IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理研ビタミン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001406
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】麺類用品質改良剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20231227BHJP
【FI】
A23L7/109 A
A23L7/109 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100019
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高木 虹太郎
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA05
4B046LB05
4B046LC01
4B046LC15
4B046LC20
4B046LE18
4B046LG10
4B046LG11
4B046LG14
4B046LG15
4B046LG16
4B046LG23
4B046LG26
4B046LG36
4B046LG46
4B046LP03
4B046LP10
4B046LP19
4B046LP38
4B046LP51
4B046LP58
(57)【要約】
【課題】麺線の表面に付着させて用いる麺類用品質改良剤であって、麺線のほぐれ性の改良効果に優れ、かつ、食感への影響の少ない麺類用品質改良剤を提供する。
【解決手段】(a)β-アミラーゼ並びに(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する麺類用品質改良剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)β-アミラーゼ並びに(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する麺類用品質改良剤。
【請求項2】
麺線の表面に(a)β-アミラーゼ並びに(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する水分散液を付着させる工程を含む麺類の製造方法。
【請求項3】
麺線の表面に(a)β-アミラーゼ並びに(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する水分散液を付着させる麺線のほぐれ性の改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺線の表面に付着させて用いる麺類用品質改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
茹で麺や蒸し麺等の麺類は、製造後、麺線表面の糊化された澱粉の粘着性により麺線が互いに結着し、遂には麺線全体が塊状に固結し、ほぐれ性が損なわれるという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するための方法としては、製麺及び加熱処理後、麺線の表面に酵素を付着させる方法が知られており、特にほぐれ性の改良効果の高い酵素として、従来よりα-アミラーゼが用いられてきた。
【0004】
麺線の表面にα-アミラーゼを付着させて麺線のほぐれ性を改良する技術としては、製麺された生麺を熱水で茹でた後、α-アミラーゼ0.01-5重量%を有効成分として含有する冷却水で冷却することを特徴とする茹で麺の製造方法(特許文献1)、α化した麺類の表面に、麹菌由来のα-アミラーゼを、該麺類乾物1kg当たり0.008~0.015unit付着させることを特徴とする調理麺の製造方法(特許文献2)、麺類を、加熱工程において、α-アミラーゼにより処理することを含む、ほぐれ性が改善された調理麺類の製造方法(特許文献3)等が開示されている。
【0005】
しかし、α-アミラーゼは麺線のほぐれ性の改良効果は高いものの、麺線の食感に悪影響を与えてしまうという問題があった。このため、麺線のほぐれ性の改良効果に優れ、かつ、食感への影響の少ない麺類用品質改良剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-123944号公報
【特許文献2】特開2000-106836号公報
【特許文献3】特開2021-129523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、麺線の表面に付着させて用いる麺類用品質改良剤であって、麺線のほぐれ性の改良効果に優れ、かつ、食感への影響の少ない麺類用品質改良剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、β-アミラーゼを特定の乳化剤と組み合わせることにより、α-アミラーゼと同等のほぐれ性の改良効果を奏しながらも、食感への影響が少ないことを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記(1)~(3)からなっている。
(1)(a)β-アミラーゼ並びに(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する麺類用品質改良剤。
(2)麺線の表面に(a)β-アミラーゼ並びに(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する水分散液を付着させる工程を含む麺類の製造方法。
(3)麺線の表面に(a)β-アミラーゼ並びに(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する水分散液を付着させる麺線のほぐれ性の改良方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の麺類用品質改良剤は、麺線の表面に付着させて使用することにより、麺線の食感を損なうことなく、該麺線に良好なほぐれ性を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いられる(a)β-アミラーゼ(以下「(a)成分」ともいう)は、澱粉の非還元性末端からマルトース(麦芽糖)単位でα-1,4グリコシド結合を逐次分解するエキソ型の酵素である。β-アミラーゼとしては、食品に一般的に使用されているものを用いることができる。その由来も特に制限はなく、植物由来、微生物由来等のいずれであってもよい。
【0012】
本発明に用いられる(b)グリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステル(以下「(b)成分」ともいう)のうちグリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸とのエステル(即ち、モノグリセリン脂肪酸エステル)の他、グリセリン有機酸脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれる。これらグリセリン脂肪酸エステルは、一種類のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
モノグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと油脂とのエステル交換反応、グリセリンと脂肪酸とのエステル化反応等、自体公知の方法で製造できる。該エステルは、モノエステル体(モノグリセリド)、ジエステル体(ジグリセリド)のいずれであってもよく、あるいはそれらの混合物であってもよいが、モノエステル体の含有量が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0014】
グリセリン有機酸脂肪酸エステルは、グリセリンと有機酸と脂肪酸とのエステルであり、モノグリセリン脂肪酸エステルと有機酸(又は有機酸の酸無水物)とのエステル化反応、グリセリンと有機酸と脂肪酸とのエステル化反応等、自体公知の方法で製造できる。グリセリン有機酸脂肪酸エステルの種類としては、例えば、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル等が挙げられ、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びグリセリンクエン酸脂肪酸エステルが好ましい。
【0015】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステルであり、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応等、自体公知の方法で製造できる。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの重合度に特に制限はないが、例えば、平均重合度が2~20、好ましくは2~10のものが挙げられる。具体的には、例えば、ジグリセリン(平均重合度:約2.0)、トリグリセリン(平均重合度:約3.0)、テトラグリセリン(平均重合度:約4.0)、ヘキサグリセリン(平均重合度:約6.0)、オクタグリセリン(平均重合度:約8.0)及びデカグリセリン(平均重合度:約10.0)等が挙げられる。
【0016】
グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば、炭素数6~24の直鎖の飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等)及び不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸等)等が挙げられる。これらの中でも、炭素数16~22の飽和脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等)及び不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸等)が好ましく、ステアリン酸及びオレイン酸がより好ましい。グリセリン脂肪酸エステルは、これら脂肪酸の一種類のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
本発明に用いられる(b)成分のうちプロピレングリコール脂肪酸エステルは、プロピレングリコールと脂肪酸とのエステルであり、プロピレングリコールと脂肪酸とのエステル化反応等の自体公知の方法で製造できる。
【0018】
プロピレングリコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば、炭素数6~24の直鎖の飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等)及び不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸等)等が挙げられる。これらの中でも、炭素数16~22の飽和脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等)及び不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸等)が好ましく、ステアリン酸及びオレイン酸がより好ましい。プロピレングリコール脂肪酸エステルは、これら脂肪酸の一種類のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本発明の麺類用品質改良剤における(a)成分と(b)成分との割合〔(a)成分:(b)成分(質量比)〕としては、通常1:0.5~1:1000の範囲であり、好ましくは1:5~1:50の範囲である。
【0020】
本発明の麺類用品質改良剤は、必要に応じて、(a)成分、(b)成分以外に、その他の成分を含有してもよい。該その他の成分としては、食品衛生法上許容される添加物等が挙げられる。該添加物等としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステル以外の乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、安定剤、pH調整剤、澱粉類、糖類、調味料、風味原料、香辛料、蛋白質、粉質改良剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0021】
本発明の麺類用品質改良剤の性状に特に制限はなく、液状、粉末状、ペースト状等いずれであってもよいが、保存性、ハンドリング性等の観点から粉末状であることが好ましい。
【0022】
本発明の麺類用品質改良剤の製造方法に特に制限はなく、製造する麺類用品質改良剤の性状に応じて、自体公知の方法で製造することができる。本発明の麺類用品質改良剤を粉末状の製剤とする場合、例えば、(b)成分、賦形剤及び水を含有する液状乳化剤組成物を調製し、該液状乳化剤組成物を乾燥して粉末状乳化剤組成物を得た後、該粉末状乳化剤組成物と粉末状の(a)成分とを均一に混合する方法等が挙げられる。このような方法で得られた本発明の麺類用品質改良剤は水分散性に優れており、後述する本発明の麺類用品質改良剤の使用方法において、水分散液を調整する場合に好ましい。
【0023】
上記賦形剤としては、例えば、澱粉類、糖類、増粘多糖類・ガム質、乳蛋白、植物性蛋白又はこれらの分解物等が挙げられる。澱粉類としては、例えばコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、加工澱粉等が挙げられる。糖類としては、例えばブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ショ糖、デキストリン、コーンシロップ等が挙げられる。増粘多糖類・ガム質としては、例えばアラビアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、ペクチン、大豆多糖類等が挙げられる。乳蛋白としては、例えば酸カゼイン、カゼインナトリウム等が挙げられる、植物性蛋白としては、例えば大豆蛋白、小麦蛋白、エンドウ蛋白等が挙げられる。これらの中でも、加工澱粉、デキストリン及びアラビアガムが好ましい。これら賦形剤は一種類のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
上記加工澱粉としては、澱粉とコハク酸のアルケニル誘導体とのエステルであるアルケニルコハク酸エステル化澱粉が好ましい。アルケニルコハク酸エステル化澱粉としては、例えばオクテニルコハク酸エステル化澱粉、デセニルコハク酸エステル化澱粉、ドデセニルコハク酸エステル化澱粉、テトラデセニルコハク酸エステル化澱粉、ヘキサデセニルコハク酸エステル化澱粉、及びオクタデセニルコハク酸エステル化澱粉、並びにこれら澱粉をα化又は加水分解等の処理をしたもの等が挙げられる。これらの中でも、オクテニルコハク酸エステル化澱粉又はその塩が好ましい。
【0025】
上記液状乳化剤組成物の乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥、真空乾燥、真空凍結乾燥等が挙げられ、中でも、乾燥及び粉末化が同時に実施可能な噴霧乾燥が好ましい。
【0026】
本発明の麺類用品質改良剤の使用対象である麺類は、小麦粉、そば粉、米粉等の穀粉と水を主原料として、必要であれば食塩、かん水その他の原材料を混合し、常法により製麺等の加工をすることにより得られる食品であれば特に制限はないが、例えば、中華麺、うどん、きしめん、沖縄そば、日本そば、ひやむぎ、そうめん、冷麺、スパゲッティー、マカロニ類、米粉麺、大麦麺、春雨等が挙げられる。また、麺類の形態としては、蒸し麺、茹で麺、チルド麺、レトルト麺、LL麺、即席麺(フライ麺、ノンフライ麺等)、冷凍麺等のいずれであってもよい。これらの中でも、ほぐれ性の点で課題の多い、蒸し麺、茹で麺及び即席麺等に使用することが効果的である。
【0027】
本発明の麺類用品質改良剤の使用方法は、麺線の表面に麺類用品質改良剤を付着させる方法であれば特に制限はない。例えば、本発明の麺類用品質改良剤を水に分散して調製した水分散液を麺線に噴霧する方法、塗布する方法、和える方法又は該水分散液に麺線を浸漬する方法等が挙げられる。該水分散液100質量%中の本発明の麺類用品質改良剤の含有量としては特に制限はないが、該水分散液100質量%中に、(a)成分が好ましくは0.01~0.1質量%、(b)成分が好ましくは0.1~10質量%含有されるように、本発明の麺類用品質改良剤の含有量を調整すればよい。
上記付着方法を実施するタイミングに特に制限はないが、例えば、蒸煮、ボイル等の麺線の加熱処理後に実施することが好ましい。
【0028】
本発明の麺類用品質改良剤の麺線に対する使用量は特に制限はないが、麺線100質量部に対し、通常0.05~1質量部であり、好ましくは0.1~0.5質量部である。
【0029】
本発明の麺類用品質改良剤は、これを水に分散させた水分散液を麺線の表面に付着させて使用することができる。麺線の表面に(a)成分及び(b)成分を含有する水分散液を付着させる工程を含む麺類の製造方法並びに麺線の表面に(a)成分及び(b)成分を含有する水分散液を付着させる麺線のほぐれ性の改良方法も本発明に含まれる。(a)成分及び(b)成分を含有する水分散液の麺線に対する使用量としては、麺線100質量部に対し、通常0.5~5質量%、好ましくは1~3質量%である。
【0030】
本発明の麺類の製造方法及び麺線のほぐれ性の改良方法において、麺線の表面に(a)成分及び(b)成分を含有する水分散液を付着させる工程を経た後、(a)成分の失活及び麺線の殺菌を目的として、加熱処理工程を経ることが好ましい。該加熱処理の方法としては、例えば、蒸煮、ボイル等が挙げられる。
【0031】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例0032】
[粉末状乳化剤組成物の調製]
(1)原材料
1)グリセリン脂肪酸エステル1(商品名:エマルジーOL-100H;モノグリセリンオレイン酸エステル;モノエステル体含有量90質量%;理研ビタミン社製)
2)グリセリン脂肪酸エステル2(商品名:ポエムDO-100V;ジグリセリンオレイン酸エステル;理研ビタミン社製)
3)グリセリン脂肪酸エステル3(商品名:ポエムJ-0381V;デカグリセリンオレイン酸エステル;理研ビタミン社製)
4)グリセリン脂肪酸エステル4(商品名:ポエムB-30;グリセリンコハク酸ステアリン酸エステル;理研ビタミン社製)
5)グリセリン脂肪酸エステル5(商品名:ポエムK-37V;グリセリンクエン酸オレイン酸エステル;理研ビタミン社製)
6)プロピレングリコール脂肪酸エステル(商品名:リケマールPO-100V;プロピングリコールオレイン酸エステル;理研ビタミン社製)
7)ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポエムS-60V;ソルビタンステアリン酸エステル;理研ビタミン社製)
8)ショ糖脂肪酸エステル(商品名:DKエステルF-160;ショ糖ステアリン酸エステル;第一工業製薬社製)
9)レシチン(商品名:レシオンP;理研ビタミン社製)
10)加工澱粉1(商品名:ピュリティーガムBE;オクテニルコハク酸エステル化澱粉ナトリウム;イングレディオン・ジャパン社製)
11)加工澱粉2(商品名:エヌクリーマー46;オクテニルコハク酸エステル化澱粉ナトリウム;イングレディオン・ジャパン社製)
12)デキストリン(商品名:パインデックス#2;松谷化学工業社製)
13)水
【0033】
(2)液状乳化剤組成物の配合
上記原材料を用いて調製した液状乳化剤組成物1~9の配合組成を表1及び2に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
(3)粉末状乳化剤組成物の製造方法
表1及び2に示した配合割合に従って、総量が1000gとなるように原材料を測り取り、1L容ビーカーに水を仕込み、これに加工澱粉1及び2並びにデキストリンを加え、80℃で加熱溶融して水溶液を得た。次いで、500mL容ビーカーに各種乳化剤を仕込み、80℃で加熱溶融した溶融液を上記1L容ビーカー中の水溶液に加え、80℃で加熱しながら、撹拌機(商品名:TKホモミクサー;プライミクス社製)を用いて10000rpmで10分撹拌し、液状乳化剤組成物1~9を得た。その後、液状乳化剤組成物1~9を噴霧乾燥機(商品名:スプレードライヤーL-8i型;大川原化工機社製)を用いて熱風入口温度175℃、排気温度80℃の条件で噴霧乾燥し、粉末状乳化剤組成物1~9を300g作製した。
【0037】
[麺類用品質改良剤の調製]
(1)原材料
1)β-アミラーゼ(商品名:β-アミラーゼF「アマノ」;天野エンザイム社製)
2)α-アミラーゼ(商品名:ノバミル10000BG;ノボザイムズ社製)
3)粉末状乳化剤組成物1~9
4)コーンスターチ(商品名:殺菌乾燥コーンスターチ;松谷化学工業社製)
【0038】
(2)麺類用品質改良剤の配合
上記原材料を用いて調製した麺類用品質改良剤1~12の配合組成を表3及び4に示した。これらの内、麺類用品質改良剤1~6は本発明の実施例であり、麺類用品質改良剤7~12はこれらに対する比較例である。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
(3)麺類用品質改良剤の製造方法
表3及び4に示した配合割合に従って、総量が100gとなるように原材料をポリ袋に入れ、ポリ袋の口を縛り、手で3分間ポリ袋を振って均一に混合し、麺類用品質改良剤1~12を得た。
【0042】
[蒸し中華麺による評価]
(1)蒸し中華麺の製造
中力粉(商品名:金すずらん;日清製粉社製)70g、準強力粉(商品名:特No1;日清製粉社製)30gに、粉末かんすい0.2g、食塩1.2g、水37gを加え、一体型製麺機(型式:MODEL-MG-77;スズキ麺工社製)を用いてミキサーで120rpmにて10分混捏後、圧延及び切出し(切刃#20丸;麺線厚み1.7mm)を行い得られた麺線を2分間蒸煮した。これを冷水に30秒間浸漬し、さらに2分間蒸煮した。これを氷水に90秒間浸漬した。次いで、麺類用品質改良剤1~12のいずれか10gを水90mLに加え、スパチュラで撹拌して調製した麺類用品質改良剤の水分散液を蒸した麺線150gの表面に4.5gずつ均一に噴霧した。これを80℃、40分間蒸煮した。その後、該麺線をプラスチック製容器に入れ、冷蔵庫(4℃)で24時間静置し、蒸し中華麺1~12を得た。また、上記処理において、麺類用品質改良剤を噴霧しなかった点以外は同様の処理を行い、蒸し中華麺13を得た。
【0043】
(2)蒸し中華麺のほぐれ性評価試験
フライパンに菜種油5gを入れて強火で熱した後、蒸し中華麺1~13のいずれか150gと水45gを加え、菜箸で麺線をほぐしながら加熱調理をした。麺線をほぐし始めてから、麺線の付着による塊が見られなくなるまでの時間(ほぐれ時間)を測定し、以下の基準に従って記号化した。結果を表6に示す。
[基準]
○:良好 ほぐれ時間が20秒未満
△:やや悪い ほぐれ時間が20秒以上、45秒未満
×:悪い ほぐれ時間が45秒以上
【0044】
(3)蒸し中華麺の食感の評価試験
上記(2)の試験後、蒸し中華麺1~13の食感を評価するため官能試験を行った。官能試験では、表5に示す評価基準に従い15名のパネラーで評価を行い、評価点の平均点を求め、以下の基準に従って記号化した。結果を表6に示す。
[基準]
○:良好 平均値3.0以上
△:やや悪い 平均値1.5以上、3.0未満
×:悪い 平均値1.5未満
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
表6の結果から明らかなように、本発明の麺類用品質改良剤1~6の水分散液を噴霧した蒸し中華麺1~6は、いずれもほぐれ性及び食感の双方につき「○」であった。これに対し、比較例の麺類用品質改良剤7~11の水分散液を噴霧した蒸し中華麺7~11は、いずれもほぐれ性が「△」であり、実施例の蒸し中華麺1~6に比べて劣っていた。また、比較例の麺類用品質改良剤12の水分散液を噴霧した蒸し中華麺12は、ほぐれ性が「〇」であるものの、食感が「×」であり、実施例の蒸し中華麺1~6に比べて劣っていた。