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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140604
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】櫛
(51)【国際特許分類】
   A45D 24/00 20060101AFI20241003BHJP
   A45D 24/36 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A45D24/00 L
A45D24/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051807
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】523113641
【氏名又は名称】O・S・P株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 オサム
(57)【要約】
【課題】ヘアブリーチ、ヘアカラー及びヘアトリートメントなどの薬剤を髪に塗布する施術において、櫛で髪を梳かす際に、櫛に髪が引っかかったり絡まったりしやすく、被施術者は施術中に髪や頭皮が引っ張られて痛みを感じたり、施術者は力を入れて何度も櫛で髪を梳かさなければならず手や手首への負担が大きいという問題を解消する。
【解決手段】本願発明の櫛10は、長手方向に延びるベース体11と、ベース体11における一方の長手側面に多数本の櫛歯21を立設してなる櫛歯部20を備える。櫛歯部20は、隣接する複数本の櫛歯21のまとまりである櫛歯群22を複数組有する。隣り合う櫛歯群22,22同士の並び間隔Qは、隣り合う櫛歯21,21同士の並び間隔Pよりも広い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びるベース体と、前記ベース体における一方の長手側面に多数本の櫛歯を立設してなる櫛歯部を備えた櫛であって、
前記櫛歯部は、隣接する複数本の前記櫛歯のまとまりである櫛歯群を複数組有しており、
隣り合う前記櫛歯群同士の並び間隔は、隣り合う前記櫛歯同士の並び間隔よりも広い、
櫛。
【請求項2】
前記櫛歯群は、先端櫛歯群、中間櫛歯群、基端櫛歯群とに分かれており、
前記先端櫛歯群は、前記中間櫛歯群よりも櫛歯数が多いことを特徴とする、
請求項1に記載した櫛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪を梳かしたり髪に薬剤を塗布したりする理美容用の櫛に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な理美容用の櫛は、理美容業界のみならず一般家庭においても幅広く普及している。例えば、髪を整えるための一般的な櫛は、櫛歯を一定間隔に並列配置したものが主流である。他にも、様々な目的に合わせて形状や素材が異なる種々の櫛が流通している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3132022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、ヘアブリーチ、ヘアカラー及びヘアトリートメントなどの薬剤を髪に塗布する施術に用いられる櫛は、櫛歯の目が細かいものが主流である。この種の櫛は、狭い一定間隔で細い櫛歯が並列配置されている。当該櫛は、髪をしっかりキャッチするため髪の根元から先端まで薬剤をまんべんなく広げて塗布することができる。しかし、施術時に当該櫛で髪を梳かす際、櫛に髪が引っかかったり絡まったりしやすいという問題があった。
【0005】
本願発明は、上記のような現状を検討して改善を施した理美容用の櫛を提供することを技術的課題とする。
【0006】
本願発明の櫛は、長手方向に延びるベース体と、ベース体における一方の長手側面に多数本の櫛歯を立設してなる櫛歯部を備えた櫛であって、櫛歯部は、隣接する複数本の櫛歯のまとまりである櫛歯群を複数組有しており、隣り合う櫛歯群同士の並び間隔は、隣り合う櫛歯同士の並び間隔よりも広いというものである。
【0007】
本願発明の櫛において、櫛歯群は、先端櫛歯群、中間櫛歯群及び基端櫛歯群とに分かれており、先端櫛歯群は、中間櫛歯群よりも櫛歯数が多くあってもよい。
【0008】
本願発明によると、絡まった髪や余分な薬剤の逃げ場となる隙間を櫛歯部に適宜設けることになるため、櫛に髪が引っかかったり絡まったりすることなく、優しくスムーズに髪を梳かすことができる。被施術者(例えば理美容店の顧客)は施術中に髪や頭皮が引っ張られることなく痛みを感じにくい。また、軽い力で髪を梳かすことができるため、施術者(例えば理美容師)の手や手首への負担が軽減される。さらに、髪のダメージを最小限に抑えながら短時間でムラ無く髪に薬剤を塗布することができるため施術の効率や品質も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願発明に係る第1実施形態の概略図である。
図2】本願発明に係る第1実施形態の一部拡大概略図である。
図3】本願発明に係る第1実施形態の別例を示す一部拡大概略図である。
図4】本願発明に係る第2実施形態の概略図である。
図5】本願発明に係る第3実施形態の概略図である。
図6】本願発明に係る第4実施形態の概略図である。
図7】本願発明に係る櫛の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、下記の説明において上下、左右などの方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
<第1実施形態>
本願発明の第1実施形態について、図1~3を用いて説明する。図1に示すように、第1実施形態の櫛10は、長手方向に延びるベース体11を基本として備えている。ベース体11は、把持部30と櫛歯部20とを備えている。第1実施形態では、長手方向に延びるベース体11の一方(一端部)に把持部30が、他方(他端部)に櫛歯部20が設けられている。
【0012】
把持部30は、長手方向に延びるベース体11の一方(柄先30a側)に構成されており、櫛10を手で握ったり髪を仕分けたりする部分である。例えば図1に示すように把持部30の形状は、把持部30の柄先30aに向かって細くなった棒状で合ってもよいし、平板状、角状又は丸状などの他の形状であっても構わない。
【0013】
櫛歯部20は、長手方向に延びるベース体11の他方(把持部30の反対側又は頭部20a側)に設けられており、髪を梳かしたり髪に薬剤を塗布したりする部分である。櫛歯部20は、ブラシ毛23と櫛歯21とを備えている。第1実施形態では、櫛歯部20の一方の長手側面にブラシ毛23が、他方の長手側面に櫛歯21が設けられている。すなわち櫛歯部20には、櫛歯21とブラシ毛23が背中合わせに設けられている。
【0014】
櫛歯部20の一方の長手側面に、櫛歯部20(ベース体11)の長手方向と交差するように多数本のブラシ毛23が立設されている。当該ブラシ毛23は、ヘアブリーチなどの薬剤をすくいとって髪に塗布する部分である。ブラシ毛23はナイロンなどの人工毛や動物毛などの天然毛であってもよい。また、ブラシ毛23は木製や金属製のピン(細い棒)状などの他の形状であっても構わない。
【0015】
櫛歯部20の他方(ブラシ毛23の背面側)の長手側面に、櫛歯部20(ベース体11)の長手方向と交差するように多数本の櫛歯21が立設されている。当該櫛歯21は、髪を梳かしたり髪に薬剤を馴染ませたりする部分である。櫛歯21の形状は、細い棒状であってもよいし平板状などであってもよい。また、櫛歯21の先端の形状は、尖っていてもよいし丸まっていても構わない。
【0016】
櫛歯部20は、隣接する複数本の櫛歯21のまとまりである櫛歯群22を複数組有している。各櫛歯群22は、所定本数の櫛歯21で構成されている。櫛歯群22は、先端櫛歯群22a、中間櫛歯群22b及び基端櫛歯群22cに分けられている。例えば図1~2に示すように、第1実施形態では、柄先30aの反対側(頭部20a)から下に向かって順に、先端櫛歯群22a、中間櫛歯群22b、基端櫛歯群22cが設けられている。
【0017】
図1~2に示すように先端櫛歯群22aは、櫛10の先端部(頭部20a付近)に1組設けられている。先端櫛歯群22aを構成する櫛歯21の本数(N本)は、各中間櫛歯群22bを構成する櫛歯21の本数(N本)よりも多い(N>N)。櫛10の先端部に位置する先端櫛歯群22aは、他の櫛歯群22b,22cよりも櫛歯21の本数が多く目が詰まっているため、髪の生え際などの細かい部分にも薬剤を塗布することができる。
【0018】
図1~2に示すように複数組の中間櫛歯群22bは、先端櫛歯群22aと基端櫛歯群22cとの間に設けられている。すなわち、中間櫛歯群22bは複数組であっても構わない。各中間櫛歯群22bを構成する櫛歯21の本数は、先端櫛歯群22aを構成する櫛歯21の本数よりもよりも少ない(N<N)とよい。各中間櫛歯群22bは先端櫛歯群22aよりも櫛歯21の本数が少ないことで、櫛歯部20に櫛歯21が密集した部分(先端櫛歯群22a)と散在した部分(複数組の中間櫛歯群22b)が構成される。これにより、櫛10で髪を梳かす際に、髪が逃げる隙間Sと、髪をしっかりキャッチする隙間Tの両方が適宜設けられることとなる。
【0019】
図1~2に示すように基端櫛歯群22cは、櫛歯部20の把持部30側に1組設けられている。上記櫛歯21の本数の関係(N>N)を前提として、基端櫛歯群22cを構成する櫛歯21の本数(N本)は、先端櫛歯群22aを構成する櫛歯21の本数よりも少ない又は同一(N≦N)であっても構わない。
【0020】
図1~2に示すように、第1実施形態の櫛歯部20は、1組の先端櫛歯群22a、4組の中間櫛歯群22b、1組の基端櫛歯群22cで構成されている。当該各櫛歯群22を構成する櫛歯21の本数は、先端櫛歯群22aが5本、中間櫛歯群22bが3本、基端櫛歯群22cが4本である。なお、櫛歯部20を構成する櫛歯群22の組数、各櫛歯群22を構成する櫛歯21の本数並びにこれらの組合せは上記に限らず適宜変更可能である。
【0021】
図1~2に示すように櫛歯部20の両端部に位置する櫛歯21a,21bは、他の櫛歯21と異なる形状又は大きさの櫛歯21であっても構わない。例えば第1実施形態のように、櫛歯21a,21bを他の櫛歯21よりも厚みを持たせた場合、櫛10使用時に櫛歯21が折れにくくなる。また、先端櫛歯群22aを構成する櫛歯21aの直径を他の櫛歯群よりも大きくすることで、髪の生え際などの細かい部分にも薬剤を塗布しやすい。
【0022】
図1~2に示すように基端櫛歯群22cを構成する各櫛歯21は、それぞれ異なる長さであっても構わない。例えば、基端櫛歯群22cを構成する各櫛歯21の長さを把持部30に近づくにつれて短くする。こうすると、把持部30の櫛歯部20に近い側(長手方向に延びるベース体11の中央部)を手で握った場合、基端櫛歯群22cを構成する各櫛歯21が手に当たりにくくなる(刺さりにくくなる)。なお、櫛歯郡22を構成する櫛歯21の形状、大きさなどは上記に限らない。例えば先端櫛歯群22aを構成する各櫛歯21は、他の櫛歯群22b,22cを構成する各櫛歯21よりも長くても構わない。
【0023】
図2で示すように、第1実施形態の櫛歯群22は、所定の並び間隔Qで配置されている。また、当該各櫛歯群22を構成する櫛歯21は、所定の並び間隔Pで配置されている。並び間隔Qは隣り合う櫛歯群22,22同士の隙間Sの幅方向(並び方向)の長さである。また、並び間隔Pは各櫛歯群22内で隣り合う櫛歯21,21同士の隙間Tの幅方向(並び方向)の長さである。
【0024】
隣り合う櫛歯群22,22同士の並び間隔Qは、各櫛歯群22内で隣り合う櫛歯21,21同士の並び間隔Pよりも広い(Q>P)。換言すると、隣り合う櫛歯21,21同士の隙間Sは、各櫛歯群22内で隣り合う櫛歯21,21同士の隙間Tよりも大きい(S>T)。隙間Tよりも大きい隙間Sは、絡んだ髪や余分な薬剤の逃げ場となる。これにより、櫛10に髪が引っかかったり絡まったりすることなく、髪を梳かすことができる。隙間S(並び間隔Q)又は隙間T(並び間隔P)は、図1~2に示すように一定の大きさであってもよいし、図3に示すように異なる大きさであってもよい。
【0025】
図3に示すのは第1実施形態の別例である。当該別例に示すように櫛歯部20は、1組の先端櫛歯群22a、5組の中間櫛歯群22b1組の基端櫛歯群22cで構成されている。当該各櫛歯群22を構成する櫛歯21の本数は、先端櫛歯群22aが6本、中間櫛歯群22bが2本、中間櫛歯群22bが4本、中間櫛歯群22bが3本、中間櫛歯群22bが4本、中間櫛歯群22bが2本、基端櫛歯群22cが5本である。
【0026】
櫛歯部20を構成する隙間S(並び間隔Q)の大きさは一定でなくてもよい。例えば図3で示すように、中間櫛歯群22bと中間櫛歯群22bとの隙間S2(並び間隔Q2)は、各櫛歯群同士の他の隙間S1(並び間隔Q1)と異なる大きさであっても構わない。なお、櫛歯部20を構成する櫛歯群22の組数、各櫛歯群22を構成する櫛歯21の本数、隙間S(間隔Q)の大きさ並びにこれらの組合せは上記に限らず適宜変更可能である。
【0027】
並び間隔Q(隙間S)は、並び間隔Pの2倍から3倍程度が好ましい。例えば図3に示すように、並び間隔Q1は並び間隔Pの2倍、並び間隔Q2は並び間隔Pの3倍であっても構わない。並び間隔Q(隙間S)が狭すぎる場合(例えば、並び間隔Pと同一程度)、髪の逃げ場がなくなり櫛10に髪が引っかかったり絡まったりしやすくなる。また、並び間隔Qが広すぎる場合、櫛10が髪をキャッチできずに髪を梳かすことができなくなる。なお、隙間S(並び間隔Q)の大きさは、櫛歯部20を構成する櫛歯群22の組数、各櫛歯群22を構成する櫛歯21の本数などにあわせて適宜変更可能である。
【0028】
実施形態1の櫛10は、絡まった髪や余った薬剤の逃げ場となる広い隙間S(並び間隔Q)を適宜有しているため、櫛10に髪が引っかかったり絡まったりすることなく、優しくスムーズに髪を梳かすことができる。被施術者は施術中に髪や頭皮が引っ張られることなく痛みを感じにくい。また、軽い力で髪を梳かすことができるため、施術者の手や手首への負担が軽減される。さらに、髪のダメージを最小限に抑えながら短時間でムラ無く髪に薬剤を塗布することができるため施術の効率や品質も向上する。
【0029】
<第2実施形態>
本願発明の第2実施形態について図4を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構造及び作用については上記で説明したとおりであるため、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。第2実施形態に係る櫛10は、上記第1実施形態に係る櫛10の櫛歯部20に設けられたブラシ毛23の構成がないものである。図4に示すように、長手方向に延びるベース体11の一方(把持部30の反対側又は頭部20a側)に設けられている櫛歯部20は、櫛歯21を有している。すなわち、櫛歯部20の一方長手側面に櫛歯21が設けられている。多数本の櫛歯21は、櫛歯部20の一方の長手側面に、櫛歯部20(ベース体11)の長手方向と交差するように立設されている。
【0030】
<第3実施形態>
本願発明の第3実施形態について図5を用いて説明する。なお、第1~2実施形態と同様の構造及び作用については上記で説明したとおりであるため、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。第3実施形態に係る櫛10は、上記第2実施形態に係る櫛10のベース体11を構成する把持部30がないものである。図5に示すように、ベース体11は櫛歯部20が構成されている。すなわち、櫛歯部20(ベース体11)の一方の長手側面に、櫛歯部20(ベース体11)の長手方向と交差するように多数本の櫛歯21が立設されている。
【0031】
<第4実施形態>
本願発明の第4実施形態について図6を用いて説明する。なお、第1~3実施形態と同様の構造及び作用については上記で説明したとおりであるため、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。第4実施形態に係る櫛10は、上記第1~3実施形態に係る櫛10のベース体11に構成された櫛歯部20又は把持部30に滑り止め40が備わったものである。滑り止め40は、様々な凹凸加工によるものであってもよい。
【0032】
例えば図6(A)(B)に示すように、櫛歯部20及び把持部30の両方に滑り止め40を備えてもよいし、図6(C)(D)に示すように、把持部30又は櫛歯部20のどちらか一方にのみ滑り止め40を備えてもよい。滑り止め40は、曲線状や直線状の凹凸(段差や溝)であってもよいし(図6(A)(B)参照)、微細な凹凸(ざらつき)や突起であってもよい(図6(C)(D)参照)。なお、滑り止めの位置、範囲(面積の大きさ)は、上記実施形態に限らず適宜変更可能である。また、凹凸の形状又は模様は、上記実施形態に限らず種々変更しても構わない。
【0033】
図7は、上記各実施形態に係る櫛10の使用例を示すものである。第一に、薬剤を髪に塗布する前に、櫛歯21で髪を梳かして解す。櫛歯部20は異なる大きさの隙間S,Tを適宜設けているため、様々な髪質(毛髪の太さ、硬さ、量など)、髪の状況(乾いた髪や濡れた髪、薬剤が塗布された髪など)、施術(ヘアブリーチ、ヘアカラー、トリートメント、ヘアセットやヘアアレンジなど)に1本の櫛10で対応することができる。例えば、傷んでいて梳かしにくい(櫛10に絡まりやすい)髪の場合、櫛歯部20に広めの隙間S(並び間隔Q)を適宜有していることで、絡んだ髪を広い隙間S(並び間隔Q)で逃がしつつ狭い隙間T(並び間隔P)で整えることができる。このように、様々な髪質や施術にあわせて、櫛歯部20を構成する櫛歯群22の組数や各櫛歯群22を構成する櫛歯21の本数並びに当該櫛歯群から構成される隙間Sの大きさを適宜変更することができる。
【0034】
第二に、ブラシ毛23で薬剤をすくいとって髪に塗布する。ブラシ毛23は櫛歯21よりも目が詰まっている(隙間が少ない)ため、液垂れすることなく薬剤をすくいとることができる。また、櫛10の先端部(頭部20a近辺)に設けられた先端櫛歯群22aは、他の櫛歯群22b,22cよりも櫛歯21の本数が多い(目が詰まっている)ため、先端櫛歯群22aを用いて薬剤をすくいとって髪に塗布することも可能である。
【0035】
第三に、櫛歯21で髪に付着した薬剤をまんべんなく伸ばしながら馴染ませる。例えば把持部30(柄先30a)で髪を適量にとりわけながら(ブロッキングしながら)施術することで、より髪全体にムラなく薬剤を塗布することができる。また、他の櫛歯群22b,22cよりも櫛歯21の本数が多い先端櫛歯群22aを用いることで、髪の生え際(根元)や顔回りなどの薬剤を塗りにくい細かい部分の施術も容易にすることができる。
【0036】
櫛10は、理美容師などの専門技術を有する者以外であっても使用することができる。例えば、図7(A)に示すように施術者H1(例えば理美容師)が櫛10で被施術者H2(例えば理美容店の顧客)の髪を施術してもよい。また、図7(B)に示すように、自宅などで自分の髪を自分で施術するセルフケアにも櫛10を使用することができる。
【0037】
以上のことから明らかなように、実施形態に係る櫛10は櫛歯部20に広い隙間S(間隔Q)を適宜設けている。当該隙間S(並び間隔Q)は髪や薬剤の逃げ場となり、櫛10に髪が引っかかったり絡まったりすることなくスムーズに髪を梳かすことができる。従って、ヘアブリーチ、ヘアカラー及びヘアトリートメントなどの薬剤を髪に塗布する際にも、当該隙間S(間隔Q)が絡まった髪や余分な薬剤の逃げ場となって、櫛10に髪が引っかかったり絡まったりすることなく施術を行うことができる。
【0038】
被施術者は櫛10に髪が絡まったり引っかかったりすることがないため、施術中に髪や頭皮が引っ張られることなく痛みを感じにくい。また、髪に強い負荷がかかったり髪が千切れたりすることが減り、施術者の髪へのダメージも軽減される。施術者は軽い力で優しく髪を梳かすことができ、髪を梳かす回数も減る。これにより、短時間で効率良く施術が行えるため、施術者の手や手首への負担が軽減される。このように、髪が逃げる隙間S(並び間隔Q)と髪をしっかりキャッチする隙間T(並び間隔P)の両方が適宜設けられるため、髪や頭皮へのダメージを最小限に抑えながら短時間でムラ無く髪に薬剤を塗布することができるため、施術の効率や品質も向上する。
【0039】
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば他の実施形態として、ベース体11、把持部30、櫛歯21の形状が異なるものであってもよい。また、櫛10の櫛歯部20を構成する櫛歯群22の組数、各櫛歯群22を構成する櫛歯21の本数、隙間S(並び間隔Q)の大きさは適宜変更可能である。櫛10全体の大きさや厚さなどは問わない。櫛10の素材の種類は問わない。櫛10の素材は例えば、プラスチック製、シリコン製、木製、竹製、金属製などであっても構わない。
【符号の説明】
【0040】
10 櫛
11 ベース体
20 櫛歯部
20a 頭部
21 櫛歯
22 櫛歯群
22a 先端櫛歯群
22b 中間櫛歯群
22c 基端櫛歯群
23 ブラシ毛
30 把持部
30a 柄先
40 滑り止め
P,Q 並び間隔
S,T 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7