状を有してもよい。これにより、ウィック30側では支柱40の間の流路を広くすることができる。
【0041】
図3は、本発明の第1実施形態に係る熱拡散デバイスを構成するウィックの一例を模式的に示す斜視図である。
図4は、
図3に示すウィックの平面図である。
【0042】
シート状のウィック30は、厚さ方向Zに貫通する第1貫通孔61と、厚さ方向Zに貫通する第2貫通孔62と、を含む。
【0043】
第1貫通孔61及び第2貫通孔62は、例えば、ウィック30を構成する金属箔に対して、プレス加工による打ち抜きを行うことによって形成することができる。
【0044】
第1貫通孔61内及び第2貫通孔62内において、作動媒体20は、毛細管現象により移動することができる。第1貫通孔61及び第2貫通孔62の形状は特に限定されないが、厚さ方向Zに垂直な面での断面が円形又は楕円形であることが好ましい。第1貫通孔61の形状と第2貫通孔62の形状とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0045】
図5は、
図4に示すウィックのA-A線断面図である。
【0046】
図5に示すように、第1貫通孔61の周縁には、厚さ方向の一方向(
図5では厚さ方向Zの負方向)に突出する第1凸部71が設けられている。
図2に示す例では、ベーパーチャンバー1において、第1凸部71は、第1内面11aに近接する方向に突出している。
【0047】
第1貫通孔61の周縁に第1凸部71が設けられていることにより、
図2に示すベーパーチャンバー1においては、ウィック30と筐体10の第1内面11aとの間に、液体の作動媒体20が移動する液体流路が構成される。
【0048】
特許文献1とは異なり、第1凸部71がウィック30と一体的に構成されていることにより、ウィック30との密着性が低下することがない。そのため、特許文献1に比べて最大熱輸送量を向上させることができる。さらに、第1凸部71により液体流路を形成することができるため、特許文献1のように筐体10の第1内面11aを加工してマイクロチャネルを形成することが必ずしも必要でなくなる。
【0049】
第1凸部71は、筐体10の第1内面11aに接していてもよく、接していなくてもよい。第1凸部71が第1内面11aに接している場合、第1凸部71は、第1内面11aに接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
【0050】
ウィック30は、第1凸部71が周縁に設けられている第1貫通孔61を少なくとも1つ含んでいればよい。第1凸部71は、第1貫通孔61の周縁の一部にのみ設けられていてもよいが、第1貫通孔61の周縁の全体に設けられていることが好ましい。
【0051】
図6は、
図4に示すウィックのB-B線断面図である。
図7は、
図2とは異なる位置での熱拡散デバイスの一例を模式的に示す断面図である。
【0052】
図6に示すように、第2貫通孔62の周縁には、厚さ方向の逆方向(
図6では厚さ方向Zの正方向)に突出する第2凸部72が設けられている。
図7に示す例では、ベーパーチャンバー1において、第2凸部72は、第2内面12aに近接する方向に突出している。
【0053】
図7に示すベーパーチャンバー1においては、ウィック30と筐体10の第2内面12aとの間に、作動媒体20の蒸気が移動する蒸気空間が構成される。このとき、第2凸部72が周縁に設けられている第2貫通孔62によって、気化された作動媒体20を効率良く蒸気空間に移動させることができる。
【0054】
充分な蒸気空間を確保しながら液体流路を形成する観点からは、
図2及び
図7に示すように、厚さ方向Zにおいて、ウィック30と第1内面11aとの間の距離は、ウィック30と第2内面12aとの間の距離よりも小さいことが好ましい。
【0055】
筐体10の内部空間に支柱40が配置されている場合、第2凸部72は、支柱40と接していてもよく、接していなくてもよい。第2凸部72が支柱40と接している場合、第2凸部72は、支柱40に接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
【0056】
図7に示すように、第2凸部72が支柱40と接していると、ウィック30と支柱40との間に空間(
図7においてPで示す領域)が存在することになる。この空間Pは作動媒体20の蒸気が移動する蒸気流路として利用できるため、第2凸部72が設けられていない場合と比べて、ベーパーチャンバー1の熱輸送量を大きくすることができる。
【0057】
ウィック30は、第2凸部72が周縁に設けられている第2貫通孔62を少なくとも1つ含んでいればよい。第2凸部72は、第2貫通孔62の周縁の一部にのみ設けられていてもよいが、第2貫通孔62の周縁の全体に設けられていることが好ましい。
【0058】
第1凸部71及び第2凸部72は、例えば、ウィック30を構成する金属箔に対して、プレス加工による打ち抜きを行うことによって形成することができる。その場合、第1凸部71は、第1貫通孔61と同時に形成されてもよく、第1貫通孔61とは別に形成されてもよい。同様に、第2凸部72は、第2貫通孔62と同時に形成されてもよく、第2貫通孔62とは別に形成されてもよい。プレス加工による打ち抜きにおいて、打ち抜きの深さ等を適宜調整することによって、第1凸部71及び第2凸部72の形状等を調整することができる。なお、打ち抜きの深さとは、例えば、パンチによって打ち抜きを行う際に、打ち抜き方向にどの程度までパンチを押し込むかを意味する。
【0059】
第1凸部71の形状は特に限定されない。
【0060】
図8は、第1凸部の形状の一例を模式的に示す断面図である。
【0061】
図8に示すように、第1凸部71の先端に向かって(
図8では下側に向かって)、第1凸部71の外壁間の距離が狭くなってもよい。すなわち、第1凸部71は、テーパー形状を有してもよい。この場合、第1凸部71は、厚さ方向に沿う断面において、第1凸部71の先端側(
図8では下側)に凸な形状であってもよく、第1凸部71の基端側(
図8では上側)に凸な形状であってもよい。
【0062】
図9は、第1凸部の形状の別の一例を模式的に示す断面図である。
【0063】
図9に示すように、第1凸部71は、第1貫通孔61を狭める蓋部を先端に有してもよい。
【0064】
第1凸部71がテーパー形状を有する場合、
図2に示す例において、筐体10の第1内面11aに近接する方向に向かって、第1凸部71の外壁間の距離が狭くなっていると、液体流路の圧力損失を低減できる。
【0065】
図示しないが、第1凸部71の先端に向かって、第1凸部71の外壁間の距離が広くなってもよい。すなわち、第1凸部71は、逆テーパー形状を有してもよい。この場合、第1凸部71は、厚さ方向に沿う断面において、第1凸部71の先端側に凸な形状であってもよく、第1凸部71の基端側に凸な形状であってもよい。第1凸部71は、第1貫通孔61を狭める蓋部を先端に有してもよい。
【0066】
あるいは、第1凸部71の先端に向かって、第1凸部71の外壁間の距離が一定であってもよい。この場合、第1凸部71は、第1貫通孔61を狭める蓋部を先端に有してもよい。
【0067】
同様に、第2凸部72の形状は特に限定されない。
【0068】
例えば、第2凸部72の先端に向かって、第2凸部72の外壁間の距離が狭くなってもよい。すなわち、第2凸部72は、テーパー形状を有してもよい。この場合、第2凸部72は、厚さ方向に沿う断面において、第2凸部72の先端側に凸な形状であってもよく、第2凸部72の基端側に凸な形状であってもよい。第2凸部72は、第2貫通孔62を狭める蓋部を先端に有してもよい。
【0069】
第2凸部72がテーパー形状を有する場合、
図7に示す例において、筐体10の第2内面12aに近接する方向に向かって、第2凸部72の外壁間の距離が狭くなっていると、蒸気流路の圧力損失を低減できる。
【0070】
また、第2凸部72の先端に向かって、第2凸部72の外壁間の距離が広くなってもよい。すなわち、第2凸部72は、逆テーパー形状を有してもよい。この場合、第2凸部72は、厚さ方向に沿う断面において、第2凸部72の先端側に凸な形状であってもよく、第2凸部72の基端側に凸な形状であってもよい。第2凸部72は、第2貫通孔62を狭める蓋部を先端に有してもよい。
【0071】
あるいは、第2凸部72の先端に向かって、第2凸部72の外壁間の距離が一定であってもよい。この場合、第2凸部72は、第2貫通孔62を狭める蓋部を先端に有してもよい。
【0072】
第1凸部71が周縁に設けられている第1貫通孔61の径は、特に限定されないが、例えば、5μm以上100μm以下である。なお、厚さ方向Zで第1貫通孔61の径が異なる場合には、最も小さい部分の径を第1貫通孔61の径と定義する。
【0073】
第2凸部72が周縁に設けられている第2貫通孔62の径は、特に限定されないが、例えば、5μm以上100μm以下である。なお、厚さ方向Zで第2貫通孔62の径が異なる場合には、最も小さい部分の径を第2貫通孔62の径と定義する。
【0074】
第1貫通孔61の径と第2貫通孔62の径とは、同じであってもよく、異なっていてもよいが、第1貫通孔61の径と第2貫通孔62の径とが同じであることが好ましい。
【0075】
図4等に示すように、ウィック30は、複数の第1貫通孔61を含むことが好ましい。その場合、第1貫通孔61の形状、径等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0076】
第1貫通孔61の配置は特に限定されないが、好ましくは所定の領域において均等に、より好ましくは全体にわたって均等に、例えば隣り合う第1貫通孔61の中心間距離(ピッチ)が一定となるように配置される。
【0077】
隣り合う第1貫通孔61の中心間距離が一定であると、厚さ方向Zから見た面において、液体の作動媒体20を均一にいきわたらせることができる。そのため、ベーパーチャンバー1の特性を均一とすることができる。
【0078】
隣り合う第1貫通孔61の中心間距離は、特に限定されないが、例えば、30μm以上150μm以下である。
【0079】
図4等に示すように、ウィック30は、複数の第2貫通孔62を含むことが好ましい。その場合、第2貫通孔62の形状、径等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0080】
第2貫通孔62の配置は特に限定されないが、好ましくは所定の領域において均等に、より好ましくは全体にわたって均等に、例えば隣り合う第2貫通孔62の中心間距離(ピッチ)が一定となるように配置される。
【0081】
隣り合う第2貫通孔62の中心間距離が一定であると、厚さ方向Zから見た面において、作動媒体20の蒸気を均一にいきわたらせることができる。そのため、ベーパーチャンバー1の特性を均一とすることができる。
【0082】
隣り合う第2貫通孔62の中心間距離は、特に限定されないが、例えば、30μm以上150μm以下である。
【0083】
ウィック30は、複数の第1貫通孔61と複数の第2貫通孔62とを含むことが好ましい。第1貫通孔61の配置及び第2貫通孔62の配置は特に限定されないが、隣り合う第1貫通孔61と第2貫通孔62との中心間距離が一定であることが好ましい。
【0084】
隣り合う第1貫通孔61と第2貫通孔62との中心間距離が一定であると、ウィック30の反りを抑制することができる。
【0085】
隣り合う第1貫通孔61と第2貫通孔62との中心間距離は、特に限定されないが、例えば、20μm以上100μm以下である。
【0086】
第1凸部71の高さ(
図5中、t
1で示す長さ)は、例えば、10μm以上100μm以下である。
【0087】
第2凸部72の高さ(
図6中、t
2で示す長さ)は、例えば、10μm以上100μm以下である。
【0088】
第1凸部71の高さt1は、第2凸部72の高さt2と同等であることが好ましい。この場合、ウィック30を厚さ方向Zに反転した場合でもウィック30の形状が変わらないため、筐体10の内部空間にウィック30を配置する際に使いやすい。
【0089】
また、第1凸部71の高さt
1及び第2凸部72の高さt
2のうち少なくとも一方の高さが、ウィック30の導体厚さ(
図5及び
図6中、t
0で示す長さ)よりも大きいことが好ましい。特に、第1凸部71の高さt
1がウィック30の導体厚さt
0よりも大きく、かつ、第2凸部72の高さt
2がウィック30の導体厚さt
0よりも大きいことが好ましい。
【0090】
第1凸部71の高さt1がウィック30の導体厚さt0よりも大きいと、第1凸部71が充分に高くなるため、液体流路が形成されやすくなる。一方、第2凸部72の高さt2がウィック30の導体厚さt0よりも大きいと、第2凸部72が充分に高くなるため、蒸気流路が形成されやすくなる。
【0091】
なお、ウィック30の導体厚さt0とは、ウィック30の導体部分の肉厚を意味する。導体部分の肉厚がシート内で一定でない場合には、最大部分の厚さをウィック30の導体厚さt0と定義する。ウィック30の導体厚さt0は、特に限定されないが、例えば、5μm以上100μm以下である。
【0092】
ウィック30が複数の第1貫通孔61を含む場合、第1凸部71の形状、高さ等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0093】
ウィック30が複数の第2貫通孔62を含む場合、第2凸部72の形状、高さ等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0094】
ウィック30は、第1凸部71が周縁に設けられている第1貫通孔61と、第2凸部72が周縁に設けられている第2貫通孔62とに加えて、第1凸部71及び第2凸部72が設けられていない第3貫通孔をさらに含んでもよい。
【0095】
筐体10の内部空間に支柱40が配置されている場合、支柱40の高さは、例えば50μm以上1000μm以下である。
【0096】
図2又は
図7に示す断面において、支柱40の幅は、筐体10の変形を抑制できる強度を与えるものであれば特に限定されないが、支柱40のウィック30側の端部の高さ方向に垂直な断面の円相当径は、例えば100μm以上2000μm以下であり、好ましくは300μm以上1000μm以下である。支柱40の円相当径を大きくすることにより、筐体10の変形をより抑制することができる。一方、支柱40の円相当径を小さくすることにより、作動媒体20の蒸気が移動するための空間をより広く確保することができる。
【0097】
筐体10の内部空間に複数の支柱40が配置されている場合、支柱40の形状、高さ等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0098】
支柱40の配置は特に限定されないが、好ましくは所定の領域において均等に、より好ましくは全体にわたって均等に、例えば隣り合う支柱40の中心間距離(ピッチ)が一定となるように配置される。支柱40を均等に配置することにより、ベーパーチャンバー等の熱拡散デバイスの全体にわたって均一な強度を確保することができる。支柱40の中心間距離は、例えば100μm以上10000μm以下である。
【0099】
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係る熱拡散デバイスの一例を模式的に示す斜視図である。
図11は、本発明の第2実施形態に係る熱拡散デバイスの一例を模式的に示す断面図である。なお、
図11は、
図10に示す熱拡散デバイスのXI-XI線に沿った断面図の一例である。
【0100】
図10及び
図11に示す熱拡散デバイス2のように、筐体10の内部空間に支柱が配置されていなくてもよい。
【0101】
熱拡散デバイス2は、全体として面状であってもよく、管状であってもよい。すなわち、筐体10は、全体として面状であってもよく、管状であってもよい。ここで、「管状」とは、幅もしくは長さのどちらか一方が、厚さの10倍以上である形状を意味する。熱拡散デバイス2が全体として管状である場合、筒の形状は特に限定されず、例えば、角筒状、円筒状、楕円筒状等の形状が挙げられる。
【0102】
[その他の実施形態]
本発明の熱拡散デバイスは、上記実施形態に限定されるものではなく、熱拡散デバイスの構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0103】
本発明の熱拡散デバイスにおいて、筐体は、1個の蒸発部を有してもよく、複数の蒸発部を有してもよい。すなわち、筐体の外壁面には、1個の熱源が配置されてもよく、複数の熱源が配置されてもよい。
【0104】
本発明の熱拡散デバイスにおいて、筐体が第1シート及び第2シートから構成される場合、第1シートと第2シートとは、端部が一致するように重なっていてもよいし、端部がずれて重なっていてもよい。
【0105】
本発明の熱拡散デバイスにおいて、筐体が第1シート及び第2シートから構成される場合、第1シートを構成する材料と、第2シートを構成する材料とは異なっていてもよい。例えば、強度の高い材料を第1シートに用いることにより、筐体にかかる応力を分散させることができる。また、両者の材料を異なるものとすることにより、一方のシートで一の機能を得、他方のシートで他の機能を得ることができる。上記の機能としては、特に限定されないが、例えば、熱伝導機能、電磁波シールド機能等が挙げられる。
【0106】
本発明の熱拡散デバイスは、放熱を目的として電子機器に搭載され得る。したがって、本発明の熱拡散デバイスを備える電子機器も本発明の1つである。本発明の電子機器としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、ゲーム機器、ウェアラブルデバイス等が挙げられる。本発明の熱拡散デバイスは上記のとおり、外部動力を必要とせず自立的に作動し、作動媒体の蒸発潜熱及び凝縮潜熱を利用して、二次元的に高速で熱を拡散することができる。そのため、本発明の熱拡散デバイスを備える電子機器により、電子機器内部の限られたスペースにおいて、放熱を効果的に実現することができる。
【0107】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0108】
<1>
厚さ方向に対向する第1内面及び第2内面を有し、かつ、内部空間が設けられた筐体と、
上記筐体の上記内部空間に封入された作動媒体と、
上記筐体の上記内部空間に配置されたシート状のウィックと、を備え、
上記ウィックは、上記厚さ方向に貫通する第1貫通孔と、上記厚さ方向に貫通する第2貫通孔と、を含み、
上記第1貫通孔の周縁には、上記第1内面に近接する方向に突出する第1凸部が設けられており、
上記第2貫通孔の周縁には、上記第2内面に近接する方向に突出する第2凸部が設けられている、熱拡散デバイス。
【0109】
<2>
上記第1凸部の先端に向かって、上記第1凸部の外壁間の距離が狭くなる、<1>に記載の熱拡散デバイス。
【0110】
<3>
上記第2凸部の先端に向かって、上記第2凸部の外壁間の距離が狭くなる、<1>又は<2>に記載の熱拡散デバイス。
【0111】
<4>
上記ウィックは、複数の上記第1貫通孔を含み、隣り合う上記第1貫通孔の中心間距離が一定である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0112】
<5>
上記ウィックは、複数の上記第2貫通孔を含み、隣り合う上記第2貫通孔の中心間距離が一定である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0113】
<6>
上記ウィックは、複数の上記第1貫通孔と複数の上記第2貫通孔とを含み、隣り合う上記第1貫通孔と上記第2貫通孔との中心間距離が一定である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0114】
<7>
上記厚さ方向において、上記ウィックと上記第1内面との間の距離は、上記ウィックと上記第2内面との間の距離よりも小さい、<1>~<6>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0115】
<8>
上記第1凸部の高さが、上記第2凸部の高さと同等である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0116】
<9>
上記第1凸部の高さ及び上記第2凸部の高さのうち少なくとも一方の高さが、上記ウィックの導体厚さよりも大きい、<1>~<8>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0117】
<10>
上記第1凸部の高さが上記ウィックの導体厚さよりも大きく、かつ、上記第2凸部の高さが上記ウィックの導体厚さよりも大きい、<1>~<9>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイス。
【0118】
<11>
<1>~<10>のいずれか1つに記載の熱拡散デバイスを備える、電子機器。
【0119】
<12>
厚さ方向に貫通する第1貫通孔と、上記厚さ方向に貫通する第2貫通孔と、を含む、シート状のウィックであって、
上記第1貫通孔の周縁には、上記厚さ方向の一方向に突出する第1凸部が設けられており、
上記第2貫通孔の周縁には、上記厚さ方向の逆方向に突出する第2凸部が設けられている、熱拡散デバイス用のウィック。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の熱拡散デバイスは、携帯情報端末等の分野において、広範な用途に使用できる。例えば、CPU等の熱源の温度を下げ、電子機器の使用時間を延ばすために使用することができ、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等に使用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 ベーパーチャンバー(熱拡散デバイス)
2 熱拡散デバイス
10 筐体
11 第1シート
11a 第1内面
12 第2シート
12a 第2内面
20 作動媒体
30 ウィック
40 支柱
61 第1貫通孔
62 第2貫通孔
71 第1凸部
72 第2凸部
t0 ウィックの導体厚さ
t1 第1凸部の高さ
t2 第2凸部の高さ
HS 熱源
P ウィックと支柱との間の空間
X 幅方向
Y 長さ方向
Z 厚さ方向