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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140712
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 3/347 20060101AFI20241003BHJP
   H05B 6/64 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F26B3/347
H05B6/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052013
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】相澤 直
(72)【発明者】
【氏名】八代 博崇
(72)【発明者】
【氏名】青木 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恒之
【テーマコード(参考)】
3K090
3L113
【Fターム(参考)】
3K090AA12
3K090AB07
3K090BA04
3K090NA01
3L113AA02
3L113AC13
3L113AC31
3L113AC36
3L113BA30
3L113CB08
3L113DA26
(57)【要約】
【課題】電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱装置は、第1電極と、加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、コイルを有し、伝送線路と第1電極とを電気的に接続する第1導体と、伝送線路と第2電極とを電気的に接続する第2導体と、筐体と、を備える。第1電極及び第2電極は、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより加熱対象物を加熱可能である。筐体は、加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、当接部とともに、第1電極及び第2電極を収容可能である内部空間を構成する収容ケースと、を有する。収容ケースは、第2電極と電気的に接続される導体である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、
コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、
前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一部と、前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一部とを覆う筐体と、
を備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能であり、
前記筐体は、
前記加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、
前記当接部とともに、前記第1電極及び前記第2電極を収容可能である内部空間を構成する収容ケースと、を有し、
前記収容ケースは、絶縁性を有する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱装置において、
作業者により把持可能である把持部を備え、
前記把持部は、前記収容ケースと接続されており、前記収容ケースとの絶縁性を有する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項3】
請求項1に記載の加熱装置において、
前記当接部が前記加熱対象物と当接していることを検出する対象検出部を備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記対象検出部によって前記当接部が前記加熱対象物と当接していることが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能である、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項4】
加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、
第1電極と、
前記加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、
コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、
前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、
前記当接部が前記加熱対象物と当接していることを検出する対象検出部と、
を備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記対象検出部によって前記当接部が前記加熱対象物と当接していることが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能である、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の加熱装置において、
前記対象検出部は、第1圧力センサーと、第2圧力センサーとを有し、
前記第1圧力センサー及び前記第2圧力センサーは、前記当接部が前記加熱対象物と当接していることを検出可能である、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の加熱装置において、
前記対象検出部は、前記加熱対象物の温度を検出する温度センサーを有する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項7】
請求項1に記載の加熱装置において、
温度を検出する温度検出部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記温度検出部による検出結果に基づいて、前記第1電極及び前記第2電極による電磁波の発生を制御する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項8】
加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、
第1電極と、
前記加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、
コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、
前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、
温度を検出する温度検出部と、
制御部と、
を備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能であり、
前記制御部は、前記温度検出部による検出結果に基づいて、前記第1電極及び前記第2電極による電磁波の発生を制御する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の加熱装置において、
前記温度検出部は、前記加熱対象物の温度を検出する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項10】
請求項7又は請求項8に記載の加熱装置において、
前記温度検出部は、前記コイルの温度を検出する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項11】
請求項7又は請求項8に記載の加熱装置において、
前記温度検出部は、前記伝送線路に設けられた電磁クランプの温度を検出する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項12】
請求項7又は請求項8に記載の加熱装置において、
前記制御部は、前記温度検出部による検出結果と、前記第1電極及び前記第2電極に印加する高周波電圧とに基づいて、前記第1電極及び前記第2電極に印加する高周波電圧を制御する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項13】
請求項7又は請求項8に記載の加熱装置において、
前記制御部は、前記温度検出部によって検出された温度が閾値を超えた場合、前記第1電極及び前記第2電極による電磁波の発生を停止させるように制御する、
ことを特徴とする加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、加熱対象物に対して電磁波を発生させることにより、加熱対象物を加熱し、加熱対象物を乾燥させる加熱装置が開示されている。このような加熱装置においては、導電体を含む液体を用いる場合であっても、異常加熱やスパークなどを生じさせずに乾燥させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-165000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような加熱装置では、大きい熱エネルギーを有する電磁波が用いられる。このため、例えば周辺機器への干渉など、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する加熱装置は、第1電極と、加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一部と、前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一部とを覆う筐体と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能であり、前記筐体は、前記加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、前記当接部とともに、前記第1電極及び前記第2電極を収容可能である内部空間を構成する収容ケースと、を有し、前記収容ケースは、前記第2電極と電気的に接続される導体である。
【0006】
上記課題を解決する加熱装置は、加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、第1電極と、前記加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、前記当接部が前記加熱対象物と当接していることを検出する対象検出部と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、前記対象検出部によって前記当接部が前記加熱対象物と当接していることが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能である。
【0007】
上記課題を解決する加熱装置は、加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、第1電極と、前記加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、温度を検出する温度検出部と、制御部と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能であり、前記制御部は、前記温度検出部による検出結果に基づいて、前記第1電極及び前記第2電極による電磁波の発生を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】搬送ベルト溶着装置、記録装置及び搬送装置を示す模式図である。
図2】搬送ベルト溶着装置を示すブロック図である。
図3】電磁波発生部を示す斜視図である。
図4】電磁波発生部を示す斜視図である。
図5】電磁波発生部を示す斜視図である。
図6】電磁波発生部を示す底面図である。
図7】当接監視処理を示すフローチャートである。
図8】第1温度監視処理を示すフローチャートである。
図9】電磁波発生部を示す斜視図である。
図10】電磁波発生部を示す斜視図である。
図11】第2温度監視処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、加熱装置の一例としての搬送ベルト溶着装置の一実施形態について説明する。以下の説明では、鉛直方向Zと交差する方向を第1水平方向Xとし、鉛直方向Z及び第1水平方向Xと交差する方向を第2水平方向Yとする。第1水平方向Xに沿う一方の方向を方向X1とし、第1水平方向Xに沿う他方の方向を方向X2とする。第2水平方向Yに沿う一方の方向を方向Y1とし、第2水平方向Yに沿う他方の方向を方向Y2とする。鉛直方向Zのうち上方を上方Z1とし、鉛直方向Zのうち下方を下方Z2とする。下方Z2が第1方向の一例に相当する。鉛直方向Zからの平面視は、上方Z1からの平面視であっても下方Z2からの平面視であってもよい。鉛直方向Zからの平面視を単に平面視として説明する。
【0010】
<記録装置90及び搬送装置91の構成>
図1に示すように、搬送ベルト溶着装置10は、搬送ベルト97の溶着を行うことができる。搬送ベルト97は、加熱対象物の一例である。搬送ベルト97は、記録装置90及び搬送装置91に用いられてもよい。
【0011】
記録装置90は、媒体99に記録を行うように構成される。記録装置90は、液体の一例であるインクを媒体99に吐出することにより記録を行うインクジェット式のプリンターであってもよい。媒体99は、布帛であるが、例えば紙などであってもよい。
【0012】
記録装置90は、装置筐体92と、記録部93とを備える。装置筐体92は、少なくとも記録部93を収容するように構成される。装置筐体92は、第1ローラー95を収容しないように構成されてもよい。つまり、第1ローラー95は、装置筐体92から露出されてもよい。装置筐体92は、第2ローラー96を収容しないように構成されてもよい。つまり、第2ローラー96は、装置筐体92から露出されてもよい。
【0013】
装置筐体92は、開閉扉92Aを備えてもよい。開閉扉92Aは、装置筐体92における媒体99の搬送方向D側に設けられてもよい。搬送方向Dは、媒体99の長さ方向に沿う方向であってもよい。開閉扉92Aは、装置筐体92の内部を開閉可能な扉である。このように、開閉扉92Aを開放することにより、装置筐体92の内部にアクセス可能となる。特に、開閉扉92Aを開放することにより、支持面94Aにアクセス可能となる。開閉扉92Aを開放することにより、搬送ベルト溶着装置10が装置筐体92の内部で操作可能となる。
【0014】
記録部93は、媒体99に液体を吐出することにより媒体99に記録を行うように構成される。記録部93は、搬送ベルト97によって搬送される媒体99に記録を行う。記録部93は、搬送ベルト97及び支持台94によって支持される媒体99に記録を行う。
【0015】
記録部93は、ヘッドであってもよい。記録部93は、シリアルヘッドであってもよいが、ラインヘッドであってもよい。シリアルヘッドは、媒体99の幅方向Wに走査するヘッドである。ラインヘッドは、媒体99の幅方向Wに亘って一斉に記録するヘッドである。幅方向Wに沿う一方の方向を第1幅方向W1とし、幅方向Wに沿う他方の方向を第2幅方向W2とする。
【0016】
記録部93は、シリアルヘッドである場合、記録を行っていないときに、初期位置に配置される。初期位置は、記録領域よりも第1幅方向W1側であってもよい。初期位置は、搬送ベルト97よりも第1幅方向W1側であってもよい。つまり、記録部93は、シリアルヘッドである場合、搬送ベルト97の溶着を干渉しない位置に配置される。
【0017】
記録部93は、複数のノズル93Aを備える。複数のノズル93Aのそれぞれは、下方Z2に開口するように構成される。複数のノズル93Aのそれぞれは、液体を吐出するように構成される。
【0018】
記録装置90は、支持台94を備える。支持台94は、搬送ベルト97によって搬送される媒体99を、搬送ベルト97とともに支持するように構成される。支持台94は、記録部93の下方Z2に位置する。支持台94は、平板形状であってもよい。支持台94は、金属製であってもよい。
【0019】
支持台94は、支持面94Aを備える。支持面94Aは、上方Z1に向かう面である。支持面94Aは、記録部93の下方Z2に位置する。支持面94Aは、複数のノズル93Aと対向するように設けられる。
【0020】
このように、支持台94は、搬送ベルト97により搬送される媒体99を搬送ベルト97とともに支持するように構成される。また、支持台94は、搬送ベルト97を溶着する際に、搬送ベルト97を支持するように構成されてもよい。搬送ベルト97を溶着する際に、搬送ベルト97を支持する部材は、支持台94に限定されるものではない。
【0021】
記録装置90は、搬送装置91を備える。搬送装置91は、搬送方向Dに媒体99を搬送するように構成される。搬送装置91は、複数のローラーを備えてもよい。搬送装置91は、第1ローラー95と、第2ローラー96とを備えてもよい。第1ローラー95は、搬送方向Dにおいて、第2ローラー96よりも上流に位置する。第1ローラー95は、搬送方向Dにおいて、記録部93よりも上流に位置する。第2ローラー96は、搬送方向Dにおいて、記録部93よりも下流に位置する。
【0022】
搬送装置91は、搬送ベルト97を備える。つまり、記録装置90は、搬送ベルト97を備える。搬送ベルト97は、媒体99を搬送可能である。搬送ベルト97は、媒体99を支持した状態で媒体99を搬送するように構成される。搬送ベルト97は、複数のローラーに巻き掛けられる。搬送ベルト97は、第1ローラー95及び第2ローラー96に巻き掛けられる。搬送ベルト97は、第1ローラー95が回転すると、第1ローラー95及び第2ローラー96に沿って移動する。
【0023】
搬送ベルト97は、外周面98を備える。外周面98は、媒体99を支持する搬送ベルト97は、例えば粘着剤が外周面98に塗布されたベルトである。媒体99は、粘着剤によって外周面98に接着される。これにより、媒体99の姿勢が安定する。粘着剤に限らず、例えば、吸引力、静電気力、分子間力、などによって、媒体99が外周面98に接着されてもよい。
【0024】
このように、搬送ベルト97は、第1ローラー95及び第2ローラー96に沿って移動することにより、外周面98に支持された媒体99を搬送する。搬送装置91は、第1ローラー95と第2ローラー96との少なくとも何れかを回転させることにより、搬送ベルト97により支持された媒体99を搬送する。
【0025】
搬送ベルト97は、ポリウレタン材とアラミド材との層構造であってもよい。搬送ベルト97は、所定圧力で加圧された状態において所定時間に亘って所定温度で加熱されることにより溶着可能である。特に、搬送ベルト97は、ポリウレタン材の加熱により溶着可能である。搬送ベルト97は、所定圧力での加圧により、溶着に伴う変形が抑制される。
【0026】
搬送ベルト97の溶着は、接続溶着を含む。接続溶着は、無端状の搬送ベルト97を交換する際に行われる。接続溶着は、搬送ベルト97の長手の両端部を接続させることにより無端状の搬送ベルト97を形成するための溶着である。接続溶着は、搬送ベルト97の長手の両端部を溶着する。
【0027】
搬送ベルト97の長手の両端部は、平面視において幅方向Wに沿って斜めに切断されてもよい。つまり、搬送ベルト97の長手の両端部は、平面視において幅方向Wに沿って連続的にV字形状となるように加工されてもよい。この場合、接続溶着は、搬送ベルト97の長手の両端部を搬送方向Dに沿う方向に重ね合わせた状態で、搬送ベルト97の長手の両端部を溶着する。これにより、溶着面積を増大させることができるため、搬送ベルト97の溶着品質を向上させることができる。これにより、搬送ベルト97による搬送精度を向上させることができる。
【0028】
搬送ベルト97の溶着は、補修溶着を含む。補修溶着は、搬送ベルト97の補修領域を補修する際に行われる。搬送ベルト97の補修領域は、搬送ベルト97の一部の領域であり、経時的な劣化に伴って補修が必要となる領域である。
【0029】
<搬送ベルト溶着装置10の構成>
図2に示すように、搬送ベルト溶着装置10は、電磁波発生部11を備える。搬送ベルト溶着装置10は、高周波電圧発生部12を備えてもよい。搬送ベルト溶着装置10は、伝送線路13を備えてもよい。
【0030】
電磁波発生部11は、電磁波を発生させるように構成される。電磁波発生部11は、電磁波の発生により交流電界を発生させる。電磁波発生部11は、電磁波の発生により搬送ベルト97を加熱する。電磁波発生部11は、加熱により搬送ベルト97を溶着することができる。電磁波発生部11が発生する電磁波は、電界が主成分である。電磁波発生部11は、通常の電磁波を発生する電磁波発生部と比較して、発生した電界による磁界の誘発を極めて少なくすることができる。
【0031】
具体的な一例をあげると、電磁波発生部11は、2.4GHzの電磁波を発生させるが、これに限らない。電磁波発生部11は、例えば、3MHz~300MHzの電磁波を発生させてもよい。電磁波発生部11は、例えば、300M~30GHzの電磁波を発生させてもよく、そのなかでも10MHz~20GHzの電磁波を発生させてもよい。
【0032】
搬送ベルト溶着装置10は、制御部を備える。制御部は、搬送ベルト溶着装置10を制御する。特に、電磁波発生部11は、制御部として第1制御部14を備えてもよい。第1制御部14は、電磁波発生部11を制御する。第1制御部14は、電磁波発生部11で実行される各種動作を制御する。
【0033】
制御部は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0034】
電磁波発生部11は、操作部15を備えてもよい。操作部15は、作業者により操作可能である。操作部15は、搬送ベルト溶着装置10に関する操作が可能であってもよい。操作部15は、電磁波発生部11に関する操作が可能であってもよい。操作部15は、高周波電圧発生部12に関する操作が可能であってもよい。操作部15は、電磁波発生部11から電磁波を発生させるか否かの切替操作が可能であってもよい。
【0035】
電磁波発生部11は、表示部16を備えてもよい。表示部16は、搬送ベルト溶着装置10に関する情報を表示可能であってもよい。操作部15は、電磁波発生部11に関する情報を表示可能であってもよい。操作部15は、高周波電圧発生部12に関する情報を表示可能であってもよい。表示部16は、電磁波発生部11から電磁波を発生させているか否かを示す情報を表示可能であってもよい。表示部16は、液晶表示部であってもよく、LEDランプであってもよい。
【0036】
高周波電圧発生部12は、高周波電圧を発生させるように構成される。高周波電圧発生部12は、伝送線路13を介して高周波電圧を電磁波発生部11に供給することができる。つまり、高周波電圧発生部12は、電磁波発生部11に印加される電圧を発生させる。
【0037】
高周波電圧発生部12は、制御部として第2制御部17を備えてもよい。第2制御部17は、高周波電圧発生部12を制御する。第2制御部17は、高周波電圧発生部12で実行される各種動作を制御する。第1制御部14と第2制御部17とは、情報の送受信を行ってもよい。搬送ベルト溶着装置10は、制御部として第1制御部14と第2制御部17との両方を備えるが、何れか一方を備えてもよい。
【0038】
なお、搬送ベルト溶着装置10は、電磁波発生部11の操作部15とは別に、高周波電圧発生部12において操作可能な操作部を備えてもよい。搬送ベルト溶着装置10は、電磁波発生部11の表示部16とは別に、高周波電圧発生部12で情報を表示する表示部を備えてもよい。
【0039】
伝送線路13は、電磁波発生部11と高周波電圧発生部12とを接続する線路である。伝送線路13は、高周波電圧発生部12によって発生された高周波電圧を電磁波発生部11に伝送するための線路である。つまり、伝送線路13は、高周波電圧を伝送可能である。
【0040】
伝送線路13は、同軸ケーブルであってもよいが、同軸ケーブルに限定されるものではない。伝送線路13は、図3に示すように、内部導体13Aと、外部導体13Bと、を備えてもよい。内部導体13Aは、伝送線路13の芯線であってもよい。外部導体13Bは、内部導体13Aを覆う電磁シールドであってもよい。内部導体13Aが第1伝送線路の一例に相当し、外部導体13Bが第2伝送線路の一例に相当する。
【0041】
<電磁波発生部11の構成>
図3に示すように、電磁波発生部11は、筐体20を備える。筐体20は、電磁波発生部11の内部空間を構成する。筐体20は、電磁波発生部11を構成する各種部材を収容可能である。つまり、筐体20は、電磁波発生部11を構成する各種部材の少なくとも一部を覆うように構成される。詳しくは、筐体20は、第1電極31、第2電極32、第1導体33及び第2導体34を覆うように構成されてもよい。これにより、筐体20の外部からは、第1電極31、第2電極32、第1導体33及び第2導体34と直接的に接触しない。内部空間は、少なくとも第1電極31及び第2電極32を収容可能な空間である。
【0042】
筐体20は、収容ケース21を備えてもよい。つまり、搬送ベルト溶着装置10は、収容ケース21を備えてもよい。筐体20は、当接部22を備える。つまり、搬送ベルト溶着装置10は、当接部22を備える。収容ケース21は、透過性を有する材質で構成されるため、図3においては端部のみを示す。
【0043】
収容ケース21は、当接部22とともに電磁波発生部11の内部空間を構成する。収容ケース21は、電磁波発生部11を構成する各種部材を収容可能である。収容ケース21は、平面視において角丸長方形状であるが、形状を問わず、例えば矩形状であってもよい。角丸長方形状は、2つの直線と、2つの曲線とから構成される。2つの直線は、第2水平方向Yに並ぶように第1水平方向Xに延びる。2つの曲線は、第1水平方向Xの両側に位置する。角丸長方形状は、陸上競技のトラックのような形状であってもよい。
【0044】
収容ケース21は、絶縁性を有する部材から構成される。収容ケース21は、樹脂製であってもよい。収容ケース21は、当接部22に接続されている。収容ケース21は、当接部22から上方Z1に延びる。このように、収容ケース21は、第1電極31、第2電極32、第1導体33及び第2導体34を上方Z1側から覆うように設けられる。つまり、収容ケース21は、第1電極31、第2電極32、第1導体33及び第2導体34を収容可能である。
【0045】
収容ケース21は、少なくとも一部が透過性を有してもよい。収容ケース21は、透明プラスチックケースであってもよい。これにより、搬送ベルト溶着装置10の外部から内部が視認可能となる。
【0046】
当接部22は、収容ケース21の下方Z2に位置する。当接部22は、平板形状であってもよい。当接部22は、平面視において矩形状であるが、形状を問わず、例えば角丸長方形状であってもよい。当接部22は、平面視において、第1水平方向Xに沿う辺が、第2水平方向Yに沿う辺よりも長い長方形状であってもよい。当接部22は、第1電極31、第2電極32、第1導体33及び第2導体34を下方Z2側から覆うように設けられる。
【0047】
当接部22は、第1電極31及び第2電極32によって発生された電磁波を透過する材質で構成される。当接部22は、搬送ベルト97の溶着を行う際に、搬送ベルト97に向かって当接面23を当接させた状態で加圧される。このため、当接部22は、ある程度の硬度を有する材質であることが好ましい。また、当接部22は、第1電極31、第2電極32、第1導体33及び第2導体34を保護する。特に、当接部22は、搬送ベルト97の加圧に伴う応力からも、第1電極31、第2電極32、第1導体33及び第2導体34を保護する。
【0048】
当接部22は、絶縁性を有する部材から構成される。当接部22は、ガラス板であってもよい。つまり、当接部22は、少なくとも一部が透過性を有してもよい。これにより、搬送ベルト溶着装置10の外部から、当接部22と当接する搬送ベルト97の一部又は全部の領域が視認可能となる。当接部22は、透過度の高いセラミックであってもよい。当接部22は、誘電正接の低い樹脂製であってもよい。
【0049】
当接部22は、当接面23を備える。当接面23は、下方Z2に向かう面である。当接面23は、搬送ベルト97の溶着を行う際に、搬送ベルト97と当接可能である。支持台94に搬送ベルト97を支持した状態で搬送ベルト溶着装置10を用いる場合、当接面23は、支持台94との間に搬送ベル97トを挟んだ状態で搬送ベルト97と当接可能である。
【0050】
電磁波発生部11は、接続部24と、把持部25とを備えてもよい。接続部24は、絶縁性を有する部材から構成されてもよい。接続部24は、樹脂製であってもよい。接続部24は、鉛直方向Zに沿って延びる。接続部24は、上端部24Aと、下端部24Bとを備える。上端部24Aは、把持部25と接続されている。下端部24Bは、筐体20の上面20Aに接続されている。下端部24Bは、筐体20の上面20Aにおいて、第1水平方向Xのうち他方の方向X2に位置してもよい。
【0051】
把持部25は、作業者によって把持可能な部位である。把持部25は、例えば樹脂製など絶縁性を有する部材から構成されるが、金属製であってもよい。把持部25は、第1水平方向Xに沿って延びてもよい。把持部25は、第1水平方向Xのうち一方の方向X1に延びてもよい。把持部25は、基端部25Aと、先端部25Bとを備える。基端部25Aは、接続部24の上端部24Aに接続されている。つまり、把持部25は、収容ケース21と接続されており、収容ケース21との絶縁性を有する。
【0052】
把持部25は、筐体20の上面20Aから上方Z1に離れた位置に設けられる。把持部25は、当接部22から上方Z1に離れた位置に設けられる。また、把持部25は、第1電極31及び第2電極32から上方Z1に離れた位置に設けられる。把持部25には、操作部15が設けられてもよい。把持部25には、表示部16が設けられてもよい。
【0053】
図3及び図4に示すように、電磁波発生部11は、第1電極31と、第2電極32と、第1導体33と、第2導体34とを備える。第1電極31は、平板形状である。第1電極31は、平面視において第1水平方向Xが長手となる角丸長方形状であってもよい。
【0054】
第1電極31は、第1電極面31Aを備える。第1電極面31Aは、下方Z2に向かう面である。第1電極面31Aは、当接面23と平行な面である。つまり、第1電極面31Aは、搬送ベルト97を溶着する際に、搬送ベルト97に向かう面である。言い換えると、第1電極面31Aは、搬送ベルト97を溶着する際に、搬送ベルト97側に向かう面である。
【0055】
第2電極32は、平板形状である。第2電極32は、第2電極面32Aを備える。第2電極面32Aは、下方Z2に向かう面である。第2電極面32Aは、当接面23と平行な面である。つまり、第2電極面32Aは、搬送ベルト97を溶着する際に、搬送ベルト97に向かう面である。言い換えると、第2電極面32Aは、搬送ベルト97を溶着する際に、搬送ベルト97側に向かう面である。
【0056】
第2電極32は、平面視において外周32Bが角丸長方形状である。外周32Bは、収容ケース21の内壁よりも内側に位置する。つまり、第2電極32は、平面視において収容ケース21の内側に収容される。このように、第1電極31及び第2電極32は、収容ケース21により覆われている。
【0057】
第2電極32は、開口32Cを備える。開口32Cは、平面視において角丸長方形状である。つまり、第2電極32は、平面視において内周32Dが角丸長方形状である。第2電極32は、平面視において第1電極31を取り囲むように配置される。下方Z2は、搬送ベルト97を溶着する際に搬送ベルト97に向かう方向となる。
【0058】
第1電極31は、第1電極面31Aが当接部22と対向するように設けられる。第2電極32は、第2電極面32Aが当接部22と対向するように設けられる。これにより、当接部22は、搬送ベルト97を溶着する際に、第1電極面31A及び第2電極面32Aと搬送ベルト97との間において、第1電極面31A及び第2電極面32Aに対向するように設けられる。
【0059】
第1電極31及び第2電極32は、第1電極面31A及び第2電極面32Aが当接部22と当接するように設けられる。第1電極31及び第2電極32は、第1電極面31A及び第2電極面32Aと当接部22との間に隙間が生じるように設けられてもよい。
【0060】
第1電極31及び第2電極32は、平面視において第1電極面31A及び第2電極面32Aが当接面23に含まれるように設けられる。つまり、第1電極31及び第2電極32は、下方Z2から見て当接部22により覆われている。このため、搬送ベルト97を溶着する際に、搬送ベルト97と当接面23とが当接することにより、第1電極31及び第2電極32は、搬送ベルト97との接触から保護される。
【0061】
第1電極31及び第2電極32は、筐体20により覆われており、筐体20から露出しない。このため、第1電極31及び第2電極32は、周辺機器及び作業者と接触しないように設けられる。
【0062】
第1導体33は、伝送線路13と第1電極31とを電気的に接続するように構成される。詳しくは、第1導体33は、内部導体13Aと第1電極31とを電気的に接続するように構成される。第1導体33は、コイル35を備える。コイル35は、鉛直方向Zに延びる。
【0063】
第2導体34は、伝送線路13と第2電極32とを電気的に接続するように構成される。詳しくは、第2導体34は、外部導体13Bと第2電極32とを電気的に接続するように構成される。
【0064】
第2導体34は、第1支持部34Aを備えてもよい。第2導体34は、複数の第1支持部34Aを備えてもよい。第2導体34は、第2支持部34Bを備えてもよい。
第1支持部34Aは、第2電極32と電気的に接続されている。第1支持部34Aは、第2電極32から上方Z1に延びる。第1支持部34Aは、平板形状であってもよい。第1支持部34Aは、第2水平方向Yにおいて第2電極32と同じ幅であってもよい。第1支持部34Aは、第1水平方向Xに対する厚みが薄い平板形状であってもよい。第1支持部34Aは、第1水平方向Xに対して短くする一方で、剛性を確保しつつ、鉛直方向Zにおける第1電極31及び第2電極32との距離を保つために鉛直方向Zに長くなるように構成されている。第1支持部34Aは、金属製であってもよい。第1支持部34Aは、第2支持部34Bを支持するように構成される。
【0065】
第2支持部34Bは、第1支持部34Aと電気的に接続されている。第2支持部34Bは、第1支持部34Aの上端部に設けられる。第2支持部34Bは、第1支持部34Aと一体であってもよい。第2支持部34Bは、平板形状であってもよい。第2支持部34Bは、鉛直方向Zに対して厚みが薄い平板形状であってもよい。第2支持部34Bは、平面視においてH字形状であってもよい。第2支持部34Bは、金属製であってもよい。
【0066】
第2導体34は、シールド部36を備えてもよい。シールド部36は、第1電極31及び第2電極32を上方Z1側から切れ目なく覆うように構成される。シールド部36は、第1電極31及び第2電極32からの電磁波の伝搬を抑制する機能を有する。シールド部36は、網形状であるため、図3においては、シールド部36の一部を網形状である模様で示す。
【0067】
シールド部36は、第2電極32と電気的に接続されている。シールド部36は、第2電極32と線状に接触しているが、第2電極32と点状に接触していてもよい。シールド部36は、平面視において第2電極32の外周32Bの全領域を囲むように設けられる。シールド部36は、第2電極32から上方Z1に向かって延びる。
【0068】
シールド部36は、第1支持部34Aと電気的に接続されている。シールド部36は、第1支持部34Aの外側に位置してもよい。シールド部36は、第2支持部34Bと電気的に接続されている。シールド部36は、第2支持部34Bの上方Z1側に位置してもよい。シールド部36は、第1支持部34A及び第2支持部34Bにより支持される。
【0069】
シールド部36は、収容ケース21の内壁から所定距離だけ離れた位置に設けられてもよい。言い換えると、収容ケース21は、シールド部36の外壁から所定距離だけ離れた位置に設けられてもよい。このように、収容ケース21は、第1電極31、第2電極32、第1導体33及び第2導体34を覆う。所定距離は、収容ケース21とシールド部36との間に発生する寄生容量が予め定めた容量以下となる距離が好ましい。
【0070】
シールド部36は、金属製であってもよい。シールド部36は、網形状であってもよい。このように、第2導体34は、一部又は全部が網形状であってもよい。つまり、第2導体34は、少なくとも一部が透過性を有してもよい。また、第1支持部34A及び第2支持部34Bは、シールド部36と相反して、シールド部36の剛性を担保しつつ、視認性を高めるように最小限のサイズで構成されている。
【0071】
このように電磁波発生部11が構成されることによって、第1電極31及び第2電極32は、伝送線路13を介して高周波電圧が印加されると、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより、搬送ベルト97を加熱する。第1電極31及び第2電極32は、搬送ベルト97を所定時間に亘って所定温度で加熱することにより搬送ベルト97を溶着することができる。当接面23を搬送ベルト97に当接させた状態で、搬送ベルト97を支持台94に押し当てることにより、当接面23と支持台94との間において搬送ベルト97が所定圧力で加圧される。
【0072】
このような電磁波発生部11は、電磁波の発生により大きい熱エネルギーを搬送ベルト97に伝達することができる。具体的な一例をあげると、電磁波発生部11は、搬送ベルト97を約160度まで加熱するために、電磁波を発生させることにより、100W~500Wの大きな熱エネルギーを搬送ベルト97に伝達することができる。
【0073】
電磁波発生部11は、熱伝導方式ではなく、電磁波方式であり、加熱用の電熱線などの部材を備えなくてもよい。これにより、電磁波発生部11の小型化を図ることができる。このため、記録装置90の装置筐体92を分解させなくても、記録装置90の余剰スペースを用いて、電磁波発生部11によって搬送ベルト97を溶着することができる。
【0074】
また、電磁波発生部11は、作業者によって片手で把持可能な大きさである。電磁波発生部11は、搬送ベルト97のサイズにもよるが、搬送ベルト97の幅よりも小さい。また、搬送ベルト97の溶着に伴って作業者に把持された状態で移動可能であり、かつ、搬送ベルト97を加圧することができる程度の重量である。
【0075】
また、第1電極31と第2電極32との間の最小離間距離は、電磁波発生部11から出力される電磁波の波長の1/10以下である。これにより、高周波電圧が印加された際に発生する電磁波のほとんどを第1電極31及び第2電極32の近傍で減衰させることができる。これにより、第1電極31及び第2電極32から遠方に到達する電磁波の強度を小さくできる。すなわち、電磁波発生部11から発生される電磁波は、第1電極31及び第2電極32の近傍で非常に強く、遠方では非常に弱くなる。
【0076】
このような電磁波発生部11は、発生させる電磁波の周波数帯域が適切に制御されることにより、第1電極31及び第2電極32の近傍に交流電界を集中的に発生させることができる。言い換えると、第1電極31及び第2電極32の近傍を超えて電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。第1電極31及び第2電極32の近傍としては、例えば3mm~3cmの範囲が相当してもよい。
【0077】
<第1実施形態の作用及び効果>
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)経年劣化により搬送ベルト97の交換が必要となる場合があった。このような場合、従来においては、搬送ベルト97の交換に伴って、搬送ベルト97を挟み込んで加圧した状態で加熱することにより搬送ベルト97を溶着していた。しかしながら、このような機能を備える搬送ベルト溶着装置の大型化を招いていた。特に、電磁波を発生させない熱伝導方式で搬送ベルト97を加熱していたため、加熱用の電熱線及び熱伝導用の金属部材を用いなければならず、搬送ベルト溶着装置の大型化を招いていた。このため、記録装置の設置場所まで搬送ベルト溶着装置を搬送する場合であっても、搬送ベルト溶着装置の設置場所まで記録装置を搬送する場合であっても、作業効率が低下してしまっていた。また、これに加えて、記録装置には、搬送ベルト溶着装置を使用するための空間がない。このため、従来の搬送ベルト溶着装置を使用する際に記録装置を分解する必要があった。これによっても、作業効率が更に低下してしまっていた。
【0078】
そこで、第1電極31及び第2電極32は、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより搬送ベルト97を溶着する。この構成によれば、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより、高い熱エネルギーを搬送ベルト97に伝達することができる。したがって、搬送ベルト97による搬送精度を担保しつつ、搬送ベルト97の溶着に関する作業効率を向上させることができる。
【0079】
(1-2)また、これに加えて、電磁波を発生させる電磁波方式が採用されると、電磁波を発生させない熱伝導方式と比較して、電磁波発生部11の小型化を図ることができる。このように、電磁波発生部11の小型化により、記録装置90の装置筐体92を分解する必要がなく、作業者の把持により移動可能となる。したがって、搬送ベルト97の溶着に関する作業効率を向上させることができる。
【0080】
(1-3)収容ケース21は、当接部22とともに内部空間を構成し、絶縁性を有する。これにより、当接部22と収容ケース21とを用いて第1電極31及び第2電極32を内部空間に収容することができ、第1電極31及び第2電極32が直接的に周囲に接触することを抑制することができる。また、これに加えて、第1電極31及び第2電極32との絶縁性を担保することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0081】
特に、電磁波発生部11の小型化を図り、作業者によって把持可能としたため、より一層、顕著な効果を奏する。また、第1電極31及び第2電極32は、電磁波の波長に対して非常に小さい。このため、電磁波の波長に近いサイズの周辺機器が第1電極31及び第2電極32に接触しないように、収容ケース21を構成することにより、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0082】
(1-4)作業者により把持可能である把持部25も、収容ケース21との絶縁性を有する。このため、把持部25と第1電極31及び第2電極32との絶縁性を更に担保することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0083】
(1-5)把持部25は、収容ケース21よりも第1電極31及び第2電極32から離れた位置に設けられる。これにより、把持部25と第1電極31及び第2電極32との距離を確保することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。特に、作業者によって素手で把持部25を把持しても問題なく、電磁波の発生に伴う影響を抑制することができる。
【0084】
(1-6)従来においては、熱伝導方式が用いられており、搬送ベルト97を金属板で挟み込んだ状態で搬送ベルト97を加圧した状態で、搬送ベルト97を加熱していた。このため、搬送ベルト97を加熱する領域は、金属板により覆われており、搬送ベルト97の溶着状態を視認することができなかった。
【0085】
そこで、収容ケース21は、少なくとも一部が透過性を有し、当接部22は、少なくとも一部が透過性を有する。この構成によれば、収容ケース21及び当接部22を介して、当接面23と当接している搬送ベルト97の領域の視認性を向上させることができる。これにより、当接面23と当接している搬送ベルト97の領域の溶着状態が視認し易くなる。したがって、搬送ベルト97の溶着に関する作業効率を向上させることができる。
【0086】
また、搬送ベルト97の溶着状態は、繊細な作業であるため、搬送ベルト97の溶着領域の視認性を向上させることによって、搬送ベルト97の溶着品質を向上させることができる。
【0087】
特に、搬送ベルト97の補修溶着が行われる場合に、搬送ベルト97の溶着状態を視認することができると、搬送ベルト97の溶着品質を向上させることができるとともに、搬送ベルト97の溶着に関する作業効率を向上させることができる。
【0088】
(1-7)第2導体34は、一部又は全部が網形状である。この構成によれば、収容ケース21に収容される第2導体34を介して、当接面23と当接している搬送ベルト97の領域の視認性を向上させることができる。これにより、当接面23と当接している搬送ベルト97の領域の溶着状態が視認し易くなる。したがって、搬送ベルト97の溶着に関する作業効率を向上させることができる。
【0089】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明では、既に説明した実施形態と同じ構成については、重複する説明を省略又は簡略し、既に説明した実施形態と異なる構成について主に説明する。
【0090】
<電磁波発生部11の構成>
図5及び図6に示すように、第2実施形態では、電磁波発生部11は、対象検出部40を備えてもよい。対象検出部40は、当接部22に設けられてもよい。対象検出部40は、当接面23と水平面を構成するように当接部22に設けられてもよい。対象検出部40は、第2電極面32Aの下方Z2に設けられてもよいが、第2電極32の外周32Bよりも外側に設けられてもよい。
【0091】
対象検出部40は、当接面23が加熱対象物と当接していることを検出する。加熱対象物の一例である搬送ベルト97は、当接面23と平行になる。このため、対象検出部40は、当接面23に沿って加熱対象物が配置されているか否かを検出するともいえる。このように、対象検出部40は、当接部22が搬送ベルト97と当接していることを検出する。
【0092】
電磁波発生部11は、対象検出部40として複数の圧力センサーを備えてもよい。複数の圧力センサーは、第1圧力センサー40Aと、第2圧力センサー40Bと、を備えてもよい。つまり、電磁波発生部11は、第1圧力センサー40Aと、第2圧力センサー40Bと、を備えてもよい。複数の圧力センサーは、第3圧力センサー40Cと、第4圧力センサー40Dと、を備えてもよい。
【0093】
複数の圧力センサーは、当接部22が加熱対象物と当接していることを検出可能である。複数の圧力センサーは、第1制御部14と接続されてもよい。第1制御部14は、複数の圧力センサーのそれぞれから検出信号を受け取る。これにより、第1制御部14は、検出信号に基づいて、複数の圧力センサーのそれぞれによる検出結果を取得することができる。
【0094】
電磁波発生部11は、温度検出部41を備えてもよい。温度検出部41は、温度を検出する。温度検出部41は、温度センサーであってもよい。温度検出部41は、搬送ベルト97の所定領域の温度を検出してもよい。所定領域は、平面視において第1電極面31Aと第2電極面32Aとの間の領域であってもよい。つまり、所定領域は、第1電極31及び第2電極32からの電磁波の発生により加熱される領域である。このように、温度検出部41は、搬送ベルト97の温度を検出する。
【0095】
温度検出部41は、第1制御部14と接続されてもよい。第1制御部14は、温度検出部41から検出信号を受け取る。これにより、第1制御部14は、検出信号に基づいて、温度検出部41による検出結果を取得することができる。
【0096】
<当接監視処理>
図7を参照して当接監視処理について説明する。当接監視処理は、所定周期毎に第1制御部14により実行される処理である。当接監視処理は、電磁波が発生しているときに、所定周期毎に第1制御部14により実行される処理であってもよいが、電磁波が発生する前に所定周期毎に第1制御部14により実行される処理であってもよい。
【0097】
図7に示すように、ステップS10において、第1制御部14は、当接検出結果取得処理を実行する。当接検出結果取得処理において、第1制御部14は、対象検出部40からの検出信号に基づいて、当接検出結果を取得する。当接検出結果は、対象検出部40が加熱対象物と当接しているか否かの検出結果である。当接検出結果は、複数の圧力センサーのそれぞれが加熱対象物と当接しているか否かの検出結果であってもよい。ステップS10が終了すると、第1制御部14は、ステップS11に処理を移行する。
【0098】
ステップS11において、第1制御部14は、第1停止条件が成立したか否かを判定する。第1停止条件は、対象検出部40によって当接面23が加熱対象物と当接していないと検出されたときに成立する。第1停止条件は、複数の圧力センサーの少なくとも何れかが加熱対象物と当接していないと検出したときに成立となる。つまり、第1停止条件は、複数の圧力センサーの全てが加熱対象物と当接していると検出されたときに不成立となる。第1停止条件は、複数の圧力センサーの少なくとも何れかが加熱対象物と当接していないと検出したときに成立することに限定されない。第1停止条件は、例えば、複数の圧力センサーの全てが加熱対象物と当接しないと検出したときに成立し、複数の圧力センサーのうち少なくとも何れかが当接していると検出したときに成立しなくてもよい。
【0099】
第1制御部14は、第1停止条件が成立していないと判定した場合、ステップS12を実行せずに、当接監視処理を終了する。これにより、第1制御部14は、第1停止条件が成立していないと判定した場合、電磁波を継続して発生させることができる。第1制御部14は、第1停止条件が成立したと判定した場合、ステップS12に処理を移行する。
【0100】
ステップS12において、第1制御部14は、停止処理を実行する。停止処理において、第1制御部14は、電磁波の発生を停止させる。これにより、第1制御部14は、第1停止条件が成立したと判定した場合、電磁波の発生を停止させることができる。ステップS12が終了した場合、第1制御部14は、当接監視処理を終了する。
【0101】
このように、第1制御部14は、対象検出部40によって当接部22が加熱対象物と当接していることが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより加熱対象物を加熱させることができる。言い換えると、第1電極31及び第2電極32は、対象検出部40によって当接部22が加熱対象物と当接していることが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより加熱対象物を加熱可能である。一方、第1電極31及び第2電極32は、対象検出部40によって当接部22が加熱対象物と当接していないことが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させない。つまり、第1制御部14は、対象検出部40による検出結果に基づいて、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を制御する。
【0102】
<第1温度監視処理>
図8を参照して第1温度監視処理について説明する。第1温度監視処理は、所定周期毎に第1制御部14により実行される処理である。第1温度監視処理は、電磁波が発生しているときに、所定周期毎に第1制御部14により実行される処理であってもよい。
【0103】
図8に示すように、ステップS20において、第1制御部14は、温度検出結果取得処理を実行する。温度検出結果取得処理において、第1制御部14は、温度検出部41からの検出信号に基づいて、温度検出結果を取得する。温度検出結果は、加熱対象物の温度の検出結果である。ステップS20が終了すると、第1制御部14は、ステップS21に処理を移行する。
【0104】
ステップS21において、第1制御部14は、第2停止条件が成立したか否かを判定する。第2停止条件は、ステップS20において取得した搬送ベルト97の温度が閾値以上となったときに成立可能であってもよい。閾値は、電磁波が発生しているときに異常であると推測可能な搬送ベルト97の温度であってもよい。つまり、第1制御部14は、電磁波が発生しているときに、搬送ベルト97の温度に基づいて、異常が発生しているか否かを判定することができる。言い換えると、第1制御部14は、電磁波が発生しているときに、搬送ベルト97の温度が許容温度であるか否かによって、異常が発生しているか否かを判定することができる。搬送ベルト97の許容温度は、出力情報に基づいて正常であると推測される搬送ベルト97の温度である。
【0105】
第1制御部14は、第2停止条件が成立していないと判定した場合、ステップS22を実行せずに、第1温度監視処理を終了する。これにより、第1制御部14は、第2停止条件が成立していないと判定した場合、電磁波を継続して発生させることができる。第1制御部14は、第2停止条件が成立したと判定した場合、ステップS22に処理を移行する。
【0106】
ステップS22において、第1制御部14は、停止処理を実行する。停止処理において、第1制御部14は、電磁波の発生を停止させる。これにより、第1制御部14は、第2停止条件が成立したと判定した場合、電磁波の発生を停止させることができる。ステップS22が終了した場合、第1制御部14は、第1温度監視処理を終了する。
【0107】
このように、第1制御部14は、温度検出部41による検出結果に基づいて、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を制御する。詳しくは、第1制御部14は、温度検出部41による検出結果に基づいて、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を停止させる。特に、第1制御部14は、温度検出部41によって検出された温度が閾値を超えた場合、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を停止させるように制御する。
【0108】
<第2実施形態の作用及び効果>
第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)第1電極31及び第2電極32は、当接部22が加熱対象物と当接していることが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより加熱対象物を加熱可能である。この構成によれば、当接部22が加熱対象物と当接している状況で、電磁波を発生させることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0109】
(2-2)対象検出部40は、第1圧力センサー40Aと、第2圧力センサー40Bとを含み、第1圧力センサー40A及び第2圧力センサー40Bは、当接部22が加熱対象物と当接していることを検出可能である。この構成によれば、第1圧力センサー40Aの検出結果と、第2圧力センサー40Bの検出結果とに基づいて、当接部22が加熱対象物と当接している状況で、電磁波を発生させることができる。このように、当接部22と加熱対象物との当接を複数箇所で検出することができる。これにより、当接部22と加熱対象物との当接を検出する確実性を高めることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0110】
(2-3)第1制御部14は、温度検出部41による検出結果に基づいて、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を制御する。この構成によれば、温度検出部41の検出結果に基づいて、電磁波の発生を制御することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0111】
(2-4)温度検出部41は、加熱対象物の温度を検出する。この構成によれば、加熱対象物の温度の検出結果に基づいて、電磁波の発生を制御することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0112】
(2-5)第1制御部14は、温度検出部41によって検出された温度が閾値を超えた場合、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を停止させるように制御する。この構成によれば、検出された温度が閾値を超えた場合、電磁波の発生を停止させることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0113】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
図9に示すように、第3実施形態では、温度検出部41は、搬送ベルト97の温度ではなく、コイル35の温度を検出してもよい。第3実施形態では、第2実施形態と同じように、第1制御部14は、第1温度監視処理を実行してもよい。この場合、ステップS20において取得される温度検出結果は、コイル35の温度の検出結果である。ステップS21における第2停止条件は、ステップS20において取得したコイル35の温度が予め定めた閾値以上となったときに成立可能であってもよい。閾値は、電磁波が発生しているときに異常であると推測可能なコイル35の温度であってもよい。つまり、第1制御部14は、電磁波が発生しているときに、コイル35の温度に基づいて、異常が発生しているか否かを判定することができる。
【0114】
<第3実施形態の作用及び効果>
第3実施形態の作用及び効果について説明する。
(3-1)搬送ベルト97は、温度の上昇に伴って誘電正接が低くなる。誘電正接は、電磁波に対する加熱効率の特性を示す。このため、搬送ベルト97は、温度の上昇に伴って電磁波による加熱効率が低下する特性を有する。このように、搬送ベルト97が過加熱されると、搬送ベルト97に熱エネルギーが伝達され難くなることに伴って、コイル35の寄生抵抗に印加される電圧が上昇し、コイル35の温度が上昇する。
【0115】
そこで、温度検出部41は、コイル35の温度を検出する。この構成によれば、コイル35の温度の検出結果に基づいて、電磁波の発生を制御することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0116】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
図10に示すように、第4実施形態では、電磁クランプ42を備える。電磁クランプ42は、第2導体34に電気的に接続されてもよい。言い換えると、電磁クランプ42は、第2導体34を介して、外部導体13Bに設けられてもよい。つまり、電磁クランプ42は、伝送線路13に設けられてもよい。温度検出部41は、搬送ベルト97及びコイル35の温度ではなく、電磁クランプ42の温度を検出してもよい。
【0117】
第4実施形態では、第3実施形態と同じように、第1制御部14は、第1温度監視処理を実行してもよい。この場合、ステップS20において取得される温度検出結果は、電磁クランプ42の温度の検出結果である。ステップS21における第2停止条件は、ステップS20において取得した電磁クランプ42の温度が予め定めた閾値以上となったときに成立可能であってもよい。この閾値は、電磁波が発生しているときに異常であると推測可能な電磁クランプ42の温度であってもよい。つまり、第1制御部14は、電磁波が発生しているときに、電磁クランプ42の温度に基づいて、異常が発生しているか否かを判定することができる。
【0118】
<第4実施形態の作用及び効果>
第4実施形態の作用及び効果について説明する。
(4-1)搬送ベルト97が過加熱されると、搬送ベルト97に熱エネルギーが伝達され難くなることに伴って、電磁クランプ42の温度が上昇する。そこで、温度検出部41は、伝送線路13に設けられた電磁クランプ42の温度を検出する。この構成によれば、電磁クランプ42の温度の検出結果に基づいて、電磁波の発生を制御することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0119】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。
第5実施形態では、第2実施形態のように、電磁波発生部11は、搬送ベルト97の温度を検出する温度検出部41を備える。そして、電磁波発生部11が発生している電磁波の強度に対応する温度よりも、実際に検出した温度が低い場合に、電磁波の発生による熱エネルギーが搬送ベルト97以外の周辺機器に伝達していることが推測できてもよい。
【0120】
<第2温度監視処理>
ここで、図11を参照して第2温度監視処理について説明する。第2温度監視処理は、所定周期毎に第2制御部17により実行される処理である。第2温度監視処理は、電磁波を発生させるときに、所定周期毎に第2制御部17により実行される処理であってもよい。
【0121】
図11に示すように、ステップS30において、第2制御部17は、高周波電圧出力処理を実行する。第2制御部17は、高周波電圧を電磁波発生部11に出力する。詳しくは、第2制御部17は、搬送ベルト97が一定温度となるように高周波電圧を電磁波発生部11に出力する。ステップS30が終了すると、第2制御部17は、ステップS31に処理を移行する。
【0122】
ステップS31において、第2制御部17は、温度検出結果取得処理を実行する。温度検出結果取得処理において、第2制御部17は、温度検出部41からの検出信号に基づいて、温度検出結果を取得する。第2制御部17は、第1制御部14との通信により、温度検出部41からの検出信号に基づいて、温度検出結果を取得してもよい。温度検出結果は、加熱対象物の温度の検出結果である。ステップS31が終了すると、第2制御部17は、ステップS32に処理を移行する。
【0123】
ステップS32において、第2制御部17は、出力情報取得処理を実行する。出力情報取得処理において、第2制御部17は、出力情報を取得する。出力情報は、電磁波発生部11に印加している高周波電圧を示す情報であってもよい。つまり、出力情報は、電磁波の発生により搬送ベルト97の温度が上昇すると推測される推測情報温度に関する情報であるともいえる。ステップS32が終了すると、第2制御部17は、ステップS33に処理を移行する。
【0124】
ステップS33において、第2制御部17は、第3停止条件取得処理を実行する。第3停止条件取得処理において、第2制御部17は、取得した出力情報に対応する第3停止条件を取得する。第3停止条件は、搬送ベルト97の許容温度に関する条件である。第3停止条件は、搬送ベルト97の温度変化量に関する条件であってもよく、搬送ベルト97の温度自体に関する条件であってもよい。特に、第3停止条件は、搬送ベルト97の温度変化量の下限閾値に関する条件であってもよい。搬送ベルト97の温度変化量が、出力情報に対応する下限閾値以下となったときに、発生させている電磁波による熱エネルギーが、搬送ベルト97以外の周辺機器などに伝達していることを推測することができる。
【0125】
第2制御部17は、取得した出力情報に対応する第3停止条件をメモリーから読み出すことにより、第3停止条件を取得してもよい。このように、第2制御部17は、発生させている電磁波の強度に対応する第3停止条件を取得することができる。ステップS33が終了すると、第2制御部17は、ステップS34に処理を移行する。
【0126】
ステップS34において、第2制御部17は、第3停止条件が成立したか否かを判定する。第2制御部17は、第3停止条件が成立していないと判定した場合、ステップS35を実行せずに、第2温度監視処理を終了する。これにより、第2制御部17は、第3停止条件が成立していないと判定した場合、電磁波を継続して発生させることができる。第2制御部17は、第3停止条件が成立したと判定した場合、ステップS35に処理を移行する。
【0127】
ステップS35において、第2制御部17は、停止処理を実行する。停止処理において、第2制御部17は、電磁波の発生を停止させる。これにより、第2制御部17は、第3停止条件が成立したと判定した場合、電磁波の発生を停止させることができる。ステップS35が終了した場合、第2制御部17は、第2温度監視処理を終了する。
【0128】
このように、第2制御部17は、温度検出部41による検出結果と、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧とに基づいて、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を停止させるように制御する。特に、第2制御部17は、温度検出部41によって検出された温度が下限閾値を超えた場合、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を停止させるように制御する。
【0129】
<第5実施形態の作用及び効果>
第5実施形態の作用及び効果について説明する。
(5-1)第2制御部17は、温度検出部41による検出結果と、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧とに基づいて、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧を制御する。この構成によれば、温度検出部41の検出結果と、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧とに基づいて、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧を制御することができる。これにより、温度検出部41によって検出された温度と、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧との両方に基づいて、高周波電圧の制御を行うことができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0130】
(5-2)第2制御部17は、温度検出部41によって検出された温度の変化量が、高周波電圧に対応する下限変化量よりも低くなったときに、第1電極31及び第2電極32による電磁波の発生を停止させる。この構成によれば、発生させている電磁波による熱エネルギーの漏れを検出することができ、熱エネルギーの漏れを検出したときに、電磁波の発生を停止させることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0131】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0132】
・第2実施形態において、対象検出部40は、加熱対象物の温度を検出する温度センサーを備えてもよい。この場合、対象検出部40は、温度検出部41としての温度センサーを備えてもよい。また、対象検出部40は、第3圧力センサー40C及び第4圧力センサー40Dの替わりに温度センサーを備えてもよい。つまり、対象検出部40は、温度検出部41を含んでもよく、搬送ベルト97の温度を検出する温度センサーを備えてもよい。
【0133】
対象検出部40は、加熱対象物の温度が加熱対象物に対応する温度範囲内であるときに、当接面23が加熱対象物と当接していることを検出してもよい。具体的な一例としては、第1制御部14は、電磁波の発生の開始に伴って、温度センサーによって検出された温度が、搬送ベルト97に対応する温度範囲内ではないときに、当接面23が加熱対象物と当接していないと検出してもよい。第1制御部14は、電磁波の発生の開始に伴って、温度センサーによって検出された温度が温度範囲内であるときに、当接面23が加熱対象物と当接していると検出してもよい。
【0134】
第1制御部14は、予め定めた時間に亘って電磁波を発生させたが、温度検出部41によって検出された温度の変化量が、搬送ベルト97に対応する変化量の範囲内ではないときに、当接面23が加熱対象物と当接していないと検出してもよい。第1制御部14は、予め定めた時間に亘って電磁波を発生させたが、温度検出部41によって検出された温度の変化量が、搬送ベルト97に対応する変化量の範囲内であるときに、当接面23が加熱対象物と当接していると検出してもよい。
【0135】
このように、対象検出部40は、加熱対象物の温度を検出する温度センサーを備える。この構成によれば、温度センサーの検出結果に基づいて、当接部22が加熱対象物と当接している状況で、電磁波を発生させることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0136】
・第2実施形態において、第1制御部14は、第1停止条件が成立したときに、電磁波の発生を停止させずに、発生させる電磁波の強度を小さく制御してもよい。つまり、第1制御部14は、対象検出部40による検出結果に基づいて、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧を制御してもよい。
【0137】
・第2~第4実施形態において、第1制御部14は、第2停止条件が成立したときに、電磁波の発生を停止させずに、発生させる電磁波の強度を小さく制御してもよい。つまり、第1制御部14は、温度検出部41による検出結果に基づいて、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧を制御してもよい。
【0138】
・第5実施形態において、第2制御部17は、第2温度監視処理を所定期間において繰り返し実行してもよい。この場合、ステップS30において、第2制御部17は、ステップS31において取得した温度検出結果と、ステップS32において取得した出力情報とに基づいて、搬送ベルト97が一定温度となるように高周波電圧のフィードバック制御を行ってもよい。つまり、第2制御部17は、温度検出部41による検出結果と、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧とに基づいて、第1電極31及び第2電極32に印加する高周波電圧を制御してもよい。
【0139】
・第1制御部14は、第1電極31及び第2電極32から発生する電磁波の共振周波数が、許容周波数内であるときに、電磁波の発生を継続してもよい。第1制御部14は、第1電極31及び第2電極32から発生する電磁波の共振周波数が、許容周波数内ではないときに、電磁波の発生を停止させてもよい。第1制御部14は、第1電極31及び第2電極32から発生する電磁波の共振周波数が、許容周波数内ではないときに、発生させる電磁波の強度を小さく制御してもよい。許容周波数は、加熱対象物に対応する共振周波数を基準とした共振周波数の範囲であり、加熱対象物への電磁波の発生を許容する共振周波数の範囲である。電磁波発生部11は、加熱対象物の物性により、第1電極31及び第2電極32から発生させる電磁波の共振周波数が変動する。詳しくは、第1電極31及び第2電極32と加熱対象物との間における静電容量は、加熱対象物の物性により異なる。また、加熱対象物の物性により加熱抵抗が異なる。これにより、静電容量が減少すると、共振周波数が上昇する。このように、加熱対象物の物性により、発生させる電磁波の共振周波数が変動する。このため、第1制御部14は、加熱対象物に対応する共振周波数に近いときに、加熱対象物への電磁波の発生と判定し、電磁波の発生を継続することにより、加熱対象物に電磁波を発生させることができる。
【0140】
・第2~第4実施形態において、第1制御部14により実行される処理を、第2制御部17が実行してもよい。この場合、第2制御部17は、第1制御部14との通信により各種情報を取得してもよく、第1制御部14との通信によらずに、各種情報を直接的に取得してもよい。第5実施形態において、第2制御部17により実行される処理を、第1制御部14が実行してもよい。この場合、第1制御部14は、高周波電圧を出力するか否かを高周波電圧発生部12に指示してもよく、出力させる高周波電圧を指示してもよい。
【0141】
・収容ケース21は、平面視において、第2電極32の内周32Dよりも外側に位置すれば、第2電極32の外周32Bよりも内側であってもよい。シールド部36は、平面視において、収容ケース21よりも内側であるが、第2電極32の内周32Dよりも外側に位置すれば、第2電極32の外周32Bよりも内側であってもよい。シールド部36は、網形状ではなく、板状であってもよい。
【0142】
・当接部22は、第1電極31及び第2電極32と搬送ベルト97との距離が所定の範囲内であれば、搬送ベルト97と面で当接しなくても、搬送ベルト97と点で当接してもよい。
【0143】
・当接部22は、第1電極31及び第2電極32と搬送ベルト97との距離が所定の範囲内であれば、第1電極31及び第2電極32と面で当接しなくてもよく、第1電極31及び第2電極32と点で当接してもよい。また、当接部22は、第1電極31及び第2電極32と当接しなくてもよい。
【0144】
・第1電極31及び第2電極32のうち少なくとも何れかは、平板形状に限定されず、例えば、概平板形状であってもよい。概平板形状は、例えば、鉛直方向Zに沿う方向である厚さ方向に湾曲する形状や長方形形状の縦横比が極めて大きく、線状形状を含んでもよい。
【0145】
・加熱対象物は、電磁波の発生により熱エネルギーの伝達により加熱が行われるものであれば、搬送ベルト97に限定されない。例えば、加熱装置は、媒体99を加熱して、インクを乾燥させる乾燥装置であってもよい。
【0146】
・記録装置90は、レーザー光を利用してトナーを付着させることによって、画像を記録するレーザー方式のプリンターであってもよい。つまり、記録装置90は、記録方式を問わず、記録方式がインクジェット方式であるかレーザー方式であるかを問わない。
【0147】
・本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、所望の選択肢の1つ以上を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が2つであれば1つの選択肢のみ又は2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば1つの選択肢のみ又は2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
【0148】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。本技術的思想及びその作用効果は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせることができる。
【0149】
(A)加熱装置は、第1電極と、加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一部と、前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一部とを覆う筐体と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能であり、前記筐体は、前記加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、前記当接部とともに、前記第1電極及び前記第2電極を収容可能である内部空間を構成する収容ケースと、を有し、前記収容ケースは、絶縁性を有する。
【0150】
この構成によれば、収容ケースは、当接部とともに内部空間を構成し、絶縁性を有する。これにより、当接部と収容ケースとを用いて第1電極及び第2電極を内部空間に収容することができ、第1電極及び第2電極が直接的に周囲に接触することを抑制することができる。また、これに加えて、第1電極及び第2電極との絶縁性を担保することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0151】
(B)上記加熱装置は、作業者により把持可能である把持部を備え、前記把持部は、前記収容ケースと接続されており、前記収容ケースとの絶縁性を有してもよい。
この構成によれば、収容ケースと接続された把持部も、収容ケースとの絶縁性を有する。このため、作業者による把持される把持部と第1電極及び第2電極との絶縁性を更に担保することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0152】
(C)上記加熱装置は、前記当接部が前記加熱対象物と当接していることを検出する対象検出部を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、前記対象検出部によって前記当接部が前記加熱対象物と当接していることが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能であってもよい。
【0153】
この構成によれば、当接部が加熱対象物と当接している状況で、電磁波を発生させることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
(D)加熱装置は、加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、第1電極と、前記加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、前記当接部が前記加熱対象物と当接していることを検出する対象検出部と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、前記対象検出部によって前記当接部が前記加熱対象物と当接していることが検出されたときに、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能である。この構成によれば、(C)と同じ効果を奏することができる。
【0154】
(E)上記加熱装置において、前記対象検出部は、第1圧力センサーと、第2圧力センサーとを有し、前記第1圧力センサー及び前記第2圧力センサーは、前記当接部が前記加熱対象物と当接していることを検出可能であってもよい。
【0155】
この構成によれば、第1圧力センサーの検出結果と、第2圧力センサーの検出結果とに基づいて、当接部が加熱対象物と当接している状況で、電磁波を発生させることができる。このように、当接部と加熱対象物との当接を複数箇所で検出することができる。これにより、当接部と加熱対象物との当接を検出する確実性を高めることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0156】
(F)上記加熱装置において、前記対象検出部は、前記加熱対象物の温度を検出する温度センサーを有してもよい。
この構成によれば、温度センサーの検出結果に基づいて、当接部が加熱対象物と当接している状況で、電磁波を発生させることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0157】
(G)上記加熱装置は、温度を検出する温度検出部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記温度検出部による検出結果に基づいて、前記第1電極及び前記第2電極による電磁波の発生を制御してもよい。
【0158】
この構成によれば、温度検出部の検出結果に基づいて、当接部が加熱対象物と当接している状況で、電磁波の発生を制御することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0159】
(H)加熱装置は、加熱対象物と当接可能である当接面を有する当接部と、第1電極と、前記加熱対象物に向かう第1方向からの平面視において前記第1電極を取り囲むように配置される第2電極と、コイルを有し、高周波電圧を伝送可能である伝送線路と前記第1電極とを電気的に接続する第1導体と、前記伝送線路と前記第2電極とを電気的に接続する第2導体と、温度を検出する温度検出部と、制御部と、を備え、前記第1電極及び前記第2電極は、高周波電圧の印加に応じて電磁波を発生させることにより前記加熱対象物を加熱可能であり、前記制御部は、前記温度検出部による検出結果に基づいて、前記第1電極及び前記第2電極による電磁波の発生を制御する。この構成によれば、(G)と同じ効果を奏することができる。
【0160】
(I)上記加熱装置において、前記温度検出部は、前記加熱対象物の温度を検出してもよい。
この構成によれば、加熱対象物の温度の検出結果に基づいて、当接部が加熱対象物と当接している状況で、電磁波の発生を制御することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0161】
(J)上記加熱装置において、前記温度検出部は、前記コイルの温度を検出してもよい。
この構成によれば、コイルの温度の検出結果に基づいて、当接部が加熱対象物と当接している状況で、電磁波の発生を制御することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0162】
(K)上記加熱装置において、前記温度検出部は、前記伝送線路に設けられた電磁クランプの温度を検出してもよい。
この構成によれば、電磁クランプの温度の検出結果に基づいて、当接部が加熱対象物と当接している状況で、電磁波の発生を制御することができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0163】
(L)上記加熱装置において、前記制御部は、前記温度検出部による検出結果と、前記第1電極及び前記第2電極に印加する高周波電圧とに基づいて、前記第1電極及び前記第2電極に印加する高周波電圧を制御してもよい。
【0164】
この構成によれば、温度検出部の検出結果と、第1電極及び第2電極に印加する高周波電圧とに基づいて、第1電極及び第2電極に印加する高周波電圧を制御することができる。これにより、温度検出部によって検出された温度と、第1電極及び第2電極に印加する高周波電圧との両方に基づいて、高周波電圧の制御を行うことができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【0165】
(M)上記加熱装置において、前記制御部は、前記温度検出部によって検出された温度が閾値を超えた場合、前記第1電極及び前記第2電極による電磁波の発生を停止させるように制御してもよい。
【0166】
この構成によれば、検出された温度が閾値を超えた場合、電磁波の発生を停止させることができる。したがって、電磁波の発生に伴う周囲への影響を抑制することができる。
【符号の説明】
【0167】
10…搬送ベルト溶着装置、11…電磁波発生部、12…高周波電圧発生部、13…伝送線路、13A…内部導体、13B…外部導体、14…第1制御部、15…操作部、16…表示部、17…第2制御部、20…筐体、20A…上面、21…収容ケース、22…当接部、23…当接面、24…接続部、24A…上端部、24B…下端部、25…把持部、25A…基端部、25B…先端部、31…第1電極、31A…第1電極面、32…第2電極、32A…第2電極面、32B…外周、32C…開口、32D…内周、33…第1導体、34…第2導体、34A…第1支持部、34B…第2支持部、35…コイル、36…シールド部、40…対象検出部、40A…第1圧力センサー、40B…第2圧力センサー、40C…第3圧力センサー、40D…第4圧力センサー、41…温度検出部、42…電磁クランプ、90…記録装置、91…搬送装置、92…装置筐体、92A…開閉扉、93…記録部、93A…ノズル、94…支持台、94A…支持面、95…第1ローラー、96…第2ローラー、97…搬送ベルト、98…外周面、99…媒体。
図1
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