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特開2024-140727渋滞対策方法、サーバ装置及び運転支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140727
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】渋滞対策方法、サーバ装置及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052033
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 吉正
(72)【発明者】
【氏名】大河平 隆
(72)【発明者】
【氏名】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】大月 龍
(72)【発明者】
【氏名】松山 侃太郎
(72)【発明者】
【氏名】嶋下 和宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】道路管理システムのサーバの要請に応じた参加車両が、規制走行を行う渋滞対策の方法を提供する。
【解決手段】サーバ5の要請に応じた参加車両が、規制走行を行う渋滞対策方法であって、前記規制走行は、前記参加車両に複数車線に並ぶ規制線21を形成させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバの要請に応じた参加車両が、規制走行を行う渋滞対策方法であって、
前記規制走行は、前記参加車両に複数車線に並ぶ規制線を形成させる渋滞対策方法。
【請求項2】
前記参加車両は、少なくとも前記規制線を形成する時にハザードランプを点灯させる
請求項1に記載の渋滞対策方法。
【請求項3】
前記参加車両は、前方の参加車両と合流するか、後方の参加車両の合流を待つか、いずれかの合流方針を選択し、
前方の参加車両と合流する場合は、高速側車線を走行させ、
後方の参加車両の合流を待つ場合は、低速側車線を走行させる、
請求項1に記載の渋滞対策方法。
【請求項4】
前記参加車両は、他の参加車両が側方にある時に、前記他の参加車両の横に並ぶよう速度を制御する、
請求項1に記載の渋滞対策方法。
【請求項5】
前記参加車両は、他の参加車両が側方にある時に、隣接する低速側車線に他の参加車両が無い場合、前記隣接する低速側車線に車線変更する、
請求項1に記載の渋滞対策方法。
【請求項6】
前方で走行可能な車線数が減少する場合に、規制線の幅を縮小する規制線縮小運動を行い、前記規制線縮小運動は、前方で走行不可になる車線の参加車両が、規制線の前に出て、車線変更する運動を含む請求項1に記載の渋滞対策方法。
【請求項7】
規制線を形成しない前記参加車両は、予備車両として前記規制線の付近を走行し、走行可能な車線が増加した時に、前記規制線の幅を拡大する規制線拡大運動を行い、
前記規制線拡大運動は、前記予備車両が走行可能になった車線に車線変更し、前記規制線を形成していた前記参加車両に並ぶ運動を含む請求項1に記載の渋滞対策方法。
【請求項8】
前記予備車両が規制線の後方にある場合は、前記予備車両が規制線を形成する参加車両と入れ替わる予備車両入替え運動を行い、
前記予備車両入替え運動は、前記予備車両の前方で規制線を形成する参加車両と前記予備車両とが加速し、速度を維持した参加車両と前記予備車両とが並ぶ事により規制線を再形成する運動を含む請求項7に記載の渋滞対策方法。
【請求項9】
車両が送信する上りデータを受信する受信手段と、
車両に向けて下りデータを送信する送信手段と、を備え、
前記上りデータは、少なくとも車両のIDと位置情報と進行方向の情報とを含み、
渋滞対策を実施する渋滞箇所を決定した時に、前記上りデータに基づいて、前記渋滞箇所に向かう車両のうち、所定範囲内を走行する複数の車両を参加車両として特定し、
前記参加車両のIDと、規制走行の要請とを、前記下りデータに含めて送信するサーバ。
【請求項10】
前記下りデータは、前記参加車両の順序の情報を含む請求項9に記載のサーバ。
【請求項11】
前記下りデータは、複数のパケットを含み、
前記複数のパケットを用いて、異なる参加車両のグループに異なる指示を送信し、
前記指示は指定速度の情報を含む請求項9に記載のサーバ。
【請求項12】
規制線を形成せず、他の参加車両から孤立した参加車両を検出した時は、前記孤立した参加車両のIDを指定して規制走行の要請を取り消す請求項9に記載のサーバ。
【請求項13】
規制走行に参加した車両にインセンティブを与える請求項9に記載のサーバ。
【請求項14】
前記参加車両に走行させる速度を指定速度として指定し、
複数の地点で形成された複数の規制線を検出した時に、異なる規制線を形成する参加車両には、異なる規制線が互いに遠ざかるように、前記指定速度を指定する請求項9に記載のサーバ。
【請求項15】
前記参加車両が渋滞箇所に接近するほど速度が低くなるように、指定速度を制御する請求項9に記載のサーバ。
【請求項16】
指定速度を走行可能な車線の数に応じて設定し、走行可能な車線数が少ない区間、または、走行可能な車線数が少なくなる箇所を走行させる際は、走行可能な車線数が多く、走行可能な車線数が少なくなる箇所に当たらない区間を走行させる際よりも、前記指定速度を高く設定する、請求項9に記載のサーバ。
【請求項17】
車両に搭載されて、入力部と、状況判断部と、指示部とを備え、
前記入力部は、サーバが送信する下りデータを受信し、
前記状況判断部は、前記下りデータが車両のIDと規制走行の要請とを含む場合に、規制走行の要請を受けたと判断し、前記要請に応じた場合に、前記指示部は、ハザードランプの点灯を指示する運転支援装置。
【請求項18】
前記状況判断部は、前記下りデータから、参加車両の順序の情報を取得し、前記参加車両の順序の情報に応じて、前方の参加車両と合流するか、後方の参加車両の合流を待つか、いずれかの合流方針を選択する請求項17に記載の運転支援装置。
【請求項19】
前記指示部がハザードランプを点灯させた時点から、所定時間経過しても他の参加車両と合流していない場合、前記ハザードランプを消灯させる請求項17に記載の運転支援装置。
【請求項20】
参加車両である時のハザードランプの点灯は、前記参加車両でない時のハザードランプの点灯と異なる周期で点滅させるか、または、他の参加車両のハザードランプと同期して点滅させる、請求項17に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路の渋滞を解消する渋滞対策方法、サーバ装置及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高速道路の渋滞が問題になっている。特許文献1に記載の技術では、複数の車両同士で渋滞吸収走行を行なわせ、複数の移動体に速度と車間距離を指示する。渋滞吸収走行で指定される速度は、他の一般車両が走行している速度よりも低いため、参加車両504は低速車となり、交通ルールに従って、渋滞吸収走行に参加する自車両503と、他の参加車両504が走行車線に集まる。参加車両504の後方の不参加車両505が減速を嫌った場合、不参加車両505は追越車線に出て先に進む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-180027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、参加車両だけが指示された速度と車間距離を保って低速走行し、参加しない一般車両(不参加車両)は追越車線を通り抜けることが出来るので、大半の車が速度を落とさない状態になることが容易に想像できる。このように、参加車両だけが低速走行するような状態では、渋滞を解消させるような効果は期待できない。
【0005】
また、参加車両の後方で低速走行を強いられていた不参加車両が追越車線に出ようとすると、追越車線を走る高速車両との速度差が大きいために、車線変更の際に高速車両と衝突する恐れもある。言い換えると、車が流れている速度と乖離した低速で走行させると、高速な不参加車両が走る車線に低速な不参加車両を車線変更させる事になり、不安全な状態になる。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、道路管理システムのサーバの要請に応じた参加車両が、予め定められたルールに従って規制走行を行う、渋滞対策の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示における渋滞対策方法の一態様は、サーバの要請に応じた参加車両が、規制走行を行う渋滞対策方法であって、前記規制走行は、前記参加車両に複数車線に並ぶ規制線を形成させる。
【0008】
また、本開示に係るサーバの一態様は、車両が送信する上りデータを受信する受信手段と、車両に向けて下りデータを送信する送信手段と、を備え、前記上りデータは、少なくとも車両のIDと位置情報と進行方向の情報とを含み、渋滞対策を実施する渋滞箇所を決定した時に、前記上りデータに基づいて、前記渋滞箇所に向かう車両のうち、所定範囲内を走行する複数の車両を参加車両として特定し、前記参加車両のIDと、規制走行の要請とを、前記下りデータに含めて送信する。
【0009】
また、本開示に係る運転支援装置の一態様は、車両に搭載されて、入力部と、状況判断部と、指示部とを備え、前記入力部は、サーバが送信する下りデータを受信し、前記状況判断部は、前記下りデータが車両のIDと規制走行の要請とを含む場合に、規制走行の要請を受けたと判断し、前記要請に応じた場合に、前記指示部は、ハザードランプの点灯を指示する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、規制線の後方に形成される車群内では、全ての車線で走行速度が同じになるために、車線変更や追い越しが抑制され、車両間に速度差が無い平穏な状態が作られるので、安全に規制走行を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施の形態における道路管理システムを示す図である。
図2図2は、渋滞解消法を示すスローイン・ファーストアウトの概念図である。
図3図3は、渋滞の成長条件を示す図である。
図4図4は、車両の速度規制による渋滞の解消を示す図である。
図5図5は、本実施の形態における車両が形成する規制線と、規制線の後方に形成される車群とを示す図である。
図6図6は、本実施の形態における車両側システムを示す車両内配置図である。
図7図7は、本実施の形態におけるナビゲーション装置の機能を示す図である。
図8図8は、本実施の形態における車両側システムのネットワークを示す構成図である。
図9図9は、道路側システムと車両側システムの無線通信を示す図である。
図10図10は、本実施の形態におけるデータフォーマットの例を示す図である。
図11図11は、本実施の形態における参加車両が規制線を形成する運動を示す図である。
図12図12は、本実施の形態における自動運転車が規制線を形成する制御を示すフローチャートである。
図13図13は、渋滞箇所に近づいた時の車群1,車群2、車群3の速度の制御を示す図である。
図14図14は、本実施の形態における参加車両の配列を変更する運動を示す図である。
図15図15は、本実施の形態における参加車両が規制線から外れた後の制御を説明する図である。
図16図16は、本実施の形態における予備車両が、増えた車線に移動する事により、全ての車線を塞ぐ規制線を形成する運動を示す図である。
図17図17は、本実施の形態における予備車両が、増えた車線に移動する事により、全ての車線を塞ぐ規制線を形成する運動を示す図である。
図18図18は、本実施の形態における予備車両を入れ替える運動を示す図である。
図19図19は、本実施の形態における自動運転車の予備車両を入替える運動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、構成要素、構成要素の位置や配列、及び構成要素の接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
(実施の形態)
まず、実施の形態における渋滞対策の方法について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態における道路管理システム1を示す図である。本開示は、高速道路で渋滞が発生している時に、道路管理者(例えばNEXCO(登録商標))の要請に応じて、走行中の車両2が予め定められたルールに従って速度規制(規制走行)を行う方法である。この、道路管理システム1は、例えば、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems、略称:ITS)である。規制走行の要請は、道路交通情報通信システム(Vehicle Information and Communication System、略称: VICS(登録商標、以下同様。))の一端を担う、VICS放送(FMデータ放送)により行っても良い。以下、道路管理システム1において、道路管制センタ6に設置されたサーバ5が、VICS放送により規制走行を要請するものとして説明する。
【0015】
車両2側の装置は、例えば、ナビゲーション装置3や自動運転ECUである。ナビゲーション装置3の指示に応じてドライバが規制走行を行っても良いし、自動運転ECUが自動制御で規制走行を実行しても良いし、あるいは、ETC車載機がドライバに指示を与える形態であっても良い。ここでは、車両2側の装置はナビゲーション装置3であるものとして説明する。
【0016】
ナビゲーション装置3はITSスポット4を経由して道路管制センタ6に設置されたサーバ5と通信し、ナビゲーション装置3が送信したプローブデータをサーバ5が受信している。サーバ5は、道路管制システムの頂点に位置するので、プローブデータは上りデータと呼んでよい。サーバは規制走行を要請する車両を選択する際に、プローブデータから得た情報を利用する。
【0017】
渋滞発生時に、道路管制センタ6のサーバ5は、VICS放送で複数の車両を指定して、規制走行を要請する。この時、サーバ5が規制走行を要請した対象である参加車両と、実際に規制走行に参加した参加車両は、一致しなくても構わない。サーバ5が規制走行を要請した参加車両のうち、要請に応じて実際の参加車両となる車両が車線数以上あれば、渋滞に向かう車群の速度を制御できるからである。
【0018】
図2は、渋滞解消法を示すスローイン・ファーストアウトの概念図である。渋滞領域(車間距離が短い低速の車列)がある時に、渋滞領域に車が加わる(流入する)流入速度を減らし、渋滞領域から車が抜け出す(流出する)流出速度より小さくすれば、時間の経過とともに渋滞長は短くなり、やがて渋滞は解消する。
【0019】
逆に、一時的な原因により発生した渋滞であっても、渋滞領域から車が抜け出す流出速度よりも、渋滞領域に車が加わる流入速度の方が大きい場合、渋滞長が増加して、大渋滞に成長する。車が連続して移動する様を車流と呼ぶ事にすると、渋滞解消法は渋滞領域に流入する車流を遅くする事である、と言っても良い。
【0020】
このように、渋滞領域に向かう車流を遅くして、流入速度を流出速度よりも小さくすると、渋滞が解消することが、原理的に判っている。そこで、渋滞領域に向かう車に速度を落とすよう呼び掛けているが、強制力がなく、逆に、渋滞に捕まる前に他の車両よりも先に進もうと加速する車両が多いため、渋滞の成長を止めることができない。
【0021】
図3は、渋滞の成長条件を示す図である。図3の最上段に示す様に、無理な車線変更などがあると、危険を避けるために停車する停止車両11が発生する。すると、図3の2段目以降に示すように、後続車が追突を避けるために次々に停車する。渋滞は低速の車列が形成された状態を指すので、図3の3段目以降の様に停止車両11が連なっている状態を、小規模な渋滞と呼んでも良い。低速の車列が形成された領域を渋滞領域と呼ぶ。渋滞領域は、一般に渋滞区間と呼ばれているものに対応し、渋滞区間には、俯瞰的に名付けられた先頭と最後尾がある。
【0022】
しかし、走行する車両にとっては、渋滞は最後尾から始まるので、渋滞の最後尾を渋滞箇所と呼び、ここに着目する。渋滞箇所で、停止車両11に後続車両12が追いつくと停止せざるを得ず、停止車両11の車列(つまり渋滞領域)に加わる。ここで、渋滞領域に後続車両12が加わる頻度をA(台数/秒)とする。
【0023】
渋滞領域の中の停止車両11は、その前の車が停車している為に停車を強いられているので、その前に停車車両が無い渋滞の先頭では、停止車両11は先頭から順に発進していく。ここで、停止車両11が発進する頻度をB(台数/秒)とすると、A>Bであれば、渋滞が成長する。Aは後続車両12の速度に比例するので、後続車両12が速く到着するほど、渋滞が成長し易い。
【0024】
図4は、車両の速度規制による渋滞の解消を示す図である。停車する停止車両11が発生した時に、渋滞箇所に向かう車両に速度規制を呼び掛け、図4の2段目の様に、全ての後続車両12が一斉に減速した、と仮定する。つまり、図4の場合、後続車両12は、図3の場合よりも低い速度で渋滞箇所に接近する。すると、図4の3段目の様に、後続車両12のうち渋滞箇所に近い車は更に減速するが、予め減速してあるので、急減速や急停車にはならず、車間距離が詰まるだけで済む。
【0025】
前述の通り、渋滞領域の中の停止車両11は、前で車が停車しているから停車しているので、図4の3段目の様に前が空けば発進して加速する。図4の最下段の様に停車している車両11が無くなれば、後続車両12は停車しないで走行を続けられるので、新たな停止車両11が発生しない状態になる。つまり、前述の通り、停止車両11に加わる頻度をA(台数/秒)、停止車両11が発進する頻度をB(台数/秒)とした場合に、A<Bとなれば、渋滞が解消する。Aは後続の車両12の速度に比例するので、速度規制により後続車両12を遅くすれば、渋滞が解消され易くなる。
【0026】
図5は、本実施の形態における車両が形成する規制線21と、規制線21の後方に形成される車群22とを示す図である。参加車両は、以下の三つのルールに従って規制線21と車群22とを形成し、車群22の速度を制御する。
1.参加車両A,Bはハザードランプ24を点灯する。
2.参加車両Bは他の参加車両Aに並ぶ。
3.規制線21を形成したら指定された速度で走行する。
【0027】
規制線21を形成することにより、規制走行に参加しない一般車両23の速度も低下させることができる。また、規制線21の後方に形成される車群22内では、追越車線と走行車線の間で速度差が無くなり、かつ、車間距離が短くなる事により車線変更が抑制され、追い越しが起こらなくなるので、比較的安全に規制走行を実行できる。
【0028】
図6は、本実施の形態における車両側システムを示す車両内配置図である。センサ(レーダ31~33とカメラ34~37)は、車両2上の検知に有利な位置に配置される。前レーダ31(レーダF)は、車両2の前方先端の中央付近に配置されている。右後レーダ32(レーダBR)は車両2の後方右側に配置され、左後レーダ33(レーダBL)は車両2の後方左側に配置されている。
【0029】
また、前カメラ34(カメラF)は車両2の乗車部43の前方中央付近に配置され、後カメラ35(カメラB)は車両2の乗車部43の後方中央付近に配置されている。右カメラ36(カメラR)は車両2の右ミラー44に配置され、左カメラ37(カメラL)は車両2の左ミラー45に配置されている。なお、レーダ31~33とカメラ34~37の配置位置はこれらの位置に限定されず、他の位置に配置されていてもよい。
【0030】
センサの制御とセンサによる検知データの処理はセンサ制御装置38が行う。レーダF31は前方、レーダBR32は右側、レーダL33は左側の障害物を検知する。カメラF34は前方、カメラB35は後方、カメラR36は右側、カメラL37は左側の画像を取得する。例えば、センサ制御装置38は、右と左のカメラ36,37の画像から車線区分線を検出し、自車両が走行中の車線を特定する。
【0031】
また、センサ制御装置38は、カメラ34~37の画像から、ウインカを点灯している車両を検出し、その位置を特定する。センサ制御装置38は、左右の後レーダ32,33の検知情報から、隣接車線を走行中の車両の位置を特定する。センサ制御装置38は、左右のカメラ36,37の画像から隣接車線を走行中の車両の位置を特定してもよい。舵角制御装置39はハンドルを含み、ドライバはハンドルを操作することにより舵角を制御できる。また、舵角制御装置39はパワーステアリング機構を含み、パワーステアリング機構は、手動運転時においてはドライバの操舵を支援し、自動運転時においては車両制御装置(自動運転ECU)41が出力する目標舵角に合うように舵角を自動制御する。
【0032】
速度制御装置40はペダル類を含み、手動運転時においては、ドライバはペダル類の操作によりエンジン又はモーターとブレーキを制御できる。また、自動運転時においては、速度制御装置40は、車両制御装置41が出力する目標車速に合うように車速を自動制御する。つまり、自動運転時においては、車両制御装置41は、ナビゲーション装置3から受けた指示と、センサ制御装置38から得た検知情報に基づいて、操舵制御装置39や速度制御装置40に目標値を出力し、車両2に一連の運動を実行させることが出来る。
【0033】
例えば、ナビの指示が右への車線変更であれば、先ずウインカ(不図示)を点灯し、カメラ34~37とレーダ31~33で右側ないし右後方に他車両を検出しない状態が3秒続いた時に、目標舵角を右方向に変更する。進路変更した後、右側の車線区分線を越えて、車両の左右に車線区分線を検出する状態になった時に、ウインカを消灯し、目標舵角を直進方向に変更して車線変更を完了する。
【0034】
図7は、本実施の形態におけるナビゲーション装置3の機能を示す図である。ナビゲーション装置3は、運転席に備えられて、ドライバに指示を出力したり、ドライバの操作や外部からの情報を受け付けたりする。ナビゲーション装置3は、内部に入力部51と記憶部52と状況判断部53と指示部54とを備える。
【0035】
入力部51は、情報を受取る部分であり、ドライバが操作するタッチパネルやスイッチ類(ウインカレバーやハザードランプのスイッチを含む)、VICS放送の受信機、ITS通信の無線機、GPS受信機、車車間通信装置、車内LANのインターフェース回路、などが入力部51に含まれる。記憶部52は、地図情報や道路情報を記憶したり、入力部51で得た情報を一時的に記憶したりする。
【0036】
状況判断部53は、入力部51が得た情報と、記憶部52が記憶している情報に基づいて状況を判定し、方針を決める。例えば、目的地が設定されていれば、記憶部52の地図情報を利用して目的地までの経路(つまり経路の方針)を決める。
【0037】
指示部54は、方針に従って走行を指示する装置であり、手動運転時においては、方針に従って走行するようドライバ61を誘導する。具体的には、表示画像を生成してLCD(タッチパネルと一体)に表示したり、音声のメッセージを出力したりする事により、走行に関する指示をドライバ61に伝える。メッセージは音声出力に限らず、LCDに文字の形で出力してもよいし、地図の形で表示してもよい。例えば、高速道路を走行する場合には、方針は経路の方針であっても良いし、方針に基づく指示は走行する車線の指示であってもよい。高速道路では車線変更によって経路を変えるので、適時に車線変更を指示することにより経路を変えられるからである。
【0038】
また、指示部54は、自動運転時においては、車両制御装置41に指示を与える事により、車両2の運動を制御する。ナビゲーション装置3の指示部54が車両制御装置41に車線変更を指示した場合の車両制御装置41の動作例は、前述の通りである。指示部54は、自動運転中はドライバ61に指示を与えないが、車両2の運動をドライバ61に説明するメッセージを出力しても良い。
【0039】
図8は、本実施の形態における車両側システムのネットワークを示す構成図である。各装置はローカルエリアネットワーク(LAN)で有線接続されるが、レーダ31~33やカメラ34~37は、センサ制御装置38と専用の配線で直結されることがある。
【0040】
HMI装置62は、例えばタッチパネルやスピーカやスイッチ類であり、ナビゲーション装置3と一体化されていることが多い。また、ナビゲーション装置3は、不図示のGPS受信機により、自車両の位置を特定可能であり、LANを介して、速度制御装置40から速度の情報を得ることや、センサ制御装置38から、自車両が走行している車線の情報(走行車線、追越車線)を得ることができる。
【0041】
また、ナビゲーション装置3は、不図示の無線装置により、道路側のシステムと無線通信し、サーバに車両2の位置や速度を通知したり、交通管制サーバ5からの要請を受けたりすることができる。また、近傍の車同士で、車車間通信を行うこともできる。
【0042】
センサ制御装置38は、カメラ34~37とレーダ31~33とにより検知した検知情報をLANに出力し、ナビゲーション装置3はLAN経由で検知情報を取得する。例えば、自動運転で規制走行する場合、センサ制御装置38は、カメラ34~37で撮影した画像に基づいて、ハザードランプ24を点灯した他の参加車両の位置を検知し、その位置情報をLANに出力する。ナビゲーション装置3はLANから他の参加車両の位置情報を入手する。この位置情報は刻々、更新される。
【0043】
その時点の運動方針が「右側の参加車両と並走」なら、ナビゲーション装置3の指示部54は、目標位置を右側の参加車両と並ぶ位置に指定し、目標位置に合わせる車速制御を(LAN経由で)車両制御装置41に指示する。車両制御装置41は指示(自車位置を目標位置に合わせる)に合う目標車速を刻々、算出してLANに出力する。
【0044】
速度制御装置40がLANに出力された目標車速になるように加減速すると、運動方針通り「自車両が右側の参加車両に並ぶ」ように、速度が自動制御される。なお、上の制御を手動走行で行う場合、指示部54は「ハザードランプを点灯している右側の参加車両と並んで下さい」の様に指示すれば良く、検知や判断や制御は、全てドライバ61が担う。
【0045】
図9は、道路側システムと車両側システムの無線通信を示す図である。高速道路には、ITSスポット4が配置されており、ITSスポット4には、路側機63が設置されている。図9Aに示すように、ITSスポット4では、路側機63と車両2aに搭載されたナビゲーション装置3とが双方向通信を行い、図9Bに示すように、ITSスポット4が中継する事により、ナビゲーション装置3と道路側のサーバ5とが通信する。
【0046】
ITSスポット4で、車両2bのナビゲーション装置3は、サーバ5にプローブデータ(機器ID、車両番号、位置、速度を含む)を送信する。機器IDはナビに割り当てられたIDであるが、機器IDにより車両を特定する事が出来るので、機器ID は車両のIDでもある、と言える。ITSスポット4は4km~10km間隔で設置され、車両が通過する度にプローブデータの送信を繰り返すので、渋滞が発生した時に、サーバ5は渋滞箇所に向かう車両のIDのリストを作成できる。
【0047】
図9Cに示すように、サーバ5はVICS放送により、車両2cのナビゲーション装置3に渋滞情報などを含む下りデータを送信する。下りデータは、例えばパケットを含むデータフィールドであり、データフィールドは複数のパケットを含んでも良い。通常、VICS放送は受信相手を特定しないが、所定のヘッダで始まるパケットを受信した時に、車両側が機器ID(つまり車両のID)とヘッダに含まれるIDを照合し、IDが一致した場合は自車両宛のパケットであると判断するプロトコルを追加することにより、特定の車両を受信車とするパケット送信を行うことができる。
【0048】
また、ヘッダが複数のIDを含むデータフォーマットにすることにより、複数の車両を受信車として同じパケットを送信する1対多の送信ができる。VICS放送だけに着目すると片方向の通信であるが、車両2は、ITSスポット4を通過する時にVICS放送で受けた指示に対応する応答を送信できる。つまり、車両2はITSスポット4を通過するまで応答できない点が通常の通信と異なるが、全体として双方向通信である。
【0049】
高速道路側のシステムは道路を監視しており、渋滞が発生した時に渋滞箇所を検出できる。例えば、道路の監視カメラ画像を人が見て、監視カメラの位置で渋滞を検出したと判断してもよい。渋滞箇所の検出結果は、道路管制センタ6にあるサーバ5に入力される。渋滞箇所は既に発生しているものに限らず、渋滞が発生すると予想される箇所であっても良い。例えば、交通量が多い時には、ジャンクションや、トンネルの入り口を先頭とする渋滞が発生する事が多いので、その手前の地点が渋滞箇所になると予想して渋滞対策を実施しても良い。サーバ5は、入力される渋滞の渋滞長が増加している場合、または、交通量の情報などから、渋滞の発生や成長が予想される場合に、渋滞対策を実施する渋滞箇所を決定し、サーバ5は渋滞箇所に向かう車両に規制走行を要請する。
【0050】
要請の対象となる車両は、渋滞箇所に接近する方向に走行している車両のうち、渋滞箇所までの走行時間が、所定の範囲(例えば5分から20分)にある車から選択する。下限を設ける理由は、渋滞箇所に近すぎると、規制走行を要請しても規制線21を形成する前に渋滞箇所に達したり、規制線21を形成して間もなく渋滞箇所に達したりして、規制走行の効果が期待できないためである。上限を設ける理由は、規制走行を含む渋滞の影響を、不必要に広げないためである。
【0051】
上述のように、ITSスポット4で車両2はサーバ5に機器ID、位置、速度を含むプローブデータを送信しているので、サーバ5は、前記の条件に該当する複数の車両を特定できる。サーバ5は規制走行を要請したい複数の車両の機器IDを含むヘッダと、規制走行の要請を含むパケットをVICS放送により放送する。
【0052】
これまで、ITSスポット4で送信するプローブデータを上りデータ、VICS放送により放送するデータを下りデータとして説明してきたが、サーバ5と車両の間の通信は、公衆回線を介して行っても良い。
【0053】
つまり、車両が送信する上りデータを受信する受信手段と、車両に向けて下りデータを送信する送信手段と、を備え、上りデータは、少なくとも車両のIDと位置情報と進行方向の情報とを含み、道路監視手段が渋滞箇所を検出した時に、上りデータに基づいて、渋滞箇所に向かう車両のうち、所定範囲内を走行する複数の車両を参加車両として特定し、参加車両のIDと、規制走行の要請とを、下りデータに含めて送信するサーバ5を実現する上で、受信手段と送信手段は、携帯電話回線などの公衆データ回線に接続する装置であってもよい。例えば、サーバ5と参加車両は、インターネットで接続されたサーバと端末の関係であっても良い。
【0054】
携帯電話回線を利用する場合、サーバ5は規制走行の要請を、マルチキャストにより複数の車両に同時に送信しても良いし、複数のコールを同時に発呼する事により、複数の車両に同時に参加を要請しても良い。携帯電話回線を利用する場合、車両が応答する場所はITSスポット4に限定されず、参加要請を受けた時点で直ちに参加・不参加を回答する事も出来る。
【0055】
ヘッダで指定されたIDを持つ車両が規制走行に応じた場合、車両はITSスポット4を通過する際に、規制走行に参加したことを申告してもよい。ITSスポット4は、料金所の手前には必ず設置されている。サーバ5は通行料金の課金時に、規制走行に参加した車両の通行料金を割り引いてもよい。このように規制走行に参加した車両にインセンティブを与える制度を実施する事を、制度の実施以前から広く周知させることにより、規制走行に対応する機器の普及を加速させておくと良い。そうすれば、制度の実施直後においても、規制走行に参加する車両を多くすることができる。インセンティブは金銭的利益が直接的で判り易いが、クジ引きする権利や、施設利用の優先権のような、間接的利益でも良い。
【0056】
図10は、本実施の形態におけるデータフォーマットの例を示す図である。以下に、VICS放送で発信するデータフォーマットの一例を示す。このデータフォーマットの例は、通信で伝送されるデータのイメージを示すものであり、実施の際は別のフォーマットを用いてもよい。データフォーマットは、パケットフォーマットと言い換えてもよい。
【0057】
先頭語71はパケットの開始を表すワードであり、先頭語71から終了語72までのデータ列が一つのパケットを構成する。なお、本実施例において「ワード」は、1単位のデータを示し、2Byteを意味するものではなく、Byte単位で表せることも必須ではない。例えば、ヘッダ部73は複数のIDのリスト:ID1~IDnを収め、そのID数を先頭語71の次に収めているが、ID数を表すには1Byteあれば十分であり、8bit未満であってもよい。例えば、一つのパケットで参加を要請する台数を15台までに制限する場合、ID数を4bitで指定しても良い。
【0058】
ID数に、ID数で指定した数の機器IDが続き、次のワードが命令語である。呼び名を命令語としているが、受信する側は命令に従う義務は無いので、命令を要請と読み替えてもよい。命令語には、例えば、規制走行の要請、規制走行の終了の通知、指定速度の通知、などがある。命令語によっては、情報のワードを付加することがある。例えば、指定速度の通知の命令語には、指定速度のワードを付加するが、規制走行の要請や、規制走行の終了の通知の命令語には、情報のワードを付加しない。
【0059】
パケットの先頭から最後のIDまでをヘッダ部73と呼び、最初の命令語から終了語72までを命令部74と呼ぶ。命令部74は、複数の命令語を収めることができる。例えば、規制走行の要請の命令語と、指定速度の通知の命令語に指定速度のワードを付加したものと、を収めることができるので、一つのパケットの中で、規制走行の要請と指定速度の通知を一度に送信することができる。また、規制走行を要請した車両のうち、一部の車両のIDを指定して規制走行の終了を通知してもよい。
【0060】
図11は、本実施の形態における参加車両が規制線を形成する運動を示す図である。車両の運転支援装置の入力部は、サーバが送信する下りデータを受信し、運転支援装置の状況判断部は、下りデータが車両のIDと規制走行の要請とを含む場合に、規制走行の要請を受けたと判断する。状況判断部53が、要請に応じた場合に、運転支援装置の指示部54は、ハザードランプの点灯を指示する。例えば、図11Aに示すように、道路管制センタ6のサーバ5の要請に応じて規制走行する車両は、ハザードランプ24を点灯させる。一つのパケットによる要請の受信は、車両間で時間差が無いので、略同時にハザードランプ24を点灯した車は参加車両である、と判定して良い。
【0061】
状況判断部53は、ハザードランプ24を点灯した他の参加車両の位置に応じて方針を決める。後方に参加車両Bを発見した参加車両Aは、後方の参加車両Bと合流することを方針とする。この時、図11Aに示すように、参加車両Aが走行車線上にいる場合は、そのまま指定速度まで減速させて後続の参加車両を待つ。図と異なり、参加車両Aが追越車線上にいる場合は、走行車線に車線変更させ、指定速度まで減速させて後続の参加車両を待つ。なお、参加車両Aを指定速度まで減速させるタイミングは、規制線21を形成した後でも良い。また、車線数が3車線あって、参加車両Aが第一走行車線以外を走行している場合は、第一走行車線に車線変更して後続の参加車両を待てばよい。
【0062】
一方、前方に参加車両Aを発見した参加車両Bは、前方の参加車両Aと合流することを方針とする。図11Bに示すように、参加車両Bが走行車線にいる場合、先ず参加車両Bを、追越車線に車線変更させる。図と異なり、参加車両Bが追越車線上にいる場合は、車線変更が不要である。なお、参加車両Bが車線変更している間は、一時的にハザードランプ24を消灯して、ウインカを点灯させ、車線変更を終了したらハザードランプ24を再点灯する。つまり、参加車両は原則としてハザードランプ24を点灯するが、車線変更する時は一時的にハザードランプ24を消灯してよい。参加車両Bが加速して前進すると、やがて参加車両Bが参加車両Aの側方まで進む。この時、つまり、他の参加車両が側方にある時に、他の参加車両の横に並ぶよう速度を制御する事により、複数の参加車両は規制線を形成する。
【0063】
例えば、図11Cに示すように、参加車両Bが参加車両Aに並んだ時に、車速を参加車両Aに合わせると、2台の参加車両が横に並んだ規制線21が形成される。なお、車線数が3車線以上あって、他の参加車両が側方にある時に、隣接する低速側車線に他の参加車両が無い場合は、参加車両は、隣接する低速側車線に車線変更する。例えば、車線数が3車線あり、追越車線を走行して他の参加車両の側方に進んだ時に、第二走行車線に参加車両が無い場合、第二走行車線に車線変更して、後続の参加車両を待てばよい。
【0064】
このように、車線数が3以上の場合も、他の参加車両と並んだ時に、低速側の車線に参加車両を詰めるルールを加えることにより、全ての車線に参加車両を並べることができる。参加車両は、少なくとも前記規制線を形成する時はハザードランプを点灯させるので、後方の後続車は規制線21が形成された事を視認できる。遅くとも、規制線21を形成した時に、参加車両は指定速度まで減速する。
【0065】
規制線21上の参加車両が、指定速度まで減速して走行すると、規制線21より後方の後続車は、参加車両や参加車両の後続車に追着いた時点で、指定速度付近まで減速する事を強いられ、規制線21の後方に後続車が連なる車群22が形成される。このように、サーバの要請に応じた参加車両が規制走行を行い、この規制走行は、参加車両に複数車線に並ぶ規制線を形成させるので、規制線21の後方に形成された車群全体の走行速度を規制することが出来る。
【0066】
上記の運動は、ナビゲーション装置3が指示して運転者に行わせてもよいし、自動運転車であれば、ナビゲーション装置3の指示に従って車両を自動制御することにより、目的とする運動を行わせてもよい。参加車両になるか否かについても、自動運転中であれば、ナビゲーション装置3の状況判断部53が自動的に判断しても良いし、手動運転中であれば、ドライバに照会した結果に基づいて、状況判断部53が判断しても良い。
【0067】
例えば、道路管制センタ6のサーバ5が規制走行を要請する下りデータを送信して、ナビゲーション装置3の入力部が下りデータを受信した時に、状況判断部53は、下りデータが車両のIDと参加要請を含む場合に、規制走行の要請を受けたと判断し、かつ、ドライバに規制走行への参加意思がある事を条件として、規制走行に参加する参加車両になると判断しても良い。参加意思は、例えば、ドライバが設定メニューから「参加要請があれば自動的に参加する」を選択する事により、予め設定されたものでも良いし、参加要請があった時点でドライバに照会して回答を得ても良い。照会は、例えば、「要請に応じる場合は、ハザードランプを点灯して下さい」とアナウンスする事でも良い。
【0068】
ここで、ドライバ61がハザードランプ24を点灯しないまま3秒間が経過した場合、状況判断部53は規制走行に参加しないと判断し、「規制走行の案内を終了します」とアナウンスし、誘導を終了してよい。このように要請を無視するドライバ61もいるので、道路管制センタ6のサーバ5は必要数よりも多めの車両に規制走行を要請しておけばよい。多めに要請した結果、車線数より多くの車両が規制走行に参加すれば規制線21を形成できる。
【0069】
ドライバ61が照会に応じて、3秒以内にハザードランプ24を点灯した場合は、状況判断部53は規制走行に参加すると判断し、「今、ハザードランプを点灯した車が参加車両です」「前方にハザードランプを点灯した車がいる場合は、その車に並んでください。車線変更する場合は、ハザードランプを消してウインカを点灯して下さい」と案内し、ハザードランプ24の消灯の後にウインカの点灯があれば、ウインカが消灯された時に、「ハザードランプを点灯して、ハザードランプ24を点灯した車に並んでください。」とドライバ61を誘導すればよい。その後、車速が規制速度と略一致したら、状況判断部53は規制線21が形成されていると判断して良い。
【0070】
ドライバ61が、加速やハザードランプ24の消灯を行わない状態が一定時間(例えば3秒)続いた時は、前方に参加車両が無いと判断し、「後方にハザードランプ24を点灯した車がいる場合は、走行車線上で(例えば)時速60kmに減速して下さい」と誘導する。ドライバ61が時速60kmに減速した場合は、後方に参加車両がいると判断し「後方の参加車両と並んだら、時速40kmに減速して下さい」と誘導する。その後、後方の参加車両が並んだ時点でドライバ61が車速を時速40kmに下げると、状況判断部53は規制線21が形成されたと判断する。ナビゲーション装置3は車速を関知するので、このように、車速に基づいてドライバ61の反応を判定しても良い。
【0071】
ドライバ61が車線変更も加速もせず、誘導に応じた減速もしない状態が一定時間(例えば3秒)続いた時は、他の参加車両を発見しなかった、と判断し、「他の参加車両と連携できないので、規制走行の誘導を終了します」と報知して、制御を終了してもよい。このように、他の車両と連携できない場合もあるので、道路管制センタ6のサーバ5は規制走行を呼び掛ける際に、互いに近い位置を走行する車両を指定するとよい。そうすれば、参加車両が他の参加車両と連携できる確率を高くできる。道路管制センタ6のサーバ5は複数の地点を走るグループを指定して規制走行を呼び掛けることもできるので、いずれかの地点で規制線21が形成できれば、車両の流入速度の減速は達成される。
【0072】
また、規制走行の要請を受けてから所定時間が経過しても他の参加車両を検出しない場合に、直ちに誘導を終了せず、合流方針(前方の参加車両と合流する、または、後方の参加車両の合流を待つ)を決めて運動し、他の参加車両を探しても良い。例えば、ナビゲーション装置3はVICS放送で得た情報に基づいて合流方針(前方か後方か)を決めてもよい。
【0073】
例えば、道路管制センタ6のサーバ5がヘッダ部73にIDを並べる際に、渋滞箇所に近い車両から順にIDを格納する規則を設けると、受信側(ナビゲーション装置3)は、自身のIDがヘッダに現れる位置とID数とにより、自車両の前方に他の参加車両が何台いるか、後方に何台いるか、の情報を得ることができる。つまり、下りデータは、参加車両の順序の情報を含めても良い。ID数は、サーバ5が下りデータの中で明示しても良いし、受信側が下りデータに含まれるID数を数えても良いので、下りデータは、参加車両の数を明示的に含まなくても良い。
【0074】
ナビゲーション装置3の入力部51は、サーバ5が送信する下りデータから参加車両の順序の情報を取得し、状況判断部53は、参加車両の順序の情報に応じて、前方の参加車両と合流する、か、後方の参加車両の合流を待つ、か、いずれかの合流方針を選択する。つまり、自身のIDをヘッダのID列の前半で検出した場合は後方の参加車両の合流を待つ事を合流方針とし、後半で検出した場合は前方の参加車両と合流する事を合流方針としてドライバを誘導する。例えば、ドライバ61の反応から、ドライバ61が他の参加車両を発見しなかった、と判断した時に、「加速して前方の参加車両を探して下さい」と「減速して後方の参加車両を探して下さい」のうち一方を、参加車両の順序の情報に応じて報知しても良い。そうすれば、車両は参加車両が多い方に移動するので、他の参加車両と合流できる確率が高くなる。
【0075】
サーバ5は、送信する下りデータに他の情報を加えても良い。例えば、サーバ5が渋滞領域の位置情報を下りデータに加えて送信し、ナビゲーション装置3の状況判断部53が渋滞領域の位置情報に基づいて、規制走行への参加/不参加を決める様にしても良い。例えば、ナビゲーション装置3が設定した目的地までの経路が渋滞領域を通らない場合、車両が規制走行に参加しても、途中で規制走行を抜ける事になるので、最初から規制走行に参加しないと判断しても良い。または、車両がサーバ5に送信するプローブデータに、目的地の情報を含めて送信させ、サーバ5が規制走行を要請する車両を選択する際に、目的地までの経路が渋滞領域を通る車両の中から選択する様にしても良い。
【0076】
道路管制センタのサーバ5は、一般車両にも渋滞回避への協力を呼びかけ、参加車両による規制走行を一般車両に周知する事により、参加車両と一般車両の摩擦を予防すると良い。例えば、「ハザードランプを点灯して並んでいる車両は、道路管制センタの要請に応じて速度規制を行う規制車両です。一般車両は、ハザードランプを点灯した規制車両を追い越さず、車間距離を保って後続して下さい。」の様な音声メッセージをVICS放送で送信すると良い。そうすれば、規制車両(参加車両)を「勝手に徒党を組んで走行を妨害している車群」と誤解して、無理に追い越そうとしたり、不要な通報を行ったりするドライバが現れる事を予防できる。
【0077】
また、道路管制センタの要請を受けた事を条件として、ハザードランプの点滅の周期や点滅のパターンを、通常と異ならせても良い。そうすれば、参加車両にとっても、参加車両を一般車両と識別し易くなる。更に、規制線を形成した時に、ハザードランプの点滅を同期させたり、周期を伸ばしたりしても良い。例えば、規制線を形成する3台の参加車両が、ハザードランプを暗から明、明から暗に、同じタイミングで変えるなら、3台の参加車両が一体化した様な印象を与える事が出来る。この時に、点滅の周期を伸ばして、通常よりもゆっくりと点滅させると、後続する一般車両のドライバの焦る気持ちを、沈静化させることが期待できる。
【0078】
規制走行を要請してから所定時間が経過した時点で、規制線21を構成せず、他の参加車両から孤立した参加車両を検出した場合に、道路管制センタのサーバ5は、孤立した参加車両のIDを指定して、規制走行の解除を通知することにより、規制走行の要請を取り消してもよい。規制線21を構成せず、単独走行する車がハザードランプ24を点灯し続けていると、無用の混乱を招くからである。
【0079】
また、サーバ5の指示に依らず、ナビゲーション装置3の状況判断部53が参加車両になる事を取り消して、ハザードランプ24を消灯してもよい。例えば、指示部54がハザードランプ24を点灯させた時点から、所定時間経過しても他の参加車両と合流していない場合、状況判断部53は参加車両になることを取り消し、指示部54はハザードランプ24を消灯させる。
【0080】
道路管制センタ6のサーバ5は、要所にカメラを設置して道路を監視しているので、監視カメラから得た画像からナンバープレートを読み取ることができるし、規制線21を形成している参加車両と、形成していない参加車両を識別することもできる。参加車両がITSスポット4を通過する時に、車両が送信するプローブデータにはIDと共に車両番号(ナンバー)が含まれているので、規制線21を形成していない車両のIDを特定し、その車のIDを指定して規制走行の解除を通知することができる。
【0081】
規制線21を形成した車両、または規制線21を形成しなかった車両の検出は、他の手段によってもよい。例えば、規制線21を形成した車両のナビが携帯電話回線でサーバ5にアクセスし、規制線21の形成を申告するようにしてもよいし、ITSスポット4を通過した際にプローブデータに情報を付加してサーバ5に通知するようにしてもよい。
【0082】
車両が規制線21を形成したことは、参加車両の側でも検知できる。車車間通信機能が利用できる場合は、並走する車両のIDと参加車両のIDを照合することにより規制線21を形成したと判定してもよいし、サイドカメラの画像からハザードランプ24を点灯した車両と並走していることを検出した時に、規制線21を形成したと判定してもよい。規制走行の要請を受けてから所定時間が経過した時点で規制線21を形成していない場合は、参加車両側で自主的に規制走行への参加を取りやめ、ハザードランプ24を消灯してもよい。
【0083】
図12は、本実施の形態における自動運転車が規制線21を形成する制御を示すフローチャートである。規制走行は、ナビゲーション装置3が運転手を誘導して実行させてもよいが、ナビゲーション装置3が車両制御装置41に指示を与えることにより実行させてもよい。本願の要点に絞って説明するため、初期状態<START>において、車両は片側2車線の高速道路を自動運転で走行中であり、規制走行の要請があった場合は自動的に要請に応じるよう、既に設定されていると仮定する。
【0084】
この状態から、規制走行の要請を含むVICS放送を受信しない場合(ステップS1、NO)、ナビゲーション装置3の状況判断部53は規制走行の処理フローを進めず、ステップS1でループさせる。つまり、要請を受信するまで何も処理しない。規制走行の要請を受信(ステップS1、YES)すると、規制走行の処理を開始する。先ず、ハザードランプ24を点灯し、ハザードランプ24を点灯した他車両を検知する(ステップS2)。本実施の形態では、要請があれば応じるように予め設定されていると仮定しているので、状況判断部53が規制走行に参加するか否か判断する処理は、フローの記載から省略している。
【0085】
規制走行は、指示の出力により実行される。具体的には、入力部51が規制走行の要請を受信すると、指示部54はハザードランプ24を点灯することを指示し、車両制御装置41が指示を実行する。また、指示部54はハザードランプ24を点灯した他車両を検知することを指示し、センサ制御装置38が検知を開始する。ステップS3以降の処理では、状況判断部53は、参加車両(ハザードランプ24を点灯した他車両)を検出した場合は、その方向に応じて運動方針(移動方向)を決め、検出しない場合は、パケット内の参加車両リストの中での順番に応じて運動方針を決める。
【0086】
前方に参加車両を検出した場合(ステップS3、YES)、状況判断部53は、前方の参加車両に並ぶことを方針として決定する。前方の参加車両と合流するため、自車両が走行車線を走行している場合(ステップS12、YES)は、自車両を車線変更させ(ステップS13)、自車両が追越車線を走行している場合(ステップS12、NO)、車線変更を行わせない。これを「前方の参加車両と合流する場合は、追越車線を走行させるルール」と言い換えても良い。どちらの場合でも、前方の参加車両と合流するため、車両を加速させる(ステップS14)が、加速は制限速度の範囲内で行わせるものとする。これを、前方にいた他の参加車両と並走状態になるまで継続させる(ステップS15、NO)。つまり、他の参加車両と並走状態になるか、制限速度になるまでは加速する。
【0087】
車両が他の参加車両と並走状態になった場合(ステップS15、YES)、左に参加車両が走行しているか確認し、左に参加車両が走行している場合(ステップS20、YES)は、自車位置を左の参加車両に合わせ(ステップS21)、左に参加車両が走行していない場合(ステップS20、NO)は、自車速を指定速度に合わせる(ステップS22)。
【0088】
並走する自動運転車が互いに位置を合わせる制御をすると、発振状態になることがあるので、左端の車両を基準して並走させ、左端の車両が指定速度で走行し、左端でない車両が左端の車両に位置を合わせる。どちらの場合も、ステップ20に戻り、並走状態を維持する。このようにして、前方に他の参加車両を検出した車両を、他の参加車両と合流させ、並走させることができる。
【0089】
ステップS3に戻る。前方に参加車両を検出しない場合(ステップS3、NO)、後方に参加車両を検出したか確認し、後方に参加車両を検出した場合(ステップS4、YES)、状況判断部53は、後方の参加車両の合流を待つことを方針として決定する。自車両が追越車線を走行している場合(ステップS16、YES)、走行車線に車線変更させ(ステップS17)、走行車線を走行していれば車線変更させない(ステップS16、NO)。これを「後方の参加車両の合流を待つ場合は、走行車線上で合流を待つルール」と言い換えても良い。
【0090】
続いて、車両を減速させる(ステップS18)が、減速は自車速が指定速度を下回らない範囲内で行わせるものとする。これを、後方にいた他の参加車両と並走状態になるまで継続させる(ステップS19、NO)。つまり、他の参加車両と並走状態になるか、指定速度になるまでは減速する。
【0091】
車両が他の参加車両と並走している状態になった場合(ステップS19、YES)、ステップS20に進むが、ステップS20以降の制御は先に説明しているので重複を避ける。このようにして、後方に他の参加車両を検出した車両を、他の参加車両と合流させ、並走させることができる。
【0092】
ステップ4に戻る。前方にも後方にも参加車両を検出しない場合(ステップS4、NO)、IDの順序が参加車両リストの前半か否かを判断し、参加車両の後半である場合、状況判断部53は、前方に進むことを方針とし、前半であれば後方の参加車両の合流を待つことを方針として決定する。
【0093】
参加車両リストの前半でなく、後半である場合(ステップS5、NO)、自車両が走行車線を走行しているか否かを判断し、自車両が走行車線を走行している場合(ステップS6、YES)、追越車線に車線変更をさせ(ステップS7)、車両を加速させる(ステップS8)。自車両が走行車線ではなく、追越車線を走行している場合(ステップS6、NO)は、そのまま車両を加速させればよい(ステップS8)。加速は制限速度を上限とし、他の参加車両を検出するまでステップ3以降をループする。
【0094】
その後、ステップ3またはステップ4で他の参加車両を検出した場合の制御は、前述の通りである。例えば、ループを廻る間に、後方に参加車両を検出した場合(ステップS4、YES)は、加速中であってもステップS16に分岐して、後方の参加車両と合流する制御に切り替えれば良い。
【0095】
ステップ5に戻る。参加車両リストの前半である場合(ステップS5、YES)、自車両が追越車線を走行しているか否かを判断する(ステップS9)。ここで、自車両が追越車線を走行している場合(ステップS9、YES)、車両を車線変更させ(ステップS10)、車両を減速させる(ステップS11)。自車両が追越車線ではなく、走行車線を走行している場合(ステップS9、NO)、そのまま車両を減速させればよい(ステップS11)。減速は指定速度を下限とし、他の参加車両を検出するまでステップ3以降をループする。
【0096】
その後、ステップ3またはステップ4で、他の参加車両を検出した場合の制御は前述の通りである。例えば、ループを廻る間に、前方に参加車両を検出した場合(ステップS3、YES)は、減速中であってもステップS12に分岐して、前方の参加車両と合流する制御に切り替えれば良い。このようにして、規制走行に参加した当初の時点では、他の参加車両を検出しなかった場合でも、車両を他の参加車両と合流させることが出来る。
【0097】
以上、自動運転で規制線21を形成させる運動を説明したが、前述したルールは手動運転にも適用可能であり、ナビ3がドライバ61を誘導する指示を適時に出力する事により、同じ運動を行わせる事が出来る。ドライバ61には指示だけを与えるのではなく、運動のルールや目的を併せて説明すると良い。そうすれば、ドライバ61は動作の流れを理解し、状況に応じた次の指示を予測して、スムーズに車両2を運動させることが出来る様になる。
【0098】
なお、規制走行の運動のルールや目的を説明する事は、自動運転中にも行うと良い。自動運転中、ドライバ61は指示を受けず操作もしないが、規制走行のルールを理解していれば、車両2の状況に応じた運動を予測できるので、不安を感じる事が無く、異常な運動ではないかと誤解してハンドルやブレーキを操作してしまう事を避けられる。一般に、自動運転中にドライバ61がハンドルやブレーキを操作すると、その時点で自度運転から手動運転に切り替わるので、規制走行の運動を続けさせる事が困難になる。
【0099】
サーバ5は、規制走行を要請するパケットを複数、送信することにより、複数の地点に規制線21を形成させることができる。また、一つのパケットで規制走行を要請された車両が、複数の地点で規制線21を形成することもある。監視カメラなどで複数の規制線21を検出した場合、サーバ5は規制線21を先頭とする車群が互いに分離するよう制御するとよい。サーバ5が送信する下りデータは複数のパケットを含み、複数のパケットを用いて、異なる参加車両のグループに異なる指示を送信する事が可能であり、これらの指示は指定速度の情報を含む。具体的には、異なる規制線を形成する参加車両には、異なる規制線が互いに遠ざかるように異なる指定速度を指定する。これを、異なる車群を率いる参加車両には、異なる車群が互いに分離するように異なる指定速度を指定する、と言い換えても良い。
【0100】
車群を互いに分離させると良い理由を説明する。車群22の途中で無理な車線変更などを起因とする一時的な速度低下が起きると、そこより後方の部分に速度低下が波及する。速度低下に巻き込まれた車両は、再加速する為にエネルギーを余計に消費するし、巻き込まれた車両のドライバはストレスを感じる。一方、車群22と後続する後続車群32の間が空いていれば、車群22で速度低下が起きても後続車群32には速度低下が波及しないので、後続車群32では余計なエネルギー消費やストレスが生じない。
【0101】
しかし、車群22と後続車群32が隙間なく連続していると、実質的に一つの大きな車群になってしまうので、前述の様な効果が期待できない。つまり、複数の車群を互いに分離させると、速度低下の様なマイナス事象が起きた時に、それに巻き込まれる範囲が限定され、全体の車の流れが良くなり、エネルギー消費や精神的疲労を抑制できる。
【0102】
また、車群が長くなると、車群の先頭から離れた位置では速度が一定せず、加減速を繰り返すために余計なエネルギー消費が発生する事がある。例えば、1台の車が直前に割込みされて急停止すると、その後続車も急停止する。最初に急停止した車が、後れを取り戻そうと急加速して先行車両に追付き、そこで急減速すると、その車に後続していた車が、急減速に驚いて急ブレーキを踏む。その後の車も、前が急停止したら自分も急停止し、前が急加速したら自分も急加速する、という近視眼的な加減速を繰り返すと、燃費が極端に悪化する。このような運動の繰り返しを俯瞰的に見ると、後方に伝播する加減速の波が定在波の様に見える。
【0103】
このような加減速の波は、規制車両がペースメーカーとして機能する車群の先頭付近では起きないので、複数の地点で車群を形成させ、車群が分離する様に制御する事によって、余計なエネルギー消費を抑制できる。例えば、車群22の後尾付近で加減速の波がある時に、後続車群32が隙間なく続いていると、後続車群32の規制車両も加減速を強いられ、ペースメーカーとして機能しなくなるが、車群22と後続車群32の間に十分な隙間があれば、後続車群32の規制車両は影響を受けず、ペースメーカーとして機能するので、余計なエネルギー消費は抑制される。
【0104】
以上、示したように、エネルギー消費の削減の為にも、複数の地点で車群を形成させ、車群が互いに分離するよう制御すると良い。つまり、複数の地点で形成された複数の規制線を検出した時に、サーバは、異なる規制線を形成する参加車両には、異なる規制線が互いに遠ざかるように異なる指定速度を指定する。
【0105】
例えば、車群22と後続車群32を分離する場合、第一の車群22を先導する参加車両と、後続する後続車群32を先導する参加車両とに、異なる指定速度を伝える。具体的には、第一の車群22を先導する参加車両のIDが第一のパケットに収まり、後続車群32を先導する参加車両のIDが第二のパケットに収まるようにパケットを分け、互いに離れるように、第一のパケットで指定する車群22の指定速度を、第二のパケットで指定する後続車群32の指定速度よりも速くする。
【0106】
例えば、一つのパケットで規制走行を要請された車両が、複数の車群(車群22と後続車群32)を形成した時に、参加車両に指示を与えるパケットを分け、先行する車群22の参加車両の指定速度を66km/hとし、後続する後続車群32の参加車両の指定速度を60km/hとすれば、車群22と後続車群32の間隔は毎分100mの速さで開くので、例えば3分後に先行する車群22の参加車両の指定速度を60km/hに戻すと、車群22と後続車群32の間隔が300m空いた状態を作れる。
【0107】
図13は、渋滞箇所に近づいた時の車群1(22),車群2(32),車群3(33)の速度の制御を示す図である。道路管制センタ6のサーバ5は、参加車両が渋滞箇所に接近するほど速度が低くなるように、指定速度を制御してもよい。つまり、サーバ5は、渋滞箇所までの距離に応じて、異なる指定速度を指示する。例えば、渋滞箇所まで5kmの参加車両に時速20kmの指定速度を指示し、渋滞箇所まで10kmの参加車両に時速30kmの指定速度を指示し、渋滞箇所まで15kmの参加車両に時速40kmの指定速度を指示する。
【0108】
そうすると、車群1,車群2,車群3の間隔は徐々に狭くなるが、相互の速度差が均等なので、その間隔も均等に短くなる。このように制御することで、先頭の車群22が渋滞に加わる時点を遅らせつつ、車群1,車群2,車群3が相互に分離されている状態を長く続かせることができる。
【0109】
また、頻繁に指定速度の変更を指示すると通信量が多くなるので、例えば、参加車両が渋滞箇所に接近するほど速度が低くなるように、指定速度を距離や時間の関数で指定し、車両側で指定速度を計算して、徐々に速度を落とすように制御してもよい。
【0110】
規制走行により車群22の速度を遅らせている間に渋滞が解消すると、そこに向かっていた車群22は停車せずに走行を継続できるので、その時点で規制走行に参加している全ての参加車両に規制走行の終了を通知してよい。その際、通知に時間差を付け、先頭の車群22から順に規制走行の終了を通知すると、車の流れがスムーズになる効果が得られる。
【0111】
規制走行している間に渋滞が解消せず、車群22が渋滞箇所に達して停止車両に加わることもあるが、渋滞箇所に近づくほど指定速度を下げる制御をしていれば、渋滞箇所に低速で追いつくことになるので、渋滞の最後尾に車両が減速せずに突っ込む形式の重大な追突事故の発生を予防することができる。車群22が渋滞に追いついた場合、その車群22の参加車両が停車した時点で、規制走行の終了を通知するとよい。
【0112】
規制線21を形成して規制走行している時に、道路状況の変化に対応して参加車両の配列を変更しても良い。図14は、本実施の形態における参加車両の配列を変更する運動を示す図である。規制走行では、全ての車線に参加車両が並ぶ規制線21を形成するが、高速道路の車線数は一定とは限らず、所により車線数が増減することがある。また、分岐路の手前では、図14Aに示すように、分岐路の側の車線に停止車両11が連なった車列があって、走行可能な車線数が実質的に減っていることがある。
【0113】
そうした、前方で走行可能な車線数が減少する場合は、規制線21の幅を縮小する規制線縮小運動を行わせる。規制線縮小運動は、前方で走行不可になる車線の参加車両が、規制線の前に出て、車線変更する運動を含む。規制線縮小運動は、サーバ5が指示して実行させても良いし、参加車両が、自主的に判断して規制線縮小運動を実行しても良い。
【0114】
例えば、道路管制センタ6側のサーバ5は分岐路の手前などの要所で道路を監視し、停止した車列の最後尾の位置を把握している。道路管制センタ6側のサーバ5は、に車群22が接近した時に、配列の変更の指示と、前方で走行不可になる車線の通知を行う。サーバ5は通知の中で、走行不可になる車線を走る参加車両を、IDで指定しても良い。通知を受けた参加車両は、規制線21の幅を縮小する規制線縮小運動を行う。通知を受けた参加車両のうち、前方で走行不可になる車線を走行する車両は、規制線の前に出て、車線変更する。または、前方で走行不可になる車線の参加車両が、自主的に判断して規制線縮小運動を開始しても良い。
【0115】
例えば、ナビゲーション装置3が、図14Aのように第一走行車線が走行不可になる車線であると判定した場合、ナビゲーション装置3の指示部54は第一のメッセージ:「第一走行車線を走る参加車両は、ハザードランプを消して加速して下さい」を出力して案内する。参加車両A~Cのうち、第一走行車線を走る参加車両に該当するのは参加車両Aだけなので、参加車両Aのドライバは、ハザードランプ24を消灯して加速する。参加車両Aのナビゲーション装置3は、ハザードランプ24が消えて加速した時点で、第二のメッセージ:「他の参加車両より前に出たら、右にウインカを点灯して車線変更して下さい。」を出力して案内するとよい。ここで、参加車両Aのセンサ制御装置38が走行中の車線の種別を検知していて、第一走行車線を走行している事が、入力部51経由で状況判断部53に伝えられている場合、最初のメッセージのうち、「第一走行車線を走る参加車両は、」の部分は不要である。
【0116】
この時、参加車両Bのセンサ制御装置38が走行中の車線の種別を検知していて、第二走行車線を走行している事が、入力部51経由で状況判断部53に伝えられている場合、参加車両Bでは、ナビゲーション装置3の状況判断部53は、前記第一のメッセージの様な対応が不要なメッセージを指示部54に出力させる代わりに、「第一走行車線を走る参加車両が前に出て右に車線変更するので、速度を維持して下さい。」の様に、他の参加車両が位置を変える事を予告させても良い。いずれにせよ、参加車両Bは規制線縮小運動の初期段階では動かない。車両Cの場合も同様である。
【0117】
図14Bに示すように、走行車線を走る参加車両Aがハザードランプを消灯し、規制線21の前に出て車線変更する間、他の参加車両B、Cは車線変更を妨げないように指定速度を維持する。走行車線を走る参加車両Aがハザードランプを消灯した時点で、参加車両Aが規制線維持の対象でなくなった事が判るので、サーバ5の指示が無く、参加車両Aが自主的に規制線縮小運動を開始した場合にも、他の参加車両B、Cは指定速度を維持出来る。
【0118】
例えば、車両Bが自動運転している場合、参加車両Aがハザードランプを点灯して規制線21を形成している時は、車両Bは自車位置を左側の参加車両Aに合わせる制御を行うが、車両Aがハザードランプ24を消すと、車両Bからは参加車両と見做されなくなるので、自車両が最も左側の参加車両であると判断した車両Bが行う制御は、自車速を指示速度に合わせる制御に切り替わる。また、車両Bが手動運転の場合も、参加車両Aのハザード消灯を検知して「速度を維持して下さい」とナビ3が指示すれば、ドライバ61は参加車両Aの車線変更を妨げない様に待機する。
【0119】
この時、道路管制センタ6側のサーバ5が監視カメラ画像からナンバを読み取って参加車両Aを識別し、参加車両Aにだけ加速と車線変更を指示し、他の参加車両B、Cに速度維持だけを指示するようにしてもよい。図14Cに示すように、参加車両Aが車線変更を終えたら、他の参加車両B、Cは加速して良い。
【0120】
図15は参加車両Aが規制線21から外れた後の、参加車両の制御を説明する図であり、図15Aは図14Cと同じ図である。図14Cおよび図15Aの規制線82は、参加車両Aが規制線21から外れて穴が開いた不完全な規制線であり、その穴から後続車が抜け出すことがある。車群22を抜け出した後続車は規制を受けないことになるが、規制走行は車群22の単位で速度を制御することを目的としているので、数台の後続車が抜け出しても規制走行の効果に影響しない。例えば、図の車群22の前方に参加車両を先頭とする別の車群があれば、図の車群22を抜け出した後続車は、前方の車群に吸収されるだけである。
【0121】
規制線の近くを走行するが、規制線を形成していない参加車両を予備車両と呼ぶ事にする。例えば、図15の参加車両Aは予備車両である。予備車両は走行可能な車線の数が増えた時に走行可能になった車線に移動させ、全ての車線を塞ぐ規制線を再形成する事を目的として、規制線を維持している他の参加車両の前方を走行させると良い。予備車両Aの車幅方向の位置は、予備車両を第一走行車線に復帰させる事を前提とすると、第一走行車線に近い第二走行車線が適する様にも思えるが、予備車両になった直後の時点においては、規制線の穴から抜け出した後続車の車線変更を妨げない様にする配慮が必要である。
【0122】
規制線21から外れた参加車両A(予備車両A)が車線変更を始めたら、例えば、「右端車線に移動し、時速80kmで走行して下さい」のようにドライバに案内する。時速80kmは一例であり、それまでの指定速度より速い速度である。同時に、他の参加車両B,Cのドライバにも「時速80kmまで加速し、前方の参加車両に後続して下さい」のように案内する。
【0123】
予備車両Aを右端車線まで移動させる理由は、規制線21の穴から抜け出した後続車が、車線変更することを妨げないためである。例えば、参加車両Aを第二走行車線に留めると、規制線の穴から抜け出した後続車は、参加車両Aより前に出るまで車線変更が出来ず、前方の車列の後尾に接近してしまう恐れがある。一方、参加車両Aと他の参加車両B,参加車両Cに加速させる理由は、規制線21の後方の車両の間で、車間距離を広く取らせることにより、走行車線からの車線変更をし易くするためである。
【0124】
分岐の手前では分岐路の渋滞が本線上にまで波及し、分岐する側の車線が塞がる事がある。すると、それを避けようとする車が車線変更するために、速度低下や渋滞が起き易い。そのような場所を、車間距離が詰まった状態の車列が通り抜けようとすると、車線変更に失敗した車や、無理な割込みを受けた車が急停止する事象が多発し、渋滞や著しい速度低下が起きる可能性が高い。そのような、車線数が実質的に少なくなる箇所では、車間距離を広げさせて、車線変更をし易くすることが必要であり、規制線の幅を調整した後に参加車両を加速させるのは、そのための手段である。
【0125】
この加速は適切な時期に行われる必要があるので、配列の変更の指示と、速度変更の指示に分けて、別のパケットで送信するのではなく、参加車両の配列を変更する動作から、参加車両が加速するまでの動作までを一つのシーケンスとして設定しておき、配列の変更の指示を受けた時に、そのシーケンスを実行するようにしてもよい。参加車両が自主的に規制線縮小運動を開始した場合にも、比較的少数のルールに従って、他の車両の運動を検知した時に運動を開始する事により、サーバ5の指示が無くても、参加車両が有機的に連携する規制線縮小運動を行うことが出来る。
【0126】
例えば、参加車両Bや参加車両Cが、カメラで車両の移動を検知している場合は、規制線21を抜けた参加車両Aが車線変更を始めたことを検知した時に、ドライバ61に加速を案内すれば良いし、車車間通信で互いの運動を報知し合っている場合は、車線変更の報知を受けた時に案内すればよい。そのような検知や車車間通信の手段が無く、サーバ5の指示だけで実行させる場合は、配列の変更の指示の受信後、所定時間(例えば10秒)経過した時に案内するようにしてもよい。前述のように、規制線21を抜ける車両が多少あっても問題ないので、車線変更の開始に要する時間より多めに、所定時間を設定してもよい。
【0127】
例えば、前方で走行できなくなる車線にいた参加車両Aが、ハザードランプ24を消して加速して、規制線の前方でウインカ81を点灯して追越車線に車線変更する、という一連の運動をする場合、その他の参加車両B,Cは、参加車両Aの車線変更が始まるのを待って加速を始めても良いし、または、配列変更の指示を受けてから10秒経過した時に加速を始めても良い。
【0128】
道路管制センタ6の監視の元で、規制線21の幅を縮小する運動を行わせる場合、規制線21を抜けた参加車両Aが車線変更を始めたら、参加車両Aに対してサーバ5は図14Cに示すように加速しつつ右端の車線まで移動するように指示し、同時に、その他の参加車両B,参加車両Cに対して加速するように指示する。これにより、走行可能な車線数が実質的に減少する箇所で、渋滞が発生する事を予防する。
【0129】
また、道路管制センタ6のサーバ5は、走行可能な車線数が少なくなる箇所だけに限らず、走行可能な車線数が少ない区間は指定速度を高くし、指定速度まで加速する様に指示する。サーバ5、指定速度を走行可能な車線の数に応じて設定し、走行可能な車線数が少ない区間、または、走行可能な車線数が少なくなる箇所を走行させる際は、走行可能な車線数が多く、走行可能な車線数が少なくなる箇所に当たらない区間を走行させる際よりも、指定速度を高く設定する、と言い換えても良い。
【0130】
例えば、3車線の道路を指定速度=時速40kmで規制走行していた車群が、走行可能な車線数が2車線しかない区間を通過する場合を考える。この場合、車間距離が変わらないと仮定すれば、理論上、指定速度を1.5倍の時速60kmに上げて規制走行させると、2車線区間の交通量(時間当たりに通過する車両数)は、3車線を時速40kmで走行していた時と同じになる。
【0131】
実際には、速度を上げると車間距離が広がるので、指定速度を1.5倍に上げても、車線当たりの交通量は1.5倍にはならない。そこで、例えば、指定速度を2.25倍(1.5の二乗倍)の時速90kmに上げて走行させても良い。このように、指定速度を走行可能な車線の数に応じて設定する事により、交通量が一定になる様に制御すると、走行可能な車線数が少ない場所がボトルネックにならないので、そこを起点とする渋滞の発生を避けられる。
【0132】
このように、走行可能な車線が減少する箇所の手前から規制走行をしていると、参加車両をペースメーカーとして車群の速度を制御する事により、渋滞の発生を避けられる。同じ事は、ジャンクションの様に、交通量の集中によって渋滞が発生する箇所で行っても良い。その様な箇所では、交通量が多い時には渋滞が発生すると予見できるので、そこを予見した渋滞箇所として設定し、渋滞の発生を待たずに、予防的に規制走行を実施させても良い。
【0133】
例えば、二つの路線が合流するジャンクションでは、合流点を渋滞箇所として設定し、二つの路線上の渋滞箇所に向かう区間で規制走行を実施する。規制走行は、渋滞箇所のずっと手前から速度を制限し、渋滞箇所に近づくほど指定速度を低下させる。そして、合流点の手前で指定速度を上げて、合流点では車間距離が開いた状態にする。そうすると、他方から合流する車がスムーズに割込めるので、合流点で渋滞が発生しない。合流点のずっと手前から減速させる事になるが、ジャンクションで渋滞が発生した場合と比較すると、全体として、より早くジャンクションを通過できる。
【0134】
ジャンクションを通る車の交通量は、結局、ボトルネックである合流点の交通量(単位時間当たりの通過台数)で決まり、渋滞で速度がゼロに近い状態から加速して合流点を通過するよりも、速度を保って合流点を通過する方が、単位時間当たりに通過できる台数が多くなるからである。つまり、規制走行により車の流れる速度を積極的に制御し、速度を保ってボトルネックを通過できるようにした方が道路のキャパシティが上がるので、利用者の利便性も向上する。
【0135】
なお、合流する側はウインカ81を点灯する必要があるし、合流点では規制線21を維持できないので、合流点の少し手前からハザードランプ24を消灯させると良い。合流点を通過した参加車両には、指示速度を最高速度に上げて走行させ、合流点から遠ざかった時点で、規制走行の解除を通知しても良い。
【0136】
道路管制センタ6のサーバ5は、参加車両による走行速度の制御だけに頼らず、全ての車両に渋滞回避への協力を呼びかけ、渋滞が予想される箇所の手前では減速を要請し、走行可能な車線数が少ない場所は加速して通過するよう要請すると良い。また、道路管制センタ6のサーバ5は、分岐に向かう車両が車線を塞いでいる場合、そのことを全ての車両に報知し、分岐する車両以外は予め車線変更しておくように呼び掛けてもよい。そうすれば、分岐の手前で車線変更する車が少なくなり、車の流れがスムーズになると期待できる。以上、左端車線が塞がる場合を例に説明したが、例えば右端の車線が無くなる場合も、左右を入れ替えただけの同様の動作をすればよい。
【0137】
並走する車両が、互いに相手に速度を合わせようとしたり、互いに前後方向の位置を揃えようとしたりすると、速度が不安定になることがあるので、左端の車両、または右端の車両を基準として、他の車両は基準とする車両に前後方向の位置を揃える様にすると良い。例えば、フローで説明した例とは逆に、規制線21を形成する車両のうち、右端を走る車両は指定速度で走行させ、それ以外の車両は右側を走る車両を基準として前後方向の位置を揃えるようにしてもよい。また、基準とする側を固定せず、車線が増減する側とは反対の側の車両を、前後方向の位置の基準としても良い。例えば、左側に分岐がある区間では右端の車両を基準とし、右端の車線が無くなる地点の手前では左端の車両を基準とするように、サーバ5が指示しても良い。
【0138】
車両が左側を走行する国や地域では、分岐路には左端車線から分岐する事が多いので、分岐の手前で車線変更する参加車両は左端を走る車両である事が多い。そこで、右端を走る車両を前後方向の位置の基準としておくと、左端を走る参加車両が加速を開始した時点でハザードランプ24を点灯していても、その右を走る参加車両は左側の参加車両を基準としないので、加速に追随しない。つまり、加速とハザードランプ24の消灯のタイミングが前後しても、規制線の維持に影響が出ない。このような手順前後は手動運転では時として起きるので、車線が増減しない側の車両を基準とすると、誤操作に対する耐性が高まる、と言って良い。
【0139】
規制線21を形成している車両の他に予備車両があり、規制線21の前方に位置している場合は、予備車両が指定速度で走行し、後続する参加車両は予備車両と一定の車間距離を保つように制御してもよい。先行車両との距離を検知する機能は多くの車両に備わっているので、予備車両が規制線を先導している時は、予備車両と同一車線を走る参加車両が先行車両との距離を保つように制御し、規制線を構成する他の参加車両は、予備車両と同一車線を走る参加車両を基準として位置合わせすると良い。
【0140】
図16、および図17は、走行可能な車線数が増える場面で、予備車両が増えた車線に移動する事により、全ての車線を塞ぐ規制線101を形成する規制線拡大運動を示す図である。参加車両Aの状況判断部53は、自車両が規制線21を抜けた事の記憶、または自車両の後方に規制線21がある事の検知、または道路管制センタ6のサーバ5からの通知により、自車両が予備車両であると認識している。
【0141】
規制線を形成しない参加車両は、予備車両として規制線の付近を走行し、走行可能な車線が増加した時に、規制線の幅を拡大する規制線拡大運動を行う。例えば、参加車両Aの状況判断部53は、前方の道路状況の検知、またはナビゲーション装置3の地図情報、または道路管制センタ6のサーバ5からの通知、により走行可能な車線数が増える事を認識し、規制線拡大運動を行う。つまり、サーバ5からの通知が無くても、走行可能な車線数が増える事が判るので、ナビゲーション装置3は、ドライバ61に指示して規制線拡大運動を行わせても良い。
【0142】
規制線拡大運動は、予備車両が走行可能になった車線に車線変更し、規制線21を形成していた参加車両に並ぶ運動を含む。左側に車線が(実質的に)増える場合に、ナビゲーション装置3は事前に、図16Aのように、車両を左側に車線変更させる。分岐点、または車線数が増えるポイントで、参加車両Aのナビゲーション装置3は(実質的に)増えた車線に、車両を車線変更させ、図16Bのように、全ての車線を塞ぐ規制線101を形成する。
【0143】
図17は、右側に車線が増える場合の図である。規制線21より前の領域は、他の一般車両がいないので、横方向に自由に移動可能であり、左右どちらに車線が増えても対応できる。例えば、右側に追越車線が増える場合、図17Aのように、予備車両Aが予め右側に移動し、車線増に備えるとよい。予備車両Aは、図17Bのように追越車線に車線変更し、参加車両Cに位置を合わせる事により、全ての車線を塞ぐ規制線を形成する。
【0144】
予備車両Aが規制線21を抜けた参加車両である場合、規制線21の前方の位置で、規制線21に参加している参加車両と共に走行させれば良い。また、規制線21を形成する時に集まった参加車両のうち、車線数を上回った分の車両、つまり余剰の参加車両を、そのまま予備車両として規制線21の付近に走行させておいてもよい。
【0145】
予備車両の位置は、規制線21の後方でもよいが、規制線21より前方の方が良い。理由は、規制線21の後方では規制に参加しない一般車両が詰まっていて車線変更がしにくいのに対し、規制線21の前方は車両がおらず、車線変更がし易いからである。規制線21を形成する時に集まった参加車両のうち、形成された規制線21より前にいた参加車両については、規制線21の前方の一般車両が居なくなった後で規制線に接近すれば良いが、規制線21の後方は、規制走行に参加しない一般車両が詰まっているので、後方の参加車両(予備車両)が規制線に接近する事は難しい。
【0146】
そこで、図18Aのように、予備車両が規制線21の後方にある場合は、予備車両が規制線21を形成する参加車両と入れ替わる予備車両入替え運動を行うと良い。予備車両入替え運動は、予備車両の前方で規制線21を形成する参加車両と予備車両とが加速し、速度を維持した参加車両と予備車両とが並ぶ事により規制線21を再形成する運動である。
【0147】
図18は、本実施の形態における予備車両入替え運動を示す図である。例えば、図18Aに示すように、参加車両Aと,参加車両Bが規制線21を形成していて、参加車両Bの後方に参加車両Cが位置している時に、参加車両Bは、後方の参加車両Cが接近するのにタイミングを合わせて加速する。または、サーバ5が参加車両Bと参加車両Cに、同時に加速を指示しても良い(図18B)。この時、参加車両Bと、参加車両Cの間に、参加車両でない一般の後続車91が挟まっていても構わない。参加車両Bが参加車両Aの前方に進むと、空いたスペースに後続車91が進み、それに後方の参加車両Cが続く。参加車両Bは参加車両Aの前方で車線変更する(図18C)。
【0148】
参加車両Bの車線変更によって空いたスペースに一般の後続車91が進むと、参加車両Cが参加車両Aに並ぶ事が出来る。ここで、参加車両Cが速度を参加車両Aに合わせると、規制線21が再形成される(図18D)。この時点で、参加車両Aと,参加車両Cが規制線21を形成する車両であり、参加車両Bは予備車両になる。参加車両でない一般の車両は前方に進んでいなくなるので、規制線21の前に予備車両Bだけが残り、他の車の影響を受けずに車線変更ができる状態になる。
【0149】
予備車両は、車線数が実質的に増えた時に増えた車線に車線変更し、規制線21に参加している参加車両と並走して全ての車線を塞ぐ規制線101を形成する役目がある。よって、進行方向で(実質的に)車線数が増えることになる場合は、規制線21の前方に予備車両を確保しておくとよい。また、規制線21を形成していた参加車両が、パーキングエリアの利用の為に規制線を離脱することもある。よって、車線数の増減が無くても、予備車両を確保しておいた方がよい。
【0150】
一般に、規制線の後方の車群内では、位置を変える事が困難なので、他の参加車両と合流したくても出来ない事がある。予備車両入替え運動を行うと、一時的に車群内が移動可能になるので、規制線の後方からも合流し易くなる。例えば、参加車両Cの後方を別の参加車両が走行していた場合に、予備車両入替え運動を連続して行う事により、複数の予備車両を規制線の前方に出しても良い。
【0151】
予備車両を入れ替える運動は、規制線21の後方にいる参加車両を道路管制センタのサーバ5が検出した時に、道路管制センタのサーバ5が命令を送信して行わせてもよいし、参加車両側の要請に基づいて、サーバ5による指示で開始する様にしても良い。または、参加車両が車車間通信で互いの相対位置を検出し、規制線21の前方に予備車両が位置するように、自主的に車両の配置を組み替えてもよい。
【0152】
図19は、本実施の形態における自動運転車の予備車両を入替える運動を示すフローチャートである。予備車両の入れ替えは、実施する場所が道路管制センタ6のサーバ5で特定しにくいので、サーバ5による指示で実施しても良いが、参加車両側だけの制御で実行できることが好ましい。
【0153】
以下に、ナビゲーション装置3が自動運転車の車両制御装置41に指示を与えることにより予備車両を入れ替える制御のフローを説明するが、自動運転車でなくても、車両が一定の検知機能を備えていれば、ナビゲーション装置3がドライバを誘導することにより、同様の運動を行わせることが可能である。
【0154】
本願の要点に絞って説明するため、このフローを実行する主体である自車両は、初期状態<START>において、規制線21を形成している参加車両であり、後方から規制線21に接近する参加車両と同じ追越車線を走行していると仮定する。規制線21に後方から接近する参加車両は、前方の参加車両の存在を検出していて、それと合流する方針で走行しており、前述の「前方の参加車両と合流する場合は、追越車線を走行させるルール」により、追越車線を走行して接近すると仮定する。つまり、規制線21を走行している参加車両のうち、追越車線を走行する参加車両が、接近する参加車両と入れ替わる参加車両に該当する。
【0155】
後方の所定距離の範囲内に参加車両を検出した場合(ステップS31、YES)、後方の参加車両は同一車線を走行しているか判断し、後方に参加車両を検出した場合(ステップS32、YES)、ハザードランプ24を消灯し、加速する(ステップS33)。このハザードランプ24の消灯するにより、車両は、規制線を形成する他の参加車両の、位置合わせの対象から外れる。加速した事により、車両は、他の参加車両より前に進む。
【0156】
続いて、他の参加車両の前方に移動した時点で(ステップS34、YES)、車両は左へ車線を変更する(ステップS35)。車線変更の終了後、車両はハザードランプ24点灯し、自車速を指定速度に合わせる(ステップS36)。この後、後方の参加車両が規制線21の穴を埋めて、車速を隣接車両に合わせると、予備車両の入れ替えが完了する(ステップS37)。
【0157】
本実施例は車両が左側を走行する交通ルールを前提に説明しているが、車両が走行する国や地域の交通ルールに合わせて左右を入れ替えて実施しても良い。また、走行車線、追越車線と記載した部分を、それぞれ、低速側車線、高速側車線、の様に読み替えて実施しても良い。例えば、参加車両が、前方の参加車両と合流する、か、後方の参加車両の合流を待つ、か、いずれかの合流方針を選択した時の車線選択のルールは、「前方の参加車両と合流する場合は、追越車線を走行させ、後方の参加車両の合流を待つ場合は、走行車線上で合流を待つ」であっても良いし、「前方の参加車両と合流する場合は、高速側車線を走行させ、後方の参加車両の合流を待つ場合は、低速側車線を走行させる」であっても良い。
【0158】
また、規制走行を行うための運動のルールは、車線数などに適応させる為に変更しても良い。例えば、車線数が3以上ある場合は、規制線を形成する為に「他の参加車両が側方にある時に、隣接する低速側車線に他の参加車両が無い場合は、前記隣接する低速側車線に車線変更する」ルールを加えると良い。例えば、第一走行車線と第二走行車線と追越車線がある場合、後方の参加車両の合流を待つ参加車両が第二走行車線にいた場合は第一走行車線に車線変更し、前方の参加車両と合流する参加車両は追越車線に車線変更して加速する。
【0159】
この追越車線を走行する参加車両が第一走行車線で待っていた参加車両の側方に進んだ時に、前述のルールに従って、追越車線から第二走行車線に車線変更させても良い。または、「前方の参加車両と合流する場合は、高速側車線を走行させ、後方の参加車両の合流を待つ場合は、低速側車線を走行させる」ルールに従い、追いついた参加車両は、待っていた参加車両の側方に進んだ時点で、合流を待つ側に立場が変わるため、低速側車線に車線変更する、と解釈してもよい。どちらの場合でも、合流した参加車両は、低速側の車線から順に詰めて並び、後続する参加車両を待つことになる。
【0160】
また、規制走行を行うための運動のルールは、様々な状況に適応させるために、追加しても良い。例えば、規制線21を形成していた車両がパーキングエリアの利用などの理由で規制線21を離脱する場合には、ハザードランプ24を消灯してから所定時間が経過後に加速を開始して、規制線21から前方に離脱する事をルールとしても良いし、規制走行を終了する事を公衆回線で道路管制センタ6に報知させても良いし、車車間通信で規制線21を離れる事を他の参加車両に報知させても良い。前述のように、規制線21の穴から抜け出す後続車が多少あっても問題ないが、何らかの方法で規制線21からの離脱がある事が判っていれば、予備車両は規制線21の穴を塞ぐ運動を早い時点で開始することが出来る。
【0161】
例えば、第一走行車線の参加車両がパーキングエリアの利用の為に規制線21を離脱する時に、予備車両が第一走行車線で待機していれば、離脱した参加車両は単に進路変更してパーキングエリアに向かえば良い。規制線21は、第一走行車線で待機していた予備車両に、他の参加車両が加速して並ぶ事により復旧するので、第一走行車線の参加車両がパーキングエリア側に車線変更した時に後続車が加速しても、後続車は規制線21の前に出られない。また、予備車両が第一走行車線に位置していれば、第二走行車線の参加車両が加速して離脱する場合に、離脱する参加車両の加速を妨げず、離脱した後は直ちに車線変更して、規制線21の穴を塞ぐ事が出来る。追越車線の参加車両が離脱する場合は、予備車両が第二走行車線に車線変更するのを待って離脱すれば良い。
【0162】
規制線21の前方に置く予備車両は、高々1台あれば十分なので、予備車両が複数台ある時に、一部の予備車両を規制線21の後方に残しても良い。そうしておけば、規制線21から参加車両が離脱する時に、予備車両入替え運動の要領で規制線を再形成できる事がある。また、規制線21から参加車両が離脱して穴が開くと、穴から漏れ出る一般車両に混じって、規制線21の後方の予備車両が規制線21の穴に向かう事が出来る。そして、予備車両が他の参加車両に並んだ時に速度を揃えれば、完全な規制線21が復旧する。または、規制線21の前方に複数の予備車両を出して、予備車両に別の規制線を形成させても良い。規制線が二重になっていれば、一部の参加車両が離脱しても、車群の速度制御を維持できる。規制線を二重にする場合、規制線の間隔を広くしておくと、参加車両が離脱する時に運動し易い。
【0163】
また、参加車両が抜けた規制線21の穴は、自主的に規制走行に参加する一般車両によって塞がれても良い。例えば、規制線21の穴に近づいた一般車両がハザードランプ24を点灯して参加車両に並び、以後、参加車両として振舞えば、完全な規制線21が復旧する。自主的な参加車両はITSスポット4で規制走行に参加した事を申告しても良いし、インターネットでサーバ5にアクセスして申告しても良いし。道路管制センタ6が規制線21を形成している参加車両のナンバを読み取って、自主的な参加車両を正式な参加車両として認定しても良い。ETC2.0を装備している車両は、全てプローブデータを送信しているので、道路管制センタ6は車両のナンバから参加車両のIDを特定できる。つまり、自主的な参加車両であっても料金の割り引きを受けられる。
【0164】
前述の様に、規制走行に参加する車両は、自動運転である必要は無く、手動運転であっても構わないが、走行中の車線の種別を識別し、周辺の車両のハザードランプ24を検知して、検知結果(周辺の状況)に基づいてドライバ61に指示する機能を備える事が望ましい。そうすれば、状況に応じてドライバ61を誘導する事が出来るので、規制走行のルールが多少、複雑になっても、ドライバ61はルールを覚えておく必要が無い。例えば、前方に停車車両があった時に、規制線縮小運動を指示したり、規制線21の穴に遭遇した時に、規制走行に参加する事をドライバ61に提案したりする事も出来る。
【0165】
また、予備車両や自主的な参加車両が無く、完全な規制線21を復旧できない場合は、一般車両の漏れ出しが続いて、有効な規制走行が出来なくなる。道路管制センタ6は、そのような状況を道路監視で検出した場合に、規制線21を形成していた参加車両に規制走行の解除を通知しても良い。また、有効な規制走行が出来なくなった事を、車両側で判断して規制走行を終了しても良い。一つの規制線21が解消されても、前方に別の規制線があれば、渋滞領域に車両が流入する速度は変わらないし、後方に別の規制線があれば、後方の車群には影響が及ばないので、一つの規制線の維持に拘る必要は無い。
【0166】
以上、説明した通り、渋滞が発生した時には規制線21の形成を伴う規制走行を行わせる事により、早期に渋滞を解消する事ができるので、高速道路を利用する車は、より短時間で目的地に到着することが出来る。つまり、規制走行を行わせる事により、高速道路を利用する車両は、時間的な利益を得ることが出来る。また、規制走行に参加した車両は、利用料金の割引により、金銭的な利益(インセンティブ)を得ることが出来る。
【0167】
高速道路会社も、規制走行により金銭的利益を得ることが出来る。長時間解消しない大渋滞が発生すると、一般道を走る事を選択する車両が増え、高速道路会社は通行料金の収入が減る。逆に、渋滞が発生した時に規制走行を行わせ、早期に渋滞を解消させれば、高速道路会社は、車両が一般道に逃げる事による遺失利益を減らす(つまり利益を得る)事が出来る。ここで発生する増益は、少数の参加車両の通行料金を割り引くことで発生する減益を、大きく上回るはずである。
【0168】
また、渋滞が長時間に及ぶことが回避できる様になれば、車線数を増やしたり、新路線を拓いたりするための工事を、延期したり回避したり出来る可能性がある。行政も、渋滞に伴う無駄なエネルギー消費の削減、長距離ドライバの健康増進、物流の効率化、等のため、積極的な渋滞対策の導入を支援すべきと考える。
【0169】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、これらは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以上の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素とし良いし、国や地域、法規、ルール、慣習、等に応じて、任意に改変、追加した上で実施して良い。例えば、走行車線が道路の右端にある地域では、実施例の説明の、右と左を入れ替えて実施すれば良い。また、実施例は高速道路を例に説明したが、道路管理者が渋滞を監視していて、分岐が少ない道路であれば規制走行を実施可能であるので、有料道路や専用道、または主要国道で実施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本開示の渋滞対策方法は、道路管理システムのサーバの要請に応じた参加車両が、予め定められたルールに従って規制走行を行う渋滞対策の方法、サーバ装置及び運転支援装置に広く利用できる。
【符号の説明】
【0171】
1 道路管理システム
2 車両
3 ナビゲーション装置
4 ITSスポット
5 サーバ
6 道路管制センタ
11 停止車両
21 規制線
22 車群
24 ハザードランプ
31 レーダ
34 カメラ
38 センサ制御装置
39 舵角制御装置
40 速度制御装置
41 車両制御装置
51 入力部
52 記憶部
53 状況判断部
54 指示部
61 ドライバ
73 ヘッダ部
74 命令部
81 ウインカ
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