(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140622
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】潤滑剤の供給装置
(51)【国際特許分類】
F16N 3/10 20060101AFI20241003BHJP
F16N 5/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F16N3/10
F16N5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051845
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】509089409
【氏名又は名称】アクアシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145953
【弁理士】
【氏名又は名称】真柴 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 和央
(57)【要約】
【課題】グリースガンのような特別な装置を用いること無くより容易に潤滑材の供給を行う事。
【解決手段】本発明の供給装置1は、底部21、壁部22並びに底部21及び/又は壁部22の下部に空けられた供給口23を含む容器2と、前記壁部22内側に当接し、壁部22高さ方向に上下動可能に収容されるピストン3と、天部41及び壁部42を含むキャップ4と、を含み、前記キャップ4の天部41に孔43が空けられており、前記ピストン3が前記天部41の孔43を介して、頭部51及び軸部52を含む係止部材5により前記キャップ4に保持されている供給装置1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部、壁部並びに前記底部及び/又は前記壁部の下部に空けられた供給口を含む容器と、
前記容器の壁部内側に当接し、容器の壁部高さ方向に上下動可能に収容されるピストンと、
天部及び壁部を含んだ、前記容器のキャップと、を含み、
前記キャップの天部に孔が空けられており、前記ピストンが前記天部の孔を介して、頭部及び軸部を含む係止部材により前記キャップに保持されている、潤滑剤の供給装置。
【請求項2】
ピストンから突出した前記係止部材の軸部の軸方向長さが、前記キャップの天部の厚さよりも長い、請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記容器と前記キャップとが係合しており、キャップを回転させることにより、ピストンが容器の壁部高さ方向に上下動する、請求項1に記載の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑剤の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機構や摺動機構を有する機器、例えば回転機構を有するファンにおける回転軸をスムーズに回転させるために、グリース等の潤滑剤が使用されることが通常である。このような潤滑剤は、回転機構の継続的な使用にしたがって徐々にその量が減少する。回転機構をスムーズに動作させるためには、減少した潤滑剤を新たに供給しなければならない。ここで、潤滑剤を回転機構に供給する際には、グリースガンと呼ばれる機器を使用する事が一般的である。特許文献1は、このようなグリースガンの発明を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、グリースガンを用いた潤滑剤の供給は、大がかりで作業者の手間が増えてしまう。また、回転機構を有する機器が狭い場所に設置されているような場合には、グリースガンを回転機構に近づけることが困難となる。このような場合には、当該機器をより広い場所に移動させてからグリースガンによる潤滑剤供給を行わなければならず、作業者の負担をより増加させる。したがって、このような問題を解消できる技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特定の構造の装置により前記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
[1]底部、壁部並びに前記底部及び/又は前記壁部の下部に空けられた供給口を含む容器と、
前記容器の壁部内側に当接し、容器の壁部高さ方向に上下動可能に収容されるピストンと、
天部及び壁部を含んだ、前記容器のキャップと、を含み、
前記キャップの天部に孔が空けられており、前記ピストンが前記天部の孔を介して、頭部及び軸部を含む係止部材により前記キャップに保持されている、潤滑剤の供給装置、
[2]ピストンから突出した前記係止部材の軸部の軸方向長さが、前記キャップの天部の厚さよりも長い、[1]に記載の供給装置、並びに
[3]前記容器と前記キャップとが係合しており、キャップを回転させることにより、ピストンが容器の壁部高さ方向に上下動する、[1]に記載の供給装置、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の潤滑剤の供給装置により、グリースガンのような大きな装置を使用すること無く、任意のタイミングで所望の量の潤滑剤を回転機構に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)本発明の潤滑剤の供給装置の一形態例を示す正面図、(B)(A)の供給装置の平面図、(C)(A)の供給装置の底面図及び(D)(A)におけるA-B断面図である。
【
図2】(A)容器の一形態例を示す正面図、(B)(A)の容器の平面図、(C)(A)の容器の底面図、(D)(A)のC-D断面図、(E)(A)とは別の容器の形態例及び(F)(E)の容器の底面図である。
【
図3】(A)壁部にねじ切りを有する容器の一形態を示す正面図、(B)壁部外側に溝部を有する容器の一形態を示す正面図、(C)(B)とは異なる溝部を有する容器の一形態を示す正面図、(D)(A)における点線丸部分の拡大図及び(E)色分けを有する(B)の容器の一形態を示す正面図である。
【
図4】(A)ピストンの一形態を示す正面図、(B)(A)のピストンの平面図、(C)(A)のピストンの底面図及び(D)(A)におけるE-F断面図である。
【
図5】(A)キャップの一形態を示す正面図、(B)(A)のキャップの平面図、(C)(A)のキャップの底面図並びに(D)(A)におけるG-H断面図である。
【
図6】(A)
図1とは異なる供給装置の一形態例を示す正面図、(B)(A)のI-J断面図、(C)(A)の供給装置のキャップを回転させた後の正面図及び(D)(C)におけるK-L断面図である。
【
図7】(A)
図1及び6とは異なる供給装置の一形態例を示す正面図、(B)(A)のM-N断面図、(C)(A)の供給装置のキャップを回転させた後の正面図及び(D)(C)におけるO-P断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態及び態様に限定されず、本発明の技術的範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。また、文中における「上下」、「前後」及び「左右」は、各図面に記載の方向を意味する。
【0009】
図1に、本発明の潤滑剤の供給装置(以下、単に「供給装置」とする)の具体的な形態例が示されている。本発明の供給装置1は、底部21、壁部22並びに底部21及び/又は壁部22の下部に空けられた供給口23を含む容器2と、前記容器2の壁部22内側に当接し、容器2の壁部22高さ方向に上下動可能に収容されるピストン3と、天部41及び壁部42を含んだ前記容器2のキャップ4と、を含み、前記キャップ4の天部41に孔43が空けられており、前記ピストン3が前記天部41の孔43を介して、頭部51及び軸部52を含む係止部材5により前記キャップ4に保持されている供給装置である。以下に、構成毎に詳細に説明する。
【0010】
1.容器2
容器2は、グリース等の潤滑剤を収容し、所望のタイミングで前記潤滑剤を供給するための部材である。
図2に容器2の具体的な形態例が示されている。容器2は、底部21、底部21から上方向に伸びた壁部22及び底部21に空けられた供給口23を含んでいる。容器2の形状は、前記のようにグリース等の潤滑剤を収容できる事を条件として特に制限されない。例えば、平面から見た形状(言い換えれば底部21の平面形状)が、三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形であっても良いし、楕円を含む円形であっても良い。なお、後述するように、ピストン3が容器2の内部を当接しながら上下動できるように、壁部22の内側のサイズ(例えば、円柱形の容器の場合、その内径(
図2(D)におけるW1))が壁部22の上下で略同一である事が好ましい。また、後述するようにキャップ4を回転させる際には、少なくとも壁部22の外形が円形である事がより好ましい。
【0011】
前記の通り、底部21には供給口23が空けられており、容器2の内部と外部とが供給口23を介して連通している。供給口23を設ける位置は、後述するように容器2に収容されたグリース等の潤滑剤がピストン3によって押し出され容器2外部に供給できる位置であれば特に制限されない。供給口23は、底部21の任意の箇所、例えば
図2に示すように底部21の略中央に空けられて良い。また、供給口23は、壁部22の下部に空けられても良い。なお、供給口23の周囲を取り囲み、その外部にねじ切りがされている壁である着脱部24を設けても良い。着脱部24は供給口23と連通しており、回転機構に潤滑剤供給口としてのネジ穴が設けられている場合、当該ネジ穴に着脱部24をネジ締結して回転機構に本発明の供給装置1を直接装着しても良い。
【0012】
容器2の素材は、内部に収容される潤滑剤によって過度に侵されること無く、また後述するピストン3による圧力に耐えられることを条件として、特に制限されない。このような素材の例として、例えば、アクリル及びポリカーボネート等の樹脂素材、鉄、鉄鋼及びアルミ等の金属素材、並びにガラス素材が挙げられる。
【0013】
また、後述するように、容器2とキャップ4とが係合する場合には、容器2の壁部22の外側にねじ切り25又は溝26を設けることが好ましい。
図3(A)は、容器2の外側にねじ切り25が設けられた形態例を示している。また、
図3(B)は、容器2の外側に溝26が設けられた形態例を示している。溝26の形状は、後述するようにキャップ4と係合し、キャップ4を回転させることにより、ピストン3が容器2の壁部22高さ方向に上下動するような溝であれば特に制限はされない。
図3(B)の溝26は、容器2の壁部22の外側において壁部22を貫通する事無く、上側から下側に向けて傾斜するように設けられている。また、
図3(C)には、溝26のさらなる形態が示されている。
図3(C)の溝部26は、潤滑剤の供給量をコントロールするための段が設けられている。
図3(C)の溝26は、後述するキャップ4の係合部材45を特定の位置に保持する保持部261、キャップ4を回転させることによりキャップ4を下側に移動させる傾斜部262、傾斜部262に続く保持部261’からキャップ4を押し下げて二段目の傾斜部262’に導くための押下部263を含んでいる。二段目の傾斜部262’に次いで次の保持部261’’が設けられている。
図3(C)の例において傾斜部262は二段にされているが、傾斜部262を二段より多く設けることもできるし、一段のみ設けることもできる。なお、
図3(B)及び(C)において1本の溝26のみが設けられているが、2本以上、例えば同じ大きさの溝26を2本平行して設ける事や、2本の溝26を容器2の壁部22が対面する箇所にそれぞれ設けてもよい(図示せず)。2本以上の溝26を設ける事により、キャップ4と容器2とを係合させる際に2箇所以上の溝を使用することでキャップ4を回転させる際の安定性をより高めることができる。
【0014】
ねじ切り25を設ける場合には、図(D)に示すように、ねじ切り25の山の部分を一部カットすることにより、後述するようにキャップ4を回転させてピストン3を下方向に押し込む際の目印を付けて、外側から目視による潤滑剤の供給量の調整をより容易にすることができる。また、前記ねじ切り25の山の部分をカットする代わりに、塗料等で色分けを行っても良い。また、前記のように溝26を設ける場合には、
図3(E)に記載するように、容器2の外側を帯状に色分けすることにより目印を付けて、外側から目視による潤滑剤の供給量の調整をより容易にすることもできる。
【0015】
2.ピストン3
ピストン3は、前記容器2内部を上下動し、容器2内部に収容されたグリース等の潤滑剤を容器2の供給口23から外部に押し出すための部材である。
図4にピストン3の具体的な形態例が示されている。
図4の形態例におけるピストン3は、本体部31、本体部31の上面に本体部31の直径よりも小さい直径を有する保持部32が設けられている。なお、後述する係止部材5によりピストン3を保持する際に、前記係止部材5を直接本体部31に保持できる場合には、前記保持部32は必ずしも必要ない。前記本体部31には、その下側円周方向に溝部33が設けられており、前記溝部33にはO-リング34が備えられている。また、前記保持部32には、その上面から下方向に空けられた穴35が備えられている。後述するように、ピストン3をキャップ4に保持する際に使用する係止部材5がネジである場合には、前記穴35をネジ穴にしてもよい。
【0016】
ピストン3の形状は、少なくとも前記本体部31の平面方向から見た形状が前記容器2の壁部22内側平面方向の形状と同じである事を条件として、特に制限されない。O-リング34を含む場合にはO-リング34を含めた平面方向の大きさ、O-リング34を含まない場合には本体部31の平面方向の大きさが、前記容器2の壁部22内側に当接して容器2内を上下動できる大きさである事を条件として適宜調整可能である。ピストン3の素材としては、容器2内部を上下動可能であり、かつピストン3を押下した際の力に耐えることができる事を条件として、特に制限されない。ピストン3の素材として、例えば、アクリル及びポリカーボネート等の樹脂素材、鉄、鉄鋼及びアルミ等の金属素材、ガラス素材並びに天然ゴム及び合成ゴム等のゴム素材が挙げられる。これら素材を組み合わせて使用することもできる。なお、少なくとも前記本体部31が弾性を有する素材、例えばゴム素材で製造された場合には、必ずしも前記O-リング34を備える必要は無い。
【0017】
3.キャップ4
キャップ4は、後述する通りピストン3を保持するために使用される容器2のキャップである。
図5にキャップ4の具体的な形態例が示されている。
図5におけるキャップ4は、天部41、天部41の周囲から下方向に伸びた壁部42を含む。天部41には、上下方向に貫通した孔43が空けられている。前記孔43の直径は、後述する係止部材5の頭部51の直径よりも小さく、軸部52の直径よりも大きい。前述するように、壁部22の外側上部にねじ切り25がされている容器2を使用する場合、容器2とキャップ4とをネジ締結できるように、キャップ4の壁部42の内側をねじ切り(図示せず)することが好ましい。また、前述するように、壁部22の外側に溝26を設ける場合には、キャップ4の壁部42に、後述する係合部材45を通すための穴44を設けても良い。なお、後述するようにキャップ4を回転させる場合には、キャップ4の上部に滑り止め(例えば、
図5(A)におけるキャップ4上部に設けられた上下方向の細かい切れ込み)を備えても良い。キャップ4の素材としては、キャップ4を保持して回転させる際に激しく変形することが無い事を条件として、特に制限されない。キャップ4の素材として、例えば、アクリル及びポリカーボネート等の樹脂素材、鉄、鉄鋼及びアルミ等の金属素材並びにガラス素材が挙げられる。なお、キャップ4の壁部42の内径(
図5(D)におけるW3)は、容器2の壁部22の外径(
図2(D)におけるW2)よりもわずかに大きくして、キャップ4をより押下しやすくしても良い。
【0018】
4.係止部材5
係止部材5は、後述するように、ピストン3をキャップ4に保持するために使用する部材である。係止部材5は、頭部51及び軸部52を含む部材である。係止部材5として使用できるものとして、頭部を有するネジやピン等が挙げられる。係止部材5の素材は、キャップ4によりピストン3を保持できかつキャップ4を押下させる際又は回転させる際に激しく損傷することが無い事を条件として、特に制限されない。係止部材5の素材として、例えば、アクリル及びポリカーボネート等の樹脂素材、鉄、鉄鋼及びアルミ等の金属素材並びにガラス素材が挙げられる。
【0019】
5.供給装置の形態例1
本発明の供給装置1の形態例が
図1に示されている。容器2の壁部22の内側にO-リング34が当接するようにピストン3が収容されている。ピストン3の保持部32に空けられた穴35はネジ穴である。ネジである係止部材5は、キャップ4の孔43を介して前記ピストン3の穴35にネジ締結されている。係止部材5を使用してピストン3をキャップ4に保持する際には、ピストン3の保持部32から突出した係止部材5の前記軸部52の軸方向長さ(
図1(D)におけるα)が、前記キャップ4の天部41の厚さ(
図1(D)におけるβ)よりも長い事がより好ましい。前記のように係止部材5の軸部52の長さを調整することにより、ピストン3のフレキシビリティが増し、ピストン3を容器2内部に収容する際に位置あわせを厳密に行わなくとも容易に容器2にキャップ4をかぶせることができる。前記の通り、キャップ4の壁部42の内径を容器2の壁部22の外径よりもわずかに大きくして、キャップ4を容器2にかぶせやすくしている。
【0020】
図1の供給装置1を使用する場合には、まずキャップ4ごとピストン3を容器2から取り外す。容器2の内部に所望の量の潤滑剤を収容し、ピストン3を容器2内部に収容する。潤滑剤を収容した供給装置1は、例えば、前記着脱部24を、回転機構に設けられた潤滑剤供給口としてのネジ穴にネジ締結することにより、回転機構に直接装着することができる。前記のように回転機構に直接装着された供給装置1から潤滑剤を供給する際には、キャップ4をその天部41から下方向に指等で押下し、キャップ4の動きに連動してピストン3が下方向に移動し、ピストン3の圧力により容器2内の潤滑剤が供給口23から押し出される事により供給される。本発明の供給装置1は、前記のように所望のタイミングで所望の量の潤滑剤を回転機構に供給することが可能である。また、本発明の供給装置1は、グリースガンのような複雑かつかさばる機構を有していない。したがって、本発明の供給装置1は、回転機構の潤滑剤供給口がグリースガンを用いて潤滑剤を供給することが困難なより狭い箇所に備えられている場合においても潤滑剤をより容易に供給可能である。また、前記のように、容器外部に目印、例えば色分けを行う事により、外部から目視で潤滑剤の供給量を容易に調整可能である。
【0021】
6.供給装置の形態例2
本発明の供給装置1の別の形態例が
図6に示されている。なお、
図6の形態例において
図1の形態例と同じ番号が振られており特に説明が無い部分は、
図1の説明と同様である。
図6において、容器2は
図3(A)に示すように壁部22外側にねじ切り25がされている。また、キャップ4の壁部42の内側に同様にねじ切りがされており、容器2とキャップ4が係合(この場合はネジ係合)している。容器2内に収容された潤滑剤を供給する際には、
図6(A)に示すようにキャップ4をネジ締結する方向に回転させる。キャップ4を回転させることにより、キャップ4が徐々に下降し、キャップ4の動きに連動してキャップ4に保持されたピストン3が下降する(
図6(C)及び(D)参照)。ピストン3が下降することにより、容器2内に収容された潤滑剤が供給口23から押し出され供給装置1外に潤滑剤が供給される。
図6に示すように、容器2の壁部22外側とキャップ4の壁部42内側とを係合させて、キャップ4を回転させることでピストン3を容器2の壁部22高さ方向に上下動できるようにすることで、供給装置1がより狭い箇所に設置されキャップ4を指等で押下させることが困難な場合においても、キャップ4を回転させることでより容易に潤滑剤を供給できる。また、前記のようにねじ切り25の一部を着色又は山の部分をカットすることで目印を付けることにより、キャップ4を回転により下降させる位置を外側から目視により確認しやすくし、潤滑剤の供給量をより容易に調整できるようにしてもよい。
【0022】
7.供給装置の形態例3
本発明の供給装置1のさらに別の形態例が
図7に示されている。なお、
図7の形態例において
図1及び6の形態例と同じ番号が振られており特に説明が無い部分は、
図1及び6の説明と同様である。
図7において、容器2は
図3の(C)に示すように壁部22外側に溝26が設けられている。また、キャップ4の壁部42に穴44が空けられており、係合部材45(
図7においてはネジ)が前記穴44にネジ止めされており、係合部材45の先端が溝26の保持部261に入り込むことでキャップ4と容器2とを係合させている。容器2に潤滑剤を収容する際には、前記係合部材45を外してピストン3をキャップ4ごと取り外して、潤滑剤を容器2内に収容する。容器2内に収容された潤滑剤を供給する際には、
図7(A)に示すようにキャップ4を回転させる。キャップ4を回転させることにより、係合部材45が傾斜部262に沿って移動することに伴いキャップ4が徐々に下降し、キャップ4の動きに連動してキャップ4に保持されたピストン3が下降する(
図7(C)及び(D)参照)。ピストン3が下降することにより、容器2内に収容された潤滑剤が供給口23から押し出され供給装置1外に潤滑剤が供給される。係合部材45が次の保持部261’に到達する時点でキャップ4の回転を停止する。このように、溝26に段を設けることにより、キャップ4の回転を制御し、潤滑剤の供給量をより容易に調整できる。
図7に示すように、容器2とキャップ4とを係合させて、キャップ4を回転させてピストン3を容器2の壁部22高さ方向に上下動できるようにすることで、供給装置1がより狭い箇所に設置されキャップ4を指等で押下させることが困難な場合においても、キャップ4を回転させることでより容易に潤滑剤を供給できる。また、前記のように容器2の一部を着色することで目印を付けることにより、キャップ4を回転により下降させる位置を目視により確認しやすくし、潤滑剤の供給量をより容易に調整できるようにしてもよい。
【0023】
8.本発明の供給装置により供給できる潤滑剤及び供給対象
本発明の供給装置により、例えば、液状の潤滑油、グリース等の固形状の潤滑材を供給できる。なお、液状の潤滑油を供給する場合には、当該潤滑油の粘度に応じて容器2の供給口23の開口面積を調整することで粘度が低い潤滑材に対しても対応可能である。また、本発明の供給装置を用いて潤滑剤を供給できる機器は、回転機構や摺動機構を有する機器、例えば、電気モーターやエアモーターを使用した扇風機及びポンプ等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の供給装置により、より単純な構造でより容易に回転機構に対して潤滑剤を供給できる。
【符号の説明】
【0025】
1:供給装置
2:容器、21:底部、22:壁部、23:供給口、24:着脱部、25:ねじ切り、26:溝、261:保持部、262:傾斜部、263:押下部
3:ピストン、31:本体部、32:保持部、33:溝部、34:O-リング、35:穴
4:キャップ、41:天部、42:壁部、43:孔、44:穴 、45:係合部材
5:係止部材、51:頭部、52:軸部