(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140646
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】画像形成方法、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B41J2/01 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051898
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩司
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB08
2C056EB40
2C056EB58
2C056EC79
2C056FA13
(57)【要約】
【課題】ヘッドの状態の変化後に、ヘッド状態の変化を反映した画像形成を、データ変換処理に伴うユーザの待ち時間を抑制して迅速に開始できる画像形成方法を提供する。
【解決手段】画像形成方法は、データ変換部と、ヘッドを有する画像形成部とを備える画像形成システムが実行する方法である。前記データ変換部が、画像データを、前記ヘッドの状態に応じた第1印刷データに変換する第1データ変換工程と、前記第1データ変換工程の実行後且つ前記ヘッドの状態が変化した後に、前記画像データを、前記ヘッドの変化後の状態に応じた第2印刷データに変換する第2データ変換工程と、前記第2印刷データを、前記画像形成部に送信する第2印刷データ送信工程と、を実行する。前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したと特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受け取った画像データの変換を行うデータ変換部と、
ヘッドを有し、該ヘッドに形成された複数のノズルから液体を吐出して媒体に画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記データ変換部と前記画像形成部とが、通信可能に接続された、画像形成システムが実行する方法であって、
前記データ変換部が、
前記画像データを、前記ヘッドの状態に応じた第1印刷データに変換する第1データ変換工程と、
前記第1データ変換工程の実行後且つ前記ヘッドの状態が変化した後に、前記画像データを、前記ヘッドの変化後の状態に応じた第2印刷データに変換する第2データ変換工程と、
前記第2印刷データを、前記画像形成部に送信する第2印刷データ送信工程と、を実行し、
前記画像形成部が、前記データ変換部から送信された前記第2印刷データに基づいて前記ヘッドから前記液体を吐出して前記媒体に前記画像を形成する画像形成工程を実行し、
前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したと特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する、画像形成方法。
【請求項2】
前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したことを、前記画像形成部との通信を介して特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記第1データ変換工程において、
前記データ変換部が、前記画像データを中間データに変換する工程と、
前記データ変換部が、前記中間データをメモリに記憶する工程と、
前記データ変換部が、前記中間データを前記第1印刷データに変換する工程と、を実行し、
前記第2データ変換工程において、前記画像データの前記第2印刷データへの変換は、前記データ変換部が、前記メモリに記憶された前記中間データを前記第2印刷データに変換することにより行う請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記画像データは複数の画像データであり、
前記第2データ変換工程において、前記複数の画像データを、優先度の高い順に前記第2印刷データに変換する請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記複数の画像データの何れかに基づく、前記ヘッドによる前記画像の形成が中断されている場合は、前記第2データ変換工程において、前記中断に係る画像データの優先度を最も高くする請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記複数の画像データの何れかが、前記ヘッドによる前記画像の形成を待機する待機状態である場合は、前記第2データ変換工程において、前記待機状態にある画像データの優先度を前記中断に係る画像データの次に高くする請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記第2データ変換工程において、前記複数の画像データのうちの前記第1印刷データに変換済であり且つ前記待機状態ではない画像データの優先度を、前記待機状態である画像データの次に高くする請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記第2データ変換工程において、前記複数の画像データのうちの過去に画像の形成を行ったことのある画像データの優先度を、前記第1印刷データに変換済であり且つ前記待機状態ではない画像データの次に高くする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記ヘッドの状態の変化は、前記複数のノズルの間で互いに補完を行うノズル補完の態様の変化、及び/又は前記複数のノズルの間での前記画像の形成に用いるノズルの変更を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記ヘッドの状態が変化したことに基づいて、前記画像形成部が、変化後の前記ヘッドの状態を前記データ変換部に通知する請求項9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記データ変換部は第1データ変換部及び第2データ変換部を含み、
前記画像形成部は前記第1データ変換部に接続された第1画像形成部及び前記第2データ変換部に接続された第2画像形成部を含み、
前記第1データ変換部による前記データ変換工程の実行後に前記第1画像形成部の前記ヘッドが使用不可となった場合に、前記第2データ変換工程において前記第2データ変換部により前記画像データを前記第2印刷データに変換し、前記画像形成工程において前記第2画像形成部の前記ヘッドから前記液体を吐出して前記媒体に画像を形成する請求項1~8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項12】
外部から受け取った画像データの変換を行うデータ変換部と、
ヘッドを有し、該ヘッドに形成された複数のノズルから液体を吐出して媒体に画像を形成する画像形成部とを備え、
前記データ変換部と前記画像形成部とが、通信可能に接続された、画像形成システムであって、
前記データ変換部は、
前記画像データを、前記ヘッドの状態に応じた第1印刷データに変換する第1データ変換工程と、
前記第1データ変換工程の実行後且つ前記ヘッドの状態が変化した後に、前記画像データを、前記ヘッドの変化後の状態に応じた第2印刷データに変換する第2データ変換工程と、
前記第2印刷データを、前記画像形成部に送信する第2印刷データ送信工程と、を実行し、
前記画像形成部は、前記データ変換部から送信された前記第2印刷データに基づいて前記ヘッドから前記液体を吐出して前記媒体に前記画像を形成する画像形成工程を実行し、
前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したと特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルを有するヘッドから媒体(用紙等)にインクを吐出して、媒体上に画像を形成する画像形成装置が用いられている。画像形成装置による画像の形成は、形成しようとする画像を示す画像データを画像形成装置に入力することにより行う。
【0003】
ここで、画像の内容を示す画像データには様々な形式(JPEG形式、PDF形式、GIF形式等)があり、形式によっては画像形成装置による画像の形成(印刷)にそのまま用いることができない。画像データがそのような形式である場合は、画像形成装置による画像形成を行う前に、情報処理装置により画像データの変換を行う。これにより、画像形成装置による画像の形成に用いることのできないデータを、画像形成装置による画像の形成に用いることのできるデータに変換する。
【0004】
特許文献1は、画像出力命令を伴って入力された画像出力不可能な第1形式の画像データを、画像出力可能な第2形式の画像データに変換して画像出力する画像出力装置(プリンタ)を開示している。特許文献1に記載の画像出力装置は、画像出力命令を伴わずに入力された第1の形式の画像データを第2の形式の画像データに変換し、これを保存しておく手段を備える。当該第2の形式の画像データは、後に画像出力命令を伴って入力されると予測される第1の形式の画像データに対する第2の形式の予測画像データとして保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置においては、ヘッドの状態が、ノズル補償(吐出不良ノズルに起因する画像品質の低下を他のノズルからのインク吐出量を調整することにより補償する処理)の態様の変化等に伴って変化する。ヘッドの状態が変化した場合は、ヘッドの状態が変化する前に変換された画像データをそのまま用いることは適切ではないため、変化後のヘッド状態に応じた画像データの変換を改めて行う必要がある。しかしながら、画像データの変換には場合によっては30分以上の長時間を要し、画像形成工程の遅延が生じてしまう。
【0007】
これに対し、特許文献1は画像データの変換に伴う画像出力開始の遅延に対処することを開示しているが、ヘッド状態の変化に起因して画像データの変換が必要となった場合の対処についてはなんら考慮していない。
【0008】
この点を具体的に説明すると、次の通りである。即ち、特許文献1に記載の画像出力装置は、上述の通り、画像出力命令を伴わずに入力された第1の形式の画像データを第2の形式の画像データに変換し、これを第2の形式の予測画像データとして保持する。ヘッドの状態が変化する前であれば、画像出力命令に応じて当該第2の形式の予測画像データを用いることで、画像データの変換に要する時間を省いて少ない遅延で画像出力を開始し得る。しかしながら、ヘッドの状態が変化した後は、ヘッド状態の変化前に変換、保持された第2の形式の予測画像データも、画像形成に用いることが適切ではないデータとなってしまう。換言すれば、当該第2の形式の予測画像データに対応する第1の形式の画像データを、改めて変化後のヘッドの状態に応じた第2の形式の画像データに変換する必要が生じる。そのため、第2の形式の予測画像データを保持することは、ヘッド状態の変化に起因して生じる画像形成工程の遅延の抑制に関しては、なんら効果を奏するものではない。
【0009】
本発明は、画像形成前にデータ変換を行う画像形成方法及び画像形成システムであって、ヘッドの状態の変化後に、ヘッド状態の変化を反映した画像形成を、データ変換処理に伴うユーザの待ち時間を抑制して迅速に開始できる画像形成方法及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に従えば、外部から受け取った画像データの変換を行うデータ変換部と、
ヘッドを有し、該ヘッドに形成された複数のノズルから液体を吐出して媒体に画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記データ変換部と前記画像形成部とが、通信可能に接続された、画像形成システムが実行する方法であって、
前記データ変換部が、
前記画像データを、前記ヘッドの状態に応じた第1印刷データに変換する第1データ変換工程と、
前記第1データ変換工程の実行後且つ前記ヘッドの状態が変化した後に、前記画像データを、前記ヘッドの変化後の状態に応じた第2印刷データに変換する第2データ変換工程と、
前記第2印刷データを、前記画像形成部に送信する第2印刷データ送信工程と、を実行し、
前記画像形成部が、前記データ変換部から送信された前記第2印刷データに基づいて前記ヘッドから前記液体を吐出して前記媒体に前記画像を形成する画像形成工程を実行し、
前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したと特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する、画像形成方法が提供される。
【0011】
本発明の第2の態様に従えば、外部から受け取った画像データの変換を行うデータ変換部と、
ヘッドを有し、該ヘッドに形成された複数のノズルから液体を吐出して媒体に画像を形成する画像形成部とを備え、
前記データ変換部と前記画像形成部とが、通信可能に接続された、画像形成システムであって、
前記データ変換部は、
前記画像データを、前記ヘッドの状態に応じた第1印刷データに変換する第1データ変換工程と、
前記第1データ変換工程の実行後且つ前記ヘッドの状態が変化した後に、前記画像データを、前記ヘッドの変化後の状態に応じた第2印刷データに変換する第2データ変換工程と、
前記第2印刷データを、前記画像形成部に送信する第2印刷データ送信工程と、を実行し、
前記画像形成部は、前記データ変換部から送信された前記第2印刷データに基づいて前記ヘッドから前記液体を吐出して前記媒体に前記画像を形成する画像形成工程を実行し、
前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したと特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する画像形成システムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成方法及び画像形成システムによれば、ユーザは、ヘッドの状態の変化後に、ヘッド状態の変化を反映した画像形成を、データ変換処理に伴う待ち時間を抑制して迅速に開始できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図3は、印刷実行部を媒体幅方向に見た構成図である。
【
図6】
図6(a)、
図6(b)は、ノズル補完の説明図である。
図6(a)は不吐出ノズルの存在により白スジが生じている状態を示す。
図6(b)は不吐出ノズルの両側の補完ノズルにより白スジが解消された様子を示す。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)は、印刷に使用するノズルの変更の様子を示す説明図である。
図7(a)は変更前の状態を示す。
図7(b)は変更後の状態を示す。
【
図8】
図8は、自動RIP処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の実施形態である印刷システム(画像形成システム)100、及び印刷システム100の制御方法について、
図1~
図8を参照して説明する。
【0015】
[印刷システム100]
図1に示す通り、印刷システム100は、データ変換部10と、プリンタ(画像形成部)PRとを主に含む。
【0016】
[データ変換部10]
データ変換部10は、外部装置500から画像データを受け取り、当該画像データをプリンタPRでの画像形成に適した形式に変換する。データ変換部10は一例としてDFE(Digital Front End)等である。外部装置500は、一例としてPC、MIS(Management Information System)等である。
【0017】
データ変換部10は、変換処理部11、状態変化特定部12、操作部13、表示部14、記憶部15、及び通信部16を主に有する。
【0018】
変換処理部11は、画像データの変換処理を行う部分である。変換処理部11の動作については後述する。
【0019】
状態変化特定部12は、プリンタPRのヘッドHD(後述)の状態が変化したことを特定する部分である。状態変化特定部12の動作については後述する。
【0020】
操作部13は、印刷システム100のユーザがデータ変換部10に所望の入力を行うための構成である。操作部13は、具体的には例えばキーボード及び/又はマウスであってよい。
【0021】
表示部14は、印刷システム100のユーザに印刷システム100に関する情報等を表示する構成である。表示部14は、具体的には例えば液晶モニタ等の画像表示装置であってよい。なお、操作部13と表示部14とを一体の構成としたタッチパネルを用いてもよい。
【0022】
記憶部15は、データ変換部10が外部装置500から受け取る画像データ、データ変換部10の動作により生じる各種データ(詳細後述)等を記憶する記憶装置である。記憶部15は、磁気ディスク装置等の任意の記憶装置であってよい。
【0023】
通信部16は、プリンタPRの通信部36(後述)と通信を行う。通信部16と通信部36との通信は、有線で行われてもよく、無線で行われてもよい。
【0024】
[プリンタPR]
プリンタPRは、印刷実行部20とコントローラ30とを備える。
【0025】
印刷実行部20は、データ変換部10からプリンタPRが受け取った印刷データに基づいて、媒体(用紙等)への印刷(画像形成)を実行するように構成されている。
【0026】
印刷実行部20は、
図2、
図3に示す通り、4つのヘッドアセンブリ21、プラテン22、給送シャフト231、巻取シャフト232、一対の搬送ローラ241、242、インクタンク25、及びこれらを収容する筐体29を主に備える。
【0027】
印刷実行部20に関しては、一対の搬送ローラ241、242が並ぶ方向、即ち画像形成時に媒体PMが搬送される方向を搬送方向と呼ぶ。搬送方向については、媒体PMが搬送される方向の上流、下流をそれぞれ、搬送方向の上流、下流と呼ぶ。また、水平面内において搬送方向と直交する方向、即ち、搬送ローラ241、242の回転軸の延びる方向を媒体幅方向と呼ぶ。媒体幅方向については、搬送方向の下流から上流を見た際の左、右をそれぞれ、媒体幅方向の左、右と呼ぶ。
【0028】
4つのヘッドアセンブリ21は、搬送方向に並んだ状態で位置している。4つのヘッドアセンブリ21の各々は、いわゆるラインタイプのヘッド(ヘッドバー)であり、1種類のインクを吐出するように構成されている。
【0029】
図2、
図3に示すように、4つのヘッドアセンブリ21は、搬送方向に沿ってアーチ状に湾曲するアーチフレーム21aに支持されている。アーチフレーム21aは、4つのヘッドアセンブリ21を、水平面に対する角度が互いに異なるように支持している。
【0030】
4つのヘッドアセンブリ21の各々は箱状である。
図4に示すように、4つのヘッドアセンブリ21の各々は、その下面211に位置した10個のヘッドHDを有する。下面211の長手方向の両端部がアーチフレーム21aに支持されている。10個のヘッドHDは媒体幅方向に沿って千鳥状(ジグザグ)に配置されている。
【0031】
10個のヘッドHDの各々の下面には複数のノズルNZが形成されている。複数のノズルNZの各々は、インクを媒体PMに向けて吐出する微小開口である。
【0032】
説明の都合上、本実施形態のヘッドHDには、36個のノズルNZが形成されているものとする。36個のノズルは、搬送方向に並ぶ4列のノズル列NZAを構成しており、各ノズル列NZAは媒体幅方向に並ぶ9個のノズルNZを含む。なお、ヘッドHDが有するノズルNZの数は36個よりも多くてもよく、ノズル列の数は4列よりも多くてもよい。
【0033】
10個のヘッドHDの各々の内部には、インク分配流路(不図示)と、複数の個別流路(不図示)とが形成されている。複数の個別流路の各々はインク分配流路とノズルNZとを繋いでおり、ノズルNZの近傍に圧力室(不図示)を有する。圧力室の上方には圧電アクチュエータ(不図示)が形成されている。圧電アクチュエータは、コントローラ30に接続されている。
【0034】
インクタンク25(後述)からヘッドHDに供給されたインクは、インク分配流路と個別流路とを経て、ノズルNZに供給される。この時、コントローラ30の制御により圧電アクチュエータ(不図示)を駆動させることにより、当該圧電アクチュエータに対応する圧力室の容積が変化し、当該圧力室に対応するノズルNZからインク滴が吐出される。
【0035】
プラテン22は、ヘッドアセンブリ21から媒体PMに向けてインクを吐出する際に、媒体PMを下方から支持する板状部材である。プラテン22は上下方向においてヘッドアセンブリ21と対向している。プラテン22は搬送方向に沿って湾曲している。
【0036】
給送シャフト231、巻取シャフト232はそれぞれ、不図示のモータにより回転する回転シャフトである。給送シャフト231には画像形成がなされる前の媒体PMがロール状に巻かれた給送ロールPM1が取り付けられる。巻取シャフト232には、画像形成がなされた後の媒体PMがロール状に巻かれた巻取ロールPM2が取り付けられる。
【0037】
給送ロールPM1から送り出された媒体PMは、ヘッドアセンブリ21による画像形成がなされた後、巻取ロールPM2に巻き取られる。媒体PMとして、例えばロール紙を用い得る。
【0038】
搬送ローラ対241、242は、プラテン22を搬送方向に挟んだ状態で位置している。搬送ローラ対241、242は、ヘッドアセンブリ21が媒体PMに画像を形成する際に、媒体PMを所定の態様で搬送方向に送る。
【0039】
インクタンク25は、4色(4種類)のインクを収容できるよう4つに区分されている。4色のインクは、管路251によりリザーバ252に送られる。管路251、リザーバ252も、4色のインクを流通、収容できるよう4つに区分されている。リザーバ252に送られた各色のインクは、不図示の管路及びポンプを介して、リザーバ252と4つのヘッドアセンブリ21のいずれかとの間で循環される。本実施形態では、4色のインクは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクであるとする。しかしながら、これらは例示であり、インクの色はこれらには限られない。
【0040】
図1に示す通り、コントローラ30は、印刷制御部31、ヘッド状態管理部32、操作部33、表示部34、記憶部35、通信部36を主に有する。
【0041】
印刷制御部31は、印刷実行部20の各部を制御して、媒体PMへの画像形成を実行する。印刷制御部31の動作については後述する。
【0042】
ヘッド状態管理部32は、印刷実行部20の複数のヘッドHDの各々の状態を管理する。ヘッド状態管理部32の動作については後述する。
【0043】
操作部33は、印刷システム100のユーザがプリンタPRに所望の入力を行うための構成である。操作部33は、具体的には例えば物理的な操作ボタンであってよい。
【0044】
表示部34は、印刷システム100のユーザに、プリンタPRに関する情報等を表示するための構成である。表示部34は、具体的には例えば液晶モニタ等の画像表示装置であってよい。なお、操作部33と表示部34とを一体の構成としたタッチパネルを用いてもよい。
【0045】
記憶部35は、プリンタPRがデータ変換部10から受け取る印刷データ等を記憶する記憶装置である。記憶部35は、磁気ディスク装置等の任意の記憶装置であってよい。記憶部35の内部には、キュー領域35qが画定されている。
【0046】
通信部36は、データ変換部10の通信部16と通信を行う。
【0047】
[印刷処理]
次に、印刷システム100を用いて媒体PMに画像を印刷する印刷処理(画像形成処理)について説明する。
【0048】
印刷処理は、
図5に示す通り、印刷ジョブ登録工程S11、第1RIP工程S12、分解画像データ記憶工程S13、第2RIP工程S14、データ送信工程S15、印刷指示判定工程S16、キュー登録工程S17、実行判定工程S18、印刷工程S19を含む。第1RIP工程S12及び第2RIP工程S14が本発明の「第1データ変換工程」の一例である。
【0049】
印刷ジョブ登録工程S11では、印刷システム100のユーザが、印刷システム100に印刷ジョブを登録する。ユーザは、具体的には例えば、外部装置500を介して印刷ジョブをデータ変換部10に送ることにより印刷ジョブの登録を行う。データ変換部10は、受け取った印刷ジョブを記憶部15に保存する。
【0050】
印刷ジョブは、1つ又は複数の画像データを含む。本実施形態では画像データはPDF形式のデータである。画像形成処理に関する以下の説明では、印刷ジョブは1つ又は複数の画像データDを含むものとする。
【0051】
第1RIP工程S12では、変換処理部11が、記憶部15に記憶された画像データDに、RIP(Ruster Image Processing)処理の第1段階を施す。
【0052】
RIP処理とは、PC等で作製された画像データを、プリンタでの使用に適したラスターイメージに変換する処理である。本実施形態では、PDF形式の画像データDにRIP処理を施すことにより、印刷実行部20で使用する4種類のインク(即ち、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク)にそれぞれ対応する4つのTIFF形式のデータを含む印刷データDPRを生成する。
【0053】
RIP処理の第1段階では、PDF形式の画像データDを、インクの種類ごと(即ち、色ごと)のTIFF形式の画像データに分解する。以下、画像データDにRIP処理の第1段階を施すことにより得られる画像データを分解画像データDDEと呼ぶ。分解画像データDDEは本発明の「中間データ」の一例である。1つの画像データDに対応する分解画像データDDEは、4種類のインクにそれぞれ対応する4つのTIFF形式のデータを含む。
【0054】
分解画像データ記憶工程S13では、データ変換部10が、第1RIP工程S12で生成した分解画像データDDEを記憶部15に保存する。
【0055】
第2RIP工程S14では、変換処理部11が、分解画像データDDEに、RIP処理の第2段階を施す。RIP処理の第2段階により、分解画像データDDEが印刷データDPRに変換される。具体的には、4種類のインクにそれぞれ対応する4つのTIFF形式のデータの各々が変換され、4種類のインクにそれぞれ対応する4つのTIFF形式のデータを含む印刷データDPRが生成される。印刷データDPRは、ヘッドHDの複数のノズルNZの各々が吐出するインク滴のサイズを示すデータである。RIP処理の第2段階はスクリーニング処理とも呼ばれる。
【0056】
本実施形態では、第1RIP工程S12と第2RIP工程S14とを実行することにより、ある画像をレッド(R)256階調、グリーン(G)256階調、ブルー(B)256階調の組合せで示す画像データDが、当該ある画像を印刷するための4つのTIFFデータを含む印刷データDPRに変換される。4つのTIFFデータは、本実施形態では以下の4つのデータである。
(I)シアンインクが供給されるヘッドアセンブリ21の各ノズルNZから当該ある画像を印刷するために吐出されるシアンインクのインク滴の大きさを4段階で示すシアンインク用印刷データDPRC
(II)マゼンタインクが供給されるヘッドアセンブリ21の各ノズルNZから当該ある画像を印刷するために吐出されるマゼンタインクのインク滴の大きさを4段階で示すマゼンタインク用データDPRM
(III)イエローインクが供給されるヘッドアセンブリ21の各ノズルNZから当該画像を印刷するために吐出されるイエローインクのインク滴の大きさを4段階で示すイエローインク用データDPRY
(IV)ブラックインクが供給されるヘッドアセンブリ21の各ノズルNZから当該画像を印刷するために吐出されるブラックインクのインク滴の大きさを4段階で示すブラックインク用データDPRK
【0057】
データ送信工程S15では、データ変換部10が、印刷データDRPを、通信部15を介してプリンタPRに送る。プリンタPRのコントローラ30は、通信部36を介して印刷データDPRを受けとり、受け取った印刷データDPRを記憶部35に保存する。
【0058】
印刷指示判定工程S16では、コントローラ30の印刷制御部31が、印刷指示が入力されたか否かを判定する。印刷指示は、具体的には例えば、コントローラ30の操作部33を介してユーザにより入力される。
【0059】
印刷制御部31は、印刷指示を受け取っていないと判定した場合(S16:NO)は、印刷指示判定工程S16を繰り返す。印刷制御部31は、印刷指示を受け取ったと判定した場合(S16:YES)は、印刷指示に係る印刷データDPRをキュー登録する(S17)。キュー登録は、具体的には例えば、印刷データDPRを記憶部35のキュー領域35qに移動することによりなされる。画像データDを変換して生成された印刷データDPRがキュー登録された状態が、本発明の「画像データが待機状態である場合」の一例である。
【0060】
実行判定工程S18では、印刷制御部31が、印刷実行部20はキュー登録された印刷データDPRに基づく印刷を実行可能な状態であるか否かを判定する。印刷実行部20が過去の印刷指示に基づく印刷を実行中であるなど、キュー登録された印刷データDPRに基づく印刷を実行可能ではない場合(S18:NO)は、印刷制御部31は、実行判定工程S18を繰り返す。印刷制御部31は、印刷実行部20がキュー登録された印刷データDPRに基づく印刷を実行可能である場合(S18:YES)は、印刷実行部20を制御して印刷データDPRに基づく印刷工程S19を実行する。
【0061】
印刷工程S19では、印刷制御部31が印刷実行部20に、媒体PMを搬送方向に搬送する搬送工程と、4つのヘッドアセンブリ21から媒体PMにインクを吐出する吐出工程とを実行させる。
【0062】
搬送工程においては、印刷制御部31は、不図示のモータを駆動することにより給送シャフト231、巻取シャフト232、搬送ローラ241、242を回転させ、媒体PMを搬送方向下流に送る。
【0063】
吐出工程においては、印刷制御部31は、複数のノズルNZの各々から吐出されるインク滴の大きさが印刷データDPRにより示される大きさとなるよう圧電アクチュエータを駆動し、ヘッドHDから媒体PMに向けてインク滴を吐出する。具体的には、シアンインクが供給されるヘッドアセンブリ21にシアンインク用データDPRCを送り、シアンインク用印刷データDPRCに従って、ヘッドHDから、シアンインクのインク滴を吐出する。マゼンタインクが供給されるヘッドアセンブリ21にマゼンタインク用データDPRMを送り、マゼンタインク用データDPRMに従って、ヘッドHDから、マゼンタインクのインク滴を吐出する。イエローインクが供給されるヘッドアセンブリ21にイエローインク用データDPRYを送り、イエローインク用データDPRYに従って、ヘッドHDから、イエローインクのインク滴を吐出する。ブラックインクが供給されるヘッドアセンブリ21にブラックインク用データDPRKを送り、ブラックインク用データDPRKに従って、ヘッドHDから、ブラックインクのインク滴を吐出する。これらのインク滴が媒体PMに着弾することにより、媒体PM上に画像データDが示す画像が形成される。
【0064】
このようにして印刷制御部31は、印刷実行部20に搬送工程と吐出工程とを並行して実行させることにより、媒体PM上に画像の印刷を行う。
【0065】
[自動RIP処理]
次に、本実施形態の印刷システム100が実行する自動RIP処理について説明する。
【0066】
自動RIP処理は、印刷実行部20のヘッドHDの状態が変化したことに応じて自動的に実行される。これにより印刷システム100のユーザは、ヘッドHDの状態が変化した後の印刷処理の再開を迅速に行うことが出来る。
【0067】
以下、(1)ヘッドHDの状態の変化、(2)ヘッドHDの状態が変化した際にRIP処理が必要となる理由、(3)自動RIP処理の具体的工程、の順に説明する。
【0068】
(1)ヘッドHDの状態の変化
ヘッドHDの状態の変化とは、ヘッドHDの物理的な状態の変化、及びヘッドHDの吐出設定の変化を含む。
【0069】
ヘッドHDの物理的な状態の変化は、具体的には例えば、ヘッドHDにおける吐出不良ノズルの位置、数、不良の態様等の変化である。また、ヘッドHDを交換した場合、交換前後のヘッドHDが設計上は同一であってもヘッドHDの物理的な状態は変化し得る。例えば、吐出不良ノズルを含むヘッドHDから吐出不良ノズルを含まないヘッドHDに交換した場合に、ヘッドHDの物理的な状態は変化する。
【0070】
なお、吐出不良ノズルとは、媒体(用紙等)への液体(インク等)の吐出を好適に行うことのできないノズルを意味する。吐出不良ノズルは、一例として不吐出ノズル、歪みノズル、及びよれノズルを含む。ノズルNZが不吐出ノズルとなった場合は、当該ノズルNZからは液体は吐出されない。ノズルNZが歪みノズルとなった場合は、当該ノズルからは液体が不規則に吐出される。ノズルNZがよれノズルとなった場合、当該ノズルからは設計時に予定した向きとは異なる向きに液体が吐出される。
【0071】
ヘッドHDの吐出設定の変化は、具体的には例えば、ノズル補完の態様の変化、印刷に用いるノズルの変更等である。
【0072】
ノズル補完においては、ヘッドHDが有する複数のノズルNZのいずれかが吐出不良ノズルとなった場合、当該ノズルNZからの液滴により形成されるべきであった画像を、当該ノズルNZに近接(例えば隣接)するノズルからの液滴により形成し、画像品質の劣化を抑制する。
【0073】
具体的には例えば、
図6(a)に示すように、ノズルNZaがインク滴を吐出しない不吐出ノズルとなった場合、媒体PMに形成される画像においては、ノズルNZaに対応する位置には画素が形成されず、白スジXが生じてしまう。この場合、ノズル補完では、
図6(b)に示すように、媒体幅方向においてノズルNZaと隣接するノズルNZbからのインク滴の吐出量を増加させ、ノズルNZaから吐出されるインクで形成すべきであった画素をノズルNZbからのインク滴で形成する。これにより白スジXの発生が抑制される。
【0074】
印刷に用いるノズルの変更においては、ヘッドHDが有する複数のノズルNZのいずれかが吐出不良ノズルとなった場合、当該ノズルNZを用いずに画像を形成するよう、液滴を吐出するノズルNZを変更する。
【0075】
具体的には例えば、
図7(a)に示すように、媒体幅方向の左端から10個のノズルNZを用いて画像IMの印刷を行っている状態で、媒体幅方向の左端から2番目のノズルNZが吐出不良ノズルとなるに至ったと仮定する。この場合、
図7(b)に示すように、印刷に用いるノズルNZを媒体幅方向の左端から3番目~12番目のノズルNZに変更することで、吐出不良ノズルの影響を抑制した画像IMの印刷を継続することができる。
【0076】
印刷システム100のユーザは、吐出不良ノズルの位置、数、不良の態様等の変化に応じてヘッドHDの吐出設定を変更することにより、ノズル補完等の補償技術をヘッドHDの物理的な状態に応じた態様で適用することができる。
【0077】
即ち、基本的には、ヘッドHDの吐出設定は、ヘッドHDの物理的な状態の変化に応じて変化する(変更される)。したがってヘッドHDの物理的状態の変化とヘッドHDの吐出設定の変化とは対応関係を有する。ただし、本発明では、ヘッドの物理的状態の変化の有無に拘わらずヘッド吐出設定が変化した場合もヘッドの状態が変化したとみなす。
【0078】
(2)ヘッドHDの状態が変化した際にRIP処理が必要となる理由
ヘッドHDの状態が変化した際にRIP処理が必要となる理由は次の通りである。
【0079】
上述の通り、印刷実行部20での印刷に用いられる印刷データDPRは、ヘッドHDの各ノズルNZからのインク滴の吐出量を指定する。したがって、画像データDの内容が同一であっても、印刷データDPRの内容は、印刷実行部20のヘッドHDの物理的な状態や吐出設定の変化に応じて異なったものとなる。
【0080】
そのため、例えば、ノズル補完を行うために吐出不良ノズルの吐出量をゼロとし、当該吐出不良ノズルの両側のノズルの吐出量を増加させるよう吐出設定を変更した場合は、これらの吐出量の増減を反映した内容となるよう印刷データDPRを生成し直す必要がある。吐出量の増減を反映した印刷データDPRを生成し直さないと、吐出設定の変更前に生じている白スジ等の問題は引き続き発生してしまう。
【0081】
また、例えば、印刷に用いるノズルを変更するために吐出設定を変更した場合も、吐出設定の変更により使用されなくなるノズルの吐出量の減少、及び吐出設定の変更により使用されるようになったノズルの吐出量の増加を反映した内容となるよう印刷データDPRを生成し直す必要がある。吐出量の増減を反映した印刷データDPRを生成し直さないと、印刷に用いるノズルの変更がなさず、例えば、使用を避けようとした吐出不良ノズルを用いた画像形成がなされてしまう。
【0082】
このように、印刷データDPRは、ヘッドHDの各ノズルNZからのインク滴の吐出量を指定するデータであるため、ヘッドHDの状態(即ち、物理的な状態及び/又は吐出設定)が変化すると、変化後の状態に応じたRIP処理を行い、変化後の状態に応じた印刷データDPRを生成することが必要となる。
【0083】
(3)自動RIP処理の具体的工程
自動RIP処理は、
図8に示す通り、状態変化判定工程S21、推定RIP工程S22、データ送信工程S23を含む。推定RIP工程S22が本発明の「第2データ変換工程」の一例である。データ送信工程S23が本発明の「第2印刷データ送信工程」の一例である。
【0084】
本実施形態の印刷システム100は、ユーザがヘッドHDの吐出設定を変更したことに応じて自動的に自動RIP処理を開始する。
【0085】
印刷システム100のユーザは、例えば、ヘッドHDの物理的な状態が変化した際に、ノズル補完の開始やノズル補完の態様の変更を行うために、ヘッドHDの吐出設定を変更する。ユーザによるヘッドHDの吐出設定の変更は、具体的には例えば、操作部33を介してヘッド状態管理部32が有する吐出設定情報を変更することにより行われる。
【0086】
ヘッド状態管理部32は、ユーザにより吐出設定情報が変更された場合に、状態変化判定工程S21を実行する。状態変化判定工程S21では、ヘッド状態管理部32は、ヘッドHDの状態(ここでは吐出設定)が、印刷データDPRの変更を要する程度に変化したか否かを判定する。
【0087】
ヘッド状態管理部32は、ヘッドHDの状態(ここでは吐出設定)が、印刷データDPRの変更を要する程度に変化したと判定した場合は、ヘッドHDの状態が変化したことを示す情報を、通信部36を介してデータ変換部10の状態変化特定部12に送信する。状態変化特定部12は、当該情報を受け取った場合は、ヘッドHDの状態が変化したと特定する。
【0088】
データ変換部10は、状態変化特定部12がヘッドHDの状態が変化したと特定したことに基づいて推定RIP工程S22を開始する。
【0089】
推定RIP工程S22では、データ変換部10は、次にプリンタPRにおいて画像形成が行われると推定される画像データDに対応する印刷データDPRを、第2RIP工程S14と同様の処理により生成する。
【0090】
データ変換部10は、印刷データDPRを生成する画像データDを、次の優先順位で選択する。
【0091】
(i)印刷が中断されている画像データ
直前の印刷処理(即ち、自動RIP処理を開始する直前に実行していた印刷処理)において印刷が中断されている場合は、当該中断に係る画像に対応する印刷データDPRの生成を最も優先的に行う。印刷が中断された画像については、ユーザが再度当該画像の印刷を実行する蓋然性が高いためである。
【0092】
(ii)キュー登録がされている画像データ
直前の印刷処理において、キュー登録がなされていた画像に対応する印刷データDPRの生成を、次に優先して行う。キュー登録がなされていた画像についても、ユーザが再度当該画像の印刷を実行する蓋然性が高いためである。
【0093】
(iii)印刷データDPRが生成されている画像データ
直前の印刷処理において、印刷データDPRの生成が完了していた画像データDに対応する印刷データDPRの生成を、次に優先して行う。印刷データDPRが生成されていた画像については、ユーザが当該画像を印刷する意図を持っていると考えられるためである。
【0094】
(iv)過去に印刷が行われた画像データ
過去の印刷処理において印刷が実行されたことのある画像データDに対応する印刷データDPRの生成を、次に優先して行う。過去に印刷を行った画像については、ユーザが再度印刷を行うと推定されるためである。過去に複数回の印刷が実行されたことのある画像データDと、過去に1回の印刷操作が実行されたことのある画像データDとが存在する場合は、過去に複数回の印刷が実行されたことのある画像データDの優先度を過去の1回の印刷操作が実行されたことのある画像データの優先度よりも高くしてもよい。過去にn回の印刷が実行されたことのある画像データDが複数存在する場合は、nが大きい画像データほど、優先度を高くしてもよい。過去の印刷回数は、自動RIP処理を実行している印刷システム100自体における印刷回数に限られず、他の印刷システムにおいて印刷された回数が含まれていてもよい。
【0095】
推定RIP工程S22では、データ変換部10は、直前、或いは過去に行われた印刷処理の分解画像データ記憶工程S13で記憶部15に保存された分解画像データDDEにRIP処理の第2段階を施すことにより印刷データDPRを生成する。
【0096】
なお、データ変換部10は、ある画像データDに対応する印刷データDPR(即ち、ある画像データDを変換して生成された印刷データDPR)の、プリンタPRにおける状態(即ち、キュー登録されているか否か、印刷済であるか否か等)を、プリンタPRとの通信に基づいて把握し得る。
【0097】
データ送信工程S23では、印刷処理におけるデータ送信工程S15と同様に、データ変換部10が、印刷データDPRを、通信部15を介してプリンタPRに送る。プリンタPRのコントローラ30は、通信部35を介して印刷データDPRを受けとり、受け取った印刷データDPRを記憶部35に保存する。
【0098】
その後、コントローラ30は、印刷処理の印刷指示判定工程S16、キュー登録工程S17、実行判定工程S18、及び印刷工程S19を行う。コントローラ30は、ユーザからの印刷指示を受けた場合は、キュー登録工程S17、実行判定工程S18を経て、印刷工程S19(本発明の「画像形成工程」の一例)において印刷を行う。印刷は、新たに生成された印刷データDPRを用いて実行される。
【0099】
このように、本実施形態の印刷システム100は、ユーザがヘッドHDの吐出設定を変更したことを起因として、自動的に自動RIP処理を開始する。また、自動RIPにおいては、データ変換部10とプリンタPRとが協働して、ユーザが印刷を行う蓋然性が高い画像の印刷データDPRを生成してプリンタPRの記憶部35に保存する。自動RIP処理による印刷データDPRの生成、保存は、ユーザからの指示を受けることなく、ユーザが印刷指示をプリンタPRに入力する前に着手され、実行され、場合によっては完了される。
【0100】
本実施形態の印刷システム100、及び自動RIP処理の有利な効果を以下にまとめる。
【0101】
本実施形態の印刷システム100は、ヘッドHDの状態が変化したと特定したことに基づいて自動的(能動的)に自動RIP処理を開始し、ユーザが印刷指示を入力する前に、変化後のヘッドHDの状態に応じた印刷データDPRの生成に着手する。そのため、ヘッドHDの状態が変化した後に、ユーザが印刷指示をプリンタPRに入力する時点では、変化後のヘッドHDの状態に応じた印刷データDPRが既に生成されているか、少なくとも生成が開始されている。
【0102】
したがって、印刷システム100のユーザは、ヘッドHDの状態の変化後に、ヘッドHDの状態の変化を反映した印刷を、RIP処理に伴う待ち時間を抑制して迅速に開始することができる。これに対し、自動RIP処理を行わない従来のシステムでは、ユーザからの印刷指示を受けた後に変更後のヘッド状態に応じた印刷データの生成に着手するため、印刷開始に時間を要する。特に、RIP処理は1つの画像データDに対して、印刷に用いるインクの種類(色数)に応じた数のデータを含む印刷データDPRを生成する処理であるため、印刷に用いるインクの種類が増えるとRIP処理及び印刷開始に要する時間は長くなる。また、画像データDが示す画像のサイズ(例えば、媒体PM上に形成される画像の領域)が大きくなると、RIP処理及び印刷開始に要する時間は長くなる。
【0103】
本実施形態の印刷システム100は、推定RIP工程S22では、記憶部15に保存された分解画像データDDEにRIP処理の第2段階を施すことにより印刷データDPRを生成する。したがって、変化後のヘッドHDの状態に応じた印刷データDPRをより迅速に生成し、ユーザの待ち時間をより良好に抑制することができる。このように、推定RIP工程S22を効率良く実行することにより奏される待ち時間抑制効果は、印刷に用いるインクの種類が多いほど且つ/又は画像サイズが大きいほど顕著である。
【0104】
本実施形態の印刷システム100は、推定RIP工程S22では、所定の基準に基づいて設定された優先度に従って、RIP処理の対象とする画像データを決定する。したがって、適確な印刷データDPRを生成して、ユーザの待ち時間をより確実に抑制することができる。
【0105】
<変形例>
上記実施形態の印刷システム100において、次の変形態様を用いることもできる。
【0106】
上記の実施形態の説明では、ヘッドHDの吐出設定の変化の具体例としてノズル補完の態様の変化、及び印刷に用いるノズルの変更を挙げた。しかしながら、ヘッドHDの吐出設定の変化はこれらには限られない。例えば、アクチュエータの劣化に伴って当該アクチュエータに対応するノズルから吐出されるインク滴のサイズが小さくなった場合に吐出設定が変更され得る。当該アクチュエータに加える電圧を上昇させる機構を有するプリンタであれば、当該機構を用いて当該アクチュエータに加える電圧を上昇させることで、対応するノズルから吐出される液滴のサイズを維持できる。この場合は吐出設定の変更は必ずしも行わなくてもよい。しかしながら、そのような機構を有さないプリンタにおいては、吐出設定を変更し、劣化が生じたアクチュエータに対応するノズルから吐出されるインク滴がより大きいサイズ(階調値)となるよう印刷データを生成し直す。これにより、アクチュエータの劣化によるインク滴のサイズの低下を補償することができる。
【0107】
上記実施形態の印刷システム100が実行する自動RIP処理の状態変化判定工程S21では、プリンタPRのヘッド状態管理部32が、ヘッドHDの状態が印刷データDPRの変更を要する程度に変化したか否かを判定し、変化したと判定した場合にヘッドHDの状態が変化したことを示す情報をデータ変換部10に通知している。しかしながら、これには限られない。
【0108】
具体的には例えば、プリンタPRのヘッド状態管理部32は、ヘッドHDの状態が変化したか否かの判定を行うことなく、ヘッドHDの吐出設定情報を、データ変換部10の状態変化特定部12に定期的に送信するのみでもよい。この場合は、データ変換部10の状態変化特定部12が、定期的に受信するヘッドHDの吐出設定情報を比較することにより、ヘッドHDの状態が印刷データDPRの変更を要する程度に変化したか否かを判定し、変化したと判定した場合に、ヘッドHDの状態が変化したと特定する。
【0109】
或いは、データ変換部10の状態変化特定部12がプリンタPRに定期的にアクセスし、プリンタPRのヘッド状態管理部32が有する吐出設定情報を定期的に取得してもよい。この場合も、データ変換部10の状態変化特定部12が、定期的に取得するヘッドHDの吐出設定情報を比較することにより、ヘッドHDの状態が印刷データDPRの変更を要する程度に変化したか否かを判定し、変化したと判定した場合に、ヘッドHDの状態が変化したと特定する。
【0110】
また、状態変化特定部12及び/又はヘッド状態管理部32は、ヘッド状態が印刷データDPRの変更を要する程度に変化したか否かを判定しなくてもよい。この場合、状態変化特定部12及び/又はヘッド状態管理部32は、ヘッドHDの吐出設定が変更された場合はヘッドHDの状態が変化したと特定する。即ち、変更の大小にかかわらず、単に変更があったことのみを以てヘッドHDの状態が変化したと特定してもよい。
【0111】
その他、印刷システム100は、データ変換部10及びプリンタPRとは異なり、且つデータ変換部10及びプリンタPRと通信可能なコントローラを備えてもよく、当該コントローラにヘッド状態管理部32を構築してもよい。この場合は、データ変換部10の状態変化特定部12は、当該コントローラと通信することにより、ヘッド状態が変化したと特定するためのヘッド状態管理部32との情報のやり取りを行う。
【0112】
本発明において「データ変換部」による「ヘッドの状態の変化の特定」とは、データ変換部がヘッドの状態の変化を把握するに至る任意の態様を含み、データ変換部自体が能動的に特定する態様のほか、ヘッド状態が変化したと特定された旨の情報をデータ変換部が外部から受け取る態様も含む。また「特定」はなんらかの比較に基づいてなされるものには限られない。本発明において「データ変換部」による「ヘッドの状態の変化の特定」とは、例えば、データ変換部がプリンタ(画像形成部)等の外部からの通知を受けてヘッドの状態が変化したと特定する態様、及びデータ変換部がプリンタ等の外部の情報を読みとることによりヘッドの状態が変化したと特定する態様の両方を含む。
【0113】
図9に示すように、印刷システム100x、印刷システム100y、印刷システム100zを有する複合印刷システム1000を構築してもよい。、印刷システム100x、印刷システム100y、及び印刷システム100zはそれぞれ、上記実施形態の印刷システム100と同一の構成を有し得る。また、印刷システム100x、100y、100zのデータ変換部10x、10y、10zは上記実施形態のデータ変換部10と同一の構成を有してもよく、印刷システム100x、100y、100zのプリンタPRx、PRy、PRzは上記実施形態のプリンタPRと同一の構成を有してもよい。
【0114】
複合印刷システム1000においては、印刷システム100x、100y、100zのいずれかにおいてヘッドアセンブリ21の交換を行う場合に、次のように自動RIP処理を実行することができる。以下、印刷システム100xのヘッドアセンブリ21を交換する場合を例として説明する。
【0115】
印刷システム100xのプリンタPRxのヘッドアセンブリ21を交換する場合、ヘッドHD、ひいてはプリンタPRxは所定期間、使用が不可能となる。このように、ヘッドHDが使用不可能となることも、ヘッドHDの状態の変化の一例である。
【0116】
この場合、プリンタPRxのヘッド状態管理部32は、例えばヘッドアセンブリ21が取り外されたことに基づいてプリンタPRxのヘッドHDの状態が変化したと判定し(状態変化判定工程S21)、その旨をデータ変換部10xに通知する。通知を受けたデータ変換部10xは、記憶部15に記憶されている分解画像データDDEを、印刷システム100yのデータ変換部10y、及び印刷システム100zのデータ変換部10zに送る。
【0117】
その後、データ変換部10yは、受け取った分解画像データDDEを用いて推定RIP工程S22を実行し、生成した印刷データDPRをプリンタPRyに送る。同様に、データ変換部10zも受け取った分解画像データDDEを用いて推定RIP工程S22を実行し、生成した印刷データDPRをプリンタPRzに送る。
【0118】
これにより、複合印刷システム1000のユーザが、使用不可となった印刷システム100xに代えて、印刷システム100y、100zのいずれかを選択した場合に、プリンタPRy、PRzのヘッドHDの状態を反映した印刷を、RIP処理に伴う待ち時間を抑制して迅速に開始することができる。なお複合印刷システム1000が有する印刷システムの数は4つには限られず、2つでもよく、4つ以上でもよい。
【0119】
上記実施形態においては、データ変換部10は、PDF形式の画像データDにRIP処理を施してTIFF形式の印刷データDPRを生成するよう構成されているが、これには限られない。データ変換部10は、プリンタPRでの印刷にそのまま用いることの出来ない画像データを、プリンタPRでの印刷に用いるための印刷データに変換するよう構成された任意のデータ変換部であってよい。プリンタPRでの印刷にそのまま用いることの出来ない画像データは例えば、PDF形式のデータの他、JPEG形式のデータ等であってよい。プリンタPRでの印刷に用いるための印刷データは、TIFF形式のデータの他、BMP形式のデータ、PNG形式のデータ等であってよい。また、データ変換部は、PDF形式等のベクターデータを、TIFF形式、BMP形式、PNG形式等のラスターデータに変換する変換部であってよい。データ変換部が実行するデータ変換処理は、第1段階と第2段階とを含む処理には限られない。
【0120】
上記実施形態では、自動RIP処理の推定RIP工程S22において、データ変換部10は、(i)印刷が中断されている画像データ、(ii)キュー登録がされている画像データ、(iii)印刷データDPRが生成されている画像データ、(iv)過去に印刷が行われた画像データの順でRIP処理を行うが、これには限られない。推定RIP処理S22における優先度は、例えばユーザの判断等によって適宜変更し得る。
【0121】
上記実施形態では、自動RIP処理の推定RIP工程S22において、データ変換部10は、印刷データDPRを生成する画像データDを所定の優先順位に従って選択している。しかしながらこれには限られない。データ変換部10は、印刷データDPRを生成する画像データを、単に印刷ジョブが登録された順に決定してもよく、ランダムに決定してもよい。このような態様でも、ユーザが印刷指示を入力する前に、変化後のヘッドHDの状態に応じた印刷データDPRの生成が開始されるため、ユーザは、ヘッドHDの状態の変化後に、ヘッド状態の変化を反映した画像形成を、データ変換処理に伴う待ち時間を抑制して迅速に開始できる。
【0122】
上記実施形態では、自動RIP処理の推定RIP工程S22において、データ変換部10は、記憶部15に保存された分解画像データDDEに第2段階のRIP処理を施して印刷データDPRを生成する。しかしながらこれには限られず、画像データDから印刷データDPRを生成してもよい。
【0123】
以上、ヘッドアセンブリ21からインクを吐出して媒体PMに画像形成する場合を例として実施形態及び変形例を説明した。ヘッドアセンブリ21は、画像成形のために任意の液体を吐出する液体吐出システムであってよく、画像を形成される媒体PMは、例えば用紙、布、樹脂等であってもよい。また、プリンタPRはシリアルヘッド型のプリンタであっても良い。
【0124】
本明細書に記載の実施形態は、全ての点で例示であって、限定的なものではないと考えられるべきである。例えば、プリンタPRにおけるヘッドアセンブリ21の数、構成等、ヘッドHDの数、構成等は変更し得る。プリンタPRが同時に印刷可能な色の数も限定はされず、単色印刷のみが可能な構成であってもよい。また、ヘッドHDが有する個別流路の数、配置等も適宜変更し得る。また、各実施形態及び変形例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができる。
【0125】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0126】
(付記)
上記実施形態及びその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0127】
(項目1)
外部から受け取った画像データの変換を行うデータ変換部と、
ヘッドを有し、該ヘッドに形成された複数のノズルから液体を吐出して媒体に画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記データ変換部と前記画像形成部とが、通信可能に接続された、画像形成システムが実行する方法であって、
前記データ変換部が、
前記画像データを、前記ヘッドの状態に応じた第1印刷データに変換する第1データ変換工程と、
前記第1データ変換工程の実行後且つ前記ヘッドの状態が変化した後に、前記画像データを、前記ヘッドの変化後の状態に応じた第2印刷データに変換する第2データ変換工程と、
前記第2印刷データを、前記画像形成部に送信する第2印刷データ送信工程と、を実行し、
前記画像形成部が、前記データ変換部から送信された前記第2印刷データに基づいて前記ヘッドから前記液体を吐出して前記媒体に前記画像を形成する画像形成工程を実行し、
前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したと特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する、画像形成方法。
【0128】
(項目2)
前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したことを、前記画像形成部との通信を介して特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する項目1に記載の画像形成方法。
【0129】
(項目3)
前記第1データ変換工程において、
前記データ変換部が、前記画像データを中間データに変換する工程と、
前記データ変換部が、前記中間データをメモリに記憶する工程と、
前記データ変換部が、前記中間データを前記第1印刷データに変換する工程と、を実行し、
前記第2データ変換工程において、前記画像データの前記第2印刷データへの変換は、前記データ変換部が、前記メモリに記憶された前記中間データを前記第2印刷データに変換することにより行う項目1又は2に記載の画像形成方法。
【0130】
(項目4)
前記画像データは複数の画像データであり、
前記第2データ変換工程において、前記複数の画像データを、優先度の高い順に前記第2印刷データに変換する項目1~3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【0131】
(項目5)
前記複数の画像データの何れかに基づく、前記ヘッドによる前記画像の形成が中断されている場合は、前記第2データ変換工程において、前記中断に係る画像データの優先度を最も高くする項目4に記載の画像形成方法。
【0132】
(項目6)
前記複数の画像データの何れかが、前記ヘッドによる前記画像の形成を待機する待機状態である場合は、前記第2データ変換工程において、前記待機状態にある画像データの優先度を前記中断に係る画像データの次に高くする項目5に記載の画像形成方法。
【0133】
(項目7)
前記第2データ変換工程において、前記複数の画像データのうちの前記第1印刷データに変換済であり且つ前記待機状態ではない画像データの優先度を、前記待機状態である画像データの次に高くする項目6に記載の画像形成方法。
【0134】
(項目8)
前記第2データ変換工程において、前記複数の画像データのうちの過去に画像の形成を行ったことのある画像データの優先度を、前記第1印刷データに変換済であり且つ前記待機状態ではない画像データの次に高くする項目7に記載の画像形成方法。
【0135】
(項目9)
前記ヘッドの状態の変化は、前記複数のノズルの間で互いに補完を行うノズル補完の態様の変化、及び/又は前記複数のノズルの間での前記画像の形成に用いるノズルの変更を含む項目1~8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【0136】
(項目10)
前記ヘッドの状態が変化したことに基づいて、前記画像形成部が、変化後の前記ヘッドの状態を前記データ変換部に通知する項目9に記載の画像形成方法。
【0137】
(項目11)
前記データ変換部は第1データ変換部及び第2データ変換部を含み、
前記画像形成部は前記第1データ変換部に接続された第1画像形成部及び前記第2データ変換部に接続された第2画像形成部を含み、
前記第1データ変換部による前記データ変換工程の実行後に前記第1画像形成部の前記ヘッドが使用不可となった場合に、前記第2データ変換工程において前記第2データ変換部により前記画像データを前記第2印刷データに変換し、前記画像形成工程において前記第2画像形成部の前記ヘッドから前記液体を吐出して前記媒体に画像を形成する項目1~10のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【0138】
(項目12)
外部から受け取った画像データの変換を行うデータ変換部と、
ヘッドを有し、該ヘッドに形成された複数のノズルから液体を吐出して媒体に画像を形成する画像形成部とを備え、
前記データ変換部と前記画像形成部とが、通信可能に接続された、画像形成システムであって、
前記データ変換部は、
前記画像データを、前記ヘッドの状態に応じた第1印刷データに変換する第1データ変換工程と、
前記第1データ変換工程の実行後且つ前記ヘッドの状態が変化した後に、前記画像データを、前記ヘッドの変化後の状態に応じた第2印刷データに変換する第2データ変換工程と、
前記第2印刷データを、前記画像形成部に送信する第2印刷データ送信工程と、を実行し、
前記画像形成部は、前記データ変換部から送信された前記第2印刷データに基づいて前記ヘッドから前記液体を吐出して前記媒体に前記画像を形成する画像形成工程を実行し、
前記データ変換部は、前記ヘッドの状態が変化したと特定したことに基づいて前記第2データ変換工程を実行する画像形成システム。
【符号の説明】
【0139】
10 データ変換部
11 変換処理部
12 状態変化特定部
20 印刷実行部
30 コントローラ
31 印刷制御部
32 ヘッド状態管理部
100 印刷システム
1000 複合印刷システム