(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140563
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】物品配置の最適化装置、物品配置の最適化方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20241003BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q10/087
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051750
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520167645
【氏名又は名称】東レエンジニアリングDソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】早川 貴倫
(72)【発明者】
【氏名】大坂 開
【テーマコード(参考)】
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522CC01
3F522GG03
3F522GG13
3F522GG23
3F522GG44
3F522LL32
3F522LL36
3F522LL57
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】ピッキングしやすい物品配置を容易に作成することが可能な物品配置の最適化装置、物品配置の最適化方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】この物品配置の最適化装置は、配置作成部を、備え、配置作成部は、第1の最適化処理によって、第1の物品配置を作成し、第1の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理によって、第2の物品配置を作成し、第2の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理によって、第3の物品配置を作成するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集作業時に合わせて収集される複数の物品が記載されたピッキングリストに基づいて、前記複数の物品が保管される保管場所を区画した複数の配置部に前記物品を各々配置する物品配置を作成する配置作成部を、備え、
前記配置作成部は、
前記ピッキングリストに基づいて、搬出口に近い配置部から前記複数の物品を順次配置する第1の最適化処理によって、第1の物品配置を作成し、
前記ピッキングリストに基づいてクラスタリングを行い、合わせて収集される頻度が高い前記複数の物品からなるクラスタを取得して、前記クラスタに基づいて前記第1の物品配置から前記複数の物品の前記配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理によって、第2の物品配置を作成し、
前記複数の物品の配置を互いに入れ替えて演算する遺伝的アルゴリズムに基づいて前記第2の物品配置から前記複数の物品の前記配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理によって、第3の物品配置を作成するように構成されている、物品配置の最適化装置。
【請求項2】
前記配置作成部は、前記第1の最適化処理において、前記物品の収集される頻度を含む条件に基づいて、前記搬出口に近い配置部から前記複数の物品を順次配置して、前記第1の物品配置を作成するように構成されている、請求項1に記載の物品配置の最適化装置。
【請求項3】
前記配置作成部は、前記第3の最適化処理において、収集作業時に合わせて収集される前記複数の物品を前記配置部からピッキングする際の合計の移動距離が短くなるように前記第3の物品配置を作成するように構成されている、請求項1に記載の物品配置の最適化装置。
【請求項4】
前記物品は、前記複数の物品を配置可能であるとともに、水平方向において所定の間隔を隔てて配置されている、前記複数の配置部である複数の棚に配置されており、
前記配置作成部は、前記複数の物品が配置される前記複数の棚を、前記第1の最適化処理と、前記第2の最適化処理と、前記第3の最適化処理とによって変更することにより前記第3の物品配置を作成するように構成されている、請求項1または2に記載の物品配置の最適化装置。
【請求項5】
前記配置作成部は、前記第2の最適化処理において、ピッキングされる頻度の大きい基準物品と合わせて収集される頻度の高い複数の物品からなる前記クラスタを取得し、取得された前記クラスタに含まれる前記複数の物品が配置される棚と前記基準物品が配置される棚との間の移動距離が小さくなるように前記物品のクラスタに含まれる物品を配置することによって、前記第3の最適化処理を行う際の初期配置となる前記第2の物品配置を作成するように構成されている、請求項4に記載の物品配置の最適化装置。
【請求項6】
前記配置作成部は、前記第2の最適化処理において、前記複数の物品のクラスタに含まれる前記複数の物品が配置される棚と搬出口との間の移動距離を小さくすることが可能である前記棚の位置に前記物品を配置して、前記第2の物品配置を作成するように構成されている、請求項5に記載の物品配置の最適化装置。
【請求項7】
前記配置作成部は、前記第3の最適化処理として、遺伝的アルゴリズムに基づいて前記複数の物品が配置される一部の棚の間で物品を入れ替えた複数パターンの物品配置を作成し、前記複数パターンの物品配置から前記搬出口から短い移動距離で前記複数の物品をピッキング可能な物品配置のパターンを選択し、選択したパターンの物品配置の間でさらに物品の入れ替えを行い、さらに前記搬出口から短い移動距離で前記複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することにより、前記第2の物品配置から前記第3の物品配置を作成するように構成されている、請求項4に記載の物品配置の最適化装置。
【請求項8】
前記配置作成部は、前記第3の最適化処理において、前記搬出口から最も離れた第1の棚と、前記第1の棚に対して前記搬出口とは反対側に隣り合う第2の棚との間で入れ替えを行うとともに、前記搬出口から短い移動距離で前記複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することを繰り返し、所定条件を満たした場合に、前記第2の棚と、前記第1の棚とは反対側において、前記第2の棚に隣り合う第3の棚との入れ替えを行い、前記搬出口から短い移動距離で前記複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することにより、前記第2の物品配置から前記第3の物品配置を作成するように構成されている、請求項6に記載の物品配置の最適化装置。
【請求項9】
収集作業時に合わせて収集される複数の物品が記載されたピッキングリストに基づいて、前記複数の物品が保管される保管場所を区画した複数の配置部のうち、搬出口に近い前記配置部から前記複数の物品を順次配置する第1の最適化処理を行い、第1の物品配置を作成する工程と、
前記ピッキングリストに基づいてクラスタリングを行い、合わせて収集される頻度が高い前記複数の物品からなるクラスタを取得して、前記クラスタに基づいて前記第1の物品配置から前記複数の物品の前記配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理を行い、第2の物品配置を作成する工程と、
前記複数の物品の配置を互いに入れ替えて演算する遺伝的アルゴリズムに基づいて前記第2の物品配置から前記複数の物品の前記配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理を行い、第3の物品配置を作成する工程と、を含む、物品配置の最適化方法。
【請求項10】
請求項9に記載された物品配置の最適化方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品配置の最適化装置、物品配置の最適化方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品配置の最適化装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、物品の保管レイアウトを取得する取得部と、取得された保管レイアウトを変更した場合の変更後の保管レイアウトに基づいて作業者のピッキング作業をシミュレーションするシミュレーション部と、遺伝的アルゴリズムを用いたシミュレーション結果から所定の条件を満たすデータを探索する探索部とを備える、レイアウト作成装置が記載されている。上記特許文献1の所定の条件の一つは、ピッキング時の移動距離が短いことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、遺伝的アルゴリズムを用いて物品の配置である物品配置を作成する場合、ランダムに物品を配置した状態から配置を組み替えると、たとえば、ピッキング時の移動距離を短くすることができるような、ピッキングしやすい配置が作成されるまで試行回数が多くなる。この結果、ピッキングしやすい配置を容易に作成することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ピッキングしやすい物品配置を容易に作成することが可能な物品配置の最適化装置、物品配置の最適化方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による物品配置の最適化装置は、収集作業時に合わせて収集される複数の物品が記載されたピッキングリストに基づいて、複数の物品が保管される保管場所を区画した複数の配置部に物品を各々配置する物品配置を作成する配置作成部を、備え、配置作成部は、ピッキングリストに基づいて、搬出口に近い配置部から複数の物品を順次配置する第1の最適化処理によって、第1の物品配置を作成し、ピッキングリストに基づいてクラスタリングを行い、合わせて収集される頻度が高い複数の物品からなるクラスタを取得して、クラスタに基づいて第1の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理によって、第2の物品配置を作成し、複数の物品の配置を互いに入れ替えて演算する遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理によって、第3の物品配置を作成するように構成されている。複数の発送先と、発送される複数の発送品とを含むピッキングリストに基づいて、複数の発送品が保管される保管場所を区画した複数の配置部に発送品を各々配置する発送品配置を作成する配置作成部を、備え、配置作成部は、ピッキングリストに基づいて、搬出口に近い配置部から複数の発送品を順次配置する第1の最適化処理によって、第1の発送品配置を作成し、ピッキングリストに基づいてクラスタリングを行い、同じ複数の発送先に発送される頻度が高い複数の発送品からなるクラスタを取得して、クラスタに基づいて第1の発送品配置から複数の発送品の配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理によって、第2の発送品配置を作成し、複数の発送品の配置を互いに入れ替えて演算する遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の発送品配置から複数の発送品の配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理によって、第3の発送品配置を作成するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による物品配置の最適化装置では、上記のように、配置作成部は、ピッキングリストに基づいて、搬出口に近い配置部から複数の物品を順次配置する第1の最適化処理によって、第1の物品配置を作成する。これにより、搬出口に近い配置部から順次物品が配置されるため、物品をピッキングする際の搬出口から配置部までの移動距離を短くすることができる。また、同じ複数の発送先に発送される頻度が高い複数の物品からなるクラスタを取得して、クラスタに基づいて第1の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理によって、第2の物品配置を作成する。これにより、同じ複数の発送先に発送される頻度が高い物品を近い配置部に配置することができるため、ピッキングする際の移動距離を小さくすることができる。また、複数の物品の配置を入れ替えて演算する遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理によって、第3の物品配置を作成するように構成されていることにより、第2の最適化処理により最適化された状態で遺伝的アルゴリズムを使用するため、少ない試行回数において適した物品配置を作成することができる。この結果、ピッキングしやすい物品配置を容易に作成することができる。
【0009】
上記第1の局面による物品配置の最適化装置において、好ましくは、配置作成部は、第1の最適化処理において、物品の収集される頻度を含む条件に基づいて、搬出口に近い配置部から複数の物品を順次配置して、第1の物品配置を作成するように構成されている。このように構成すれば、収集頻度の高い商品から順番に搬出口に近い位置に配置することができるため、ピッキングしやすい物品配置を作成することができる。
【0010】
上記第1の局面による物品配置の最適化装置において、好ましくは、配置作成部は、第3の最適化処理において、収集作業時に合わせて収集される複数の物品を配置部からピッキングする際の合計の移動距離が短くなるように第3の物品配置を作成するように構成されている。このように構成すれば、総移動距離が短いため、短時間ですべての物品をピッキングすることが可能なピッキングしやすい物品配置を作成することができる。
【0011】
上記第1の局面による物品配置の最適化装置において、好ましくは、物品は、複数の物品を配置可能であるとともに、水平方向において所定の間隔を隔てて配置されている、複数の配置部である複数の棚に配置されており、配置作成部は、複数の物品が配置される複数の棚を、第1の最適化処理と、第2の最適化処理と、第3の最適化処理とによって変更することにより第3の物品配置を作成するように構成されている。このように構成すれば、水平方向において所定の間隔を隔てて倉庫などに配置されている棚に対する物品のピッキングしやすい物品配置を容易に作成することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、配置作成部は、第2の最適化処理において、ピッキングされる頻度の大きい基準物品と合わせて収集される頻度の高い複数の物品からなるクラスタを取得し、取得されたクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚と基準物品が配置される棚との間の移動距離が小さくなるように物品のクラスタに含まれる物品を配置することによって、第3の最適化処理を行う際の初期配置となる第2の物品配置を作成するように構成されている。このように構成すれば、最もピッキングされる頻度が高い基準物品が搬出口に最も近い棚に配置されることにより、搬出口と基準物品が配置された棚とを往復する移動距離を小さくすることができる。また、基準物品と合わせて収集される頻度の高い複数の物品からなるクラスタを取得し、取得されたクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚と基準物品が配置される棚との間の移動距離が小さくなるように物品のクラスタに含まれる物品を配置するように構成されているため、ピッキング頻度の高い基準物品と関連性の高い物品を短い移動距離でピッキングすることができる。
【0013】
上記配置作成部は、第2の最適化処理において、ピッキングされる頻度の大きい基準物品と合わせて収集される頻度の高い複数の物品からなるクラスタを取得し、第3の最適化処理を行う際の初期配置となる第2の物品配置を取得されたクラスタに基づいて作成するように構成において、好ましくは、配置作成部は、第2の最適化処理において、複数の物品のクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚と搬出口との間の移動距離を小さくすることが可能である棚の位置に物品を配置して、第2の物品配置を作成するように構成されている。このように構成すれば、複数の物品のクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚と搬出口との間の移動距離を小さくすることにより、物品をピッキングする際の総移動距離を小さくすることができる。
【0014】
上記物品を複数の棚に配置する構成において、好ましくは、配置作成部は、第3の最適化処理として、遺伝的アルゴリズムに基づいて複数の物品が配置される一部の棚の間で物品を入れ替えた複数パターンの物品配置を作成し、複数パターンの物品配置から搬出口から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置のパターンを選択し、選択したパターンの物品配置の間でさらに物品の入れ替えを行い、さらに搬出口から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することにより、第2の物品配置から第3の物品配置を作成するように構成されている。このように構成すれば、遺伝的アルゴリズムを用いる範囲を一部の棚に狭めることにより、全部の棚の間で入れ替える場合と異なり、組み替える物品配置のパターンを少なくすることができる。このため、短時間で組み替えた物品配置を作成することができるとともに、短時間で組み替えた物品配置から総移動距離がより短い物品配置を最適な配置を選択することができる。この結果、総移動距離の短い最適な物品配置を容易に作成することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、配置作成部は、第3の最適化処理において、搬出口から最も離れた第1の棚と、第1の棚に対して搬出口とは反対側に隣り合う第2の棚との間で入れ替えを行うとともに、搬出口から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することを繰り返し、所定条件を満たした場合に、第2の棚と、第1の棚とは反対側において、第2の棚に隣り合う第3の棚との入れ替えを行い、搬出口から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することにより、第2の物品配置から第3の物品配置を作成するように構成されている。このように構成すれば、第1の最適化処理および第2の最適化処理により第1の棚に配置された物品(たとえば、最もピッキング頻度の大きい物品と合わせて収集される頻度が低い物品)であっても、移動距離を小さくすることが可能であれば、配置の入れ替えを繰り返していくことに伴い搬出口により近い位置に配置される。この結果、物品配置をさらに最適化することができる。また、搬出口から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することを繰り返し、所定条件を満たした場合に第2の棚と、第2の棚に隣り合う第3の棚との入れ替えを行うことにより、入れ替えの回数が過度に大きくなることを抑制しつつ、最適な物品配置を選択することができる。
【0016】
この発明の第2の局面による物品配置の最適化方法は、収集作業時に合わせて収集される複数の物品が記載されたピッキングリストに基づいて、複数の物品が保管される保管場所を区画した複数の配置部のうち、搬出口に近い配置部から複数の物品を順次配置する第1の最適化処理を行い、第1の物品配置を作成する工程と、ピッキングリストに基づいてクラスタリングを行い、合わせて収集される頻度が高い複数の物品からなるクラスタを取得して、クラスタに基づいて第1の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理を行い、第2の物品配置を作成する工程と、複数の物品の配置を互いに入れ替えて演算する遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理を行い、第3の物品配置を作成する工程と、を含む。
【0017】
この発明の第2の局面による物品配置の最適化方法では、上記の第1の物品配置を作成する工程を備えることにより、搬出口に近い配置部から順次物品が配置された、搬出口から物品をピッキングする際の移動距離を短くすることが可能な第1の物品配置を作成することができる。また、第2の物品配置を作成する工程により、同じ複数の発送先に発送される頻度の高い物品が近い配置部に配置された、物品をピッキングする際の移動距離をより小さくすることが可能な第2の物品配置を作成することができる。また、第3の物品配置を作成する工程を備えることにより、第2の最適化処理により最適化された状態で遺伝的アルゴリズムを使用するため、少ない試行回数において適した第3の物品配置を作成することができる。この結果、ピッキングしやすい物品配置を容易に作成することができる。
【0018】
この発明の第3の局面によるプログラムは、第2の局面による物品配置の最適化方法をコンピュータに実行させる。
【0019】
この発明の第3の局面によるプログラムでは、上記第2の局面による物品配置の最適化方法をコンピュータに実行させることにより、容易に最適な物品配置を作成することが可能なプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、ピッキングしやすい物品配置を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】物品配置の最適化装置の構成例を示したブロック図である。
【
図2】物品が配置される棚の一例を示す平面図である。
【
図5】クラスタリングの一例を説明するための図である。
【
図6】第2の最適化処理を説明するための図である。
【
図7】第2の最適化処理を説明するための別図である。
【
図8】第2の最適化処理を説明するための別図である。
【
図10】第1実施形態における第3の最適化処理を説明するための図である。
【
図12】物品配置の最適化処理の流れを示したフローチャートである。
【
図13】第3の最適化処理の流れを示したフローチャートである。
【
図19】第2実施形態における第3の最適化処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1~
図13を参照して、第1実施形態による物品配置の最適化方法について説明する。なお、第1実施形態では、物品は、複数の発送先に発送される発送品である場合を例に説明する。
【0024】
(装置構成例)
第1実施形態による物品配置の最適化方法は、コンピュータ1にプログラム3aを実行させることにより実施することができる。物品配置の最適化方法は、たとえば、
図1に示すような装置構成によって実施可能である。コンピュータ1は、プログラム3aを実行可能に構成されている。コンピュータ1にプログラム3aを実行させることにより行われる処理の一部または全部が、専用の演算回路等のハードウェアによって行われてもよい。なお、コンピュータ1は、特許請求の範囲に記載した「物品配置の最適化装置」の一例である。
【0025】
図1の構成例では、コンピュータ1は、CPU(Central Processing Unit)などからなる1または複数のプロセッサ2と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および記憶装置などを含んだ記憶部3とを備える。記憶装置は、たとえば、ハードディスクドライブや半導体記憶装置などである。
【0026】
コンピュータ1は、記憶部3に記憶されたプログラム3aをプロセッサ2に実行させることにより、物品配置の最適化を行うことが可能である。具体的には、コンピュータ1は、記憶部3に記憶されたプログラム3aをプロセッサ2に実行させることにより、収集作業時に合わせて収集される複数の物品が記載されたピッキングリストに基づいて、複数の物品が保管される保管場所を区画した複数の配置部に物品を各々配置する物品配置が作成される。プログラム3aは、記録媒体から読み出される他、インターネットなどのネットワークやLAN(Local Area Network)などの伝送経路を介して外部サーバなどから提供されてもよい。記録媒体は、光学ディスク、磁気ディスク、不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ1により読み取り可能な記録媒体であり、プログラム3aが記録されている。なお、プロセッサ2は、特許請求の範囲に記載した「配置作成部」の一例である。
【0027】
また、コンピュータ1は、液晶表示装置などの表示部4と、キーボードおよびマウスなどの入力装置からなる入力部5とを備えている。また、コンピュータ1は、サーバ6と通信可能に構成されている。
【0028】
図2に示すように、本実施形態では、倉庫100に配置された複数の棚7に物品を配置する。複数の棚7は、複数の物品を配置可能であるとともに、水平方向(X方向およびY方向)において所定の間隔を隔てて配置されている。なお、
図2では、1つの棚7を正方形で表し、複数の棚7がY方向に沿って列状に並んでいる例を示している。棚7は、搬出口8から最も遠いX2側の端の列からX1側に向かって第1列の棚7(第1の棚7)、第2列の棚7(第2の棚7)、・・・第24列の棚7(第24の棚)とする。奇数番目の棚7は、X2側から物品を収納およびピッキングすることができるとともに、偶数番目の棚7はX1側から物品を収納およびピッキングすることができる。棚7は、X方向およびY方向に直交するZ方向(上下方向)に沿って複数の物品が配置されてもよく、1つだけ配置されてもよい。本実施形態では、同じ発送先に発送される複数の物品が一の収集作業時に合わせて収集される。なお、倉庫100は、特許請求の範囲に記載した「複数の物品が保管される保管場所」の一例であり、棚7は、特許請求の範囲に記載した「保管場所を区画する複数の配置部」の一例である。
【0029】
図3に基づいて、移動距離について説明する。
図3では、1つの棚7を正方形で表し、説明のため1列当たり5つの棚7を含む、6列の棚7を表している。
図3では、棚7を構成する正方形の一辺を移動すると移動距離を1とカウントし、向かい合うB列の棚7とC列の棚7との間と、D列の棚7とE列の棚7との間を移動すると移動距離を1とカウントするものとする。また、
図3では、丸で囲んだ数字は、総移動距離を表す。なお、A列とB列との間と、C列とD列との間と、E列とF列との間は通ることができない。たとえば、棚A1は、移動距離が1である。棚A2は、矢印2つ分であるため、移動距離が2である。棚B1は、矢印3つ分であるため、移動距離が3である。このように、棚7毎の移動距離が記憶部3に記憶されており、移動距離に応じて第1の最適化処理、第2の最適化処理および第3の最適化処理が行われる。
【0030】
(第1の最適化処理)
図3および
図4に基づいて、第1の最適化処理について説明する。
図4は、
図2と同様に1つの棚7を正方形で表している。まず、プロセッサ2は、ピッキングリストに含まれる複数の物品の発送先の数に基づいて、物品の収集される頻度を取得する。そして、条件に基づいて、搬出口8に近い棚7から複数の物品を配置していく。本実施形態では、条件とは、物品の収集される頻度を含む。条件としては、収集される頻度が高い物品から搬出口8に近い棚7に配置するように条件が設定されている。たとえば、最も頻度の高い基準物品は、搬出口8からの移動距離が短い棚A1に配置される。次に、2番目に頻度の高い物品を、搬出口8からの移動距離が2番目に小さい棚A2に配置する。そして、3番目に頻度が高い物品を、3番目に移動距離が小さい棚A3と棚B1に配置する。これを繰り返していき、複数の物品を棚7に順次配置していく。そして、
図4に示すように、搬出口8に近い棚7を中心に扇状に物品が配置される。なお、
図4では、ハッチングが細かい程頻度が高いことを表しており、白い部分は、物品が配置されていないことを表している。
【0031】
(第2の最適化処理)
図5~
図9に基づいて、第2の最適化処理について説明する。
図5~
図9では、
図2と同様に1つの棚7を正方形で表している。
【0032】
図5を用いて、クラスタリングの一例について説明する。
図5では、発送される場合は○を付して、発送されない場合は×を付している。クラスタリングは、機械学習の結果を用いる。クラスタリングの一例は、ハミング距離を用いる。ハミング距離を用いたクラスタリングは、基準物品とある物品とが同じ発送先に発送される場合と、基準物品とある物品とがともに同じ発送先に発送されない場合とを1とし、一方が発送されて他方が発送されない場合は、0とする。このように、1か0かで評価を行い、物品毎の点数を算出する。たとえば、物品Aのように合計点数n1が閾値ntよりも大きい場合は、基準物品と同じクラスタに含める。たとえば、物品Bおよび物品Cのように合計点数n2およびn3が閾値ntよりも小さい場合は、物品Bおよび物品Cを基準物品と同じクラスタに含めない。そして、1のクラスタを取得した後、ピッキングリストから残った物品のうち発送される頻度の高い物品を基準物品とし、同じようにクラスタリングする。なお、
図5~
図9では、同じクラスタに含まれる物品に同じハッチングを付している。
【0033】
図9に示すように、第2の物品配置の並べ方としては、Y方向に移動してピッキングすることを前提として、同じクラスタに含まれる物品は、同じ列の棚7に配置される。また、基準物品と同じ発送先に搬出される頻度の高い複数の物品からなるクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚7と基準物品が配置される棚7との間の移動距離が小さくなるように、クラスタに含まれる物品が配置される。また、クラスタに含まれる複数の物品を列に沿って並べて配置可能であるとともに、複数の物品のクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚7と搬出口8との間の移動距離を小さくすることが可能である棚7に物品が配置される。そのため、たとえば、クラスタに含まれる物品の種類に対して、搬出口8からY方向に離れた第24の棚7に複数の物品を配置する空きがない場合は、第23の棚7に配置される。これにより、第3の最適化処理を行う際の初期配置となる第2の物品配置が作成される。
【0034】
図6に示すように、発送される頻度が1番高い物品が含まれるクラスタを搬出口8に近い棚7に配置する。そして、
図7に示すように、
図6で配置されなかった物品の中で頻度の高い物品を含むクラスタを搬出口8からの総移動距離が短くなるように配置する。そして
図8に示すように、
図6および
図7で配置されなかった物品の中で頻度の高い物品を含むクラスタを搬出口8からの総移動距離が短くなるように配置する。これを繰り返して、
図9のような第1例の第2の物品配置が作成される。この場合、1つのクラスタに含まれる物品の数が多い場合に、総移動距離が短くすることが可能な空いている棚7に列に沿って配置することができない場合は、クラスタに含まれる複数の物品を列に沿って並べて配置可能であるとともに、複数の物品のクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚7と搬出口8との間の移動距離を小さくすることが可能である棚7の位置に物品を配置する。
【0035】
(第3の最適化処理)
図10および
図11に基づいて、第3の最適化処理について説明する。第1実施形態では、1つの第2の物品配置に基づいて第3の最適化処理を行う。
【0036】
図10に基づいて、遺伝的アルゴリズムについて説明する。なお、
図10では、1つの棚7を正方形で表し、正方形内の小文字は、物品a、物品b・・・物品jを表している。つまり、
図10では、10個の物品が配置されている棚7の例を示している。まず、第1段階として、基準となる第2の物品配置の複数の異なる物品の配置を互いに入れ替えて、複数パターンの組換物品配置を作成する。
図10の場合、基準の第2物品配置の物品eと物品jとの位置を入れ替えて、第1組換物品配置を作成する。次に、基準の第2物品配置の物品dと物品jとの位置を入れ替えて、第2組換物品配置を作成する。このように、異なる棚の基準の第2の物品配置の物品の配置を入れ替えることを繰り返し、xパターンの組換物品配置を作成する。作成する数xは、たとえば、19パターン作成し、物品の配置の入れ替え前の第2の物品配置と合わせて、20パターンの物品配置を作成する。
【0037】
第2段階として、入れ替え前の第2の物品配置および入れ替え後の第2の物品配置の各々について、物品配置におけるピッキングリストに記載されている物品を全部ピッキングした場合の総移動距離を算出する。算出結果に基づき、総移動距離が小さい順に複数パターンの物品配置パターンを選択する。たとえば、第1段階で20パターンの物品配置が作成された場合、20パターンの物品配置から10パターンの物品配置を選択する。そして、第3段階として、第2段階で選択された物品配置における物品の配置を互いに入れ替えて、複数パターンの新規組換物品配列を作成する。新規に作成する数は、たとえば、10パターン作成し、第2段階で選択された棚配列と合わせて、20パターンの物品配列とする。そして、第2段階に戻って、すべての物品配列において、物品配置におけるピッキングリストに記載されている物品を全部ピッキングした場合の総移動距離を各々算出する。そして、総移動距離が小さい順に10パターンの物品配置を選択し、第3段階に進む。このように、第2段階と第3段階とを繰り返して、第3の最適化処理を行う。
【0038】
第1実施形態では、一の物品配置内における全部の棚7の間で遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の棚7に対する配置を変更するのではなく、一の物品配置内における一部の棚7の間で遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の棚7に対する配置を変更する第3の最適化処理を行う。より好ましくは、
図2に示す搬出口8から最も遠い第1の棚7と第2の棚7との間で遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の棚7に対する配置を変更する。そして、第1の列と第2の列との間で遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の棚7に対する配置を変更して、総移動距離が小さい物品配置を作成し、所定の条件を満たした場合に第1の棚7と第2の棚7との間の配置の入れ替えを終了し、第1の棚7と第2の棚7との間の配置の入れ替えで作成した物品配置を引き継いで、第2の棚7と第3の棚7との間において配置の入れ替えを開始する。所定の条件は、たとえば、総移動距離が変わらなくなった(あまり小さくならない)段階または所定回数行った段階である。引き継ぐ物品配置は、総移動距離が最短の物品配置だけでもよく、総移動距離が最短の物品配置を複数の物品配置でもよい。これを繰り返し、搬出口8に近い列(
図2では、第24列)の棚7と、搬出口8に2番目に近い列(
図2では、第23列)の棚7との間で配置の入れ替えが完了した時点で、
図11に示す第3の物品配置が作成される。
【0039】
(物品配置の最適化方法)
図12および
図13に基づいて、物品配置の最適化処理を説明する。ステップS11として、サーバ6からピッキングリストを取得する。ピッキングリストには、複数の発送先と、発送される複数の物品と、複数の物品の発送数量とが含まれる。
【0040】
ステップS12として、ピッキングリストに基づいて倉庫100に配置された複数の棚7のうち、搬出口8に近い棚7から複数の物品を順次配置する第1の最適化処理を行い、第1の物品配置を作成する。
【0041】
ステップS13として、ピッキングリストに基づいてクラスタリング(分類)を行い、同じ発送先に発送される頻度が高い複数の物品からなるクラスタを取得する。
【0042】
ステップS14として、クラスタに基づいて第1の物品配置から複数の物品の棚7に対する配置を変更する第2の最適化処理を行い、第2の物品配置を作成する。
【0043】
ステップS15では、第2の物品配置から遺伝的アルゴリズムに基づいて棚7に対する配置を変更する第3の最適化処理を行い、第3の物品配置を作成する。
【0044】
図13に示すように、第3の最適化処理としては、まずステップS21として、遺伝的アルゴリズムに基づいて物品の棚7に対する配置を入れ替える。具体的には、遺伝的アルゴリズムに基づいて複数の物品が配置される一部の棚7の間で物品を入れ替えた複数パターンの物品配置を作成する。このとき、搬出口8から最も遠い第1の棚7と、第2の棚7との入れ替えから行われる。
【0045】
ステップS22では、物品を入れ替えた各パターンの総移動距離が算出される。総移動距離とは、ピッキングリストに記載されている全発送先の物品をピッキングし終わるまでに倉庫100内を移動した距離の合計である。
【0046】
ステップS23では、ステップS22で算出された総移動距離が小さいパターンを複数パターン選択し、最適な物品配置を選択する。選択した複数パターンを引き継いで、第2の列と第3の列との間で入れ替えを行い、搬出口8に近い棚7までステップS21からステップS23を繰り返す(ステップS24のNO)。そして、搬出口8に近い棚7まで入れ替えを行った(ステップS24のYES)後、第3の物品配置が作成される。
【0047】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の効果について説明する。
【0048】
第1実施形態では、上記のように、プロセッサ2は、ピッキングリストに基づいて、搬出口8に近い棚7から複数の物品を順次配置する第1の最適化処理によって、第1の物品配置を作成する。これにより、搬出口8に近い棚7から順次物品が配置されるため、物品をピッキングする際の搬出口8から棚7までの移動距離を短くすることができる。また、同じ複数の発送先に発送される頻度が高い複数の物品からなるクラスタを取得して、クラスタに基づいて第1の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理によって、第2の物品配置を作成する。これにより、同じ複数の発送先に発送される頻度が高い物品を近い棚7に配置することができるため、ピッキングする際の移動距離を小さくすることができる。また、複数の物品の配置を互いに入れ替えて演算する遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理によって、第3の物品配置を作成するように構成されていることにより、第2の最適化処理により最適化された状態で遺伝的アルゴリズムを使用するため、少ない試行回数において適した物品配置を作成することができる。この結果、ピッキングしやすい適した物品配置を容易に作成することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、プロセッサ2は、第1の最適化処理において、所定の条件に基づいて、物品の収集される頻度を含む条件に基づいて、搬出口8に近い配置部から複数の物品を順次配置して、第1の物品配置を作成するように構成されている。これにより、収集頻度の高い商品から順番に搬出口8に近い位置に配置することができるため、ピッキングしやすい物品配置を作成することができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、プロセッサ2は、第3の最適化処理において、収集作業時に合わせて収集される複数の物品を配置部からピッキングする際の合計の移動距離が短くなるように第3の物品配置を作成するように構成されている。これにより、総移動距離が短いため、短時間ですべての物品をピッキングすることが可能なピッキングしやすい物品配置を作成することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、物品は、複数の物品を配置可能であるとともに、水平方向において所定の間隔を隔てて配置されている、複数の配置部である複数の棚7に配置されており、配置作成部は、複数の物品が配置される複数の棚7を、第1の最適化処理と、第2の最適化処理と、第3の最適化処理とによって変更することにより第3の物品配置を作成するように構成されている。これにより、水平方向において所定の間隔を隔てて倉庫100などに配置されている棚7に対する物品のピッキングしやすい物品配置を容易に作成することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、プロセッサ2は、第2の最適化処理において、ピッキングされる頻度の大きい基準物品と合わせて収集される頻度の高い複数の物品からなるクラスタを取得し、取得されたクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚7と基準物品が配置される棚7との間の移動距離が小さくなるように物品のクラスタに含まれる物品を配置することによって、第3の最適化処理を行う際の初期配置となる第2の物品配置を作成するように構成されている。これにより、最もピッキングされる頻度が高い基準物品が搬出口8に最も近い棚7に配置されることにより、搬出口8と基準物品が配置された棚7とを往復する移動距離を小さくすることができる。また、基準物品と合わせて収集される頻度の高い複数の物品からなるクラスタを取得し、取得されたクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚7と基準物品が配置される棚7との間の移動距離が小さくなるように物品のクラスタに含まれる物品を配置するように構成されているため、ピッキング頻度の高い基準物品と関連性の高い物品を短い移動距離でピッキングすることができる。
【0053】
また、第1実施形態では、上記のように、プロセッサ2は、第2の最適化処理において、複数の物品のクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚7と搬出口8との間の移動距離を小さくすることが可能である棚7の位置に物品を配置して、第2の物品配置を作成するように構成されている。これにより、複数の物品のクラスタに含まれる複数の物品が配置される棚7と搬出口8との間の移動距離を小さくすることにより、物品をピッキングする際の総移動距離を小さくすることができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、プロセッサ2は、第3の最適化処理として、遺伝的アルゴリズムに基づいて複数の物品が配置される一部の棚7の間で物品を入れ替えた複数パターンの物品配置を作成し、複数パターンの物品配置から搬出口8から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置のパターンを選択し、選択したパターンの物品配置の間でさらに物品の入れ替えを行い、さらに搬出口8から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することにより、第2の物品配置から第3の物品配置を作成するように構成されている。これにより、遺伝的アルゴリズムを用いる範囲を一部の棚7に狭めることにより、全部の棚7の間で入れ替える場合と異なり、組み替える物品配置のパターンを少なくすることができる。このため、短時間で組み替えた物品配置を作成することができるとともに、短時間で組み替えた物品配置から総移動距離がより短い物品配置を最適な配置を選択することができる。この結果、総移動距離の短い最適な物品配置を容易に作成することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、プロセッサ2は、第3の最適化処理において、搬出口8から最も離れた第1の棚7と、第1の棚7に対して搬出口8とは反対側に隣り合う第2の棚7との間で入れ替えを行うとともに、搬出口8から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することを繰り返し、所定条件を満たした場合に、第2の棚7と、第1の棚7とは反対側において、第2の棚7に隣り合う第3の棚7との入れ替えを行い、搬出口8から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することにより、第2の物品配置から第3の物品配置を作成するように構成されている。これにより、第1の最適化処理および第2の最適化処理により第1の棚7に配置された物品(たとえば、最もピッキング頻度の大きい物品と合わせて収集される頻度が低い物品)であっても、移動距離を小さくすることが可能であれば、配置の入れ替えを繰り返していくことに伴い搬出口8により近い位置に配置される。この結果、物品配置をさらに最適化することができる。また、搬出口8から短い移動距離で複数の物品をピッキング可能な物品配置を選択することを繰り返し、所定条件を満たした場合に第2の棚7と、第2の棚7に隣り合う第3の棚7との入れ替えを行うことにより、入れ替えの回数が過度に大きくなることを抑制しつつ、最適な物品配置を選択することができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、
図9および
図13~
図19を参照して、第2実施形態による物品配置の最適化方法について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、第2の物品配置を複数作成する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0057】
第2実施形態では、複数の第2の物品配置を作成する。
図9に示す第2の物品配置に加えて、
図13~
図18に示す第2の物品配置を作成する場合、ハミング距離を用いたクラスタリングを行い、評価する場合の閾値ntを
図9に示す第1例の物品配置を作成する場合とは異なる値に各々変更する。なお、閾値ntを大きくするほど、基準物品と合わせて収集される頻度が高い物品に限定されるため、1つのクラスタに含まれる物品の数が少なくなり、作成されるクラスタの数が多くなる。作成する第2の物品配置は、2以上であれば特に数は限定されないが、第2の物品配置が過多になると第3の最適化処理が煩雑になるため、好ましくは、10以下がよい。
【0058】
図19に基づいて、第3の最適化処理について説明する。
図19では、
図9に示す棚配置全体を、8個の長方形で表し、第2の物品配置1としている。同様に、
図13に示す棚配置全体を、8個の長方形で表し、第2の物品配置2としている。同様に、
図14に示す棚配置全体を、8個の長方形で表し、第2の物品配置3としている。
【0059】
第3の最適化処理の第1段階として、複数の第2の物品配列から複数の新規物品配置を作成する。新規物品配置の作成は、1つの第2の物品配置内の複数の棚7に対する物品の配置を互いに入れ替えて行う場合と、2つの第2の物品配置内の棚7の物品の配置を入れ替える場合とのうち少なくとも一方を用いられる。なお、1つの第2の物品配置内の複数の棚7に対する物品の配置を互いに入れ替えて行う場合は、第1実施例と同様に、一の物品配置内における全部の棚7の間で遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の棚7に対する配置を変更するのではなく、一の物品配置内における一部の棚7の間で遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の棚7に対する配置を変更する第3の最適化処理を行うのが好ましい。より好ましくは、
図2に示す搬出口8から最も遠い第1の棚7と第2の棚7との間で遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の棚7に対する配置を変更する。
図19では、ハッチングを変えることにより、入れ替えが行われたことを表す。入れ替えは、作成した第2の物品配置全てで行うか、一部の第2の物品配置に対して行う。
【0060】
第2段階として、入れ替え前の第2の物品配置および入れ替え後の第2の物品配置の各々について、物品配置におけるピッキングリストに記載されている合わせてピッキングされる物品を全部ピッキングした場合の総移動距離を算出する。そして、算出結果に基づき、総移動距離が小さい順に複数の物品配置を選択する。第2段階に戻り、第3段階で選択された複数パターンの第2の物品配置における棚7に対する物品の配置を互いに入れ替えて、複数パターンの物品配列を作成する。第3段階に進み、物品配置におけるピッキングリストに記載されている合わせてピッキングされる物品を全部ピッキングした場合の総移動距離を各々算出する。そして、総移動距離が小さい順に複数パターンの物品配置を選択する。このように、第2段階と第3段階とを繰り返して、第3の最適化処理を行う。
【0061】
また、第2実施形態によるその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0062】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
第2実施形態では、プロセッサ2は、ピッキングリストに基づいて、搬出口8に近い棚7から複数の物品を順次配置する第1の最適化処理によって、第1の物品配置を作成する。これにより、搬出口8に近い棚7から順次物品が配置されるため、物品をピッキングする際の搬出口8から棚7までの移動距離を短くすることができる。また、同じ複数の発送先に発送される頻度が高い複数の物品からなるクラスタを取得して、クラスタに基づいて第1の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第2の最適化処理によって、第2の物品配置を作成する。これにより、同じ複数の発送先に発送される頻度が高い物品を近い棚7に配置することができるため、ピッキングする際の移動距離を小さくすることができる。また、複数の物品の配置を互いに入れ替えて演算する遺伝的アルゴリズムに基づいて第2の物品配置から複数の物品の配置部に対する配置を変更する第3の最適化処理によって、第3の物品配置を作成するように構成されていることにより、第2の最適化処理により最適化された状態で遺伝的アルゴリズムを使用するため、少ない試行回数において適した物品配置を作成することができる。この結果、ピッキングしやすい適した物品配置を容易に作成することができる。
【0064】
また、第2実施形態によるその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0065】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0066】
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、説明の便宜上、コンピュータの処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コンピュータの処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0067】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、配置部が棚である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、配置部が、搬送用のパレットでもよい。
【0068】
また、上記実施形態第1実施形態および第2実施形態では、遺伝的アルゴリズムに基づいて第1の棚と第2の棚との間で入れ替える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、遺伝的アルゴリズムに基づいて、第1の棚と、第2の棚と第3の棚と第4の棚との間で入れ替えを行ってもよい。
【0069】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、複数の棚は、複数の列状に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の棚は、たとえば、円形状の棚が、所定間隔を隔てて配置されていてもよい。
【0070】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、物品が発送される発送品である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、物品は、製品を製造する際に使用される複数の部品であってもよい。この場合、発送頻度ではなく、物品が使用される製品の数に基づいた使用頻度に基づいて、第1の物品配置が取得されてもよい。
【0071】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、第1の物品配置を作成する条件が、物品の収集される頻度を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1の物品配置を作成する条件は、たとえば、物品の重量を含んでいてもよく、重量の大きい物から搬出口に近い棚に配置されてもよい。
【0072】
また、物品が、製品を製造する際に使用される複数の部品である場合に、第2の最適化処理においては、基準物品とある物品とが同じ製品に使用されるか否かに基づいてクラスタリングが行われてもよい。具体的には、基準物品とある物品とがある製品にともに使用される場合と、基準物品とある物品とがともにある製品に使用されない場合とを1とし、一方が使用されて他方が使用されない場合は、0として、ハミング距離を用いてクラスタリングを行ってもよい。
【0073】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、全ての棚に対して第3の最適化処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、搬出口に最も近い棚と、搬出口に最も遠い棚との中間に位置する棚まで第3の最適化処理を行った段階で第3の最適化処理を終了してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 コンピュータ
3a プログラム
7 棚(配置部)