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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140770
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】測定器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20241003BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20241003BHJP
   G01R 13/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
G01D9/00 A
G08C19/00 Z
G01R13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052096
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】鹿又 涼
【テーマコード(参考)】
2F070
2F073
【Fターム(参考)】
2F070AA01
2F070CC03
2F070CC11
2F070DD14
2F070EE01
2F070FF13
2F070HH08
2F073AA21
2F073AB01
2F073AB07
2F073BB01
2F073BB04
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC07
2F073CD11
2F073DD07
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG07
(57)【要約】
【課題】変更された設定項目の設定値を端末装置が少ない通信量で問い合わせることを可能とする。
【解決手段】本開示に係る測定器10は、複数の設定項目のそれぞれについて設定値を保存しているメモリ14と、ユーザからの操作を受け付け可能な操作部16と、制御部13と、を備える。メモリ14は、操作部16への操作によって変更された設定値に対応する設定項目である変更設定項目の情報を保持するバッファを有し、制御部13は、操作部16への操作によって設定値が変更されると、バッファが保持している変更設定項目の情報を更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設定項目のそれぞれについて設定値を保存しているメモリと、
ユーザからの操作を受け付け可能な操作部と、
制御部と、
を備え、
前記メモリは、前記操作部への操作によって変更された前記設定値に対応する前記設定項目である変更設定項目の情報を保持するバッファを有し、
前記制御部は、前記操作部への操作によって前記設定値が変更されると、前記バッファが保持している前記変更設定項目の情報を更新する、測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の測定器において、
前記制御部は、前記変更設定項目の情報に関する問い合わせを端末装置から取得すると、前記変更設定項目の情報を前記端末装置に送信する、測定器。
【請求項3】
請求項2に記載の測定器において、
前記制御部は、前記変更設定項目に対応する前記設定値に関する問い合わせを前記端末装置から取得すると、前記変更設定項目に対応する前記設定値を前記端末装置に送信する、
測定器。
【請求項4】
請求項1に記載の測定器において、
前記制御部は、前記操作部への操作によって変更された前記設定値に付随して自動的に変更される他の設定値がある場合、前記他の設定値に対応する設定項目も前記変更設定項目とするように、前記バッファが保持している前記変更設定項目の情報を更新する、測定器。
【請求項5】
請求項1に記載の測定器において、
前記制御部は、前記設定値を変更可能なWebサーバ機能によって前記設定値が変更された場合も、前記バッファが保持している前記変更設定項目の情報を更新する、測定器。
【請求項6】
複数の設定項目のそれぞれについて設定値を保存しているメモリと、ユーザからの操作を受け付け可能な操作部と、を備える測定器に、
前記メモリのバッファに、前記操作部への操作によって変更された前記設定値に対応する前記設定項目である変更設定項目の情報を保持するステップと、
前記操作部への操作によって前記設定値が変更されると、前記バッファが保持している前記変更設定項目の情報を更新するステップと、
を含む動作を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定器とPC(Personal Computer)などのような端末装置との間で通信を行う技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1は、測定器とPCとの間の通信において、通信速度を上げることができ、複数の機能を効率的に実行することができるデータ通信方式に関する技術を開示している。
【0004】
測定器は、通常、数100個程度の設定項目を有することが多い。測定器とPCのような端末装置とが通信可能である場合、PC上で利用可能なアプリケーションは、測定器に通信コマンドを送信することによって、測定器に設定項目の設定値を問い合わせることができる。PCのアプリケーションは、設定項目ごとに異なる通信コマンドを用いて、測定器に設定値を問い合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-20431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
測定器の設定項目の設定値を、PCのアプリケーションによって変更するのではなく、測定器自体をユーザが操作することによって変更した場合、設定値の変更はPCのアプリケーションには反映されない。
【0007】
この場合、測定器における設定値の変更をPCのアプリケーションに反映するためには、PCのアプリケーションから測定器に設定値についての問い合わせをする必要がある。
【0008】
しかしながら、PCのアプリケーションは、どの設定項目が変更されているかがわからないため、変更された設定値を問い合わせるためには、数100個程度の設定項目の全てに対して設定値をしらみつぶしに問い合わせる必要がある。これには、膨大な通信量が必要となる。
【0009】
そのため、従来の測定システムにおいては、測定器における設定値の変更をPCのアプリケーションに反映させる機能をサポートすることは困難であった。
【0010】
そこで、本開示は、変更された設定項目の設定値を端末装置が少ない通信量で問い合わせることを可能とする測定器及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
幾つかの実施形態に係る測定器は、複数の設定項目のそれぞれについて設定値を保存しているメモリと、ユーザからの操作を受け付け可能な操作部と、制御部と、を備え、前記メモリは、前記操作部への操作によって変更された前記設定値に対応する前記設定項目である変更設定項目の情報を保持するバッファを有し、前記制御部は、前記操作部への操作によって前記設定値が変更されると、前記バッファが保持している前記変更設定項目の情報を更新する。このような測定器によれば、変更された設定項目の設定値を端末装置が少ない通信量で問い合わせることが可能である。
【0012】
一実施形態に係る測定器において、前記制御部は、前記変更設定項目の情報に関する問い合わせを端末装置から取得すると、前記変更設定項目の情報を前記端末装置に送信してもよい。これにより、端末装置は、設定値に変更があった設定項目の情報を取得することができる。
【0013】
一実施形態に係る測定器において、前記制御部は、前記変更設定項目に対応する前記設定値に関する問い合わせを前記端末装置から取得すると、前記変更設定項目に対応する前記設定値を前記端末装置に送信してもよい。これにより、端末装置は、設定値に変更があった設定項目についてのみ設定値を問い合わせ、変更された設定値の情報を取得することができる。
【0014】
一実施形態に係る測定器において、前記制御部は、前記操作部への操作によって変更された前記設定値に付随して自動的に変更される他の設定値がある場合、前記他の設定値に対応する設定項目も前記変更設定項目とするように、前記バッファが保持している前記変更設定項目の情報を更新してもよい。これにより、端末装置は、操作部への操作によって変更された設定値に付随して自動的に変更される他の設定値の情報も、測定器から容易に取得することができる。
【0015】
一実施形態に係る測定器において、前記制御部は、前記設定値を変更可能なWebサーバ機能によって前記設定値が変更された場合も、前記バッファが保持している前記変更設定項目の情報を更新してもよい。これにより、端末装置は、Webサーバ機能によって変更された設定値に対応する設定項目についての情報も、測定器から取得することができる。
【0016】
幾つかの実施形態に係るプログラムは、複数の設定項目のそれぞれについて設定値を保存しているメモリと、ユーザからの操作を受け付け可能な操作部と、を備える測定器に、前記メモリのバッファに、前記操作部への操作によって変更された前記設定値に対応する前記設定項目である変更設定項目の情報を保持するステップと、前記操作部への操作によって前記設定値が変更されると、前記バッファが保持している前記変更設定項目の情報を更新するステップと、を含む動作を実行させる。このようなプログラムによれば、変更された設定項目の設定値を端末装置が少ない通信量で問い合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、変更された設定項目の設定値を端末装置が少ない通信量で問い合わせることを可能とする測定器及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る測定器の概略構成を示す図である。
図2】測定器と端末装置とが通信する様子を示す図である。
図3】一実施形態に係る測定器が変更設定項目の情報を更新する様子を示すシーケンス図である。
図4】一実施形態に係る測定器が端末装置からの問い合わせに応答する様子を示すシーケンス図である。
図5】比較例に係る測定器の表示画面の一例を示す図である。
図6】比較例に係る測定器と通信する端末装置の表示画面の一例を示す図である。
図7】比較例に係る測定器において設定値が変更されたときの表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る測定器10の概略構成を示す図である。測定器10は、例えば、波形表示機能を有する波形測定器であってよい。本実施形態においては、測定器10が波形測定器である場合を例に挙げて説明する。
【0021】
測定器10は、AD変換器11と、波形データメモリ12と、制御部13と、メモリ14と、表示部15と、操作部16と、通信部17とを備える。
【0022】
AD変換器11は、測定器10へ入力されるアナログ波形の入力信号をデジタル値の波形データに変換する。AD変換器11は、任意の構成のAD変換器であってよい。
【0023】
波形データメモリ12は、AD変換器11によってデジタル値に変換された波形データを格納する。波形データメモリ12は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。
【0024】
制御部13は、測定器10全体及び測定器10の各ブロックを制御する。制御部13は、操作部16を介して、ユーザからの操作を受け付けることができる。制御部13は、波形データメモリ12に格納されている波形データを表示部15に表示させることができる。
【0025】
制御部13は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
【0026】
制御部13の動作の詳細については後述する。
【0027】
メモリ14は、測定器10の複数の設定項目のそれぞれについて、設定値を保存している。測定器10の設定項目は、例えば、電圧レンジ、電流レンジ、更新レート、フィルタの設定などである。メモリ14は、例えば、「電圧レンジ」という設定項目に対して、「1000V」という設定値を保存し、「電流レンジ」という設定項目に対して、「5A」という設定値を保存していてよい。
【0028】
メモリ14は、ユーザによる操作部16への操作によって変更された設定値に対応する設定項目の情報を保持するバッファを有する。以後、「ユーザによる操作部16への操作によって変更された設定値に対応する設定項目」のことを、「変更設定項目」と称して説明する場合がある。
【0029】
例えば、ユーザが操作部16を操作して、「電圧レンジ」の設定値を「1000V」から「600V」に変更した場合、「電圧レンジ」は変更設定項目である。この場合、メモリ14のバッファは、「電圧レンジ」が変更設定項目であるということを、変更設定項目の情報として保持する。
【0030】
メモリ14のバッファは、メモリ14の領域の一部である。バッファは、変更設定項目の情報を保持することができる。
【0031】
メモリ14は、測定器10の動作に用いられる任意の情報を記憶していてよい。例えば、メモリ14は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、各種データなどを記憶していてよい。
【0032】
メモリ14は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。
【0033】
表示部15は、各種のデータを表示することができる。表示部15は、例えば、設定項目と、設定項目に対応する設定値とを表示することができる。
【0034】
表示部15は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescent)ディスプレイなどを含んでいてよい。
【0035】
操作部16は、ユーザからの操作を受け付け可能なインタフェースを含む。操作部16は、例えば、ボタン、ロータリーノブなどを含んでいてよい。
【0036】
通信部17は、有線通信に対応する通信モジュール及び無線通信に対応する通信モジュールの少なくとも一方を含む。測定器10は、通信部17を介して他の装置と通信可能である。
【0037】
測定器10は、例えば、図2に示すように、通信部17を介して、端末装置20と通信可能である。端末装置20は、例えば、PC、タブレット、スマートフォンなどであってよい。
【0038】
続いて、測定器10の動作について説明する。
【0039】
図2に示すように、測定器10は、端末装置20と通信可能である。測定器10は、有線通信によって端末装置20と通信してもよいし、無線通信によって端末装置20と通信してもよい。端末装置20は、上述のように、例えば、PC、タブレット、スマートフォンなどであってよい。
【0040】
端末装置20上では、測定器10を制御するアプリケーションが動作可能である。端末装置20のアプリケーションは、測定器10の設定項目の設定値を表示することができる。
【0041】
端末装置20のアプリケーションは、測定器10の設定項目の設定値を変更することもできる。端末装置20のアプリケーション上で、測定器10の設定項目の設定値を変更すると、当該変更の情報は測定器10に送信される。測定器10は、設定項目の設定値が変更されたことの情報を端末装置20から取得すると、設定項目の設定値を変更する。これにより、ユーザは、測定器10を直接操作しなくても、端末装置20のアプリケーション上で、測定器10の設定項目の設定値を変更することができる。
【0042】
一方、測定器10の操作部16を操作することによって測定器10の設定項目の設定値が変更された場合、当該変更の情報は端末装置20に自動的には送信されない。この場合に、端末装置20のアプリケーションが、変更された設定値を取得する動作について、以下説明する。
【0043】
測定器10のメモリ14は、上述のように、「ユーザによる操作部16への操作によって変更された設定値に対応する設定項目」、すなわち、変更設定項目の情報を保持するバッファを有している。
【0044】
ユーザによる操作部16への操作によって、ある設定項目の設定値が変更されると、制御部13は、メモリ14に格納されている、当該設定項目の設定値を変更する。
【0045】
また、制御部13は、ユーザによる操作部16への操作によって、ある設定項目の設定値が変更されると、メモリ14に格納されている当該設定項目の設定値を変更すると共に、メモリ14のバッファが保持している変更設定項目の情報を更新する。例えば、ユーザが操作部16を操作して、「電圧レンジ」の設定値を変更すると、制御部13は、バッファが保持している変更設定項目の情報に「電圧レンジ」が変更設定項目として含まれるように、変更設定項目の情報を更新する。
【0046】
端末装置20のアプリケーションは、変更設定項目の情報を測定器10に問い合わせることができる。変更設定項目の情報を問い合わせることにより、端末装置20のアプリケーションは、測定器10の複数の設定項目のうち、どの設定項目がユーザによる操作部16の操作によって変更されたかを把握することができる。
【0047】
測定器10の制御部13は、変更設定項目の情報に関する問い合わせを端末装置20から通信部17を介して取得すると、変更設定項目の情報を、通信部17を介して端末装置20に送信する。
【0048】
端末装置20は、変更設定項目の情報を測定器10から取得すると、変更があった設定項目に付いてのみ、設定値を問い合わせることができる。
【0049】
測定器10の制御部13は、変更設定項目に対応する設定値に関する問い合わせを端末装置20から取得すると、変更設定項目に対応する設定値を端末装置20に送信する。
【0050】
これにより、端末装置20は、変更があった設定項目についてのみ問い合わせを行って、変更があった設定項目の設定値を、測定器10から取得することができる。
【0051】
図3に示すシーケンス図を参照して、測定器10が、バッファが保持している変更設定項目を更新する処理について説明する。
【0052】
ユーザが操作部16を操作して、測定器10の複数の設定項目のうちのある設定項目の設定値を変更すると(ステップS101)、制御部13は、メモリ14に格納されている、当該設定項目の設定値を変更する(ステップS102)。
【0053】
また、制御部13は、メモリ14に格納されている設定項目の設定値を変更する処理(ステップS102)を実行すると共に、メモリ14のバッファが保持している変更設定項目の情報を更新する(ステップS103)。
【0054】
図4に示すシーケンス図を参照して、測定器10が、端末装置20からの問い合わせに応答する処理について説明する。
【0055】
測定器10の制御部13は、変更設定項目の情報に関する問い合わせを、通信部17を介して端末装置20から取得すると(ステップS201)、変更設定項目の情報を保持しているメモリ14のバッファを参照する(ステップS202)。
【0056】
制御部13は、バッファを参照して変更設定項目の情報を取得すると(ステップS203)、取得した変更設定項目の情報を、通信部17を介して端末装置20に送信する(ステップS204)。
【0057】
制御部13は、変更設定項目に対応する設定値に関する問い合わせを、通信部17を介して端末装置20から取得すると(ステップS205)、各設定項目の設定値を保存しているメモリ14を参照する(ステップS206)。
【0058】
制御部13は、メモリ14を参照して変更設定項目に対応する設定値を取得すると(ステップS207)、取得した変更設定項目に対応する設定値を、通信部17を介して端末装置20に送信する(S208)。
【0059】
以上のような一実施形態に係る測定器10によれば、変更設定項目の設定値を端末装置20が少ない通信量で問い合わせることが可能となる。より具体的には、メモリ14は、操作部16への操作によって変更された設定値に対応する設定項目である変更設定項目の情報を保持するバッファを有し、制御部13は、操作部16への操作によって設定値が変更されると、バッファが保持している変更設定項目の情報を更新する。これにより、端末装置20は、測定器10のバッファが保持している変更設定項目の情報を取得することによって、どの設定項目が変更されたかを知ることができる。したがって、端末装置20は、変更された設定項目についてのみ設定値を問い合わせればよいため、変更設定項目の設定値を少ない通信量で問い合わせることが可能となる。
【0060】
また、上述のように、一実施形態に係る測定器10によれば、端末装置20は、変更設定項目の情報を少ない通信量で測定器10に問い合わせることができる。したがって、端末装置20は、変更設定項目の情報の問い合わせをポーリングしてもよい。これにより、端末装置20のアプリケーションは、リアルタイムでどの設定項目が変更されたかを監視することができる。端末装置20のアプリケーションは、変更設定項目がある場合、変更設定項目に対応する設定値を測定器10に問い合わせることにより、変更があった設定項目の設定値をリアルタイムで同期させることができる。
【0061】
(自動的に変更される設定項目がある場合の処理)
ユーザが操作部16を操作して、測定器10の複数の設定項目のうちのある設定項目の設定値を変更した場合、当該設定値の変更に付随して他の設定値も自動的に変更される場合がある。
【0062】
例えば、測定器10の結線に関連する設定項目の設定値が変更された場合、この変更に付随して、他の設定値も自動的に変更される場合がある。
【0063】
このような場合、制御部13は、ある設定項目の設定値の変更に付随して自動的に変更された他の設定値に対応する設定項目も変更設定項目とするように、バッファが保持している変更設定項目の情報を更新してよい。
【0064】
これにより、端末装置20のアプリケーションは、変更設定項目の情報に関する問い合わせをしたときに、ある設定項目の設定値の変更に付随して自動的に変更された他の設定値に対応する設定項目の情報も取得することができる。
【0065】
例えば、ある設定項目の設定値の変更に付随して他の設定値も自動的に変更される場合、このような自動的に変更された他の設定値に対応する設定項目の情報を端末装置20のアプリケーション側で求めることも考えられる。しかしながら、このような機能を端末装置20のアプリケーションに実装させるためには、アプリケーションの開発者が測定器10について詳細な知識を有することを必要とする。したがって、アプリケーションの開発者の負担が大きくなる。
【0066】
これに対し、上述のように、制御部13が、ある設定項目の設定値の変更に付随して自動的に変更された他の設定値に対応する設定項目も変更設定項目とするように、バッファが保持している変更設定項目の情報を更新することにより、端末装置20のアプリケーション側がこの機能を有する必要がなくなる。したがって、アプリケーションの開発者の負担を低減することができる。
【0067】
(Webサーバ機能による設定値の変更)
測定器10は、端末装置20と通信すると共に、Webサーバと通信する場合がある。この場合、WebサーバのWebサーバ機能によって、測定器10の設定値が変更可能な場合がある。
【0068】
制御部13は、測定器10の設定値を変更可能なWebサーバ機能によって設定値が変更された場合も、バッファが保持している変更設定項目の情報を更新してよい。
【0069】
これにより、端末装置20は、Webサーバ機能によって変更された設定値に対応する設定項目についての情報も、測定器10から取得することができる。
【0070】
なお、Webサーバは、測定器10とは別の外部の装置であってもよいし、測定器10自体が、Webサーバとして機能してもよい。
【0071】
(比較例)
比較例として、変更設定項目の情報を保持するバッファを有さない測定器の動作について説明する。
【0072】
図5は、比較例に係る測定器の表示画面の一例を示す図である。図5は、比較例に係る測定器が、設定項目として電圧レンジV1~V7、電流レンジI1~I7を表示し、また、各設定項目に対応する設定値を表示している様子を示している。
【0073】
図5を参照すると、例えば、設定項目の電圧レンジV1においては、設定値が「1000V」となっている。
【0074】
図6は、比較例に係る測定器と通信している端末装置の表示画面の一例を示す図である。図6に示す表示画面は、端末装置のアプリケーションが表示させている表示画面である。
【0075】
図6は、端末装置のアプリケーションが、設定項目として電圧レンジV1、電流レンジI1を表示し、また、各設定項目に対応する設定値を表示している様子を示している。
【0076】
図6を参照すると、例えば、設定項目の電圧レンジV1は、設定値が「1000V」であり、設定項目の電流レンジI1は、設定値が「5A」である。これは、図5を参照すると、比較例に係る測定器が表示している設定値と同じ値である。すなわち、測定器の表示画面と端末装置の表示画面とで設定値が同期している。
【0077】
この状態において、ユーザが比較例に係る測定器を操作し、設定項目の電圧レンジV1~V3の設定値を変更した場合の、比較例に係る測定器の表示画面の一例を図7に示す。
【0078】
図7を参照すると、設定項目の電圧レンジV1~V3の設定値が「1000V」から「600V」に変更されている。この変更は、ユーザが比較例に係る測定器を直接操作して行ったものであるため、比較例に係る測定器と通信している端末装置のアプリケーションには反映されない。
【0079】
そのため、比較例に係る測定器と通信している端末装置において、図7に示すような設定値の変更を反映させるためには、端末装置が比較例に係る測定器に問い合わせを行う必要がある。
【0080】
しかしながら、比較例に係る測定器は、変更設定項目の情報を保持するバッファを有していない。そのため、比較例に係る測定器と通信している端末装置は、どの設定項目が変更されたかを知るために、設定項目の全てに対して設定値をしらみつぶしに問い合わせる必要がある。したがって、比較例に係る測定器と通信している端末装置は、ユーザの操作によって比較例に係る測定器の設定値が変更された場合、その変更を反映させるために、膨大な通信量を必要とする。
【0081】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0082】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0083】
例えば、上述した実施形態において、測定器10が波形表示機能を有する波形測定器である場合を例に挙げて説明したが、測定器10は、波形表示機能を有する波形測定器に限定されない。測定器10は、端末装置20と通信可能な任意の測定器であってよい。
【符号の説明】
【0084】
10 測定器
11 AD変換器
12 波形データメモリ
13 制御部
14 メモリ
15 表示部
16 操作部
17 通信部
20 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7