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  • 特開-ワイパー装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140613
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ワイパー装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/08 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B60S1/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051829
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英徳
(72)【発明者】
【氏名】盛田 征嗣
(72)【発明者】
【氏名】松本 望
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 茂
(72)【発明者】
【氏名】堀部 誠
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AC01
3D225AD02
3D225AD09
3D225AE47
3D225AE57
3D225AE66
3D225AE71
3D225AG05
3D225AG26
(57)【要約】
【課題】払拭範囲の端部に隣接して堆積する異物を除去することが可能なワイパー装置を提供する。
【解決手段】ワイパー装置10は、ワイパーブレード30のウィンドウW1に対する接触押圧を減ずるリフト機構70と、ワイパーアーム20の往復運動による払拭範囲R1につき、少なくとも起立側の端部R11よりも外側に、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40を移動させて端部付加領域R13を付加する払拭範囲拡張機構80と、制御部90と、を有し、制御部90は、所定条件に応じて異物除去動作を実行し、異物除去動作には、リフト機構70を作動させると共に、払拭範囲拡張機構80を作動させて払拭範囲R1の起立側の端部R11の外側に端部付加領域R13を付加する動作と、リフト機構70を作動させて接触押圧を減じた状態を解除する動作と、モータ60を駆動させてワイパーゴム40によるウィンドウW1の払拭動作と、が含まれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィンドウに接触するワイパーゴムが取り付けられるワイパーブレードと、当該ワイパーブレードが取り付けられるワイパーアームと、前記ワイパーアームを前記ワイパーブレードの払拭範囲の両端間で反転して往復運動させることで前記ウィンドウの拭き上げ作動と拭き降ろし作動を実行させる駆動源とを備えるワイパー装置であって、
前記ワイパーブレードの前記ウィンドウに対する接触押圧を減ずるリフト機構と、
前記ワイパーアームの往復運動による払拭範囲につき、少なくとも前記ワイパーブレードおよび前記ワイパーゴムが起立した起立側の端部よりも外側に、前記ワイパーブレードおよび前記ワイパーゴムを移動させて、前記払拭範囲を拡張して端部付加領域を付加する払拭範囲拡張機構と、
前記リフト機構および前記払拭範囲拡張機構の作動を制御し、所定条件に応じて異物除去動作を実行し、前記異物除去動作には、前記リフト機構を作動させて前記ワイパーゴムの前記ウィンドウに対する接触押圧を減じさせると共に、前記払拭範囲拡張機構を作動させて前記払拭範囲の起立側の端部の外側に、前記ワイパーブレードおよび前記ワイパーゴムを移動させて端部付加領域を付加する動作と、その後に前記リフト機構を作動させて前記接触押圧を減じた状態を解除する動作と、その後に前記駆動源を駆動させて前記ワイパーゴムによる前記ウィンドウの払拭動作と、が含まれる制御部と、
を備えることを特徴とするワイパー装置。
【請求項2】
請求項1記載のワイパー装置であって、
前記制御部は、前記ワイパーブレードおよび前記ワイパーゴムを回動または平行移動させるように、前記払拭範囲拡張機構の作動を制御する、
ことを特徴とするワイパー装置。
【請求項3】
請求項1記載のワイパー装置であって、
前記制御部は、前記異物除去動作を複数回繰り返す、
ことを特徴とするワイパー装置。
【請求項4】
請求項1記載のワイパー装置であって、
当該ワイパー装置の作動をオフとすることが、前記所定条件である、
ことを特徴とするワイパー装置。
【請求項5】
請求項1記載のワイパー装置であって、
前記リフト機構は、前記ウィンドウに対して前記ワイパーゴムが非接触となるように持ち上げる、
ことを特徴とするワイパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に装備されるワイパー装置として、特許文献1に開示のように、払拭範囲を拡大する構成を有するものがある。また、ワイパー装置の中には、特許文献2に開示のように、ワイパーのブレードの溶着や凍結により損傷することを防ぐためにワイパーのブレードを持ち上げて、ウィンドウのガラス面から持ち上げる機構を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許7124300号公報
【特許文献2】特開2008-222193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイパー装置は払拭のための往復動作をする構造上、その両端に追いやった異物が堆積する傾向がある。そのような堆積物は、視界の妨げとなる虞がある。また、上記のような異物が堆積すると、直接視界を妨げるようなものではなくとも、見栄えを悪くしてしまう。また、長期間の走行で堆積物が乾燥を繰り返して山状になってしまうと、堆積物を取り除くことが困難になってしまう。また、駐車時の雨滴などで流れ出して、再び乾燥した堆積物の場合、ワイパー動作により、ガラス面への傷つきなどを誘発する虞もある。
【0005】
このような異物の除去は、特許文献1および特許文献2に開示の技術では考慮されていない。
【0006】
本発明は上記の事情に基づきなされたもので、払拭範囲の端部に隣接して堆積する異物を除去することが可能なワイパー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、ウィンドウに接触するワイパーゴムが取り付けられるワイパーブレードと、当該ワイパーブレードが取り付けられるワイパーアームと、ワイパーアームをワイパーブレードの払拭範囲の両端間で反転して往復運動させることでウィンドウの拭き上げ作動と拭き降ろし作動を実行させる駆動源とを備えるワイパー装置であって、ワイパーブレードのウィンドウに対する接触押圧を減ずるリフト機構と、ワイパーアームの往復運動による払拭範囲につき、少なくともワイパーブレードおよびワイパーゴムが起立した起立側の端部よりも外側に、ワイパーブレードおよびワイパーゴムを移動させて、払拭範囲を拡張して端部付加領域を付加するする払拭範囲拡張機構と、リフト機構および払拭範囲拡張機構の作動を制御し、所定条件に応じて異物除去動作を実行し、異物除去動作には、リフト機構を作動させてワイパーゴムのウィンドウに対する接触押圧を減じさせると共に、払拭範囲拡張機構を作動させて払拭範囲の起立側の端部の外側に、ワイパーブレードおよびワイパーゴムを移動させて端部付加領域を付加する動作と、その後にリフト機構を作動させて接触押圧を減じた状態を解除する動作と、その後に駆動源を駆動させてワイパーゴムによるウィンドウの払拭動作と、が含まれる制御部と、を備えることを特徴とするワイパー装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、払拭範囲の端部に隣接して堆積する異物を除去することが可能なワイパー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るワイパー装置の概略的な構成を示す図である。
図2図1に示すワイパー装置を作動させた際の払拭範囲を示す図である。
図3図2に示す払拭範囲と共に、異物および端部付加領域を示す図である。
図4図1に示すワイパー装置において、払拭範囲拡張機構を作動させる際の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係るワイパー装置10について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係るワイパー装置10の概略的な構成を示す図である。図1は、一例として乗用車の車内からワイパー装置10を見た状態である。
【0011】
<ワイパー装置10の構成について>
図1に示すように、ワイパー装置10は、ワイパーアーム20と、ワイパーブレード30と、ワイパーゴム40と、リンク機構50と、モータ60と、リフト機構70と、払拭範囲拡張機構80と、制御部90と、を主要な構成要素としている。
【0012】
ワイパーアーム20は、図1に示すように、付け根に存在する回動支点P1に対して一体的に取り付けられるアーム状の部材であり、その先端部にワイパーブレード30が取り付けられる部材である。このワイパーアーム20は、回動支点P1が回動した際に、その回動に伴って回動することで、ウィンドウW1のガラス表面に対してワイパーブレード30を所定範囲で往復運動させる。なお、回動支点P1は、車体に対して回動自在に取り付けられる軸状の部分である。
【0013】
ワイパーブレード30は、ワイパーアーム20に取り付けられる弓状の金具等で構成された部分であり、ワイパーゴム40を支持するフレーム部分である。また、ワイパーゴム40は、ワイパーブレード30に対して着脱自在に取り付けられる弓状のゴム部材であり、例えばフロントウィンドウ等のようなウィンドウW1のうち、図2に示すような払拭範囲R1に接触して雨滴等の払拭を行う部分である。ワイパーブレード30およびワイパーゴム40はこの構成に限らずブレードとゴムが一体となったもの等であってもよい。
【0014】
また、リンク機構50は、モータ60により与えられる回転運動を、上記の回動支点P1の回動(往復運動)へと変換し、ワイパーアーム20等の往復運動を実現させるための機構である。なお、モータ60は、ワイパーアーム20等の往復運動のための駆動力を与える部分であり、駆動源に対応する。
【0015】
また、リフト機構70は、ワイパーゴム40がウィンドウW1のガラス表面から離間する方向に向かって移動させる機構である。このリフト機構70は、モータやギヤ等の駆動力伝達機構を用いて、ウィンドウW1からワイパーゴム40が離れる方向に、ワイパーブレード30を回動させる(起こす)機構が挙げられる。リフト機構70の構成はこれに限定されず、例えば、特許文献2に開示された昇降装置の構成や、また例えば、回動支点P1を、シリンダとピストンから構成し、そのシリンダに対してピストンが回動の軸方向に昇降移動することで、ワイパーアーム20、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40をウィンドウW1から持ち上げるように構成しても良い。
【0016】
また、払拭範囲拡張機構80は、ワイパー装置10の作動時に、ワイパーゴム40がウィンドウW1を払拭する範囲を拡張するための機構である。具体的には、図3(a)に示すように、払拭範囲拡張機構80は、ウィンドウW1における扇形状の払拭範囲R1のうち、少なくとも起立側の端部R11が、より外側に移動して、端部付加領域R13aを付加するように、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40を回動するよう駆動させる。起立側に限らず、払拭範囲拡張機構80は、起立側の端部R11と共に横倒し側(下側;水平側)についても端部R12が、より外側に移動して、端部付加領域(不図示)を付加するように、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40を移動させるように駆動しても良い。上記の払拭範囲の拡張はワイパー装置10を作動させる駆動用のモータとワイパーアーム20の回動角度を検知するセンサおよび制御用のECU(Electronic Control Unit)等により公知の技術により実現できる。
【0017】
また、払拭範囲拡張機構80の別の構成例としては、回動支点P1をスライダ上に取り付け、駆動源の駆動によって回動支点P1ごとスライダ上で平行にスライドさせる機構としても良い。また、ワイパーアーム20に対するワイパーブレード30の取付部位をスライドさせる機構であっても良い。ワイパーアーム20に対するワイパーブレード30の取付部位をスライドさせる機構としては、例えば、ワイパーアーム20の本体にピストン状のプッシュロッドを設け、このプッシュロッドとワイパーブレード30との間にリンク機構を設けてスライド構造を実現し、ワイパーアーム20に対してワイパーブレード30をスライドさせることで、起立側の端部R11を、より外側に移動させて、図3(b)に示す端部付加領域R13bを付加するように構成しても良い。スライド構造についてもこれに限らず公知の様々な方法、構成により実現できる。例えば、形状記憶合金を用い、電流を導通させた際の発熱により、任意の部材を変形させることにより起立側の端部R11を、より外側に移動させて、端部付加領域R13を付加するように構成しても良い。
【0018】
なお、上記のリフト機構70および払拭範囲拡張機構80は、図2に示すように2本以上のワイパーで構成される場合には、払拭範囲の重なり具合を考慮して最も外側に位置する起立側の端部R11を払拭するワイパー部材にのみ設けるようにしても良いし、それぞれについて設けるようにしても良い。
【0019】
また、制御部90は、モータ60、リフト機構70および払拭範囲拡張機構80の作動の制御を行う部分であり、例えばマイクロコンピュータ等を用いることが可能である。
【0020】
<払拭範囲拡張機構80を作動させる際の処理フローについて>
次に、払拭範囲拡張機構80を作動させて、払拭範囲R1の端部に隣接して堆積している、汚れ等の異物D1(図3参照)を除去する処理フローについて、図4に基づいて説明する。
【0021】
まず、ワイパー装置10を作動させ、モータ60を駆動させる(ステップS01)。それにより、ワイパーゴム40は、ウィンドウW1に接触しながら移動し、払拭範囲R1内を往復運動する。
【0022】
次に、モータ60の駆動を停止させる(ステップS02)。なお、このようなモータ60の駆動を停止させるタイミングとしては、ワイパー装置10の作動をオフとする場合が挙げられるが、それ以外に、例えば、短時間内に、ワイパー装置10の作動スイッチを2回以上オンにするなど、所定のトリガーにて、モータ60の駆動を停止させるようにしても良い。
【0023】
次に、制御部90は、払拭範囲R1の端部に隣接して堆積している異物D1を除去するモード(このモードを例えば「お掃除モード」と称する)であるか否かを判断する(ステップS03)。この判断において、異物D1を除去するモードであると判断される場合(Yesの場合)、ステップS04に進み、異物D1を除去するモードではないと判断される場合(Noの場合)、後述するステップS10に進む。異物D1を除去するモードであるかどうかの判断は、例えば、あらかじめ設定された機能のオンオフ状態、あるいは所定の条件により制御部90が判断する。所定の条件としては例えば、ウィンドウに残留する雨滴の量や季節による花粉の飛散量の予測、また、異物D1を除去する動作が前回実行された時からの経過時間などに基づいて判断がなされると好適である。また、専用の操作ボタンなどによりユーザが強制的に操作できるようにしてもよい。
【0024】
ステップS03の判断において、異物D1を除去するモードであると判断される場合(Yesの場合)、制御部90は、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40が水平位置となるように、モータ60を作動させる(ステップS04)。なお、この水平位置は、ワイパー装置10を停止させた際のイニシャル位置であっても良い。また、このステップS04の実行自体を省略するようにしても良い。
【0025】
次に、制御部90は、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40が、払拭範囲R1の起立側の端部R11に位置するように、モータ60を作動させる(ステップS05)。この状態では、起立側の端部R11に隣接して、異物D1が堆積した状態となっている。
【0026】
次に、制御部90は、リフト機構70を作動させて、ワイパーゴム40がウィンドウW1との接触押圧を減じる状態(離れた状態)とする(ステップS06)。
【0027】
次に、制御部90は、払拭範囲拡張機構80を作動させて、ワイパーゴム40が起立側の端部R11よりも外側に位置するように(端部付加領域R13の外側の端部に位置するように)、移動させる(ステップS06)。それにより、ワイパーゴム40がウィンドウW1を払拭する範囲を拡張して、端部付加領域R13を付加した状態となる。なお、この状態では、ワイパーゴム40は、ウィンドウW1には接触せずに移動した状態となっている。
【0028】
次に、制御部90は、リフト機構70を作動させて、ワイパーゴム40がウィンドウW1との接触押圧を減じる状態を解除し、接触した状態に戻す(ステップS07)。この接触状態のとき、ワイパーゴム40は、異物D1が最も堆積している部位(以下、堆積部とする)を十分に越えて、ウィンドウW1に接触することが好ましい。
【0029】
次に、制御部90は、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40が、水平位置に向かうように、モータ60を作動させる(ステップS08)。それにより、ワイパーゴム40が端部付加領域R13を移動するので、異物D1の堆積部もワイパーゴム40の移動に伴って拭き下ろすように払拭される。また、ワイパーゴム40が水平側の端部R12に移動した際には、そのワイパーゴム40よりも下側に、異物D1の堆積部が移動させられた(除去された)状態となる。
【0030】
次に、制御部90は、払拭範囲拡張機構80を作動させて、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40が、上記の拡張状態から通常状態に戻るように作動させる(ステップS09)。
【0031】
また、上述したステップS03の判断において、異物D1を除去するモードでないと判断される場合(Noの場合)、制御部90は、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40が、水平位置に向かうように、モータ60を作動させる(ステップS10)。
【0032】
また、上記のステップS09の動作を終了した後、または上記のステップS10の動作を終了した後に、制御部90は、ワイパー装置10の作動を停止させる(ステップS11)。
【0033】
以上のようにして、払拭範囲R1の端部に体積している異物D1を除去する処理フローを実行可能となっている。
【0034】
<効果について>
以上のような構成の、ウィンドウW1に接触するワイパーゴム40が取り付けられるワイパーブレード30と、当該ワイパーブレード30が取り付けられるワイパーアーム20と、ワイパーアーム20をワイパーブレード30の払拭範囲R1の両端間で反転して往復運動させることでウィンドウW1の拭き上げ作動と拭き降ろし作動を実行させるモータ60(駆動源)とを備えるワイパー装置10は、ワイパーブレード30のウィンドウW1に対する接触押圧を減ずるリフト機構70と、ワイパーアーム20の往復運動による払拭範囲R1につき、少なくともワイパーブレード30およびワイパーゴム40が起立した起立側の端部R11よりも外側に、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40を移動させて、払拭範囲R1を拡張して端部付加領域R13を付加する払拭範囲拡張機構80と、リフト機構70および払拭範囲拡張機構80の作動を制御する制御部90と、を有している。
【0035】
また、制御部90は、所定条件に応じて異物除去動作を実行し、異物除去動作には、リフト機構70を作動させてワイパーゴム40のウィンドウW1に対する接触押圧を減じさせると共に、払拭範囲拡張機構80を作動させて払拭範囲R1の起立側の端部R11の外側に、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40を移動させて端部付加領域R13を付加する動作と、その後にリフト機構70を作動させて接触押圧を減じた状態を解除する動作と、その後にモータ60(駆動源)を駆動させてワイパーゴム40によるウィンドウW1の払拭動作と、が含まれている。
【0036】
このように、制御部90は、異物除去動作を実行する場合、リフト機構70および払拭範囲拡張機構80を作動させて端部付加領域R13を付加することで、払拭範囲R1の起立側の端部R11の外側から、水平側の端部R12に向かうようにワイパーブレード30およびワイパーゴム40を移動させる動作を行える。これにより、起立側の端部R11に隣接して堆積している汚れ等の異物D1を端部R11のさらに外側に追いやることなく、水平側の端部R12よりも下側に向けて除去することが可能となる。
【0037】
そのため、起立側の端部R11に隣接して堆積している、視界の妨げとなる異物D1が取り除かれるので、良好な視界を確保することが可能となる。
【0038】
また、本実施の形態では、制御部90は、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40を回動または平行移動させるように、払拭範囲拡張機構80の作動を制御する。このようにすることで、起立側の端部R11に隣接して堆積している汚れ等の異物D1を端部R11のさらに外側に追いやることなく、水平側の端部R12よりも下側に向けて一層効果的に除去することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態では、制御部90は、異物除去動作を複数回繰り返すことが好ましい。このように構成する場合には、異物除去動作の一往復では除去できなかった、取り残した異物D1を、複数回の異物除去動作の実行により、良好に除去できる可能性が高まる。
【0040】
また、本実施の形態では、ワイパー装置10の作動をオフとすることが、所定条件とすることができる。このように構成する場合には、次にワイパー装置10を作動させる際に、起立側の端部R11に隣接して堆積した異物D1が除去された状態となる。このため、良好な視界を確保することが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態では、リフト機構70は、ウィンドウW1に対してワイパーゴム40が非接触となるように持ち上げている。
【0042】
このため、起立側の端部R11から外側にワイパーゴム40を移動させる際に、異物D1を、より外側に移動させずに済む。そのため、除去可能な異物D1の量を増やすことができ、異物D1を一層良好に除去することが可能となる。
【0043】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0044】
上述の実施の形態では、リフト機構70は、ウィンドウW1に対してワイパーゴム40が非接触となるように持ち上げている。しかしながら、リフト機構70は、ワイパーゴム40を完全に持ち上げずに、接触押圧を減じる程度であっても良い。このようにしても、異物D1を効果的に除去することが期待できる。
【0045】
また、上述の実施の形態では、ワイパー装置10については、ワイパーアーム20、ワイパーブレード30およびワイパーゴム40は、一対(2つ)設けられている場合について説明している。しかしながら、ワイパー装置は、ワイパーアーム、ワイパーブレードおよびワイパーゴムを、それぞれ1つのみ有する構成であっても良く、それぞれ3つ以上有する構成であっても良い。
【0046】
また、上述の実施の形態では、ワイパー装置10が払拭を行うウィンドウW1は、フロントウィンドウとしているが、リアウィンドウについても本発明を適用可能であることは勿論である。また、ワイパー装置10が取り付けられる車両としては、乗用車に限らず、トラックやバス等の大型の商用車であっても良いし、二輪車の風防や、ドアミラー、サイドウィンドウなどを対象にしたワイパー装置10を構成するなどして適用しても良い。また、鉄道車両や航空機のウィンドウに、ワイパー装置10を取り付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…ワイパー装置、20…ワイパーアーム、30…ワイパーブレード、40…ワイパーゴム、50…リンク機構、60…モータ(駆動源に対応)、70…リフト機構、80…払拭範囲拡張機構、90…制御部、D1…異物、P1…回動支点、R1…払拭範囲、R11…起立側の端部、R12…水平側の端部、R13、R13a、R13b…端部付加領域、W1…ウィンドウ
図1
図2
図3
図4