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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140767
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】撮影装置および撮影装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20241003BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20241003BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241003BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20241003BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
H04N23/63 310
H04N23/67 300
H04N23/60 500
H04N23/60 100
G03B7/091
G03B15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052091
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】321001056
【氏名又は名称】OMデジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 正人
【テーマコード(参考)】
2H002
5C122
【Fターム(参考)】
2H002GA19
5C122EA42
5C122FA09
5C122FA11
5C122FH18
5C122FK28
5C122FK35
5C122FK37
5C122FK38
5C122FK40
5C122FK41
5C122FL03
5C122FL08
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】熟練者でなくても深度合成に必要な撮影条件の設定を適切かつ迅速に行える撮影装置等を提供する。
【解決手段】撮影装置は、撮影レンズ201のフォーカス位置を移動しながら複数の画像を撮影し、複数の画像の合焦領域を合成して深度合成画像を生成する深度合成撮影の機能を有する。撮影装置は、深度合成撮影に関わる設定項目の現在の設定値が推奨設定範囲内にあるか否かを判定する判定部135と、推奨設定範囲内にないと判定された場合に警告を行う警告部139と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズのフォーカス位置を移動しながら複数の画像を撮影し、前記複数の画像の合焦領域を合成して深度合成画像を生成する深度合成撮影の機能を有する撮影装置において、
前記深度合成撮影に関わる設定項目の現在の設定値が、推奨設定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記推奨設定範囲内にないと判定された場合に、警告を行う警告部と、
を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記深度合成撮影に関わる前記設定項目は複数あり、
前記判定部は、複数の設定項目のそれぞれについて、現在の設定値が前記推奨設定範囲内にあるか否かを判定し、
前記警告部は、前記判定部により現在の設定値が前記推奨設定範囲内にないと判定された設定項目が少なくとも1つある場合に、警告を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記複数の設定項目のそれぞれについての前記推奨設定範囲を記憶する記憶部をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記複数の設定項目のそれぞれについて、前記推奨設定範囲内における推奨設定値をさらに記憶することを特徴とする請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記複数の設定項目のそれぞれについて、前記推奨設定範囲と前記推奨設定値との少なくとも一方を前記記憶部から読み出して表示するガイド表示部をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記複数の設定項目のそれぞれについて、前記推奨設定値を前記記憶部から読み出して仮設定する仮設定部と、
前記仮設定部で仮設定された前記複数の設定項目のそれぞれについて、設定値を変更する入力を受ける入力部と、
をさらに具備し、
前記判定部は、前記入力部から入力された設定値が、前記推奨設定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記判定部により現在の設定値が前記推奨設定範囲内にないと判定された設定項目が少なくとも1つある場合に、前記深度合成撮影の実行を禁止する制御部をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記複数の設定項目は、前記撮影レンズの焦点距離と、前記撮影レンズに含まれる光学絞りの絞り値と、ISO感度と、の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項9】
撮影レンズのフォーカス位置を移動しながら複数の画像を撮影し、前記複数の画像の合焦領域を合成して深度合成画像を生成する深度合成撮影の機能を有する撮影装置の制御方法において、
前記深度合成撮影に関わる設定項目の現在の設定値が、推奨設定範囲内にあるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記推奨設定範囲内にないと判定された場合に、警告を行う警告ステップと、
を具備することを特徴とする撮影装置の制御方法。
【請求項10】
前記深度合成撮影に関わる前記設定項目は複数あり、
前記判定ステップは、複数の設定項目のそれぞれについて、現在の設定値が前記推奨設定範囲内にあるか否かを判定し、
前記警告ステップは、前記判定ステップにより現在の設定値が前記推奨設定範囲内にないと判定された設定項目が少なくとも1つある場合に、警告を行うことを特徴とする請求項9に記載の撮影装置の制御方法。
【請求項11】
予め記憶されている前記複数の設定項目のそれぞれについての前記推奨設定範囲を読み出す読出ステップをさらに具備することを特徴とする請求項10に記載の撮影装置の制御方法。
【請求項12】
前記読出ステップは、前記複数の設定項目のそれぞれについて予め記憶されている、前記推奨設定範囲内における推奨設定値をさらに読み出すことを特徴とする請求項11に記載の撮影装置の制御方法。
【請求項13】
前記複数の設定項目のそれぞれについて、前記読出ステップにより読み出された前記推奨設定範囲と前記推奨設定値との少なくとも一方を表示するガイド表示ステップをさらに具備することを特徴とする請求項12に記載の撮影装置の制御方法。
【請求項14】
前記複数の設定項目のそれぞれについて、前記読出ステップにより読み出された前記推奨設定値を仮設定する仮設定ステップと、
前記仮設定ステップで仮設定された前記複数の設定項目のそれぞれについて、設定値を変更する入力を受ける入力ステップと、
をさらに具備し、
前記判定ステップは、前記入力ステップから入力された設定値が、前記推奨設定範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項12に記載の撮影装置の制御方法。
【請求項15】
前記判定ステップにより現在の設定値が前記推奨設定範囲内にないと判定された設定項目が少なくとも1つある場合に、前記深度合成撮影の実行を禁止する制御ステップをさらに具備することを特徴とする請求項10に記載の撮影装置の制御方法。
【請求項16】
前記複数の設定項目は、前記撮影レンズの焦点距離と、前記撮影レンズに含まれる光学絞りの絞り値と、ISO感度と、の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の撮影装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文化財を撮影するのに適した撮影装置および撮影装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺跡から出土・発見された遺物や歴史的に価値の高い生活道具、器具、武器、装飾品などの比較的小さな文化財は、画像として保存する際に近接撮影を行うことが多い。近接撮影では被写界深度が浅くなって撮影対象物全体に焦点が合わず、記録保存用の画像に適さなくなる。
【0003】
一方、被写界深度が深い画像を得る技術として、撮影レンズのフォーカス位置を変えながら複数の画像を撮影し、各々の画像から合焦している領域を抽出して合成する、深度合成と呼ばれる技術が提案されている。
【0004】
例えば、日本国特開2015-231058号公報には、深度合成画像を撮影する際に、焦点位置のずらし量と画像データの解像度とに基づいて選択した複数の画像データから被写界深度の深い深度合成画像を生成するとともに、深度合成撮影が適切に行われたか否かを撮影直後に確認するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-231058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
日本国特開2015-231058号公報のように、撮影直後に深度合成撮影が適切に行われたか否かを確認できるようにすることも重要である。ただし、それ以前に、遺物等の文化財の深度合成撮影においては、記録画像としての価値を最優先する必要があるため、記録画像に見合った撮影条件を、撮影対象物の特徴を考慮した上で適切に設定しなければならない。設定する撮影条件には、例えば、以下のようなものがある。
【0007】
レンズ交換式の撮影装置では、焦点距離や近接撮影性能などが適切な交換式レンズを選択するなど、撮影に使用する機材の選択が必要となる。なお、レンズ固定式の撮影装置であっても、ズーム機能を有する場合は、焦点距離を適切に設定する必要がある。
【0008】
また、撮影対象物が記録画像として適切な大きさで写るように、撮影構図を決定する必要がある。さらに、被写界深度に関連する絞り値、ノイズに関連するISO感度などの制御パラメータを適切に設定する必要がある。このとき、撮影に要する時間を短縮するために、撮影条件は迅速に設定されることが好ましい。
【0009】
しかし、文化財の記録画像を撮影した経験が豊富な熟練者でなければ、全ての撮影条件を迅速かつ適切に設定することは困難であった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、熟練者でなくても深度合成に必要な撮影条件の設定を適切かつ迅速に行える撮影装置および撮影装置の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様による撮影装置は、撮影レンズのフォーカス位置を移動しながら複数の画像を撮影し、前記複数の画像の合焦領域を合成して深度合成画像を生成する深度合成撮影の機能を有する撮影装置において、前記深度合成撮影に関わる設定項目の現在の設定値が、推奨設定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記推奨設定範囲内にないと判定された場合に、警告を行う警告部と、を具備する。
【0012】
本発明の一態様による撮影装置の制御方法は、撮影レンズのフォーカス位置を移動しながら複数の画像を撮影し、前記複数の画像の合焦領域を合成して深度合成画像を生成する深度合成撮影の機能を有する撮影装置の制御方法において、前記深度合成撮影に関わる設定項目の現在の設定値が、推奨設定範囲内にあるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記推奨設定範囲内にないと判定された場合に、警告を行う警告ステップと、を具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の撮影装置および撮影装置の制御方法によれば、熟練者でなくても深度合成に必要な撮影条件の設定を適切かつ迅速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る撮影装置の主に電気的な構成を示すブロック図である。
図2】上記第1の実施形態に係る撮影装置の、機能的な観点からの構成を示すブロック図である。
図3】上記第1の実施形態において、撮影装置が深度合成撮影モードに設定されたときの、撮影準備処理の一部を示すフローチャートである。
図4】上記第1の実施形態において、撮影装置が深度合成撮影モードに設定されたときの、撮影準備処理の他の一部を示すフローチャートである。
図5】上記第1の実施形態において、図4のステップS24における深度合成撮影および記録の処理を示すフローチャートである。
図6】上記第1の実施形態において、現在設定されている焦点距離が不適切である場合の、警告情報が重畳されたガイド情報の表示例を示す図である。
図7】上記第1の実施形態において、現在設定されている焦点距離が適切である場合の、ガイド情報の表示例を示す図である。
図8】上記第1の実施形態において、被写体の奥行きと横幅の寸法情報の入力を受け付けているときの入力画面の表示例を示す図である。
図9】上記第1の実施形態において、推奨設定と、初期値が設定された現在の設定とを並べたガイド情報の表示例を示す図である。
図10】上記第1の実施形態において、現在の設定値が不適切である場合に、警告情報が重畳されたガイド情報の表示例を示す図である。
図11】上記第1の実施形態において、撮影構図ガイド線が重畳されたライブビュー画像の表示例を示す図である。
図12】上記第1の実施形態において、撮影構図が不適切である場合に、警告情報が重畳されたライブビュー画像の表示例を示す図である。
図13】上記第1の実施形態において、付帯情報画像が合成された深度合成画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
[第1の実施形態]
【0016】
図1から図13は本発明の第1の実施形態を示したものである。図1は、第1の実施形態に係る撮影装置の主に電気的な構成を示すブロック図である。
【0017】
撮影装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、撮影機能付き携帯電話などの、撮影機能を備える装置である。以下では、撮影装置がレンズ交換式のデジタルカメラである場合を想定して説明する。なお、ここでは、デジタルカメラがレンズ交換式である場合を想定しているが、レンズ固定式であっても構わない。
【0018】
撮影装置は、例えば、撮影装置本体100と、撮影装置本体100に脱着可能な交換式レンズ200と、を備える。本実施形態の撮影装置は、下記に説明するように、フォーカス位置が異なる複数の画像の合焦領域を合成して深度合成画像を生成する、深度合成撮影の機能を有する。
【0019】
交換式レンズ200は、撮影レンズ201と、光学絞り202と、ドライバ203と、フォーカス位置検出部204と、ズーム位置検出部205と、フラッシュメモリ206と、マイクロコンピュータ207と、レンズ側インターフェース(レンズ側I/F)208と、を備える。
【0020】
撮影レンズ201は、被写体(撮影対象物)の光学像を形成する。撮影レンズ201は、1枚以上の光学レンズを備え、一般的には複数の光学レンズを備える。撮影レンズ201が備える複数の光学レンズには、フォーカス位置を調整するためのフォーカスレンズが含まれる。また、撮影レンズ201がズーム調整可能である場合は、撮影レンズ201が備える複数の光学レンズに、ズーム位置(焦点距離)を調整するためのズームレンズが含まれる。
【0021】
撮影レンズ201の光軸上には、光学絞り202が配置されている。光学絞り202は、開口径が可変であり、撮影レンズ201を通過する被写体光束の光量を制御する。光学絞り202の開口径は、絞り値により制御される。公知のように、絞り値は、被写界深度に関連する。具体的に、絞り値が小さい(開口径が大きい)ときは被写界深度が浅く、絞り値が大きい(開口径が小さい)ときは被写界深度が深くなる。
【0022】
なお、図示の関係上、撮影レンズ201とは別の位置に光学絞り202を記載しているが、実際の光学絞り202は、例えば、撮影レンズ201を構成する複数の光学レンズの間の光軸上に配置されている。
【0023】
ドライバ203は、マイクロコンピュータ207からの制御信号に基づいて、撮影レンズ201内のフォーカスレンズを光軸方向へ移動し、光学絞り202の開口径を変更する。さらに、撮影レンズ201が電動ズーム可能である場合、ドライバ203は、マイクロコンピュータ207からの制御信号に基づいて、撮影レンズ201内のズームレンズを光軸方向へ移動する。
【0024】
フォーカス位置検出部204は、例えばエンコーダを備え、撮影レンズ201内のフォーカスレンズの位置に応じたフォーカス位置検出信号を出力する。
【0025】
ズーム位置検出部205は、撮影レンズ201がズーム調整可能である場合に設けられる。ズーム位置検出部205は、例えばエンコーダを備え、撮影レンズ201内のズームレンズの位置に応じたズーム位置検出信号を出力する。
【0026】
マイクロコンピュータ207は、ドライバ203、フォーカス位置検出部204、およびズーム位置検出部205に接続されている。マイクロコンピュータ207は、さらに、フラッシュメモリ206に接続されている。
【0027】
フラッシュメモリ206は、マイクロコンピュータ207が作動するためのコンピュータプログラムを不揮発に記憶する。さらに、フラッシュメモリ206は、交換式レンズ200の光学的特性値や調整値などの種々の情報を不揮発に記憶する。
【0028】
マイクロコンピュータ207は、フラッシュメモリ206に記憶されたコンピュータプログラムに従って、種々の処理を行う。
【0029】
例えば、マイクロコンピュータ207は、フォーカス位置検出部204からフォーカス位置検出信号を取得して、フォーカス位置(焦点位置)を算出する。また、マイクロコンピュータ207は、ズーム位置検出部205からズーム位置検出信号を取得して、ズーム位置(焦点距離)を算出する。
【0030】
マイクロコンピュータ207は、さらに、レンズ側I/F208に接続されている。レンズ側I/F208は、後述する本体側インターフェース(本体側I/F)114と接続されることで、交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207と撮影装置本体100内の後述するマイクロコンピュータ120との相互間の通信を可能とするインターフェースである。
【0031】
マイクロコンピュータ207は、撮影装置本体100のマイクロコンピュータ120と通信を行って、交換式レンズ200を制御する。例えば、マイクロコンピュータ207は、フラッシュメモリ206から読み出した種々の情報をマイクロコンピュータ120へ送信する。さらに、マイクロコンピュータ207は、フォーカス位置の情報およびズーム位置の情報(焦点距離情報)をマイクロコンピュータ120へ送信する。そして、マイクロコンピュータ207は、マイクロコンピュータ120からの制御信号に基づきドライバ203によりフォーカスレンズ(必要に応じてさらにズームレンズ)および光学絞り202を駆動する。
【0032】
撮影装置本体100は、メカニカルシャッタ101と、撮像素子102と、アナログ処理部103と、A/D変換部(アナログ/デジタル変換部)104と、バス105と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)106と、画像処理部107と、AE(Auto Exposure)処理部108と、AF(Auto Focus)処理部109と、表示ドライバ110と、表示パネル111と、メモリインターフェース(メモリI/F)112と、記録媒体113と、本体側I/F114と、操作部115(入力部)と、フラッシュメモリ116と、GPS(Global Positioning System)ドライバ117と、GPS受信機118と、サウンドドライバ119と、マイクロコンピュータ120と、マイクロフォン121と、スピーカ122と、を備える。
【0033】
メカニカルシャッタ101は、撮影装置本体100内における撮影レンズ201の光軸上に配置されている。メカニカルシャッタ101は、例えばフォーカルプレーンシャッタにより構成され、開閉することで被写体光束の通過時間を制御する。メカニカルシャッタ101には、シャッタ速度の上限となる高速限界が存在する。
【0034】
撮像素子102は、撮影装置本体100内における撮影レンズ201の光軸上の、メカニカルシャッタ101よりも後方に配置されている。撮影レンズ201からの被写体光束は、開状態のメカニカルシャッタ101を通過した後に、撮像素子102上に被写体の光学像として結像される。撮像素子102は、被写体の光学像を撮像して画像データを取得する撮像部145(図2参照)の一部を構成する。
【0035】
撮像素子102は、複数の画素が2次元のマトリックス状に配置されている。各画素には、光電変換を行って受光量に応じた画素電荷を発生するフォトダイオードが設けられている。
撮像素子102は、例えば、カラー撮像素子として構成され、各画素の前面に原色ベイヤ配列のカラーフィルタが配置されている。フォトダイオードで発生した画素電荷は、フォトダイオードに接続されたキャパシタに蓄積され、所定のタイミングでキャパシタから読み出される。
【0036】
また、撮像素子102は電子シャッタの機能を備えている。電子シャッタは、例えば、フォトダイオードのリセットを終了して電荷の蓄積を開始してから、フォトダイオードからキャパシタへ電荷を読み出すまでの時間を制御することにより、露光時間を制御する。
【0037】
撮像素子102は、撮像部145の一部を構成するアナログ処理部103に接続されている。アナログ処理部103は、撮像素子102から読み出された信号(アナログ画像信号)に、リセットノイズ低減処理、波形整形処理、ゲインアップなどのアナログ信号処理を行う。
【0038】
アナログ処理部103は、撮像部145の一部を構成するA/D変換部104に接続されている。A/D変換部104は、アナログ処理部103から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。A/D変換部104により変換されたデジタル画像信号(以後、画像データという)は、RAW画像データとも呼ばれる。
【0039】
なお、ここでは撮像素子102がアナログ撮像素子である例を示したが、撮像素子102は、アナログ処理部103およびA/D変換部104の機能を備えるデジタル撮像素子であっても構わない。
【0040】
A/D変換部104により変換された画像データは、バス105を経由して転送され、SDRAM106に記憶される。
【0041】
バス105は、撮影装置本体100内のある機能部から他の機能部へ、命令や各種のデータを転送する転送路である。図1の構成例では、バス105に、A/D変換部104、SDRAM106、画像処理部107、AE処理部108、AF処理部109、表示ドライバ110、メモリI/F112、GPSドライバ117、サウンドドライバ119、およびマイクロコンピュータ120が接続されている。
【0042】
SDRAM106は、電気的に書き換え可能な揮発性メモリである。SDRAM106は、A/D変換部104から出力された画像データ、画像処理部107により処理された画像データなどの各種データを一時的に記憶する。
【0043】
画像処理部107は、SDRAM106に記憶された画像データに画像処理を行う。画像処理部107は、基本画像処理部107aと、解像度変換部107bと、画像合成部107cとを備える。
【0044】
基本画像処理部107aは、SDRAM106から読み出したRAW画像データに、オプティカルブラック(OB)減算処理、ホワイトバランス(WB)補正処理、デジタルゲイン処理、同時化処理、色再現処理、ガンマ補正処理、カラーマトリックス演算、ノイズリダクション(NR)処理、エッジ強調処理などの基本画像処理を行う。
【0045】
解像度変換部107bは、画像データの解像度を変換する解像度変更部として機能する。解像度変換部107bは、バイキュービック法などの画素補間法を用いて画像の解像度を変換し、画像をリサイズする。解像度変換部107bは、記録画像の解像度が設定されているときの解像度変換、表示パネル111の解像度に合わせた解像度変換などを行う。
【0046】
なお、表示パネル111で深度合成の効果を確認する場合は、次のような処理を行って確認用の深度合成画像を生成するとよい。まず、確認用の深度合成画像を生成する場合に用いる画像の枚数を、記録用の深度合成画像を生成する場合に用いる画像の枚数よりも少なくする。さらに、複数の画像の解像度を、表示パネル111の解像度に合わせて変換してから、深度合成処理を行う。これにより、深度合成の処理負荷を軽減し、画像が表示されるまでの時間を短縮できる。
【0047】
画像合成部107cは、撮影装置が深度合成撮影モードに設定された際に、被写界の深度を深くした深度合成画像を生成する処理を行う。なお、深度合成撮影では、撮影装置が三脚等に取り付けられていることを前提としている。
【0048】
深度合成撮影モードが設定された状態で操作部115のレリーズ釦が操作されると、撮影装置は、撮影レンズのフォーカス位置を移動しながら複数の画像を撮影する。なお、深度合成撮影において撮影される画像の枚数には、SDRAM106の記憶容量などに応じた上限枚数がある。撮影された複数の画像は、基本画像処理部107aによりそれぞれ基本画像処理される。
【0049】
画像合成部107cは、深度合成処理を行って、基本画像処理された複数の画像の合焦領域を合成し深度合成画像を生成する。具体的に、画像合成部107cは、異なる複数のフォーカス位置で撮影された複数の画像データの位置合わせを行う。次に、画像合成部107cは、位置合わせした複数の画像における同一位置の画像領域の先鋭度(または、コントラスト、解像度など)を比較する。そして、画像合成部107cは、先鋭度が最も高い画像領域を有する画像から、該当する画像領域を抽出して、深度合成画像の該当位置に配置する。画像合成部107cは、画像領域の位置を異ならせながらこの処理を画像全体に対して行うことで、単一の画像よりも被写界深度が深い深度合成画像を生成する(ステップS35)。
【0050】
複数の画像のフォーカス位置のずらし量(後述するフォーカスステップに対応)が適切であれば、被写体の最至近領域から最遠領域までの全ての領域においてピントが合った深度合成画像が得られる。なお、深度合成撮影の技術は公知であり、本実施形態においても公知の技術を用いるため、深度合成撮影に関するより詳細な説明は省略する。
【0051】
また、画像合成部107cは、生成した深度合成画像に、付帯情報の画像をさらに合成する機能を有する。付帯情報には、被写体を撮影する前に分かっている第1の付帯情報と、撮影時に取得される第2の付帯情報と、がある。遺物や文化財を記録画像として撮影する場合、同じ撮影対象物を複数枚撮影することがある。この場合、第1の付帯情報は全ての撮影画像に共通する情報であり、第2の付帯情報は各撮影画像に特有の情報である。
【0052】
本実施形態では、被写体(撮影対象物)として、遺跡から出土・発見された遺物や歴史的に価値の高い生活道具、器具、武器、装飾品などの比較的小さな文化財を想定している。想定している撮影対象物の具体的な大きさは、数cm~数十cm程度である。
【0053】
撮影対象物が例えば遺跡を発掘した際に出土した遺物である場合、第1の付帯情報は、遺物が発掘された調査名、遺物の呼称、遺物が出土した場所(発掘場所)、遺物が出土した日付(発掘日)、発見者に関する情報(発掘者名)、遺物の寸法(奥行き、幅(横幅)、高さ)、遺物の材料、遺物の特徴などである(図13に示す第1の付帯情報165参照)。
【0054】
また、撮影対象物が例えば歴史的に価値の高い生活道具、器具、武器、装飾品などの物品である場合、第1の付帯情報は、物品が使われていた時代、物品の名称、物品の寸法、物品の材料、物品の特徴、物品の保管場所などである。
【0055】
第1の付帯情報は、被写体の記録画像を撮影する時点で既知の情報であり、必ずしも撮影時に登録しなくてもよい。従って、撮影前である撮影準備の際や、撮影を行った後に、第1の付帯情報を一括して登録してもよい。
【0056】
第1の付帯情報の登録は、例えば、後述するようにタッチパネルとして構成された表示パネル111の表示を見ながら、タッチ入力部を用いて手動で入力してもよい。または、サウンドドライバ119を経由してマイクロフォン121から入力した音声を、マイクロコンピュータ120が音声認識してテキストに変換してもよい。
【0057】
また、第2の付帯情報は、撮影の日時情報、撮影場所の情報、撮影時の設定条件や撮影者の考察(備考)など、撮影現場で記録しておくことが望ましい情報などが該当する(図13に示す第2の付帯情報166参照)。第2の付帯情報は、第1の付帯情報と同様に撮影者が手動で入力しても構わないが、音声を用いて入力する方が効率的である。これについては後述する。また、一部の情報は公知の技術により自動で取得してもよい。例えば、撮影の日時情報は、マイクロコンピュータ120に内蔵された時計機能から自動で取得できる。また、撮影場所の情報は、GPSドライバ117を経由して、GPS受信機118から自動で取得できる。
【0058】
従来から、撮影日時や撮影場所をデータとして記録するEXIF(Exchangeable image file format)が用いられている。EXIFで記録されたデータは、画像を表示しても見ることはできず、ビューワや写真編集ソフトウェアなどを用いることで参照できる。
【0059】
これに対し、本実施形態では、画像合成部107cが、付帯情報を画像として合成しており、画像を表示すれば付帯情報を見ることができる。付帯情報を、深度合成画像に画像合成して直接見えるようにしている理由は、学術研究のための記録画像としての価値を考慮しているからである。つまり、遺物等の画像を見れば視認できるように関連情報を写し込むことで、後の整理や分析が簡単になり、改ざん防止にも有効となる。
【0060】
AE処理部108は、画像データから輝度成分を抽出し、測光方式に応じた重み付け等を行って測光情報を算出する。AE処理部108は、算出した測光情報をマイクロコンピュータ120へ出力する。
【0061】
AF処理部109は、画像データから高周波成分を抽出し、高周波成分を積算処理して合焦評価値を算出する。AF処理部109は、算出した合焦評価値をマイクロコンピュータ120へ出力する。
【0062】
表示ドライバ110は、表示パネル111に接続されている。表示ドライバ110は、SDRAM106に記憶されている表示用の画像データを、表示パネル111に表示させる制御を行う。表示用の画像データは、上述のように、解像度変換部107bにより表示パネル111の解像度に合わせた解像度変換が行われた画像データである。
【0063】
表示パネル111は、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネルなどの表示デバイスを備えた表示部である。表示パネル111は、例えば撮影装置本体100の背面に配置され、画像や撮影装置に関する各種情報などを表示する。本実施形態の表示パネル111は、タッチパネルとして構成され、表示面上に操作部115に含まれるタッチ入力部が併設されている。
【0064】
表示パネル111は、ライブビュー表示、レックビュー表示、再生表示などを行う。ライブビュー表示は、撮影モード時に、撮像素子102によりフレーム単位で取得された画像を、観察画像としてリアルタイムで表示する。撮影者は、ライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レックビュー表示は、撮影モード時に静止画撮影された画像を、撮影の直後に所定時間表示する。撮影者は、レックビュー表示を観察することにより、撮影された画像を確認する。再生表示は、再生モード時に、記録媒体113に例えば圧縮された状態で記録された記録画像データを含む画像ファイルを読み出して、画像処理部107内の画像伸張部により記録画像データを伸張し、伸張された記録画像を表示する。
【0065】
メモリI/F112は、記録媒体113に接続されている。メモリI/F112は、SDRAM106に記憶されている記録画像データを画像ファイルの形式で記録媒体113に書き込み、記録媒体113に記録されている画像ファイルを読み出す制御を行う。画像ファイルは、例えば圧縮された記録画像データと、記録画像データに添付されたヘッダ等のデータと、を含むデータファイルである。
【0066】
記録媒体113は、例えば、撮影装置本体100に着脱自在なメモリカード等の可搬性記録媒体として構成されている。これに限らず、記録媒体113は、撮影装置本体100に内蔵されたソリッドステートドライブ(SSD)、またはハードディスクドライブ(HDD)等であっても構わない。従って、記録媒体113は、撮影装置に固有の構成である必要はない。
【0067】
記録媒体113は、画像ファイルを不揮発に記録する媒体である。画像ファイルには、静止画像を含む静止画像ファイルと、動画像を含む動画像ファイルと、がある。静止画像ファイルは、含まれる画像データが、単一の画像撮影により得られた記録用の画像データである場合、画像合成部107cにより生成された記録用の深度合成画像データである場合などがある。
【0068】
本体側I/F114は、マイクロコンピュータ120に接続されている。本体側I/F114は、上述のように、レンズ側I/F208と接続されることで、交換式レンズ200内のマイクロコンピュータ207と撮影装置本体100内のマイクロコンピュータ120の相互間の通信を可能とするインターフェースである。
【0069】
操作部115は、電源釦、レリーズ釦、再生釦、メニュー釦、十字キー、OK釦などの各種の入力釦や入力キー、表示パネル111に併設された上述のタッチ入力部などの操作部材を含む。操作部115は、マイクロコンピュータ120に接続されている。
【0070】
撮影者が操作部115を操作すると、操作部材の種類や操作状態に応じた電気信号が発生し、発生した電気信号がマイクロコンピュータ120へ出力される。マイクロコンピュータ120は、操作部115から入力された電気信号に応じた各種のシーケンスを実行する。
【0071】
電源釦は、撮影装置の電源のオン/オフを指示するための操作部材である。撮影装置の電源がオフの状態で電源釦が操作されると電源がオンになり、撮影装置の電源がオンの状態で電源釦が操作されると電源がオフになる。
【0072】
レリーズ釦は、撮影者が撮影を指示するための操作部材である。レリーズ釦は、半押しでオンになるファーストレリーズスイッチと、半押しからさらに押し込んだ全押しでオンになるセカンドレリーズスイッチと、を有する。
【0073】
マイクロコンピュータ120は、ファーストレリーズスイッチがオンになると、AE動作およびAF動作などを含む撮影準備シーケンスを実行する。また、マイクロコンピュータ120は、セカンドレリーズスイッチがオンになると、本撮影の撮影シーケンスを実行する。本撮影の撮影シーケンスでは、メカニカルシャッタ101および撮像素子102等を制御して撮像を行い、撮像素子102から画像データを取得し、画像処理部107により画像データに画像処理を行って、画像処理後の画像データを画像ファイルとして記録媒体113に記録する。
【0074】
再生釦は、撮影者が再生モードの選択を指示するための操作部材である。再生釦が操作されると、撮影装置が再生モードに設定され、記録媒体に記録された画像データの一覧が表示パネル111に表示される。ここで、十字キーおよびOK釦を用いて、または表示パネル111に併設されたタッチ入力部を用いて画像を選択すると、選択された画像が表示パネル111に再生表示される。
【0075】
メニュー釦は、メニュー画面の表示を指示するための操作部材である。メニュー釦が操作されると、表示パネル111にメニュー画面が表示される。撮影者は、メニュー画面上で、十字キーおよびOK釦を用いて、または表示パネル111に併設されたタッチ入力部を用いて、撮影装置に係る各種の設定を行える。
【0076】
十字キーは、表示パネル111に表示された画像データの一覧における着目項目、メニュー画面に表示された複数の選択項目における着目項目などの移動を指示するための操作部材である。また、十字キーは、AFエリアの移動、画像を拡大して表示する際の表示部分の移動などにも用いられる。
【0077】
OK釦は、十字キーなどにより選択されている着目項目の確定を指示するための操作部材である。OK釦により着目項目が確定すると、マイクロコンピュータ120は確定内容に応じた処理シーケンスを実行する。
【0078】
タッチ入力部は、表示パネル111上の表示に対応する部分をタッチすることで、表示に対応する部分の選択および確定を指示するための操作部材である。タッチ入力部がタッチされると、タッチされた部分に表示された項目等が確定し、マイクロコンピュータ120が確定内容に応じた処理シーケンスを実行する。
【0079】
フラッシュメモリ116は、マイクロコンピュータ120に接続されている。フラッシュメモリ116は、マイクロコンピュータ120が作動するためのコンピュータプログラムを不揮発に記憶する。さらに、フラッシュメモリ116は、撮影装置本体100に関する各種の情報を不揮発に記憶する。
【0080】
製造段階でフラッシュメモリ116に記憶される情報には、深度合成における撮影条件の設定をガイドするためのガイド情報が含まれる。ガイド情報については後で詳しく説明するが、幾つかの例として、機器のセッティングに関するアドバイス情報、各種の制御パラメータの推奨設定値(必要に応じてさらに推奨設定範囲)、深度合成撮影に適した構図設定を示す撮影構図ガイド線161(図11および図12参照)などが挙げられる。
【0081】
表示パネル111を用いて(および/またはスピーカ122を用いて)、深度合成撮影のガイド情報を撮影者に提示することで、深度合成撮影の熟練者でなくても深度合成撮影を適切かつ迅速に行うことが可能となる。さらに、フラッシュメモリ116には、深度合成撮影モードにおいて、被写体(撮影対象物)の寸法等に基づきフォーカスステップを決定するためのテーブルが記憶されている。
【0082】
GPSドライバ117は、GPS受信機118に接続されている。GPS受信機118は、GPS衛星(正式には、NAVSTAR(Navigation Satellites with Time And Ranging)衛星)から電波信号(GPS信号)を受信して、電気信号に変換する。
【0083】
GPSドライバ117は、GPS受信機118により電気信号に変換されたGPS信号から、位置情報を取得する。
【0084】
サウンドドライバ119は、マイクロフォン121およびスピーカ122に接続されている。サウンドドライバ119は、マイクロフォン121およびスピーカ122を制御するオーディオインターフェースである。
【0085】
マイクロフォン121は、外部の音声を電気信号に変換して、サウンドドライバ119へ出力する。
【0086】
スピーカ122は、サウンドドライバ119から出力された電気信号を、音声に変換して発音する。なお、ブザー音を鳴らす必要がある場合は、スピーカ122により鳴らしてもよいし、スピーカ122とは別途にブザーを設けても構わない。
【0087】
マイクロコンピュータ120は、撮影装置全体を制御する制御部である。マイクロコンピュータ120は、フラッシュメモリ116に記憶されているコンピュータプログラムに従って各種のシーケンスを実行し、撮影装置全体を総括的に制御する。
【0088】
マイクロコンピュータ120は、レンズ制御部120aと、撮影指示部120bとを有する。
【0089】
撮影指示部120bは、レリーズ釦の操作に応じて、撮影に関する制御を行う。例えば、撮影指示部120bは、レリーズ釦の半押し操作に応じて、レンズ制御部120aに撮影レンズ201を制御させる。また、撮影指示部120bは、レリーズ釦の全押し操作に応じて、メカニカルシャッタ101、撮像素子102、アナログ処理部103、およびA/D変換部104を制御して撮像を行わせ、RAW画像データを生成させる。
【0090】
レンズ制御部120aは、撮影指示部120bからの指示に基づき、マイクロコンピュータ207を経由して、ドライバ203に撮影レンズ201を駆動させる。
【0091】
例えば、レンズ制御部120aは、撮影レンズ201のフォーカスレンズを合焦位置に移動させる制御命令をマイクロコンピュータ207へ送信してドライバ203を制御させることで、合焦制御を行う。
【0092】
本実施形態の撮影装置は、AF方式として例えばコントラスト法を用いて、撮影レンズ201のフォーカス位置を合わせる。レンズ制御部120aは、フォーカス位置が異なる複数の画像データの合焦評価値をAF処理部109から取得する。レンズ制御部120aは、取得した複数の合焦評価値から、合焦評価値が最大となるコントラストピークを検出し、コントラストピークに対応するフォーカス位置を合焦位置とするように制御する。
【0093】
また、レンズ制御部120aは、深度合成撮モードにおいて、フォーカスステップずつ、撮影レンズ201のフォーカス位置を順次ずらしていく制御を行う。
【0094】
レンズ制御部120aおよび撮影指示部120bは、マイクロコンピュータ120がコンピュータプログラムに従ったシーケンスとして、ソフトウェアによって実現される。ただし、これに限らず、レンズ制御部120aおよび撮影指示部120bを、例えばハードウェアにより構成しても構わない。
【0095】
さらに、マイクロコンピュータ120は、マイクロフォン121から入力した音声データをテキストデータに変換する音声認識機能を備えている。ただし、マイクロコンピュータ120は、外部のサーバまたはクラウドと通信を行って、外部のサーバまたはクラウドが備える音声認識機能を利用しても構わない。
【0096】
図2は、第1の実施形態に係る撮影装置の、機能的な観点からの構成を示すブロック図である。
【0097】
撮影装置は、制御部130と、寸法情報入力部131と、焦点距離情報取得部132と、推奨設定情報記憶部133(記憶部)と、設定値入力部134(入力部)と、判定部135と、パラメータ設定部136(仮設定部)と、撮影構図判定部137と、ガイド表示部138と、警告部139と、フォーカスステップ決定部140と、焦点調整部141と、露光量調整部142と、付帯情報入力部143と、付帯情報画像生成部144と、撮像部145と、深度合成画像生成部146と、付帯情報合成部147と、記録部148と、を備える。
【0098】
制御部130は、マイクロコンピュータ120が該当し、撮影装置内の各部を制御する。例えば、制御部130は、深度合成撮影に関わる設定項目の現在の設定値が推奨設定範囲内にない、と判定部135により判定された設定項目が少なくとも1つある場合に、深度合成撮影の実行を禁止する(制御ステップ)。
【0099】
寸法情報入力部131は、操作部115およびマイクロフォン121が該当し、被写体(撮影対象物)の寸法情報を入力する。撮影者は、例えば表示パネル111に併設された操作部115のタッチ入力部から、対象物の寸法を数字で入力する。また、撮影者は、マイクロフォン121から音声により寸法情報を入力してもよい。この場合、上述したマイクロコンピュータ120の音声認識機能などを用いて、音声データを音声認識しテキスト情報に変換する。
【0100】
焦点距離情報取得部132は、ズーム位置検出部205およびマイクロコンピュータ207が該当し、マイクロコンピュータ207が、ズーム位置検出部205からズーム位置検出信号を取得して、ズーム位置の情報(焦点距離情報)を算出する。
【0101】
推奨設定情報記憶部133は、フラッシュメモリ116が該当し、後述するような、深度合成における撮影条件の設定をガイドするためのガイド情報を記憶する。ガイド情報は、複数の設定項目のそれぞれについての、推奨設定範囲と、推奨設定範囲内における最適値である推奨設定値と、を含む。なお、推奨設定範囲の上限値と下限値が同じ値である(つまり、推奨設定範囲が1つの値である)場合、推奨設定範囲は推奨設定値と等しい。複数の設定項目は、後述するように、撮影レンズ201の焦点距離と、撮影レンズ201に含まれる光学絞り202の絞り値と、ISO感度と、の内の少なくとも1つを含む。
【0102】
設定値入力部134は、操作部115が該当し、撮影者が撮影条件の設定値を入力する。具体的に、設定値入力部134は、後述するパラメータ設定部136で仮設定された複数の設定項目のそれぞれについて、設定値を変更する入力を受ける。
【0103】
判定部135は、マイクロコンピュータ120が該当し、推奨設定情報記憶部133に記憶されたガイド情報に基づいて、撮影者が不適切な撮影条件を設定したか否かを判定する。
【0104】
深度合成撮影に関わる設定項目は1つ以上あるが、実用上は複数ある。判定部135は、複数の設定項目のそれぞれについての推奨設定範囲を推奨設定情報記憶部133から読み出す(読出ステップ)。判定部135は、深度合成撮影に関わる設定項目の現在の設定値が、推奨設定範囲内にあるか否かを判定する(判定ステップ)。ここで、パラメータ設定部136により推奨設定値が仮設定された場合、判定部135は、入力部134から入力された設定値が推奨設定範囲内にあるか否かを判定する。
【0105】
判定部135は、推奨設定範囲内にないと判定した設定項目が少なくとも1つある場合、警告信号を制御部130へ出力する。
【0106】
パラメータ設定部136は、マイクロコンピュータ120が該当し、深度合成撮影に関わる複数の設定項目のそれぞれについて、推奨設定値を推奨設定情報記憶部133から読み出して仮設定する(読出ステップ、仮設定ステップ)。さらに、パラメータ設定部136は、撮影者が設定値入力部134から設定値を入力した場合、推奨設定値を入力された設定値に更新する。
【0107】
撮影構図判定部137は、マイクロコンピュータ120が該当し、例えば被写体認識を行って、認識した被写体(撮影対象物)が撮影画面の所定範囲(後述する撮影構図ガイド線161で囲まれた範囲)内に位置しているか否かを判定する。なお、被写体認識に限らず、例えば被写体の輪郭検出を行い、検出した輪郭が所定範囲内に位置しているか否かを撮影構図判定部137が判定しても構わない。
【0108】
ガイド表示部138は、表示パネル111が該当し、制御部130の制御により、推奨設定情報記憶部133から読み出されたガイド情報を表示する。具体的に、ガイド表示部138は、複数の設定項目のそれぞれについて、推奨設定範囲と推奨設定値との少なくとも一方を推奨設定情報記憶部133から読み出して表示する。さらに、ガイド表示部138は、複数の設定項目のそれぞれについて、現在の設定値を表示する
【0109】
警告部139は、表示パネル111およびスピーカ122(またはブザー)が該当する。警告部139は、制御部130が判定部135から警告信号を受信した場合、制御部130の制御により、表示パネル111が警告情報を表示し、必要に応じてスピーカ122(またはブザー)が警告音を発生する(警告ステップ)。
【0110】
フォーカスステップ決定部140は、マイクロコンピュータ120およびフラッシュメモリ116が該当する。マイクロコンピュータ120は、被写体(撮影対象物)の奥行き、横幅、および深度合成撮影における画像の上限枚数に基づき、例えばフラッシュメモリ116に記憶されたテーブルを参照することで、フォーカスステップを決定する。
【0111】
ここで、フォーカス位置のずらし量をフォーカスレンズの駆動量に応じたパルス数に換算したものをフォーカスステップという。実際のレンズ駆動制御においては、フォーカスステップに基づいて、撮影レンズ201のフォーカス位置を移動する。
【0112】
上述したように、撮影対象物の大きさには、数cm~数十cm程度のばらつきがある。この場合、フォーカス位置のずらし量を適切に設定することが求められる。
【0113】
例えば、フォーカス位置のずらし量が適切な量よりも大きく、撮影枚数が少ないと、深度合成画像のつなぎ目で解像度が低下することがある。
【0114】
また、フォーカス位置のずらし量が適切な量よりも小さく、撮影枚数が多くなりすぎると、深度合成処理に長い時間を要し、複数の画像を一時的に記憶するSDRAM106として大容量のものが必要になる。
【0115】
そこで、本実施形態では、SDRAM106の記憶容量に応じた撮影枚数の上限(上限枚数)の下で、撮影対象物の奥行き、横幅、設定されている絞り値、さらには撮影レンズ201の焦点距離を考慮して、撮影対象物の奥行き方向全域をカバーできるようなフォーカス位置のずらし量を設定する。
【0116】
具体的に、フラッシュメモリ116に記憶されたフォーカスステップを決定するためのテーブルには、例えば、設定絞り値をF5.6、撮影レンズ201の焦点距離を標準画角が得られる焦点距離とすることを前提にして、撮影対象物の奥行き、横幅、および、上限枚数に応じたフォーカスステップ(フォーカス位置のずらし量に対応)が記載されている。
【0117】
従って、レンズ制御部120a(フォーカスステップ決定部140)は、被写体の寸法情報(奥行き、横幅)、および上限枚数をパラメータとしてテーブルを参照することで、フォーカスステップを決定する。
【0118】
なお、フォーカスステップとフォーカス位置のずらし量の関係式、および寸法情報に基づくフォーカスステップの決定方法は、撮像素子102のサイズ、要求される深度合成画像の解像度、撮影レンズ201の焦点距離、光学絞り202の絞り値などの様々な要因に基づいて決定されるため、より具体的な説明は省略する。
【0119】
焦点調整部141は、AF処理部109、マイクロコンピュータ120、ドライバ203、フォーカス位置検出部204、およびマイクロコンピュータ207が該当する。焦点調整部141は、深度合成撮モードにおいて、フォーカス位置検出部204により検出されたフォーカス位置検出信号を参照しながら、フォーカスステップ決定部140により決定されたフォーカスステップずつ、撮影レンズ201のフォーカス位置を順次ずらしていく。
【0120】
露光量調整部142は、メカニカルシャッタ101、アナログ処理部103、AE処理部108、基本画像処理部107a、マイクロコンピュータ120、光学絞り202、ドライバ203、およびマイクロコンピュータ207が該当する。露光量調整部142は、AE処理部108により算出された測光情報に基づき、メカニカルシャッタ101のシャッタ速度、光学絞り202の絞り値、アナログ処理部103によるアナログゲインおよび基本画像処理部107aによるデジタルゲインで変更されるISO感度、などの露光パラメータを調整する。
【0121】
付帯情報入力部143は、操作部115およびマイクロフォン121が該当する。付帯情報入力部143は、例えば、表示パネル111に併設されたタッチ入力部を用いて、または、十字キーおよびOK釦を用いて、撮影対象物の画像に合成するための付帯情報を手動で入力する。また、付帯情報入力部143は、マイクロフォン121から音声により付帯情報を入力することもできる。入力された音声の付帯情報は、マイクロコンピュータ120等により音声認識され、テキストの付帯情報に変換される。
【0122】
ここで、音声認識による付帯情報の入力は、撮影者がファインダーを覗いたまま、撮影動作と並行して実行できる。一方、1枚撮影する度に手動で付帯情報を入力する場合は、撮影動作がその都度中断されるため、非効率的である。そこで、本実施形態では、少なくとも第2の付帯情報を音声入力で取得することを前提にしている。これにより、少なくとも第2の付帯情報に関しては、一連の撮影操作に係る時間を短縮する効果を期待できる。なお、その他の公知の方法で、付帯情報を取得しても構わない。
【0123】
付帯情報画像生成部144は、マイクロコンピュータ120および画像処理部107が該当し、付帯情報入力部143から入力された付帯情報に基づき、付帯情報を視覚的に示すための付帯情報画像を生成する。
【0124】
撮像部145は、撮像素子102、アナログ処理部103、およびA/D変換部104が該当し、被写体の光学像を撮像して画像データ(RAW画像データ)を取得する。
【0125】
深度合成画像生成部146は、画像合成部107cが該当し、フォーカス位置を移動しながら撮影された複数の画像に深度合成処理を行って、深度合成画像を生成する。
【0126】
付帯情報合成部147は、画像合成部107cが該当し、深度合成画像生成部146が生成した深度合成画像と、付帯情報画像生成部144が生成した付帯情報画像とを合成する。なお、付帯情報合成部147は、付帯情報画像を、被写体(撮影対象物)に重ならない部分に合成する。
【0127】
記録部148は、記録媒体113が該当し、付帯情報合成部147により付帯情報画像が合成された深度合成画像を、画像ファイルとして記録する。
【0128】
図3図5を参照して、撮影装置における深度合成撮影の作用を説明する。撮影装置の電源がオンになった状態で、撮影装置が深度合成撮影モードに設定されると、図3図5の処理が実行される
【0129】
図3は、第1の実施形態において、撮影装置が深度合成撮影モードに設定されたときの、撮影準備処理の一部を示すフローチャートである。
【0130】
深度合成撮影の準備処理は、深度合成撮影に必要な制御パラメータおよび構図等を設定する処理である。
【0131】
深度合成撮影モードが設定されると、図3に示す処理が開始され、マイクロコンピュータ120(パラメータ設定部136)がフラッシュメモリ116(推奨設定情報記憶部133)から撮影レンズ201の焦点距離に関する推奨設定範囲のガイド情報151(図6および図7参照)を読み出して(読出ステップ)、表示パネル111(ガイド表示部138)に表示する(ステップS1)。
【0132】
マイクロコンピュータ120は、ズーム位置検出部205およびマイクロコンピュータ207(焦点距離情報取得部132)から、現在の撮影レンズ201の焦点距離情報を読み込む(ステップS2)。
【0133】
マイクロコンピュータ120(判定部135)は、焦点距離情報が示す焦点距離(深度合成撮影に関わる設定項目の現在の設定値)が、適切であるか否か(推奨設定範囲内にあるか否か)を判定する(ステップS3)(判定ステップ)。
【0134】
ここで、焦点距離が不適切であると判定された場合、マイクロコンピュータ120が制御して、ガイド情報151に警告情報152(図6参照)を重畳して表示パネル111(警告部139)に警告表示する(ステップS4)(警告ステップ)。このとき、必要に応じて、スピーカ122(またはブザー)が警告音を発生してもよい。
【0135】
ここで、図6は、第1の実施形態において、現在設定されている焦点距離が不適切である場合の、警告情報152が重畳されたガイド情報151の表示例を示す図である。なお、図6図7図9図10では、撮影装置がマイクロフォーサーズの規格に従った仕様である場合の数値例を示している。
【0136】
図6に示す例では、ガイド情報151として、焦点距離の推奨設定範囲が、マイクロフォーサーズ判で20~40mm(35mm判換算値で40~80mm)であることが表示される(機器のセッティングに関するアドバイス情報)。この焦点距離は、マイクロフォーサーズ判において、標準画角(約47度)の近辺の焦点距離に該当する。撮影レンズ201の焦点距離の推奨設定範囲を標準画角(約47度)の近辺にしているのは、遠近感が不自然にならないようにするためである。
【0137】
また、交換式レンズ200が手動式のズームレンズである場合はズームリングを回して撮影レンズ201の焦点距離を設定するよう促すガイド情報と、交換式レンズ200が単焦点レンズである場合は焦点距離が推奨設定範囲となるものを選択するよう促すガイド情報と、が表示される。
【0138】
さらに、図6に示す例では、警告情報152として、焦点距離が不適切であるから再設定するよう促す旨が表示されている。
【0139】
ステップS4の処理を行ったら、ステップS2へ戻って現在の撮影レンズ201の焦点距離情報を再度読み込み、ステップS3の判定を再度行う。つまり、ステップS4の警告表示は、撮影レンズ201の焦点距離が推奨設定範囲内に設定されるまで継続される。
【0140】
制御パラメータである焦点距離が不適切であると判定された場合、制御部130であるマイクロコンピュータ120はステップS2~S4の処理ループを回ることになるため、図3および図4に示す深度合成撮影準備処理から図5に示す深度合成撮影処理に進めない(深度合成撮影処理が禁止される:制御ステップ)。
【0141】
ステップS3において、焦点距離が適切であると判定された場合、例えば図7に示すようなガイド情報151を表示して、OK釦が操作されるのを待機する(ステップS5)。図7は、第1の実施形態において、現在設定されている焦点距離が適切である場合の、ガイド情報151の表示例を示す図である。
【0142】
図7に示す表示は、図6に示す表示における警告情報152に代えて、設定が完了したらOK釦を押すことを促す情報153がガイド情報151に重畳されて表示されている。
【0143】
ステップS5において、OK釦が操作されていないと判定された場合は、ステップS2へ戻って上述した処理を行う。
【0144】
また、ステップS5において、OK釦が操作されたと判定された場合は、マイクロコンピュータ120の制御により、例えば図8に示すような表示を行って、操作部115(寸法情報入力部131)が、被写体(撮影対象物)の奥行きと横幅の寸法情報の入力の受け付けを開始する(ステップS6)。図8は、第1の実施形態において、被写体の奥行きと横幅の寸法情報の入力を受け付けているときの入力画面の表示例を示す図である。
【0145】
図8に示した入力画面の例では、被写体の奥行きと幅の入力を促す情報154と共に、奥行きの入力欄155、および幅の入力欄156と、0~9までの数字キー157と、設定が完了したらOK釦を押すことを促す情報153と、が表示されている。寸法情報の入力は、撮影者が、表示パネル111を見ながら、操作部115を手動操作することで行われる。具体的に、数字キーの選択は、上述したように、表示パネル111に併設されたタッチ入力部を用いて、または、十字キーおよびOK釦を用いて行われる。
【0146】
マイクロコンピュータ120は、奥行きと横幅の寸法情報の入力操作が完了するのを待機する(ステップS7)。ここで、奥行きの入力欄、および幅の入力欄に数値が埋まっていない状態では、入力操作が完了していないと判定される。この場合、ステップS7の処理を引き続き行う。一方、奥行きの入力欄、および幅の入力欄に数値が埋まった状態になると、入力操作が完了したと判定される。
【0147】
なお、上述では被写体(撮影対象物)の寸法情報を操作部115から手動入力する例を説明したが、マイクロフォン121から音声により寸法情報を入力して、マイクロコンピュータ120により音声認識を行ってテキストの寸法情報に変換してもよい。
【0148】
さらに、撮影装置の機能を利用して、寸法情報を自動で入力するようにしても構わない。例えば、撮影対象物の奥行きは、AF機能を用いて撮影対象物の最至近領域と最遠領域との距離差を測定することで推定可能である。また、撮影対象物の横幅は、撮影画角、被写体距離、画面内において撮影対象物の横幅の長さが占める割合から計算可能である。
【0149】
入力操作が完了したと判定されたら、マイクロコンピュータ120は、さらにOK釦が操作されるのを待機する(ステップS8)。ステップS8において、OK釦が操作されていないと判定された場合は、ステップS7へ戻って上述した処理を行う。
【0150】
また、ステップS8において、OK釦が操作されたと判定された場合は、入力された寸法情報が撮影装置に設定され、寸法情報が確定する(ステップS9)。
【0151】
すると、確定した寸法情報と、深度合成撮影における画像の上限枚数とに基づき、マイクロコンピュータ120(フォーカスステップ決定部140)のレンズ制御部120aが、フラッシュメモリ116(フォーカスステップ決定部140)に記憶されたテーブルを参照して、フォーカスステップおよび撮影枚数を設定する(ステップS10)。ステップS10の処理を行ったら、図4のステップS11の処理に進む。
【0152】
図4は、第1の実施形態において、撮影装置が深度合成撮影モードに設定されたときの、撮影準備処理の他の一部を示すフローチャートである。
【0153】
マイクロコンピュータ120が、各種の制御パラメータの複数の設定項目のそれぞれについて、推奨設定値と推奨設定範囲との少なくとも一方と、現在の設定値とを一覧で並べたガイド情報158と、設定が完了したらOK釦を押すことを促す情報153とをフラッシュメモリ116から読み出して、表示パネル111(ガイド表示部138)に表示する(ステップS11)(読出ステップ、ガイド表示ステップ)。このときには、マイクロコンピュータ120(パラメータ設定部136)が、複数の設定項目のそれぞれについて、推奨設定情報記憶部133から読み出した推奨設定値を仮設定する(仮設定ステップ)。
【0154】
ここで、図9は、第1の実施形態において、推奨設定と、初期値が設定された現在の設定とを並べたガイド情報158の表示例を示す図である。
【0155】
図9に示す例では、深度合成撮影に関連する制御パラメータとして、ドライブモード(撮影モード)、絞り値、ISO感度、手振れ補正、画質モード、ホワイトバランス、測光、およびAF方式が含まれる。マイクロコンピュータ120は、各種の制御パラメータの初期値として、推奨設定値を設定する。
【0156】
具体的に、ドライブモードは、推奨設定値が絞り優先(A)、現在の設定値が絞り優先(A)となっている。その他のドライブモード(撮影モード)には、フルオート、プログラムオート(P)、シャッタ速度優先(T)、マニュアル(M)などがある。
【0157】
絞り優先(A)は、絞り値を設定すると、撮影装置が適正なシャッタ速度を自動的に設定する撮影モードである。フルオートは、撮影装置が撮影に関連するパラメータ(絞り値、シャッタ速度、ISO感度、ホワイトバランスなど)を撮影シーンに応じた最適値になるよう自動設定する撮影モードである。プログラムオート(P)は、撮影装置が基本的な設定を行った上で、露出補正やホワイトバランス設定などを撮影者が行える撮影モードである。シャッタ速度優先(T)は、シャッタ速度を設定すると、撮影装置が適正な絞り値を自動的に設定する撮影モードである。マニュアル(M)は、絞り値とシャッタ速度を撮影者が手動で設定する撮影モードである。
【0158】
撮影モードの内の、マニュアル(M)は、絞り値とシャッタ速度の両方を手動で設定しなければならず、設定に時間を要するだけでなく、手動設定に慣れている必要がある。また、シャッタ速度優先(T)、プログラムオート(P)、およびフルオートは、被写体の輝度に応じて絞り値が変化し、ひいては被写界深度が変化してしまう。すると、被写体の最至近領域から最遠領域までの全ての領域においてピントが合った深度合成画像が得られなくなる可能性がある。これらの理由から、撮影モードの中で、絞り優先(A)を推奨設定値としている。
【0159】
絞り値は、推奨設定範囲がF4.0~F8.0、現在の設定値がF5.6となっている。推奨設定範囲におけるF4.0は、光学絞り202をF4.0よりも大きく開くと、被写界深度が浅くなって深度合成画像のつなぎ目の解像度が低下することに起因する。また、推奨設定範囲におけるF8.0は、光学絞り202をF8.0よりも小さく絞ると、回折現象によって画像全体の解像度が低下することに起因する。こうして、被写界深度と回折現象による解像度低下を考慮して、マイクロフォーサーズにおける絞り値の推奨設定値をF5.6近辺としている。
【0160】
ISO感度は、推奨設定範囲が200以下、現在の設定値が50となっている。推奨設定範囲を200以下としているのは、ランダムノイズを少なくするためである。推奨設定値を50としているのは、手振れが発生しないことを前提としているため、可能な限りISO感度を低くすることが望ましいからである。
【0161】
同様に、手振れが発生しないことを前提としているため、手振れ補正は、推奨設定値がオフ、現在の設定値がオフとなっている。
【0162】
画質モードは、推奨設定値が「LF+RAW」、現在の設定値が「LF+RAW」となっている。なお、「LF+RAW」は、低圧縮率でJPEG圧縮した画像と、RAW画像との両方を記録媒体113に記録するモードであることを意味している。LFの「L」は画像のピクセルサイズがラージ(Large)であることを意味し、他のピクセルサイズとして、Lよりも小さいM(ミドル:Middle)、Mよりも小さいS(スモール:Small)とがある。RAW画像の解像度から、記録画像の解像度に対応するピクセルサイズL,F,Mへの変換は、上述した解像度変換部107bにより行われる。
【0163】
また、LFの「F」はJPEG圧縮率を示し、圧縮率が低い方から高い方へ順に、例えばSF(スーパーファイン:Super Fine)、F(ファイン:Fine)、N(ノーマル:Normal)、B(ベーシック:Basic)がある。ただし、これらの画質モードの区分は一例であり、その他の方法で画質モードを区分しても勿論構わない。推奨設定値を「LF+RAW」としている理由は、文化財の記録は、できるだけ高解像度で高画質であることが求められるためである。なお、ここではファイルサイズ(記録媒体113の記録容量に占めるサイズ)を考慮して、SFでなくFを選んでいるが、Fに代えてSFを選んでも構わない。
【0164】
ホワイトバランスは、推奨設定値が「WB AUTO」、現在の設定値が「WB AUTO」となっている。ここで、「WB AUTO」は、撮影装置がホワイトバランスを自動的に設定するオートホワイトバランスを意味している。その他のホワイトバランスとして、色温度が異なる複数のプリセットホワイトバランスなどが予め用意されている。
【0165】
ただし、特殊な光源を使用しているなどの、オートホワイトバランスでは適切なホワイトバランス制御が難しい場合は、ホワイトボードなどの白色被写体を用いて、撮影者が手動でホワイトバランスを調整してもよい。
【0166】
測光は、推奨設定値がESP測光、現在の設定値がESP測光となっている。ESP測光は、画面を多分割して、分割した各領域の輝度、領域間の輝度差を考慮して露出を演算するマルチパターン測光方式である。その他の測光方式には、画面の中央部に重点を置いて画面全域を平均測光する中央重点平均測光、測光したいポイントに撮影装置を向けて狭い範囲の明るさを測光するスポット測光などがある。被写体が様々な色、模様、形である場合を考慮すると、推奨設定値をESP測光とすることが望ましい。
【0167】
AF方式は、推奨設定値がS-AF、現在の設定値がS-AFとなっている。S-AFは、シャッタ釦を半押ししたときに1回だけピント合わせを行うシングルAFを意味する。その他のAF方式には、シャッタ釦を半押ししている間はピント合わせを繰り返して行うC-AF(コンティニュアスAF)、交換式レンズ200に設けられたフォーカスリングを撮影者が操作することにより手動でピントを合わせるMF(マニュアルフォーカス)などがある。深度合成撮影に用いるAF方式としては、シングルAFが望ましいため、S-AFを推奨設定値としている。
【0168】
マイクロコンピュータ120により初期値が自動的に設定された各種の制御パラメータは、撮影者によって変更可能である。そこで、マイクロコンピュータ120の制御により、操作部115(設定値入力部134)は、ステップS11で仮設定された複数の設定項目のそれぞれについて、設定値を変更する入力の受け付けを開始する(ステップS12)(入力ステップ)。
【0169】
マイクロコンピュータ120は、操作部115から変更操作が行われたか否かを判定する(ステップS13)。ここで変更操作が行われたと判定された場合、マイクロコンピュータ120(判定部135)は、ステップS12の変更操作で設定値入力部134からパラメータ設定部136に入力された設定値が適切であるか否かをさらに判定する(ステップS14)(判定ステップ)。具体的に、マイクロコンピュータ120は、変更された設定値が、推奨設定範囲内である場合は適切であると判定し、推奨設定範囲外である場合は不適切であると判定する。なお、マイクロコンピュータ120は、推奨設定が推奨設定範囲でなく推奨設定値である場合、変更された設定値が推奨設定値と異なれば、不適切であると判定する。
【0170】
ステップS14において不適切であると判定された場合、マイクロコンピュータ120は、図10に示すように、変更された設定値を含むガイド情報158に警告情報159を重畳して、表示パネル111(警告部139)に警告表示する(ステップS15)(警告ステップ)。このとき、必要に応じて、スピーカ122(またはブザー)が警告音を発生してもよい。
【0171】
図10は、第1の実施形態において、現在の設定値が不適切である場合に、警告情報159が重畳されたガイド情報158の表示例を示す図である。
【0172】
図10に示す例では、絞り値の現在の設定がF2.8となっており、推奨設定であるF4.0~F8.0の範囲に入っていない。そこで、マイクロコンピュータ120は、現在の設定である「F2.8」をハイライト表示または赤字などの目立つ色で表示すると共に、例えば「設定値が不適切です。」の警告情報159をガイド情報158の前面に重畳してハイライト表示または赤字などの目立つ色で表示する。なお、撮影者が不適切な設定値を見ることができるように、設定値が不適切である欄(図10の例では絞り値の欄)と重ならない位置に警告情報159が重畳される。
【0173】
ステップS15の表示を行ったらステップS13へ戻って、不適切な設定値が、適切な設定値に変更されるのを待つ。そして、ステップS14において、変更された設定値が適切であると判定された場合、またはステップS13において変更操作が行われていないと判定された場合は、マイクロコンピュータ120は、OK釦が操作されたか否かを判定する(ステップS16)。
【0174】
ここで、OK釦が操作されていないと判定された場合は、ステップS13へ戻って上述した処理を行う。
【0175】
一方、ステップS16において、OK釦が操作されたと判定された場合は、マイクロコンピュータ120が、各種の制御パラメータの設定値を更新する(ステップS17)。従って、もし全ての制御パラメータの設定値が適切な範囲内のままOK釦が操作された場合、ステップS15の警告表示は行われない。
【0176】
一方、制御パラメータの設定値の少なくとも1つが不適切である場合、制御部130であるマイクロコンピュータ120はステップS13~S15の処理ループを回ることになるため、図3および図4に示す深度合成撮影準備処理から図5に示す深度合成撮影処理に進めない(深度合成撮影処理が禁止される:制御ステップ)。
【0177】
ステップS17の処理を行ったら、焦点調整部141がフォーカス位置を調整し、露光量調整部142が露光パラメータを調整して、表示パネル111によるライブビュー表示を開始する(ステップS18)。
【0178】
深度合成撮影モードが設定されているときのライブビュー表示では、マイクロコンピュータ120が、撮影構図ガイド線161の位置および大きさなどの情報をフラッシュメモリ116から読み出す(読出ステップ)。マイクロコンピュータ120は、画像処理部107を制御し、撮像素子102からリアルタイムに取得されるライブビュー画像に、図11に示すような撮影構図ガイド線161を重畳して表示パネル111(ガイド表示部138)に表示する(ステップS19)。
【0179】
図11は、第1の実施形態において、撮影構図ガイド線161が重畳されたライブビュー画像の表示例を示す図である。撮影構図ガイド線161は、画像の辺縁からある程度の余白をもって設定された枠線である。撮影構図ガイド線161は、枠線の内側に被写体170(撮影対象物)を収めるべきことを示す。
【0180】
画像の辺縁部は、画像の中心部よりも解像度が低い場合があり、さらに形状の歪みが発生する場合もある。被写体170を撮影構図ガイド線161の内側に収めることで、被写体170部分の画像品質を高品質に維持できる。
【0181】
また、画像の縦横比と、PC(パーソナルコンピュータ)において画像を見るためのモニタの縦横比、または画像が印刷されるプリンタ用紙の縦横比と、が一致しないことがある。こうした場合でも、被写体170を撮影構図ガイド線161の内側に収めることで、被写体170が確実に表示または印刷される。
【0182】
なお、図11に示した例では、撮影構図ガイド線161が矩形の枠線として構成されているが、撮影構図ガイド線161の形状はこれに限定されない。
【0183】
マイクロコンピュータ120は、ライブビュー画像の被写体認識を行い、画像中の被写体170を特定する(ステップS20)。
【0184】
そして、マイクロコンピュータ120(撮影構図判定部137)は、特定した被写体170が、撮影構図ガイド線161の内側に配置されているか否かにより、撮影構図が適切か否かを判定する(ステップS21)(判定ステップ)。
【0185】
ここで、撮影構図が不適切であると判定された場合、マイクロコンピュータ120は、図12に示すように、ライブビュー画像に撮影構図ガイド線161および警告情報162を重畳して、表示パネル111(警告部139)に警告表示を行う(ステップS22)(警告ステップ)。このとき、必要に応じて、スピーカ122(またはブザー)が警告音を発生してもよい。
【0186】
図12は、第1の実施形態において、撮影構図が不適切である場合に、警告情報162が重畳されたライブビュー画像の表示例を示す図である。
【0187】
図12に示した例では、被写体170の下側の一部が、撮影構図ガイド線161からはみ出している。そこで、「ガイド線の内側に被写体を配置して下さい。」などの警告情報162が、ハイライト表示または赤字などの目立つ色でライブビュー画像の上に重ねて表示される。なお、撮影者が撮影構図ガイド線161からはみ出した被写体170の部分を見ることができるように、はみ出した被写体170の部分と重ならない位置に警告情報162が表示される。
【0188】
ステップS22の処理を行ったら、ステップS20へ戻って上述した処理を行う。こうして、ステップS20~S22の処理ループを回っている間に、撮影者が、被写体170から撮影装置までの距離、撮影装置の向きなどを調整して撮影構図を変更することで、ステップS21において撮影構図が適切であると判定された場合、マイクロコンピュータ120は、レリーズ釦が半押し操作されるのを待機する(ステップS23)。
【0189】
ステップS23でレリーズ釦の半押し操作が行われていないと判定された場合は、ステップS20へ戻って上述した処理を行う。
【0190】
また、ステップS23でレリーズ釦の半押し操作が行われたと判定された場合は、深度合成撮影および記録の処理ルーチンを行う(ステップS24)。従って、もし撮影構図が適切なままレリーズ釦の半押し操作が行われた場合、ステップS22の警告表示は行われない。
【0191】
一方、撮影構図が不適切である場合、制御部130であるマイクロコンピュータ120はステップS20~S22の処理ループを回ることになるため、図3および図4に示す深度合成撮影準備処理から図5に示す深度合成撮影処理に進めない(深度合成撮影処理が禁止される:制御ステップ)。
【0192】
図5は、第1の実施形態において、図4のステップS24における深度合成撮影および記録の処理を示すフローチャートである。
【0193】
図5の処理に入ると、レリーズ釦の半押し操作に応じた撮影指示部120bからの指示を受けて、レンズ制御部120a(焦点調整部141)が、公知のAF技術により、撮影レンズ201のフォーカス位置を、被写体(撮影対象物)の最至近領域に合焦する位置へ移動させる(ステップS31)。なお、最至近領域は、被写体(撮影対象物)における撮影レンズ201に最も近い領域であり、フォーカスレンズの移動可能範囲内において合焦し得る最も近い位置である最至近位置とは異なる。
【0194】
次に、マイクロコンピュータ120(露光量調整部142)は、AE処理部108(露光量調整部142)から測光情報を受信して、露光パラメータを決定する(ステップS32)。露光パラメータは、上述したように、絞り値、シャッタ速度、ISO感度である。
【0195】
これらの露光パラメータの内の、絞り値およびISO感度は、ステップS11において既に設定されている(図9に示した例では、推奨設定値である絞り値F5.6およびISO感度50)。そこで、マイクロコンピュータ120は、設定値を前提に、ステップS32において、画像の明るさを示す測光情報に基づき、シャッタ速度を算出して決定する。
【0196】
ただし、算出したシャッタ速度が極端に遅い場合(具体的には、予め設定した低速側のシャッタ速度閾値よりも遅い場合)、またはシャッタ速度の高速限界をオーバーする場合は、マイクロコンピュータ120が、絞り値とISO感度との少なくとも一方を推奨設定範囲内で自動的に変更し、適正露出が得られるように調整する。
【0197】
ステップS32の処理を行ったら、レリーズ釦が全押し操作されるのを待機する(ステップS33)。
【0198】
レリーズ釦が全押しされたら、レンズ制御部120a(焦点調整部141)が、ステップS10で設定したフォーカスステップに従って、ステップS31で移動したフォーカス位置(被写体の最至近領域に合焦する位置)から無限遠側(被写体の最遠領域側)へ向かって、撮影レンズ201を複数のフォーカス位置へ順に移動させる。そして、撮影指示部120bが、それぞれのフォーカス位置において撮像素子102(撮像部145)に撮像を行わせ、複数の画像を取得させる(ステップS34)。
【0199】
このとき、レンズ制御部120a、撮影指示部120b、ドライバ203、撮影レンズ201、および撮像素子102等は、フォーカス位置を所定のずらし量ずつ移動しながら被写体の光学像を撮像して複数の画像データを取得する画像データ取得部として機能する。
【0200】
ただし、ステップS31で移動したフォーカス位置、つまり公知のAF技術により検出した最至近領域が、被写体の実際の最至近領域にならない場合も想定される。一例を挙げれば、被写体の形状が複雑で、被写体の実際の最至近領域がフォーカスエリア内に入っていなかった場合である。
【0201】
そこで、ステップS31で移動した最至近領域に合焦する位置にフォーカス位置を合わせて撮影した後に、一旦、さらに至近側へフォーカス位置を移動して撮影し、その後に無限遠側へフォーカス位置を順次移動して撮影する方法を採用してもよい。
【0202】
なお、上述では最至近側から最遠側へ向かってフォーカス位置を順に移動したが、これに代えて、最遠側から最至近側へ向かってフォーカス位置を順に移動しても構わない。このときには、最遠領域に合焦する位置にフォーカス位置を合わせて撮影した後に、一旦、さらに最遠側へフォーカス位置を移動して撮影する処理を追加してもよい。
【0203】
画像合成部107c(深度合成画像生成部146)が、複数の画像データの位置合わせを行い、位置合わせした複数の画像における同一位置の画像領域の先鋭度を比較し、先鋭度が最も高い画像領域(最も解像度が高い領域)を抽出して(切り出して)合成することを、位置が異なる各画像領域について行うことにより、深度合成画像を生成する(ステップS35)。
【0204】
マイクロコンピュータ120が、付帯情報を取得する(ステップS36)。付帯情報は、上述したように、撮影前に一括して登録された付帯情報と、撮影時に音声入力または手動入力によって取得される付帯情報とがある。なお、全ての撮影が終了した後に、撮影者が追加で付帯情報を入力することも可能である。
【0205】
そこで、マイクロコンピュータ120は、付帯情報入力部143(操作部115およびマイクロフォン121)から付帯情報の追加入力があったか否かを判定する(ステップS37)。
【0206】
ここで、付帯情報の追加入力があったと判定された場合、追加入力された付帯情報を既存の付帯情報に追加して、付帯情報を更新する(ステップS38)。
【0207】
ステップS38の処理を行うか、ステップS37において付帯情報の追加入力がないと判定された場合、マイクロコンピュータ120は、OK釦が操作されたか否かを判定する(ステップS39)。
【0208】
ここで、OK釦が操作されていないと判定された場合は、ステップS37へ戻って上述した処理を行う。
【0209】
一方、ステップS39において、OK釦が操作されたと判定された場合は、マイクロコンピュータ120が画像処理部107(付帯情報画像生成部144)を制御して、付帯情報を用いて付帯情報画像を生成する(ステップS40)。
【0210】
さらに、マイクロコンピュータ120が、画像合成部107c(付帯情報合成部147)を制御して、ステップS35で生成した深度合成画像に付帯情報画像を合成させる(ステップS41)。
【0211】
マイクロコンピュータ120は、解像度変換部107bに、表示パネル111の解像度に合わせて、付帯情報画像が合成された深度合成画像を解像度変換させ、表示ドライバ110を経由して表示パネル111に所定時間表示させる(ステップS42)。
【0212】
図13は、第1の実施形態において、付帯情報画像が合成された深度合成画像の表示例を示す図である。
【0213】
図13に示す例では、第1の付帯情報165として、調査名、遺物の呼称、遺物の寸法(幅(横幅)、高さ、奥行き)、遺物が出土した日付(発掘日)、発掘者名が表示されている。また、第2の付帯情報166として、撮影日時、撮影場所、撮影時の撮影者の考察(備考)が表示されている。これらの付帯情報は、必要に応じて適宜追加/削除して構わない。これらの付帯情報は、上述したように、被写体170(遺物である土器)に重ならない部分に合成される。
【0214】
マイクロコンピュータ120は、付帯情報(第1の付帯情報165および第2の付帯情報166)の画像を合成した深度合成画像を記録媒体113(記録部148)に記録して(ステップS43)、深度合成撮影に関連する一連の処理を終了する。
【0215】
こうして、ステップS33において撮影者がレリーズ釦を全押しした後は、複数の画像が自動的に撮影され、深度合成画像が自動的に生成、表示、記録されるため、撮影者が撮影装置に触れる必要がない。こうして、撮影装置が三脚等に取り付けられている前提の深度合成撮影では、手振れ補正が不要となる。
【0216】
このような第1の実施形態によれば、深度合成撮影において、焦点距離を含む各種の制御パラメータや撮影構図などが不適切である場合に、警告情報に基づき警告表示を行い必要に応じて警告音を発生するようにしたため、深度合成撮影の失敗を抑止できる。
【0217】
また、機器のセッティングに関するアドバイス情報、各種の制御パラメータの推奨設定値と推奨設定範囲との少なくとも一方、撮影構図ガイド線161などのガイド情報を表示するようにしたため、機器のセッティング、制御パラメータの設定、構図の決定などを短時間で適切に行える。
【0218】
さらに、深度合成撮影に必要な複数の制御パラメータの推奨設定値を撮影装置がまず仮設定し、その後に撮影者が変更できるようにしたため、撮影者は変更を望む項目だけを設定すればよく、より短時間での設定が可能となる。
【0219】
こうして、本実施形態の撮影装置および撮影装置の制御方法によれば、熟練者でなくても深度合成に必要な撮影条件の設定を適切かつ迅速に行える。
【0220】
また、撮影者が変更した項目の設定値が不適切である場合(例えば、ISO感度が推奨設定範囲200以下を超える400に設定された場合)、上述のように警告が行われるだけでなく、深度合成撮影処理が禁止されるため、記録画像として不適切な深度合成画像が撮影されるのを防止できる。
【0221】
寸法情報を含む複数の撮影条件に基づいてフォーカスステップ(合成用の複数の画像を取得する際のフォーカス位置のずらし量)が自動設定されるため、適切な撮影枚数の画像が撮影される。従って、撮影枚数が少なすぎることがないため、深度合成画像のつなぎ目で解像度が低下することがない。また、撮影枚数が多すぎることがないため、過度でない時間内で深度合成処理を行うことができ、SDRAM106の記憶容量をオーバーフローすることもない。
【0222】
そして、生成した深度合成画像に、被写体に関連する付帯情報を画像として合成するようにしたため、後の整理や分析が簡単になり、改ざん防止にも有効となる。
【0223】
なお、上述では、各種の制御パラメータの推奨設定値(必要に応じてさらに推奨設定範囲)がフラッシュメモリ116に記憶されている例を説明したが、これに限定されない。例えば、撮影装置の外部にあるサーバまたはクラウドから、通信回線を経由して各種の制御パラメータの推奨設定値と推奨設定範囲との少なくとも一方をダウンロードして、フラッシュメモリ116に記憶するようにしてもよい。
【0224】
フラッシュメモリ116は記憶容量が限られるが、サーバ等は撮影装置内のフラッシュメモリ116と比べて桁違いに大きい記憶容量を確保できる。このため、サーバ等は、様々な撮影条件に対応する推奨設定値(推奨設定範囲)を予め用意できる。
【0225】
また、サーバ等は、撮影装置内のマイクロコンピュータ120と比べて桁違いに大きい処理能力を保有できる。このため、サーバ等は、新規な撮影条件に対応する推奨設定値(推奨設定範囲)であっても、例えばAI(Artificial Intelligence)を用いて推定できる。
【0226】
従って、サーバ等から推奨設定値(推奨設定範囲)をダウンロードする場合、フラッシュメモリ116内に予め用意された推奨設定値(推奨設定範囲)では適切な値を設定できない特殊な条件下での撮影にも適切に対応できるようになる。
【0227】
なお、上述では、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプロセッサが、メモリ等の記憶装置(または記録媒体)に記憶された処理プログラムを読み込んで実行することにより、各部の機能を果たす例を説明した。ただし、これに限定されない。例えば、各部が、各部の機能を果たす専用の電子回路として構成されていても構わない。
【0228】
また、上述では本発明が、撮影装置である場合を主として説明したが、これに限定されない。例えば、本発明は、撮影装置の制御方法であってもよい。また、本発明は、コンピュータに撮影装置と同様の処理を行わせるためのコンピュータプログラムであってもよい。さらに、本発明は、前記コンピュータプログラムを記録するコンピュータにより読み取り可能な一時的でない記録媒体、等であっても構わない。
【0229】
ここで、コンピュータプログラム製品を記憶する記録媒体の幾つかの例は、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬記録媒体、またはハードディスク等の記録媒体などである。記録媒体に記憶されるのは、コンピュータプログラムの全部に限らず、一部であっても構わない。また、コンピュータプログラムの全体もしくは一部を、通信ネットワークを経由して流通または提供してもよい。利用者は、記録媒体からコンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることで、または通信ネットワークを経由してコンピュータプログラムをダウンロードしコンピュータにインストールすることで、コンピュータプログラムがコンピュータにより読み取られて、動作の全部もしくは一部が実行され、上述した撮影装置の動作を実行できる。
【0230】
さらに、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されない。本発明は、実施段階で、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせて、種々の発明の態様を形成できる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜に組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0231】
100…撮影装置本体、 101…メカニカルシャッタ、 102…撮像素子、 103…アナログ処理部、 104…A/D変換部、 105…バス、 106…SDRAM、 107…画像処理部、 107a…基本画像処理部、 107b…解像度変換部、 107c…画像合成部、 108…AE処理部、 109…AF処理部、 110…表示ドライバ、 111…表示パネル、 112…メモリI/F、 113…記録媒体、 114…本体側I/F、 115…操作部、 116…フラッシュメモリ、 117…GPSドライバ、 118…GPS受信機、 119…サウンドドライバ、 120…マイクロコンピュータ、 120a…レンズ制御部、 120b…撮影指示部、 121…マイクロフォン、 122…スピーカ、 130…制御部、 131…寸法情報入力部、 132…焦点距離情報取得部、 133…推奨設定情報記憶部、 134…設定値入力部、 135…判定部、 136…パラメータ設定部、 137…撮影構図判定部、 138…ガイド表示部、 139…警告部、 140…フォーカスステップ決定部、 141…焦点調整部、 142…露光量調整部、 143…付帯情報入力部、 144…付帯情報画像生成部、 145…撮像部、 146…深度合成画像生成部、 147…付帯情報合成部、 148…記録部、 200…交換式レンズ、 201…撮影レンズ、 202…光学絞り、 203…ドライバ、 204…フォーカス位置検出部、 205…ズーム位置検出部、 206…フラッシュメモリ、 207…マイクロコンピュータ、 208…レンズ側I/F
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