(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140682
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電気刺激提示装置、及び電気刺激提示方法
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61H1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051966
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 景
(72)【発明者】
【氏名】村上 弘憲
(72)【発明者】
【氏名】風越 真一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 礼子
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA11
4C046AA22
4C046AA45
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD39
4C046DD41
4C046EE09
4C046EE23
4C046EE24
4C046EE25
4C046EE32
4C046EE33
4C046EE35
4C046FF03
4C046FF12
4C046FF30
(57)【要約】
【課題】意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示装置、及び電気刺激提示方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係る電気刺激提示装置は、所定のアバターの動作に同期して人体に電気刺激を提示させる電気刺激提示装置であって、歩行動作可能なアバターを生成する生成部と、アバターの歩行動作の種別ごとに電気刺激の周波数又は提示位置を変更して、電気刺激を提示する電気刺激部に電気刺激を提示させる提示部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のアバターの動作に同期して人体に電気刺激を提示させる電気刺激提示装置であって、
歩行動作可能なアバターを生成する生成部と、
前記アバターの歩行動作の種別ごとに電気刺激の周波数又は提示位置を変更して、電気刺激を提示する電気刺激部に電気刺激を提示させる提示部と、を備える、
電気刺激提示装置。
【請求項2】
人体の動作に関する情報を示すセンサ情報を取得する取得部と、
前記センサ情報に基づいて、人体の動作を検出する検出部と、をさらに備え、
前記生成部は、前記検出部が検出した人体の動作に基づいて、アバターの歩行動作を制御する、
請求項1に記載の電気刺激提示装置。
【請求項3】
前記提示部は、前記アバターの歩行動作の種別が、遊脚動作の場合よりも立脚動作の場合の方が電気刺激の周波数が所定の周波数だけ低い周波数の電気刺激を前記電気刺激部に提示させる、
請求項1又は請求項2に記載の電気刺激提示装置。
【請求項4】
前記提示部は、前記アバターの歩行動作が、鉛直方向への移動を伴う場合と、鉛直方向への移動を伴わない場合とで異なる周波数の電気刺激を前記電気刺激部に提示させる、
請求項1又は請求項2に記載の電気刺激提示装置。
【請求項5】
所定のアバターの動作に同期して人体に電気刺激を提示させる電気刺激提示方法であって、
歩行動作可能なアバターを生成するステップと、
アバターの歩行動作の種別ごとに電気刺激の周波数又は提示位置を変更して、電気刺激を提示する電気刺激部に電気刺激を提示させるステップと、を含む、
電気刺激提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気刺激提示装置、及び電気刺激提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リハビリ患者のリハビリテーションの開始当初は、リハビリ患者の回復意欲が低いケースが多く、精神面の影響が大きいと考えられる。特に、高齢者のリハビリ患者に関しては、高齢患者は身体の不調・疲労感・しびれ・痛み・倦怠感のみを訴えることが多いので、意欲的に継続ができず、日常生活動作の回復が遅れてしまうことがあった。このようなリハビリ患者の筋肉に電気刺激を与えることによって、筋肉を刺激する技術があった。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、損傷を受けた筋肉及び、又は神経に苦しむ患者に関するリハビリテーションシステムであって、損傷を受けた筋肉及び、又は神経を刺激する刺激ユニットと、損傷を受けた筋肉又は神経が構成される患者の影響を受けた体部位の表現を表示するディスプレイと、刺激ユニットにより提供される刺激と平行して及び一致して、影響を受けた体部位の表現において表される視覚的なキューを表示するよう、ディスプレイを制御する制御ユニットとを有し、視覚的なキューが、損傷を受けた筋肉及び、又は神経の刺激を視覚的に示し、損傷を受けた筋肉及び、又は神経の刺激と同時に提供され、適合される、リハビリテーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のリハビリテーションシステムは、患者の精神面の影響を考慮して、リハビリテーションの運動を支援することはできなかった。
【0006】
本開示は上記課題を鑑み、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示装置、及び電気刺激提示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る電気刺激提示装置は、所定のアバターの動作に同期して人体に電気刺激を提示させる電気刺激提示装置であって、歩行動作可能なアバターを生成する生成部と、アバターの歩行動作の種別ごとに電気刺激の周波数又は提示位置を変更して、電気刺激を提示する電気刺激部に電気刺激を提示させる提示部と、を備える。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る電気刺激提示方法は、所定のアバターの動作に同期して人体に電気刺激を提示させる電気刺激提示方法であって、歩行動作可能なアバターを生成するステップと、アバターの歩行動作の種別ごとに電気刺激の周波数又は提示位置を変更して、電気刺激を提示する電気刺激部に電気刺激を提示させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示装置、及び電気刺激提示方法ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示に係る電気刺激提示システムの概要を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る電気刺激提示システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示に係る電気刺激提示装置の第一実施形態の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示に係る電気刺激提示装置のコンテンツ記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、アバターの歩行動作の種別の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示に係る電気刺激提示装置の表示部に表示されるコンテンツの第一態様を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示に係る電気刺激提示装置の表示部に表示されるコンテンツの第二態様を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示に係る電気刺激提示方法の第一実施形態のフローを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本開示に係る電気刺激提示装置の第二実施形態の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示に係る電気刺激提示方法の第二実施形態のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(電気刺激提示システムの概要)
まず、本開示に係る電気刺激提示システム1の概要について、
図1を用いて説明する。
図1は、本開示に係る電気刺激提示システムの概要を模式的に示す図である。
図1に示すように、本開示に係る電気刺激提示システム1は、電気刺激提示装置100と、利用者端末200を備える。電気刺激提示装置100は、ユーザUが頭に装着して、眼鏡型の画面に表示された情報を視認しながら、電気刺激部180により筋肉に電気刺激を与える。利用者端末200は、電気刺激提示装置100の要求に応じて、電気刺激提示装置100に表示させるコンテンツを送信する。
【0013】
(電気刺激提示システムの構成)
次に、本開示に係る電気刺激提示システム1の構成例について、
図2を用いて説明する。
図2は、本開示に係る電気刺激提示システムの構成例を示す図である。
図2に示すように、本開示に係る電気刺激提示システム1は、電気刺激提示装置100(100A,100B)と、利用者端末200と、ネットワークNと、を備える。なお、
図2に示すように、電気刺激提示システム1は、複数の電気刺激提示装置100を備える。
【0014】
電気刺激提示装置100は、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)などによりユーザに対してコンテンツを提供しながら、ユーザの筋肉に電気刺激を与える情報処理装置である。電気刺激提示装置100のコンテンツの表示を担う部分は、例えば、HMD(Head Mount Display)や、眼鏡型ウェアラブル端末などにより実現されてよい。なお、HMDは、本体前面にハーフミラーを備えて、ハーフミラーから透過する現実世界に、液晶ディスプレイで映した仮想現実を重ねて表示してよい。
【0015】
利用者端末200は、利用者が利用する情報処理装置である。利用者端末200は、電気刺激提示装置100の要求に応じて、電気刺激提示装置100にコンテンツを提供する。利用者端末200は、例えば、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップ型PC、スマートフォン、タブレット型端末、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であってよい。なお、
図1に示す例においては、利用者端末200がノート型PCである場合を示している。
【0016】
ネットワークNは、電気刺激提示装置100と利用者端末200を無線により相互に通信可能に接続する。ネットワークNは、IEEE802.11に規定される無線LAN(Local Area Network)や、第4世代移動通信システム(4G)、第5世代移動通信システム(5G)などにより実現されてよい。
【0017】
なお、電気刺激提示システム1は、電気刺激提示装置100Aや、電気刺激提示装置100B、利用者端末200などが相互に情報の送受信を行い、一つのシステムとして機能する。
【0018】
(電気刺激提示装置の構成)
(電気刺激提示装置の第一実施形態)
次に、本開示に係る電気刺激提示装置の第一実施形態の構成例について、
図3を用いて説明する。
図3は、本開示に係る電気刺激提示装置の第一実施形態の構成例を示す図である。
図3に示すように、本開示に係る電気刺激提示装置100の第一実施形態は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、音入力部150と、音出力部160と、表示部170と、電気刺激部180と、を備える。以下、これらの構成について順を追って説明する。
【0019】
通信部110は、電気刺激提示装置100の内部と外部を相互に通信可能に接続し、電気刺激提示装置100の内部と外部との間で相互に情報を送受信する。通信部110は、例えば、無線LAN(Local Area Network)カード、Wi-Fi(登録商標)モジュール、アンテナ等によって実現されてよい。そして、通信部110は、例えば、ネットワークNと無線で接続され、利用者端末200との間で相互に情報の送受信を行ってもよい。
【0020】
記憶部120は、各種の情報を記憶する記憶装置である。記憶部120は、主記憶装置と補助記憶装置とを備える。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のような半導体メモリ素子によって実現されてよい。また、補助記憶装置は、例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)、光ディスク等によって実現されてよい。
【0021】
図3に示すように、記憶部120は、コンテンツ記憶部121を備える。
【0022】
コンテンツ記憶部121は、コンテンツに関係する情報を記憶する。
図4は、本開示に係る電気刺激提示装置のコンテンツ記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0023】
図4に示す例において、コンテンツ記憶部121は、「コンテンツID」、「コンテンツデータ」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0024】
「コンテンツID」は、コンテンツを識別する識別子であり、文字列や番号などによって表される。「コンテンツデータ」は、コンテンツのデータであり、例えば、観光地の景色や運動に関連する映像などであってよい。
【0025】
すなわち、
図4においては、コンテンツID「CTID#1」によって識別されるコンテンツとして、コンテンツデータ「CDDT#1」が記憶されていることを示している。
【0026】
なお、コンテンツ記憶部121は、「コンテンツID」、「コンテンツデータ」という項目に係る情報に限定されることなく、その他の任意のコンテンツに関係する情報が記憶されてよい。
【0027】
制御部130は、電気刺激提示装置100を司り、制御するコントローラである。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部120に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0028】
図3に示すように、制御部130は、受付部132と、生成部134と、提示部135と、通話部136と、表示制御部137と、を備える。制御部130は、記憶部120からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、これらの機能を実現して、これらの処理を実行する。なお、制御部130は、電子回路によって実現されてもよい。また、制御部130は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、複数のCPUで、これらの処理を並列に実行してもよい。以下、これらの構成について順に説明する。
【0029】
受付部132は、ユーザから各種の情報を受け付ける。例えば、ユーザから表示部170に表示させるコンテンツの指定を受け付ける。例えば、受付部132は、利用者端末200にコンテンツの指定の受け付け画面を表示させて、ユーザからコンテンツの指定の受け付けてよい。なお、この場合のコンテンツの指定には、コンテンツの種類、コンテンツの視聴時間、コンテンツのなどの情報が含まれていてよい。
【0030】
また、受付部132は、ユーザから他の電気刺激提示装置100を使用する他のユーザへの通話の申し込みを受け付けてもよい。例えば、受付部132は、利用者端末200に他のユーザへの通話の申し込みの受け付け画面を表示させて、ユーザから他のユーザへの通話の申し込みの情報の入力を受け付けてよい。なお、この場合の他のユーザへの通話の申し込みの情報には、通話を申し込む相手の電気刺激提示装置100の識別番号や、当該の電気刺激提示装置100を使用するユーザの識別番号などが含まれていてよい。また、受付部132は、リハビリ患者を補助するスタッフへの通話の申し込みを受け付けてもよい。この場合、利用者端末200を介して、リハビリ患者を補助するスタッフとの通話を実現する。
【0031】
生成部134は、歩行動作するアバターを生成する。例えば、生成部134は、ユーザが「鎌倉散歩コース」を選ぶと、決められたコースで鎌倉の街並みを歩くアバターを生成する。なお、生成部134は、ユーザのコントローラ操作に応じて、歩行動作するアバターを生成してもよい。すなわち、アバターの歩行動作、及び散歩するコースは、ユーザのコントローラ操作に応じて決められてよい。
【0032】
提示部135は、アバターの歩行動作の種別ごとに電気刺激の周波数又は提示位置を変更して、電気刺激を提示する電気刺激部180に電気刺激を提示させる。アバターの歩行動作の種別は、立脚期の初期、中期、終期、遊脚期の初期、中期、終期、鉛直方向への移動の有無、及びそれぞれの歩行の水平方向の向きなどが含まれる。なお、電気刺激の周波数は、一例としては、低周波モードの30Hz、中周波モードの3,000Hz、高周波モードの10,000Hzの三段階に分けて電気刺激を電気刺激部180に提示させてよい。また、電気刺激の提示位置は、ふともも、ふくらはぎ、上腕、下腕などの電気刺激部180が装着されるユーザの人体の部位ごとに分けて、電気刺激を提示してよい。なお、提示部135は、アバターの歩行動作に合わせて、電気刺激を増幅して電気刺激部180に提示させてもよい。
【0033】
提示部135は、アバターの歩行動作の種別が、遊脚動作の場合よりも立脚動作の場合の方が電気刺激の周波数が所定の周波数だけ低い周波数の電気刺激を電気刺激部180に提示させる。ここで、アバターの歩行動作の種別について、
図5を用いて説明する。
図5は、アバターの歩行動作の種別の一例を示す図である。
図5に示すように、歩行動作は、大きく分けて、足裏で地面を踏み、体を支える立脚期と、片方の足をもち上げて前に振り出す遊脚期に分けられる。そして、立脚期のうちの初めから終わりまでを、初期と、中期と、終期に分ける。
図5に示すように、立脚期の初期は、ふとももと、ふくらはぎの筋肉の使用量の程度が中となる。また、立脚期の中期は、ふとももと、ふくらはぎの筋肉の使用量の程度が大となる。また、立脚期の終期は、ふくらはぎの筋肉の使用量の程度が中となる。これに対して、遊脚期の筋肉の使用量は、遊脚期の終期にふくらはぎの筋肉の使用量の程度が中になるだけであり、立脚期の筋肉の使用量と比較する筋肉の使用量が小さい。
【0034】
そのため、提示部135は、立脚動作の場合の電気刺激の周波数の方が所定の周波数だけ低い周波数の電気刺激を電気刺激部180に提示させる。具体的には、提示部135は、電気刺激部180に低周波モードの30Hzの周波数の電気刺激を与えさせてよい。低周波モードは、強めの刺激で筋肉にアプローチすることができることから、立脚期の筋肉の使用量が大きい時に強めの刺激を与えることにより、歩行動作による筋肉増強に寄与することができる。なお、提示部135は、例えば、ユーザが、ふとももと、ふくらはぎに、それぞれ電気刺激部180を装着した場合、例えば、立脚期の中期では、ふとももの電気刺激部180から電気刺激を提示し、立脚期の終期では、ふくらはぎの電気刺激部180から電気刺激を提示するようにしてもよい。アバターの歩行動作の種別ごとの周波数又は提示位置は、上記の内容に限定されない。
【0035】
なお、遊脚動作の場合よりも立脚動作の場合の方が電気刺激の周波数が所定の周波数だけ低いとは、遊脚動作の場合には、中周波モードの周波数の電気刺激を与えさせることを意味しており、低周波モードが中周波モードに対して、3,000Hzだけ低い周波数であるという意味である。また、立脚期の全期間を低周波数とした場合、遊脚期の全期間を中周波数又は高周波数とする、立脚期の全期間を中周波数とした場合、遊脚期の全期間を高周波数としてもよい。
【0036】
また、提示部135は、鉛直方向の移動を伴う場合と、鉛直方向への移動を伴わない場合とで、異なる周波数の電気刺激を提示する。具体的には、提示部135は、検出部133が検出したアバターの歩行動作の種別が、鉛直方向への移動を伴う場合と、鉛直方向への移動を伴わない場合を比較すると、鉛直方向への移動を伴う場合の電気刺激の周波数の方が所定の周波数だけ高い周波数の電気刺激を電気刺激部180に提示させる。提示部135は、鉛直下方向の場合は周波数を高くし、鉛直上方向の場合は周波数を低くする。これにより、実際の運動をより忠実に再現できる。階段の昇り降りなどの鉛直方向への移動を伴う歩行動作の場合は、鉛直方向への移動を伴わない歩行動作と比較すると、筋肉の使用量が大きくなると考えられる。
【0037】
そのため、提示部135は、鉛直方向への移動を伴う場合の電気刺激の周波数の方が所定の周波数だけ高い周波数の電気刺激を電気刺激部180に提示させる。具体的には、提示部135は、電気刺激部180に中周波モードの3,000Hz、又は高周波モードの10,000Hzの周波数の電気刺激を与えさせてよい。中周波モードは、断続的に一定の間隔で刺激の強弱が変化する刺激を筋肉に与えることができる。また、高周波モードは、連続的に刺激の強弱が変化する刺激を筋肉に与えることができる。そのため、もともと筋肉への負荷大きい鉛直方向への移動を伴う場合に、リズムや心地よさを加えて与えることにより、ユーザに運動の楽しさを感じさせることができる。なお、鉛直方向への移動を伴う場合と、鉛直方向への移動を伴わない場合を比較すると、鉛直方向への移動を伴う場合の電気刺激の周波数の方が所定の周波数だけ高いとは、鉛直方向への移動を伴わない場合には、低周波モードの周波数の電気刺激を与えさせることを意味しており、中周波モード、高周波モードは、低周波モードに対して、それぞれ3,000Hz、10,000Hzだけ高い周波数であるという意味である。
【0038】
通話部136は、他の電気刺激提示装置100のユーザと通話する機能を実行可能に音声接続する。例えば、通話部136は、通信部110を介して、ネットワークNにより接続された他の電気刺激提示装置100との間において、音声通話を可能に接続してよい。具体的には、通話部136は、音入力部150を介して入力されたユーザの音声を、通信部110を介して、接続された電気刺激提示装置100に送信する。また、通話部136は、他の電気刺激提示装置100から送信された音声を音出力部160に出力させる。また、通話部136は、通信部110を介して、ネットワークNにより接続された他の電気刺激提示装置100との間において、テキストメッセージの送受信によって通話をする機能を実現してもよい。
【0039】
表示制御部137は、表示部170に表示させる情報を制御する。例えば、表示制御部137は、受付部132が受け付けたコンテンツの指定にしたがって、ユーザから指定されたコンテンツを表示部170に表示させる。また、表示制御部137は、生成部134が生成したアバターをコンテンツに重畳して表示させる。この際、表示制御部137は、アバターの動きに応じて、コンテンツを同期させて表示させてよい。以下、表示制御部137が表示部170に表示させるコンテンツの例について説明する。
【0040】
表示制御部137は、例えば、
図6に示すようなコンテンツを表示部170に表示させる。
図6は、本開示に係る電気刺激提示装置の表示部に表示されるコンテンツの第一態様を示す図である。
図6には、電気刺激提示装置100の表示部170に、ユーザから指定を受け付けた鎌倉の映像に関するコンテンツが表示されている様子が示されている。すなわち、表示制御部137は、
図6に示すように鎌倉の映像に関するコンテンツを表示させてよい。そして、表示制御部137は、アバターの動きに応じて、鎌倉の映像コンテンツを同期させて表示させてよく、例えば、アバターの進む方向に沿って、鎌倉の映像コンテンツの景色を進めて表示させてよい。
【0041】
また、表示制御部137は、例えば、
図7に示すようなコンテンツを表示部170に表示させる。
図7は、本開示に係る電気刺激提示装置の表示部に表示されるコンテンツの第二態様を示す図である。
図7には、電気刺激提示装置100の表示部170に、ユーザから指定を受け付けた階段の映像に関するコンテンツが表示されている様子が示されている。すなわち、表示制御部137は、
図7に示すように階段の映像に関するコンテンツを表示させてよい。そして、表示制御部137は、ユーザの歩行動作の分類にしたがって動作するアバターの動きに応じて、階段の映像に関するコンテンツを同期させて表示させてよく、例えば、アバターが階段をのぼるにしたがって、階段の映像に関するコンテンツの景色を進めて表示させてよい。
【0042】
音入力部150は、ユーザから音声の入力を受け付ける。例えば、音入力部150は、マイクロフォンであってよい。マイクロフォンは、音声によるダイヤフラムの振動を電気信号に変換することによって、音声を電気信号に変換する。
【0043】
音出力部160は、制御指令にしたがって音を出力する。音出力部160は、スピーカーであってよく、スピーカーは電気信号をダイヤフラムにより音に変換する。すなわち、スピーカーは、音出力部160から電気信号により与えられる制御指令に基づいて、ダイヤフラムを所定の振幅、振動数によって振動させることにより、ダイヤフラムに接している空気を振動させて音を出力する。
【0044】
表示部170は、ユーザに向けて各種の情報を表示する。表示部170は、例えば液晶ディスプレイと、ハーフミラーを備えて、液晶ディスプレイに映し出された映像をハーフミラーに投影することによって実現されてよい。
【0045】
電気刺激部180は、ユーザの筋肉に対して電気刺激を与える。電気刺激部180は、例えば、ユーザの左右のふともも、ふくらはぎ、上腕、下腕などに装着されてよい。電気刺激部180は、例えば、ゴムシートに設けられた電極群にコッククロフト・ウォルトン回路など用いて昇圧した電流を流して電気刺激を与えてよい。また、電気刺激部180は、繊維素材によって編み込まれた生地によって形成された基台上に複数の電極が設けられたものであってもよい。これにより、筋肉に接触する箇所を生地とすることで、洗濯などにより衛生状態を維持することができる。
【0046】
なお、電気刺激部180によってユーザの筋肉に電気刺激が与えられると、ユーザの筋肉は収縮して張力を発揮し、次の刺激に備えて態勢を整え、また刺激を受けると収縮するサイクルを繰り返すことにより筋肉を増強することができる。また、電気刺激部180による電気刺激の周波数、及び電圧などの電気刺激の強度は、提示部135により与えられる制御指令にしたがって任意に設定されたうえで、ユーザの筋肉に電気刺激が与えられる。
【0047】
以上のように説明した電気刺激提示装置100によれば、筋肉に電気刺激を与えて運動を行うことができることから、リハビリ患者が精神面に良い状態でリハビリテーションに取り組むことができる。また、リハビリ患者が自身の行きたい場所などの景色を観ながらリハビリテーションに取り組むことにより、回復意欲を向上させることができる。そのため、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示装置100を提供することができる。
【0048】
(電気刺激提示方法のフロー)
(電気刺激提示方法の第一実施形態)
次に、本開示に係る電気刺激提示方法の第一実施形態について、
図8を用いて説明する。
図8は、本開示に係る電気刺激提示方法の第一実施形態のフローを示すフローチャートである。以下に、
図8に示すフローチャートに沿って、本開示に係る電気刺激提示方法の第一実施形態を説明する。
【0049】
まず、電気刺激提示装置100は、歩行動作するアバターを生成する(ステップS101)。次に、電気刺激提示装置100は、アバターの歩行動作の種別に応じて、電気刺激を提示する電気刺激部180に電気刺激を提示させる(ステップS102)。
【0050】
これにより、筋肉に電気刺激を与えて運動を行うことができることから、リハビリ患者が精神面に良い状態でリハビリテーションに取り組むことができる。また、リハビリ患者が自身の行きたい場所などの景色を観ながらリハビリテーションに取り組むことにより、回復意欲を向上させることができる。そのため、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示方法を提供することができる。
【0051】
(電気刺激提示装置の構成)
(電気刺激提示装置の第二実施形態)
次に、本開示に係る電気刺激提示装置の第二実施形態の構成例について、
図9を用いて説明する。
図9は、本開示に係る電気刺激提示装置の第二実施形態の構成例を示す図である。
図9に示すように、本開示に係る電気刺激提示装置100の第二実施形態は、電気刺激提示装置100の第一実施形態に対して、取得部131と、検出部133と、センサ部140が付加され、生成部134の処理が異なる以外は、電気刺激提示装置100の第一実施形態の構成と同じである。そのため、電気刺激提示装置100の第二実施形態の構成のうち、電気刺激提示装置100の第一実施形態と異なる構成について説明し、それ以外の構成についての説明は省略する。
【0052】
取得部131は、ユーザの人体の動作に関する情報を示すセンサ情報を取得する。例えば、取得部131は、センサ部140から加速度センサと、角速度センサが計測した三軸の加速度計測値、及び三軸の角速度計測値を取得してよい。なお、取得部131は、三軸の加速度計測値、及び三軸の角速度計測値を時系列データとして取得してよい。
【0053】
検出部133は、センサ情報に基づいて、人体の歩行動作を含む人体の動作を検出する。例えば、検出部133は、センサ情報の加速度、及び角速度の値と、方向動作の種別との関係を学習した学習済みモデルにセンサ情報を入力することによって、歩行動作を含む動作を検出してよい。学習用のモデルには、例えば、DNN(Deep Neural Network)を用いてよい。学習用のモデルに与える学習用のデータは、ユーザが歩行動作をしているときの加速度、及び角速度の計測値に対して、歩行動作の種別のラベル付けを行ったものを用いてよい。なお、この場合の歩行動作の種別のラベルとしては、例えば、立脚期の初期、中期、終期、遊脚期の初期、中期、終期、鉛直方向への移動の有無、及びそれぞれの歩行の水平方向の向きなどが含まれていてよい。なお、検出部133は、ユーザが脚を実際の歩行よりも小さく動かすだけで、アバターの歩行動作を十分に操作できるように人体の動作を検出するようにしてもよい。電気刺激提示装置100は、アバターの歩行動作に応じて電気刺激を与えるので、ユーザは実際に動かした以上の刺激を脚に与えることができる。また、検出部133は、ユーザの腕等の脚以外の部位の動作でアバターの歩行動作を操作できるように人体の動作を検出できるようにしてもよい。
【0054】
生成部134は、検出部133が検出した人体の歩行動作を含む人体の動作に応じてアバターの歩行動作を制御する。例えば、生成部134は、検出部133が検出した人体の歩行動作の種別としての、立脚期の初期、中期、終期、遊脚期の初期、中期、終期、鉛直方向への移動の有無、及びそれぞれの歩行の水平方向の向きに応じて、アバターの歩行動作を制御する。すなわち、生成部134が生成するアバターの動きは、ユーザの歩行動作と同じ動きをする。例えば、ユーザが所定の方向に前進する歩行動作をした場合は、生成部134は、所定の方向に前進するようにアバターの歩行動作を制御する。また、例えば、ユーザが鉛直方向への移動を伴う歩行動作をした場合は、生成部134は、鉛直方向への移動を伴うようにアバターの歩行動作を制御する。また、生成部134は、検出部133が検出した人体の歩行動作の種別に応じて、歩行動作を強調して示すようにアバターの歩行動作を制御してもよい。例えば、ユーザの歩行動作の動きが鈍くなっている場合は、鋭い動きをするように強調して示すようにアバターの歩行動作を制御する。これにより、ユーザの運動意欲を掻き立てることができる。
【0055】
センサ部140は、利用者の人体の動きの情報を計測する。センサ部140は、例えば、三軸ジャイロセンサと、三軸加速度センサと、三軸磁気センサを組み合わせた9DoF(Degree of Freedom)のIMU(Inertial Measurement Unit)であってもよい。ジャイロセンサは、可動電極に一方向に振動する一次振動を発生させておき、可動電極に回転が加わると振動方向と90°の方向にコリオリの力が働くことにより二次振動が発生し、静電容量の変化が生じるため、これを検出する静電容量型MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ジャイロセンサにより実現されてよい。加速度センサは、例えば、MEMSにより可動電極と固定電極を作り、可動電力が動くことによる静電容量の変化と加速度の関係を用いて加速度を計測する静電容量式の加速度センサであってよい。磁気センサは、磁場と電流の相互作用で電流にローレンツ力が加わり起電力が発生するホール素子のホール効果を利用したホール素子センサにより実現されてよい。
【0056】
(電気刺激提示方法のフロー)
(電気刺激提示方法の第二実施形態)
次に、本開示に係る電気刺激提示方法の第二実施形態について、
図10を用いて説明する。
図10は、本開示に係る電気刺激提示方法の第二実施形態のフローを示すフローチャートである。以下に、
図10に示すフローチャートに沿って、本開示に係る電気刺激提示方法の第二実施形態を説明する。
【0057】
まず、電気刺激提示装置100は、歩行動作可能なアバターを生成する(ステップS201)。次に、電気刺激提示装置100は、人体の動作を検出する(ステップS202)。次に、電気刺激提示装置100は、人体の動作に基づいてアバターの歩行動作を制御する(ステップS203)。次に、電気刺激提示装置100は、アバターの歩行動作の種別に応じて電気刺激を提示する(ステップS204)。
【0058】
これにより、ユーザの歩行動作に応じて、筋肉に電気刺激を与えて運動を行うことができることから、リハビリ患者が精神面に良い状態でリハビリテーションに取り組むことができる。また、リハビリ患者が自身の行きたい場所などの景色を観ながらリハビリテーションに取り組むことにより、回復意欲を向上させることができる。そのため、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示方法を提供することができる。
【0059】
(構成と効果)
本開示に係る電気刺激提示装置100は、所定のアバターの動作に同期して人体に電気刺激を提示させる電気刺激提示装置100であって、歩行動作可能なアバターを生成する生成部134と、アバターの歩行動作の種別ごとに電気刺激の周波数又は提示位置を変更して、電気刺激を提示する電気刺激部180に電気刺激を提示させる提示部135と、を備える。
【0060】
この構成によれば、筋肉に電気刺激を与えることから、リハビリ患者が精神面に良い状態でリハビリテーションに取り組むことができる。また、リハビリ患者が自身の行きたい場所などの景色を観ながらリハビリテーションに取り組むことにより、回復意欲を向上させることができる。そのため、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示装置100を提供することができる。
【0061】
本開示に係る電気刺激提示装置100は、人体の動作に関する情報を示すセンサ情報を取得する取得部131と、センサ情報に基づいて、人体の動作を検出する検出部133と、をさらに備え、生成部134は、検出部133が検出した人体の動作に基づいて、アバターの歩行動作を制御する。
【0062】
この構成によれば、ユーザの歩行動作に応じて、歩行動作するアバターを生成して、アバターの動きに応じて電気刺激を与えることができる。そのため、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示装置100を提供することができる。
【0063】
本開示に係る電気刺激提示装置100の提示部135は、アバターの歩行動作の種別が、遊脚動作の場合よりも立脚動作の場合の方が電気刺激の周波数が所定の周波数だけ低い周波数の電気刺激を電気刺激部180に提示させる。
【0064】
この構成によれば、遊脚動作の場合よりも立脚動作の場合の方が所定の周波数だけ低い周波数の電気刺激を与えることができる。そのため、筋肉への負荷が大きい立脚動作の場合に、筋肉に与える影響が持続する周波数の電気刺激を与えることができる。したがって、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示装置100を提供することができる。
【0065】
本開示に係る電気刺激提示装置100の提示部135は、アバターの歩行動作の種別が、鉛直方向への移動を伴う場合と、鉛直方向への移動を伴わない場合とで異なる周波数の電気刺激を電気刺激部180に提示させる。
【0066】
この構成によれば、歩行動作の種別が鉛直方向への移動を伴う場合に、鉛直方向への移動を伴わない場合と比較して所定の周波数だけ低い周波数の電気刺激を与えることができる。そのため、筋肉への負荷が大きい鉛直方向への移動を伴う場合に、筋肉に与える影響が持続する周波数の電気刺激を与えることができる。したがって、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示装置100を提供することができる。
【0067】
本開示に係る電気刺激提示方法は、所定のアバターの動作に同期して人体に電気刺激を提示させる電気刺激提示方法であって、歩行動作可能なアバターを生成するステップと、アバターの歩行動作の種別ごとに電気刺激の周波数又は提示位置を変更して、電気刺激を提示する電気刺激部180に電気刺激を提示させるステップと、を含む。
【0068】
この構成によれば、歩行動作に応じて筋肉に電気刺激を与えて運動を行うことができることから、リハビリ患者が精神面に良い状態でリハビリテーションに取り組むことができる。また、リハビリ患者が自身の行きたい場所などの景色を観ながらリハビリテーションに取り組むことにより、回復意欲を向上させることができる。そのため、意欲的に運動を行うことを支援することができる電気刺激提示方法を提供することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
1 電気刺激提示システム
100 電気刺激提示装置
110 通信部
120 記憶部
121 コンテンツ記憶部
130 制御部
131 取得部
132 受付部
133 検出部
134 生成部
135 提示部
136 通話部
137 表示制御部
140 センサ部
150 音入力部
160 音出力部
170 表示部
180 電気刺激部
200 利用者端末
N ネットワーク