IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特開-インダクタ部品 図1
  • 特開-インダクタ部品 図2
  • 特開-インダクタ部品 図3
  • 特開-インダクタ部品 図4A
  • 特開-インダクタ部品 図4B
  • 特開-インダクタ部品 図4C
  • 特開-インダクタ部品 図5
  • 特開-インダクタ部品 図6A
  • 特開-インダクタ部品 図6B
  • 特開-インダクタ部品 図6C
  • 特開-インダクタ部品 図7
  • 特開-インダクタ部品 図8
  • 特開-インダクタ部品 図9
  • 特開-インダクタ部品 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140757
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20241003BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20241003BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20241003BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F27/00 160
H01F27/28 K
H01F27/28 104
H01F27/32 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052075
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100188802
【弁理士】
【氏名又は名称】澤内 千絵
(72)【発明者】
【氏名】西 淑嘉
(72)【発明者】
【氏名】乾 真規
【テーマコード(参考)】
5E043
5E044
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E043BA01
5E044CA01
5E044CA06
5E070AA01
5E070AB01
5E070AB08
5E070CB03
5E070CB13
5E070CB17
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】マイグレーションの発生が低減されたインダクタ部品を提供する。
【解決手段】インダクタ部品は、複数の積層された絶縁層を有する素体と、前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、を備え、前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、前記第1外側コイル配線層の直流抵抗が0.18Ω以下である。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の積層された絶縁層を有する素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の直流抵抗が0.18Ω以下である、
インダクタ部品。
【請求項2】
前記第2外側コイル配線層と、前記第2外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第2外側コイル配線層の直流抵抗が0.18Ω以下である、
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
複数の積層された絶縁層を有する素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の線路長が670μm以下である、
インダクタ部品。
【請求項4】
前記第2外側コイル配線層と、前記第2外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第2外側コイル配線層の線路長が670μm以下である、
請求項3に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の断面積に対する、前記第1外側コイル配線層の線路長の割合が11μm-1以下である、
インダクタ部品。
【請求項6】
前記第2外側コイル配線層と、前記第2外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第2外側コイル配線層の断面積に対する、前記第2外側コイル配線層の線路長の割合が11μm-1以下である、
請求項5に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
定格電流の2倍の電流を印加したときに、前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層の軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の電界強度が、0.040V/μm以下である、
インダクタ部品。
【請求項8】
定格電流の2倍の電流を印加したときに、前記第2外側コイル配線層と、前記第2外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の電界強度が、0.040V/μm以下である、
請求項7に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層の巻回数は、1周未満であり、
前記第1外側コイル配線層の軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層の巻回数は、1周以上である、
インダクタ部品。
【請求項10】
前記第2外側コイル配線層の巻回数は、1周未満であり、
前記第2外側コイル配線層の軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層の巻回数は、1周以上である、
請求項9に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記第1外側コイル配線層の線路長が670μm以下である、
請求項1、2および5から10のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記第1外側コイル配線層の断面積に対する、前記第1外側コイル配線層の線路長の割合が11μm-1以下である、
請求項1から4および7から10のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項13】
定格電流の2倍の電流を印加したときに、前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と隣り合う前記内側コイル配線層との間の電界強度が、0.040V/μm以下である、
請求項1から6、9および10のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項14】
前記第1外側コイル配線層の巻回数は、1周未満である、
請求項1から8のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項15】
前記第1外側コイル配線層に隣り合う前記内側コイル配線層の巻回数は、1周以上である、
請求項14に記載のインダクタ部品。
【請求項16】
前記第1外側コイル配線層の延在する方向に直交し、且つ、前記第1外側コイル配線層の軸に直交する方向の、前記第1外側コイル配線層の幅が、前記第1外側コイル配線層に隣り合う前記内側コイル配線層の軸に延在する方向に直交する方向の幅よりも大きい、請求項1から10のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項17】
前記第1外側コイル配線層の前記軸に平行な方向の厚みが、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層の前記軸方向に平行な方向の厚みよりも大きい、請求項1から10のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インダクタ部品としては、特開2002-246231号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このインダクタ部品は、最外層に位置する引出用導体パターンと、引出用導体パターンに接して設けられる2層の1周以上のコイル導体パターンと、1周以上のコイル導体パターンに接して設けられる複数の1周未満のコイル導体パターンとを有するコイルが記載されており、各導体パターンと絶縁層とが交互に積層されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-246231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のようなインダクタ部品では、最外層に位置する引出用導体パターンにおいて、マイグレーションが発生することがあった。この点について鋭意検討すると、最外層に位置する引出用導体パターンの直流抵抗が大きくなり、電流印加時において、最外層と、最外層に隣り合った層の導体パターンの間に発生する電界強度が大きくなっていることが分かった。
【0005】
そこで、本開示の目的は、マイグレーションの発生が低減されたインダクタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるインダクタ部品は、
複数の積層された絶縁層を有する素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の直流抵抗が0.18Ω以下である。
【0007】
上記のように、最外層である第1外側コイル配線層の直流抵抗(以下、「Rdc」と記載することがある)が低下することにより、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間の絶縁層の厚みを小さくしても、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間の電界強度が小さくなる。電界強度が小さくなることにより、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0008】
本開示の別の実施形態のインダクタ部品は、
複数の積層された絶縁層を有する素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の線路長が670μm以下である。
【0009】
第1外側コイル配線の線路長が短くなることにより、Rdc値が低下し、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間の絶縁層の厚みを小さくした場合であっても、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間の電界強度が小さくなる。これにより、インダクタ部品において、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0010】
本開示の別の実施形態のインダクタ部品は、
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の断面積に対する、前記第1外側コイル配線層の線路長の割合が11μm-1以下である。
【0011】
第1外側コイル配線層において、断面積が大きく、第1外側コイル配線層の線路長が短くなると、Rdc値が低下する。即ち、断面積に対する第1外側コイル配線層の線路長の割合が小さくなり、Rdc値が低下し、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間の絶縁層の厚みを小さくしても、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間の電界強度が小さくなる。これにより、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0012】
本開示の別の実施形態のインダクタ部品は、
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
定格電流の2倍の電流を印加したときに、前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層の軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の電界強度が、0.040V/μm以下である。
【0013】
電界強度が小さくなることで、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0014】
本開示の別の実施形態のインダクタ部品は、
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層の巻回数は、1周未満であり、
前記第1外側コイル配線層の軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層の巻回数は、1周以上である。
【0015】
第1外側コイル配線層501の巻回数が1周未満であることにより、電気抵抗を小さくすることができ、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間の電界強度が小さくなる。これにより、第1外側コイル配線層と第1内側コイル配線層との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。第1内側コイル配線層502の巻回数が1周以上であることにより、インダクタンス値(L値)を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様であるインダクタ部品によれば、マイグレーションの発生が低減されたインダクタ部品を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】インダクタ部品の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】インダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。
図3】インダクタ部品のYZ断面図である。
図4A】インダクタ部品の平面分解図である。
図4B】インダクタ部品の平面分解図である。
図4C】インダクタ部品の平面分解図である。
図5】第1外側コイル配線層におけるRdc値と電界強度との関係を示す図である。
図6A】インダクタ部品のイメージ図である。
図6B】インダクタ部品のイメージ図である。
図6C】インダクタ部品のイメージ図である。
図7】インダクタ部品の第2実施形態において第1外側コイル配線層における線路長と電界強度との関係を示す図である。
図8】インダクタ部品の第3実施形態において第1外側コイル配線層における断面積に対する線路長の割合と電界強度との関係を示す図である。
図9】インダクタ部品の第6実施形態における平面分解図である。
図10】インダクタ部品の第7実施形態におけるYZ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一態様であるインダクタ部品を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0019】
(第1実施形態)
(インダクタ部品1の全体構成)
図1は、インダクタ部品の第1実施形態を示す斜視図である。図2は、インダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。図3は、インダクタ部品のYZ断面図である。図4A図4B図4Cとは、インダクタ部品の平面分解図である。なお、便宜上、図3では、ビア配線を記載していない。
【0020】
図1図2図3図4A図4B図4Cとに示すように、インダクタ部品1は、複数の積層された絶縁層を有する素体10と、素体10内に設けられ、軸AXに沿って螺旋状に巻き回されるコイル20と、素体10に設けられコイル20に電気的に接続された第1外部電極30および第2外部電極40とを有する。なお、便宜上、図2では、構造を容易に理解できるよう、素体およびコイルを透明に描いているが、半透明や不透明であってもよい。
【0021】
インダクタ部品1は、第1、第2外部電極30,40を介して、図示しない回路基板の配線に電気的に接続される。インダクタ部品1は、例えば、高周波回路のインピーダンス整合用コイル(マッチングコイル)として用いられ、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器に用いられる。ただし、インダクタ部品1の用途はこれに限られず、例えば、同調回路、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。
【0022】
素体10は、略直方体状に形成されている。素体10の表面は、互いに対向する第1端面15および第2端面16と、互いに対向する第1側面13と第2側面14と、第1端面15と第2端面16との間および第1側面13と第2側面14との間に接続された底面17と、底面17と対向する天面18とを含む。底面17は、インダクタ部品1を図示しない実装基板に実装した際に、実装基板側を向く面である。
【0023】
図示するように、X方向は、第1端面15および第2端面16に直交し、第1端面15から第2端面16に向かう方向である。Y方向は、第1側面13および第2側面14に直交し、第2側面14から第1側面13に向かう方向である。Z方向は、底面17および天面18に直交し、底面17から天面18に向かう方向である。X方向は、素体10の長さ方向ともいい、Y方向は、素体10の幅方向ともいい、Z方向は、素体10の高さ方向ともいう。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する方向であって、X,Y,Zの順に並べたとき、左手系を構成する。
【0024】
素体10は、複数の絶縁層701~721を、順に積層して構成される。絶縁層701~721は、例えば、硼珪酸ガラスを主成分とする材料や、フェライト、樹脂などの材料からなる。絶縁層の積層方向は、素体10の第1、第2端面15,16および底面17に、平行な方向(Y方向)である。すなわち、絶縁層701~721は、XZ平面に広がった層状である。本願における「平行」とは、厳密な平行関係に限定されず、現実的なばらつきの範囲を考慮し、実質的な平行関係も含む。なお、素体10は、焼成などによって、複数の絶縁層701~721同士の界面が明確となっていない場合がある。
【0025】
第1外部電極30および第2外部電極40は、例えば、Ag、Cu、Auやこれらを主成分とする合金などの導電性材料から構成される。
【0026】
第1外部電極30は、第1端面15から底面17にかけて形成されたL字形状である。第1外部電極30は、第1端面15および底面17から露出するように素体10に埋め込まれている。第1外部電極30は、第1端面15に沿って延在する第1端面部31と、第1端面部31に接続され底面17に沿って延在する第1底面部32とを有する。
【0027】
第2外部電極40は、第2端面16から底面17にかけて形成されたL字形状である。第2外部電極40は、第2端面16および底面17から露出するように素体10に埋め込まれている。第2外部電極40は、第2端面16に沿って延在する第2端面部41と、第2端面部41に接続され底面17に沿って延在する第2底面部42とを有する。
【0028】
第1外部電極30は、素体10(第1から第21絶縁層701~721)に埋め込まれた複数の第1外部電極導体層33が積層された構成を有している。第2外部電極40は、素体10に埋め込まれた複数の第2外部電極導体層43が積層された構成を有している。第1外部電極導体層33は、第1端面15および底面17に沿って延在しており、第2外部電極導体層43は、第2端面16および底面17に沿って延在している。
【0029】
これにより、素体10内に第1、第2外部電極30,40を埋め込むことができるため、素体10に外部電極を外付けする構成に比べて、インダクタ部品の小型化を図ることができる。また、コイル20と外部電極30,40を同一工程で形成することができ、コイル20と外部電極30,40との間の位置関係のばらつきを低減することで、インダクタ部品1の電気的特性のばらつきを低減することができる。
【0030】
なお、第1外部電極30は、第1端面部31を有さないで、第1底面部32から構成されていてもよく、同様に、第2外部電極40は、第2端面部41を有さないで、第2底面部42から構成されていてもよい。つまり、第1外部電極30および第2外部電極40は、少なくとも素体10の底面17に設けられていればよい。
【0031】
コイル20は、例えば、第1、第2外部電極30,40と同様の導電性材料から構成される。コイル20は、第1から第21絶縁層701~721の積層方向に沿って、螺旋状に巻き回されている。コイル20の第1端は、第1外部電極30に接続され、コイル20の第2端は、第2外部電極40に接続されている。なお、本実施形態では、コイル20と第1、第2外部電極30,40とは一体化されており、明確な境界は存在しないが、これに限られず、コイルと外部電極とが異種材料や異種工法で形成されることにより、境界が存在していても良い。
【0032】
コイル20は、軸AXが底面17と平行であり、かつ、軸AXが第1側面13と第2側面14とを交差するように、軸AXに沿って巻回されている。コイル20の軸AXは、第1から第21絶縁層701~721の積層方向(Y方向)と一致する。コイル20の軸AXは、コイル20の螺旋形状の中心軸を意味する。具体的に述べると、軸AXは、コイル20の最内周の中心を意味する。
【0033】
コイル20は、巻回部20aと、巻回部20aの第1端と第1外部電極30の間に接続された第1引出部20bと、巻回部20aの第2端と第2外部電極40の間に接続された第2引出部20cとを有する。本実施形態では、巻回部20aと第1、第2引出部20b,20cとは一体化されており、明確な境界は存在しないが、これに限られず、巻回部と引出部とが異種材料や異種工法で形成されることにより、境界が存在していても良い。
【0034】
巻回部20aは、軸AXに沿って螺旋状に巻回されている。つまり、巻回部20aとは、軸AXに平行な方向からみたときにコイル20同士が互いに重なり合う螺旋状に巻回された部分を指す。第1、第2引出部20b,20cとは、重なり合う部分から外れた部分を指す。
【0035】
図2図3図4A図4B図4Cとに示すように、コイル20は軸AXに沿って積層された複数のコイル配線層501~510と、軸AXに沿って延在して軸AX方向に隣り合うコイル配線層を接続する第1から第9ビア配線層601~609とを有する。コイル20の形状は、軸AX方向からみて、コイル20の軸AXを通過しZ方向に平行な直線に対して、左右対称な形状となる。これにより、インダクタ部品1の特性のばらつきを抑制できる。
【0036】
複数のコイル配線層501~510は、絶縁層702,704,706,708,710,712,714,716,718,720を厚み方向(Y方向)に貫通する。そして、積層方向に隣り合うコイル配線層は、ビア配線層601~609を介して電気的に直列に接続される。このように、複数のコイル配線層501~510は、互いに電気的に直列に接続されながら、螺旋を構成している。なお、上記実施態様では、図4A図4B図4Cとに示すように第1から第9ビア配線層601~609は直線形状を有するが、他の形状を有していてもよく、例えば、円形状や円弧形状を有していてもよい。なお、図4A図4B図4Cでは、左上から右下に向かう方向を積層方向(Y方向)とする。
【0037】
具体的に述べると、第1から第10コイル配線層501~510は、軸AX方向(Y方向)に沿って順に積層されている。第1から第10コイル配線層501~510は、それぞれ平面に沿って巻回される。第1コイル配線層501の端部は、第1外部電極30の第1外部電極導体層33に電気的に接続されている。第10コイル配線層510の端部は、第2外部電極40の第2外部電極導体層43に電気的に接続されている。
【0038】
第1外部電極導体層33は、第2から第20絶縁層702~720において、第1端面15から底面17にかけて設けられている。第2外部電極導体層43は、第2から第20絶縁層702~720において、第2端面16から底面17にかけて設けられている。
【0039】
第1コイル配線層501は、軸AX方向の一方側の最も外側(即ち、第2側面14側)に位置し、以下、第1外側コイル配線層501ともいう。第1外側コイル配線層501は、巻回部20aの一部と第1引出部20bとを含む。第1引出部20bは、第1外部電極30の第1外部電極導体層33に電気的に接続される。第10コイル配線層510は、軸AX方向の他方側の最も外側(即ち、第1側面13側)に位置し、以下、第2外側コイル配線層510ともいう。第2外側コイル配線層510は、巻回部20aの一部と第2引出部20cとを含む。第2引出部20cは、第2外部電極40の第2外部電極導体層43に電気的に接続される。
【0040】
第2コイル配線層502、第3コイル配線層503、第4コイル配線層504、第5コイル配線層505、第6コイル配線層506、第7コイル配線層507、第8コイル配線層508および第9コイル配線層509は、第1外側コイル配線層501と第2外側コイル配線層510との間に位置し、以下、第1内側コイル配線層502、第2内側コイル配線層503、第3内側コイル配線層504、第4内側コイル配線層505、第5内側コイル配線層506、第6内側コイル配線層507、第7内側コイル配線層508および第8内側コイル配線層509ともいう。
【0041】
図3に示すように、第1、第2外側コイル配線層501,510および第1から第8内側コイル配線層502~509の厚みは均一である。なお、第1、第2外側コイル配線層501,510および第1から第8内側コイル配線層502~509の厚みは不均一でもよく、例えば、第1、第2外側コイル配線層501,510の厚みは、第1から第8内側コイル配線層502~509の厚みよりも大きくてもよく、第1、第2外側コイル配線層501,510の厚みは、第1から第8内側コイル配線層502~509の厚みよりも小さくてもよい。また、第1、第2外側コイル配線層501,510、第1から第8内側コイル配線層502~509の厚みは、異なっていてもよい。
【0042】
第1、第2外側コイル配線層501および510の巻回数は、1周未満である。第1から第8内側コイル配線層502~509の巻回数は、1周以上である。なお、第1、第2外側コイル配線層501および510の巻回数は、1周以上であってもよい。第1から第8内側コイル配線層502~509の巻回数は、1周未満であってもよい。
【0043】
第1外側コイル配線層501、第1内側コイル配線層502、第2内側コイル配線層503、第3内側コイル配線層504、第4内側コイル配線層505、第5内側コイル配線層506、第6内側コイル配線層507、第7内側コイル配線層508、第8内側コイル配線層509および第2外側コイル配線層510と、第1から第21絶縁層701~721とは交互に積層される。
【0044】
具体的には、第1絶縁層701は、素体10の第2側面14を有し、第2側面14と反対側の面において第2絶縁層702と接する。第1外側コイル配線層501は、軸AX方向に直交する第2絶縁層702(XZ平面)に設けられ、第1外部電極導体層33に接続する。第3絶縁層703は、第1ビア配線層601を有し、第1ビア配線層601は、第1外側コイル配線層501に接続される。第1内側コイル配線層502は、軸AX方向に直交する第4絶縁層704に設けられ、第1ビア配線層601に接続される。第5絶縁層705は、第2ビア配線層602を有し、第2ビア配線層602は、第1内側コイル配線層502に接続される。第2内側コイル配線層503は、軸AX方向に直交する第6絶縁層706に設けられ、第2ビア配線層602に接続される。第7絶縁層707は、第3ビア配線層603を有し、第3ビア配線層603は、第2内側コイル配線層503に接続される。第3内側コイル配線層504は、軸AX方向に直交する第8絶縁層708に設けられ、第3ビア配線層603に接続される。第9絶縁層709は、第4ビア配線層604を有し、第4ビア配線層604は、第3内側コイル配線層504に接続される。第4内側コイル配線層505は、軸AX方向に直交する第10絶縁層710に設けられ、第4ビア配線層604に接続される。第11絶縁層711は、第5ビア配線層605を有し、第5ビア配線層605は、第4内側コイル配線層505に接続される。第5内側コイル配線層506は、軸AX方向に直交する第12絶縁層712に設けられ、第5ビア配線層605に接続される。第13絶縁層713は、第6ビア配線層606を有し、第6ビア配線層606は、第5内側コイル配線層506に接続される。第6内側コイル配線層507は、軸AX方向に直交する第14絶縁層714に設けられ、第6ビア配線層606に接続される。第15絶縁層715は、第7ビア配線層607を有し、第7ビア配線層607は、第6内側コイル配線層507に接続される。第7内側コイル配線層508は、軸AX方向に直交する第16絶縁層716に設けられ、第7ビア配線層607に接続される。第17絶縁層717は、第8ビア配線層608を有し、第8ビア配線層608は、第7内側コイル配線層508に接続される。第8内側コイル配線層509は、軸AX方向に直交する第18絶縁層718に設けられ、第8ビア配線層608に接続される。第19絶縁層719は、第9ビア配線層609を有し、第9ビア配線層609は、第8内側コイル配線層509に接続される。第2外側コイル配線層510は、軸AX方向に直交する第20絶縁層720に設けられ、一方の端部において、第9ビア配線層609に接続される。第2外側コイル配線層510は、他方の端部において、第2外部電極導体層43に接続する。第21絶縁層721は、第20絶縁層720と接し、第20絶縁層720と反対側の面において素体10の第1側面13を有する。
【0045】
第1から第9ビア配線層601~609は、第3、第5、第7、第9、第11、第13、第15、第17、第19絶縁層703,705,707,709,711,713,715,717,719を厚み方向(Y方向)に貫通する。軸AX方向からみて、第1から第9ビア配線層601~609は、コイル20の螺旋方向に沿って延在している。そして、積層方向に隣り合うコイル配線層は、ビア配線層を介して、電気的に直列に接続される。
【0046】
第1から第21絶縁層701~721の厚みは均一である。なお、第1から第21絶縁層701~721の厚みは均一でなくてもよい。例えば、第1、第21絶縁層701,721の厚みが、第2から第20絶縁層702~720の厚みよりも大きくてもよい。また、例えば、第1、第21絶縁層701,721の厚みが、第2から第20絶縁層702~720の厚みよりも小さくてもよい。第1から第21絶縁層701~721の厚みは、異なっていてもよい。
【0047】
第1ビア配線層601、第2ビア配線層602、第3ビア配線層603、第4ビア配線層604、第5ビア配線層605、第6ビア配線層606、第7ビア配線層607、第8ビア配線層608、第9ビア配線層609は、Y方向に沿って順に積層されている。全てのビア配線層601~609は、直線状に形成されている。全てのビア配線層601~609は、それぞれ、延在方向に沿って一定の幅を有する。
【0048】
第1ビア配線層601は、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502の間に位置し、第1外側コイル配線層501の端部と第1内側コイル配線層502の端部とを接続する。第2ビア配線層602は、第1内側コイル配線層502と第2内側コイル配線層503の間に位置し、第1内側コイル配線層502の端部と第2内側コイル配線層503の端部とを接続する。第3ビア配線層603は、第2内側コイル配線層503と第3内側コイル配線層504の間に位置し、第2内側コイル配線層503の端部と第3内側コイル配線層504の端部とを接続する。第4ビア配線層604は、第3内側コイル配線層504と第4内側コイル配線層505の間に位置し、第3内側コイル配線層504の端部と第4内側コイル配線層505の端部とを接続する。第5ビア配線層605は、第4内側コイル配線層505と第5内側コイル配線層506の間に位置し、第4内側コイル配線層505の端部と第5内側コイル配線層506の端部とを接続する。
【0049】
第6ビア配線層606は、第5内側コイル配線層506と第6内側コイル配線層507の間に位置し、第5内側コイル配線層506の端部と第6内側コイル配線層507の端部とを接続する。第7ビア配線層607は、第6内側コイル配線層507と第7内側コイル配線層508の間に位置し、第6内側コイル配線層507の端部と第7内側コイル配線層508の端部とを接続する。第8ビア配線層608は、第7内側コイル配線層508と第8内側コイル配線層509の間に位置し、第7内側コイル配線層508の端部と第8内側コイル配線層509の端部とを接続する。第9ビア配線層609は、第8内側コイル配線層509と第2外側コイル配線層510の間に位置し、第8内側コイル配線層509の端部と第2外側コイル配線層510の端部とを接続する。
【0050】
(コイル配線層および絶縁層の詳細)
インダクタ部品1において、第1外側コイル配線層501と、第1外側コイル配線層501と軸AX方向に隣り合う第1内側コイル配線層502との間の第3絶縁層703の厚みは6.5μm以下であり、第1外側コイル配線層501のRdc値は0.18Ω以下である。第3絶縁層703の厚みは、特に限定されないが、例えば、3.5μm以上であってもよい。第3絶縁層703の厚みは、特に限定されないが、例えば、3.5μm以下であってもよい。第1外側コイル配線層501のRdc値は、特に限定されないが、例えば、0.09Ω以上であってもよい。なお、絶縁層の厚みは、軸AXと平行方向に測定した絶縁層の長さの平均値である。絶縁層の厚みは、軸AXに平行な方向に研磨して測定する絶縁層に接する2つのコイル配線層を露出し、2つのコイル配線層間の平均距離を測定することにより求められる。第1外側コイル配線層501のRdc値は、コイル20の軸AXに垂直な断面における、第1外側コイル配線層501の抵抗値である。Rdcは、XZ平面に平行な方向に研磨して測定するコイル配線層(ここでは、第1外側コイル配線層501)を露出し、マニュアルプローバ等を用いて、第1外側コイル配線層501のRdcを測定することにより求められる。
【0051】
図5に基づいて、具体的に説明する。なお、以下において、コイル配線層501~510を構成する材料としてAgを用いて説明しているが、Ag以外の他の材料を用いてもよい。
【0052】
図5は、横軸に第1外側コイル配線層501のRdc[Ω]を、縦軸に電界強度[V/μm]を設けた図である。図5に示すように、第1外側コイル配線層501のRdc値が0.18Ω以下であると、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の第3絶縁層703の厚みを小さくしても、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の電界強度が小さくなる。このような場合、第1内側コイル配線層502および第1外側コイル配線層501間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。本開示において、第1内側コイル配線層502および第1外側コイル配線層501間におけるマイグレーションとは、第1内側コイル配線層502のAgがイオン化し、Agが第1外側コイル配線層501に移動し、第1外側コイル配線層501でAgとして析出することをいう。なお、通常、電界の強さEは、式:E=V/d=R×I/d(式中、Vは電圧、dは絶縁層の厚み、Rは抵抗、Iは電流)で表される。このことから、本開示においては、電界強度の値は、電流Iが定格電流の2倍の値である時の値、即ち、第1外側コイル電極層501のRdc×(定格電流×2)/絶縁層の厚みに基づいて求めた値とする。定格電流の値は、インダクタ部品1であれば、一義的に定まる。
【0053】
図6A図6B図6Cとを用いて、従来のインダクタ部品における問題点について説明する。図6A図6B図6Cとは、従来のインダクタ部品のYZ断面図の一部を示すイメージ図である。
【0054】
図6Aに示すように、第2側面14の最も近くに第1外側コイル配線層501が設けられ、第3絶縁層703、第1内側コイル配線層502が順に設けられる。焼結時に、第2側面14に最も近い第1外側コイル配線層501が過焼結となる。その結果、第1外側コイル配線層501を構成する粒子間にクラックが生じる。クラックにより分離されたAgが、第1外側コイル配線層501の周囲の第1から第3絶縁層701~703に拡散し、第1外側コイル配線層501の表面には凹凸構造が形成される(第1外側コイル配線層501の玉化)。言い換えると、第1外側コイル配線層501の体積が低減し、第1外側コイル配線層501の抵抗が大きくなる。また、第1外側コイル配線層501の周囲にAgが拡散することにより、第1から第3絶縁層701~703のフィラーが少なくなり、強度が低下した低強度層50aが形成される。低強度層50aと第1外側コイル配線層501との間には線膨張係数による応力が生じ、強度が低いことから、低強度層50aにはマイクロクラック50bが生じる。
【0055】
図6Bに示すように、インダクタ部品1に電圧を印加すると、第1内側コイル配線層502のAgが電子を失い、Agイオンが還元析出する。イオンマイグレーションと同様のメカニズムにより、上記Agイオンが第1外側コイル配線層501へと移動し、第1外側コイル配線層501においてAgが析出する。
【0056】
図6Cに示すように、図6Bのマイグレーションが生じることにより、第1内側コイル配線層502には、空隙50dが生じる。空隙50dは、第1外側コイル配線層501に移動したAgが存在していた箇所である。空隙50dが生じると、第3絶縁層703と第1内側コイル配線層502との間に空間が生じる。また、図6Cに示すように、第1外側コイル配線層501上に析出したAgが、マイクロクラック50b中を伸展し、第1外側コイル配線層501から第1内側コイル配線層502に向かって析出部50cが生じる。析出部50cにより、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間でショートが生じることがある。
【0057】
これに対し、発明者等は、図5に示すように、第1外側コイル配線層501のRdc値を0.18Ω以下と低くすることにより、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の第3絶縁層703の厚みを小さくしても、電界強度を小さくできることを見出した。これにより、第1内側コイル配線層502と第1外側コイル配線層501との間において、マイグレーションが生じることを抑制できる。また、マイグレーションからショートが発生することを抑制することができる。
【0058】
好ましくは、第2外側コイル配線層510と、第2外側コイル配線層510と軸AX方向に隣り合う第8内側コイル配線層509との間の第19絶縁層719の厚みが6.5μm以下であり、第2外側コイル配線層510のRdc値が0.18Ω以下である。上記構成を有することにより、第2外側コイル配線層510と第8内側コイル配線層509との間において、マイグレーションが生じることを抑制できる。
【0059】
好ましくは、第1外側コイル配線層501の線路長は670μm以下である。第1外側コイル配線層501の線路長が短くなることにより、Rdc値が低下し、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の第3絶縁層703の厚みを小さくしても、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の電界強度が小さくなる。これにより、インダクタ部品1において、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間において、マイグレーションが生じることを抑制できる。なお、第1外側コイル配線層501の線路長とは、軸AX方向からみて、第1外側コイル配線層501の延在方向の長さである。具体的にいうと、線路長は、軸AX方向からみた線幅の中心線の長さである。第2外側コイル配線層510の線路長も、第1外側コイル配線層501の線路長と同様に670μm以下であってもよい。第2外側コイル配線層510の線路長とは、軸AX方向からみて、第2外側コイル配線層510の延在方向の長さである。
【0060】
好ましくは、第1外側コイル配線層501の断面積に対する、第1外側コイル配線層501の線路長の割合、即ち、線路長/断面積、は11μm-1以下である。第1外側コイル配線層501の断面積が大きくなり、かつ、第1外側コイル配線層501の線路長が短くなると、Rdc値が低下し、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の第3絶縁層703の厚みを小さくしても、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の電界強度が小さくなる。これにより、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間において、マイグレーションが生じることを抑制できる。なお、第1外側コイル配線層501の断面積とは、軸AXからみて、第1外側コイル配線層501の延在方向に直交する断面の面積の最大値をいう。第2外側コイル配線層510の断面積に対する、第2外側コイル配線層510の線路長の割合、即ち、線路長/断面積は11μm-1以下であってもよい。第2外側コイル配線層510の断面積とは、軸AXからみて、第2外側コイル配線層510の延在方向に直交する断面の面積の最大値をいう。
【0061】
好ましくは、定格電流の2倍の電流を印加したときに、第1外側コイル配線層501と、第1外側コイル配線層501の軸AX方向に隣り合う第1内側コイル配線層502との間の電界強度は、0.040V/μm以下である。電界強度が小さくなることで、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間において、マイグレーションが生じることを抑制できる。なお、第2外側コイル配線層510と、第2外側コイル配線層510の軸AX方向に隣り合う第8内側コイル配線層509との間の電界強度は、0.040V/μm以下であってもよい。
【0062】
好ましくは、第1外側コイル配線層501の巻回数は、1周未満である。上記構成を有することにより、抵抗を小さくすることができる。なお、第2外側コイル配線層510の巻回数は、1周未満であってもよい。
【0063】
好ましくは、第1内側コイル配線層502の巻回数は、1周以上である。上記構成を有することにより、インダクタンス値(L値)を向上できる。なお、第8内側コイル配線層509の巻回数は、1周以上であってもよい。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態のインダクタ部品1Aの構成は、第1実施形態のインダクタ部品1の構成と同様に、図1図2図3図4A図4B図4Cに示される。なお、以下に記載した構成以外は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0065】
第2実施形態では、第1実施形態の第1外側コイル配線層501のRdc値に係らず、第1外側コイル配線層501の線路長は670μm以下である。第1外側コイル配線層501の線路長は、特に限定されないが、例えば、450μm以上であってもよい。
【0066】
図7に基づいて、詳細に説明する。図7は、横軸に第1外側コイル配線層501における線路長[μm]を、縦軸に電界強度[V/μm]を設けた図である。図7に示すように、第1外側コイル配線層501の線路長が短くなることにより、Rdc値が低下し、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の第3絶縁層703の厚みを小さくしても、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の電界強度が小さくなる。したがって、インダクタ部品1において、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0067】
好ましくは、第2外側コイル配線層510の線路長が670μm以下である。第2外側コイル配線層510の線路長は、特に限定されないが、例えば、450μm以上であってもよい。線路長が短くなることにより、Rdc値が低下し、第2外側コイル配線層510と第8内側コイル配線層509との間の第19絶縁層719の厚みを小さくしても、第2外側コイル配線層510と第8内側コイル配線層509との間の電界強度が小さくなる。これにより、インダクタ部品1において、第2外側コイル配線層510と第8内側コイル配線層509との間において、マイグレーションが生じることを抑制できる。
【0068】
好ましくは、第1外側コイル配線層501の断面積に対する、第1外側コイル配線層501の線路長の割合、即ち、線路長/断面積、は11μm-1以下である。なお、第2外側コイル配線層510の断面積に対する、第2外側コイル配線層510の線路長の割合、即ち、線路長/断面積は11μm-1以下であってもよい。
【0069】
好ましくは、定格電流の2倍の電流を印加したときに、第1外側コイル配線層501と、第1外側コイル配線層501と隣り合う第1内側コイル配線層502との間の電界強度は、0.040V/μm以下である。なお、第2外側コイル配線層510と、第2外側コイル配線層510の軸AX方向に隣り合う第8内側コイル配線層509との間の電界強度は、0.040V/μm以下であってもよい。
【0070】
好ましくは、第1外側コイル配線層501の巻回数は、1周未満である。なお、第2外側コイル配線層510の巻回数は、1周未満であってもよい。
【0071】
好ましくは、第1内側コイル配線層502の巻回数は、1周以上である。なお、第8内側コイル配線層509の巻回数は、1周以上であってもよい。
【0072】
(第3実施形態)
第3実施形態のインダクタ部品1Bの構成は、第1実施形態のインダクタ部品1の構成と同様に、図1図2図3図4A図4B図4Cに示される。なお、以下に記載した構成以外は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0073】
第3実施形態では、第1実施形態の第1外側コイル配線層501のRdc値に係らず、第1外側コイル配線層501の断面積に対する、第1外側コイル配線層501の線路長の割合、即ち、線路長/断面積は11μm-1以下である。第1外側コイル配線層501において、断面積が大きく、第1外側コイル配線層501の線路長が短くなると、Rdc値が低下する。即ち、断面積に対する第1外側コイル配線層の線路長の割合が小さくなり、Rdc値が低下し、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の第3絶縁層703の厚みを小さくした場合であっても、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の電界強度が小さくなる。これにより、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0074】
図8に基づいて、詳細に説明する。図8は、横軸に第1外側コイル配線層501の線路長/断面積[μm-1]を、縦軸に第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の電界強度[V/μm]を設けた図である。図8に示すように、線路長/断面積は11μm-1以下である場合に、Rdc値が低下し、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間の電界強度が小さくなることが分かる。
【0075】
好ましくは、第2外側コイル配線層510の断面積に対する、第2外側コイル配線層510の線路長の割合が11μm-1以下である。第2外側コイル配線層510において、断面積が大きく、第2外側コイル配線層510の線路長が短くなると、Rdc値が低下するし、第2外側コイル配線層510と第8内側コイル配線層509との間の第19絶縁層719の厚みを小さくした場合であっても、第2外側コイル配線層510と第8内側コイル配線層509との間の電界強度が小さくなる。これにより、第2外側コイル配線層510と第8内側コイル配線層509との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0076】
好ましくは、定格電流の2倍の電流を印加したときに、第1外側コイル配線層501と、第1外側コイル配線層501と隣り合う第1内側コイル配線層502との間の電界強度は、0.040V/μm以下である。なお、第2外側コイル配線層510と、第2外側コイル配線層510の軸AX方向に隣り合う第8内側コイル配線層509との間の電界強度は、0.040V/μm以下であってもよい。
【0077】
好ましくは、第1外側コイル配線層501の巻回数は、1周未満である。なお、第2外側コイル配線層510の巻回数は、1周未満であってもよい。
【0078】
好ましくは、第1内側コイル配線層502の巻回数は、1周以上である。なお、第8内側コイル配線層509の巻回数は、1周以上であってもよい。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態のインダクタ部品1Cの構成は、第1実施形態のインダクタ部品1の構成と同様に、図1図2図3図4A図4B図4Cに示される。なお、以下に記載した構成以外は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0080】
第4実施形態では、第1実施形態の第1外側コイル配線層501のRdc値や第3絶縁層703の厚みに係らず、第1外側コイル配線層501と、第1外側コイル配線層501の軸AX方向に隣り合う内側コイル配線層502との間の電界強度は0.040V/μm以下である。電界強度が小さくなることで、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0081】
好ましくは、定格電流の2倍の電流を印加したときに、第2外側コイル配線層510と、第2外側コイル配線層510と軸AX方向に隣り合う第8内側コイル配線層509との間の電界強度が、0.040V/μm以下である。電界強度が小さくなることで、第2外側コイル配線層510と第8内側コイル配線層509との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。
【0082】
好ましくは、第1外側コイル配線層501の巻回数は、1周未満である。なお、第2外側コイル配線層510の巻回数は、1周未満であってもよい。
【0083】
好ましくは、第1内側コイル配線層502の巻回数は、1周以上である。なお、第8内側コイル配線層509の巻回数は、1周以上であってもよい。
【0084】
(第5実施形態)
第5実施形態のインダクタ部品1Dの構成は、第1実施形態のインダクタ部品1の構成と同様に、図1図2図3図4A図4B図4Cに示される。なお、以下に記載した構成以外は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0085】
第5実施形態では、第1実施形態の第1外側コイル配線層501のRdc値や第3絶縁層703の厚みに係らず、第1外側コイル配線層501の巻回数は、1周未満であり、第1外側コイル配線層501の軸AX方向に隣り合う第1内側コイル配線層502の巻回数は、1周以上である。第1外側コイル配線層501の巻回数が1周未満であることにより、抵抗を小さくすることができる。第1内側コイル配線層502の巻回数が1周以上であることにより、インダクタンス値(L値)を向上できる。
【0086】
好ましくは、第2外側コイル配線層510の巻回数は、1周未満であり、第2外側コイル配線層510の軸AX方向に隣り合う第8内側コイル配線層509の巻回数は、1周以上である。第2外側コイル配線層510の巻回数が1周未満であることにより、抵抗を小さくすることができる。第8内側コイル配線層509の巻回数が1周以上であることにより、インダクタンス値を向上できる。
【0087】
(第6実施形態)
図9には、インダクタ部品1Eの平面分解図を示す。第6実施形態は、第1実施形態とはコイル配線層の幅が相違する。それ以外は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0088】
図9に示すように、インダクタ部品1Eにおいて、第1外側コイル配線層501Eの延在する方向に直交し、且つ、第1外側コイル配線層501Eの軸に直交する方向の、第1外側コイル配線層501Eの幅が、第1外側コイル配線層501Eに隣り合う第1内側コイル配線層502の軸に延在する方向に直交する方向の幅よりも大きい。上記構成を有することにより、第1外側コイル配線層501EのRdc値が小さくなり、第1外側コイル配線層501と第1内側コイル配線層502との間においてマイグレーションが生じることを抑制できる。なお、幅(線幅)は、コイル20の軸AXに直交する方向の幅の平均値である。
【0089】
好ましくは、第2外側コイル配線層510Eの軸AXに延在する方向に直交する方向の幅が、第2外側コイル配線層510Eに隣り合う第8内側コイル配線層509の軸に延在する方向に直交する方向の幅よりも大きい。
【0090】
(第7実施形態)
図10には、インダクタ部品1Fの平面分解図を示す。第7実施形態では、第1実施形態と異なり、第1外側コイル配線層の厚みにおいて相違する。それ以外は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0091】
インダクタ部品1Fにおいて、第1外側コイル配線層501の軸AXに平行な方向の厚みが、第1外側コイル配線層501と軸AX方向に隣り合う第1内側コイル配線層502の軸AX方向に平行な方向の厚みよりも大きい。上記構成を有することにより、第1外側コイル配線層501EのRdc値が小さくなり、電圧を印加したときに、電界強度が小さくなる。
【0092】
好ましくは、第2外側コイル配線層510の軸AXに平行な方向の厚みが、第2外側コイル配線層510と軸AX方向に隣り合う第8内側コイル配線層509の軸AX方向に平行な方向の厚みよりも大きい。上記構成を有することにより、第2外側コイル配線層510EのRdc値が小さくなり、電圧を印加したときに、電界強度が小さくなる。
【0093】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第7実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。コアの形状は、本実施形態に限定されず、設計変更可能である。また、コイルの数量は、本実施形態に限定されず、設計変更可能である。
【0094】
本開示は以下の態様を含む。
<1>
複数の積層された絶縁層を有する素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の直流抵抗が0.18Ω以下である、
インダクタ部品。
<2>
前記第2外側コイル配線層と、前記第2外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第2外側コイル配線層の直流抵抗が0.18Ω以下である、
<1>に記載のインダクタ部品。
<3>
複数の積層された絶縁層を有する素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の線路長が670μm以下である、
インダクタ部品。
<4>
前記第2外側コイル配線層と、前記第2外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第2外側コイル配線層の線路長が670μm以下である、
<3>に記載のインダクタ部品。
<5>
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の前記絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第1外側コイル配線層の断面積に対する、前記第1外側コイル配線層の線路長の割合が11μm-1以下である、
インダクタ部品。
<6>
前記第2外側コイル配線層と、前記第2外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の絶縁層の厚みが6.5μm以下であり、
前記第2外側コイル配線層の断面積に対する、前記第2外側コイル配線層の線路長の割合が11μm-1以下である、
<5>に記載のインダクタ部品。
<7>
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
定格電流の2倍の電流を印加したときに、前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層の軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の電界強度が、0.040V/μm以下である、
インダクタ部品。
<8>
定格電流の2倍の電流を印加したときに、前記第2外側コイル配線層と、前記第2外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層との間の電界強度が、0.040V/μm以下である、
<7>に記載のインダクタ部品。
<9>
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
を備え、
前記コイルは、前記軸方向の一方側の最も外側に位置する第1外側コイル配線層と、軸方向の他方側の最も外側に位置する第2外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と前記第2コイル配線層との間に位置する少なくとも1つの内側コイル配線層と、を有し、
前記第1外側コイル配線層、前記少なくとも1つの内側コイル配線層、および、前記第2外側コイル配線層と、前記複数の絶縁層とが交互に積層されており、
前記第1外側コイル配線層の巻回数は、1周未満であり、
前記第1外側コイル配線層の軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層の巻回数は、1周以上である、
インダクタ部品。
<10>
前記第2外側コイル配線層の巻回数は、1周未満であり、
前記第2外側コイル配線層の軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層の巻回数は、1周以上である、
<9>に記載のインダクタ部品。
<11>
前記第1外側コイル配線層の線路長が670μm以下である、
<1>、<2>、および、<5>から<10>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
<12>
前記第1外側コイル配線層の断面積に対する、前記第1外側コイル配線層の線路長の割合が11μm-1以下である、
<1>から<4>、および、<7>から<10>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
<13>
定格電流の2倍の電流を印加したときに、前記第1外側コイル配線層と、前記第1外側コイル配線層と隣り合う前記内側コイル配線層との間の電界強度が、0.040V/μm以下である、
<1>から<6>、<9>および<10>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
<14>
前記第1外側コイル配線層の巻回数は、1周未満である、
<1>から<8>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
<15>
前記第1外側コイル配線層に隣り合う前記内側コイル配線層の巻回数は、1周以上である、
<14>に記載のインダクタ部品。
<16>
前記第1外側コイル配線層の延在する方向に直交し、且つ、前記第1外側コイル配線層の軸に直交する方向の、前記第1外側コイル配線層の幅が、前記第1外側コイル配線層に隣り合う前記内側コイル配線層の軸に延在する方向に直交する方向の幅よりも大きい、<1>から<15>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
<17>
前記第1外側コイル配線層の前記軸に平行な方向の厚みが、前記第1外側コイル配線層と前記軸方向に隣り合う前記内側コイル配線層の前記軸方向に平行な方向の厚みよりも大きい、<1>から<15>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【符号の説明】
【0095】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F インダクタ部品
10、10E 素体
13 第1側面
14 第2側面
15 第1端面
16 第2端面
17 底面
18 天面
20 コイル
20a 巻回部
20b 第1引出部
20c 第2引出部
30 第1外部電極
31 第1端面部
32 第1底面部
33 第1外部電極導体層
40 第2外部電極
41 第2端面部
42 第2底面部
43 第2外部電極導体層
501~510 第1~第10コイル配線層
501E、510E 第1,第10コイル配線層
501F、510F 第1,第10コイル配線層
601~609 第1~第9ビア配線層
701~721 絶縁層
AX 軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10