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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140629
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ユニットクーラ
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20241003BHJP
   F24F 1/022 20190101ALI20241003BHJP
   F24F 1/028 20190101ALI20241003BHJP
   F24F 13/24 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F1/02 411A
F24F1/022
F24F1/028
F24F1/02 411D
F24F13/20 202
F24F13/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051862
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】窪田 駿
(72)【発明者】
【氏名】近藤 久弥
(72)【発明者】
【氏名】榊原 健吾
(72)【発明者】
【氏名】島田 賢
(72)【発明者】
【氏名】山本 健治
【テーマコード(参考)】
3L049
3L051
【Fターム(参考)】
3L049BB07
3L051BG00
(57)【要約】
【課題】冷風をハウジングの外部に供給可能であり、空調部の故障を低減可能であり、かつ静粛性を確保可能であるとともに、空調部に漏電が生じた場合であっても、電流が外部に流れるおそれのないユニットクーラを提供する。
【解決手段】本発明のユニットクーラ1では、ハウジジング100は、空調部300が搭載されるベースプレート102と、ベースプレート102の下方に設けられるアンダーカバー101とを有する。ベースプレート102とアンダーカバー101との間には、ベースプレート102に締結される第1部材21と、アンダーカバー101に締結される第2部材22と、第1部材21と第2部材22とを接続し、防振性及び所定の絶縁性を備える中間部材23とを含む締結部材701a~701fが設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、冷凍サイクルを構成し、空気を冷却して前記ハウジングの外部に供給する空調部と、を備え、
前記ハウジジングは、
前記空調部が搭載されるベースプレートと、
前記ベースプレートの下方に設けられるアンダーカバーと、を有し、
前記ベースプレートと前記アンダーカバーとの間には、
前記ベースプレートに締結される第1部材と、
前記アンダーカバーに締結される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを接続し、防振性及び所定の絶縁性を備える中間部材とを含む締結部材が設けられていることを特徴とするユニットクーラ。
【請求項2】
前記空調部は、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器、前記凝縮器に送風を行う第1ファン、前記蒸発器に送風を行う第2ファンを有し、
前記ベースプレートの一端には、前記凝縮器に隣接する前記第1ファンが設けられ、
前記ベースプレートの他端には、前記蒸発器に隣接する前記第2ファンが設けられ、
前記ハウジジングは、前記アンダーカバーと固定され、前記アンダーカバーとともに前記空調部を包囲するトップカバーと、前記第1ファンと前記第2ファンとに固定され、前記トップカバーよりも下方に設けられるトッププレートと、を有し、
前記トッププレートと前記トップカバーとの間には防振性を有する平板状の防振部材が設けられている請求項1記載のユニットクーラ。
【請求項3】
前記防振部材はスポンジゴムであり、
前記第1部材は前記ベースプレートに締結される雌ネジ部又は雄ネジ部を有する第1ネジ部を有し、
前記第2部材は前記アンダーカバーに締結される雌ネジ部又は雄ネジ部を有する第2ネジ部を有し、
前記締結部材と前記スポンジゴムとは、前記第1ネジ部の軸方向と前記第2ネジ部の軸方向とに重なっている請求項2記載のユニットクーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユニットクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のユニットクーラが開示されている。このユニットクーラは、電源を有するフォークリフト等の産業車両に用いられる。
【0003】
このユニットクーラは、特許文献1によれば、ハウジングと、ハウジングに収容された空調部とを備えている。空調部は、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器及び制御装置を有し、冷凍サイクルを構成している。蒸発器には吹出ダクトが設けられている。ハウジングは、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置及び蒸発器を収納する第1カバーと、制御装置を収納する第2カバーと、取付板と、平板とを有している。取付板上には、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置及び蒸発器を収納した第1カバーと、制御装置を収納した第2カバーとがボルトによって固定されている。平板は産業車両にボルトで固定される。取付板は、平板との間に防振ゴムが設けられ、取付板、防振ゴム及び平板の三者がボルトによって固定されている。
【0004】
このユニットクーラは、例えば、振動を低減する手段を乗用車程には有していない産業車両において、空調部の電動圧縮機が電源によって作動して空気を冷却し、その冷風を吹出ダクトからハウジングの外部に供給する。この間、防振ゴムは、産業車両における走行中や作業中の振動が第1カバー内の電動圧縮機等や第2カバー内の制御装置に伝達することを抑制し、これらの故障を低減する。また、防振ゴムは、電動圧縮機の振動を吸収し、静粛性にも貢献できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-83464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のユニットクーラは、防振ゴムの構造が不明であり、かつ何らの絶縁性も検討されていないことから、空調部に漏電が生じた場合、電流が外部に流れるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、冷風をハウジングの外部に供給可能であり、空調部の故障を低減可能であり、かつ静粛性を確保可能であるとともに、空調部に漏電が生じた場合であっても、電流が外部に流れるおそれのないユニットクーラを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のユニットクーラは、ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、冷凍サイクルを構成し、空気を冷却して前記ハウジングの外部に供給する空調部と、を備え、
前記ハウジジングは、
前記空調部が搭載されるベースプレートと、
前記ベースプレートの下方に設けられるアンダーカバーと、を有し、
前記ベースプレートと前記アンダーカバーとの間には、
前記ベースプレートに締結される第1部材と、
前記アンダーカバーに締結される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを接続し、防振性及び所定の絶縁性を備える中間部材とを含む締結部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のユニットクーラでは、空調部が冷凍サイクルを構成し、空気を冷却してハウジングの外部に供給する。
【0010】
また、このユニットクーラでは、空調部が搭載されるベースプレートと、ベースプレートの下方に設けられるアンダーカバーとをハウジングが有し、ベースプレートとアンダーカバーとの間に締結部材が設けられている。この防振部材が中間部材を含み、その中間部材が防振性を備えている。このため、外部の振動がベースプレート上の空調部に伝達することを抑制して空調部の故障を低減するとともに、空調部の振動を吸収して静粛性にも貢献できる。
【0011】
さらに、このユニットクーラでは、締結部材の第1部材が空調部が搭載されるベースプレートに締結され、第2部材がアンダーカバーに締結され、中間部材が所定の絶縁性を備えている。このため、空調部から漏電が生じた場合であっても、電流はベースプレート及び第1部材まで流れ得るだけであり、中間部材、第2部材、アンダーカバー、ひいてはハウジングの外部には流れない。
【0012】
したがって、本発明のユニットクーラでは、冷風をハウジングの外部に供給可能であり、空調部の故障を低減可能であり、かつ静粛性を確保可能であるとともに、空調部に漏電が生じた場合であっても、電流が外部に流れるおそれがない。
【0013】
所定の絶縁性は、具体的には、クラスII機器を満たす。すなわち、IEC(国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission))-J60335-1(3版H14)によれば、漏洩電流が基準値である0.25mA以下である。
【0014】
空調部は、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器、凝縮器に送風を行う第1ファン、蒸発器に送風を行う第2ファンを有し得る。また、ベースプレートの一端には、凝縮器に隣接する第1ファンが設けられ、ベースプレートの他端には、蒸発器に隣接する第2ファンが設けられ得る。さらに、ハウジジングは、アンダーカバーと固定され、アンダーカバーとともに空調部を包囲するトップカバーと、第1ファンと第2ファンとに固定され、トップカバーよりも下方に設けられるトッププレートと、を有し得る。そして、トッププレートとトップカバーとの間には防振性を有する平板状の防振部材が設けられていることが好ましい。この場合、振動によってトッププレートとトップカバーとが干渉することがなく、静粛性が向上する。
【0015】
防振部材はスポンジゴムであり得る。締結部材の第1部材はベースプレートに締結される雌ネジ部又は雄ネジ部を有する第1ネジ部を有し、締結部材の第2部材はアンダーカバーに締結される雌ネジ部又は雄ネジ部を有する第2ネジ部を有し得る。そして、締結部材とスポンジゴムとは、第1ネジ部の軸方向と第2ネジ部の軸方向とに重なっていることが好ましい。この場合、軸方向の振動をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のユニットクーラでは、冷風をハウジングの外部に供給可能であり、空調部の故障を低減可能であり、かつ静粛性を確保可能であるとともに、空調部に漏電が生じた場合であっても、電流が外部に流れるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例のユニットクーラを搭載したフォークリフトの側面図である。
図2図2は、実施例のユニットクーラの分解斜視図である。
図3図3は、実施例のユニットクーラに係り、トップカバー及びトッププレートを外した状態の平面図である。
図4図4は、実施例のユニットクーラに係り、構造体及びアンダーカバーの断面図である。
図5図5は、実施例のユニットクーラに係り、締結部材の断面図である。
図6図6は、実施例のユニットクーラに係り、フォークリフトへの取付部分の拡大断面図である。
図7図7は、他のフォークリフトに係り、ヘッドガードと実施例のユニットクーラとの平面図である。
図8図8は、図7のフォークリフトのヘッドガード及びユニットクーラを前方から見た斜視図である。
図9図9は、実施例のユニットクーラの搭載位置を変更した場合の図7と同様の平面図である。
図10図10は、実施例のユニットクーラの搭載位置をさらに変更した場合の図7と同様の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、実施例のユニットクーラ1は、産業車両であるリーチタイプの電動フォークリフト3のヘッドガード3a上に固定されている。フォークリフト3は、電源であるバッテリ3bを有しており、運転者Mの操作によってバッテリ3bから供給される電力で走行するとともに荷役作業を行う。
【0019】
このユニットクーラ1は、図2に示すように、ハウジング100と、空調部300と、冷風案内部500とを備えている。ハウジング100は、アンダーカバー101、ベースプレート102、トッププレート103及びトップカバー104を有している。
【0020】
アンダーカバー101は金属製である。アンダーカバー101は、長方形状の底板101aと、底板101aの4辺からそれぞれ上方に立ち上がって互いに繋がった周壁101bとを有している。底板101aには、図3に示すように、6個のボルト穴11a~11fと、2個の送風口11g、11hとが貫設されている。図3において、各ボルト穴11a~11fは底板101aの中央から左域に一方の長辺に沿って3個、他方の長辺に沿って3個設けられ、各送風口11g、11hは底板101aの右域に上下で設けられている。一方の長辺に沿った3個の各ボルト穴11a~11cの間隔は等しく、他方の長辺に沿った3個の各ボルト穴11d~11fの間隔も等しい。なお、ボルト穴11bがボルト穴11a又はボルト穴11cの一方に偏り、ボルト穴11eがボルト穴11d又はボルト穴11fの一方に偏っていても良い。
【0021】
ベースプレート102は金属製である。図2に示すように、ベースプレート102は、アンダーカバー101の底板101aより長辺が短い長方形状の平板である。ベースプレート102には、アンダーカバー101のボルト穴11a~11fと整合する6個のボルト穴12a~12fが貫設されている。図3において、各ボルト穴12a~12fは、長辺に沿って3個、他方の長辺に沿って3個設けられている。ベースプレート102には、図示はしないが、後述する第1ケース105、第1ケース106、電動圧縮機301、アキュムレータ304、第2ケース107及び第3ケース108を固定するための複数のボルト穴が貫設されている。
【0022】
トッププレート103は金属製である。図2に示すように、トッププレート103も長方形状の平板である。トッププレート103は、ベースプレート102のようなボルト穴12a~12fは貫設されていない。トッププレート103には、図示はしないが、後述する第1ケース106及び第2ケース107を固定するための複数のボルト穴が貫設されている。
【0023】
トップカバー104は金属製である。トップカバー104は、長方形状の天板104aと、天板104aの一端から下方に傾斜した傾斜板104cと、天板104aの3辺及び傾斜板104cの3辺からそれぞれ下方に延びて互いに繋がった周壁104bとを有している。天板104aは、アンダーカバー101の底板101aよりトップカバー104の肉厚分だけ大きい。トップカバー104は、アンダーカバー101に図示しないボルトによって固定できるようになっている。
【0024】
トップカバー104の周壁104bには、天板104aの一つの長辺側に位置する2個の吸入口13a、13bと、天板104aの一つの短辺側に位置し、吸入口13aに隣り合う排熱口13cと、が形成されている。吸入口13a、13bには第1フィルタ110及び第2フィルタ111が取り付けられるようになっている。排熱口13cは、天板104aにおける傾斜板104cとは逆側に位置している。
【0025】
第1フィルタ110は、トップカバー104の周壁104bに固定される第1フレーム110aと、金属メッシュ110bとからなる。第1フレーム110aは、吸入口13a、13bと整合する2個の開口が貫設されている。金属メッシュ110bは両開口を覆うように第1フレーム110aに固定されている。
【0026】
第2フィルタ111は、トップカバー104の周壁104bに固定される第2フレーム111aと、スポンジ111bとからなる。第2フレーム111aにも、吸入口13a、13bと整合する2個の開口が貫設されている。スポンジ111bは両開口を覆うように第2フレーム111aに着脱可能に設けられている。第1、2フィルタ110、111もハウジング100の一部である。
【0027】
空調部300は、電動圧縮機301、凝縮器302、膨張弁303、アキュムレータ304、蒸発器305及び制御装置306を有している。膨張弁303が減圧装置に相当する。図3に示すように、電動圧縮機301、凝縮器302、膨張弁303、蒸発器305及びアキュムレータ304は配管307によってこの順で接続され、これらで冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成している。凝縮器302及び蒸発器305は同一形状の直方体である。凝縮器302の電動圧縮機301側には第1ファン308が設けられており、蒸発器305のアキュムレータ304側には第2ファン309が設けられている。蒸発器305の電動圧縮機301側には第2ファンが設けられている。第1ファン308及び第2ファン309も空調部300である。
【0028】
制御装置306にはハーネス306a及び接続コード306b、306c、306dが設けられている。ハーネス306aはアンダーカバー101の裏側を経てフォークリフト3のバッテリ3bに接続されるようになっている。制御装置306はベースプレート102上に固定できるようになっている。
【0029】
接続コード306bは電動圧縮機301に接続されており、電動圧縮機301は制御装置306によって作動して冷媒を空調部300内で循環する。接続コード306cは第1ファン308に接続されており、接続コード306dは第2ファン309に接続されている。外気は、制御装置306によって作動する第1ファン308及び第2ファン309によって、第1、2フィルタ110、111を経て吸入口13a、13bからトップカバー104内に吸引される。第1ファン308はトップカバー104内の外気を凝縮器302に供給する。第2ファン309はトップカバー104内の外気を蒸発器305に供給する。
【0030】
図2に示すように、第1ケース106には凝縮器302が固定される。第1ケース106には第1ファン308が収納される。第2ケース107には蒸発器305が固定される。第2ケース107には第2ファン309が収納されている。第1ケース106及び第2ケース107はファンシュラウドを構成している。蒸発器305は第3ケース108に収納されている。第1~3ケース106~108は直方体形状をなしている。第1ケース106及び第2ケース107は、第3ケース108よりも小さく、同一形状である。第1~3ケース106~108もハウジング100の一部に相当する。第1ケース106は金属製である。第2ケース107は金属製である。第3ケース108は樹脂製である。第1ケース106と第2ケース107は、例えばステンレスである。
【0031】
図3及び図4に示すように、第1ファン308を収納した第1ケース106、電動圧縮機301、アキュムレータ304、第2ファン309を収納した第2ケース107及び制御装置306は、図示しないボルト等によってベースプレート102の上面に固定される。この後、電動圧縮機301、凝縮器302、膨張弁303、アキュムレータ304及び蒸発器305が配管307によって接続され、これらには冷媒が封入される。また、トッププレート103が図示しないボルト等によって第1ケース106及び第2ケース107に固定される。こうして、図4に示すように、ベースプレート102、トッププレート103及び空調部300が一体となった構造体200が得られる。
【0032】
図2に示すように、冷風案内部500は、トップカバー104の内面、特に傾斜面104cの内面と、アンダーカバー101の2個の送風口11g、11hと、2個のシェード501と、2個のパンカールーバ502とからなる。シェード501は、蒸発器305を収納した第3ケース108と対面できるように、アンダーカバー101の各送風口11g、11h周りにパンカールーバ502とともに図示しないボルトによって固定される。
【0033】
シェード501は、円筒状をなして上下の軸方向に延びる円筒部501aと、軸方向の上方側で円筒部501aと一体の円弧状をなす庇部501bとを有している。庇部501bの外面は、蒸発器305と対面しており、蒸発器305から送風される冷風を衝突させて円筒部501a内に迂回させるようになっている。
【0034】
パンカールーバ502は、各シェード501の円筒部501aにおける軸方向の下方側に設けられている。各パンカールーバ502は、その吹出口を回動させて運転者に冷風を送風できるようになっている。
【0035】
ユニットクーラ1は、締結手段700によって組み付けられているとともに、フォークリフト3に固定される。締結手段700は、6個の締結部材701a~701fと、2本の断面コ字形状のアンダーレール702と、複数本のボルト703と、複数個のナット704とを有している。
【0036】
締結部材701a~701fは、図5に示すように、第1部材21と第2部材22と中間部材23とからなる。第1部材21は、円板状の円板部21aと、円板部21aの中心から円板部21aと一体に円板部21aから垂直をなす軸方向に延びる雄ネジ部21bとからなる。第2部材22は、円板状の円板部22aと、円板部22aの中心から円板部22aと一体に雄ネジ部21bと同じ方向に延び、内部に雌ネジ部22bが形成されたボス部22cとからなる。雄ネジ部21bが第1ネジ部に相当し、雌ネジ部22bが第2ネジ部に相当する。中間部材23は、タイプAのデュロメータ硬度が45の天然ゴムからなり、防振性及び防振性を有している。中間部材23は、第1部材21の円板部21aと第2部材22の円板部22a及びボス部22cとを接続している。
【0037】
ここで、IEC-J60335-1の測定条件は以下のように定められている。
(1)交流試験電圧は、定格電圧の1.06倍とする。
(2)真の実効値を測定する能力のある低インピーダンス電流計を用いてもよい。
(3)保護インピーダンスを充電部から切り離す。
(4)室温で、電源に接続せずに行う。
(5)20cm×10cm以下の金属箔を可触金属部に接続して可触絶縁物の表面に接触させる。
【0038】
このため、締結部材701a~701fの中間部材23の絶縁性を以下の測定方法で評価した。
(1)交流試験電圧60Vを第1部材21と第2部材22との間に加える。
(2)試験電圧印加後5秒以内に漏洩電流を測定する。
【0039】
この結果、締結部材701a~701fの漏洩電流は0.01mA以下であった。このため、この締結部材701a~701fの中間部材23は、漏洩電流がクラスII機器を満たす基準値である0.25mA以下であることから、クラスII機器を満たす絶縁性を有していることがわかる。なお、中間部材23をタイプAのデュロメータ硬度が60の天然ゴムとした防振部材では、漏洩電流が4.0mAであった。
【0040】
図2に示すように、アンダーレール702は、上板31と、下板33と、上板31と下板33とを接続する側板32とからなる。上板31には、アンダーカバー101の底板101aのボルト穴11a~11fと整合する3個のボルト穴31aが貫設されている。図6に示すように、フォークリフト3のヘッドガード3aには、適数個のボルト穴41aが上下に貫設されている。アンダーレール702の下板32には、ヘッドガード3aのボルト穴41aと整合するボルト穴31aが貫設されている。ハーネス306aは、アンダーカバー101の裏側において、制御装置306側のアンダーレール702に沿ってフォークリフト3の後方に導かれている。この場合、ハーネス306aは、例えば、側板に対して図示しない保持部材によって保持される。
【0041】
ユニットクーラ1をフォークリフト3に固定する場合、まず、図4に示すように、上記構造体200を用意する。また、アンダーカバー101にはシェード501及びパンカールーバ502を固定しておく。そして、図6に示すように、フォークリフト3のヘッドガード3aにボルト703及びナット704を用いて2本のアンダーレール702を固定し、両アンダーレール702上にアンダーカバー101を載せる。
【0042】
この状態でボルト703をボルト穴31a、11a~11fに挿通し、ボルト703を締結部材701a~701fの雌ネジ部22bに螺合する。各締結部材701a~701fがアンダーカバー101とアンダーレール702とを固定すれば、各締結部材701a~701fの雄ネジ部21bをベースプレート102のボルト穴12a~12fに挿通し、雄ネジ部21bにナット704を螺合する。こうして、アンダーカバー101が比較的薄肉であっても、アンダーカバー101は強固にヘッドガード3aに固定される。
【0043】
また、図3に示すように、制御装置306の接続コード306b、306c、306dを電動圧縮機301、第1ファン308及び第2ファン309に接続する。この後、構造体200の上に図2に示すスポンジゴム112を載せ、アンダーカバー101上にトップカバー104を載せ、図示しないボルトでアンダーカバー101上にトップカバー104を固定する。スポンジゴム112が防振部材に相当する。この状態において、締結部材701a~701fとスポンジゴム112とは、雄ネジ部21bと雌ネジ部22bとが延びる上下の軸方向に重なっている。実施例のユニットクーラ1は以上のようにしてフォークリフト3のヘッドガード3a上に搭載される。なお、図2に示す構成部品全てを組み付けて、アンダーカバー101にアンダーレール702を固定した後に、アンダーレール702をフォークリフト3のヘッドガード3aに固定してもよい。
【0044】
このユニットクーラ1では、振動を低減する手段を乗用車程には有していないフォークリフト3において、空調部300の電動圧縮機301、第1ファン308及び第2ファン309がバッテリ3bによって作動する。このため、凝縮器302からは温風が排気され、温風は排熱口13cから外部に放出される。また、蒸発器305からは冷風が排気され、冷風はシェード501を経てパンカールーバ502から運転者Mに送風される。この際、トップカバー104の内面、特に傾斜面104cの内面が冷風をパンカールーバ502に向けて好適に整流する。運転者Mは、パンカールーバ502の吹出口の向きを変更することによって、運転者Mの首元等、冷風の吹き出し方向を任意に変更することができる。
【0045】
また、このユニットクーラ1では、ハウジング100がベースプレート102とアンダーカバー101とを有し、ベースプレート102とアンダーカバー101との間に締結部材701a~701fが設けられている。この締結部材701a~701fが中間部材23を含み、その中間部材23が防振性を備えているため、フォークリフト3における走行中や作業中の振動がベースプレート102上の空調部300に伝達することを抑制して空調部300の故障を低減するとともに、空調部300の振動を吸収して静粛性にも貢献できる。トッププレート103とトップカバー104との間に設けられたスポンジゴム112は、振動によってトッププレート103とトップカバー104とが干渉することを防止し、この静粛性に貢献している。特に、締結部材701a~701fとスポンジゴム112とは、上下に延びる軸方向に重なっているため、軸方向の振動をより抑制することができる。
【0046】
さらに、このユニットクーラ1では、締結部材701a~701fの第1部材21が空調部300を上面に固定するベースプレート102に固定され、締結部材701a~701fの第2部材22がアンダーカバー101を間に挟んでアンダーレール702に固定され、アンダーレール702がフォークリフト3のヘッドガード3aに固定され、中間部材23が第1部材21と第2部材22とを接続し、中間部材23がクラスII機器を満たす絶縁性を備えている。このため、空調部300から漏電が生じた場合であっても、電流はベースプレート102及び第1部材21まで流れ得るだけであり、中間部材23、第2部材22、アンダーカバー101、ひいてはフォークリフト3には流れない。
【0047】
したがって、このユニットクーラ1では、フォークリフト3の運転者Mに冷風を送風可能であり、空調部300の故障を低減可能であり、かつ静粛性を確保可能であるとともに、空調部300に漏電が生じた場合であっても、電流がフォークリフト3側に流れるおそれがない。
【0048】
また、このフォークリフト3では、図1に示すように、ユニットクーラ1の吸入口13a、13bがヘッドガード3a上に位置しているため、ユニットクーラ1の騒音が運転者Mにとって邪魔になり難い。また、ユニットクーラ1の吸入口13a、13bがヘッドガード3aの左端に位置しているため、第1、2フィルタ110、111を容易に保守又は点検することができる。
【0049】
さらに、このフォークリフト3では、ユニットクーラ1は前後に長い直方体形状であり、その高さが低く、かつ排熱口13cがヘッドガード3aの前端に位置しているため、温風が運転者Mに当たることもない。
【0050】
なお、ボルト703及びナット704を外し、上記と逆の操作を行うことにより、このユニットクーラ1を他の産業車両に搭載させることも可能である。
【0051】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0052】
例えば、本発明のユニットクーラは、カウンタータイプ、ピッキングタイプ、3-wayタイプ、冷凍冷蔵庫仕様の電動フォークリフトに用いられてもよく、種々のエンジンフォークリフト、搬送機器、牽引車等、広く産業車両に用いられ得る。
【0053】
例えば、カウンタータイプの電動フォークリフトでは、図7及び図8に示すように、ヘッドガード3cにバッテリ吊り下げ用の切欠き3dが形成されている場合がある。ユニットクーラ1が切欠き3dに重ならないようにするため、冷凍サイクルの中でも比較的大きな凝縮器302及び蒸発器305の長辺をユニットクーラ1の短辺となるように両端に配置し、凝縮器302と蒸発器305との間に電動圧縮機301、膨張弁303、アキュムレータ306等の冷凍サイクルを構成する他の要素を収容し、ユニット化した。この場合、実施例のユニットクーラ1は前後に長い直方体形状になることから、切欠き3dの左に搭載され、切欠き3dを避けて搭載することが可能である。また、ヘッドガード3c上に透明樹脂からなるカバー4が設けられる場合でも、ユニットクーラ1はカバー4の全てを覆わないように小型化されているため、運転者Mの斜め上方の視界を妨げない。
【0054】
なお、このユニットクーラ1は、ヘッドガード3cの前後に延びて搭載されるように搭載状態が限定されるものではない。このユニットクーラ1は、例えば、図9に示すように、切欠き3dの後方において、左右に延びて搭載されてもよく、図10に示すように、切欠き3dの前方において、左右に延びて搭載されてもよい。これらの場合、排熱口13c及び傾斜板104cを左右どちらにするかは任意に決定可能である。
【0055】
また、本発明のユニットクーラの締結部材は上記締結部材701a~701fに限定されず、第1部材及び第2部材に雄ネジ部が形成されたものであったり、第1部材及び第2部材に雌ネジ部が形成されているものであってもよい。
【0056】
また、第3部は、タイプAのデュロメータ硬度45以下の天然ゴム以外であっても、防振性と、クラスII機器を満たす絶縁性とを有していれば、種々のものを採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は産業車両等にオプションとして搭載可能なユニットクーラに利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
100…ハウジング
300…空調部
102…ベースプレート
101…アンダーカバー
701a~701f…締結部材
21…第1部材
22…第2部材
23…中間部材
1…ユニットクーラ
301…電動圧縮機
302…凝縮器
303…減圧装置(膨張弁)
305…蒸発器
308…第1ファン
309…第2ファン
104…トップカバー
103…トッププレート
112…防振部材、スポンジゴム
21b…雄ネジ部(第1ネジ部)
22b…雌ネジ部(第2ネジ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10