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  • 特開-端子台 図1
  • 特開-端子台 図2
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  • 特開-端子台 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140571
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/22 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01R9/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051759
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 賢太
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086DD05
5E086DD33
5E086DD34
5E086DD35
5E086DD49
5E086LL06
5E086LL16
(57)【要約】
【課題】汎用性の高い端子台を提供する。
【解決手段】端子台1は、ケースと、ケースに固定された第1ボルト4及び第2ボルト4と、ナット5と、ケースに収容された金属板6と、を備えている。第1ボルト4の軸部と第2ボルト4の軸部とは、金属板6に形成された貫通孔を通されて金属板6の表面から垂直に立設しているとともに、互いに平行に立設している。第1ボルト4及びナット5は、第1電線の端末に接続された端子9を金属板6と共締め固定するものである。第2ボルト4及びナット5は、第2電線の端末に接続された端子9を金属板6と共締め固定するものである。ケースは、第1電線を当該ケース外に導出する第1導出路21と、第2電線を当該ケース外に導出する複数の第2導出路22,23,24と、を備えている。第2電線は、複数の第2導出路22,23,24の何れか1つから導出される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに固定された第1ボルト及び第2ボルトと、
前記第1ボルト及び前記第2ボルトにそれぞれ締結されるナットと、
前記ケースに収容された金属板と、を備え、
前記第1ボルトの軸部と前記第2ボルトの軸部とが、前記金属板に形成された貫通孔を通されて前記金属板の表面から垂直に立設しているとともに、互いに平行に立設しており、
前記第1ボルト及び前記ナットは、第1電線の端末に接続された端子を前記金属板と共締め固定するものであり、
前記第2ボルト及び前記ナットは、第2電線の端末に接続された端子を前記金属板と共締め固定するものであり、
前記ケースが、前記第1電線を当該ケース外に導出するための第1導出路と、前記第2電線を当該ケース外に導出するための複数の第2導出路と、を備え、
前記第2電線が前記複数の第2導出路の何れか1つから導出可能なように形成されている
ことを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記第1導出路を1つのみ備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記ケースが、被固定部に固定可能な同一形状かつ同一サイズの第1固定部及び第2固定部を備え、
前記第1固定部及び前記第2固定部は、弾性変形可能な係止片を備え、
前記第1固定部の係止片の撓み方向と前記第2固定部の係止片の撓み方向とが直交するように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項4】
前記複数の第2導出路の出口をそれぞれ開閉可能な複数の蓋を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線接続用の端子台には様々な構造のものがある(例えば特許文献1を参照)が、その一例として、図4に示すものがある。図4に示す端子台501は、自動車に配索された電線の中継を行うものであり、ケース502と、第1ボルト504aと、第2ボルト504bと、金属板506と、を備えている。
【0003】
第1ボルト504aは、第1電線の端末に接続された端子を金属板506と共締め固定するものである。図4中の矢印D11は、前記第1電線の取り出し方向を表している。第2ボルト504bは、第2電線の端末に接続された端子を金属板506と共締め固定するものである。図4中の矢印D12は、前記第2電線の取り出し方向を表している。前記第1電線と前記第2電線は、各端子及び金属板506を介して電気接続される。
【0004】
ケース502は、車体に固定される固定部525を備えている。固定部525は、車体の一部として形成されたブラケットが差し込まれる差し込み口と、該差し込み口内に設けられ、前記ブラケットに係止する係止片と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-9773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記端子台501以外にも、車両毎の搭載条件に合わせるため、様々な形状の端子台が存在する。即ち、端子台の形状は車両毎の電線配索経路に影響されやすく、一品一葉となることが多い。例示した上記端子台501も、電線の取り出し方向が1方向に限定されており、汎用性が低かった。
【0007】
そこで、本発明は、汎用性の高い端子台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ケースと、前記ケースに固定された第1ボルト及び第2ボルトと、前記第1ボルト及び前記第2ボルトにそれぞれ締結されるナットと、前記ケースに収容された金属板と、を備え、前記第1ボルトの軸部と前記第2ボルトの軸部とが、前記金属板に形成された貫通孔を通されて前記金属板の表面から垂直に立設しているとともに、互いに平行に立設しており、前記第1ボルト及び前記ナットは、第1電線の端末に接続された端子を前記金属板と共締め固定するものであり、前記第2ボルト及び前記ナットは、第2電線の端末に接続された端子を前記金属板と共締め固定するものであり、前記ケースが、前記第1電線を当該ケース外に導出するための第1導出路と、前記第2電線を当該ケース外に導出するための複数の第2導出路と、を備え、前記第2電線が前記複数の第2導出路の何れか1つから導出可能なように形成されていることを特徴とする端子台である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の端子台は、電線の取り出し方向を選択できるので、様々な電線配索経路に幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる端子台の斜視図である。
図2図1の端子台のカバーを外した状態を示す斜視図である。
図3図2の端子台の使用方法を説明する説明図である。
図4】従来の端子台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる「端子台」について、図1~3を参照して説明する。
【0012】
図1,2に示す端子台1は、自動車に配索された電線の中継を行うものであり、車体の一部として形成されたブラケット(被固定部)に固定される。端子台1は、ケース11と、ケース11に固定された第1ボルト4及び第2ボルト4と、第1ボルト4及び第2ボルト4にそれぞれ締結されるナット5と、ケース11に収容された金属板6と、を備えている。
【0013】
ケース11は、ケース本体2と、ケース本体2の上面2aに取り付けられるカバー3と、を備えている。ケース本体2及びカバー3は、絶縁性の合成樹脂で形成されている。カバー3は、図1に示すように、浅い箱状の本体部30と、ケース本体2の係止部26に係止する係止部36と、を備えている。
【0014】
ケース本体2は、上面2aと、底面2bと、側面2c,2d,2e,2fと、を備えたブロック状に形成されている。側面2eと側面2fとが交わる角部は面取りされており、当該箇所に係止部26が設けられている。また、側面2dにも係止部26が設けられている。これら係止部26は、上述したようにカバー3の係止部36に係止する。
【0015】
ケース11は、ケース本体2の上面2aから凹に形成された収容部20と、1つの第1導出路21と、3つの第2導出路22,23,24と、を備えている。
【0016】
収容部20には、第1ボルト4及び第2ボルト4が固定され、金属板6が収容されている。金属板6は、長方形板状に形成されており、貫通孔が2つ形成されている。第1ボルト4及び第2ボルト4は、同一形状かつ同一サイズであり、頭部と軸部を備えている。本明細書では、説明の便宜上、ケース本体2の側面2d側に位置したボルト4を第1ボルト4とし、ケース本体2の側面2f側に位置したボルト4を第2ボルト4と呼称する。第1ボルト4の頭部と第2ボルト4の頭部とは、ケース本体2の樹脂内に埋設されている。第1ボルト4の軸部と第2ボルト4の軸部とは、金属板6に形成された各貫通孔を通されて金属板6の表面からカバー3側に垂直に立設しているとともに、互いに平行に立設している。
【0017】
第1ボルト4及びこれに締結されるナット5は、第1電線の端末に接続された端子9を金属板6と共締め固定するものである。第2ボルト4及びこれに締結されるナット5は、第2電線の端末に接続された端子9を金属板6と共締め固定するものである。前記第1電線と前記第2電線は、各端子9及び金属板6を介して電気接続される。各端子9は、図3に示すように、金属板6に重ねられ、ボルト4の軸部が通される環状接続部91と、電線の芯線に圧着される電線接続部92と、を備えた丸形端子である。
【0018】
第1導出路21は、第1電線をケース11外に導出するためのものであり、3つの第2導出路22,23,24は、第2電線をケース11外に導出するためのものである。第2電線は、3つの第2導出路22,23,24の何れか1つから導出される。図3中の矢印D1は、第1導出路21から導出される第1電線の取り出し方向を表している。図3中の矢印D2は、第2導出路22から導出される第2電線の取り出し方向を表している。図3中の矢印D3は、第2導出路23から導出される第2電線の取り出し方向を表している。図3中の矢印D4は、第2導出路24から導出される第2電線の取り出し方向を表している。なお、図3は、第1電線が第1導出路21から導出され、第2電線が第2導出路22から導出される場合の各端子9のみを表している。
【0019】
第1導出路21は、収容部20から側面2d,2fと平行に延び、側面2cに出口が形成されている。第2導出路22は、収容部20から第1導出路21と平行に延び、側面2cに出口が形成されている。第1導出路21は側面2d寄りに配置されており、第2導出路22は側面2f寄りに配置されている。第1導出路21と第2導出路22との間には仕切り壁29が介在している。第2導出路23は、収容部20から側面2c,2eと平行に延び、側面2fに出口が形成されている。即ち、第2導出路23は、第1導出路21及び第2導出路22に対し直角に延びている。第2導出路24は、収容部20から側面2d,2fと平行に延び、側面2eに出口が形成されている。即ち、第2導出路24は、第2導出路22と180°逆方向に延びている。ケース本体2にカバー3が取り付けられることにより、第1導出路21及び第2導出路22,23,24は、それぞれ、4面の壁で囲まれた通路となる。
【0020】
また、端子台1は、各第2導出路22,23,24の出口をそれぞれ開閉可能な3つの蓋27を備えている。本例では、部品点数を減らすため、各蓋27が、弾性変形可能な薄肉ヒンジ27aを介してケース本体2に連なっている。即ち、薄肉ヒンジ27aと蓋27がケース本体2に一体成形されている。また、各蓋27には係止孔27bが形成されており、ケース本体2の各側面2c,2e,2fには、係止孔27bに係止可能な係止爪28a,28bが形成されている。係止爪28aは、開放位置に位置付けられた蓋27の係止孔27bに係する。係止爪28bは、閉鎖位置に位置付けられた蓋27の係止孔27bに係止する。図1~3に示す例では、使用する第2導出路22の出口を開放し、使用しない第2導出路23,24の出口を閉鎖している。
【0021】
また、ケース本体2は、車体のブラケットに固定可能な第1固定部25及び第2固定部25を備えている。第1固定部25及び第2固定部25は、同一形状かつ同一サイズに形成されており、ブラケットが差し込まれる差し込み口25aと、該差し込み口25a内に設けられ、ブラケットに係止する係止片25bと、を備えている。係止片25bは、弾性変形可能な爪形状に形成されている。第1固定部25は、側面2dと側面2eとが交わった角部近傍に設けられており、第2固定部25は、側面2cと側面2fとが交わった角部近傍に設けられている。また、第2ボルト4はケース本体2の中心部に配置されており、第1固定部25及び第2固定部25は、互いの間に第2ボルト4を位置付けている。
【0022】
図3中の矢印D5は、第1固定部25の差し込み口25aにブラケットが差し込まれる際の係止片25bの撓み方向を表している。図3中の矢印D6は、第2固定部25の差し込み口25aにブラケットが差し込まれる際の係止片25bの撓み方向を表している。図3に示すように上から見て、矢印D5と矢印D6とは直交する。
【0023】
このような端子台1は、第2電線の導出路を3つの第2導出路22,23,24の中から1つ選択することができる。また、端子台1を回転させて使用する(端子台1の車体への取り付け方向を変更する)ことにより、第1電線及び第2電線の取り出し方向の選択肢を増やすことができる。また、端子台1は、上述した第1固定部25及び第2固定部25を備えているので、車両毎のブラケット配置に応じて取り付け方向が選択可能である。これらの構成により、端子台1は、様々な車種に幅広く適用することができる。
【0024】
また、本例の端子台1は、第1電線の導出路である第1導出路21を1つのみ備えている。例えば、片方の電線を端子台1の製造工場にて端子台1に接続し、後から他方の電線を自動車組み立て工場にて端子台1に接続するような場合がある。このような場合、導出路が1つのみの第1電線を自動車組み立て工場にて端子台1に接続するようにすることで、自動車組み立て工場での誤組み付け(電線取り付け方向間違い)を抑制できる。
【0025】
また、上述した実施形態では、ケースに第2導出路が3つ形成されていたが、本発明においては、ケースに形成される第2導出路が2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、本発明においては、ケースに複数の第1導出路が形成されていてもよい。
【0026】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 端子台
2 ケース本体
3 カバー
4 ボルト(第1ボルト、第2ボルト)
5 ナット
6 金属板
9 端子
11 ケース
21 第1導出路
22,23,24 第2導出路
図1
図2
図3
図4