(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140680
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241003BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241003BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06F3/12 344
G06F3/12 305
G06F3/12 354
G06F3/12 387
B41J29/38 202
H04N1/00 127B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051962
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】小方 善貴
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061BB10
2C061HH03
2C061HJ06
2C061HJ10
2C061HK03
2C061HK07
2C061HK14
2C061HK15
2C061HN06
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE01
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
(57)【要約】
【課題】標準プリンタドライバと印刷サポートアプリケーションとの組み合わせに係る印刷ジョブにおいて、印刷サポートアプリケーションが対象とする印刷装置の能力を正しく発揮させることが可能な印刷装置等を提供する。
【解決手段】Internet Printing Protocolに基づく印刷ジョブの印刷が可能な印刷部と、受信した印刷ジョブに特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれると判定した場合、Internet Printing Protocolで規定されていない第1の属性値を反映して印刷設定を行い、受信した印刷ジョブに特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれないと判定した場合、Internet Printing Protocolで規定された第2の属性値を反映して印刷設定を行い、設定した印刷設定に基づき印刷部を制御する制御部とを備えた印刷装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Internet Printing Protocolに基づく印刷ジョブの印刷が可能な印刷部と、
受信した前記印刷ジョブに特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれると判定した場合、前記Internet Printing Protocolで規定されていない第1の属性値を反映して印刷設定を行い、
受信した前記印刷ジョブに前記特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれないと判定した場合、前記Internet Printing Protocolで規定された第2の属性値を反映して印刷設定を行い、
設定した前記印刷設定に基づき前記印刷部を制御する制御部とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記特定のInternet Printing Protocol属性情報は、前記印刷ジョブが印刷サポートアプリケーションを介して出力された印刷ジョブであることを表す属性情報であり、
前記制御部は、
受信した前記印刷ジョブに前記特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれると判定した場合、前記印刷サポートアプリケーションを介して付与された前記第1の属性値を反映して前記印刷設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、
プリンタジョブ言語で記述された前記第1の属性値を反映して前記印刷設定を行うことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
Internet Printing Protocolに基づく印刷ジョブの印刷方法であって、
受信した前記印刷ジョブに特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれると判定した場合、前記Internet Printing Protocolで規定されていない第1の属性値を反映して印刷設定を行い、
受信した前記印刷ジョブに前記特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれないと判定した場合、前記Internet Printing Protocolで規定された第2の属性値を反映して印刷設定を行い、
設定した前記印刷設定に基づき前記印刷ジョブを実行することを特徴とする印刷方法。
【請求項5】
制御プログラムと、印刷サポートプログラムとを記憶する記憶部と、
前記制御プログラムを実行することで、Internet Printing Protocolに基づく印刷ジョブの生成が可能な制御部とを備え、
前記制御部は、
前記印刷サポートプログラムを実行することで印刷サポートアプリケーションとして機能し、
前記印刷サポートアプリケーションは、
前記印刷ジョブが前記印刷サポートアプリケーションを介して出力される印刷ジョブであることを表す特定のInternet Printing Protocol属性情報を付与することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置を提供するベンダーによって供給されるプリンタドライバは、印刷装置の能力を最大限に発揮できるように構成されている。しかしながら、ベンダーによって供給されるプリンタドライバは、印刷装置を利用するユーザが個別に導入する必要がある。したがって、例えば、ネットワーク環境等が整備されておらずプリンタドライバの入手が困難のユーザにとっては、ベンダーが供給するプリンタドライバの導入は困難が伴うものであった。
【0003】
一方、オペレーティングシステム(OS)に予め組み込まれている標準プリンタドライバは、印刷装置を利用するユーザが個別に導入する必要はないものの、多種の印刷装置に対応するため、利用可能な機能が標準的な機能に制限されている。
【0004】
このような状況を鑑みて、近年、標準プリンタドライバを利用した印刷を行う場合であっても、印刷をサポートするアプリケーション(以降、印刷サポートアプリケーションと称する)を導入することで、印刷装置の能力を十分に利用するための取り組みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、標準プリンタドライバと印刷サポートアプリケーションとの組み合わせに係る印刷ジョブにおいて、印刷サポートアプリケーションが対象とする印刷装置の能力を正しく発揮させることが可能な印刷装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る印刷装置は、Internet Printing Protocolに基づく印刷ジョブの印刷が可能な印刷部と、受信した前記印刷ジョブに特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれると判定した場合、前記Internet Printing Protocolで規定されていない第1の属性値を反映して印刷設定を行い、受信した前記印刷ジョブに前記特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれないと判定した場合、前記Internet Printing Protocolで規定された第2の属性値を反映して前記印刷設定を行い、設定した前記印刷設定に基づき前記印刷部を制御する制御部とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、本開示に係る印刷方法は、Internet Printing Protocolに基づき印刷ジョブの印刷方法であって、受信した前記印刷ジョブに特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれると判定した場合、前記Internet Printing Protocolで規定されていない第1の属性値を反映して印刷設定を行い、受信した前記印刷ジョブが、前記特定のInternet Printing Protocol属性情報が含まれないと判定した場合、前記Internet Printing Protocolで規定された第2の属性値を反映して印刷設定を行い、設定した前記印刷設定に基づき前記印刷ジョブを実行することを特徴としている。
【0009】
また、本開示に係る情報処理装置は、制御プログラムと、印刷サポートプログラムとを記憶する記憶部と、前記制御プログラムを実行することで、Internet Printing Protocolに基づく印刷ジョブの生成が可能な制御部とを備え、前記制御部は、前記印刷サポートプログラムを実行することで印刷サポートアプリケーションとして機能し、前記印刷サポートアプリケーションは、前記印刷ジョブが前記印刷サポートアプリケーションを介して出力される印刷ジョブであることを表す特定のInternet Printing Protocol属性情報を付与することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、標準プリンタドライバと印刷サポートアプリケーションとの組み合わせに係る印刷ジョブにおいて、印刷サポートアプリケーションが対象とする印刷装置の能力を正しく発揮させることが可能な印刷装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る複合機の接続形態の一例を説明する図である。
【
図3】実施形態に係る端末装置の機能構成図である。
【
図4】標準プリンタドライバ単体での印刷処理を説明するシーケンス図である。
【
図5】標準プリンタドライバと印刷サポートプログラムとを用いた印刷処理を説明するシーケンス図である。
【
図6】本実施形態に係る印刷処理を説明するシーケンス図である。
【
図7】Job-AttributesのInternet Printing Protocol属性情報の一例を説明する図である。
【
図8】実施形態に係る複合機の処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る端末装置の処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図10】標準プリンタドライバを用いた場合の動作例を説明する図である。
【
図11】実施形態に係る動作例を説明する図である。
【
図12】Job-AttributesのInternet Printing Protocol属性情報の他の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した説明の技術的内容は、以下の記載に限定されるものではない。
【0013】
複合機等の印刷装置を制御して印刷ジョブを処理させる場合、情報処理装置は、OS(Operating System)にインストールしたプリンタドライバや、OSの標準機能として設けられた標準プリンタドライバを介して印刷ジョブを生成する。一般的に、OSにインストールして使用されるプリンタドライバは、印刷装置のベンダーにより印刷装置毎に提供され、当該印刷装置の能力を十分に発揮できるように構成されている(以降、当該プリンタドライバを専用プリンタドライバと称することがある)。
【0014】
一方、標準プリンタドライバは、多く(多種)の印刷装置での印刷を可能とする汎用性を持たせるために、各印刷装置において共通する機能をサポートするに留まる場合が多い。
【0015】
近年、標準プリンタドライバを用いた印刷ジョブを処理する場合においても、専用プリンタドライバを用いた場合と同様の印刷結果を求める声が多くなっている。また、OSを提供するベンダーにより、OSの安定性やセキュリティを向上させるため、標準プリンタドライバの機能拡張を図る取り組みもなされている。
【0016】
上記取り組みの一態様として、標準プリンタドライバによる印刷ジョブの処理をサポートする印刷サポートアプリケーションが知られている。一般的に、印刷サポートアプリケーションは、OSや印刷装置を提供するベンダー等によりアプリケーションとして提供される。印刷サポートアプリケーションは、標準プリンタドライバと共に駆動し、取得した印刷装置の能力情報に基づき、当該印刷装置の機能が十分に発揮できるように構成されている。
【0017】
このような印刷サポートプリケーションは、標準プリンタドライバに基づく印刷ジョブに対して、PDL(Page Description Language)の変換や、PJL(Print Job Language)コマンドを付与することができる。
【0018】
ところで、情報処理装置と、印刷装置との間における印刷ジョブや必要な情報の送受信を行うための通信プロトコルとして、Internet Printing Protocol(以下、単にIPPと称する)が知られている。IPPでは、印刷ジョブは、所定のPDLフォーマットのドキュメントデータ(以下、PDLデータと称する)と、IPP属性情報(以下、IPP Attributesと称することがある)とで表現される。ここで、IPP Attributesとは、例えば、「Print-job(印刷実行)」、「Get-Printer-Attributes(プリンタ属性取得)」等のプリンタオペレーションに関する規定や、「Get-Job-Attributes(ジョブ状態取得)」、「Cancel-job(ジョブのキャンセル)」等のジョブオペレーションに関する規定に加え、印刷装置の印刷設定や装置設定、印刷装置の出力能力(コピー部数、フィニッシング形態、印刷品質等)等を規定する属性とその値(属性値)である。印刷装置は、IPP Attributesに規定された属性値を解析することで印刷ジョブを処理することができる。
【0019】
標準プリンタドライバは、印刷ジョブに係る印刷設定をプリントチケット(特定の印刷ジョブに対するユーザの意図を取得するために、印刷関連の属性情報や属性値を纏めたもの)で管理する。したがって、例えば、各印刷装置のベンダー間で共通のPJLコマンドを印刷サポートアプリケーションによって印刷ジョブに付与するような場合、OS(標準プリンタドライバ)は、当該PJLコマンドに対応するIPP Attributesを自動で生成する。しかしながら、印刷装置によっては、IPP AttributesはPJLコマンドに優先して処理されるため、IPP AttributesとPJLとで同じ機能が指定されると、ベンダー独自のPJLコマンドが印刷ジョブの処理に反映されない可能性がある。
【0020】
よって、IPP規格に基づき印刷ジョブを処理する他のサービスに影響を及ぼすことなく、印刷サポートアプリケーションでPJLコマンドを付与した際に正しい印字結果を得るための仕組みが必要となる。
【0021】
本開示では、標準プリンタドライバと印刷サポートアプリケーションとの組み合わせに係る印刷ジョブにおいて、印刷サポートアプリケーションが対象とする印刷装置の能力を正しく発揮させることが可能な印刷装置を以下の実施形態で実現する。
【0022】
[1 実施形態]
[1.1 全体構成]
図1は、本実施形態に係る印刷装置としての複合機10と、情報処理装置としての端末装置30と、サービス50との接続形態の一例を説明する図である。
【0023】
本実施形態に係る複合機10は、プリント、コピー、ファクス、イメージ送信等の各ジョブを一つの筐体で実現可能な印刷装置である。なお、本開示では、印刷装置の一形態として複合機10について説明するが、その形態に特に制限は無く、複合機10以外のコピー機、プリンタ、ファクス等の印刷装置であってもかまわない。
【0024】
複合機10は、ネットワークNW1を介して端末装置30と、サービス50とに接続されている。複合機10は、HTTP(Hypertext transfer protocol)等の通信プロトコルにより、端末装置30と、サービス50との間で通信を行うことが出来るように構成されている。なお、ネットワークNW1は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク回線を表している。なお、端末装置30、サービス50はネットワークNW1以外の他のネットワークに接続されていてもよい。
【0025】
端末装置30は、複合機10に対して印刷ジョブを出力することが可能な情報処理装置である。端末装置30としては、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、ノートパソコン等の所謂、一般的なモバイル端末装置を想定しているが、これに限定されるものではない。複合機10や、サービス50との間で通信可能な環境にあれば、デスクトップパソコン等の設置型端末装置も本開示の端末装置に含めることができる。本開示において、端末装置30は、OSにインストールしたプリンタドライバや、OSの標準機能として設けられた標準プリンタドライバを介して印刷ジョブを生成することができるように構成されている。
【0026】
サービス50は、端末装置30等のからの取得要求に応じて、印刷サポートアプリケーションを提供することが可能なサービスサーバとして構成することができる。端末装置30は、サービス50からダウンロードとした印刷サポートアプリケーションをインストールすることで当該印刷サポートアプリケーションの機能を利用することができる。
【0027】
[1.2 機能構成]
[1.2.1 複合機10について]
本実施形態に係る複合機10の機能構成について説明する。
図2は、複合機10の機能構成図である。複合機10は、制御部11と、表示部13と、操作入力部15と、画像形成部17と、画像入力部19と、通信部21と、記憶部23とを備える。
【0028】
制御部11は、複合機10全体を制御する。制御部11は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central processing unit)等)により構成される。制御部11は、記憶部23に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。
【0029】
表示部13は、各種情報をユーザ等に対して表示する。表示部13は、例えば、LCD(Liquid crystal display)や有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等により構成することができる。
【0030】
操作入力部15は、ユーザ等による情報の入力を受付ける。操作入力部15は、例えば、ハードキーやソフトウェアキーといった操作キー、ボタン等の各種入力装置により構成することができる。なお、操作入力部15は、表示部13を介しての入力が可能なタッチパネルとして構成することができる。この場合、タッチパネルの入力方式としては、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった一般的な方式を採用することができる。
【0031】
画像形成部17は、不図示の給紙トレイから用紙を給紙し、印刷ジョブに含まれるドキュメントデータに基づく画像を形成した後、不図示の排紙部に排紙する。画像形成部17は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成することができる。この場合、画像形成部は、トナー色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した不図示のトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて画像形成を行う。
【0032】
画像入力部19は、原稿を走査することにより、ドキュメントデータを生成する。画像入力部19は、例えば、CCD(Charge coupled device)、CID(Contact image sensor)等のイメージセンサを備え、自動原稿送り装置(ADF:Automatic document feeder)や、原稿を載置して読取るためのフラットベット等を有するスキャナ装置として構成することができる。画像入力部19は、原稿画像からの反射光像をイメージセンサで読取ることで画像データを生成することが可能な構成であれば、その構成に特に制限はない。なお、画像入力部19は、例えば、USB(Universal serial bus)メモリ等の可搬性記憶媒体に記憶されたドキュメントデータや、端末装置30から送信された印刷ジョブを取得可能なインタフェースとして構成することも可能である。
【0033】
通信部21は、例えば、LAN、WAN、インターネット、電話回線、ファクス回線等のネットワークNWを介して他の装置(端末装置30、サービス50)と通信を行うための有線/無線の何れか又はその両方のインタフェースを備える。また、通信部21は、例えば、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near field communication)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Irda、ワイヤレスUSB等の(近距離)無線通信技術に関するインタフェースを備えてもよい。
【0034】
記憶部23は、複合機10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部23は、例えば、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置により構成することができる。
【0035】
本実施形態において、記憶部23は、制御プログラム231と、IPPサーバプログラム232と、ジョブ実行プログラム233とを記憶し、属性情報記憶領域234を確保する。
【0036】
制御プログラム231は、複合機10を統括的に制御する際に制御部11が読み出すプログラムである。制御プログラム231を読み出した制御部11は、表示部13、操作入力部15、画像形成部17、画像入力部19、通信部21等の駆動を制御する。
【0037】
IPPサーバプログラム232は、IPPに基づき、クライアントデバイスとしての端末装置30との間で印刷ジョブのやり取りを行う際に制御部11が読み出すプログラムである。IPPサーバプログラム232を読み出した制御部11は、端末装置30による検索の応答、能力情報の取得要求に対する応答、又は端末装置30から送信された印刷ジョブを取得する。
【0038】
また、IPPサーバプログラム232は、属性情報判定プログラム2321を含む。属性情報判定プログラム2321を読み出した制御部11は、受信した印刷ジョブに後述するJob-Attributesに特定のIPP Attributesが含まれているか否かを判定する。特定のIPP Attributesは、受信した印刷ジョブが印刷サポートアプリケーションを介して生成された印刷ジョブであるか否かを識別するための属性情報である。
【0039】
ジョブ実行プログラム233は、プリント、コピー、ファクス、イメージ送信等のジョブを実行する際に制御部11が読み出すプログラムである。ジョブ実行プログラム233を読み出した制御部11は、受信した印刷ジョブに特定のIPP Attributesが含まれている場合、第1の属性値として、IPPで規定されていないベンダー独自のPJLコマンドを反映して印刷設定を行う。一方、制御部11は、受信した印刷ジョブに特定のIPP Attributesが含まれていない場合、第2の属性値として、IPPで規定された属性値を反映して印刷設定を行う。
【0040】
属性情報記憶領域234は、IPPに係るIPP Attributesを記憶する記憶領域である。
【0041】
[1.2.2 端末装置30について]
図3は、本実施形態に係る端末装置30の機能構成図である。端末装置30は、制御部31と、表示部33と、操作入力部35と、通信部37と、記憶部39とを備える。
【0042】
制御部31は、端末装置30全体を制御する。制御部31は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU等)により構成される。制御部31は、記憶部39に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、その機能を発揮する。
【0043】
表示部33は、各種情報をユーザ等に対して表示する。表示部33は、例えば、LCDや有機ELディスプレイ等の表示装置により構成することができる。
【0044】
操作入力部35は、ユーザ等による情報の入力を受付ける。操作入力部35は、例えば、ハードキーやソフトウェアキー等のキーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、タッチパネル等の各種入力装置により構成することができる。
【0045】
通信部37は、例えば、LAN、WAN、インターネット、電話回線、ファクス回線等のネットワーク(NW)を介して他の装置(複合機10、サービス50)と通信を行うための有線/無線の何れか又はその両方のインタフェースを備える。また、通信部37は、例えば、Bluetooth(登録商標)、NFC、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Irda、ワイヤレスUSB等の(近距離)無線通信技術に関するインタフェースを備えてもよい。
【0046】
記憶部39は、端末装置30の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部23は、例えば、RAM、HDD、SSD、ROM等の記憶装置により構成することができる。
【0047】
本実施形態において、記憶部39は、制御プログラム391と、アプリケーションプログラム392とを記憶し、属性情報記憶領域393と、ドキュメントデータ記憶領域394とを確保する。
【0048】
制御プログラム391は、端末装置30を統括的に制御する際に制御部31が読み出すOSである。制御プログラム391を読み出した制御部31は、表示部33、操作入力部35、通信部37等の駆動や、OS上で動作するアプリケーションの起動や終了、ファイル管理等を行う。
【0049】
制御プログラム391は、ドライバプログラム3911と、IPPクライアントプログラム3912とを含む。ドライバプログラム3911は、OS上で動作する標準プリンタドライバである。IPPクライアントプログラム3912は、IPPに基づき、複合機10との間で印刷ジョブのやり取りを行う際に制御部31が読み出すプログラムである。IPPクライアントプログラム3912を読み出した制御部31は、複合機10の検索、能力情報の取得要求、又は生成した印刷ジョブを複合機10に対して送信する。
【0050】
アプリケーションプログラム392は、ユーザによる起動指示を受けて制御部31が読み出すプログラムである。アプリケーションプログラム392を読み出した制御部31は、例えば、文書作成、図形描画、インターネット閲覧等のユーザの目的に応じた特定の機能を提供する。アプリケーションプログラム392は、CDやDVD等の記録媒体を用いたインストールや、サービス50からのダウンロードにより取得することができる。
【0051】
アプリケーションプログラム392は、印刷サポートプログラム3921を含む。印刷サポートプログラム3921は、制御部31が読み出すことにより、印刷サポートアプリケーションとして機能し、標準プリンタドライバと協働して印刷結果の品質改善、向上を行うプログラムである。印刷サポートプログラム3921は、OSや印刷装置のベンダーによって供給され、後述するサービス50からのダウンロードにより導入することができる。
【0052】
属性情報記憶領域393は、IPPに係るIPP Attributesを記憶する記憶領域である。また、ドキュメントデータ記憶領域394は、例えば、文書作成や、図形描写等により作成されたドキュメントデータ等を記憶する記憶領域である。
【0053】
[1.2.3 サービス50について]
本実施形態に係るサービス50は、端末装置30や、複合機10からの取得要求に応じてアプリケーションプログラム392(印刷サポートプログラム3921)を提供することができれば、既知の構成を用いることができる。したがって、サービス50の機能構成に関する説明は省略する。
【0054】
[1.3 処理の流れ]
[1.3.1 全体の処理の流れ]
次に、本実施形態に係る全体の処理の流れについて説明する。なお、本実施形態に係る処理の流れを説明する前に、標準プリンタドライバ単体での印刷処理(標準印刷)、標準プリンタドライバと印刷サポートプログラムとを用いた印刷処理、すなわち、標準プリンタドライバに印刷サポートプログラムが関連付けられた印刷処理について説明し、その後、本実施形態に係る印刷処理について説明する。
【0055】
図4は、標準プリンタドライバ単体での印刷処理を説明するシーケンス図である。まず、ユーザは、文書作成、図形描画等のアプリケーションで作成した文書や図形等の印刷を実施するため、同アプリケーションの印刷ダイアログに設けられた印刷ボタンを選択する(S10)。
【0056】
印刷ボタンの選択を受けると、アプリケーションは作成された文書や図形等に対応するドキュメントデータをOS(ドライバ)に渡す(S12)。
【0057】
OS(ドライバ)は、ドキュメントデータをPDLデータ(例えば、XPSフォーマット)に変換する(S14)。そして、OS(ドライバ)は、ジョブの有効性確認のためのValidate-Jobコマンドを複合機10に送信する(S16)。
【0058】
Validate-Jobコマンドを受信すると、複合機10はジョブの有効性に応じてSuccessful-OKの状態コマンドをOS(ドライバ)に送信する(S18)。
【0059】
Successful-OKの状態コマンドを受信すると、OS(ドライバ)は、ジョブ生成を指示するCreate-Jobコマンドを複合機10に対して送信する(S20)。
【0060】
Create-Jobコマンドを受信すると、複合機10は、ジョブ生成の受付状態に応じてSuccessful-OKの状態コマンドをOS(ドライバ)に送信する(S22)。
【0061】
Successful-OKの状態コマンドを受信すると、OS(ドライバ)は、S14にて変換したドキュメントデータに係るPDLデータとIPP AttributesとをSend-Documentコマンドで複合機10に送信する(S24)。
【0062】
Send-Documentコマンドを受信すると、複合機10は、PDLデータとIPP Attributesとを受付けた旨を表すSuccessful-OKの状態コマンドをOS(ドライバ)に送信する(S26)。そして、複合機10は、IPP Attributesに基づく印刷設定を行い、印刷を実行する(S28)。
【0063】
図5は、標準プリンタドライバと印刷サポートプログラムとを用いた印刷処理を説明するシーケンス図である。なお、
図4で説明した箇所と同一の箇所については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0064】
OS(ドライバ)は、ドキュメントデータをPDLデータ(例えば、XPSフォーマット)に変換後(S14)、印刷サポートアプリケーション(PSA)のPDLModificationRequestEventを実行する(S30)。
【0065】
印刷サポートアプリケーション(PSA)は、OS(ドライバ)に対してPDLデータ(XPSフォーマット)の取得を要求する(S32)。
【0066】
PDLデータ(XPSフォーマット)の取得要求を受けたOS(ドライバ)は、印刷サポートアプリケーション(PSA)に対してPDLデータ(XPSフォーマット)を渡す(S34)。
【0067】
印刷サポートアプリケーション(PSA)は、取得したPDLデータ(XPSフォーマット)を読み出し(S36)、複合機10に対して実行させる印刷ジョブ又はIPP Attributesを付与した印刷ジョブの生成をOS(ドライバ)に対して要求する(S38)。
【0068】
複合機10からSuccessful-OKの状態コマンドを受信すると(S22)、OS(ドライバ)は印刷サポートアプリケーション(PSA)に対して印刷出力用のストリームを渡す(S40)。
【0069】
印刷ジョブ出力用のストリームを取得した印刷サポートアプリケーション(PSA)は、S34で取得したPDL(XPSフォーマット)を必要に応じて、PDFフォーマットや、PCL6フォーマット等の所定のPDLに変換する(S42)。
【0070】
印刷サポートアプリケーション(PSA)は、S40で取得した印刷出力用のストリームに、PDLデータ(所定のPDLフォーマットに変換した場合は、変換後のPDLデータ)とPJLコマンドとを流し込み、OS(ドライバ)へ完了を通知する(S44)。
【0071】
OS(ドライバ)は、取得したPDLデータとPJLコマンドとをSend-Documentコマンドで複合機10に送信する(S24)。
【0072】
Send-Documentコマンドを受信すると、複合機10は、PDLデータとIPP Attributesとを受付けた旨を表すSuccessful-OKの状態コマンドをOS(ドライバ)に送信する(S26)。この場合、複合機10によっては、PJLコマンドよりもIPP Attributesを優先して印刷設定を行い、印刷を実行することがある(S28)。
【0073】
図6は、本実施形態に係る印刷処理を説明するシーケンス図である。なお、
図4及び
図5で説明した箇所と同一の箇所については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0074】
図6で示すシーケンス図では、
図5のS38がS50に、S28がS54に置き換わる。S50において、印刷サポートアプリケーション(PSA)は、Job-Attributesに特定のIPP Attributesを付与した印刷ジョブの生成を要求する(S50)。なお、特定のIPP Attributesとは、生成要求に係る印刷ジョブが、ベンダー提供の印刷サポートアプリケーション(PSA)に基づくものであるかを判定するための属性情報である。
【0075】
例えば、
図7は、特定のIPP Attributesの一例を説明する図である。
図7は、特定のIPP Attributesとして、“client-info>client-name:abcde”を示している。ここで、“abcde”はベンダーの名称等を表す一意の識別情報である。なお、“client-info”としては、名称以外にも、例えば、ニックネームや、ID等であってもよく、複合機10が当該ベンダーを一意に識別可能な情報であれば、特に制限はない。
【0076】
特定のIPP Atttibutesを付与した印刷ジョブの生成の要求を受けると、OS(ドライバ)は、Vadidate-Jobコマンド(S16)とCreate-Jobコマンド(S20)とのそれぞれのコマンドで送信予定の印刷ジョブのIPP Attributesを複合機10に送る。
【0077】
複合機10は、取得したIPP Attributesに“client-info>client-name:abcde”が含まれているか否かを判定する(S52)。
【0078】
S24で送られたSend-Documentコマンドを取得すると、複合機10は、PDLデータとIPP Attributesとを受付けた旨を表すSuccessful-OKの状態コマンドをOS(ドライバ)に送信する(S26)。そして、複合機10は、印刷ジョブに特定のIPP Attributes“client-info”が含まれている場合、PJLコマンドに基づく印刷設定を行い、印刷ジョブを実行する。一方、印刷ジョブに特定のIPP Attributes“client-info”が含まれていない場合、IPP Attributesに基づく印刷設定を行い、印刷ジョブを実行する(S54)。
【0079】
[1.3.2 複合機10の処理の流れ]
次に、複合機10の処理の流れについて
図8のフローチャートを用いて説明する。なお、
図8で説明する処理は、複合機10の制御部11が制御プログラム231、IPPサーバプログラム232、ジョブ実行プログラム233等を読み出すことで実行する処理である。
【0080】
制御部11は、OS(ドライバ)から印刷ジョブを受信したか否かを判定する(ステップS100)。印刷ジョブを受信したと判定した場合、制御部11は属性情報判定処理を実施する(ステップS100;Yes→ステップS110)。なお、印刷ジョブを受信していないと判定した場合、制御部11は、印刷ジョブを受信するまで待機する(ステップS100;No)。
【0081】
制御部11は、
図6で説明したValidate-Jobコマンド、Creat-Jobコマンドに特定の属性情報としてのIPP Attributesに“client-info>client-name:abcde”が含まれていると判定した場合、当該ベンダー独自のPJLに基づき印刷設定を実施する(ステップS120;Yes→ステップS130)。
【0082】
一方、Validate-Jobコマンド、Creat-Jobコマンドに特定の属性情報としてのIPP Attributesに“client-info>client-name:abcde”が含まれていないと判定した場合、制御部11はIPP Attributesに基づき印刷設定を実施する(ステップS120;No→ステップS140)。
【0083】
そして、制御部11は印刷設定が完了したか否かを判定する(ステップS150)。印刷設定が完了したと判定した場合、制御部11は、設定した印刷設定に基づく印刷ジョブを実行し、処理を終了する(ステップS150;Yes→ステップS160)。なお、印刷設定が完了していない場合、制御部11は継続して印刷設定を実施する(ステップS150;No)。
【0084】
[1.3.3 端末装置30の処理の流れ]
次に、端末装置30の処理の流れについて
図9のフローチャートを用いて説明する。なお、
図9で説明する処理は、端末装置30の制御部31が制御プログラム391、アプリケーションプログラム392等を読み出すことにより実行する処理である。
【0085】
制御部31は、アプリケーションの印刷ダイアログ等を介して印刷指示の入力を受付けたか否か判定する(ステップS200)。印刷指示の入力を受付けたと判定した場合、制御部31は、印刷処理を開始する(ステップS200;Yes→ステップ210)。なお、印刷指示の入力を受付けていないと判定した場合、制御部31は、印刷指示が入力されるまで待機する(ステップS200;No)。
【0086】
印刷処理を開始した制御部31は、当該印刷指示が標準印刷に係る印刷指示であるか否かを判定する(ステップS220)。なお、標準印刷に係る印刷指示とは、標準プリンタドライバ単体を介した印刷指示であり、標準プリンタドライバに印刷サポートプログラム(PSA)が関連付けられていない場合の印刷指示を言うものとする。制御部31は、受付けた印刷指示が標準印刷に係る印刷指示であると判定した場合、すなわち、受付けた印刷指示が標準プリンタドライバ単体を用いた印刷指示であると判定した場合、標準印刷設定画面を表示する(ステップS220;Yes→ステップS230)。
【0087】
そして、制御部31は、標準印刷設定画面を介した印刷設定が完了したか否かを判定する(ステップS240)。標準印刷設定画面を介した印刷設定が完了したと判定した場合、制御部31は、標準印刷に係る印刷ジョブを生成する(ステップS240;Yes→ステップS250)。そして、制御部31は、生成した印刷ジョブを複合機10に送信して処理を終了する(ステップS260)。なお、標準印刷設定画面を介した印刷設定が完了していないと判定し場合、制御部31は当該印刷設定が完了するまで処理を継続する(ステップS240;No)。
【0088】
ところで、ステップS200において受付けた印刷指示が、標準印刷に係る印刷指示ではない、すなわち、標準プリンタドライバに印刷サポートプログラム(PSA)が関連づけられている場合の印刷指示であると判定した場合、制御部31は、PSA拡張印刷設定画面を表示する(ステップS220;No→ステップS270)。
【0089】
そして、制御部31は、制御部31は、PSA拡張印刷設定画面を介した印刷設定が完了したか否かを判定する(ステップS280)。PSA拡張印刷設定画面を介した印刷設定が完了したと判定した場合、制御部31は、特定のIPP AttributesやPJLコマンドを付与し(ステップS290)、印刷ジョブを生成する(ステップS250)。そして、制御部31は、生成した印刷ジョブを複合機10に送信して処理を終了する(ステップS260)。なお、PSA拡張印刷設定画面を介した印刷設定が完了していないと判定し場合、制御部31は当該印刷設定が完了するまで処理を継続する(ステップS280;No)。
【0090】
[1.4 動作例]
次に、本実施形態の動作例について説明する。
図10は、標準印刷設定画面の表示構成の一例を説明する図である。標準印刷設定画面W10は、アプリケーションの印刷ダイアログ等においてユーザにより標準印刷が選択されたと判定した場合に制御部31が表示する印刷設定画面である。
【0091】
標準印刷設定画面W10は、印刷設定領域R10と、プレビュー表示領域R12と、OKボタンB10と、キャンセルボタンB12とを備える。
【0092】
印刷設定領域R10は、標準印刷で設定可能な印刷設定を表示する表示領域である。印刷設定領域R10では、IPP Attributesで規定された第2の属性値が反映される。
図10は、第2の属性値として、印刷の向き、両面印刷、ページの順序を表示した例示である。
【0093】
プレビュー表示領域R12は、標準印刷での印刷結果をプレビュー表示する表示領域である。ユーザは、プレビュー表示領域R12で表示されるプレビュー画面を確認することで印刷結果を事前に把握することができる。
【0094】
OKボタンB10は、標準印刷の実行指示の入力を受付けるボタンである。ユーザによりOKボタンの選択指示を受け付けると、制御部31は印刷ジョブを開始する。キャンセルボタンB12は、標準印刷設定画面W10を介した印刷設定のキャンセル指示の入力を受付けるボタンである。ユーザによりキャンセルボタンB12の選択指示を受付けると、制御部31は印刷ジョブに係る処理を終了する。
【0095】
図11は、PSA拡張印刷設定画面の表示構成の一例を説明する図である。PSA拡張印刷設定画面W20は、アプリケーションの印刷ダイアログ等において、受付けた印刷指示が、標準印刷に係る印刷指示ではない、すなわち、標準プリンタドライバに印刷サポートプログラム(PSA)が関連づけられている場合の印刷指示であると判定した場合に制御部31が表示する印刷画面である。
【0096】
PSA拡張印刷設定画面W20は、PSA拡張印刷設定領域R20を備える。PSA拡張印刷設定領域R20は、印刷サポートアプリケーションで設定可能な印刷設定を表示する表示領域である。PSA拡張印刷設定領域R20では、IPP Attributesで規定されない第1の属性値、すなわち、ベンダー独自のPJLに係る第1の属性値が反映される。
図11は、拡張された印刷設定の一例として、“Copies”、“Original Size”、“Orientation”、“2-Sided Printing”、“N-Up”、“Staple”、“Document Filing”、“Color Mode”、“Output Size”等の設定項目をPSA拡張印刷設定領域R20に表示した例示である。
【0097】
PSA拡張印刷設定画面W20では、
図10で例示した標準印刷設定画面W10に比べ、ベンダー独自の印刷設定が拡張して表示される。これにより、ユーザはベンダーが提供するプリンタドライバをインストールすることなく、複合機10の能力を十分に利用することができる。
【0098】
以上のように、本実施形態では、Validate-Jobコマンド、Creat-Jobコマンドに特定の属性情報としてのIPP Attributesに“client-info>client-name:abcde”が含まれていると判定した場合、制御部11は当該ベンダー独自のPJLに基づき印刷設定を実施し、Validate-Jobコマンド、Creat-Jobコマンドに特定の属性情報としてのIPP Attributesに“client-info>client-name:abcde”が含まれていないと判定した場合、制御部11はIPP Attributesに基づき印刷設定を実施する。したがって、本実施形態によれば、標準プリンタドライバと印刷サポートアプリケーションとの組み合わせに係る印刷ジョブにおいて、印刷サポートアプリケーションが対象とする印刷装置の能力を正しく発揮させることができる。
【0099】
図7では、特定のIPP Attributesの一例として、“client-info>client-name:abcde”について説明した。特定のIPP Attributesは、“client-info>client-name:abcde”に限定されるものではない。特定のIPP Attributesとしては、例えば、
図12で例示するように、“Job-name:Test Page(abcde)”や、“document-format-details>document-source-application-name:Word(abcde)”といったIPP Attributes等を利用することも可能である。
【0100】
本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0101】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0102】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0103】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray(登録商標)Disc等))、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本開示の機能が実現される場合もある。
【0104】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本開示に含まれるのは勿論である。
【0105】
また、上述した実施形態に用いた装置の各機能ブロック、又は諸特徴は、電気回路、例えば、集積回路あるいは複数の集積回路で実装、実行することも可能である。本明細書で述べた機能を実現するように設計された電気回路は、汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトロンジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、又はこれらを組み合わせたものを含んでもよい。汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサでもよいし、従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってもよい。前述した電気回路は、デジタル回路で構成されていてもよいし、アナログ回路で構成されていてもよい。また、半導体技術の進歩により現在の集積回路に代替する集積回路化の技術が出現した場合、本開示の一以上の態様は当該技術による新たな集積回路を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0106】
10 複合機
11 制御部
13 表示部
15 操作入力部
17 画像形成部
19 画像入力部
21 通信部
23 記憶部
30 端末装置
31 制御部
33 表示部
35 操作入力部
37 通信部
39 記憶部
50 サービス