(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140749
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】航空機管理システム、及び航空機管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052064
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 克正
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】搭乗率を高めることによる効率の良い航空機の運航をサポートすることができる航空機管理システム、及び航空機管理方法を提供する。
【解決手段】航空機管理システム1は、複数の利用者についての利用者スケジュール情報と、航空機運航計画情報とに基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する利用者である適用可能利用者を抽出する適用可能利用者抽出部14と、第1所定人数以上の適用可能利用者U1,U2が抽出されたときに、適用可能利用者により使用される通信端末51,52に対して、特定日時における特定空路の移動に対応した特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報を送信するフライト利用提案部15と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者を対象として、各利用者により使用される通信端末から送信される各利用者の移動予定を示す利用者スケジュール情報を取得する利用者スケジュール情報取得部と、
航空機の運航計画が記録された航空機運航データベースにアクセスして、前記運航計画を示す航空機運航計画情報を取得する航空機運航計画情報取得部と、
複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報とに基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者である適用可能利用者を抽出する適用可能利用者抽出部と、
前記適用可能利用者抽出部により、第1所定人数以上の前記適用可能利用者が抽出されたときに、前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して、前記特定日時における前記特定空路の移動に対応した特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報を送信するフライト利用提案部と、
を備える航空機管理システム。
【請求項2】
前記特定フライト利用提案情報の受信に応じて前記適用可能利用者により使用される通信端末から送信される、前記特定フライトの利用を申請する特定フライト利用申請情報を受信することにより、前記適用可能利用者による前記特定フライトの利用申請を受け付ける特定フライト利用申請受付部と、
前記特定フライト利用申請受付部により前記特定フライトの利用申請が受け付けられた前記適用可能利用者の人数が、第2所定人数以上となった場合に、前記特定フライトを実施するための特定フライト手配処理を実行するフライト手配部と、
を備える請求項1に記載の航空機管理システム。
【請求項3】
前記第2所定人数は、前記特定フライトに使用される航空機の搭乗率が所定の判定搭乗率となる人数に設定されている
請求項2に記載の航空機管理システム。
【請求項4】
前記特定フライト利用提案情報には、前記特定フライトを利用することによって得られる前記適用可能利用者のインセンティブに関する情報が含まれる
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の航空機管理システム。
【請求項5】
地上移動体の運行計画が記録された地上移動体運行データベースにアクセスして、前記運行計画を示す地上移動体運行計画情報を取得する地上移動体運行計画情報取得部を備え、
前記適用可能利用者抽出部は、複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報と、前記地上移動体運行計画情報と、に基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動と、前記利用者の移動予定における移動開始地点から前記特定空路の出発地点までの地上移動経路である第1地上移動経路及び前記特定空路の到着地点から前記利用者の移動予定における移動終了地点までの地上移動経路である第2地上移動経路とのうちの少なくともいずれか一方における地上移動体による移動と、の組み合わせによる移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者を、前記適用可能利用者として抽出する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の航空機管理システム。
【請求項6】
複数の前記適用可能利用者について、前記第1地上移動経路又は前記第2地上移動経路において、共通する移動区間が認識される場合に、前記移動区間を乗合で移動する地上移動体の利用を提案する乗合地上移動体利用提案情報を、前記移動区間が認識された前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して送信する地上移動体利用提案部を備える
請求項5に記載の航空機管理システム。
【請求項7】
コンピュータにより実行される航空機管理方法であって、
複数の利用者を対象として、各利用者により使用される通信端末から送信される各利用者の移動予定を示す利用者スケジュール情報を取得する利用者スケジュール情報取得ステップと、
航空機の運航計画が記録された航空機運航データベースにアクセスして、前記運航計画を示す航空機運航計画情報を取得する航空機運航計画情報取得ステップと、
複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報とに基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者である適用可能利用者を抽出する適用可能利用者抽出ステップと、
前記適用可能利用者抽出ステップにより、第1所定人数以上の前記適用可能利用者が抽出されたときに、前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して、前記特定日時における前記特定空路の移動に対応した特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報を送信するフライト利用提案ステップと、
を含む航空機管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機管理システム、及び航空機管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機による移動を手配するサービスプロバイダと、車両による移動を手配するサービスプロバイダとを連携させて、利用者の空路による移動と陸路による移動とをマッチングさせた旅程候補を生成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空機の運航においては、搭乗率を高くすることにより効率の良い運航を行うことができる。しかしながら、上記背景技術では、利用者の要求に応じて航空機による移動を手配するため、航空機の搭乗率を高めることは考慮されていない。そのため、特に、VTOL機(Vertical Take-Off and Landing aircraft)等の搭乗者の定員が少人数である航空機について、搭乗率を高めて効率の良い運行を行うための改善の余地がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされてものであり、搭乗率を高めることによる効率の良い航空機の運航をサポートすることができる航空機管理システム、及び航空機管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、複数の利用者を対象として、各利用者により使用される通信端末から送信される各利用者の移動予定を示す利用者スケジュール情報を取得する利用者スケジュール情報取得部と、航空機の運航計画が記録された航空機運航データベースにアクセスして、前記運航計画を示す航空機運航計画情報を取得する航空機運航計画情報取得部と、複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報とに基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者である適用可能利用者を抽出する適用可能利用者抽出部と、前記適用可能利用者抽出部により、第1所定人数以上の前記適用可能利用者が抽出されたときに、前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して、前記特定日時における前記特定空路の移動に対応した特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報を送信するフライト利用提案部と、を備える航空機管理システムが挙げられる。
【0006】
上記航空機管理システムにおいて、前記特定フライト利用提案情報の受信に応じて前記適用可能利用者により使用される通信端末から送信される、前記特定フライトの利用を申請する特定フライト利用申請情報を受信することにより、前記適用可能利用者による前記特定フライトの利用申請を受け付ける特定フライト利用申請受付部と、前記特定フライト利用申請受付部により前記特定フライトの利用申請が受け付けられた前記適用可能利用者の人数が、第2所定人数以上となった場合に、前記特定フライトを実施するための特定フライト手配処理を実行するフライト手配部と、を備える構成としてもよい。
【0007】
上記航空機管理システムにおいて、前記第2所定人数は、前記特定フライトに使用される航空機の搭乗率が所定の判定搭乗率となる人数に設定されている構成としてもよい。
【0008】
上記航空機管理システムにおいて、前記特定フライト利用提案情報には、前記特定フライトを利用することによって得られる前記適用可能利用者のインセンティブに関する情報が含まれる構成としてもよい。
【0009】
上記航空機管理システムにおいて、地上移動体の運行計画が記録された地上移動体運行データベースにアクセスして、前記運行計画を示す地上移動体運行計画情報を取得する地上移動体運行計画情報取得部を備え、前記適用可能利用者抽出部は、複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報と、前記地上移動体運行計画情報と、に基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動と、前記利用者の移動予定における移動開始地点から前記特定空路の出発地点までの地上移動経路である第1地上移動経路及び前記特定空路の到着地点から前記利用者の移動予定における移動終了地点までの地上移動経路である第2地上移動経路とのうちの少なくともいずれか一方における地上移動体による移動と、の組み合わせによる移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者を、前記適用可能利用者として抽出する構成としてもよい。
【0010】
上記航空機管理システムにおいて、複数の前記適用可能利用者について、前記第1地上移動経路又は前記第2地上移動経路において、共通する移動区間が認識される場合に、前記移動区間を乗合で移動する地上移動体の利用を提案する乗合地上移動体利用提案情報を、前記移動区間が認識された前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して送信する地上移動体利用提案部を備える構成としてもよい。
【0011】
上記目的を達成するための第2態様として、コンピュータにより実行される航空機管理方法であって、複数の利用者を対象として、各利用者により使用される通信端末から送信される各利用者の移動予定を示す利用者スケジュール情報を取得する利用者スケジュール情報取得ステップと、航空機の運航計画が記録された航空機運航データベースにアクセスして、前記運航計画を示す航空機運航計画情報を取得する航空機運航計画情報取得ステップと、複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報とに基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者である適用可能利用者を抽出する適用可能利用者抽出ステップと、前記適用可能利用者抽出ステップにより、第1所定人数以上の前記適用可能利用者が抽出されたときに、前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して、前記特定日時における前記特定空路の移動に対応した特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報を送信するフライト利用提案ステップと、を含む航空機管理方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
上記航空機管理システム、及び航空機管理方法によれば、搭乗率を高めることによる効率の良い航空機の運航をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、航空機管理システムによる特定フライトの手配の態様の説明図である。
【
図2】
図2は、航空機管理システムの構成図である。
【
図3】
図3は、各利用者の移動予定の説明図である。
【
図4】
図4は、利用者の移動予定に適用した地上移動経路及び空路の例の説明図である。
【
図5】
図5は、特定フライトの利用提案処理の第1フローチャートである。
【
図6】
図6は、特定フライトの利用提案処理の第2フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.航空機管理システムによる特定フライトの手配]
図1を参照して、本実施形態の航空機管理システム1による特定フライトの手配の態様について説明する。
図1では、複数の利用者U1,U2に対して、航空機100の乗合による特定フライトSFを手配する例を示している。航空機100は、例えば、eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)である。
【0015】
航空機管理システム1は、通信ネットワーク300を介して、スケジュール管理システム200、地上移動体管理システム210、利用者U1により使用される通信端末51、利用者U2により使用される通信端末52等との間で通信を行う。通信端末51,52は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等の通信機能を有する端末機器である。航空機管理システム1は、航空機100を含む複数の航空機の運航計画が随時更新されて記録される航空機運航DB(データベース)32を備えている。航空機の運航計画には、定期的な航空機の運航スケジュールの他に、オンデマンドによるチャーター可能な航空機の空き状況等も含まれる。
【0016】
スケジュール管理システム200は、通信端末51,52で実行されるスケジュール管理アプリにより送信される利用者U1,U2のスケジュール情報を、通信ネットワーク300を介して随時受信し、スケジュールDB201に記録する。スケジュール情報には、利用者U1,U2の移動予定が含まれる。地上移動体管理システム210は、乗合車両、鉄道、路線バス等の地上移動体の運行状況が随時記録される地上移動体運行DB211を備えている。地上移動体の運行状況には、定期的な運行スケジュールの他に、レンタカーやシェアカー等の利用者からの依頼に応じて車両を手配するオンデマンドによる貸与車両の空き状況等も含まれる。
【0017】
航空機管理システム1は、スケジュールDB201にアクセスして利用者U1,U2のスケジュール情報USSkを取得することにより、スケジュール情報USSkから利用者U1,U2の移動予定を認識する。
図1の例では、吹き出しB1で示したように、利用者U1について、2023年3月31日に、自宅61の所在地点であるPs1を8:00に出発して、吹き出しB3で示した利用者U1が参加する会議が行われる施設80の所在地点であるPgに会議開始時刻10:30の15分前である10:15に到着する移動予定が認識されている。
【0018】
また、利用者U2について、吹き出しB2で示したように、2023年3月31日に、自宅62の所在地点であるPs2を8:10に出発して、吹き出しB3で示した利用者U1が参加する会議が行われる施設80の所在地点であるPgに、会議開始時刻10:30の15分前である10:15に到着する移動予定が認識されている。
【0019】
航空機管理システム1は、航空機運航DB32と地上移動体運行DB211を参照して、利用者U1,U2の移動予定に適用可能なフライトを、陸路での移動の所要時間を考慮して探索する。すなわち、陸路での移動の所要時間を除いた時間内での空路の移動が可能なフライトを探索する。そして、航空機管理システム1は、ポートFsからポートFaまでの特定空路Raを、9:00~9:30で移動するフライトを、利用者U1,U2の移動予定に対して適用可能な特定フライトSFとして抽出する。
【0020】
航空機管理システム1は、利用者U1,U2に対して特定フライトSFの利用を提案し、利用者U1,U2からの利用申請に応じて、利用者U1,U2による特定フライトSFの利用を手配する。このように、複数の利用者U1,U2の空路での移動をまとめて、乗合による航空機100での移動を提案することにより、航空機100の搭乗率を高めることによる効率の良いフライトの実施をサポートすることができる。
【0021】
さらに、
図1の例では、利用者U1,U2の目的地点が共にPgであるため、航空機管理システム1は、ポートFsからPgまでの第2地上移動経路Rg2の移動を、シェア車両110で行うことを提案する処理を実行する。これにより、地上移動経路の移動についても効率良く行うことをサポートすることができる。
【0022】
[2.航空機管理システム1の構成]
図2~
図4を参照して、航空機管理システム1の構成について説明する。
図2を参照して、航空機管理システム1は、プロセッサ10、メモリ30、通信ユニット40等を備えたコンピュータシステムである。航空機管理システム1は、通信ユニット40により、上述したように通信ネットワーク300を介した通信を行う。
【0023】
メモリ30には、航空機管理システム1の制御用のプログラム31、上述した航空機運航DB32、航空機管理システム1により提供されるサービスの利用登録を行った利用者(上述した利用者U1,U2を含む)の情報が記録される登録利用者DB33等が保存されている。利用者の情報には、各利用者の自宅の住所、車両の所有の有無、日常的に利用する交通機関等が含まれる。
【0024】
プロセッサ10は、プログラム31を読み込んで実行することにより、利用者スケジュール情報取得部11、航空機運航計画情報取得部12、地上移動体運行計画情報取得部13、適用可能利用者抽出部14、フライト利用提案部15、フライト利用申請受付部16、フライト手配部17、及び地上移動体利用提案部18として機能する。
【0025】
利用者スケジュール情報取得部11により実行される処理は、本開示の航空機管理方法における利用者スケジュール情報取得ステップに相当し、航空機運航計画情報取得部12により実行される処理は、本開示の航空機管理方法における航空機運航計画情報取得部ステップに相当する。適用可能利用者抽出部14により実行される処理は、本開示の航空機管理方法における適用可能利用者抽出ステップに相当し、フライト利用提案部15により実行される処理は、本開示の航空機管理方法におけるフライト利用提案ステップに相当する。
【0026】
利用者スケジュール情報取得部11は、スケジュール管理システム200のスケジュールDB201にアクセスして、航空機管理システム1に登録された各利用者のスケジュール情報USSkを取得する。航空機運航計画情報取得部12は、航空機運航DB32を参照して、航空機管理システム1により管理される各航空機の運航計画情報を取得する。
【0027】
地上移動体運行計画情報取得部13は、地上移動体管理システム210の地上移動体運行DB211にアクセスして、地上移動体の運行計画情報GMSkを取得する。適用可能利用者抽出部14は、共通する日時における共通する空路での移動の適用が可能な利用者である、適用可能利用者を抽出する。
【0028】
適用可能利用者抽出部14は、各利用者のスケジュール情報USSkを参照して、
図3に示したように、各利用者の移動予定を認識する。
図3の利用者U1,U2は、
図1,2に示した利用者U1,U2に対応している。そして、適用可能利用者抽出部14は、航空機運航計画情報取得部12により取得される航空機運航計画情報と、地上移動体運行計画情報取得部13により取得される地上移動体運行計画情報とを参照して、共通する特定日における共通する特定空路での移動の適用が可能な利用者を、適用可能利用者として抽出する。
【0029】
図4には、共通する日時(2023年3月31日の9:00~9:30)における共通する空路(Fs→Fa)での移動の適用が可能な利用者U1,U2が、適用可能利用者として抽出される場合を例示している。この場合、適用可能利用者抽出部14は、
図1に示したように、利用者U1の移動開始地点である自宅の所在地点Ps1からポートFsまでの第1地上移動経路Rg11については、利用者U1が所有車両71で移動し、ポートFaから利用者U1の目的地点であるPgまでの第2地上移動経路Rg2については、シェア車両110の利用が可能であることを認識する。
【0030】
そのため、適用可能利用者抽出部14は、利用者U1について、所有車両71による第1地上移動経路Rg11の移動、及びシェア車両110による第2地上移動経路Rg2の移動との組み合わせにより、利用者U1の移動予定による目的地点Pgへの到着時刻10:15が確保できる特定空路Raの移動の適用が可能であると判断して、利用者U1を適用可能利用者として抽出する。
【0031】
また、適用可能利用者抽出部14は、利用者U2について、所有車両72による第1地上移動経路Rg12の移動、及びシェア車両110による第2地上移動経路Rg2の移動との組み合わせにより、利用者U2の移動予定による目的地点Pgへの到着時刻10:15が確保できる特定空路Raでの移動の適用が可能であると判断して、利用者U2を適用可能利用者として抽出する。
【0032】
フライト利用提案部15は、適用可能利用者抽出部14により抽出された適用可能利用者の人数が第1所定人数以上である場合に、適用可能利用者により使用される通信端末に対して、特定日における特定空路での移動に対応する特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報Frmを送信する。ここで、第1所定人数は、例えば、特定フライトに使用される航空機の搭乗可能な利用者の数に応じて、搭乗率が判定搭乗率(例えば50%)以上となる人数に設定される。
図2では、航空機管理システム1から適用可能利用者として抽出された利用者U1,U2の通信端末51,52に対して、特定フライトSF(
図1参照)の利用を提案する特定フライト利用提案情報Frmが送信される例を示している。
【0033】
特定フライト利用提案情報Frmには、特定フライトを利用する際に、適用可能利用者が、特定フライトの出発地までの地上移動経路の移動、又は特定フライトの到着地から地上移動経路の移動に利用することができる地上移動体の情報を含めてもよい。また、特定フライト利用提案情報Frmに、特定フライトを利用することによって得られるインセンティブ(利用料金の割引、クーポンの付与、買い物ポイントの付与等)の情報を含めてもよい。
【0034】
フライト利用申請受付部16は、特定フライト利用提案情報Frmを受信した適用可能利用者の通信端末から、特定フライトの利用を申請する特定フライト利用申請情報を受信することによって、適用可能利用者による特定フライトの利用申請を受け付ける。
図2では、適用可能利用者として抽出された利用者U1,U2の通信端末51,52から航空機管理システム1に対して、特定フライト利用申請情報Frqが送信される例を示している。
【0035】
フライト手配部17は、特定フライトの利用申請が受けて受け付けられた適用可能利用者の人数が第2所定人数以上になったときに、特定フライトを実施するための処理を実行する。ここで、第2所定人数は、例えば、特定フライトに使用される航空機の搭乗可能な利用者の数に応じて、搭乗率が判定搭乗率(例えば50%)以上となる人数に設定される。第2所定人数は、上記第1所定人数以下に設定される。フライト手配部17は、特定フライトが定期フライトであるときには座席を予約する処理を実行し、特定フライトがチャーターでのフライトになるときには、チャーターによるフライトを実行する航空機を確保する処理を実行する。
【0036】
地上移動体利用提案部18は、特定フライトと組み合わせた利用の適用が可能な地上移動体の情報を、適用可能利用者の通信端末に送信する。
図1の例では、利用者U1,U2に対して、ポートFaから目的地点Pgまでの移動に利用可能なシェア車両110の情報が、航空機管理システム1から利用者U1,U2の通信端末51,52に送信される。
【0037】
図1の例では、利用者U1と利用者U2の移動の目的地がいずれもPgであるため、地上移動体利用提案部18は、利用者U1,U2の通信端末51,52にシェア車両110の情報を送信した。これに対して、利用者U1と利用者U2の目的地が異なる場合は、地上移動体利用提案部18は、ポートFaから利用者U1の目的地点までの移動に適用可能な地上移動体の情報を、利用者U1の通信端末51に送信し、ポートFaから利用者U2の目的地までの移動に適用可能な地上移動体の情報を、利用者U2の通信端末52に送信する。
【0038】
[3.特定フライトの利用提案処理]
図5~
図6に示したフローチャートに従って、航空機管理システム1により実行される特定フライトの利用提案処理について説明する。航空機管理システム1は、
図5~
図6のフローチャートによる処理を、所定の制御サイクルごと、或いはイベントの開催等により特定空路での需要の高まりが予測される状況になった時、等に実行する。
【0039】
図5のステップS1で、適用可能利用者抽出部14は、利用者スケジュール情報取得部11により取得された各利用者のスケジュール情報USSkを参照して、
図3に示したように、各利用者の移動予定を認識する。続くステップS2で、適用可能利用者抽出部14は、各利用者の移動予定、航空機運航計画情報取得部12により取得された航空機運航計画情報、及び地上移動体運行計画情報取得部13により取得された地上移動体運行計画情報に基づいて、
図4に例示したように、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する適用可能利用者を抽出する。
【0040】
ここで、異なる複数の特定日時と特定空路での移動の条件について、移動予定への適用が可能な適用可能利用者が抽出された場合、航空機管理システム1は、各移動の条件について抽出された適用可能利用者のグループごとに、ステップS3以降の処理を個別に実行する。
【0041】
次のステップS3で、適用可能利用者抽出部14は、第1所定人数以上の適用可能利用者が抽出されたか否かを判断する。適用可能利用者抽出部14は、第1所定人数以上の適用可能利用者が抽出されたときはステップS4に処理を進め、第1所定人数以上の適用可能利用者が抽出されなかったときには
図6のステップS11に処理を進めて、今回の制御サイクルでの処理を終了する。
【0042】
ステップS4で、フライト利用提案部15は、適用可能利用者の通信端末に対して、上記特定日時における特定空路での移動に対応した特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報Frmを送信する。特定フライト利用提案情報Frmには、特定フライトの前後の陸路の移動で利用可能な地上移動体の情報を含めてもよい。
図1,
図2に示した例では、利用者U1,U2の通信端末51,52に特定フライト利用提案情報Frmが送信され、特定フライト利用提案情報Frmには、シェア車両110の情報が含まれる。
【0043】
続くステップS5,S6の処理により、フライト利用申請受付部16は、ステップS6で特定フライトの利用申請の受付け期間(例えば、特定フライトの実施日時の数日前等に設定される)が経過するまで、ステップS5で、適用可能利用者の通信端末から特定フライト利用申請情報Frqを受信したか否かを判断する処理を繰り返し実行する。フライト利用申請受付部16は、ステップS5で、特定フライト利用申請情報Frqを受信したときに、ステップS20に処理を進めて、適用可能利用者による特定フライトの利用申請を受け付け、ステップS6に処理を進める。
【0044】
ステップS6で、特定フライトの利用申請の受付け期間が経過した時に、フライト利用申請受付部16は、
図6のステップS7に処理を進める。
図6のステップS7で、フライト手配部17は、特定フライトの利用申請が受け付けられた適用可能利用者の人数が第2所定人数以上であるか否かを判断する。第2所定人数は、第1所定人数以下に設定される。
【0045】
フライト手配部17は、特定フライトの利用申請が受け付けられた適用可能利用者の人数が第2所定人数以上であるときはステップS8に処理を進め、特定フライトの利用申請が受け付けられた適用可能利用者の人数が第2所定人数以未満であるときにはステップS30に処理を進める。
【0046】
ステップS30で、フライト手配部17は、特定フライトの利用申請を受け付けた適用可能利用者の通信端末に対して、特定フライトの中止連絡情報を送信して、ステップS11に処理を進める。これにより、搭乗率が低く輸送効率が悪い状態で、特定フライトが実施されることが回避される。
【0047】
ステップS8で、フライト手配部17は、利用申請を受け付けた適用可能利用者の通信端末に対して、特定フライトの実施連絡情報を送信して、特定フライトの実施が確定したことを通知する。続くステップS9で、フライト手配部17は、特定フライトの実施を手配する。
図1の例では、利用者U1,U2が利用する特定フライトSFの実施が手配される。
【0048】
次のステップS10で、地上移動体利用提案部18は、特定フライトの出発地点までの第1地上経路、又は特定フライトの到着地点からの第2地上経路に、重複する移動区間がある適用可能利用者の有無を判断する。そして、地上移動体利用提案部18は、重複する移動区間がある適用可能利用者がいる場合はステップS40に処理を進め、重複する移動区間ある適用可能利用者がいないときにはステップS11に処理を進める。
【0049】
ステップS40で、地上移動体利用提案部18は、重複する移動区間がある適用可能利用者の通信端末に対して、重複する移動区間のシェア車両による移動を提案するシェア車両利用提案情報を送信し、ステップS11に処理を進める。これにより、地上の移動につても、効率の良い移動をサポートすることができる。
【0050】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、地上移動体運行計画情報取得部13を備えて、適用可能利用者抽出部14は、地上移動体による移動に所要時間を考慮して、共通する特定日時における共通する空路での移動の適用が可能な適用可能利用者を抽出した。他の実施形態として、地上移動体運行計画情報取得部13を省略して、地上での移動時間を、移動距離に応じて予め設定された想定所要時間等を用いて、共通する特定日における共通する空路での移動の適用が可能な適用可能利用者を抽出してもよい。
【0051】
上記実施形態では、地上移動体利用提案部18を備えて、地上での移動経路に重複区間がある適用可能利用者に対して、シェア車両による移動を提案する処理を行ったが、地上移動体利用提案部18を省略した構成としてもよい。
【0052】
上記実施形態において、航空機管理システム1は、スケジュール情報から移動計画が認識された複数の利用者を対象として、共通する特定日時における共通する特定空路の移動に対応した特定フライトの手配を行ったが、特定フライトについて、他の管理システム(旅行会社の予約システム等)により予約を行った利用者が存在する場合がある。そこで、この場合を想定して、以下の対応を行ってもよい。
【0053】
図5のステップS3において、ステップS2の探索より抽出された適用可能利用者と、他の管理システムで特定フライトを予約した利用者との合計人数が、第1所定人数以上であるか否かを判断する。
図6のステップS7において、特定フライトの利用申請が受け付けられた適用可能利用者と、他の管理システムで特定フライトを予約した利用者との合計人数が、第2所定人数以上であるか否かを判断する。
図6のステップS30において、他の管理システムで特定フライトを予約した利用者について、特定フライトの予約が確定している場合は、特定フライトの中止連絡情報の送信は行わずに、利用申請が受け付けられた適用可能利用者に対して特定フライトを手配する。
図6のステップS30において、他の管理システムで特定フライトを予約した利用者について、特定フライトの確定した予約人数が第2所定人数以上になることが特定フライトの実施条件として設定されている場合は、他の管理システムで特定フライトを予約した利用者に対しても、特定フライトの中止を連絡する。
【0054】
なお、
図2は、本願発明の理解を容易にするために、航空機管理システム1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、航空機管理システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、
図5、
図6に示した各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0055】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0056】
(構成1)複数の利用者を対象として、各利用者により使用される通信端末から送信される各利用者の移動予定を示す利用者スケジュール情報を取得する利用者スケジュール情報取得部と、航空機の運航計画が記録された航空機運航データベースにアクセスして、前記運航計画を示す航空機運航計画情報を取得する航空機運航計画情報取得部と、複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報とに基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者である適用可能利用者を抽出する適用可能利用者抽出部と、前記適用可能利用者抽出部により、第1所定人数以上の前記適用可能利用者が抽出されたときに、前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して、前記特定日時における前記特定空路の移動に対応した特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報を送信するフライト利用提案部と、を備える航空機管理システム。
構成1の航空機管理システムによれば、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する適用可能利用者を抽出して、特定日時における特定空路の移動に対応した特定フライトの利用を提案することにより、搭乗率を高めることによる効率の良い航空機の運航をサポートすることができる。
【0057】
(構成2)前記特定フライト利用提案情報の受信に応じて前記適用可能利用者により使用される通信端末から送信される、前記特定フライトの利用を申請する特定フライト利用申請情報を受信することにより、前記適用可能利用者による前記特定フライトの利用申請を受け付ける特定フライト利用申請受付部と、前記特定フライト利用申請受付部により前記特定フライトの利用申請が受け付けられた前記適用可能利用者の人数が、第2所定人数以上となった場合に、前記特定フライトを実施するための特定フライト手配処理を実行するフライト手配部と、を備える構成1に記載の航空機管理システム。
構成2の航空機管理システムによれば、特定フライトの利用申請を行った適用可能利用者の人数が第2所定人数以上であって、特定フライトの搭乗者がある程度確保される場合に、特定フライトの実施を手配することができる。
【0058】
(構成3)前記第2所定人数は、前記特定フライトに使用される航空機の搭乗率が所定の判定搭乗率となる人数に設定されている構成2に記載の航空機管理システム。
構成3の航空機管理システムによれば、特定フライトの搭乗率がある程度以上確保される場合に、特定フライトの実施を手配することができる。
【0059】
(構成4)前記特定フライト利用提案情報には、前記特定フライトを利用することによって得られる前記適用可能利用者のインセンティブに関する情報が含まれる構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の航空機管理シシステム。
構成4の航空機管理システムによれば、インセンティブに関する情報を提供することにより、適用可能利用者による特定フライトの利用を促すことができる。
【0060】
(構成5)地上移動体の運行計画が記録された地上移動体運行データベースにアクセスして、前記運行計画を示す地上移動体運行計画情報を取得する地上移動体運行計画情報取得部を備え、前記適用可能利用者抽出部は、複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報と、前記地上移動体運行計画情報と、に基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動と、前記利用者の移動予定における移動開始地点から前記特定空路の出発地点までの地上移動経路である第1地上移動経路及び前記特定空路の到着地点から前記利用者の移動予定における移動終了地点までの地上移動経路である第2地上移動経路とのうちの少なくともいずれか一方における地上移動体による移動と、の組み合わせによる移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者を、前記適用可能利用者として抽出する構成1から構成4のうちいずれか1つの構成に記載の航空機管理システム。
構成5の航空機管理システムによれば、特定フライトを利用する際の地上移動体による地上移動経路の移動を含めたトータルの移動条件の適用が可能な移動予定を有する利用者を、適用可能利用者として抽出することができる。
【0061】
(構成6)複数の前記適用可能利用者について、前記第1地上移動経路又は前記第2地上移動経路において、共通する移動区間が認識される場合に、前記移動区間を乗合で移動する地上移動体の利用を提案する乗合地上移動体利用提案情報を、前記移動区間が認識された前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して送信する地上移動体利用提案部を備える構成5に記載の航空機管理システム。
構成6の航空機管理システムによれば、特定フライトを利用する際に共通する地上の移動区間を移動する複数の適用可能利用者に対して、乗合により移動する地上移動体の利用を提案して、効率の良い地上での移動をサポートすることができる。
【0062】
(構成7)コンピュータにより実行される航空機管理方法であって、複数の利用者を対象として、各利用者により使用される通信端末から送信される各利用者の移動予定を示す利用者スケジュール情報を取得する利用者スケジュール情報取得ステップと、航空機の運航計画が記録された航空機運航データベースにアクセスして、前記運航計画を示す航空機運航計画情報を取得する航空機運航計画情報取得ステップと、複数の前記利用者についての前記利用者スケジュール情報と、前記航空機運航計画情報とに基づいて、共通する特定日時における共通する特定空路での移動の適用が可能な移動予定を有する前記利用者である適用可能利用者を抽出する適用可能利用者抽出ステップと、前記適用可能利用者抽出ステップにより、第1所定人数以上の前記適用可能利用者が抽出されたときに、前記適用可能利用者により使用される通信端末に対して、前記特定日時における前記特定空路の移動に対応した特定フライトの利用を提案する特定フライト利用提案情報を送信するフライト利用提案ステップと、を含む航空機管理方法。
構成7の航空機管理方法をコンピュータにより実行することによって、構成1の航空機管理システムと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0063】
1…航空機管理システム、10…プロセッサ、11…利用者スケジュール情報取得部、12…航空機運航計画情報取得部、13…地上移動体運行計画情報取得部、14…適用可能利用者抽出部、15…フライト利用提案部、16…フライト利用申請受付部、17…フライト手配部、18…地上移動体利用提案部、30…メモリ、31…プログラム、32…航空機運航DB、33…登録利用者DB、40…通信ユニット、50,51…通信端末、71,72…所有車両、100…航空機、110…シェア車両、200…スケジュール管理システム、201…スケジュールDB、210…地上移動体管理システム、211…地上移動体運行DB、300…通信ネットワーク、U1,U2…利用者、適用可能利用者。