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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140719
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】立て掛け足場
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/04 20060101AFI20241003BHJP
   E06C 7/48 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E06C1/04
E06C7/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052020
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】島袋 孝博
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昌信
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA01
2E044BA01
2E044BB06
2E044BC02
2E044CA01
2E044EC09
2E044EE11
(57)【要約】
【課題】柱に立て掛けて用いられ、高所作業を好適に行うことが可能な立て掛け足場を提供する。
【解決手段】立て掛け足場1は、上下方向に長尺な柱B1に立て掛けて、柱又は柱周辺における高所作業を行うために用いられる。立て掛け足場1は、上下方向に長尺に延びており、作業者が高所に登るための梯子部材10と、梯子部材の上端部に取り付けられ、梯子部材の上端部から水平方向に突出し、作業者の足場となる天板部材20とを備えている。天板部材20の外縁部のうち、梯子部材10側の一端部とは反対側の他端部には、一端部側に窪むように窪み部21が形成されている。窪み部21は、柱B1の外形に沿わせた横断面形状を有している。立て掛け足場1が柱B2に立て掛けられたときに、天板部材20の他端部が柱B2に対向し、かつ、窪み部21が柱に面接触するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に長尺な柱に立て掛けて用いられ、前記柱又は前記柱周辺における高所作業を行うための立て掛け足場であって、
上下方向に長尺に延びており、作業者が高所に登るための梯子部材と、
前記梯子部材の上端部に取り付けられ、前記梯子部材の上端部から水平方向に突出し、前記作業者の足場となる天板部材と、を備え、
前記天板部材の外縁部のうち、前記梯子部材側の一端部とは反対側の他端部には、前記一端部側に窪むように窪み部が形成され、
前記窪み部は、前記柱の外形に沿わせた横断面形状を有し、
前記立て掛け足場が前記柱に立て掛けられたときに、前記天板部材の前記他端部が前記柱に対向し、かつ、前記窪み部が前記柱に面接触するように構成されていることを特徴とする立て掛け足場。
【請求項2】
前記立て掛け足場は、建物の躯体の出隅部に設けられた前記柱又は前記柱周辺における高所作業を行うために用いられ、
前記梯子部材は、前記躯体の出隅部に設けられた床部材上に設置され、
前記窪み部は、前記柱の角部の外形に沿わせた横断面形状を有し、
前記立て掛け足場が前記柱に立て掛けられたときに、前記天板部材の前記他端部が前記柱の内側の角部に対向し、かつ、前記窪み部が前記柱の内側の対向面に面接触し、前記柱の内側の角部を挟むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の立て掛け足場。
【請求項3】
前記天板部材に取り付けられ、前記柱に着脱可能に固定される柱固定部材をさらに備え、
前記柱固定部材は、前記立て掛け足場が前記柱に立て掛けられた状態で、前記柱に対向し、前記柱を囲むようにして前記柱に固定されることを特徴とする請求項2に記載の立て掛け足場。
【請求項4】
前記柱固定部材は、
前記天板部材の上面にそれぞれ設けられ、互いに対向するように配置され、前記柱を囲むように連結される第1固定部材及び第2固定部材と、
前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの基端部を連結するとともに、前記天板部材に軸支される連結軸と、
前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの先端部を着脱可能に取り付ける着脱部材と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の立て掛け足場。
【請求項5】
前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、枠状となるように連結され、かつ、前記柱の全周を囲むようにして連結され、
前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記窪み部よりも上方位置に配置され、
前記第1固定部材及び前記第2固定部材によって囲まれる内部領域と、前記窪み部によって形成される内部領域とが、上面視において重なるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の立て掛け足場。
【請求項6】
前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの先端部は、互いに対向し、互いに重なり合うように配置され、
前記着脱部材は、前記第1固定部材及び/又は前記第2固定部材に設けられた永久磁石を用いて、前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの先端部を着脱可能に取り付けることを特徴とする請求項4に記載の立て掛け足場。
【請求項7】
前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの先端部は、互いに対向し、互いに重なり合うように配置され、
前記着脱部材は、前記第1固定部材の先端部及び前記第2固定部材の先端部の一方に設けられた係合部と、前記第1固定部材の先端部及び前記第2固定部材の先端部の他方に設けられ、前記係合部に着脱可能に係合する被係合部と、を有し、
前記係合部は、前記一方に対して第1状態と第2状態で切り替え可能に取り付けられ、
前記係合部は、
前記第1状態のときに前記第1固定部材の先端部と、前記第2固定部材の先端部とを重ね合わせることで前記被係合部に係合し、
前記係合部が前記被係合部に係合した状態のときに前記第1状態から前記第2状態に切り替わることで前記被係合部にロックされることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の立て掛け足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立て掛け足場に係り、特に、上下方向に長尺な柱に立て掛けて用いられ、柱又は柱周辺における高所作業を行うための立て掛け足場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の施工時において柱及び梁の接合作業のような高所作業を行うために、脚立や梯子が用いられている。
例えば、特許文献1に記載の梯子は、建物の施工時において安全に高所作業を行うことを目的として、梯子を安定して昇降可能な梯子支持機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-124588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物の躯体の出隅部に設けられた柱又は柱周辺における高所作業を行う場合には、従来の脚立や梯子では好適に高所作業を行うことが困難であった。
例えば、上記高所作業では、躯体の出隅部にある床上に脚立を設置するところ、脚立を柱の近傍位置まで寄せて設置することができなかった。すなわち、脚立を柱の近傍位置まで寄せてしまうと、脚立が倒れて落下してしまう虞があった。そのため、柱及び梁の接合作業等を効率良く行うことが難しかった。
また、躯体の出隅部にある床上に梯子を安定して設置することも難しかった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、柱に立て掛けて用いられ、従来よりも高所作業を好適に行うことが可能な立て掛け足場を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、建物の施工中に用いられ、柱に容易に固定することが可能な立て掛け足場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の立て掛け足場によれば、上下方向に長尺な柱に立て掛けて用いられ、前記柱又は前記柱周辺における高所作業を行うための立て掛け足場であって、上下方向に長尺に延びており、作業者が高所に登るための梯子部材と、前記梯子部材の上端部に取り付けられ、前記梯子部材の上端部から水平方向に突出し、前記作業者の足場となる天板部材と、を備え、前記天板部材の外縁部のうち、前記梯子部材側の一端部とは反対側の他端部には、前記一端部側に窪むように窪み部が形成され、前記窪み部は、前記柱の外形に沿わせた横断面形状を有し、前記立て掛け足場が前記柱に立て掛けられたときに、前記天板部材の前記他端部が前記柱に対向し、かつ、前記窪み部が前記柱に面接触するように構成されていること、により解決される。
上記構成により、柱に立て掛けて用いられ、従来よりも高所作業を好適に行うことが可能な立て掛け足場を実現することができる。
詳しく述べると、立て掛け足場は、梯子部材と、天板部材とを備えており、天板部材の外縁部には、柱の外形に沿わせ横断面形状を有する窪み部が形成されている。そのため、立て掛け足場が柱に立て掛けられたときに、天板部材の窪み部を柱に面接触させることができる。すなわち、柱に安定して立て掛けることが可能な立て掛け足場を実現できる。
なお、柱の外形に沿わせた窪み部の形状とすることで、柱の外形や柱の向きに寄らず、柱に立て掛け足場を好適かつ容易に立て掛けることができる。
【0007】
このとき、前記立て掛け足場は、建物の躯体の出隅部に設けられた前記柱又は前記柱周辺における高所作業を行うために用いられ、前記梯子部材は、前記躯体の出隅部に設けられた床部材上に設置され、前記窪み部は、前記柱の角部の外形に沿わせた横断面形状を有し、前記立て掛け足場が前記柱に立て掛けられたときに、前記天板部材の前記他端部が前記柱の内側の角部に対向し、かつ、前記窪み部が前記柱の内側の対向面に面接触し、前記柱の内側の角部を挟むように構成されていると良い。
上記構成により、建物の躯体の出隅部において柱又は柱周辺における高所作業を行うときに、高所作業を好適に行うことが可能な立て掛け足場を実現できる。また、当該立て掛け足場であれば、躯体の出隅部に設けられた柱に容易に固定させることができる。
【0008】
このとき、前記天板部材に取り付けられ、前記柱に着脱可能に固定される柱固定部材をさらに備え、前記柱固定部材は、前記立て掛け足場が前記柱に立て掛けられた状態で、前記柱に対向し、前記柱を囲むようにして前記柱に固定されると良い。
上記のように柱固定部材を備えていることで、躯体の出隅部に設けられた柱に対し立て掛け足場を一層容易に固定させることができる。
【0009】
このとき、前記柱固定部材は、前記天板部材の上面にそれぞれ設けられ、互いに対向するように配置され、前記柱を囲むように連結される第1固定部材及び第2固定部材と、前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの基端部を連結するとともに、前記天板部材に軸支される連結軸と、前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの先端部を着脱可能に取り付ける着脱部材と、を備えていると良い。
上記構成により、躯体の出隅部に設けられた柱に対し柱固定部材を容易に取り付けることができ、また強固に取り付けることができる。
【0010】
このとき、前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、枠状となるように連結され、かつ、前記柱の全周を囲むようにして連結され、前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記窪み部よりも上方位置に配置され、前記第1固定部材及び前記第2固定部材によって囲まれる内部領域と、前記窪み部によって形成される内部領域とが、上面視において重なるように構成されていると良い。
上記構成により、作業者は、柱に対し天板部材(窪み部)を立て掛けて、そのまま天板部材上の柱固定部材を挟み込ませるように取り付けることができる。すなわち、作業者は上記作業を一連の作業で行うことができる。
【0011】
このとき、前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの先端部は、互いに対向し、互いに重なり合うように配置され、前記着脱部材は、前記第1固定部材及び/又は前記第2固定部材に設けられた永久磁石を用いて、前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの先端部を着脱可能に取り付けると良い。
上記構成により、永久磁石を利用して柱に対し柱固定部材を容易に着脱させることができる。
【0012】
このとき、前記第1固定部材、前記第2固定部材それぞれの先端部は、互いに対向し、互いに重なり合うように配置され、前記着脱部材は、前記第1固定部材の先端部及び前記第2固定部材の先端部の一方に設けられた係合部と、前記第1固定部材の先端部及び前記第2固定部材の先端部の他方に設けられ、前記係合部に着脱可能に係合する被係合部と、を有し、前記係合部は、前記一方に対して第1状態と第2状態で切り替え可能に取り付けられ、前記係合部は、前記第1状態のときに前記第1固定部材の先端部と、前記第2固定部材の先端部とを重ね合わせることで前記被係合部に係合し、前記係合部が前記被係合部に係合した状態のときに前記第1状態から前記第2状態に切り替わることで前記被係合部にロックされると良い。
上記構成により、柱に対し柱固定部材を容易に着脱させることができ、また柱固定部材をロックさせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の立て掛け足場によれば、柱に立て掛けて用いることができ、従来よりも高所作業を好適に行うことが可能となる。
また、建物の施工中に用いることができ、柱に容易に固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】建物の躯体の出隅部にある柱に立て掛け足場が立て掛けられた状態を示す図である。
図2】別の角度から見たときの、柱に立て掛け足場が立て掛けられた状態を示す図である。
図3】立て掛け足場の分解図であって、天板部材、柱固定部材を示す図である。
図4】立て掛け足場の組図であって、立て掛け足場が柱に立て掛けされた状態を示す図である。
図5】柱固定部材の斜視図である。
図6A】柱固定部材の固定方法を説明する図である。
図6B】柱固定部材の係合ボルトが係合穴に係合した状態を示す図である。
図6C】係合ボルトが第1状態から第2状態に切り替わり、ロックされた状態を示す図である。
図7】第2実施形態の立て掛け足場が柱に立て掛けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について図1図7を参照して説明する。
本実施形態は、上下方向に長尺な柱に立て掛けて用いられ、柱又は柱周辺における高所作業を行うための立て掛け足場であって、従来よりも柱に容易に固定することができ、高所作業を好適に行うことを可能とする「立て掛け足場」に関するものである。
【0016】
<全体構成>
立て掛け足場1は、図1図4に示すように、建物の施工中において躯体Bを構成する柱B1に立て掛けて用いられ、柱B1又は柱B1周辺における高所作業を行うための道具である。
具体的には、立て掛け足場1は、躯体Bの出隅部に設置された柱B1に立て掛けられ、柱B1及び梁B2の接合作業を行うために用いられ、躯体Bの出隅部に設置された床パネルB3上に設置されるものである。
以下、建物の躯体Bを説明した後に、立て掛け足場1の詳細を説明する。
【0017】
建物の躯体Bは、図1図2に示すように、躯体Bの出隅部(角部)に設けられ、上下方向に長尺に延びている柱B1(鉄骨柱)と、柱B1の側面に連結され、躯体Bの間口方向又は出幅方向に延びている梁B2(大梁)と、柱B1の周辺に設けられ、複数並ぶように配置される床パネルB3(床部材)と、を備えている。
【0018】
柱B1及び梁B2は、接合ボルトB4(両ネジボルト)及びナットB5を用いて連結される。
具体的には、柱B1の側面に固定された柱プレートB1aと、梁B2の延出方向の一端部に固定された梁エンドプレートB2aとを当接させて、柱プレートB1aのネジ穴及び梁エンドプレートB2aの貫通穴を連通させた状態で接合ボルトB4を締結し、ナットB5を締め付ける。そうすることで、柱B1及び梁B2が連結される。
なお、上記柱又は柱周辺における高所作業とは、柱B1及び梁B2の接合作業に限定されるものではなく、躯体Bの出隅部におけるその他の高所作業であっても良い。
【0019】
上記躯体Bにおいて、図1図3に示すように、立て掛け足場1は、躯体Bの出隅部において床パネルB3上に設置され、出隅部に設けられた柱B1に立て掛けられる。
このとき、立て掛け足場1の天板部材が、柱B1に対向し、かつ、柱B1に面接触するように構成される。
そうすることで、柱B1に立て掛け足場1を容易に固定させることができる。また、躯体Bの出隅部において高所作業を好適に行うことができる。
【0020】
<立て掛け足場の詳細>
立て掛け足場1は、図1図4に示すように、上下方向に長尺に延びている梯子部材10と、梯子部材10の上端部に取り付けられ、梯子部材10の上端部から水平方向に突出している天板部材20と、天板部材20の上面に取り付けられ、柱B1に着脱可能に固定される柱固定部材30と、を備えている。
【0021】
梯子部材10は、図1図2に示すように、作業者が高所に登るための部材であって、躯体Bの出隅部に設置された床パネルB3上に設置されている。
梯子部材10は、所定の間隔を空けて設けられ、上下方向に長尺な第1支柱11、第2支柱12と、上下方向に間隔を空けて設けられ、第1支柱11及び第2支柱12を連結する複数の連結板13と、第1支柱11及び第2支柱12の上端部に設けられる補強板14、第2補強板15と、を有している。
【0022】
補強板14、第2補強板15は、図1図2に示すように、第1支柱11及び天板部材20の連結部分を補強し、また第2支柱12及び天板部材20の連結部分を補強するものである。
補強板14は、梯子部材10の幅方向において第1支柱11、第2支柱12それぞれの外側面から突出するように設けられ、第1支柱11、第2支柱12それぞれの外側面と、天板部材20の底面とを連結する略三角形状の板部材である。
第2補強板15は、第1支柱11、第2支柱12それぞれの裏面から突出するように設けられ、第1支柱11、第2支柱12それぞれの裏面と、天板部材20の底面とを連結する略三角形状の板部材である。
【0023】
天板部材20は、図1図3に示すように、作業者の足場となる矩形状の板部材であって、梯子部材10の上面に固定され、梯子部材10の上端部から水平方向に突出している。
天板部材20の外縁部のうち、梯子部材10が固定された基端部20aとは反対側の突出端部20bには、窪み部21が形成されている。
【0024】
窪み部21は、天板部材20の突出端部20bに設けられ、基端部20a側に窪むように形成されている。窪み部21は、天板部材20の突出端部20bを一部切り込むことで形成されることから、切り込み部と称されても良い。
窪み部21は、柱B1の角部の外形に沿わせた横断面形状を有している。具体的には、窪み部21は、上面視において略三角形状に切り込まれており、横断面略三角形状を有している。
【0025】
上記構成により、図1図4に示すように、立て掛け足場1が柱B1に立て掛けられたときに、天板部材20の突出端部20bが柱B1の内側の角部に対向し、かつ、窪み部21が柱B1の内側の対向面に面接触し、柱B1の角部を間に挟んでいる。
具体的には、図3に示すように、窪み部21の第1内側面21aが、柱B1の角部B1bに隣接する第1外側面B1cに面接触し、かつ、窪み部21の第2内側面21bが、柱B1の角部B1bに隣接する第2外側面B1dに面接触している。そして、窪み部21によって形成される内部領域に柱B1の角部B1bが納まっている。
そのため、躯体Bの出隅部において柱B1及び梁B2の接合作業を行うときに、柱B1に立て掛け足場1を容易に固定させることができる。
【0026】
柱固定部材30は、図3図6Cに示すように、立て掛け足場1が柱B1に立て掛けられた状態で、柱B1に対向し、柱B1を囲むようにして柱B1に固定される部材である。
具体的には、柱固定部材30は、枠状の鋼板であって、天板部材20の上面にそれぞれ設けられ、柱B1を囲むように連結される第1固定部材31及び第2固定部材32と、第1固定部材31、第2固定部材32それぞれの基端部を連結する回転部材33と、第1固定部材31、第2固定部材32それぞれの先端部を着脱可能に取り付ける着脱部材34と、を備えている。
【0027】
第1固定部材31、第2固定部材32は、互いに対向するように配置され、枠状となるように連結され、柱B1の全周を囲むようにして連結される。
第1固定部材31及び第2固定部材32は、天板部材20(窪み部21)よりも上方位置に配置されている。
【0028】
第1固定部材31は、図5に示すように、回転部材33に取り付けられ、回転部材33から水平方向に延びている第1延出部31aと、第1延出部31aの延出端部から屈曲し、第1延出部31aの延出方向とは交差方向に延びている第2延出部31bと、第2延出部31bの延出端部から屈曲して延びている第3延出部31cと、を有している。
第2固定部材32は、第1固定部材31と同様に、第1延出部32aと、第2延出部32bと、第3延出部32cと、を有している。
第3延出部31cと、第3延出部31cとは、互いに対向し、互いに重なり合うように配置されている。
【0029】
回転部材33は、図3図5に示すように、天板部材20(軸穴22)に軸支され、天板部材20に対して第1固定部材31、第2固定部材32を回転可能となるように連結する部材である。
回転部材33は、第1固定部材31、第2固定部材32を「展開状態(展開位置)」と、「保持状態(保持位置)」との間で切り替えることができる。
【0030】
具体的には、回転部材33は、ヒンジ部材(蝶番部材)であって、第1固定部材31の基端部に取り付けられる第1可動プレート33a(第1ヒンジ)と、第2固定部材32の基端部に取り付けられる第2可動プレート33b(第2ヒンジ)と、可動プレート33a、33bを回動可能に連結し、天板部材20(軸穴22)に軸支される連結軸33cと、を有している。
【0031】
上記構成において、柱固定部材30が図3に示す「展開状態」のときには、第1固定部材31、第2固定部材32が、柱B1を側方から挟み込むことが可能な状態となっている。
また、柱固定部材30が図4に示す「保持状態」のときには、第1固定部材31、第2固定部材32が、柱B1を側方から挟み込み、柱B1に固定された状態となっている。
【0032】
また上記構成において、図3図4に示すように、第1固定部材31及び第2固定部材32によって囲まれる内部領域と、窪み部21によって形成される内部領域とが、上面視において重なるように構成されている。
そのため、作業者は、柱B1に対し天板部材20(窪み部21)を立て掛けて、そのまま天板部材20上の柱固定部材30を挟み込ませるように取り付けることができる。すなわち、作業者は上記作業を一連の作業で行うことができる。
【0033】
着脱部材34は、図5図6Cに示すように、係合ボルト34a及び永久磁石34c、34dを用いて、第1固定部材31、第2固定部材32それぞれの先端部を着脱可能に取り付ける部材である。
具体的には、着脱部材34は、第1固定部材31の第3延出部31cに設けられた係合ボルト34a(係合部)と、第2固定部材32の第3延出部32cに形成され、係合ボルト34aに着脱可能に係合する係合穴34b(被係合部)と、を有している。
また、着脱部材34は、第3延出部31c、32cそれぞれに設けられ、互いに引き寄せ合って接着する第1永久磁石34cと、第2固定部材32(第3延出部32c)に設けられ、係合ボルト34aに着脱する第2永久磁石34dと、をさらに有している。
【0034】
係合ボルト34aは、L字形状のボルトであって、第3延出部31cの内側面に固定され、第3延出部31cから第2固定部材32側(第3延出部32c)に向かって突出している。
係合ボルト34aは、第1固定部材31に対して図6A図6Bに示す「第1状態」と、図6cに示す「第2状態」で切り替え可能に取り付けられている。
【0035】
係合穴34bは、第3延出部32cの上端部に形成された切り欠き穴である。
係合穴34bは、係合ボルト34aを導き入れるための第1穴34ba(ガイド穴)と、第1穴34baから連続して形成され、係合ボルト34aを嵌合させるための第2穴34bb(嵌合穴)と、を有している。
第1穴34baは、第3延出部32cの上端から下方に向かうに従って幅狭となるように切り欠き形成されている。第2穴34bbは、係合ボルト34aを着脱可能に嵌合させる縁を有している。
【0036】
第1永久磁石34c、第2永久磁石34dは、図6A図6Cに示すように、円形状又はリング形状のフェライト磁石である。
第1永久磁石34cは、第3延出部31cの内側面と、第3延出部32cの内側面とに取り付けられており、互いに対向するように配置されている。
なお、第1永久磁石34cは、第3延出部31c、32cのうち一方のみに取り付けられても良い。また、第1永久磁石34cは、第3延出部31c、32cの内部に埋め込まれていると良い。
第2永久磁石34dは、第3延出部32cの外側面に取り付けられ、係合ボルト34aの先端部に当接可能な位置に配置されている。
【0037】
上記構成において、図6A図Bに示すように、係合ボルト34aは、「第1状態(係合可能状態)」のときに、第1固定部材31の先端部(第3延出部31c)と、第2固定部材32の先端部(第3延出部32c)とを重ね合わせることで係合穴34bに係合する。
このとき、第1永久磁石34c同士が接着することで、柱B1に柱固定部材30を仮固定することができる。
【0038】
そして、図6Bに示すように、係合ボルト34aが係合穴34bに係合した状態のときに、係合ボルト34aが、「第1状態(係合可能状態)」から「第2状態(ロック可能状態)」に切り替わることで係合穴34bにロックされる。
具体的には、係合ボルト34aが第2永久磁石34dに接着することで、柱B1に柱固定部材30に本固定することができる。
このとき、第1永久磁石34c同士が接着するときの衝撃に伴って、あるいは、第3延出部31c、32c同士が重なるときの衝撃に伴って係合ボルト34aが図6Bに示す「第1状態」から図6Cに示す「第2状態」に回転動作する(自重によって回転移動する)。
そのため、作業者が、柱B1の内側において柱固定部材30を仮固定することで(柱B1に固定部材31、32を巻き込むことで)、自動的に柱固定部材30を本固定することができる(係合ボルト34aによって固定部材31、32をロックできる)。
【0039】
上記立て掛け足場1であれば、柱B1に立て掛けて用いることができ、従来よりも高所作業を好適に行うことが可能となる。また、建物の施工中に用いることができ、躯体Bの出隅部に設けられた柱B1に容易に固定することが可能となる。
【0040】
<立て掛け足場の第2実施形態>
次に、第2実施形態の立て掛け足場101について図7に基づいて説明する。
なお、上述した立て掛け足場1と重複する内容は説明を省略する。
【0041】
立て掛け足場101は、電柱Pに立て掛けて用いられ、電柱P又は電柱P周辺における高所作業を行うための道具である。
立て掛け足場101は、梯子部材110と、梯子部材110の上端部に取り付けられる天板部材120と、天板部材120の上面に取り付けられ、電柱Pに着脱可能に固定される柱固定部材(不図示)と、を備えている。
天板部材120の外縁部には、窪み部121が形成されている。
【0042】
窪み部121は、電柱Pの外形に沿わせた横断面形状を有している。具体的には、窪み部121は、上面視において略円弧形状に切り込まれており、横断面略円弧形状を有している。
【0043】
上記構成により、図7に示すように、立て掛け足場101が電柱Pに立て掛けられたときに、天板部材120の外縁部が電柱Pの側面に対向し、かつ、窪み部121が電柱Pの側面(対向面)に面接触する。
そのため、電柱Pの高所作業を行うときに、電柱Pに立て掛け足場101を容易に固定させることができる。
【0044】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、図1図2に示すように、立て掛け足場1が、建物の出隅部に設けられた柱B1に立て掛けられているが、特に限定されるものではない。
例えば、立て掛け足場1が、建物の他の部位にある柱B1に立て掛けられても良いし、建物外にある電柱Pに立て掛けられても良い。あるいは、立て掛け足場1が、樹木のような上下方向に長尺な部材(柱部材)に立て掛けられても良い。
【0045】
上記実施形態では、図1に示すように、立て掛け足場1(梯子部材10)が、2本脚となる第1支柱11、第2支柱12を有しているが、特に限定されない。
梯子部材10は、1本の脚から構成されても良いし、3本の脚から構成されても良い。
【0046】
上記実施形態では、主として本発明に係る立て掛け足場に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
B 躯体(建物の躯体)
B1 柱(出隅部の柱)
B1a 柱プレート
B1b 角部
B1c 第1外側面
B1d 第2外側面
B2 梁
B2a 梁エンドプレート
B3 パネル
B4 接合ボルト
B5 ナット
1 立て掛け足場
10 梯子部材
11 第1支柱
12 第2支柱
13 連結板
14 補強板
15 第2補強板
20 天板部材
20a 基端部
20b 突出端部
21 窪み部
21a 第1内側面
21b 第2内側面
22 軸穴
30 柱固定部材
31 第1固定部材
31a 第1延出部
31b 第2延出部
31c 第3延出部
32 第2固定部材
32a 第1延出部
32b 第2延出部
32c 第3延出部
33 回転部材
33a 第1可動プレート
33b 第2可動プレート
33c 連結軸
34 着脱部材
34a 係合ボルト(係合部)
34b 係合穴(被係合部)
34ba 第1穴
34bb 第2穴
34c 第1永久磁石
34d 第2永久磁石
101 立て掛け足場
110 梯子部材
120 天板部材
121 窪み部
P 電柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7