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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140581
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】スタッド溶接ユニット
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/20 20060101AFI20241003BHJP
   B25J 9/06 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
B23K9/20 D
B25J9/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051772
(22)【出願日】2023-03-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年 7月13日 下記ウェブサイトを通じて公開 「https://www.daihen-robot.com/event/jiws2022/」 「https://www.daihen-robot.com/event/jiws2022/pdf/jp/panel11.html?utm_source=LP&utm_medium=panel11_jp&utm_campaign=jiws2022」 「https://www.daihen-robot.com/event/jiws2022/pdf/jp/presentation11.html?utm_source=LP&utm_medium=presentation11_jp&utm_campaign=jiws2022」 「https://www.daihen-robot.com/event/jiws2022/movie/movie11.html」 令和4年 7月13日~7月16日 2022国際ウエルディングショー(東京ビッグサイト)にて公開 令和4年11月14日 下記ウェブサイトを通じて公開 「https://www.daihen.co.jp/newinfo_2022/news_221114.html」 令和4年11月15日 株式会社日刊工業新聞社発行「日刊工業新聞令和4年11月15日付、第1面」で公開 令和4年11月22日 産報出版株式会社発行「溶接ニュース令和4年11月22日付、第5面」で公開 令和4年11月28日 新報株式会社発行「溶接新報令和4年11月28日付、第3面」で公開 令和5年 1月 1日 下記ウェブサイトを通じて公開 「https://www.daihen.co.jp/products/welder/pdf/stud/VRN1200_GSK221-2.pdf」 令和5年 2月27日 新報株式会社発行「溶接新報令和5年2月27日付、第8面」で公開 令和5年 2月28日 株式会社鋼構造出版「鉄構技術令和5年2月28日付、第36巻通巻418号、第63頁」で公開
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 佑記
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS10
(57)【要約】
【課題】グリップ部からケーブルが延びるハンドタイプのスタッド溶接装置として使用することが可能で、かつ、自動機で使用する際におけるケーブルと自動機との干渉の抑制と、自動機に作用するモーメントの低減と、の双方を達成することが可能なスタッド溶接ユニットを提供すること。
【解決手段】スタッド溶接ユニット1であって、ソレノイドコイルと駆動軸部とチャック130と付勢部材とを含む本体部100と、ケーブル200と、スイッチユニット300と、ハンド用ケース400と、自動機用ケース500と、を備える。ハンド用ケースは、本体部収容部410と、グリップ部420と、を有する。自動機用ケース500は、本体部収容部510と、ケーブル収容部520と、を有する。本体部収容部510の長手方向と直交する直交方向におけるケーブル収容部520の長さは、直交方向におけるグリップ部420の長さよりも短い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドコイルと、前記ソレノイドコイルへの通電時に前記ソレノイドコイルに向けて吸引される駆動軸部と、前記駆動軸部に接続されておりスタッドを保持することが可能なチャックと、前記駆動軸部を前記ソレノイドコイルから離間する向きに付勢する付勢部材と、を含む本体部と、
前記本体部に接続されたケーブルと、
前記ケーブルに対して着脱自在に接続可能であり、前記ソレノイドコイルへの通電とその停止とを切り替え可能なスイッチユニットと、
前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルと、前記ケーブルの一部と、前記スイッチユニットと、を収容するハンド用ケースと、
前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルと、前記ケーブルの一部と、を収容する自動機用ケースと、を備え、
前記本体部は、前記駆動軸部の軸方向に長く延びる形状を有し、
前記ハンド用ケースは、
前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルを収容する本体部収容部と、
前記本体部収容部の長手方向と交差する方向に前記本体部収容部から延びる形状を有し、作業者が把持することが可能なグリップ部と、を有し、
前記グリップ部は、前記本体部収容部の長手方向と交差する方向に前記ケーブルが延びるように当該ケーブルの一部を収容するとともに、前記スイッチユニットを収容することが可能であり、
前記自動機用ケースは、
前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルを収容する本体部収容部と、
前記本体部収容部の長手方向と平行な向きに前記ケーブルが延びるように当該ケーブルの一部を収容するケーブル収容部と、を有し、
前記本体部収容部の長手方向と直交する直交方向における前記ケーブル収容部の長さは、前記直交方向における前記グリップ部の長さよりも短い、スタッド溶接ユニット。
【請求項2】
前記ケーブルは、
前記ソレノイドコイルに電気的に接続されたコイルラインと、
前記チャックに電気的に接続された給電ラインと、を有し、
前記給電ラインは、
前記グリップ部内又は前記ケーブル収容部内に配置される内側配線部と、
前記内側配線部につながっており、前記グリップ部又は前記ケーブル収容部の外側に配置される外側配線部と、を有し、
前記内側配線部は、前記外側配線部の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有する、請求項1に記載のスタッド溶接ユニット。
【請求項3】
前記ハンド用ケースにおける前記本体部収容部は、当該本体部収容部の長手方向と前記本体部収容部及び前記グリップ部の並び方向との双方と直交する幅方向における両側に形成された側壁を含み、
前記自動機用ケースにおける前記本体部収容部は、当該本体部収容部の長手方向と前記本体部収容部及び前記ケーブル収容部の並び方向との双方と直交する幅方向における両側に形成された側壁を含み、
前記自動機用ケースにおける前記側壁は、前記ハンド用ケースにおける前記側壁の剛性よりも高い剛性を有する、請求項1又は2に記載のスタッド溶接ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スタッド溶接ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007-209990号公報には、ハンドタイプのスタッド溶接装置が開示されている。このスタッド溶接装置は、電磁コイルや駆動主軸を収容する本体ハウジングと、本体ハウジングに接続されたグリップ部と、を有し、グリップ部内に配置されたケーブルは、グリップ部の下端部から延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-209990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタッド溶接の作業は、ロボット等の自動機によって行われる場合がある。そこで、特開2007-209990号公報に記載されるようなスタッド溶接装置を自動機に保持させた状態で、自動機によって溶接作業を行うことが考えられる。
【0005】
スタッド溶接の作業は、下向きにスタッドを溶接する姿勢で作業される場合が多いため、上記スタッド溶接装置を自動機に取り付けた場合、グリップ部から延びるケーブルが自動機と干渉する懸念がある。また、自動機によって本体ハウジングを保持して作業する場合、グリップ部及びその内側に配置された部品の重量に起因するモーメントが自動機に作用するため、操作性が損なわれる懸念がある。
【0006】
本開示の目的は、グリップ部からケーブルが延びるハンドタイプのスタッド溶接装置として使用することが可能で、かつ、自動機で使用する際におけるケーブルと自動機との干渉の抑制と、自動機に作用するモーメントの低減と、の双方を達成することが可能なスタッド溶接ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に従ったスタッド溶接ユニットは、ソレノイドコイルと、前記ソレノイドコイルへの通電時に前記ソレノイドコイルに向けて吸引される駆動軸部と、前記駆動軸部に接続されておりスタッドを保持することが可能なチャックと、前記駆動軸部を前記ソレノイドコイルから離間する向きに付勢する付勢部材と、を含む本体部と、前記本体部に接続されたケーブルと、前記ケーブルに対して着脱自在に接続可能であり、前記ソレノイドコイルへの通電とその停止とを切り替え可能なスイッチユニットと、前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルと、前記ケーブルの一部と、前記スイッチユニットと、を収容するハンド用ケースと、前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルと、前記ケーブルの一部と、を収容する自動機用ケースと、を備え、前記本体部は、前記駆動軸部の軸方向に長く延びる形状を有し、前記ハンド用ケースは、前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルを収容する本体部収容部と、前記本体部収容部の長手方向と交差する方向に前記本体部収容部から延びる形状を有し、作業者が把持することが可能なグリップ部と、を有し、前記グリップ部は、前記本体部収容部の長手方向と交差する方向に前記ケーブルが延びるように当該ケーブルの一部を収容するとともに、前記スイッチユニットを収容することが可能であり、前記自動機用ケースは、前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルを収容する本体部収容部と、前記本体部収容部の長手方向と平行な向きに前記ケーブルが延びるように当該ケーブルの一部を収容するケーブル収容部と、を有し、前記本体部収容部の長手方向と直交する直交方向における前記ケーブル収容部の長さは、前記直交方向における前記グリップ部の長さよりも短い。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、グリップ部からケーブルが延びるハンドタイプのスタッド溶接装置として使用することが可能で、かつ、自動機で使用する際におけるケーブルと自動機との干渉の抑制と、自動機に作用するモーメントの低減と、の双方を達成することが可能なスタッド溶接ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態におけるスタッド溶接ユニットを概略的に示す分解斜視図である。
図2】ハンドタイプのスタッド溶接装置の正面図である。
図3】自動機タイプのスタッド溶接装置の正面図である。
図4】自動機タイプのスタッド溶接装置が自動機に保持された状態を概略的に示す斜視図である。
図5図4とは異なる角度における自動機タイプのスタッド溶接装置の斜視図である。
図6】自動機タイプのスタッド溶接装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態におけるスタッド溶接ユニットを概略的に示す分解斜視図である。スタッド溶接ユニット1は、作業者が把持して使用するハンドタイプ(図2に示されるタイプ)のスタッド溶接装置2と、自動機(ロボット)に保持された状態で使用される自動機タイプ(図3に示されるタイプ)のスタッド溶接装置3と、に切り替え可能である。
【0012】
図1図3に示されるように、スタッド溶接ユニット1は、本体部100と、ケーブル200と、スイッチユニット300と、ハンド用ケース400と、自動機用ケース500と、を備えている。
【0013】
本体部100は、ソレノイドコイル110(図2及び図3を参照)と、駆動軸部120(図2及び図3を参照)と、チャック130と、チャックアダプタ140と、付勢部材150(図2及び図3を参照)と、ショックアブソーバ160と、絶縁スリーブ170と、ハウジング180と、を有している。
【0014】
ソレノイドコイル110、駆動軸部120及び付勢部材150は、ハウジング180内に配置されている。ソレノイドコイル110に通電されることにより、駆動軸部120がソレノイドコイル110に向けて吸引される。付勢部材150は、駆動軸部120をソレノイドコイル110から離間する向き(図2における左向き)に付勢している。
【0015】
チャック130は、駆動軸部120に接続されており、スタッドS(図5を参照)を保持することが可能である。チャック130は、チャックアダプタ140を介して駆動軸部120に接続されている。
【0016】
ショックアブソーバ160は、駆動軸部120の軸方向と平行となる姿勢で本体部100に保持されている。ショックアブソーバ160は、オイルを収容したシリンダと、シリンダ内に配置されたロッドと、を含んでいる。
【0017】
絶縁スリーブ170は、駆動軸部120のうち本体部100から突出する部位を包囲している。絶縁スリーブ170は、例えばゴムからなり、蛇腹状に形成されている。
【0018】
ケーブル200は、本体部100に接続されている。ケーブル200は、コイルライン210と、給電ライン220と、コネクタ230と、を有している。
【0019】
コイルライン210は、ソレノイドコイル110に電気的に接続されている。コイルライン210は、ソレノイドコイル110に給電するための配線である。
【0020】
給電ライン220は、チャック130に電気的に接続されている。給電ライン220は、チャック130及びチャック130に保持されたスタッドSに給電するためのラインである。
【0021】
スイッチユニット300は、ケーブル200に対して着脱自在に接続可能であり、ソレノイドコイル110への通電とその停止とを切り替え可能である。スイッチユニット300は、スタッド溶接ユニット1がハンドタイプのスタッド溶接装置2として用いられる場合にケーブル200のコネクタ230に接続される一方、スタッド溶接ユニット1が自動機タイプのスタッド溶接装置3として用いられる場合にコネクタ230から取り外される。
【0022】
スイッチユニット300は、スイッチ本体310と、操作部320と、を有している。スイッチ本体310は、コネクタ230に接続可能に構成されている。操作部320は、スイッチ本体310のオン及びオフの切り替えが可能である。操作部320は、作業者により操作される部位である。
【0023】
ハンド用ケース400は、スタッド溶接ユニット1がハンドタイプのスタッド溶接装置2として使用される場合に用いられる。ハンドタイプのスタッド溶接装置2は、本体部100と、ケーブル200と、スイッチユニット300と、ハンド用ケース400と、を備えている。ハンド用ケース400は、本体部100のハウジング180と、ケーブル200の一部と、スイッチユニット300と、を収容する。ハンド用ケース400は、本体部収容部410と、グリップ部420と、を有している。
【0024】
本体部収容部410は、本体部100のうち少なくともソレノイドコイル110を収容する。本実施形態では、本体部収容部410は、ハウジング180を収容している。本体部収容部410は、概ね円筒状に形成されている。本体部収容部410は、一方向に長く延びる形状を有している。本体部収容部410の後端部(チャック130が位置する側とは反対側の端部)には、リアキャップRCが取り付けられる。
【0025】
本体部収容部410は、側壁412を有している。側壁412は、本体部収容部410のうち幅方向(図2において紙面と直交する方向)における両側に形成されている。幅方向は、本体部収容部410の長手方向(図2における左右方向)と、本体部収容部410及びグリップ部420の並び方向(図2における上下方向)と、の双方と直交する方向である。側壁412には、貫通孔412hが設けられている。この貫通孔412hに挿通された締結ピンPにより、本体部100が本体部収容部410に固定される。
【0026】
グリップ部420は、本体部収容部410の長手方向と交差する方向に本体部収容部410から延びる形状を有している。グリップ部420は、作業者が把持することが可能な部位である。図2に示されるように、グリップ部420は、本体部収容部410の長手方向と交差する方向にケーブル200が延びるように当該ケーブル200の一部を収容するとともに、スイッチユニット300を収容することが可能である。グリップ部420は、スイッチユニット300における操作部320を外部に露出させた状態でスイッチユニット300を収容している。グリップ部420の下端部(本体部収容部410が位置する側とは反対側の端部)には、ケーブル200を挿通させるケーブル挿通孔420hが設けられている。
【0027】
図1に示されるように、ハンド用ケース400のうち側壁412の下部には、レグ12(図4図6を参照)を挿通させるレグ挿通部430が設けられている。
【0028】
自動機用ケース500は、スタッド溶接ユニット1が自動機タイプのスタッド溶接装置3として使用される場合に用いられる。自動機タイプのスタッド溶接装置3は、本体部100と、ケーブル200と、自動機用ケース500と、を備えている。自動機用ケース500は、本体部100のうち少なくともソレノイドコイル110と、ケーブル200の一部と、を収容する。自動機用ケース500は、本体部収容部510と、ケーブル収容部520と、を有している。
【0029】
本体部収容部510は、本体部100のうち少なくともソレノイドコイル110を収容する。本実施形態では、本体部収容部510は、ハウジング180を収容している。本体部収容部510は、概ね円筒状に形成されている。本体部収容部510は、一方向に長く延びる形状を有している。本体部収容部510の後端部には、リアキャップRCが取り付けられる。
【0030】
本体部収容部510は、側壁512を有している。側壁512は、本体部収容部510のうち幅方向(図3において紙面と直交する方向)における両側に形成されている。側壁512には、貫通孔512hが設けられている。この貫通孔512hに挿通された締結ピンPにより、本体部100が本体部収容部510に固定される。
【0031】
図4は、自動機タイプのスタッド溶接装置が自動機に保持された状態を概略的に示す斜視図である。図5は、図4とは異なる角度における自動機タイプのスタッド溶接装置の斜視図である。図6は、自動機タイプのスタッド溶接装置の断面図である。図4図6に示されるように、自動機50は、自動機タイプのスタッド溶接装置3を保持可能な保持部52を有しており、自動機タイプのスタッド溶接装置3における側壁512が保持部52により保持される。保持部52は、幅方向における両側から側壁512を挟持する形状を有している。なお、図6では、本体部100のうちハウジング180内の構造が省略されている。
【0032】
自動機用ケース500における側壁512は、ハンド用ケース400における側壁412の剛性よりも高い剛性を有している。本実施形態では、図1に示されるように、側壁512の厚みt3は、側壁412の厚みt2よりも大きい。
【0033】
ケーブル収容部520は、本体部収容部510の長手方向と平行な向きにケーブル200が延びるように当該ケーブル200の一部を収容する。ケーブル収容部520は、ケーブル収容部520の長手方向と平行な方向に長く延びる形状を有している。ケーブル収容部520には、ケーブル200を挿通させるケーブル挿通孔520hが設けられている。ケーブル収容部520の内面に、補強リブ(図示略)が設けられることが好ましい。
【0034】
図2及び図3に示されるように、本体部収容部510の長手方向と直交する直交方向におけるケーブル収容部520の長さL3は、直交方向におけるグリップ部420の長さL2よりも短い。また、側壁512に設けられた貫通孔512hの中心とケーブル収容部520の下端との間の距離L5は、側壁412に設けられた貫通孔412hの中心とグリップ部420の下端との間の距離L4よりも短い。
【0035】
図1図5及び図6に示されるように、自動機用ケース500のうち側壁512の下部には、レグ12を挿通させるレグ挿通部530が設けられている。レグ挿通部530のうち幅方向におけるレグ12の外側の部位532の厚みは、幅方向におけるレグ12の内側の部位531の厚みよりも大きい。
【0036】
ここで、給電ライン220について詳述する。図1図3に示されるように、給電ライン220は、内側配線部222と、外側配線部224と、を有している。内側配線部222は、グリップ部420内又はケーブル収容部520内に配置される。外側配線部224は、内側配線部222につながっており、グリップ部420又はケーブル収容部520の外側に配置される。内側配線部222は、外側配線部224の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有している。本実施形態では、内側配線部222は、軟銅撚線で構成されている。すなわち、内側配線部222は、外側配線部224よりも柔軟である。
【0037】
以上に説明したように、本実施形態におけるスタッド溶接ユニット1では、ハンドタイプのスタッド溶接装置2を構成する場合、ハンド用ケース400に本体部100、ケーブル200及びスイッチユニット300が収容される。ハンドタイプのスタッド溶接装置2から自動機タイプのスタッド溶接装置3に変更する場合、スイッチユニット300がコネクタ230から取り外され、自動機用ケース500に本体部100及びケーブル200が収容される。このため、ハンドタイプと自動機タイプとが容易に変更可能である。
【0038】
また、直交方向におけるケーブル収容部520の長さL3が直交方向におけるグリップ部420の長さよりも短いため、自動機50がハンドタイプのスタッド溶接装置2を保持した状態で作業する場合に比べ、自動機50が自動機タイプのスタッド溶接装置3を保持した状態で作業する場合に自動機50の保持部52に作用するモーメントが低減される。
【0039】
また、例えばハンドタイプから自動機タイプへの切り替え時、外側配線部224の延びる向きが本体部収容部510の長手方向と平行となるように内側配線部222が曲げられるが、内側配線部222は、外側配線部224の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有しているため、ケーブル収容部520へのケーブル200の配策が容易である。
【0040】
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0041】
[態様1]
ソレノイドコイルと、前記ソレノイドコイルへの通電時に前記ソレノイドコイルに向けて吸引される駆動軸部と、前記駆動軸部に接続されておりスタッドを保持することが可能なチャックと、前記駆動軸部を前記ソレノイドコイルから離間する向きに付勢する付勢部材と、を含む本体部と、
前記本体部に接続されたケーブルと、
前記ケーブルに対して着脱自在に接続可能であり、前記ソレノイドコイルへの通電とその停止とを切り替え可能なスイッチユニットと、
前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルと、前記ケーブルの一部と、前記スイッチユニットと、を収容するハンド用ケースと、
前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルと、前記ケーブルの一部と、を収容する自動機用ケースと、を備え、
前記本体部は、前記駆動軸部の軸方向に長く延びる形状を有し、
前記ハンド用ケースは、
前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルを収容する本体部収容部と、
前記本体部収容部の長手方向と交差する方向に前記本体部収容部から延びる形状を有し、作業者が把持することが可能なグリップ部と、を有し、
前記グリップ部は、前記本体部収容部の長手方向と交差する方向に前記ケーブルが延びるように当該ケーブルの一部を収容するとともに、前記スイッチユニットを収容することが可能であり、
前記自動機用ケースは、
前記本体部のうち少なくとも前記ソレノイドコイルを収容する本体部収容部と、
前記本体部収容部の長手方向と平行な向きに前記ケーブルが延びるように当該ケーブルの一部を収容するケーブル収容部と、を有し、
前記本体部収容部の長手方向と直交する直交方向における前記ケーブル収容部の長さは、前記直交方向における前記グリップ部の長さよりも短い、スタッド溶接ユニット。
【0042】
このスタッド溶接ユニットでは、ハンド用ケースに本体部のうち少なくともソレノイドコイルと、ケーブルの一部と、スイッチユニットと、を収容することにより、作業者がグリップ部を把持しながら作業することが可能なハンドタイプのスタッド溶接装置が構成され、自動機用ケースに本体部のうち少なくともソレノイドコイルと、ケーブルの一部と、を収容することにより、自動機(ロボット)に保持された状態で使用される自動機タイプのスタッド溶接装置が構成されるため、ハンドタイプと自動機タイプとが容易に切り替えられる。また、直交方向におけるケーブル収容部の長さが直交方向におけるグリップ部の長さよりも短いため、自動機がハンドタイプのスタッド溶接装置を保持した状態で作業する場合に比べ、自動機が自動機タイプのスタッド溶接装置を保持した状態で作業する場合に自動機に作用するモーメントが低減される。
【0043】
[態様2]
前記ケーブルは、
前記ソレノイドコイルに電気的に接続されたコイルラインと、
前記チャックに電気的に接続された給電ラインと、を有し、
前記給電ラインは、
前記グリップ部内又は前記ケーブル収容部内に配置される内側配線部と、
前記内側配線部につながっており、前記グリップ部又は前記ケーブル収容部の外側に配置される外側配線部と、を有し、
前記内側配線部は、前記外側配線部の曲げ剛性よりも低い曲げ剛性を有する、態様1に記載のスタッド溶接ユニット。
【0044】
この態様では、グリップ部内への給電ラインの配置とケーブル収容部内への給電ラインの配置との切り替え時における給電ラインの向きの変更が容易になる。
【0045】
[態様3]
前記ハンド用ケースにおける前記本体部収容部は、当該本体部収容部の長手方向と前記本体部収容部及び前記グリップ部の並び方向との双方と直交する幅方向における両側に形成された側壁を含み、
前記自動機用ケースにおける前記本体部収容部は、当該本体部収容部の長手方向と前記本体部収容部及び前記ケーブル収容部の並び方向との双方と直交する幅方向における両側に形成された側壁を含み、
前記自動機用ケースにおける前記側壁は、前記ハンド用ケースにおける前記側壁の剛性よりも高い剛性を有する、態様1又は2に記載のスタッド溶接ユニット。
【0046】
この態様では、自動機用ケースにおける側壁を自動機により保持することにより、自動機による作業中等における自動機用ケースの破損が抑制される。
【0047】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 スタッド溶接ユニット、2 ハンドタイプのスタッド溶接装置、3 自動機タイプのスタッド溶接装置、100 本体部、110 ソレノイドコイル、120 駆動軸部、130 チャック、140 チャックアダプタ、150 付勢部材、160 ショックアブソーバ、170 絶縁スリーブ、180 ハウジング、200 ケーブル、210 コイルライン、220 給電ライン、222 内側配線部、224 外側配線部、230 コネクタ、300 スイッチユニット、310 スイッチ本体、320 操作部、400 ハンド用ケース、410 本体部収容部、412 側壁、420 グリップ部、500 自動機用ケース、510 本体部収容部、512 側壁、520 ケーブル収容部、530 レグ挿通部、RC リアキャップ、S スタッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6