(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140599
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】情報処理プログラム,情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06N 3/04 20230101AFI20241003BHJP
G06N 5/045 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
G06N3/04 100
G06N5/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051802
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100189201
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 功
(72)【発明者】
【氏名】松尾 達
(57)【要約】
【課題】ノードラベルが複数ある場合に予測結果に寄与したノードラベルをノード毎に特定する。
【解決手段】予測モデルに対する入力グラフデータに含まれる、予測モデルによる予測に寄与した部分要素を特定し、ノードのノードラベルと当該ノードが予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルを特定し、特定した部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとを出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測モデルに対する入力グラフデータに含まれる、前記予測モデルによる予測に寄与した部分要素を特定し、
ノードのノードラベルと当該ノードが前記予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した前記部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、前記部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルを特定し、
特定した前記部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとを出力する、
処理をコンピュータに実行させる、情報処理プログラム。
【請求項2】
ベクトルデータ向け学習によって、前記訓練済みモデルを訓練する、
処理を前記コンピュータに実行させる、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
予測モデルに対する入力グラフデータに含まれる、前記予測モデルによる予測に寄与した部分要素を特定し、
ノードのノードラベルと当該ノードが前記予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した前記部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、前記部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルを特定し、
特定した前記部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとを出力する、
プロセッサを備える、情報処理装置。
【請求項4】
予測モデルに対する入力グラフデータに含まれる、前記予測モデルによる予測に寄与した部分要素を特定し、
ノードのノードラベルと当該ノードが前記予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した前記部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、前記部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルを特定し、
特定した前記部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとを出力する、
処理をコンピュータが実行する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム,情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフデータは、人やモノのつながりを表現可能なデータ形式である。Social Network Service(SNS)や化合物,通話履歴,取引履歴におけるつながりがグラフデータとして表されることがある。
【0003】
グラフデータにおいて、つながりの主体はノードと称され、つながりはエッジと称される。ノードやエッジには属性情報を持たせることもあり、属性情報はノードラベルやエッジラベルと称されることがある。なお、一つのノードやエッジに複数のラベルを持たせてもよい。
【0004】
図1は、化合物におけるグラフデータを例示する図である。
【0005】
図1においては、符号A1に示すように、CH
3COOH(酢酸)のグラフデータが例示されている。
図1に示す例において、丸印で示されているノードは原子であり、ノード間のつながりであるエッジは原子間の結合である。また、ノードの属性情報であるノードラベルはH(水素)やC(炭素),O(酸素)等の原子種であり、エッジの属性情報であるエッジラベルは単結合や二重結合等の結合種である。
【0006】
グラフデータが何らかのベクトルデータに変換され、ベクトルデータが学習可能な機械学習技術(決定木やRandom Forest等)で学習されることがある。例えば、化合物のグラフデータから、各原子種の数や分子量,特定の部分構造を持つかどうかが学習される。
【0007】
また、グラフデータをそのまま扱えるGraph Neural Network(GNN)等のグラフArtificial Intelligence(AI)が存在する。
【0008】
複雑な内部構造を持つAIは、予測結果の説明が容易でないことがある。このような問題は、ブラックボックス問題と称される。
【0009】
このようなAIの予測結果を説明可能にする技術として、Explainable Artificial Intelligence(XAI)が存在する。また、グラフAI向けのXAIとして、GNNExplainer等のグラフXAIも存在する。
【0010】
GNNExplainerでは、個々のグラフデータの予測結果を説明する技術であり、任意のグラフAIに適用可能である。予測に寄与したグラフデータの部分構造(別言すれば、サブグラフ)が特定され、サブグラフが説明として提示される。元のグラフとサブグラフによる予測結果の相互情報量が最大となるようなサブグラフが導出されてよい。また、ノードラベルが複数ある場合は、ノードラベルも特定可能であってよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Ying, R., Bourgeois, D., You, J., Zitnik, M., & Leskovec, J. 「GNNExplainer: Generating Explanations for Graph Neural Networks.」Advances in Neural Information Processing Systems 32 (NeurIPS 2019),2019年11月13日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ノードラベルが複数ある場合に予測結果に寄与したノードラベルをノード毎に特定することができないおそれがある。例えば、GNNExplainerでは、全ノード一律にノードラベルが特定される。予測結果に寄与したノードラベルがノード毎に異なる可能性があるため、その場合は予測結果の説明が不適切になってしまうことがある。
【0013】
1つの側面では、ノードラベルが複数ある場合に予測結果に寄与したノードラベルをノード毎に特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの側面では、情報処理装置は、入力グラフデータに含まれる予測に寄与した部分要素を特定し、ノードのノードラベルと当該ノードが予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した前記部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、前記部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルを特定し、特定した前記部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとを出力する。
【発明の効果】
【0015】
1つの側面では、ノードラベルが複数ある場合に予測結果に寄与したノードラベルをノード毎に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】化合物におけるグラフデータを例示する図である。
【
図2】実施形態における予測結果に寄与したノードラベルの第1の表示例を示す図である。
【
図3】実施形態における予測結果に寄与したノードラベルの第2の表示例を示す図である。
【
図4】実施形態における寄与ノードラベルの特定処理を説明するフローチャートである。
【
図5】関連例におけるAIグラフモデルの学習処理を説明する図である。
【
図6】実施形態における寄与ノード予測モデルの学習処理を説明する図である。
【
図7】実施形態における予測結果に寄与したサブグラフの特定処理を説明する図である。
【
図8】実施形態におけるグラフのデータ表現を例示する図である。
【
図9】変形例におけるグラフのデータ表現を例示する図である。
【
図10】実施形態における教師ラベルのデータ表現を例示する図である。
【
図11】実施形態における寄与ノード及び非寄与ノードのデータ表現を例示する図である。
【
図12】変形例における寄与ノード及び非寄与ノードのデータ表現を例示する図である。
【
図13】変形例におけるノードラベルのデータ表現を例示する図である。
【
図14】実施形態における寄与ノードラベルのデータ表現を例示する図である。
【
図15】実施形態における情報処理装置のハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図16】関連例における寄与ノードラベルの表示例と実施形態における寄与ノードラベルの表示例とを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔A〕実施形態
以下、図面を参照して一実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。以下、各図において同一の符号は同様の機能を有するため、その説明を省略する場合がある。
【0018】
図2は、実施形態における予測結果に寄与したノードラベルの第1の表示例を示す図である。
【0019】
実施形態では、
図2に示すように、真に予測結果に寄与したノードラベルが情報処理装置1の表示装置131(
図15を用いて後述)に表示される。
【0020】
符号B1に示すように、表示装置131には、5つのノードで構成される予測データが表示されてよい。符号B2に示すように、表示装置131には、予測結果の説明が表示される。符号B2に示す例では、ノード#1,#2,#3の予測結果の説明が表示される。
【0021】
符号B3に示すように、予測結果に寄与したノードラベルがテーブル中に例えば★印で表示される。符号B3に示す例では、ノード#1ではラベルA,Cが予測結果に寄与しており、ノード#2ではラベルA,Bが予測結果に寄与しており、ノード#3ではラベルA,C,Eが予測結果に寄与していることが示されている。
【0022】
このように、実施形態においては、特定した部分要素を示す情報(別言すれば、ノード番号)と、特定した予測に寄与したノードラベルとが出力される。
【0023】
図3は、実施形態における予測結果に寄与したノードラベルの第2の表示例を示す図である。
【0024】
図3に示す例では、符号C1に示す予測データの表示形式は、
図2の符号B1に示した予測データの表示形式と同様である。一方、
図3に示す例では、符号C2に示す予測結果の説明において、真に予測結果に寄与したノードラベルが対応するノード(
図3に示す例ではノード#1,#2,#3)に対してポップアップ形式で示されている。
【0025】
図3に示す第2の表示例も、情報処理装置1の表示装置131(
図15を用いて後述)に表示されてよい。
【0026】
実施形態においては、予測結果に寄与したサブグラフ、すなわち寄与ノードと寄与ノードラベルの特定が以下の(1),(2)の2段階に分けて行われる。
【0027】
(1)予測に寄与したノードが特定される。ノードの特定は、グラフXAIを用いて実現されてよい。
【0028】
(2)特定した各ノードについて予測に寄与したノードラベルが各々特定される。予測に寄与するノードか否かをノードラベルから予測する機械学習モデルが事前学習されてよい。このモデルで上記(1)の各ノードの予測に寄与したノードラベルがベクトルXAIで特定されてよい。ベクトルXAIは、ベクトルデータを学習可能な機械学習技術向けのXAIである。ベクトルXAIの具体的な技術例としては、LIMEやSHAPが挙げられる
実施形態におけるサブグラフの特定に係る処理を、
図4に示すフローチャート(ステップS1~S5)に従って説明する。
【0029】
グラフAIモデルの学習が行われる(ステップS1)。
【0030】
寄与ノード予測モデルの学習データが作成される(ステップS2)。具体的には、グラフXAIによる説明、非寄与ノードの抽出及び学習データの作成が行われてよい。
【0031】
寄与ノード予測モデルの学習が行われる(ステップS3)。
【0032】
以上のステップS2,S3における処理は、寄与ノード予測モデルの事前学習であり、上述した予測結果に寄与したサブグラフの特定の(2)における事前学習に対応する。
【0033】
寄与ノード予測モデルの予測データが作成される(ステップS4)。具体的には、グラフXAIによる説明及び予測データの作成が行われてよい。
【0034】
寄与ノードラベルが特定される(ステップS5)。そして、寄与ノードラベルの特定処理は終了する。
【0035】
以上のステップS4,S5における処理は、予測結果に寄与したサブグラフの特定である。
【0036】
図5は、関連例におけるグラフAIモデル603の学習処理を説明する図である。
【0037】
学習用グラフデータである複数個のグラフ601と、各グラフの正解データであってグラフAIの予測対象である教師ラベル602とが入力されると、符号D1に示すグラフAIモデル学習が行われる。
【0038】
グラフAIモデル学習では、入力がグラフ601で出力が教師ラベル602となるように、グラフAI技術によりグラフAIモデル603を学習する。
【0039】
図6は、実施形態における寄与ノード予測モデル107の学習処理を説明する図である。
【0040】
符号D1において、複数個のグラフ101と、説明対象のグラフAIモデルであるグラフAIモデル102とが入力されると、符号D11に示すグラフXAIの説明が行われる。なお、グラフ101は
図5に示したグラフ601と同様のものであってよく、グラフAIモデル102は、
図5に示したグラフAIモデル603と同一のものである。
【0041】
グラフXAIの説明では、予測結果に寄与する寄与ノード103が特定される。寄与ノード103は、一つのグラフに対して複数のノードが存在してよい。また、寄与ノード103だけでなく、予測結果に寄与するエッジも特定されてよい。
【0042】
符号D2において、グラフ101及び寄与ノード103が入力されると、符号D21に示す非寄与ノード抽出が行われる。
【0043】
非寄与ノード抽出では、寄与ノード103以外のノードが非寄与ノード104として抽出される。なお、非寄与ノード抽出では、全ノードのうち全ての非寄与ノード104が抽出されなくてもよく、寄与ノード103と同数の非寄与ノード104が抽出されてよい。
【0044】
符号D3において、グラフ101,寄与ノード103及び非寄与ノード104が入力されると、符号D31に示す学習データ作成が行われる。
【0045】
学習データ作成では、寄与ノード103及び非寄与ノード104について各ノードのノードラベル105が全て抽出され、寄与又は非寄与の別が教師ラベル106に設定される。なお、ノードラベル105において、1データは、1ノードの全ノードラベル(別言すれば、ベクトルデータ)であってよい。
【0046】
符号D4において、ノードラベル105及び教師ラベル106が入力されると、符号D41に示すように、寄与ノード予測モデル学習が行われる。
【0047】
寄与ノード予測モデル学習では、入力がノードラベル105で出力が教師ラベル106となるように寄与ノード予測モデル107がベクトルデータ向け学習技術によって学習される。寄与ノード予測モデル107は、入力したノードラベル105を持つノードが寄与ノード103又は非寄与ノード104のいずれかであるかを予測するモデルである。
【0048】
図7は、実施形態における予測結果に寄与したサブグラフの特定処理を説明する図である。
【0049】
符号E1において、説明対象のグラフデータである1データのグラフ101と、説明対象のグラフAIモデルであるグラフAIモデル102とが入力されると、符号E11に示すグラフXAI説明が行われる。なお、グラフAIモデル102は、
図6に示したグラフAIモデル102と同一のものである。
【0050】
グラフXAI説明では、予測結果に寄与する複数の寄与ノード103が特定される。なお、寄与ノード103だけでなく、予測結果に寄与するエッジも特定されてよい。
【0051】
符号E2において、グラフ101及び寄与ノード103が入力されると、符号E21に示す予測データ作成が行われる。
【0052】
予測データ作成では、各寄与ノード103のノードラベル105が全て抽出される。
【0053】
符号E3において、ノードラベル105及び寄与ノード予測モデル107が入力されると、符号E31に示す寄与ノードラベル特定が行われる。
【0054】
寄与ノードラベル特定では、ノード毎に予測結果に寄与するノードラベル105が寄与ノードラベル108としてベクトルXAIによって特定される。
【0055】
そして、符号E4において、最終的に、寄与ノード103及び寄与ノードラベル108が出力される。1つのノードに対して複数種類のノードラベル(別言すれば、ベクトルデータ)が設定される。なお、エッジが特定されて最終的な出力に含められてよい。
【0056】
このように、ノードラベルと予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデル(別言すれば、
図7の寄与ノード予測モデル107)に、特定した部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルが特定される。
【0057】
図8は、実施形態におけるグラフのデータ表現を例示する図である。
【0058】
図8において、ノードは原子に対応し、エッジは原子間の結合に対応し、ノードラベルAは炭素や酸素等の原子種であり、ノードラベルBは原子番号(符号F1に示すグラフには不図示)に対応する。
【0059】
符号F1には、原子種及び原子番号をノードラベルとする化合物(CH3COOH;酢酸)のグラフが例示されている。
【0060】
符号F2に示すノードvsノードラベルの対応表には、ノード番号毎に、ノードラベルAの原子種とノードラベルBの原子番号とが対応付けられている。
【0061】
符号F3に示すエッジリストには、結合関係にある2つのノードのノード番号が、一方をノードAとして、他方をノードBとして示されている。
【0062】
図9は、変形例におけるグラフのデータ表現を例示する図である。
【0063】
図9に示す例においては、複数個のグラフを扱う場合に、符号G1に示すノードvsノードラベルの対応表及び符号G2に示すエッジリストに、グラフ番号の列が追加されている。
図9に示す例では、グラフ番号がグラフ#1又はグラフ#2によって特定されている。
【0064】
図10は、実施形態における教師ラベルのデータ表現を例示する図である。
【0065】
用途毎にグラフ番号又はノード番号と教師ラベルとの対応表が利用されてよい。
【0066】
グラフAIモデル用(別言すれば、グラフに対する予測)では、符号H1に示すグラフ番号と教師ラベルとの対応表が用いられてよい。符号H1に示す対応表では、グラフに対して0/1のいずれかを予測する二値分類が行われている。
【0067】
寄与ノード予測モデル用(別言すれば、ノードに対する予測)では、符号H2に示すノード番号と教師ラベルとの対応表が用いられてよい。符号H2に示す対応表では、グラフに対して寄与ノード/非寄与ノード(0/1で表されてもよい)のいずれかを予測する二値分類が行われている。
【0068】
図11は、実施形態における寄与ノード及び非寄与ノードのデータ表現を例示する図である。
【0069】
符号I3に示す寄与ノード及び符号I4に示す非寄与ノードは、符号I1に示すノードvsノードラベルの対応表と符号I2に示すエッジリストとを含むグラフのデータ表現におけるノード番号のリストとして表現されてよい。
【0070】
なお、寄与ノードと非寄与ノードとの間でノード番号は重複しない。また、非寄与ノードをサンプリングした場合は、両ノードに登場しないノード番号(#6,#8)も存在する。
【0071】
図12は、変形例における寄与ノード及び非寄与ノードのデータ表現を例示する図である。
【0072】
複数個のグラフを扱う場合は、
図11に示した場合と比較して符号J1に示すノードvsノードラベルの対応表,符号J2に示すエッジリスト,符号J3に示す寄与ノード及び符号J4に示す非寄与ノードにおいて、グラフ番号の列が追加されている。
図12に示す例においては、グラフ番号がグラフ#1又はグラフ#2で表されている。
【0073】
図13は、変形例におけるノードラベルのデータ表現を例示する図である。
【0074】
ノードvsノードラベルの対応表は、ノード番号とノードラベルの対応表で表現される。また、用途毎に対象ノードが限定され得、寄与ノード予測モデルの学習データ用は寄与ノード/非寄与ノードに限定され、寄与ノード予測モデルの予測データ用は全ノードとなる。複数のグラフを扱う場合はノード番号が重複し得るので固有化されてよい。
【0075】
図13に示す例では、符号K1に示すように、ノードvsノードラベルの対応表において、グラフ#1のノード#1~#8及びグラフ#2のノード#1が存在しており、グラフ#1のノード#1とグラフ#2のノード#1とでノード番号が重複している。そこで、符号K2に示すように、グラフ番号の列は削除され、グラフ#2のノード#1はノード#9に変換される。
【0076】
図14は、実施形態における寄与ノードラベルのデータ表現を例示する図である。
【0077】
寄与ノードラベルは、各ノードラベルの重要度を数値化することによって、ノードラベルがデータ表現されてよい。重要度は、二値(0/1)又は実数値で表現されてよい。
【0078】
図14に示す例では、符号L1に示すテーブルにおけるノードラベルA及びノードラベルBが、符号L2に示すテーブルにおいてノードラベルAの寄与度及びノードラベルBの寄与度として、それぞれ0/1の二値で表現されている。
【0079】
図15は、実施形態における情報処理装置1のハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0080】
図15に示すように、情報処理装置1は、CPU11,メモリ部12,表示制御部13,記憶装置14,入力IF15,外部記録媒体処理部16及び通信IF17を備える。
【0081】
メモリ部12は、記憶部の一例であり、例示的に、Read Only Memory(ROM)及びRandom Access Memory(RAM)などである。メモリ部12のROMには、Basic Input/Output System(BIOS)等のプログラムが書き込まれてよい。メモリ部12のソフトウェアプログラムは、CPU11に適宜に読み込まれて実行されてよい。また、メモリ部12のRAMは、一時記録メモリあるいはワーキングメモリとして利用されてよい。
【0082】
表示制御部13は、表示装置131と接続され、表示装置131を制御する。表示装置131は、液晶ディスプレイやOrganic Light-Emitting Diode(OLED)ディスプレイ,Cathode Ray Tube(CRT),電子ペーパーディスプレイ等であり、オペレータ等に対する各種情報を表示する。表示装置131は、入力装置と組み合わされたものでもよく、例えば、タッチパネルでもよい。
【0083】
記憶装置14は、高IO性能の記憶装置であり、例えば、Dynamic Random Access Memory(DRAM)やSSD,Storage Class Memory(SCM),HDDが用いられてよい。
【0084】
入力IF15は、マウス151やキーボード152等の入力装置と接続され、マウス151やキーボード152等の入力装置を制御してよい。マウス151やキーボード152は、入力装置の一例であり、これらの入力装置を介して、オペレータが各種の入力操作を行う。
【0085】
外部記録媒体処理部16は、記録媒体160が装着可能に構成される。外部記録媒体処理部16は、記録媒体160が装着された状態において、記録媒体160に記録されている情報を読み取り可能に構成される。本例では、記録媒体160は、可搬性を有する。例えば、記録媒体160は、フレキシブルディスク、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は、半導体メモリ等である。
【0086】
通信IF17は、外部装置との通信を可能にするためのインタフェースである。
【0087】
CPU11は、プロセッサ(別言すれば、コンピュータ)の一例であり、種々の制御や演算を行う処理装置である。CPU11は、メモリ部12に読み込まれたOperating System(OS)やプログラムを実行することにより、寄与ノードラベルの特定処理等の種々の機能を実現する。なお、CPU11は、複数のCPUを含むマルチプロセッサであってもよいし、複数のCPUコアを有するマルチコアプロセッサであってもよく、或いは、マルチコアプロセッサを複数有する構成であってもよい。
【0088】
情報処理装置1全体の動作を制御するための装置は、CPU11に限定されず、例えば、MPUやDSP,ASIC,PLD,FPGAのいずれか1つであってもよい。また、情報処理装置1全体の動作を制御するための装置は、CPU,MPU,DSP,ASIC,PLD及びFPGAのうちの2種類以上の組み合わせであってもよい。なお、MPUはMicro Processing Unitの略称であり、DSPはDigital Signal Processorの略称であり、ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略称である。また、PLDはProgrammable Logic Deviceの略称であり、FPGAはField Programmable Gate Arrayの略称である。
【0089】
〔B〕効果
図16は、関連例における寄与ノードラベルの表示例と実施形態における寄与ノードラベルの表示例とを比較する図である。
【0090】
ノードラベルが複数ある場合に予測結果に寄与したノードラベルをノード毎に特定することができる。上述した実施形態では、グラフXAIで予測結果に寄与したノードを特定したのち、各ノードについて予測結果に寄与したノードラベルを、ベクトルXAIを有効活用して個別に特定する。
【0091】
符号M1に示すように、関連例ではノード毎にノードラベルを特定できないため、「ラベルAとCが特定される」というような大雑把で不正確な特定となる。一方、実施形態においては、符号M2に示すように、予測結果に寄与したノードラベルをきめ細やかに特定できる。
【0092】
上述した実施形態における情報処理プログラム,情報処理装置及び情報処理方法によれば、例えば以下の作用効果を奏することができる。
【0093】
予測モデルに対する入力グラフデータに含まれる、予測モデルによる予測に寄与した部分要素が特定される。ノードのノードラベルと当該ノードが予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルが特定される。特定した部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとが出力される。
【0094】
これにより、ノードラベルが複数ある場合に予測結果に寄与したノードラベルをノード毎に特定することができる。
【0095】
〔C〕その他
開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0096】
〔D〕付記
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0097】
(付記1)
予測モデルに対する入力グラフデータに含まれる、前記予測モデルによる予測に寄与した部分要素を特定し、
ノードのノードラベルと前記ノードが前記予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した前記部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、前記部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルを特定し、
特定した前記部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとを出力する、
処理をコンピュータに実行させる、情報処理プログラム。
【0098】
(付記2)
ベクトルデータ向け学習によって、前記訓練済みモデルを訓練する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記1に記載の情報処理プログラム。
【0099】
(付記3)
予測モデルに対する入力グラフデータに含まれる、前記予測モデルによる予測に寄与した部分要素を特定し、
ノードのノードラベルと当該ノードが前記予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した前記部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、前記部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルを特定し、
特定した前記部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとを出力する、
プロセッサを備える、情報処理装置。
【0100】
(付記4)
前記プロセッサは、
ベクトルデータ向け学習によって、前記訓練済みモデルを訓練する、
付記3に記載の情報処理装置。
【0101】
(付記5)
予測モデルに対する入力グラフデータに含まれる、前記予測モデルによる予測に寄与した部分要素を特定し、
ノードのノードラベルと当該ノードが前記予測に寄与するノードか否かの情報とを関連付けた訓練データを用いて訓練された、ノードラベルの入力に応じて予測に寄与するノードであるか否かを判定する訓練済みモデルに、特定した前記部分要素に含まれるノードのノードラベルを入力した際の判定結果に基づいて、前記部分要素に含まれるノードについての予測に寄与したノードラベルを特定し、
特定した前記部分要素を示す情報と、特定した予測に寄与したノードラベルとを出力する、
処理をコンピュータが実行する、情報処理方法。
【0102】
(付記6)
ベクトルデータ向け学習によって、前記訓練済みモデルを訓練する、
処理を前記コンピュータが実行する、付記5に記載の情報処理方法。
【符号の説明】
【0103】
1 :情報処理装置
11 :CPU
12 :メモリ部
13 :表示制御部
14 :記憶装置
15 :入力IF
16 :外部記録媒体処理部
17 :通信IF
101,601:グラフ
102,603:グラフAIモデル
103 :寄与ノード
104 :非寄与ノード
105 :ノードラベル
106,602:教師ラベル
107 :寄与ノード予測モデル
108 :寄与ノードラベル
131 :表示装置
151 :マウス
152 :キーボード
160 :記録媒体