IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014060
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】エアレスタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20240125BHJP
   B60B 9/26 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B60B9/26
B60C7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116622
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 卓馬
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131AA30
3D131BB19
3D131BC02
3D131BC31
3D131BC43
3D131CC03
3D131CC04
3D131LA28
(57)【要約】
【課題】スポークなどの弾性部材の耐久性が高く、タイヤ上下方向の剛性が適正であるエアレスタイヤを提供する。
【解決手段】路面に接地するトレッド15の内周側に配置された、弾性を有する外周リング14と、車両に結合されるホイール11の外周側から、前記外周リング14に向かって放射状に設けられた、弾性を有する複数のスポーク12と、を備え、対面するタイヤ要素に当接して所定値以上の変形を抑制する突部20が、前記スポーク12又は前記外周リング14の少なくとも一方に設けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に接地するトレッドの内周側に配置された、弾性を有する外周リングと、
車両に結合されるホイールの外周側から、前記外周リングに向かって放射状に設けられた、弾性を有する複数のスポークと、を備え、
対面するタイヤ要素に当接して所定値以上の変形を抑制する突部が、前記スポーク又は前記外周リングの少なくとも一方に設けられているエアレスタイヤ。
【請求項2】
前記ホイールと前記トレッドの間において、前記外周リングと同心円状に、前記複数のスポークと連結して設けられた、弾性を有する中間リングをさらに備え、
前記突部が、前記中間リングに設けられている請求項1に記載のエアレスタイヤ。
【請求項3】
前記突部は、
前記突部が前記対面するタイヤ要素に当接してからの、輪荷重に対する前記突部が設けられた部材の撓み量が、前記突部が前記対面するタイヤ要素に当接するまでの、輪荷重に対する前記突部が設けられた部材の撓み量に比べて小さくなるように、設けられている請求項1に記載のエアレスタイヤ。
【請求項4】
前記突部は、
前記スポークと前記外周リングとの成す角度が鋭角である側の、前記スポークの面又は前記外周リングの面に設けられている請求項1に記載のエアレスタイヤ。
【請求項5】
前記突部は、
前記スポークと前記中間リングとの成す角度が鋭角である側の、前記スポークの面又は前記中間リングの面に設けられている請求項2に記載のエアレスタイヤ。
【請求項6】
前記対面するタイヤ要素に、前記突部に当接する他の突部が設けられている請求項1に記載のエアレスタイヤ。
【請求項7】
前記スポークは、当該スポークと前記中間リングとの接続部のホイール側及びトレッド側のそれぞれに、前記突部を有し、
これらホイール側の突部とトレッド側の突部は、高さが異なる請求項2に記載のエアレスタイヤ。
【請求項8】
前記トレッド側の突部は、前記ホイール側の突部より高さが高い請求項7に記載のエアレスタイヤ。
【請求項9】
前記スポークは、当該スポークと前記中間リングとの接続部のホイール側及びトレッド側のそれぞれに、前記突部を有し、
これらホイール側の突部とトレッド側の突部は、当該突部が設けられた単位スポークにおける形成位置が異なる請求項2に記載のエアレスタイヤ。
【請求項10】
前記トレッド側の突部は、前記ホイール側の突部よりドレッド側に近い請求項9に記載のエアレスタイヤ。
【請求項11】
前記突部は、タイヤの幅方向に延在する峰状突部を含む請求項1~10のいずれか一項に記載のエアレスタイヤ。
【請求項12】
前記峰状突部のタイヤの幅方向における形成位置と、これに隣接する前記峰状突部のタイヤの幅方向における形成位置は、異なる請求項11に記載のエアレスタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレスタイヤ(非空気圧タイヤnon-pneumatic tireとも称される。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気を使わないエアレスタイヤの一例として、特許文献1に記載のタイヤが知られている。この従来技術のタイヤは、車両からの荷重を支持する支持構造体が、内側環状部と、その外側に同心円状に設けられた中間環状部と、その外側に同心円状に設けられた外側環状部と、内側環状部と中間環状部とを連結する複数の内側連結部と、外側環状部と中間環状部とを連結する複数の外側連結部とを備える。この従来技術では、内側環状部と外側環状部とを連結する複数の連結部に中間環状部を介在させているため、スポーク位置と接地面中央位置との位置関係による剛性変動が生じ難いとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-35050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、連結部(いわゆるスポーク)の座屈を抑制することで耐久性を高めるためには、連結部(スポーク)の板厚をある程度まで厚くする必要があるが、こうするとタイヤの上下方向の剛性を適正な値まで下げることができない。すなわち、連結部(スポーク)の耐久性の確保とタイヤ上下方向の剛性の適正化は、トレードオフの関係にある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、スポークなどの弾性部材の耐久性が高く、タイヤ上下方向の剛性が適正であるエアレスタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッドの内周側に配置された弾性を有する外周リングと、ホイールの外周側から前記外周リングに向かって放射状に設けられた弾性を有する複数のスポークと、を備えるエアレスタイヤにおいて、対面するタイヤ要素に当接して所定値以上の変形を抑制する突部を、前記スポーク又は前記外周リングの少なくとも一方に設けることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定以上の輪荷重が作用してタイヤが弾性変形すると、突部が、対面するタイヤ要素に当接してさらなる弾性変形を抑制するので、弾性部材の耐久性が高くなる。一方において、突部が対面するタイヤ要素に当接するまでの輪荷重に対しては、弾性部材の剛性を適正な値まで下げることができるので、タイヤの上下方向の剛性を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るエアレスタイヤの基本構造を示す正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図であり、図1のII部に相当する図である。
図3A】エアレスタイヤに作用する荷重が大きくなる走行状態の一例を示す図である。
図3B】エアレスタイヤに作用する荷重が大きくなる走行状態の他例を示す図である。
図4A】本発明の第1実施形態に係るエアレスタイヤに輪荷重が作用した状態を示す部分正面図である。
図4B図4Aの比較例に係るエアレスタイヤに輪荷重が作用した状態を示す部分正面図である。
図5】本発明の実施形態に係るエアレスタイヤの荷重-撓み特性を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図であり、図1のIII部に相当する正面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図である。
図8】本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図である。
図9図8に示す実施形態において、隣接するスポークの対向する位置に設けられた突部を示す拡大正面図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図である。
図11】本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図である。
図12】本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図である。
図13図12の実施形態に係るエアレスタイヤの荷重-撓み特性を示す図である。
図14】本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分斜視図である。
図15】本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分斜視図である。
図16】本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分斜視図である。
図17】本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態例を説明する。以下に示す本発明の実施形態に係るエアレスタイヤは、四輪自動車、二輪自動車、産業用車両、自転車その他の車両のほか、荷車(カート)などの車輪にも適用することができる。
【0010】
《エアレスタイヤの基本的構造》
図1は、本発明の実施形態に係るエアレスタイヤ1の基本的な構造を示す正面図であり、この図1を参照しながら、後述する第1実施形態、第2実施形態及びその他の実施形態に共通する構成を最初に説明する。本実施形態のエアレスタイヤ1は、図1に示すように、ホイール11と、スポーク12と、中間リング13と、外周リング14と、トレッド15とを備える。なお、中間リング13は本発明の必須構成要素ではなく、後述する第1実施形態に係るエアレスタイヤ1のように、必要に応じて省略してもよい。
【0011】
ホイール11は、図示しない車両のハブに固定される。ホイール11は、たとえば円盤形状のディスク111と円筒形状のリム112とを含んで構成され、金属その他の高剛性の材料から構成されている。図1の正面図においてエアレスタイヤ1の中心部分に円形の部材で示されているのが、ホイール11のディスク111であり、このディスク111が車両のハブに固定され、これによりエアレスタイヤ1が車軸に支持される。
【0012】
なお、ホイール11にスポーク12を取り付ける手段は、堅牢性が確保できれば本例に限定されない。たとえば、ホイール11のリム112の外周面とスポーク12の内周側の端部とを接着剤を用いて接着してもよい。また、ホイール11のリム112の外周面に溝113を設けることなく、ホイール11のリム112の外周面とスポーク12の内周側の端部とをボルトを用いて直接結合したりしてもよい。また、複数のスポーク12の内周側の端部を連結する環状の内周リングを設け、この内周リングをホイール11のリム112の外周面に接着剤を用いて接着してもよい。この場合、内周リングの内周側の面に、ホイール11のリム112に形成した溝113に篏合する突起を設け、内周リングとホイール11とを篏合する構造にしてもよい。
【0013】
図1に戻り、トレッド15は、円筒形状に形成され、エアレスタイヤ1の最外周に設けられている。トレッド15は、天然ゴムや合成ゴムなどの弾性を有する材料を金属製又は樹脂製のタイヤコードで補強した複合材料で構成されている。トレッド15の外周面には、従来の空気入りタイヤと同様にトレッドパターンが形成され、路面との接地面になる。
【0014】
外周リング14は、複数のスポーク12のトレッド側の端部を連結する円筒形状の部材であり、上述したトレッド15の内周面に接着などの手段により締結される。外周リング14は、弾性を有する熱可塑性樹脂又は弾性を有する熱硬化性樹脂などの弾性材料により構成され、スポーク12と一体成形してもよい。
【0015】
以上が本発明の実施形態に係るエアレスタイヤ1の基本的構造であり、以下においては、ホイール11とトレッド15との間に設けられたスポーク12と中間リング13と外周リング14との構成についての実施形態を説明する。
【0016】
《第1実施形態》
図2は、本発明の第1実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図であり、図1のIII部に相当する正面図である。図示するXYZ空間のX軸は、タイヤを車両に装着した場合の車両の幅方向に相当し、Y軸は、同じく車両の前後方向に相当し、Z軸は、同じく車両の上下方向に相当する。本実施形態のエアレスタイヤ1は、路面に接地するトレッド15の内周側に配置された、弾性を有する外周リング14と、車両に結合されるホイール11の外周側から、外周リング14に向かって放射状に設けられた、弾性を有する複数のスポーク12と、を備えるが、中間リング13は設けられていない実施形態例である。そして、スポーク12に、当該スポーク12の表面から外方へ突出する突部20が設けられている。本実施形態の突部20は、特に限定はされないが、スポーク12と外周リング14との成す角度が鋭角である側の、スポーク12の面に設けられている。
【0017】
本実施形態に係る突部20は、タイヤに輪荷重が作用することでスポーク12が変形した場合に、当該スポーク12が対面するタイヤ要素に当接して所定値以上の変形を抑制する機能を有する。ここで、タイヤ要素とは、本実施形態に係るエアレスタイヤ1を構成する部位、部品又は部材を意味し、この場合のタイヤ要素とは、ホイール11のリム112と外周リング14とスポーク12が該当する。
【0018】
図3A及び図3Bは、エアレスタイヤ1を車両に装着した場合に、エアレスタイヤ1に作用する荷重が大きくなる走行状態の例をそれぞれ示す図であり、図3Aは車両にブレーキ力が作用した制動状態を示し、図3Bは車両が路面の突起を踏んだ状態を示す。図3Aに示す車両の制動状態では、車両の重心CGに作用する前方向への加速度により、前輪タイヤT1の上下荷重F1が増大する。一方、加速状態では後輪タイヤT2の上下荷重F2が増大する。同様に、図示はしないが、車両の旋回状態では、旋回方向の外輪の上下荷重が増大する。このように、車両に作用する前後方向及び左右方向への加速度によって、エアレスタイヤ1へ作用する荷重が大きくなる。
【0019】
また、図3Bには、路面の突起R1を踏んだ時にエアレスタイヤ1に入力する力F3を例示する。同図に示すように、路面にある突起、うねり、凹凸、段差、不整合などを踏むことにより、エアレスタイヤ1の変形が急激に大きくなることもある。なお図示はしないが、突起R1以外の路面のうねりや路面不整などの影響も同様である。
【0020】
図4Aは、本実施形態に係るエアレスタイヤ1に、このような大きな輪荷重が作用した状態を示す部分正面図、図4Bは、スポーク12に突部20を設けていない比較例に係るエアレスタイヤに輪荷重が作用した状態を示す部分正面図であり、いずれも図1のIII部に相当する正面図である。エアレスタイヤ1に輪荷重が作用すると、接地箇所付近のトレッド15、外周リング14及びスポーク12が変形し、衝撃を吸収して乗り心地や走行安定性を維持する。しかしながら、エアレスタイヤ1に、図3A又は図3Bに例示したような大きな輪荷重が作用すると、タイヤの径方向に放射状に設けられたスポークに座屈変形が生じ、図4Bの比較例に示すように、局部的に変形量が大きくなる局所変形部B1,B2が生じる。こうした局所変形部B1,B2の曲率半径が小さくなると、局所変形部の表面歪みが大きくなり、スポーク12が破断することになる。
【0021】
本実施形態のエアレスタイヤ1は、特に限定はされないが、主としてこれらのシーンを想定したものであり、タイヤの変形が大きくなっても、エアレスタイヤ1のスポーク12などのタイヤ要素が破断することを抑制する。すなわち、図4Aに示すようにタイヤに輪荷重が作用することでスポーク12が変形した場合に、スポーク12に形成した突部20が、当該スポーク12が対面するタイヤ要素、図示する例では外周リング14に当接し、所定値以上の変形を抑制する。これにより、図4Bの比較例では局部的に変形量が大きくなる局所変形部B1,B2の表面歪みが所定値以下に抑制される。そして、スポーク12の破断を防止することができ、耐久性が向上する。また、図4Aに示すように突部20が対面するタイヤ要素(外周リング14)に当接するまでの輪荷重に対しては、弾性部材、ここではスポーク12の剛性を適正な値まで下げることができるので、タイヤの上下方向の剛性を適正化することができる。
【0022】
本発明の実施形態に係るエアレスタイヤの荷重-撓み特性を示す図である。横軸は、エアレスタイヤ1の上下方向に作用する輪荷重を示し、縦軸は、横軸の輪荷重が作用したときのエアレスタイヤ1の撓み量を示し、図4Aに示すように突部20が外周リング14に当接するポイントをPとする。同図に示すように、エアレスタイヤ1に作用する輪荷重が0から増加していくと、ポイントPまではこれに比例して撓み量も増加するが、ポイントP以降の輪荷重に対するスポーク12の撓み量(実線で示す。)は、ポイントP以前の撓み量(点線で示す。)に比べて小さくなる。
【0023】
なお、図2に示す第1実施形態において、突部20はスポーク12の一面に設けたが、本発明に係るエアレスタイヤ1の突部20はこれにのみ限定されず、外周リング14に設けてもよい。また、図2に示す第1実施形態において、突部20をスポーク12の一面とその背面とに設けてもよい。
【0024】
《第2実施形態》
図6は、本発明の第2実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図であり、図1のIII部に相当する正面図である。本実施形態のエアレスタイヤ1は、路面に接地するトレッド15の内周側に配置された、弾性を有する外周リング14と、車両に結合されるホイール11の外周側から、外周リング14に向かって放射状に設けられた、弾性を有する複数のスポーク12と、を備え、さらにホイール11とトレッド15の間において、外周リング14と同心円状に、複数のスポーク12と連結して設けられた、弾性を有する中間リング13を有する実施形態例である。そして、スポーク12に、当該スポーク12の表面から外方へ突出する突部20が設けられている。本実施形態の突部20は、特に限定はされないが、スポーク12と中間リング13との成す角度が鋭角である側の、スポーク12の面に設けられている。
【0025】
本実施形態の中間リング13は、スポーク12と同様に弾性を有する熱可塑性樹脂又は弾性を有する熱硬化性樹脂などの弾性材料により構成され、ホイール11とトレッド15の間において、複数のスポーク12と連結して設けられている。中間リング13は、ホイール11及びトレッド15と同心円の筒形状とされ、図1の基本構成を示す正面図においては、2つの中間リング13が設けられているが、一つのエアレスタイヤ1に設けられる中間リング13の個数は特に限定されない。ただし、中間リング13の本数を2本、4本、6本その他の偶数とすることで、タイヤの円周方向の力の均衡が保たれ、タイヤの一周を通して、中間リング13に作用する軸力(圧縮力と引張力)が連続的になり、スポーク12の屈曲部16に作用する荷重をタイヤ全体に分散することができる。その結果、転がり抵抗係数(RRC=Rolling Resistance Coefficient)が低減するという効果がある。
【0026】
本実施形態の一つのスポーク12は、図6の右端のスポーク12に符号12a,12bを付したように、ホイール側の端部12aとトレッド側の端部12bとの間に、これら両端部12a,12bを接続する方向に対して折れ曲がる屈曲部16が形成されている。このスポーク12は、タイヤの回転軸方向(図16の正面視)に見た場合に、ジグザグ状に形成されている。図6の右端のスポーク121について言えば、ホイール側の端部12aからトレッド側の端部12bに向かって、3つの屈曲部16が形成されている。
【0027】
スポーク12の屈曲部16は、その折れ曲がり具合が極端に小さいとスポーク12が屈曲部の間で座屈変形するため、タイヤの円周方向への変形量を規制することができない。そのため、図6に示す屈曲部16の劣角θは、特に限定はされないが120°未満に設定することが望ましい。
【0028】
一つの中間リング13は、ホイール11とトレッド15の間において環状に設けられているため、複数のスポーク12と交差することになるが、本実施形態のエアレスタイヤ1においては、各中間リング13は、各スポーク12と、各屈曲部16において連結されている。すなわち、図6の拡大正面図に示すように、内周側に設けられた中間リング13は、各スポーク12の最も内周側にある屈曲部16に連結され、外周側に設けられた中間リング13は、各スポーク12の次に内周側にある屈曲部16に連結されている。
【0029】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1では、同じ中間リング13と連結されているスポーク12の屈曲部16は、タイヤの円周方向に対して同じ方向に折れ曲がるように形成されている。すなわち、図6の拡大正面図に示すように、内周側に設けられた中間リング13について見ると、この中間リング13に連結された3つのスポーク12の屈曲部16の屈曲方向は、いずれも図6の右に凸とされている。同じように、外周側に設けられた中間リング13について見ると、この中間リング13に連結された3つのスポーク12の屈曲部16の屈曲方向は、いずれも図6の左に凸とされている。
【0030】
本実施形態のように、同じ中間リング13に連結されているスポーク12の屈曲部16を、タイヤの円周方向に対して同じ方向に折れ曲がるように形成する(すなわち、スポーク12のジグザクを同相に設定する)と、スポーク12の屈曲部16の円周方向へ向かう変形方向が、隣接するスポーク12で同じ方向になる。このため、タイヤの1周を通して、中間リング13に作用する軸力(圧縮力と引張力)が連続的になり、スポーク12の屈曲部16に作用する荷重をタイヤ全体に分散することができる。その結果、転がり抵抗係数が低減するという効果がある。なお、本発明に係るエアレスタイヤ1はこの実施形態にのみ限定されず、同じ中間リング13に連結される、対のスポーク12の屈曲部16を、タイヤの円周方向に対して逆方向に折れ曲がるように形成してもよい。
【0031】
このように中間リング13を有するエアレスタイヤ1において、上述した第1実施形態と同様に、スポーク12に、当該スポーク12の表面から外方へ突出する突部20が設けられている。本実施形態に係る突部20は、上述した第1実施形態と同様に、タイヤに輪荷重が作用することでスポーク12が変形した場合に、当該スポーク12が対面するタイヤ要素に当接して所定値以上の変形を抑制する機能を有する。ここで、タイヤ要素とは、本実施形態に係るエアレスタイヤ1を構成する部位、部品又は部材を意味し、本実施形態の場合のタイヤ要素とは、ホイール11のリム112と外周リング14とスポーク12のほか、中間リング13も該当する。
【0032】
そして、タイヤに輪荷重が作用することでスポーク12が変形した場合に、スポーク12に形成した突部20が、当該スポーク12が対面するタイヤ要素、図6に示す例では中間リング13に当接し、所定値以上の変形を抑制する。これにより、図4Bの比較例では局部的に変形量が大きくなる局所変形部B1,B2の表面歪みが所定値以下に抑制され、スポーク12の破断を防止することができ、耐久性が向上する。また、突部20が対面するタイヤ要素(中間リング13)に当接するまでの輪荷重に対しては、弾性部材、ここではスポーク12の剛性を適正な値まで下げることができるので、タイヤの上下方向の剛性を適正化することができる。すなわち、本実施形態のエアレスタイヤ1にあっても、図5に示すように、エアレスタイヤ1に作用する輪荷重が0から増加していくと、ポイントPまではこれに比例して撓み量も増加するが、ポイントP以降の輪荷重に対するスポーク12の撓み量(実線で示す。)は、ポイントP以前の撓み量(点線で示す。)に比べて小さくなる。
【0033】
《その他の実施形態》
上述した第1実施形態のエアレスタイヤ1は中間リング13のない実施形態を示し、第2実施形態のエアレスタイヤ1は中間リング13のある実施形態を示した。以下においては、これら両方のエアレスタイヤ1に突部20を設ける場合の他の実施形態について説明する。図7は、本発明の他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図であり、図7(A)及び(B)は一つの中間リング13と1つのスポーク12を示し、図7(C)及び(D)は、2つの中間リング13と2つのスポーク12を示す。
【0034】
図7(A)に示す実施形態の突部20は、スポーク12の屈曲部16の近くであって、当該スポーク12の一の面(図示する右側の面)に設けられている。図7(B)に示す実施形態の突部20は、スポーク12の屈曲部16の近くであって、中間リング13の両方の面(上面及び下面)に設けられている。図7(C)に示す実施形態の突部20は、スポーク12の屈曲部16の近くであって、当該スポーク12の両方の面(図示する右側の面と右側の面)に設けられている。図7(D)に示す実施形態の突部20は、スポーク12の屈曲部16の近くであって、中間リング13の両方の面(上面及び下面)に設けられている。これら図7に示すように、本実施形態のエアレスタイヤ1では、スポーク12又は中間リング13の少なくともいずれかに突部20を設けることができる。これらの突部20は、上述した第1実施形態及び第2実施形態のエアレスタイヤ1と同様、大きな輪荷重が作用した時に、突部20に対向するタイヤ要素に当接することにより、局所変形部B1,B2の曲率半径が小さくなることを抑制する。
【0035】
本発明に係るエアレスタイヤにおいて、突部20はスポーク12又は中間リング13の何れに設けてもよい。ただし、中間リング13は、半径方向に延びるスポーク12が変形すると、そのスポーク12の変形が中間リング13に伝達され、タイヤ上下方向の荷重を中間リング13への圧縮変形や引張り変形を介して、タイヤの円周方向に分散させる役割がある。そのため、中間リング13の表面に突部20を設けると、中間リング13の軸力の中立軸が、中間リング13の中心位置から上又は下にずれてしまうため、圧縮時に座屈し易くなる。したがって、特に限定はされないが、座屈変形の観点から、突部20はスポーク12側に設けることがより好ましいと言える。
【0036】
図8(A)~(D)は、本発明の他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図である。本発明に係る突部20は、それが対面するタイヤ要素に、当該突部20に当接する他の突部20を設けてもよい。図8(A)~(D)は、2つの中間リング13と2つのスポーク12を示し、本実施形態の突部20は、2つのスポーク12の対向する面にそれぞれ設けられている。本実施形態の突部20の形状は特に限定されず、図8(A)に示すような先端が円弧状の突部20、図8(B)に示すような先端が矩形の突部20、図8(C)に示すような先端が円弧状の突部20と矩形の突部20との組み合わせ、図8(D)に示すような先端が円弧状の突部20と先端が当該突部20を受容する凹状の突部20など、いずれの組合せであってもよい。ただし、突部20の先端が鋭利な形状の場合は、接触した面に傷が付いて亀裂の起点となってしまうことがあるため、円弧状など、できるだけ接触面積が広く確保できる形状とすることが好ましい。矩形形状であっても、コーナを面取り加工することがより好ましい。また、図8(D)に示すように突部20の先端を凸凹形状にして互いに組み合わさるようにすると、突部20同士が接触した時に横にずれるのを防止できるため、制動時により大きな反力を生成することができる。
【0037】
図9は、隣接するスポーク12の対向する位置に設けられた突部20を示す拡大正面図である。同図に示すように、タイヤの上下方向の輪荷重が増大して変形が大きくなった場合、対向位置にある突部20と突部20が接点P1で接触する。接点P1で生じた接触反力は、上下方向成分と前後方向成分に分解される。そのため、上下方向の変形で生じた接触力を前後方向に分解することができ、タイヤに制動力が作用して突部20の接点P1に剪断力F21,F22が作用しても、突部20の接触により剪断力F21,F22に抵抗する反力が生じる。このように隣接するスポーク12の対向する位置に突部20,20を設けると、車両が制動状態にあり前輪の荷重が増加してタイヤの変形量が大きくなった状態で突部20同士が接触し、そこにさらに制動力が作用すると、突部20同士が引っかかって反力が生じる。これにより、タイヤが進行方向にずれて潰れることを抑制することができる。このとき、対向位置にある突部20同士が必ず接触するようにするためには、タイヤ半径方向に延びるスポークの間隔L1と、タイヤの円周方向に延びる中間リング13の間隔L2の関係を、L2>L1に設定すればよい。
【0038】
図10(A)及び(B)並びに図11(A)及び(B)は、本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図であり、タイヤ要素であるスポーク12と中間リング13を模式的に示している。本実施形態の突部20は、タイヤに大きな輪荷重が作用して図4Aに示すように変形する場合、突部20の高さHとスポーク12への形成位置(M2/M1)とによって、突部20が対面するタイヤ要素に接触するまでのスポーク12の可動範囲αが異なることになる。図10(A)及び(B)は、突部20のスポーク12への形成位置を同じ位置としたうえで、突部20の高さHを相対的に高くした場合(図10(A))と、相対的に低くした場合(図10(B))を示し、図11(A)及び(B)は、突部20の高さを同じ高さとしたうえで、突部20のスポーク12への形成位置を一方の屈曲部16から相対的に近い位置にした場合(図11(A))と、相対的に遠い位置にした場合(図11(B))を示す。
【0039】
図10(A)及び(B)に示すように、突部20のスポーク12への形成位置、たとえば、2つの中間リングの間にあるスポーク12の一方の端部から突部20までの距離が同じ場合、図10(A)に示すように突部20の高さHが高い方が、スポーク12の可動範囲αが小さくなり、図10(B)に示すように突部20の高さHが低い方が、スポーク12の可動範囲αが大きくなる。また、図11(A)及び(B)に示すように、突部20の高さHが同じ場合、図11(A)に示すように突部20のスポーク12への形成位置が、一方の屈曲部16に近い方が、スポーク12の可動範囲αが小さくなり、図11(B)に示すように突部20のスポーク12への形成位置が、一方の屈曲部16から遠い方が、スポーク12の可動範囲αが大きくなる。このように、なお、突部20の高さHとスポーク12への形成位置(M2/M1)のそれぞれは、図10及び図11に示す特性を有するので、図示はしないが、突部20の高さHとスポーク12への形成位置(M2/M1)とを種々に組合せることで、スポーク12の可動範囲αを種々の値に設定することができる。
【0040】
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分正面図であり、タイヤ要素であるスポーク12と中間リング13を模式的に示している。本実施形態のエアレスタイヤ1は、ホイール11のリム112と外周リング14との間に3つの中間リング13が設けられ、リムから外周リング14に向かってジグザグ状のスポーク12が設けられ、スポーク12の屈曲部16において、スポーク12と3つの中間リング13とが接続されている。このようなエアレスタイヤ1において、図10及び図11に示す突部20の高さHと形成位置(M2/M1)との特性を利用し、リム112と外周リング14との間のスポーク12(3つの屈曲部16にて4つに分割された各スポーク12を単位スポークともいう。)に4つの突部20が形成されている。
【0041】
図示する例では、スポーク12への形成位置を同じ位置にしたうえで、タイヤの外周側の突部20の高さHが最も高く、タイヤの内周側の突部20の高さHが最も低くなるように形成されている。このよう突部20の高さHを設定すると、タイヤの外周側のスポーク12の可動範囲αが最も小さく、タイヤの内周側のスポーク12の可動範囲αが最も大きくなる。その結果、路面からタイヤに作用する力に対し、4つの突部20が対面するタイヤ要素(ここでは中間リング13と外周リング14)に接触するタイミングがずれる。具体的には、外周側の突部20から順に接触していくので、タイヤの剛性を段階的に変化させることができる。すなわち、図3Aに示す急制動時や図3Bに示す段差乗り越し時などに大きな衝撃力がタイヤに入力され、それがドライバーや乗員に不快な衝撃力として伝わることを抑制することができる。
【0042】
図13は、図12の実施形態に係るエアレスタイヤの荷重-撓み特性を示す図であり、比較例と共に示している。符号N1で示すプロファイルは、突部20が一つの場合の比較例を示し、突部20が対面するタイヤ要素に接触すると、●印で示す点から反力が変化して剛性が不連続に変化する。これに対し、図12に示す実施形態のように突部20を4つ設け、それらを順番に接触させるようにすると、符号N2で示すプロファイルは、●印で示す4つの不連続点を伴いながらもプロファイルN1よりも滑らかに変化する。さらに、突部20の数を増やすと、符号N3で示すようにそのプロファイルはより一層滑らかになる。
【0043】
図14図16は、本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分斜視図である。同図に示すように、スポーク12は、タイヤの幅方向に板状に延在するタイヤ要素であるため、突部20をスポーク12に設ける場合、図14に示すように、タイヤの内周側と外周側との間の全部に、連続的に隆起する峰状の突部20に形成することができる。またはこれに代えて、図15に示すように、タイヤの内周側と外周側との間の一部に、連続的に隆起する峰状の突部20に形成することができる。この場合、タイヤの内周側又は外周側の端部を含むことがより好ましい。
【0044】
またはこれに代えて、図16に示すように、一つのスポーク12に設ける複数の突部20が、タイヤの内周側又は外周側の端部を含むタイヤの内周側と外周側との間の一部に設けられ、そのうちの一つが、内周側の端部を含むと、それに隣り合う他の突部20が外周側の端部を含むよう、互い違いに突部20を設けてもよい。
【0045】
図17は、本発明のさらに他の実施形態に係るエアレスタイヤを示す部分斜視図であり、タイヤの円周方向に配置されたくの字状のスポーク12のうち隣り合う2つのスポーク12のみを示す。それぞれのスポーク12には、峰状の突部20が設けられ、隣り合うスポーク12に設けられた突部20は、互いに対向する位置に設けられている。この構成は、図9に示す対向位置に取り付けた突部20同士が接触する効果を、タイヤの幅方向に適用したものである。このようにすると、タイヤの上下方向の軸周りにねじり変形力が作用した場合に、突部20の接触による反力の方向が反転するので、上下方向の軸周りのねじり変形を妨げる方向の反トルクが発生する。これにより、ねじり変形座屈を防止することができる。
【0046】
以上のとおり、本実施形態のエアレスタイヤ1は、路面に接地するトレッド15の内周側に配置された、弾性を有する外周リング14と、車両に結合されるホイール11の外周側から、外周リング14に向かって放射状に設けられた、弾性を有する複数のスポーク12と、を備え、対面するタイヤ要素に当接して所定値以上の変形を抑制する突部20が、スポーク12又は外周リング14の少なくとも一方に設けられているので、所定以上の輪荷重が作用してタイヤが弾性変形すると、突部20が、対面するタイヤ要素に当接してさらなる弾性変形を抑制するので、スポーク12などの弾性部材の耐久性が高くなる。一方において、突部20が対面するタイヤ要素に当接するまでの輪荷重に対しては、スポーク12などの弾性部材の剛性を適正な値まで下げることができるので、タイヤの上下方向の剛性を適正化することができる。
【0047】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1は、ホイール11とトレッド15の間において、外周リング14と同心円状に、複数のスポーク12と連結して設けられた、弾性を有する中間リング13をさらに備え、突部20が、中間リング13に設けられているので、所定以上の輪荷重が作用してタイヤが弾性変形すると、突部20が、対面するタイヤ要素に当接してさらなる弾性変形を抑制するので、スポーク12などの弾性部材の耐久性が高くなる。一方において、突部20が対面するタイヤ要素に当接するまでの輪荷重に対しては、スポーク12などの弾性部材の剛性を適正な値まで下げることができるので、タイヤの上下方向の剛性を適正化することができる。
【0048】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1において、突部20は、当該突部20が対面するタイヤ要素に当接してからの、輪荷重に対する突部20が設けられた部材の撓み量が、突部20が対面するタイヤ要素に当接するまでの、輪荷重に対する突部20が設けられた部材の撓み量に比べて小さくなるように、設けられているので、スポークなどの弾性部材の耐久性がより一層高くなり、タイヤ上下方向の剛性がより一層適正にすることができる。
【0049】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1においては、突部20は、スポーク12と外周リング14との成す角度が鋭角である側の、スポーク12の面又は外周リング14の面に設けられているので、スポークなどの弾性部材の耐久性がより一層高くなり、タイヤ上下方向の剛性がより一層適正にすることができる。
【0050】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1において、突部20は、スポーク12と中間リング13との成す角度が鋭角である側の、スポーク12の面又は中間リング13の面に設けられているので、スポークなどの弾性部材の耐久性がより一層高くなり、タイヤ上下方向の剛性がより一層適正にすることができる。
【0051】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1は、対面するタイヤ要素に、突部20に当接する他の突部20が設けられているので、車両が制動状態にあり前輪の荷重が増加してタイヤの変形量が大きくなった状態で突部20同士が接触し、そこにさらに制動力が作用すると、突部20同士が引っかかって反力が生じる。これにより、タイヤが進行方向にずれて潰れることを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1において、スポーク12は、当該スポーク12と中間リング13との接続部のホイール側及びトレッド側のそれぞれに、突部20を有し、これらホイール側の突部20とトレッド側の突部20は、高さが異なるので、タイヤの上下方向の輪荷重が増加してタイヤが変形する場合に、突部20が対向するタイヤ要素に接触するタイミングがずれ、これによりタイヤの剛性変化を滑らかにすることができる。この場合において、トレッド側の突部20をホイール側の突部20より高くすれば、より一層タイヤの剛性変化を滑らかにすることができる。
【0053】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1において、スポーク12は、当該スポーク12と中間リング13との接続部のホイール側及びトレッド側のそれぞれに、突部20を有し、これらホイール側の突部20とトレッド側の突部20は、当該突部20が設けられた単位スポーク12における形成位置が異なるので、タイヤの上下方向の輪荷重が増加してタイヤが変形する場合に、突部20が対向するタイヤ要素に接触するタイミングがずれ、これによりタイヤの剛性変化を滑らかにすることができる。この場合において、トレッド側の突部20をホイール側の突部20よりドレッド側に近くすれば、より一層タイヤの剛性変化を滑らかにすることができる。
【0054】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1において、突部20は、タイヤの幅方向に延在する峰状突部を含むので、タイヤにキャンバ変化が生じた場合に、タイヤのショルダー部の一部だけが極度に変形するのを抑制でき、タイヤの接地面積を確保することができる。また、タイヤの幅方向に突部20を連続させることによって、タイヤに横力が生じた場合のスポーク12の面内剛性を高めることができ、タイヤの上下方向の軸周りに生じるねじり剛性を高めることもできる。
【0055】
また、本実施形態のエアレスタイヤ1において、峰状の突部20のタイヤの幅方向における形成位置と、これに隣接する峰状の突部20のタイヤの幅方向における形成位置は、異なるので、タイヤの上下方向の軸周りにねじり変形力が作用した場合に、突部20の接触による反力の方向が反転する。これにより、上下方向の軸周りのねじり変形を妨げる方向の反トルクが発生するので、ねじり変形座屈を防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…エアレスタイヤ
11…ホイール
111…ディスク
112…リム
113…溝
12…スポーク
12a…ホイール側の端部
12b…トレッド側の端部
13…中間リング
14…外周リング
15…トレッド
16…屈曲部
20…突部
R1…路面の突起
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17