IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

特開2024-140683走行支援制御装置および走行支援方法
<>
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図1
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図2
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図3
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図4
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図5
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図6
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図7
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図8
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図9
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図10
  • 特開-走行支援制御装置および走行支援方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140683
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】走行支援制御装置および走行支援方法
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20241003BHJP
   B62J 45/41 20200101ALI20241003BHJP
   B62J 27/00 20200101ALI20241003BHJP
   B62K 17/00 20060101ALI20241003BHJP
   B62J 45/412 20200101ALI20241003BHJP
   B62J 50/21 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
B62J45/00
B62J45/41
B62J27/00
B62K17/00
B62J45/412
B62J50/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051968
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田替藤 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】富澤 克美
(72)【発明者】
【氏名】中島 彩優子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 紀行
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BB08
3D212BB13
3D212BB24
3D212BB26
3D212BB44
3D212BB53
3D212BB72
3D212BB74
3D212BB76
(57)【要約】
【課題】ユーザの走行を適切に支援すること。
【解決手段】制御部20は、キックボードの走行を支援する。制御部20は、走行情報を取得する走行情報取得部23と、車体情報を取得する車体情報取得部24と、移動体の挙動を検出するセンサから第一センサデータを取得する第一センサデータ取得部21と、移動体のステップ部の荷重を検出するセンサから第二センサデータを取得する第二センサデータ取得部22と、車体情報と第二センサデータとに基づいて、ユーザの足の位置および荷重を算出する算出部27と、算出されたユーザの足の位置および荷重が、安定範囲に位置するか否かを判定する判定部28と、判定結果を出力する出力制御部29とを備え、判定部28は、走行情報と第一センサデータとに基づいて、走行状態が所定状態となったときに、判定を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立ち乗り式の移動体の走行を支援する走行支援制御装置であって、
前記移動体の速度を含む走行状態を示す走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記移動体の車体情報を取得する車体情報取得部と、
前記移動体に配置された前記移動体の挙動を検出するセンサから第一センサデータを取得する第一センサデータ取得部と、
前記移動体のステップ部の荷重を検出するセンサから第二センサデータを取得する第二センサデータ取得部と、
前記車体情報取得部によって取得された前記車体情報と、前記第二センサデータ取得部によって取得された前記第二センサデータとに基づいて、前記移動体のユーザの足の位置および荷重を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記ユーザの足の位置および荷重が、前記移動体における安定範囲に位置するか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力制御部と、
を備え、
前記判定部は、前記走行情報取得部によって取得された走行情報と、前記第一センサデータ取得部によって取得された前記第一センサデータとに基づいて、前記移動体の走行状態が所定状態となったときに、判定を行う、
走行支援制御装置。
【請求項2】
前記所定状態とは、前記移動体が発進する状態、前記移動体が停止する状態、前記移動体の速度が速度閾値以下の低速走行である状態、のいずれかである、
請求項1に記載の走行支援制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記安定範囲または前記安定範囲からのズレ量が所定の範囲に位置するか否かを判定する、
請求項1に記載の走行支援制御装置。
【請求項4】
前記安定範囲は、発進時における前記第二センサデータと、安定走行時における前記第二センサデータと、停止時における前記第二センサデータとに基づいて、設定される、
請求項1に記載の走行支援制御装置。
【請求項5】
立ち乗り式の移動体の走行を支援する走行支援方法であって、
前記移動体の速度を含む走行状態を示す走行情報を取得する走行情報取得ステップと、
前記移動体の車体情報を取得する車体情報取得ステップと、
前記移動体に配置された前記移動体の挙動を検出するセンサから第一センサデータを取得する第一センサデータ取得ステップと、
前記移動体のステップ部の荷重を検出するセンサから第二センサデータを取得する第二センサデータ取得ステップと、
前記車体情報取得ステップによって取得された前記車体情報と、前記第二センサデータ取得ステップによって取得された前記第二センサデータとに基づいて、前記移動体のユーザの足の位置および荷重を算出する算出ステップと、
前記算出ステップによって算出された前記ユーザの足の位置および荷重が、前記移動体における安定範囲に位置するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果を出力する出力制御ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記走行情報取得ステップによって取得された走行情報と、前記第一センサデータ取得ステップによって取得された前記第一センサデータとに基づいて、前記移動体の走行状態が所定状態となったときに、判定を行う、
走行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援制御装置および走行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車を含む鞍乗り型車両における、常に正確な車体の状態を把握できるようにジャイロセンサが配置された車体フレームに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-228676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、電動キックボード、および、キックボードのような立ち乗り式移動体は、発進時および停止時は、移動体が動いている不安定な状態で足を動かして、重心を移動させる。このため、バランスをとるのが難しく、ふらつき易い。そこで、立ち乗り式移動体が安定した状態で、発進や停止ができるように、ユーザの走行を適切に支援することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザの走行を適切に支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る走行支援制御装置は、立ち乗り式の移動体の走行を支援する走行支援制御装置であって、前記移動体の速度を含む走行状態を示す走行情報を取得する走行情報取得部と、前記移動体の車体情報を取得する車体情報取得部と、前記移動体に配置された前記移動体の挙動を検出するセンサから第一センサデータを取得する第一センサデータ取得部と、前記移動体のステップ部の荷重を検出するセンサから第二センサデータを取得する第二センサデータ取得部と、前記車体情報取得部によって取得された前記車体情報と、前記第二センサデータ取得部によって取得された前記第二センサデータと、に基づいて、前記移動体のユーザの足の位置および荷重を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記ユーザの足の位置および荷重が、前記移動体における安定範囲に位置するか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力制御部と、を備え、前記判定部は、前記走行情報取得部によって取得された走行情報と、前記第一センサデータ取得部によって取得された前記第一センサデータとに基づいて、前記移動体の走行状態が所定状態となったときに、判定を行う。
【0007】
本発明に係る走行支援方法は、立ち乗り式の移動体の走行を支援する走行支援制御方法であって、前記移動体の速度を含む走行状態を示す走行情報を取得する走行情報取得ステップと、前記移動体の車体情報を取得する車体情報取得ステップと、前記移動体に配置された移動体の挙動を検出するセンサから第一センサデータを取得する第一センサデータ取得ステップと、前記移動体のステップ部の荷重を検出する圧力センサから第二センサデータを取得する第二センサデータ取得ステップと、前記車体情報取得ステップによって取得された前記車体情報と、前記第二センサデータ取得ステップによって取得された前記第二センサデータと、に基づいて、前記移動体のユーザの足の位置および荷重を算出する算出ステップと、前記算出ステップによって算出された前記ユーザの足の位置および荷重が、前記移動体における安定範囲に位置するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果を出力する出力制御ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記走行情報取得ステップによって取得された走行情報と、前記第一センサデータ取得ステップによって取得された前記第一センサデータとに基づいて、前記移動体の走行状態が所定状態となったときに、判定を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの走行を適切に支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、キックボードの概略を示す図である。
図2図2は、第一実施形態に係る走行支援装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第一実施形態に係る走行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、幅が広いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。
図5図5は、幅が広いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。
図6図6は、幅が広いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。
図7図7は、幅が広いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。
図8図8は、幅が広いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。
図9図9は、幅が狭いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。
図10図10は、幅が狭いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。
図11図11は、幅が狭いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る走行支援制御装置および走行支援方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第一実施形態]
<走行支援装置>
図1は、第一実施形態に係る走行支援装置の構成例を示す概略図である。図2は、第一実施形態に係る走行支援装置の構成例を示すブロック図である。走行支援装置1は、立ち乗り式移動体の走行を支援する装置である。
【0012】
立ち乗り式移動体とは、ステップ部に立って乗る移動体である。立ち乗り式移動体とは、例えば、車体の前方および後方に車輪が配置された二輪または三輪の移動体である。立ち乗り式移動体は、例えば、電動キックボード、および、キックボードなどである。本実施形態では、一例として、二輪のキックボード100として説明する。
【0013】
キックボード100のステップ部101は、ユーザが正しい姿勢で走行する際に左足が置かれる左足置場101Lと、右足が置かれる右足置場101Rとがあらかじめ設定されている。例えば、ステップ部101が前後に細長い形状であり、足を前後に置く場合には、左足置場101Lと右足置場101Rとは、前後に並んで設定される。なお、右足置場(前足置場)101Rと左足置場101L(後足置場)との前後の並び方は、限定されるものではなく、入れ替わってもよい。例えば、ステップ部101が左右に幅広い形状であり、足を左右に置く場合には、左足置場101Lと右足置場101Rとは、左右に並んで設定される。
【0014】
本実施形態では、キックボード100のステップ部101は、右足置場101Rに右足が置かれ、左足置場101Lに左足が置かれるものとして説明する。
【0015】
走行支援装置1は、移動体の挙動を検出するセンサとして3軸ジャイロセンサ11と、移動体のステップ部の荷重を検出するセンサとして圧力センサ12と、速度センサ13と、車体情報記憶部14と、地図情報記憶部15と、ユーザ情報記憶部16と、安定範囲記憶部18と、出力部19と、走行支援制御装置(以下、「制御部」という。)20と、を備える。なお、センサで検出される移動体の挙動は、例えば、移動体の姿勢や走行時のふらつき(進行方向に対する左右の揺れなど)などを含む。
【0016】
3軸ジャイロセンサ11は、移動体に配置された移動体の挙動を検出するセンサである。3軸ジャイロセンサ11は、移動体に加わる加速度データを取得する。本実施形態では、3軸ジャイロセンサ11は、キックボード100に配置されたキックボード100の挙動を検出するセンサである。本実施形態では、3軸ジャイロセンサ11は、キックボード100に加わる加速度データを取得する。3軸ジャイロセンサ11は、例えば、キックボード100のステップ部101に配置されている。3軸ジャイロセンサ11は、例えば、キックボード100の姿勢を検出する。3軸ジャイロセンサ11は、取得した加速度データである第一センサデータを第一センサデータ取得部21へ出力する。加速度データは、X軸方向の加速度データとY軸方向の加速度データとZ軸方向の加速度データとを含む。
【0017】
圧力センサ12は、ユーザの足によって、移動体において足が置かれるステップ部に加えられる圧力を検出するセンサである。本実施形態では、圧力センサ12は、ユーザの足によって、キックボード100のステップ部101に加えられる圧力を検出するセンサである。圧力センサ12は、検出結果である第二センサデータを第二センサデータ情報取得部22へ出力する。圧力センサ12は、左圧力センサ12Lと、右圧力センサ12Rとを備える。
【0018】
圧力センサ12は、複数のセンサをステップ部101にマトリックス状に配置してもよい。本実施形態では、圧力センサ12は、左足置場101Lおよび右足置場101Rのそれぞれにマトリックス状に配置されている。このように配置された圧力センサ12により、左足置場101Lおよび右足置場101Rのそれぞれにおける足が置かれた位置と、その荷重とを検出する。なお、足が置かれた位置は、例えば、足の荷重の中心の位置や足底(足跡)の形状などを含めてもよい。
【0019】
左圧力センサ12Lは、ユーザの左足によって、移動体において左足が置かれるステップ部に加えられる圧力を検出するセンサである。本実施形態では、左圧力センサ12Lは、ユーザの左足によって、キックボード100のステップ部101のうち左足が置かれる左足置場101Lに加えられる圧力を検出するセンサである。左圧力センサ12Lは、検出結果である左の第二センサデータを第二センサデータ情報取得部22へ出力する。
【0020】
右圧力センサ12Rは、ユーザの右足によって、移動体において右足が置かれるステップ部に加えられる圧力を検出するセンサである。本実施形態では、右圧力センサ12Rは、ユーザの右足によって、キックボード100のステップ部101のうち右足が置かれる右足置場101Rに加えられる圧力を検出するセンサである。右圧力センサ12Rは、検出結果である右の第二センサデータを第二センサデータ情報取得部22へ出力する。
【0021】
速度センサ13は、移動体の速度を検出するセンサである。本実施形態では、速度センサ13は、キックボード100の速度を検出する。速度センサ13は、検出結果である速度を走行情報取得部23へ出力する。
【0022】
車体情報記憶部14は、移動体の車体情報を記憶する。本実施形態では、車体情報記憶部14は、キックボード100の車体情報を記憶する。車体情報記憶部14は、図示しない通信部などによる通信機能を介して車体情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0023】
車体情報は、例えば、車体の形状、寸法、重量、ユーザが乗っていない状態における重心の位置、ハンドル部の高さ、車輪の位置、数、径などの情報である。
【0024】
地図情報記憶部15は、地図情報を記憶する。地図情報は、例えば、道路の形状、道路幅方向の傾斜、道路の勾配などを含む道路地図である。地図情報記憶部14は、図示しない通信部などによる通信機能を介して地図情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0025】
ユーザ情報記憶部16は、ユーザ情報を記憶する。ユーザ情報は、例えば、ユーザの身長、体重、荷物の有無、靴の種類(ハイヒールなど)などである。ユーザ情報記憶部16は、図示しない通信部などによる通信機能を介してユーザ情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0026】
安定範囲記憶部18は、ユーザが移動体に立ち乗りして走行する際に、車体がふらつかず安定維持されると推測される安定範囲を示す情報を記憶する。本実施形態では、安定範囲記憶部18は、ユーザがキックボード100のステップ部101に立ち乗りして走行する際に、車体が安定維持されると推測される安定範囲を示す情報を記憶する。より詳しくは、安定範囲記憶部18は、ユーザが移動体に立ち乗りして走行する際の、左足の安定範囲と、右足の安定範囲とを記憶する。本実施形態では、安定範囲記憶部18は、ユーザがキックボード100に立ち乗りした際に、ステップ部101の左足置場101Lにおける左足の安定範囲と、ステップ部101の右足置場101Rにおける右足の安定範囲とを記憶する。
【0027】
車体がふらつかず安定維持されるとは、ユーザがハンドル操作(例えば、ハンドルを連続的に左右に小さく動かす)や姿勢を変えて重心移動などにより車体のバランスをとるような動作を伴うことなく、ユーザがステップ部に立った状態で、走行中に車体の姿勢が大きく傾かない(あるいは車体が大きく揺れない)状態が所定時間継続することをいう。車体がふらつかず安定維持されるとは、例えば、ユーザの足を介して車体に係る荷重が、車体の重心に対して適切なバランスであることをいう。車体がふらつかず安定維持されるとは、移動体の姿勢のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれの変化が閾値以下であることをいう。
【0028】
車体の重心の位置は、例えば、ステップ部101の中心、または、車輪間の中心としてもよい。車輪間の中心とは、例えば、キックボード100が2輪である場合は前後の車輪の中間、3輪である場合は1輪の延長線上で2輪の中間である。
【0029】
安定範囲は、車体のステップ部101の形状、大きさなどと、ユーザの足(足底)の形状、大きさ、足の置き方、足(股下)の長さなどの組み合わせに応じて変わる。右足と左右の安定範囲は、それぞれの足が置かれる位置の許容範囲であり、少なくとも足の荷重の中心の位置が安定範囲内にあれば、足の向きなどの変化は許容できる。安定範囲は、足底の略全てが安定範囲内に位置するように設定することが好ましい。右足と左右の安定範囲は、例えば、車体の重心に対して適切なバランスになるように、ステップ部101に並んで設定される。右足と左右の安定範囲は、例えば、先に設定された一方の足の安定範囲に対して、他方の足の安定範囲が設定されるので、右足の安定範囲と左足の安定範囲との組合せのパターンを安定範囲記憶部18に記憶してもよい。
【0030】
安定範囲は、例えば、道路幅方向の傾斜、道路の勾配などの道路の状況に応じて変わってもよい。
【0031】
図1に示す例では、ステップ部101は、前後に細長い形状である。ステップ部101の前側に右足置場101Rが配置されている。右足置場101Rの中心部に安定範囲101Rが設定されている。ステップ部101の後側に左足置場101Lが配置されている。左足置場101Lの中心部に安定範囲101Lが設定されている。安定範囲101Lおよび安定範囲101Rの位置、形状、および、大きさは、ステップ部101の形状、大きさなどによって変化する。
【0032】
出力部19は、移動体のユーザに対して映像または音声を出力する出力装置である。本実施形態では、出力部19は、キックボード100のユーザに対して映像または音声を出力する出力装置である。出力部19は、出力制御部29からの制御信号に基づいて、映像または音声を出力する。出力部19は、スピーカ191と、表示部192との少なくともどちらかを備える。
【0033】
スピーカ191は、移動体のユーザに対して音声を出力する音声出力装置である。本実施形態では、スピーカ191は、キックボード100のユーザに対して音声を出力する音声出力装置である。スピーカ191は、音声出力制御部291からの音声信号に基づいて、音声を出力する。スピーカ191は、例えば、キックボード100のハンドル付近に配置されている。
【0034】
表示部192は、移動体のユーザに対して映像を出力する表示装置である。本実施形態では、表示部192は、キックボード100のユーザに対して映像を出力する表示装置である。表示部192は、移動体に配置された表示装置、または、ユーザが携帯する電子機器の表示装置である。表示部192は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。表示部192は、表示制御部292からの映像信号に基づいて、映像を出力する。表示部192は、例えば、キックボード100のハンドル付近に配置されている。
【0035】
<走行支援制御装置>
制御部20は、立ち乗り式移動体用の端末装置またはユーザが所持する電子機器の有する機能(アプリケーション)として実装される。制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御部20は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。制御部20は、第一センサデータ取得部21と、第二センサデータ取得部22と、走行情報取得部23と、車体情報取得部24と、地図情報取得部25と、ユーザ情報取得部26と、算出部27と、判定部28と、出力制御部29とを備える。
【0036】
第一センサデータ取得部21は、移動体に配置された3軸ジャイロセンサ11から移動体に加わる加速度データである第一センサデータを取得する。本実施形態では、第一センサデータ取得部21は、3軸ジャイロセンサ11からキックボード100に加わる加速度データである第一センサデータを取得する。第一センサデータ取得部21は、キックボード100の姿勢を示す第一センサデータを取得する。
【0037】
第二センサデータ取得部22は、圧力センサ12の検出結果から、ユーザの足によって移動体の足が置かれるステップ部に加えられる圧力を示す第二センサデータを取得する。本実施形態では、第二センサデータ取得部22は、圧力センサ12の検出結果から、ユーザの足によってキックボード100のステップ部101に加えられる圧力を示す第二センサデータを取得する。第二センサデータ取得部22は、圧力センサ12の検出結果から、キックボード100のステップ部101におけるユーザの足の位置および荷重を検出する。第二センサデータ取得部22は、左センサデータ取得部22Lと、右センサデータ取得部22Rとを備える。
【0038】
左センサデータ取得部22Lは、左圧力センサ12Lの検出結果から、ユーザの左足によって移動体の左足が置かれるステップ部に加えられる圧力を示す左センサデータを取得する。本実施形態では、左センサデータ取得部22Lは、左圧力センサ12Lの検出結果から、ユーザの左足によってキックボード100のステップ部101の左足置場101Lに加えられる圧力を示す左センサデータを取得する。
【0039】
右センサデータ取得部22Rは、右圧力センサ12Rの検出結果から、ユーザの右足によって移動体の右足が置かれるステップ部に加えられる圧力を示す右センサデータを取得する。本実施形態では、右センサデータ取得部22Rは、右圧力センサ12Rの検出結果から、ユーザの右足によってキックボード100のステップ部101の右足置場101Rに加えられる圧力を示す右センサデータを取得する。
【0040】
走行情報取得部23は、移動体の速度を含む走行状態を示す走行情報を取得する。本実施形態では、走行情報取得部23は、キックボード100の速度を含む走行状態を示す走行情報を取得する。本実施形態では、走行情報取得部23は、速度センサ13から速度情報を走行情報として取得する。
【0041】
車体情報取得部24は、車体情報記憶部14から移動体の車体情報を取得する。本実施形態では、車体情報取得部24は、車体情報記憶部14からキックボード100の車体情報を取得する。
【0042】
地図情報取得部25は、地図情報記憶部15から地図情報を取得する。
【0043】
ユーザ情報取得部26は、ユーザ情報記憶部16からユーザ情報を取得する。
【0044】
算出部27は、車体情報取得部24によって取得された車体情報と、第二センサデータ取得部22によって取得された第二センサデータとに基づいて、移動体のユーザの足の位置および荷重を算出する。算出部27は、移動体が所定の走行状態になったときに、ユーザの左足および右足の置場における位置および荷重を算出する。本実施形態では、算出部27は、キックボード100が所定の走行状態になったときに、ユーザの左足および右足のステップ部101における位置および荷重を算出する。より詳しくは、算出部27は、左圧力センサ12Lの検出結果から、キックボード100の左足置場101Lにおけるユーザの左足の位置および荷重を検出する。算出部27は、右圧力センサ12Rの検出結果から、キックボード100の右足置場101Rにおけるユーザの右足の位置および荷重を検出する。
【0045】
判定部28は、算出部27によって算出されたユーザの足の位置および荷重が、安定範囲記憶部18に記憶された移動体における安定範囲に位置するか否かを判定する。本実施形態では、判定部28は、算出部27によって算出されたユーザの左足および右足の位置および荷重が、安定範囲記憶部18に記憶された移動体における安定範囲に位置するか否かを判定する。判定部28は、走行情報取得部23によって取得された走行情報と、第一センサデータ取得部21によって取得された第一センサデータとに基づいて、移動体の走行状態が所定状態となったときに、判定を行う。本実施形態では、判定部28は、走行情報と第一センサデータとに基づいて、キックボード100の走行状態が所定状態となったときに、判定を行う。
【0046】
ユーザの足の位置および荷重が安定範囲に位置する場合、車体が安定するため、足の位置または荷重の偏りは許容される。ユーザの足の位置および荷重が安定範囲から外れる場合、車体がふらつくおそれがあるため、足の位置または荷重の偏りは許容できない。
【0047】
所定状態とは、移動体が発進する状態、移動体が停止する状態、移動体の速度が所定の速度(速度閾値)以下の低速走行である状態、のいずれかである。本実施形態では、所定状態とは、キックボード100を停止状態から加速して所定の速度(速度閾値)を経て発進する際の低速走行時の状態、キックボード100を走行状態から減速して所定の速度(速度閾値)を経て停止する際の低速走行時の状態、キックボード100が所定の速度(速度閾値)以下の低速走行時である状態である。所定の速度(速度閾値)以下の低速走行時に足を動かす(重心を移動)と、バランスを崩し易い。低速走行時は、車体の走行が安定するジャイロ効果などがある所定の速度(速度閾値)以上の間に、ユーザが重心を適切な位置に移動できるように、判定を行うことが好ましい。
【0048】
判定部28は、例えば、キックボード100が発進する際は、走行情報と第一センサデータが停止状態から加速し、所定の速度(速度閾値)になったことを示すときに、判定する。また、キックボード100が発進する際は、所定の速度(速度閾値)になるまでの間に、出力制御部29は、安定範囲記憶部18に記憶された左右の足の安定範囲の組合せのパターンに基づいて、地面を蹴っている足を乗せる安定範囲を推奨したり、地面を蹴っている足を、ステップ部101に乗せないように警告を出力するよう制御してもよい。
判定部28は、例えば、キックボード100が停止する際は、走行情報と第一センサデータが走行状態から減速し、所定の速度(速度閾値)になったことを示すときに、判定する。また、キックボード100が停車する際は、所定の速度(速度閾値)になるまでの間に、出力制御部29は、地面に着ける足の移動(例えば、足の位置を変える、足の一部をステップ部から離す)の準備を推奨したり、両足の安定範囲を縮小するように警告を出力するよう制御してもよい。
【0049】
所定の速度は、例えば、ふらつかずに安定して走行するために必要な最低速度8km/hである。所定の速度は、実際に移動体を走行させて求めてもよい。
【0050】
判定部28は、例えば、キックボード100の停止時は、走行情報と第一センサデータが、ブレーキ操作がされたこと、または、減速が所定時間継続することを示すときに、判定する。
【0051】
判定部28は、算出部27によって算出されたユーザの足の位置および荷重が、安定範囲記憶部18に記憶された移動体における安定範囲または安定範囲からのズレ量が所定の範囲に位置するか否かを判定してもよい。
【0052】
安定範囲からの足のズレ量は、車体のステップ部101の形状、大きさなどと、ユーザの足の置き方、ユーザの足(足底)の形状、大きさ、足の置き方、足(股下)の長さなどによって変わる。
【0053】
判定部28は、例えば、ステップ部101の長さの10%の範囲、ステップ部101の面積に対し、中心からの10%分の面積範囲、または、車輪間の長さの10%の範囲のズレ量を許容するものとしてもよい。ユーザの足の位置の前後のズレ量と、左右のズレ量とでは、左右にズレた割合が大きいほど、キックボード100は不安定になると推測される。そこで、左右のズレ量の許容範囲は、前後のズレ量の許容範囲より狭く設定することが好ましい。例えば、合計のズレ量の許容範囲を10%とした場合に、前後のズレ量は8%以下を許容し、左右のズレ量は2%以下を許容する。
【0054】
出力制御部29は、判定部28の判定結果を出力する。より詳しくは、出力制御部29は、判定部28の判定結果に基づいて、足の位置および荷重が安定範囲ではないと判定される場合、言い換えると、ユーザの足の位置および荷重の偏りが許容されないと判定する場合、警告を出力するよう制御する。出力制御部29は、出力部19における映像または音声の出力を制御する。出力制御部29は、表示制御部291と、音声出力制御部292との少なくともどちらかを備える。
【0055】
表示制御部291は、判定部28の判定結果を表示する。より詳しくは、表示制御部291は、判定部28の判定結果に基づいて、足の位置および荷重が安定範囲ではないと判定される場合、警告を文字または図形などで表示するよう制御する。表示制御部291は、表示部192における映像の表示を制御する。表示制御部291は、例えば、ステップ部101におけるユーザの足の位置および荷重が安定範囲からズレていること、または、足を動かして重心を移動する方向を示す映像を表示する。表示制御部291は、映像を表示部192に出力させる映像信号を出力する。表示制御部291は、Wi-Fi(登録商標)などの通信機能を介して、ユーザが携帯する電子機器の表示部192に出力させる映像信号を出力してもよい。
【0056】
音声出力制御部292は、判定部28の判定結果を音声で出力する。より詳しくは、音声出力制御部292は、判定部28の判定結果に基づいて、足の位置および荷重が安定範囲ではないと判定される場合、警告を音声で出力するよう制御する。音声出力制御部292は、スピーカ192からの音声の出力を制御する。音声出力制御部292は、例えば、ステップ部101におけるユーザの足の位置および荷重が安定範囲からズレていること、または、足を動かして重心を移動する方向を音声で出力する制御を行う。音声出力制御部292は、音声をスピーカ192から出力させる音声信号を出力する。
【0057】
<走行支援装置における情報処理>
次に、図3を用いて、走行支援装置10における情報処理について説明する。図3は、第一実施形態に係る走行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。例えば、立ち乗り式移動体1による走行を開始する前に、走行支援装置1が起動する。
【0058】
制御部20は、各種データを取得する(ステップS101)。より詳しくは、制御部20は、第一センサデータ取得部21によって、第一センサデータ取得部21は、3軸ジャイロセンサ11からキックボード100に加わる加速度データである第一センサデータを取得する。制御部20は、左センサデータ取得部22Lによって、ユーザの左足によってキックボード100の左足置場101Lに加えられる圧力を示す左センサデータを取得する。制御部20は、右センサデータ取得部22Rによって、ユーザの右足によってキックボード100の右足置場101Rに加えられる圧力を示す右センサデータを取得する。制御部20は、走行情報取得部23によって、キックボード100の走行状態を示す走行情報を取得する。制御部20は、車体情報取得部24によって、キックボード100の車体情報を取得する。制御部20は、地図情報取得部25によって、地図情報を取得する。制御部20は、ユーザ情報取得部25によって、ユーザ情報を取得する。制御部20は、ステップS102へ進む。
【0059】
制御部20は、ユーザの足の位置および荷重を算出する(ステップS102)。より詳しくは、制御部20は、算出部27によって、左圧力センサ12Lの検出結果から、キックボード100の左足置場101Lにおけるユーザの左足の位置および荷重を検出する。制御部20は、算出部27によって、右圧力センサ12Rの検出結果から、キックボード100の右足置場101Rにおけるユーザの右足の位置および荷重を検出する。制御部20は、ステップS103へ進む。
【0060】
制御部20は、ユーザの足の位置および荷重が安定範囲であるか否かを判定する(ステップS103)。より詳しくは、制御部20は、判定部28によって、キックボード100の走行状態が所定状態となったときに、算出されたユーザの足の位置および荷重が、安定範囲記憶部18に記憶された移動体における安定範囲に位置するか否かを判定する。制御部20は、判定部28によって、ユーザの足の位置および荷重が安定範囲であると判定する場合(ステップS103でYes)、ステップS105へ進む。制御部20は、判定部28によって、ユーザの足の位置および荷重が安定範囲であると判定しない場合(ステップS103でNo)、ステップS104へ進む。
【0061】
ユーザの足の位置および荷重が安定範囲であると判定しない場合(ステップS103でNo)、制御部20は、警告を出力する(ステップS104)。より詳しくは、制御部20は、表示制御部291によって、例えば、ステップ部101におけるユーザの足の位置および荷重が安定範囲からズレていることを示す映像を表示する。制御部20は、音声出力制御部292によって、例えば、ステップ部101におけるユーザの足の位置および荷重が安定範囲からズレていることを音声で出力する制御を行う。制御部20は、ステップS105へ進む。
【0062】
制御部20は、終了するか否かを判定する(ステップS105)。より詳しくは、制御部20は、例えば、終了操作が検出された場合、電源がOFFにされた場合などに、終了すると判定する。制御部20は、終了すると判定する場合(ステップS105でYes)、処理を終了する。制御部20は、終了すると判定しない場合(ステップS105でNo)、ステップS101の処理を再度実行する。
【0063】
ステップS103における判定処理について、具体例を説明する。まず、図4ないし図8を用いて幅が広いステップ部101について説明する。図4ないし図8は、幅が広いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。各図において、ステップ部101の重心を101cで示している。図4ないし図8では、左足FRが左足置場101Lに位置し、右足FRが右足置場101Rに位置する場合に、安定範囲であると判定するものとする。図4は、発進時において、右足FRをステップ部101の右前側に置いた状態で、左足FLで地面を蹴って加速する状態を示す。図5ないし図8は、加速後に左足FLをステップ部101に乗せた走行状態を示す。
【0064】
図5は、左足FLがステップ部101の重心101cより右後側に位置する。図5は、左足FLおよび右足FRが、ステップ部101の重心101cより右側に偏って位置する。加速後に左足FLをステップ部101に乗せた足の位置が図5の状態である場合、ユーザの荷重はステップ101の右側に偏っている。この場合、判定部28によって、安定範囲ではないと判定される。表示制御部291は、例えば、ステップ部101におけるユーザの左足FLの位置および荷重が安定範囲から右へズレていること、または、左足FLを左方へ動かして重心を移動することと示唆する映像を表示する。音声出力制御部292は、例えば、ステップ部101におけるユーザの左足FLの位置および荷重が安定範囲から右へズレていること、または、左足FLを左方へ動かして重心を移動することと示唆する音声で出力する制御を行う。
【0065】
図6は、左足FLがステップ部101の重心101cより左側に位置する。図6は、左足FLおよび右足FRが、ステップ部101の重心101cに対して前後左右にバランスよく位置する。加速後のユーザの足の位置が図6の状態である場合、ユーザの荷重は重心101cに対して前後左右のバランスがよい。この場合、判定部28によって、安定範囲であると判定される。
【0066】
図7は、左足FLがステップ部101の重心101cより前側に位置する。図7は、左足FLおよび右足FRが、ステップ部101の重心101cに対して左右にバランスよく位置する。加速後のユーザの足の位置が図7の状態である場合、ユーザの荷重は重心101cに対して左右のバランスがよい。ユーザの荷重は重心101cに対して前側に偏っている。この場合、判定部28によって、加速後のユーザの足の位置が図7の状態であって、さらにキックボード100の現在位置が下り坂であると判定される場合、安定範囲ではないと判定される。判定部28によって、加速後のユーザの足の位置が図7の状態であって、さらにキックボード100の現在位置が下り坂ではないと判定される場合、安定範囲であると判定される。
【0067】
図8は、右足FRがステップ部101の右中央部に位置し、左足FLがステップ部101の重心101cより左側に位置する。図8は、左足FLおよび右足FRが、ステップ部101の重心101cに対して前後左右にバランスよく位置する。加速後のユーザの足の位置が図8の状態である場合、ユーザの荷重は重心101cに対して前後左右のバランスがよい。この場合、判定部28によって、安定範囲であると判定される。
【0068】
つづいて、図9ないし図11を用いて、幅が狭いステップ部101について説明する。図9ないし図11は、幅が狭いステップ部における足の位置を模式的に示す図である。各図において、ステップ部101の重心を101cで示している。図9ないし図11では、左足FRが左足置場101Lに位置し、右足FRが右足置場101Rに位置する場合に、安定範囲であると判定するものとする。図9は、右足FRをステップ部101の右前側から一部がはみ出した状態で、左足FLで地面を蹴って加速する状態を示す。図10図11は、加速後に左足FLをステップ部101に乗せた走行状態を示す。
【0069】
図10は、右足FRは図9と同じ位置で、左足FLがステップ部101の後側に位置する。加速後のユーザの足の位置が図10の状態である場合、ユーザの荷重はステップ101の右側に偏っている。この場合、判定部28によって、安定範囲ではないと判定される。表示制御部291は、例えば、ステップ部101におけるユーザの右足FRの位置および荷重が安定範囲から右へズレていること、または、右足FRを左方へ動かして重心を移動することと示唆する映像を表示する。音声出力制御部292は、例えば、ステップ部101におけるユーザの右足FRの位置および荷重が安定範囲から右へズレていること、または、右足FRを左方へ動かして重心を移動することと示唆する音声で出力する制御を行う。
【0070】
図11は、右足FRがステップ部101の前側に位置し、左足FLがステップ部101の後側に位置する。加速後のユーザの足の位置が図11の状態である場合、ユーザの荷重は重心101cに対して前後左右のバランスがよい。この場合、判定部28によって、安定範囲であると判定される。
【0071】
<効果>
上述したように、本実施形態では、キックボード100の走行状態が所定状態となったときに、算出されたユーザの足の位置および荷重が、安定範囲に位置するか否かを判定する。本実施形態では、判定結果を出力する。このように、本実施形態によれば、適切なバランスで走行できているかを判定することができるので、ユーザの走行を適切に支援することができる。
【0072】
本実施形態では、発進時または低速走行時に、算出されたユーザの足の位置および荷重が、安定範囲に位置するか否かを判定することができる。本実施形態によれば、バランスをとることが難しくふらつき易い発進時および低速走行時に、安定した状態で、発進や停止ができるように、ユーザの走行を適切に支援することができる。
【0073】
本実施形態では、安定範囲または安定範囲からのズレ量が所定の範囲に位置するか否かを判定する。本実施形態によれば、ステップ部101上におけるユーザの足の位置および荷重の偏り状態を検出して、偏りが許容できない場合、足を置く位置の変更を乗員に促すことができる。本実施形態によれば、低速走行時のふらつきを抑制し、転倒する可能性を低減できる。
【0074】
図示した走行支援装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0075】
走行支援装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0076】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0077】
<変形例>
安定範囲の設定の他の例について説明する。キックボード100の走行に関連するユーザの身体能力に応じて、安定範囲を設定してもよい。以下に詳しく説明する。(1)キックボード100の発進時(加速時)は、右足がステップ部101の右足置場101Rに乗った状態で、左足で地面を蹴る。このとき、右足によってステップ部101の右足置場101Rに加わる荷重は最大となる。(2)キックボード100の安定走行時は、右足が右足置場101R、左足に左足置場101Lに乗っている。このとき、荷重は右足置場101Rおよび左足置場101Lに分散し、右足置場101Rに加わる荷重は最小となる。(3)キックボード100の停止時(減速時)は、右足がステップ部101の右足置場101Rに乗った状態で、左足が地面に着地する。このとき、右足によってステップ部101の右足置場101Rに加わる荷重は最小となる。そこで、(1)の発進時と(2)の安定走行時との右足置場101Rに加わる荷重の差を算出する。荷重の差が大きい場合、ユーザのキック力が強い、体幹が強い、バランス能力が高いなど、キックボード100の走行に関連する身体能力が高いと推測される。このため、安定範囲を通常よりも広く設定する。荷重の差が小さい場合、ユーザのキック力が弱い、体幹が弱い、バランス能力が低いなど、キックボード100の走行に関連する身体能力が低いと推測される。このため、安定範囲を通常よりも狭く設定する。これにより、ユーザの身体能力を推測して、より適切に安定範囲を設定することができる。
【0078】
キックボード100の走行に関連するユーザの身体能力に加えて、ユーザの体重を考慮して安定範囲を設定してもよい。例えば、上記(1)、(2)、(3)のすべてにおいて、荷重が所定の基準に対して大きい場合、荷重の差が大きい場合と同様の判断とする。この場合、キックボード100の走行に関連する身体能力が高いとして、安定範囲を通常よりも広く設定する。これにより、ユーザの体重に応じて、より適切に安定範囲を設定することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 走行支援装置
11 3軸ジャイロセンサ(移動体の挙動を検出するセンサ)
12 圧力センサ(荷重を検出するセンサ)
12L 左圧力センサ
12R 右圧力センサ
13 速度センサ
14 車体情報記憶部
15 地図情報記憶部
15 体験要素情報記憶部
16 ユーザ情報記憶部
18 安定範囲記憶部
19 出力部
191 スピーカ
192 表示部
20 制御部(走行支援制御装置)
21 第一センサデータ取得部
22 第二センサデータ取得部
23 走行情報取得部
24 車体情報取得部
25 地図情報取得部
26 ユーザ情報取得部
27 算出部
28 判定部
29 出力制御部
291 音声出力制御部
292 表示制御部
100 キックボード
101 ステップ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11