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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140798
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】面状ヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20241003BHJP
   H05B 3/34 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05B3/20 312
H05B3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052136
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000226932
【氏名又は名称】日星電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】益井 宣年
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 信樹
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA06
3K034AA15
3K034JA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒータ線や電気部品に対して必要十分な固定強度が確保されるとともに、機器への貼付面の平坦性を確保しつつも金属箔の剥がれが抑制された面状ヒータを提供することにある。
【解決手段】通電によって発熱するヒータ線11を有する長尺ヒータ部材10を第1粘着部材21上に配設した面状ヒータ1において、長尺ヒータ部材の一部が第1粘着部材上に配設された第1箇所P1において長尺ヒータ部材を長さ方向に垂直な方向で断面視した際、長尺ヒータ部材の側面に沿って折り返された第1金属箔31によって包まれるとともに、第2粘着部材22を介して第1金属箔と固定された状態で第1粘着部材上に長尺ヒータ部材を配設する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電によって発熱するヒータ線を有する長尺ヒータ部材を第1粘着部材上に配設した面状ヒータであって、
該長尺ヒータ部材の一部が該第1粘着部材上に配設された第1箇所において、該長尺ヒータ部材を長さ方向に垂直な方向で断面視した際、該長尺ヒータ部材は該長尺ヒータ部材の側面に沿って折り返された第1金属箔によって包まれた状態で該第1粘着部材上に配設されているとともに、
該長尺ヒータ部材と該第1金属箔は第2粘着部材を介して固定されていることを特徴とする面状ヒータ。
【請求項2】
折り返された該第1金属箔の端縁は、該第2粘着部材を介して該第1金属箔上に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の面状ヒータ。
【請求項3】
該長尺ヒータ部材は第2箇所において該第1粘着部材上に配設されているとともに、該第2箇所において該長尺ヒータ部材は該第1金属箔に覆われていることを特徴とする、請求項2に記載の面状ヒータ。
【請求項4】
該長尺ヒータ部材は、該第1金属箔の端縁が該第2粘着部材を介して該第1金属箔上に固定された領域においても該第1粘着部材上に配設されているとともに、該第1金属箔に覆われていることを特徴とする、請求項3に記載の面状ヒータ。
【請求項5】
折り返された該第1金属箔の端縁は、該第2粘着部材を介して該第1粘着部材上に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の面状ヒータ。
【請求項6】
該長尺ヒータ部材は第2箇所において該第1粘着部材上に配設されているとともに、
該第2箇所において該長尺ヒータ部材は第2金属箔に覆われていることを特徴とする、請求項5に記載の面状ヒータ。
【請求項7】
該第2金属箔の端縁は、第3粘着部材を介して該第1金属箔上に固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の面状ヒータ。
【請求項8】
該第1箇所は、該第1粘着部材の縁部に沿った領域であることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の面状ヒータ。
【請求項9】
該第2箇所は、該第1粘着部材の縁部から離れた領域であることを特徴とする、請求項3、4、6、7の何れか一項に記載の面状ヒータ。
【請求項10】
該長尺ヒータ部材は、該ヒータ線と、該ヒータ線の端部に接続された電気部品とで構成されていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の面状ヒータ。
【請求項11】
該電気部品は接続端子であることを特徴とする、請求項10に記載の面状ヒータ。
【請求項12】
該電気部品は温度ヒューズであることを特徴とする、請求項10に記載の面状ヒータ。
【請求項13】
通電によって発熱するヒータ線を有する長尺ヒータ部材を粘着部材上に配設した面状ヒータであって、
該長尺ヒータ部材を長さ方向に垂直な方向で断面視した際、該長尺ヒータ部材が該長尺ヒータ部材の側面に沿って折り返された金属箔によって包まれた状態で該粘着部材上に配設され、該長尺ヒータ部材と該金属箔とが第1副粘着部材を介して固定されているとともに、折り返された該金属箔の端縁が該第1副粘着部材を介して該金属箔上に固定された第1固定領域と、
該長尺ヒータ部材を長さ方向に垂直な方向で断面視した際、該長尺ヒータ部材が該長尺ヒータ部材の側面に沿って折り返された副金属箔によって包まれた状態で該粘着部材上に配設され、該長尺ヒータ部材と該副金属箔とが第2副粘着部材を介して固定されているとともに、折り返された副金属箔の端縁が該第2副粘着部材を介して該粘着部材上に固定された第2固定領域とを有し、
該第2固定領域において、該金属箔が第3副粘着部材を介して該副金属箔上に固定されていることを特徴とする面状ヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子炊飯器、足温浴器、さらには洋式便器の便座、車の座席などの加熱・保温 用に使用される面状ヒータに関するものである。
【0002】
面状ヒータが組み込まれる機器本体の小型化が進むのに伴い、面状ヒータにおいても外形寸法の更なる縮小が要求されているとともに、面状ヒータの温度均一性を確保するために面状ヒータの縁部付近へのヒータ線配設が必要となる場面も存在する。
【0003】
面状ヒータの縁部付近にヒータ線を配設する際は、ヒータ線の固定強度の確保が必要となる。縁部付近にヒータ線を配設する際の固定強度を上げる手法の一例としては特許文献1、特許文献2などが挙げられる。
【0004】
特許文献1では両面粘着シートの縁部に沿ってヒータ線を配設する際、両面粘着シートに貼付された金属箔の貼代部が両面粘着シートの縁部を経て裏面に折返し状態で貼付することで、面状ヒータの縁部付近に配設されたヒータ線のずれや浮きを抑制している。
【0005】
特許文献2では粘着シート上に配置された面状ヒータにおいて、粘着シートの貼代部をヒータ線の外縁部から内縁部に向かって折り返し、ヒータ線を覆うようにすることでヒータ線の固定強度を高めている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では金属箔を両面粘着シートの裏面に折り返すため、両面粘着シートの縁部裏面の平坦性に影響が出てしまい、面状ヒータを機器に貼付する際の作業性に影響を及ぼす。
【0007】
特許文献2に記載の方法は両面粘着シートの裏面の平坦性を確保することができるが、特許文献1で述べられているように、縁部から金属箔が剥がれやすいという課題が存在する。
【0008】
また、面状ヒータではヒータ線に外部から電力を供給するための接続端子や、過熱時に溶断することでヒータ線への電力共有を遮断する温度ヒューズといった電気部品が使用されることも多く、これらの電気部品を面状ヒータの縁部付近に固定する際の固定強度も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008―288009号公報
【特許文献2】特開2007-35385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、ヒータ線や電気部品に対して必要十分な固定強度が確保されるとともに、機器への貼付面の平坦性を確保しつつも金属箔の剥がれが抑制された面状ヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、面状ヒータの構造を鋭意検討した結果、以下の構造を採用することで固定強度が確保され、機器への貼付面の平坦性の確保と金属箔の剥がれの抑制を両立した面状ヒータを得るに至った。
【0012】
(1)通電によって発熱するヒータ線を有する長尺ヒータ部材を第1粘着部材上に配設した面状ヒータであって、該長尺ヒータ部材の一部が該第1粘着部材上に配設された第1箇所において、該長尺ヒータ部材を長さ方向に垂直な方向で断面視した際、該長尺ヒータ部材は該長尺ヒータ部材の側面に沿って折り返された第1金属箔によって包まれた状態で該第1粘着部材上に配設されているとともに、該長尺ヒータ部材と該第1金属箔は第2粘着部材を介して固定されていることを特徴とする面状ヒータ。

(2)折り返された該第1金属箔の端縁は、該第2粘着部材を介して該第1金属箔上に固着されていることを特徴とする、(1)に記載の面状ヒータ。

(3)該長尺ヒータ部材は第2箇所において該第1粘着部材上に配設されているとともに、該第2箇所において該長尺ヒータ部材は該第1金属箔に覆われていることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の面状ヒータ。

(4)該長尺ヒータ部材は、該第1金属箔の端縁が該第2粘着部材を介して該第1金属箔上に固定された領域においても該第1粘着部材上に配設されているとともに、該第1金属箔に覆われていることを特徴とする、上記(2)または(3)に記載の面状ヒータ。

(5)折り返された該第1金属箔の端縁は、該第2粘着部材を介して該第1粘着部材上に固着されていることを特徴とする、上記(1)に記載の面状ヒータ。

(6)該長尺ヒータ部材は第2箇所において該第1粘着部材上に配設されているとともに、該第2箇所において該長尺ヒータ部材は第2金属箔に覆われていることを特徴とする、上記(1)または(5)に記載の面状ヒータ。

(7)該第2金属箔の端縁は、第3粘着部材を介して該第1金属箔上に固着されていることを特徴とする、上記(6)に記載の面状ヒータ。

(8)該第1箇所は、該第1粘着部材の縁部に沿った領域であることを特徴とする、上記(1)~(7)の何れかに記載の面状ヒータ。

(9)該第2箇所は、該第1粘着部材の縁部から離れた領域であることを特徴とする、上記(3)、(4)、(6)、(7)の何れかに記載の面状ヒータ。

(10)該長尺ヒータ部材は、該ヒータ線と、該ヒータ線の端部に接続された電気部品とで構成されていることを特徴とする、上記(1)~(9)の何れかに記載の面状ヒータ。

(11)該電気部品は接続端子であることを特徴とする、上記(10)に記載の面状ヒータ。

(12)該電気部品は温度ヒューズであることを特徴とする、上記(10)の何れかに記載の面状ヒータ。
【0013】
また、上記(1)~(12)に記載された構成を適宜選択、組み合わせた構成も、本開示の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の面状ヒータの概略図である。
図2】本発明の第1の態様である。
図3】本発明による粘着部材の使用量の削減効果を示す概略図である。
図4】本発明の第1の態様の変形例である。
図5】本発明の第2の態様である。
図6】本発明の第2の態様の変形例である。
図7】第1の態様と第2態様を併用した本発明の面状ヒータである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の面状ヒータについて、図面を参照しながら説明する。
【0016】
本発明の面状ヒータ1の典型的な構造は図1に示したように、所定の形状の第1粘着部材21上にヒータ線11を配設し、第1金属箔31を貼付した構造を有する。
【0017】
本発明の面状ヒータ1の構造は図1に示したものに限定されず、面状ヒータ1を貼付する機器や用途によって適宜変更することが可能であり、例えばヒータ線11の配設パターンは所望する加熱性能に応じて変更することができる。
【0018】
図1では、ヒータ線11の端部は電気部品12を介してリード線13に接続されており、リード線13から通電することで、ヒータ線11が発熱する。
【0019】
図2図1のA-A断面であり、本発明の特徴的部分を示すものである。
【0020】
本発明の面状ヒータ1は図2に示したように、通電によって発熱するヒータ線11を有する長尺ヒータ部材10を第1粘着部材21上に配設したものであり、長尺ヒータ部材10の一部が第1粘着部材21上に配設された第1箇所P1において、長尺ヒータ部材10を長さ方向に垂直な方向で断面視した際、長尺ヒータ部材10は長尺ヒータ部材10の側面に沿って折り返された第1金属箔31によって包まれた状態で第1粘着部材21上に配設されているとともに、長尺ヒータ部材10と第1金属箔31は第2粘着部材22を介して固定されていることを特徴とする。
【0021】
本発明に使用する長尺ヒータ部材10はヒータ線11のみで構成された態様の他、ヒータ線11の端部に電気部品12を接続した態様も選択することができる。第1箇所P1はヒータ線11を配設する場所であっても、電気部品12を配設する場所であっても良い。具体的な電気部品12の種類によってはヒータ線11に接続されない場合もあるが、第1粘着部材21上に配設されたヒータ線11と共に使用される電気部品12であれば、本発明に使用される長尺ヒータ部材10に含まれる。図2はヒータ線11に接続された電気部品12を配設する場所を第1箇所P1とした場合を示す。
【0022】
第1箇所P1において、第1金属箔31は第2粘着部材22と共に長尺ヒータ部材10の側面に沿って折り返されることになるが、この時、折り返された第1金属箔31の端縁を固定する態様の一例として、第2粘着部材22を介して第1金属箔31上に固定した図2の態様が挙げられる。
【0023】
以下、特に断りが無い限り、図2の態様を本発明における第1の態様とする。
【0024】
第1の態様は図2に示したように、第1箇所P1を第1粘着部材21の縁部に沿った領域とする場合、言い換えると長尺ヒータ部材10を第1粘着部材21の縁部に沿って配設する際に好ましく利用できるが、第1箇所P1が第1粘着部材21の縁部に沿った領域でない場合にも利用することができる。
【0025】
第1の態様は、長尺ヒータ部材10を第1粘着部材21上に固着する際、第1粘着部材21の裏面に金属箔や粘着部材等が折り返されないため、第1粘着部材21の裏面を平坦にすることができる。
【0026】
このため、第1の態様は面状ヒータ1を機器に貼付する際の作業性に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0027】
また、第1粘着部材21の縁部は機器から面状ヒータ1が剥離する際の起点であり、縁部付近における第1粘着部材21の裏面の凹凸は剥離を促す可能性があるが、第1粘着部材21の縁部裏面を平坦にできることで面状ヒータ1の機器への貼付状態が安定し、剥離の抑制に寄与する。
【0028】
加えて、第1粘着部材21の縁部の一部のみに第1箇所P1を設ける場合、仮に第1粘着部材21’を折り返して長尺ヒータ部材10を固定する場合は、折り返しが必要な箇所が一部であったとしても、図3(b)に示したように折り返し部Tを形成するのに十分な外寸を有する粘着部材20から第1粘着部材21’を切り出す必要があるため、粘着部材20の使用量が増える傾向にある。
【0029】
一方、第1の態様では第1箇所P1を設ける部分のみ、別途第2粘着部材22を準備すれば良いため、図3(a)に示したように、第1粘着部材21の切り出し元となる粘着部材20の外寸は所望する面状ヒータ1の外寸と揃えることができるため、粘着部材20の使用量を削減することができ、経済的である。
【0030】
また、第1粘着部材21を折り返して長尺ヒータ部材10を固定する場合と比較して、面状ヒータ1の外寸を精度よく設定することができ、外寸が安定することによって機器へ貼付する際の位置合わせが容易になる。
【0031】
第1の態様では、図4に示したように第1金属箔31の端縁の固定部分の下に長尺ヒータ部材10を配設しても良い。図4では第1金属箔31の端縁の固定部分の下に長尺ヒータ部材10を構成するヒータ線11を配設した例を示す。
【0032】
電気部品12が温度計や後述する温度ヒューズなど、面状ヒータ1の温度状態に反応して動作するものである時は、正確な動作のためには熱源であるヒータ線11の近傍に配設するのが望ましい場合もある。
【0033】
電気部品12をヒータ線11の近傍に配設するのが望ましい場合は、第1金属箔31の端縁の固定部分の下にヒータ線11を配設することで、電気部品12の動作安定に寄与する。
【0034】
第1の態様では、第1金属箔31は面状ヒータ1を構成するための主たる金属箔として使用することができ、第2箇所P2において長尺ヒータ部材10は第1粘着部材21上に配設されるとともに、第1金属箔31に覆われることで面状ヒータ1を構成する。
【0035】
通常、第2箇所P2は第1粘着部材21の縁部から離れた領域に設けられ、第2箇所P2では長尺ヒータ部材10を構成するヒータ線11が主に配設される。
【0036】
第1の態様において、第1金属箔31と第2粘着部材22は別体で用意したものを組合わせて使用すれば良く、第1金属箔31の端縁から折り返し部にかけて、市販の離型紙付き両面テープシートから所定の形状に切り出した第2粘着部材22を貼付した態様や、接着剤を塗布した態様が挙げられる。
【0037】
本発明では、第1金属箔31の端縁を固定する態様の他の例として、第2粘着部材22を介して該第1粘着部材21上に固定した図5の態様が挙げられる。
【0038】
以下、特に断りが無い限り、図5の態様を本発明における第2の態様とする。
【0039】
第2の態様では、第1金属箔31は面状ヒータ1の主たる金属箔にはならず、第1箇所P1における熱伝導を促すために別途設けた金属箔となる。
【0040】
このため、第2の態様では面状ヒータ1の主たる金属箔として第2金属箔32を使用し、
第2箇所P2において第1粘着部材21上に配設された長尺ヒータ部材10を第2金属箔32で覆うことで面状ヒータ1を形成する。
【0041】
第1の態様では、第1箇所P1で折り返すことができるよう、主たる金属箔である第1金属箔31の形状、寸法等を定める必要があるが、第2の態様では主たる金属箔である第2金属箔32の形状、寸法等は、第1箇所P1とそれ以外の場所とで概ね統一することが可能であり、第1粘着部材21に加え、主たる金属箔の使用量も抑制することができる。
【0042】
すなわち、第2の態様では第1箇所P1のみに第1金属箔31と第2粘着部材22を追加することで長尺ヒータ部材10を固定することが可能であり、必要箇所のみで長尺ヒータ部材10を固定する際に好適である。
【0043】
第2の態様において、第1金属箔31と第2粘着部材22は別体で用意したものを組合わせて使用しても良いし、金属箔テープのように第1金属箔31と第2粘着部材22とが予め一体となっているものを使用して第1箇所P1での固定を行っても良い。
【0044】
第2の態様も第1の態様と同様、第1箇所P1を第1粘着部材21の縁部に沿った領域とする場合、すなわち長尺ヒータ部材10を第1粘着部材21の縁部に沿って配設する際に好ましく利用できるが、第1箇所P1が第1粘着部材21の縁部に沿った領域でない場合にも利用することができる。
【0045】
また、第1の態様と同様、第2の態様においても第1金属箔31の端縁の固定部分の下に長尺ヒータ部材10(ヒータ線11)を配設しても良い。
【0046】
第2の態様では、第2金属箔32の端縁は第1粘着部材21上に固定する方法(図5)と、第3粘着部材23を介して第1金属箔31上に固定する方法(図6)を選択して使用することができる。
【0047】
長尺ヒータ部材10の固定強度を高める観点では、第2金属箔32の端縁は第3粘着部材23を介して第1金属箔31上に固定する方法が好ましく利用できる。
【0048】
第2金属箔32の端縁を第3粘着部材23を介して第1金属箔31上に固定する方法では、長尺ヒータ部材10を第1粘着部材21上に固定する第1金属箔31と第2粘着部材22とが、第2金属箔32と第3粘着部材23とで覆われた形で固定されるため、長尺ヒータ部材10の固定強度の向上に寄与する。
【0049】
加えて、面状ヒータ1の表面全体が1枚の第2金属箔32で覆われた状態になるため、面状ヒータ1の熱伝導状態の安定にも寄与する。
【0050】
図6の態様において、第2金属箔32と第3粘着部材23は別体で用意したものを組合わせて使用すれば良く、第2金属箔32の端縁付近に市販の離型紙付き両面テープシートから所定の形状に切り出した第3粘着部材23を貼付した態様や、接着剤を塗布した態様が挙げられる。
【0051】
第1の態様、第2の態様は固定対象、固定を行う場所に応じて適宜使い分ければよく、1枚の面状ヒータ1に数箇所採用しても良い。また、図7に示したように、1枚の面状ヒータ1に第1の態様による固着、第2の態様による固着が混在しても良い。
【0052】
図7に示した面状ヒータ1は、長尺ヒータ部材10を上述した第1の態様に従って固着した第1固定領域R1と、第2の態様に従って固着した第2固定領域R2とを有したものであり、図7のA―A断面は図4に、B―B断面は図6にそれぞれ記載した構造を有する。
【0053】
第1固定領域R1ではヒータ線11と、ヒータ線11と近接するようその一端に接続された電気部品12a(例えば、温度ヒューズ)とが第1の態様に従って固着されており、電気部品12aは金属箔300(図4における第1金属箔31に相当)に包まれた状態で粘着部材(図4における第1粘着部材21に相当)上に配設され、電気部品12aと金属箔300とが第1副粘着部材(図4における第2粘着部材22)を介して固定され、折り返された金属箔300の端縁は第1副粘着部材を介して金属箔300上に固定される。
【0054】
第2固定領域R2ではヒータ線11の他端に接続された電気部品12b(例えば、接続端子)が第2の態様に従って固着されており、電気部品12bは副金属箔(図6における第1金属箔31に相当)よって包まれた状態で粘着部材(図6における第1粘着部材21に相当)上に配設され、電気部品12bと副金属箔とが第2副粘着部材(図6における第2粘着部材22に相当)を介して固定され、折り返された副金属箔の端縁は第2副粘着部材を介して粘着部材上に固定されているとともに、金属箔300は第3副粘着部材(図6における第3粘着部材23に相当)を介して副金属箔上に固定されている。
【0055】
第1の態様、又は第2の態様による長尺ヒータ部材10の固定は、固定強度を確保する観点では第1箇所に存在する長尺ヒータ部材10の全体に対して行うのが望ましいが、所望する固定強度が得られれば、第1箇所に存在する長尺ヒータ部材10の一部に対してのみ行っても良い。また、第1箇所に存在する長尺ヒータ部材10に対して、第1の態様、又は第2の態様による固定を複数箇所で行っても良い。
【0056】
本発明に使用されるヒータ線11の仕様は特に限定されず、絶縁性芯材の上に抵抗線を巻き付けたものに絶縁体を被覆した態様、抵抗線に絶縁体を被覆した態様など、公知のヒータ線を適宜選択して使用すれば良い。
【0057】
絶縁性芯材の上に抵抗線を巻き付けたものに、絶縁体を被覆した態様のヒータ線を使用する際、絶縁性芯材の材料としてはガラス芯、ガラス繊維(素線)を撚ったもの、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ゴム弾性芯などが使用できる。
【0058】
抵抗線の材料としては、ニクロム線、銅ニッケル線、鉄クロム線などを適宜選択して使用すれば良い。抵抗線の直径は必要な熱量に応じて適宜決められ、0.0~0.26mm程度のものが好適に用いられる。
【0059】
絶縁体は単層または多層で構成することができ、絶縁体の材質、構成はヒータ線11、面状ヒータ1に対して所望する性能等に応じて適宜選択することができる。
【0060】
絶縁体の材質としてはシリコーンゴム、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂などを適宜選択して使用することができ、構成としては押出被覆したものや、複数本の線条体からなる編組構造体にシリコーンワニス、ポリテトラフルオロエチレン等の絶縁性材料を塗布または充填したものなどが利用できる。
【0061】
電気部品12の具体例としては、ヒータ線11に電力供給するためのリード線、ヒータ線11とリード線を接続するための接続端子類、異常加熱時に断線することでヒータ線11への電力供給を遮断する温度ヒューズ、面状ヒータ1の制御を行うサーモスタットや温度スイッチ類、面状ヒータ1の温度を計測するためのサーミスタなどが挙げられ、これらの電気部品12の保護、絶縁等を目的として電気部品12を覆うように設けた保護管等も電気部品12に含まれる。
【0062】
電気部品12は所望する面状ヒータ1の機能に応じてヒータ線11の端部もしくは中間部に接続すれば良く、端部に接続する場合は一端のみに接続しても、両端に接続しても良い。
【0063】
電気部品12をヒータ線11の両端に接続するなど、複数の電気部品12を接続する場合は、異なる種類の電気部品12を組合わせて使用しても良い。例えば、ヒータ線11の一端にはリード線に接続された接続端子、他端にはリード線に接続された温度ヒューズを接続した態様などが挙げられる。
【0064】
本発明に使用する第1粘着部材21は、市販の離型紙付き両面テープシートを適宜選択し、所望の形状に打ち抜いて使用すれば良いが、熱伝導性を確保する観点から離型紙を除いた厚さが0.2mm以下のものを使用するのが好ましい。第2粘着部材22、第3粘着部材23についても同様である。
【0065】
本発明に使用する第1金属箔31、及び第2金属箔32は、厚さ0.1mm以下のものを使用するのが好ましく、アルミニウム、銅など、熱伝導材料として一般的に使用されている金属を使用すれば良い。
【0066】
以上、本発明の実施の態様について述べたが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内で種々の変更および応用が可能であり、適宜変更されて供されることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上の例は、本発明の面状ヒータの一例に過ぎず、本発明の思想の範囲内であれば、種々の変更及び応用が可能であることは言うまでもない。本発明の面状ヒータは炊飯器等の小型家電の蓋用ヒータとして好適なものであるが、利用用途はこれらに限定されるものでなく、その他の機器に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 面状ヒータ
10 長尺ヒータ部材
11 ヒータ線
12 電気部品
13 リード線
21 第1粘着部材
22 第2粘着部材
23 第3粘着部材
300 金属箔
31 第1金属箔
32 第2金属箔
P1 第1箇所
P2 第2箇所
R1 第1固定領域
R2 第2固定領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7