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特開2024-140794冷却回路モデル作成方法、樹脂成形解析方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140794
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】冷却回路モデル作成方法、樹脂成形解析方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20241003BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20241003BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20241003BHJP
   G06F 113/14 20200101ALN20241003BHJP
   G06F 113/22 20200101ALN20241003BHJP
【FI】
B29C45/76
G06F30/10 100
G06F30/20
G06F113:14
G06F113:22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052131
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520167645
【氏名又は名称】東レエンジニアリングDソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】浦上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大谷 正人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光章
【テーマコード(参考)】
4F206
5B146
【Fターム(参考)】
4F206AM23
4F206AP05
4F206AR12
4F206JA07
4F206JL09
4F206JP13
4F206JP18
4F206JQ02
4F206JQ81
4F206JQ88
5B146AA03
5B146AA06
5B146DC05
5B146DL08
5B146EA07
5B146EC09
(57)【要約】
【課題】複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを作成するための作業の作業性を向上することが可能な冷却回路モデル作成方法を提供する。
【解決手段】この冷却回路モデル作成方法は、樹脂成形品のモデルである樹脂成形品モデルに基づいて、仕切り板またはチューブを内蔵するとともに金型に配置される複数の内蔵冷却管を含む作成済みの冷却回路のモデルである冷却回路モデルを冷却回路モデルとして取得するモデル取得ステップと、取得した冷却回路モデルに含まれる複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さに関して指定された指定長さ情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、入力を受け付けた指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さを変更する内蔵冷却管長さ変更ステップと、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品のモデルである樹脂成形品モデルに基づいて、仕切り板またはチューブを内蔵するとともに金型に配置される複数の内蔵冷却管を含む作成済みの冷却回路のモデルである冷却回路モデルを冷却回路モデルとして取得するモデル取得ステップと、
取得した前記冷却回路モデルに含まれる前記複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さに関して指定された指定長さ情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、
入力を受け付けた前記指定長さ情報に基づいて、前記複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して前記軸方向の長さを変更する内蔵冷却管長さ変更ステップと、を備える、冷却回路モデル作成方法。
【請求項2】
前記内蔵冷却管長さ変更ステップは、前記指定長さ情報に基づいて、前記複数の内蔵冷却管の前記軸方向における前記樹脂成形品モデル側の端部の位置を一括して変更する、請求項1に記載の冷却回路モデル作成方法。
【請求項3】
前記指定長さ情報は、前記複数の内蔵冷却管のモデルと、前記複数の内蔵冷却管のモデルの各々の前記軸方向に位置する前記樹脂成形品モデルとの間の距離が一定となるように変更される距離の情報である、請求項1に記載の冷却回路モデル作成方法。
【請求項4】
前記指定長さ情報における、前記複数の内蔵冷却管のモデルと前記樹脂成形品モデルとの間の前記距離は、前記複数の内蔵冷却管のモデルの各々の前記樹脂成形品モデル側の端部と、前記複数の内蔵冷却管のモデルの各々の前記端部と対向する前記樹脂成形品モデルの表面との間の距離である、請求項3に記載の冷却回路モデル作成方法。
【請求項5】
前記指定長さ情報は、前記複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さに対する一定の伸縮量の情報である、請求項1に記載の冷却回路モデル作成方法。
【請求項6】
前記内蔵冷却管長さ変更ステップは、前記冷却回路モデルにおける前記複数の内蔵冷却管のモデルの各々の前記軸方向に関する軸方向情報を取得するとともに、取得した前記軸方向情報と、前記指定長さ情報とに基づいて、前記複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して前記軸方向の長さを変更する、請求項1に記載の冷却回路モデル作成方法。
【請求項7】
樹脂成形品のモデルである樹脂成形品モデルに基づいて、仕切り板またはチューブを内蔵するとともに金型に配置される複数の内蔵冷却管を含む作成済みの冷却回路のモデルである冷却回路モデルを冷却回路モデルとして取得するモデル取得ステップと、
取得した前記冷却回路モデルに含まれる前記複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さに関して指定された指定長さ情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、
入力を受け付けた前記指定長さ情報に基づいて、前記複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して前記軸方向の長さを変更する内蔵冷却管長さ変更ステップと、
前記軸方向の長さを変更した前記複数の内蔵冷却管のモデルを含む前記冷却回路モデルと、前記樹脂成形品モデルとに基づいて、金型または樹脂成形品の温度分布を予測するステップと、を備える、樹脂成形解析方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載された冷却回路モデル作成方法または請求項7に記載された樹脂成形解析方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムが記録され、前記コンピュータにより読み取り可能な、記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷却回路モデル作成方法、樹脂成形解析方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却回路モデル作成方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ユーザが入力装置によって樹脂成形品モデルを作成するとともに、複数の冷却管からなる冷却管モデル(冷却回路モデル)を作成することが開示されている。また、これらのモデルを用いてシミュレーション装置により冷却シミュレーションを行うことにより、樹脂成形品の冷却後における樹脂成形品の温度分布を求めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-29233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には開示されていないが、複数の冷却管からなる冷却管モデル(冷却回路モデル)の作成において、作成済みの冷却管モデルを再利用して、新規の冷却管モデルを作成することが行われる場合がある。すなわち、ユーザは、過去に作成された、樹脂成形品モデルと、樹脂成形品モデルに対応する冷却管モデルとを含む解析済みの解析モデルの中から、新規の樹脂成形品モデルの形状に近似する形状を有する作成済みの樹脂成形品モデルを含む解析モデルを選択する。そして、ユーザは、選択した解析モデルにおいて、作成済みの樹脂成形品モデルを新規の樹脂成形品モデルと取り換える。そして、ユーザは、取り換えられた新規の樹脂成形品モデルの形状に応じて、作成済みの冷却管モデルに含まれる複数の冷却管の各々の配置などを修正することにより、新規の冷却管モデルを作成することが行われる場合がある。また、上記特許文献1には開示されていないが、冷却管モデルは、複数の冷却管として、仕切り板またはチューブを内蔵することにより先端まで冷媒が行き届くように構成された内蔵冷却管を含んでいる。内蔵冷却管は、樹脂成形品に形成された凹部などに対応するように配置されている。
【0006】
しかしながら、上記の過去の解析モデルを再利用する方法では、作成済みの冷却管モデルに対して取り換えられた新規の樹脂成形品モデルを配置した際に、過去の樹脂成形品の形状と新規の樹脂成形品の形状とが異なることに起因して、作成済みの冷却管モデルに含まれる複数の内蔵冷却管の全部または一部と、新規の樹脂成形品モデルとが、互いに重なって干渉したり、過度に離間していたりする場合がある。このような作成済みの冷却管モデルに含まれる複数の内蔵冷却管と新規の樹脂成形品モデルとの干渉および過度の離間を解消するために、ユーザは、新規の樹脂成形品モデルに干渉したり過度に離間したりする内蔵冷却管1つずつに対して、手作業により配置などを修正する必要がある。そのため、複数の内蔵冷却管を含む冷却管モデル(冷却回路モデル)を作成するための作業が煩雑であるという問題がある。したがって、複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを作成するための作業の作業性を向上することが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを作成するための作業の作業性を向上することが可能な冷却回路モデル作成方法、樹脂成形解析方法、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による冷却回路モデル作成方法は、樹脂成形品のモデルである樹脂成形品モデルに基づいて、仕切り板またはチューブを内蔵するとともに金型に配置される複数の内蔵冷却管を含む作成済みの冷却回路のモデルである冷却回路モデルを冷却回路モデルとして取得するモデル取得ステップと、取得した冷却回路モデルに含まれる複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さに関して指定された指定長さ情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、入力を受け付けた指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さを変更する内蔵冷却管長さ変更ステップと、を備える。
【0009】
この第1の局面による冷却回路モデル作成方法は、上記のように、樹脂成形品のモデルである樹脂成形品モデルに基づいて、仕切り板またはチューブを内蔵するとともに金型に配置される複数の内蔵冷却管を含む作成済みの冷却回路のモデルである冷却回路モデルを冷却回路モデルとして取得するモデル取得ステップと、入力を受け付けた指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さを変更する内蔵冷却管長さ変更ステップと、を備える。これにより、作成済みの冷却回路モデルに含まれる内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとが、互いに干渉したり過度に離間していたりしている場合であっても、指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さを変更することができる。そのため、取得した作成済みの冷却回路モデルと樹脂成形品モデルとの干渉および過度な離間を解消するための修正を行うために、複数の内蔵冷却管の各々を手作業で1つずつ移動させる場合と比べて、複数の内蔵冷却管の軸方向の長さの変更を容易かつ効率的に行うことができる。したがって、複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを作成するための作業の作業性を向上することができる。
【0010】
上記第1の局面による冷却回路モデル作成方法において、好ましくは、内蔵冷却管長さ変更ステップは、指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管の軸方向における樹脂成形品モデル側の端部の位置を一括して変更する。このように構成すれば、指定長さ情報に基づいて、樹脂成形品モデルに対して干渉したり過度に離間したりしている複数の内蔵冷却管のモデルの端部の位置を一括して変更することができる。そのため、複数の内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとの干渉および過度な離間を解消するための修正を容易かつ効率的に行うことができる。
【0011】
上記第1の局面による冷却回路モデル作成方法において、好ましくは、指定長さ情報は、複数の内蔵冷却管のモデルと、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の軸方向に位置する樹脂成形品モデルとの間の距離が一定となるように変更される距離の情報である。このように構成すれば、複数の内蔵冷却管のモデルと、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の軸方向に位置する樹脂成形品モデルとの間の距離が一定となるように、指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管の軸方向の長さが変更される。そのため、たとえば樹脂成形品モデルが湾曲した形状の部分を有している場合に、内蔵冷却管と樹脂成形品の湾曲形状部分との間の距離が一定かつ互いに近くなることによる樹脂成形品の均一かつ効果的な冷却という目的を達成しながら、複数の内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとの干渉および過度な離間を解消するための修正をより容易に行うことができる。
【0012】
この場合、好ましくは、指定長さ情報における、複数の内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとの間の距離は、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の樹脂成形品モデル側の端部と、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の端部と対向する樹脂成形品モデルの表面との間の距離である。このように構成すれば、指定長さ情報に基づく内蔵冷却管のモデルの軸方向の長さの変更後において、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の樹脂成形品モデル側の端部と、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の端部と対向する樹脂成形品モデルの表面との間の距離が一定となる。そのため、たとえば樹脂成形品モデルが湾曲した形状の部分を有している場合に、内蔵冷却管の端部と樹脂成形品の湾曲形状部分の表面との間の距離が一定かつ互いに近くなることにより、樹脂成形品のより均一かつより効果的な冷却という目的を達成しながら、複数の内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとの干渉および過度な離間を解消するための修正をより容易に行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による冷却回路モデル作成方法において、好ましくは、指定長さ情報は、複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さに対する一定の伸縮量の情報である。このように構成すれば、指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さが一定の長さだけ伸縮される。そのため、複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さを一定の長さだけ伸縮させる修正を行う場合に、上記修正を指定長さ情報に基づいてより容易に行うことができる。
【0014】
上記第1の局面による冷却回路モデル作成方法において、好ましくは、内蔵冷却管長さ変更ステップは、冷却回路モデルにおける複数の内蔵冷却管のモデルの各々の軸方向に関する軸方向情報を取得するとともに、取得した軸方向情報と、指定長さ情報とに基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さを変更する。このように構成すれば、取得した軸方向情報と、指定長さ情報とに基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さが変更される。そのため、複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向の長さの変更を精度良く行うことができるとともに、複数の内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとの干渉および過度な離間を解消するための修正をより容易かつより効率的に行うことができる。
【0015】
この発明の第2の局面による樹脂成形解析方法は、樹脂成形品のモデルである樹脂成形品モデルに基づいて、仕切り板またはチューブを内蔵するとともに金型に配置される複数の内蔵冷却管を含む作成済みの冷却回路のモデルである冷却回路モデルを冷却回路モデルとして取得するモデル取得ステップと、取得した冷却回路モデルに含まれる複数の内蔵冷却管のモデルの軸方向における長さに関して指定された指定長さ情報の入力を受け付ける入力受付ステップと、入力を受け付けた指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さを変更する内蔵冷却管長さ変更ステップと、軸方向の長さを変更した複数の内蔵冷却管のモデルを含む冷却回路モデルと、樹脂成形品モデルとに基づいて、金型または樹脂成形品の温度分布を予測するステップと、を備える。
【0016】
この発明の第2の局面による樹脂成形解析方法は、上記のように、樹脂成形品のモデルである樹脂成形品モデルに基づいて、仕切り板またはチューブを内蔵するとともに金型に配置される複数の内蔵冷却管を含む作成済みの冷却回路のモデルである冷却回路モデルを冷却回路モデルとして取得するモデル取得ステップと、入力を受け付けた指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さを変更する内蔵冷却管長さ変更ステップと、を備える。これにより、上記第1の局面と同様に、作成済みの冷却回路モデルに含まれる内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとが、互いに干渉したり過度に離間していたりしている場合であっても、指定長さ情報に基づいて、複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数または全部に対して一括して軸方向の長さを変更することができる。そのため、取得した作成済みの冷却回路モデルと樹脂成形品モデルとの干渉および過度な離間を解消するための修正を行うために、複数の内蔵冷却管の各々を手作業で1つずつ移動させる場合と比べて、複数の内蔵冷却管の軸方向の長さの変更を容易かつ効率的に行うことができる。したがって、複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを作成するための作業の作業性を向上することができる。
【0017】
この発明の第3の局面によるプログラムは、第1の局面による冷却回路モデル作成方法または第2の局面による樹脂成形解析方法をコンピュータに実行させる。
【0018】
この発明の第3の局面によるプログラムでは、上記第1の局面による冷却回路モデル作成方法または上記第2の局面による樹脂成形解析方法をコンピュータに実行させることにより、複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを作成するための作業の作業性を向上することができる。
【0019】
この発明の第4の局面による記録媒体は、第3の局面によるプログラムが記録され、コンピュータにより読み取り可能である。
【0020】
この発明の第4の局面による記録媒体は、第3の局面によるプログラムが記録されコンピュータにより読み取りが可能であることにより、複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを作成するための作業の作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを作成するための作業の作業性を向上することが可能な冷却回路モデル作成方法、樹脂成形解析方法、プログラムおよび記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態による冷却回路モデル作成方法および樹脂成形品解析方法を実施するための構成例を示したブロック図である。
図2】冷却回路モデルを説明するための模式図である。
図3】冷却回路モデルおよび樹脂成形品モデルを説明するための模式図である。
図4】第1内蔵冷却管を説明するための模式図である。
図5】第2内蔵冷却管を説明するための模式図である。
図6】作成済み解析モデルに含まれる作成済みの冷却回路モデルを説明するための模式図である。
図7】作成済みの冷却回路モデルおよび新規の樹脂成形品モデルを説明するための模式図である。
図8】型開き方向を一致させるための冷却回路モデルの回転を説明するための模式図である。
図9】基準点を一致させるための冷却回路モデルの移動を説明するための模式図である。
図10】指定距離に基づく冷却回路モデルの一体的移動を説明するための模式図である。
図11】第1指定長さ情報に基づく内蔵冷却管のモデルの長さ変更を説明するための模式図である。
図12】一実施形態による樹脂成形解析処理について説明するためのフローチャートである。
図13】変形例による第2指定長さ情報に基づく内蔵冷却管のモデルの長さ変更を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1図10を参照して、一実施形態による冷却回路モデル作成方法および樹脂成形解析方法について説明する。
【0025】
本実施形態による冷却回路モデル作成方法は、たとえば、樹脂材料を成形する際の金型または樹脂成形品の温度分布を予測する樹脂成形解析において用いられる、金型に配置される冷却回路のモデルである冷却回路モデル20を作成する方法である。また、本実施形態による樹脂成形解析方法は、上記作成方法により作成された冷却回路モデル20と、樹脂成形品モデル30bとに基づいて、金型または樹脂成形品の温度分布を予測する方法である。
【0026】
(装置構成例)
樹脂成形解析装置100は、コンピュータ1を含む。本実施形態による冷却回路モデル作成方法および樹脂成形解析方法は、コンピュータ1にプログラム4を実行させることにより実施することができる。冷却モデル作成方法および樹脂成形解析方法は、たとえば、図1に示すような装置構成によって実施可能である。コンピュータ1は、プログラム4を実行可能に構成されている。樹脂成形解析装置100は、コンピュータ1にプログラム4を実行させることにより、金型および樹脂成形品の解析を行うように構成されている。コンピュータ1にプログラム4を実行させることにより行われる処理の一部または全部が、専用の演算回路等のハードウェアによって行われてもよい。
【0027】
図1の構成例では、コンピュータ1は、CPU(Central Processing Unit)などからなる1または複数のプロセッサ2と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および記憶装置などを含んだ記憶部3とを備える。記憶装置は、たとえば、ハードディスクドライブや半導体記憶装置などである。
【0028】
コンピュータ1は、記憶部3に記憶されたプログラム4をプロセッサ2に実行させることにより、冷却回路モデル作成および樹脂成形解析を行うことが可能である。プログラム4は、記録媒体93から読み出される他、インターネットなどのネットワークやLAN(Local Area Network)などの伝送経路94を介して外部サーバなどから提供されてもよい。記録媒体93は、光学ディスク、磁気ディスク、不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ1により読み取り可能な記録媒体93であり、プログラム4が記録されている。
【0029】
記憶部3には、プログラム4の他、冷却回路モデル作成を行うために利用される各種の作成用データ10および樹脂成形解析を行うために利用される各種の解析用データ5が記憶されている。作成用データ10は、金型データ、冷却回路データ、樹脂成形品の形状データ、作成に用いる数値データ、作成条件のデータなどが記憶されている。また、作成用データ10として、指定距離に関する指定距離情報11、指定長さ情報12、冷却回路モデル20および樹脂成形品モデル30bの基準点に関する基準点情報13、冷却回路モデル20および樹脂成形品モデル30bの型開き方向に関する型開き方向情報14、冷却管23の属性に関する属性情報15などに関するデータが記憶されている。また、解析用データ5は、樹脂成形条件情報および樹脂成形品の特性を含む樹脂成形情報などが記憶されている。また、記憶部3には、過去に作成済みの冷却回路モデル20(図6参照)と、作成済みの冷却回路モデル20に対応する作成済みの樹脂成形品モデル30a(図6参照)とを含む作成済み解析モデル6が記憶されている。記憶部3には、複数の作成済み解析モデル6が記憶されている。
【0030】
また、コンピュータ1は、液晶表示装置などの表示部90、キーボードおよびマウスなどの入力装置からなる入力部91、記録媒体93からプログラム4や各種データを読み取るための読取部92を備えている。読取部92は、記録媒体93の種類に応じたリーダ装置などである。作成条件のデータおよび解析条件のデータは、入力部91を用いてユーザが入力することができる。また、コンピュータ1は、作成用データ10、解析用データ5および作成済み解析モデル6を、ユーザが作成した記録媒体93から読み出したり、伝送経路94を介して外部サーバから取得したりしてもよい。
【0031】
プロセッサ2は、指定距離情報11に基づいて、樹脂成形品モデル30b(図7参照)に対して複数の冷却管23を含む冷却回路モデル20(図7参照)を移動させるように構成されている。また、プロセッサ2は、指定長さ情報12に基づいて、複数の冷却管23のモデルに含まれる複数の内蔵冷却管24のモデル(図2参照)に対して一括して軸方向(内蔵冷却管24の延びる方向)の長さを変更するように構成されている。また、プロセッサ2は、指定距離情報11に基づいて移動させるとともに指定長さ情報12に基づいて内蔵冷却管24のモデルの軸方向の長さを一括して変更した冷却回路モデル20(図3参照)と、樹脂成形品モデル30(図3参照)とに基づいて、金型または樹脂成形品の温度分布を予測するように構成されている。なお、図3は、移動および長さ変更された冷却回路モデル20と、樹脂成形品モデル30との一例を示す模式図である。
【0032】
(冷却回路モデル)
図2に示すように、冷却回路モデル20は、金型に配置される複数の冷却管23を含む冷却回路のモデルである。記憶部3(図1参照)には、過去に作成済みの作成済み解析モデル6が記憶されている。記憶部3には、複数の作成済み解析モデル6が記憶されている。複数の作成済み解析モデル6の各々は、作成済みの冷却回路モデル20(図6参照)と、作成済みの冷却回路モデル20に対応する作成済みの樹脂成形品モデル30a(図6参照)とを含んでいる。
【0033】
冷却回路モデル20は、第1冷却回路モデル21と、第2冷却回路モデル22とを含んでいる。第1冷却回路モデル21は、図示しない固定側金型と可動側金型とを含む金型における、固定側金型に配置される冷却回路モデル20である。また、第2冷却回路モデル22は、図示しない固定側金型と可動側金型とを含む金型における、可動側金型に配置される冷却回路モデル20である。
【0034】
冷却回路モデル20に含まれる複数の冷却管23は、内部に特定の部材が内蔵された内蔵冷却管24と、特定の部材が内蔵されていない通常冷却管27とを含んでいる。内蔵冷却管24は、第1内蔵冷却管25(図4参照)と、第2内蔵冷却管26(図5参照)とを含んでいる。
【0035】
内蔵冷却管24は、金型(図示しない)において、樹脂成形品に形成された凹部や隣接して設けられたリブ同士の隙間などに対応する位置に配置される。上記位置に、たとえば通常冷却管27が配置されたとしても冷媒80が適切に行き届きにくいため、均一な冷却が困難である。上記位置に内蔵冷却管24を配置することにより冷媒80が適切に行き届くため、均一な冷却が可能となる。
【0036】
図4に示すように、第1内蔵冷却管25は、特定の部材としての仕切り板25aが内部に挿入されて構成されている。第1内蔵冷却管25は、いわゆるバッフルである。また、内部に挿入されている仕切り板25aは、いわゆるバッフルプレートである。第1内蔵冷却管25の内部では、仕切り板25aの一方側において冷媒80が上向きに流れるとともに、仕切り板25aの他方側において冷媒80が下向きに流れる。これにより、第1内蔵冷却管25の先端まで冷媒80が行き届くように構成されている。
【0037】
図5に示すように、第2内蔵冷却管26は、特定の部材としてのチューブ26aが内部に挿入されて構成されている。第2内蔵冷却管26は、いわゆるバブラーである。また、内部に挿入されているチューブ26aは、いわゆるバブラーチューブである。第2内蔵冷却管26の内部では、チューブ26aの一方端から冷媒80が流入するとともに、第2内蔵冷却管26の先端側に配置されたチューブ26aの他方端から冷媒80が流出する。これにより、第2内蔵冷却管26の先端まで冷媒80が行き届くように構成されている。
【0038】
冷却回路モデル20に含まれる複数の冷却管23は、第1内蔵冷却管25、第2内蔵冷却管26および通常冷却管27のいずれかの属性が対応付けられている。複数の冷却管23の各々に対応付けられた属性は、属性情報15(図1参照)として記憶部に記憶されている。上記属性は、冷却回路モデル20の作成時に冷却回路モデル20の作成者による入力操作により対応付けられる。
【0039】
なお、図2に示す冷却回路モデル20は、説明の便宜のため単純な形状の構成例を示すが、実際には、冷却回路モデル20は、所望の樹脂成形品の形状を反映した形状を有する。また、冷却回路モデル20には、100本以上の冷却管23が含まれている冷却回路モデル20もある。
【0040】
(冷却回路モデルの作成方法)
次に、冷却回路モデル20の作成方法について説明する。本実施形態では、樹脂材料を成形する際の金型または樹脂成形品の温度分布を予測する樹脂成形解析において用いられる、金型に配置される冷却回路モデル20を作成する方法である。
【0041】
図6の上図に示すように、冷却回路モデル20の作成には、一例として、ユーザにより選択されることにより取得した作成済み解析モデル6に含まれる作成済みの冷却回路モデル20が用いられることがある。作成済みの冷却回路モデル20には、複数の内蔵冷却管24が含まれている。また、ユーザによる指定距離情報11(図1参照)の入力が受け付けられる。そして、指定距離情報11に基づいて、冷却回路モデル20の移動が実行される。また、ユーザによる指定長さ情報12(図1参照)の入力が受け付けられる。そして、指定長さ情報12に基づいて、図6の下図に示す冷却回路モデル20に含まれる内蔵冷却管24のモデルの長さの変更が実行される。これにより、冷却回路モデル20が作成される。
【0042】
(冷却回路モデルの取得)
図6に示すように、記憶部3(図1参照)に記憶された作成済み解析モデル6の中から、1つの作成済み解析モデル6がユーザにより選択される。また、図7に示すように、選択された作成済み解析モデル6において、作成済みの樹脂成形品モデル30aが、新規の樹脂成形品モデル30bに、ユーザにより入れ替えられる。すなわち、選択された作成済み解析モデル6に含まれる作成済みの冷却回路モデル20と、新規の樹脂成形品モデル30bとが組み合わされる。作成済みの冷却回路モデル20には、複数の内蔵冷却管24が含まれている。作成済み解析モデル6の選択、および、樹脂成形品モデル30bへの入れ替えは、ユーザによる入力部91の入力操作に基づいて実行される。プロセッサ2は、組み合わされた冷却回路モデル20および樹脂成形品モデル30bを取得する。
【0043】
ここで、作成済み解析モデル6の選択において、新規の樹脂成形品モデル30bの形状と近似する形状を有する作成済みの樹脂成形品モデル30aを含む作成済み解析モデル6が、ユーザにより選択される。すなわち、新規の樹脂成形品モデル30bの形状と近似する形状を有する作成済みの樹脂成形品モデル30aに対応する作成済みの冷却回路モデル20が、取得されるとともに冷却回路モデル20の作成において利用される。これにより、作成済みの冷却回路モデル20を適切に利用することができる。
【0044】
(指定距離および指定長さ情報等の入力)
プロセッサ2は、冷却回路モデル20と樹脂成形品モデル30bとの間の距離としてユーザにより指定された指定距離に関する指定距離情報11(図1参照)を取得する。指定距離とは、移動後の冷却回路モデル20と、樹脂成形品モデル30bとの間の最短距離である。指定距離情報11は、ユーザによる入力部91の入力操作に基づいて取得される。
【0045】
指定距離情報11は、図10に示すように、第1指定距離11aと、第2指定距離11bとを含んでいる。第1指定距離11aは、移動後の第1冷却回路モデル21と、樹脂成形品モデル30bとの間の最短距離である。具体的には、第1指定距離11aとは、移動後の第1冷却回路モデル21における樹脂成形品モデル30b側の表面と、樹脂成形品モデル30bにおける第1冷却回路モデル21側の表面との間の最短距離である。第2指定距離11bは、移動後の第2冷却回路モデル22と、樹脂成形品モデル30bとの間の最短距離である。具体的には、第2指定距離11bとは、移動後の第2冷却回路モデル22における樹脂成形品モデル30b側の表面と、樹脂成形品モデル30bにおける第2冷却回路モデル22側の表面との間の最短距離である。取得された第1指定距離11aおよび第2指定距離11bを含む指定距離情報11は、記憶部3に記憶される。
【0046】
また、プロセッサ2は、図7に示す、冷却回路モデル20における金型の型開き方向情報14と、樹脂成形品モデル30bにおける金型の型開き方向情報14とを取得する。冷却回路モデル20の型開き方向情報14および樹脂成形品モデル30bの型開き方向情報14は、ユーザによる入力部91の入力操作に基づいて取得される。取得された冷却回路モデル20の型開き方向情報14および樹脂成形品モデル30bの型開き方向情報14は、記憶部3に記憶される。
【0047】
また、プロセッサ2は、図7に示す、冷却回路モデル20の基準点13aを取得する。冷却回路モデル20の基準点13aは、基準点情報13(図1参照)に含まれる。本実施形態において、冷却回路モデル20の基準点13aは、冷却回路モデル20の中心座標である。プロセッサ2は、冷却回路モデル20全体を内包する3次元のバウンディングボックス13cを取得するとともに、取得したバウンディングボックス13cの中心座標を冷却回路モデル20の中心座標として取得する。また、プロセッサ2は、樹脂成形品モデル30bの基準点13bを取得する。樹脂成形品モデル30bの基準点13bは、基準点情報13(図1参照)に含まれる。本実施形態において、樹脂成形品モデル30bの基準点13bは、樹脂成形品モデル30bの中心座標である。プロセッサ2は、樹脂成形品モデル30b全体を内包する3次元のバウンディングボックス13cを取得するとともに、取得したバウンディングボックス13cの中心座標を樹脂成形品モデル30bの中心座標として取得する。取得した冷却回路モデル20の基準点13aおよび樹脂成形品モデル30bの基準点13bは、記憶部3に記憶される。
【0048】
また、プロセッサ2は、図11に示す、冷却回路モデル20に含まれる複数の内蔵冷却管24のモデルの軸方向における長さに関して指定された第1指定長さ情報12aを取得する。第1指定長さ情報12aは、指定長さ情報12(図1参照)に含まれる。第1指定長さ情報12aは、ユーザによる入力部91の入力操作に基づいて取得される。本実施形態では、第1内蔵冷却管25および第2内蔵冷却管26に対して1つの第1指定長さ情報12aが取得される。なお、第1指定長さ情報12aは、特許請求の範囲に記載した「指定長さ情報」の一例である。
【0049】
本実施形態において、第1指定長さ情報12aは、複数の内蔵冷却管24のモデルと、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の軸方向に位置する樹脂成形品モデル30bとの間の距離が一定となるように変更される距離の情報である。第1指定長さ情報12aにおける、複数の内蔵冷却管24のモデルと樹脂成形品モデル30bとの間の距離は、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の樹脂成形品モデル30b側の端部24aと、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の端部24aと対向する樹脂成形品モデル30bの表面との間の距離である。取得された第1指定長さ情報12aは、記憶部3に記憶される。
【0050】
(冷却回路モデルの移動)
プロセッサ2は、図7および図8に示すように、記憶部3に記憶された、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とが一致していない場合に、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とを一致させるように、冷却回路モデル20または樹脂成形品モデル30bを回転させる。本実施形態では、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とを一致させるように、冷却回路モデル20を回転させる。ユーザによる指定距離情報11の入力を受け付けた後、冷却回路モデル20の基準点13aと樹脂成形品モデル30bの基準点13bとを一致させる前に、冷却回路モデル20の回転は実行される。なお、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とを一致させるように、樹脂成形品モデル30bを回転させても良い。
【0051】
プロセッサ2は、図9に示すように、記憶部3に記憶された、冷却回路モデル20の基準点13aと樹脂成形品モデル30bの基準点13bとを一致させるように、冷却回路モデル20と樹脂成形品モデル30bとの少なくとも一方を移動させる基準点一致移動を実行する。本実施形態では、基準点一致移動として、冷却回路モデル20の基準点13aと樹脂成形品モデル30bの基準点13bとを一致させるように、冷却回路モデル20を移動させる。ユーザによる指定距離情報11の入力を受け付けた後、冷却回路モデル20を一体的に移動させる前に、基準点一致移動は実行される。なお、基準点一致移動として、樹脂成形品モデル30bを移動させても良い。また、基準点一致移動と、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とを一致させるための冷却回路モデル20の回転とは、どちらが先に実行されても良いし、同時に実行されても良い。
【0052】
ここで、作成済みの冷却回路モデル20に対応する作成済みの樹脂成形品モデル30bと、新規の樹脂成形品モデル30bとは、互いに近似する形状を有しているものの、互いに異なる形状である。そのため、冷却回路モデル20の基準点13aと樹脂成形品モデル30bの基準点13bとを一致させた場合に、冷却回路モデル20に含まれる冷却管23のモデルと、樹脂成形品モデル30bとが干渉したり、過度に離間していたりする場合がある。
【0053】
そこで、プロセッサ2は、図10に示すように、指定距離情報11に含まれる指定距離に基づいて、樹脂成形品モデル30bに対して複数の冷却管23を含む冷却回路モデル20を一体的に移動させる。プロセッサ2は、冷却回路モデル20と樹脂成形品モデル30bとの間の最短距離が入力を受け付けた指定距離となるように、冷却回路モデル20を移動させる。プロセッサ2は、第1指定距離11aに基づいて第1冷却回路モデル21を移動させるとともに、第2指定距離11bに基づいて第2冷却回路モデル22を移動させる。プロセッサ2は、第1冷却回路モデル21における樹脂成形品モデル30b側の表面と、樹脂成形品モデル30bにおける第1冷却回路モデル21側の表面との間の最短距離が第1指定距離11aとなるように、第1冷却回路モデル21を一体的に移動させるとともに、第2冷却回路モデル22における樹脂成形品モデル30b側の表面と、樹脂成形品モデル30bにおける第2冷却回路モデル22側の表面との間の最短距離が第2指定距離11bとなるように、第2冷却回路モデル22を一体的に移動させる。なお、図10において、一体的移動前の第1冷却回路モデル21および第2冷却回路モデル22を破線にて図示し、一体的移動後の第1冷却回路モデル21および第2冷却回路モデル22を実線にて図示している。
【0054】
(内蔵冷却管のモデルにおける軸方向の長さの一括変更)
また、冷却回路モデル20の基準点13aと樹脂成形品モデル30bの基準点13bとを一致させた場合に、冷却回路モデル20に含まれる内蔵冷却管24のモデルと、樹脂成形品モデル30bとが干渉したり、過度に離間していたりする場合がある。また、指定距離情報11に含まれる指定距離に基づいて、樹脂成形品モデル30bに対して複数の冷却管23を含む冷却回路モデル20を一体的に移動させた場合においても、冷却回路モデル20に含まれる複数の内蔵冷却管24のモデルのうちの少なくとも一部と、樹脂成形品モデル30bとが過度に離間している場合がある。
【0055】
そこで、プロセッサ2は、図11に示すように、冷却回路モデル20における複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の軸方向に関する軸方向情報を取得する。
【0056】
上述したように、冷却回路モデル20に含まれる複数の冷却管23は、第1内蔵冷却管25、第2内蔵冷却管26および通常冷却管27のいずれかの属性が対応付けられている。プロセッサ2は、図11に示すように、記憶部3に記憶された第1指定長さ情報12aと、取得した軸方向情報とに基づいて、第1内蔵冷却管25および第2内蔵冷却管26のいずれかの属性が対応付けられた内蔵冷却管24のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さを変更する。すなわち、プロセッサ2は、第1指定長さ情報12aに基づいて、複数の内蔵冷却管24の軸方向における樹脂成形品モデル30b側の端部24aの位置を一括して変更する。具体的には、プロセッサ2は、第1指定長さ情報12aに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の樹脂成形品モデル30b側の端部24aと、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の端部24aと対向する樹脂成形品モデル30bの表面と間の距離が一定となるように、一括して変更する。第1冷却回路モデル21の一体的移動および第2冷却回路モデル22の一体的移動の後に、内蔵冷却管24のモデルの軸方向の長さの一括変更は実行される。
【0057】
(樹脂成形解析方法)
冷却回路モデル20の移動が実行されるとともに、内蔵冷却管24のモデルの長さの変更が実行されることにより作成された冷却回路モデル20を含む金型のモデルと、樹脂成形品モデル30bとに基づいて、プロセッサ2は、金型および樹脂成形品の解析を行うように構成されている。冷却回路モデル20を含む金型のモデルおよび樹脂成形品モデル30bは、3次元的に複数の微小要素に分割される。そして、複数の微小要素について、互いの影響を考慮しながらシミュレーションを行うことにより、金型および樹脂成形品の解析が行われる。具体的には、解析により、金型の温度分布および樹脂成形品の温度分布が予測される。コンピュータ1は、解析結果を表示部90に表示する。
【0058】
プロセッサ2は、解析結果が温度分布の均一化の目標を満たすと判定した場合には、樹脂成形解析を終了する。
【0059】
プロセッサ2は、解析結果が温度分布の均一化の目標を満たさないと判定した場合には、ユーザによる入力部91の入力操作に基づいて、変更された第1指定距離11aまたは変更された第1指定長さ情報12aを受け付けるとともに、変更された第1指定距離11aまたは変更された第1指定長さ情報12aに基づいて、冷却回路モデル20の移動または内蔵冷却管24のモデルの長さの変更が実行される。または、ユーザは、手動により、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の長さの変更を1本ずつ実行する。解析結果が温度分布の均一化の目標を満たすまで、冷却回路モデル20の移動または内蔵冷却管24のモデルの長さの変更が実行される。
【0060】
(樹脂成形解析処理)
図12を参照して、本実施形態による、プロセッサ2による樹脂成形解析処理について説明する。なお、処理ステップの順番は、互いに矛盾しない限りにおいて、前後を入れ替えたり同時に実行させたりすることができる。
【0061】
ステップS1において、プロセッサ2は、ユーザにより選択された作成済み解析モデル6に含まれる作成済みの冷却回路モデル20と、新規の樹脂成形品モデル30bとを取得する。その後、処理はステップS2に進む。
【0062】
ステップS2において、プロセッサ2は、ユーザによる入力部91の入力操作に基づいて、指定距離情報11および第1指定長さ情報12aを取得する。また、プロセッサ2は、ユーザによる入力部91の入力操作に基づいて、冷却回路モデル20の型開き方向情報14および樹脂成形品モデル30bの型開き方向情報14を取得する。また、プロセッサ2は、冷却回路モデル20の基準点13aおよび樹脂成形品モデル30bの基準点13bを取得する。その後、処理はステップS3に進む。
【0063】
ステップS3において、プロセッサ2は、取得した冷却回路モデル20の型開き方向情報14および樹脂成形品モデル30bの型開き方向情報14に基づいて、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とが一致しているか否かを判定する。プロセッサ2は、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とが一致していると判定した場合(ステップS3においてYes)、処理はステップS5に進み、プロセッサ2は、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とが一致していないと判定した場合(ステップS3においてNo)、処理はステップS4に進む。
【0064】
ステップS4において、プロセッサ2は、取得した冷却回路モデル20の型開き方向情報14および樹脂成形品モデル30bの型開き方向情報14に基づいて、冷却回路モデル20の型開き方向と樹脂成形品モデル30bの型開き方向とを一致させるように、冷却回路モデル20を回転させる。その後、処理はステップS5に進む。
【0065】
ステップS5において、プロセッサ2は、取得した冷却回路モデル20の基準点13aおよび樹脂成形品モデル30bの基準点13bに基づいて、冷却回路モデル20の基準点13aと樹脂成形品モデル30bの基準点13bとを一致させるように、冷却回路モデル20を移動させる。その後、処理はステップS6に進む。
【0066】
ステップS6において、プロセッサ2は、取得した指定距離情報11に基づいて、樹脂成形品モデル30bに対して複数の冷却管23を含む冷却回路モデル20を一体的に移動させる。その後、処理はステップS7に進む。
【0067】
ステップS7において、プロセッサ2は、冷却回路モデル20における複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の軸方向に関する軸方向情報を取得する。その後、処理はステップS8に進む。
【0068】
ステップS8において、プロセッサ2は、取得した第1指定長さ情報12aおよび軸方向情報に基づいて、内蔵冷却管24のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さを変更する。具体的には、プロセッサ2は、第1指定長さ情報12aに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の樹脂成形品モデル30b側の端部24aと、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の端部24aと対向する樹脂成形品モデル30bの表面と間の距離が一定となるように、一括して変更する。その後、処理はステップS9に進む。
【0069】
ステップS9において、プロセッサ2は、金型および樹脂成形品の解析を行う。プロセッサ2は、解析結果において温度分布の均一化の目標を満たすと判定した場合(ステップS9においてYes)、処理は終了し、プロセッサ2は、解析結果において温度分布の均一化の目標を満たさないと判定した場合(ステップS9においてNo)、処理はステップS10に進む。
【0070】
ステップS10において、プロセッサ2は、ユーザによる入力部91の入力操作に基づく変更された第1指定距離11aまたは変更された第1指定長さ情報12aに基づいて、冷却回路モデル20の移動または内蔵冷却管24のモデルの長さの変更を実行するか、または、ユーザの手動に基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の長さの変更が1本ずつ実行される。その後、処理はステップS9に進む。
【0071】
(本実施形態の効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0072】
本実施形態では、上記のように、樹脂成形品のモデルである樹脂成形品モデル30bに基づいて、仕切り板25aまたはチューブ26aを内蔵するとともに金型に配置される複数の内蔵冷却管24を含む作成済みの冷却回路のモデルである冷却回路モデル20を冷却回路モデル20として取得するモデル取得ステップと、入力を受け付けた第1指定長さ情報12aに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さを変更する内蔵冷却管長さ変更ステップと、を備える。これにより、作成済みの冷却回路モデル20に含まれる内蔵冷却管24のモデルと樹脂成形品モデル30bとが、互いに干渉したり過度に離間していたりしている場合であっても、第1指定長さ情報12aに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さを変更することができる。そのため、取得した作成済みの冷却回路モデル20と樹脂成形品モデル30bとの干渉および過度な離間を解消するための修正を行うために、複数の内蔵冷却管24の各々を手作業で1つずつ移動させる場合と比べて、複数の内蔵冷却管24の軸方向の長さの変更を容易かつ効率的に行うことができる。したがって、複数の内蔵冷却管24を含む冷却回路モデル20を作成するための作業の作業性を向上することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、内蔵冷却管長さ変更ステップは、第1指定長さ情報12aに基づいて、複数の内蔵冷却管24の軸方向における樹脂成形品モデル30b側の端部24aの位置を一括して変更する。これにより、第1指定長さ情報12aに基づいて、樹脂成形品モデル30bに対して干渉したり過度に離間したりしている複数の内蔵冷却管24のモデルの端部24aの位置を一括して変更することができる。そのため、複数の内蔵冷却管24のモデルと樹脂成形品モデル30bとの干渉および過度な離間を解消するための修正を容易かつ効率的に行うことができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、第1指定長さ情報12aは、複数の内蔵冷却管24のモデルと、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の軸方向に位置する樹脂成形品モデル30bとの間の距離が一定となるように変更される距離の情報である。これにより、複数の内蔵冷却管24のモデルと、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の軸方向に位置する樹脂成形品モデル30bとの間の距離が一定となるように、指定長さ情報12に基づいて、複数の内蔵冷却管24の軸方向の長さが変更される。そのため、たとえば樹脂成形品モデル30bが湾曲した形状の部分を有している場合に、内蔵冷却管24と樹脂成形品の湾曲形状部分との間の距離が一定かつ互いに近くなることによる樹脂成形品の均一かつ効果的な冷却という目的を達成しながら、複数の内蔵冷却管24のモデルと樹脂成形品モデル30bとの干渉および過度な離間を解消するための修正をより容易に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、第1指定長さ情報12aにおける、複数の内蔵冷却管24のモデルと樹脂成形品モデル30bとの間の距離は、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の樹脂成形品モデル30b側の端部と、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の端部24aと対向する樹脂成形品モデル30bの表面との間の距離である。これにより、第1指定長さ情報12aに基づく内蔵冷却管24のモデルの軸方向の長さの変更後において、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の樹脂成形品モデル30b側の端部24aと、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の端部24aと対向する樹脂成形品モデル30bの表面との間の距離が一定となる。そのため、たとえば樹脂成形品モデル30bが湾曲した形状の部分を有している場合に、内蔵冷却管24の端部24aと樹脂成形品の湾曲形状部分の表面との間の距離が一定かつ互いに近くなることにより、樹脂成形品のより均一かつより効果的な冷却という目的を達成しながら、複数の内蔵冷却管24のモデルと樹脂成形品モデル30bとの干渉および過度な離間を解消するための修正をより容易に行うことができる。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、内蔵冷却管長さ変更ステップは、冷却回路モデル20における複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の軸方向に関する軸方向情報を取得するとともに、取得した軸方向情報と、第1指定長さ情報12aとに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さを変更する。これにより、取得した軸方向情報と、第1指定長さ情報12aとに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さが変更される。そのため、複数の内蔵冷却管24のモデルの軸方向の長さの変更を精度良く行うことができるとともに、複数の内蔵冷却管24のモデルと樹脂成形品モデル30bとの干渉および過度な離間を解消するための修正をより容易かつより効率的に行うことができる。
【0077】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0078】
たとえば、上記実施形態では、プロセッサ2は、第1指定長さ情報12aに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の樹脂成形品モデル30b側の端部24aと、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の端部24aと対向する樹脂成形品モデル30bの表面と間の距離が一定となるように、一括して変更する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、プロセッサ2は、図13に示すように、第1指定長さ情報12aとは異なる第2指定長さ情報12bに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さを変更するように構成されていても良い。なお、第1指定長さ情報12bは、特許請求の範囲に記載した「指定長さ情報」の一例である。
【0079】
この場合、プロセッサ2は、冷却回路モデル20に含まれる複数の内蔵冷却管24のモデルの軸方向における長さに関して指定された第2指定長さ情報12bを取得する。第2指定長さ情報12bは、指定長さ情報12(図1参照)に含まれる。第2指定長さ情報12bは、ユーザによる入力部91の入力操作に基づいて取得される。第2指定長さ情報12bは、複数の内蔵冷却管24のモデルの軸方向における長さに対する一定の伸縮量の情報である。すなわち、第2指定長さ情報12bにおいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の軸方向における長さ伸縮量は一定である。取得された第2指定長さ情報12bは、記憶部3に記憶される。
【0080】
プロセッサ2は、取得した第2指定長さ情報12bおよび軸方向情報に基づいて、内蔵冷却管24のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さを変更する。具体的には、プロセッサ2は、第2指定長さ情報12bに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの各々の軸方向における長さが一定量伸縮するように、一括して変更する。
【0081】
第2指定長さ情報12bが複数の内蔵冷却管24のモデルの軸方向における長さに対する一定の伸縮量の情報であることにより、第2指定長さ情報12bに基づいて、複数の内蔵冷却管24のモデルの軸方向における長さが一定の長さだけ伸縮される。そのため、複数の内蔵冷却管24のモデルの軸方向における長さを一定の長さだけ伸縮させる修正を行う場合に、上記修正を第2指定長さ情報12bに基づいてより容易に行うことができる。
【0082】
また、上記実施形態および変形例では、複数の内蔵冷却管を含む冷却回路モデルを一体的に移動させた後に、指定長さ情報に基づいて内蔵冷却管のモデルに対して一括して軸方向の長さを変更する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、冷却回路モデルの一体的な移動を実行せずに、指定長さ情報に基づく内蔵冷却管のモデルに対する一括した軸方向の長さの変更を実行しても良い。また、指定長さ情報に基づいて内蔵冷却管のモデルに対して一括して軸方向の長さを変更した後に、冷却回路モデルの一体的な移動を実行しても良い。
【0083】
また、上記実施形態および変形例では、指定長さ情報に基づいて複数の内蔵冷却管のモデルの全部に対して一括して軸方向の長さを変更する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、指定長さ情報に基づいて複数の内蔵冷却管のモデルのうちの複数に対して一括して軸方向の長さを変更しても良い。また、プロセッサは、ユーザによる入力部の入力操作に基づいて、第1内蔵冷却管に対する指定長さ情報と、第2内蔵冷却管に対する指定長さ情報とをそれぞれ取得し、取得した指定長さ情報に基づく第1内蔵冷却管のモデルに対する一括した軸方向の長さの変更を実行するとともに、取得した指定長さ情報に基づく第2内蔵冷却管のモデルに対する一括した軸方向の長さの変更を実行しても良い。
【0084】
また、上記実施形態では、第1指定長さ情報における、複数の内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとの間の距離は、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の樹脂成形品モデル側の端部と、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の端部と対向する樹脂成形品モデルの表面との間の距離である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1指定長さ情報における、複数の内蔵冷却管のモデルと樹脂成形品モデルとの間の距離は、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の樹脂成形品モデル側の端部と、複数の内蔵冷却管のモデルの各々の端部と対向する樹脂成形品モデルの内部の所定の位置との間の距離であっても良い。
【0085】
また、上記実施形態では、第1冷却回路モデルに内蔵冷却管が含まれず、第2冷却回路モデルに内蔵冷却管が含まれている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1冷却回路モデルおよび第2冷却モデルの両方に内蔵冷却管が含まれていても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、コンピュータの処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コンピュータの処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行っても良いし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行っても良い。
【符号の説明】
【0087】
1 コンピュータ
4 プログラム
12 指定長さ情報
12a 第1指定長さ情報
12b 第2指定長さ情報
20 冷却回路モデル
23 冷却管
24 内蔵冷却管
24a 端部
25 第1内蔵冷却管
25a 仕切り板
26 第2内蔵冷却管
26a チューブ
30b 樹脂成形品モデル
93 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13