(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140800
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】吸収性物品個包装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20241003BHJP
A61F 13/551 20060101ALI20241003BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20241003BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/551 200
A61F13/51
A61F13/56 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052139
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】葭葉 椋子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200BA16
3B200BA18
3B200BB05
3B200CA11
3B200DA27
3B200DE01
3B200DE02
3B200DE09
3B200DF08
3B200DF09
3B200DF20
3B200EA21
(57)【要約】
【課題】見た目の印象を気にせず持ち歩くことができ、携帯性に優れ、個包装の開封のしやすさ及び吸収性物品の廃棄のしやすさも良好である吸収性物品個包装体を提供する。
【解決手段】液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を含む吸収性物品と、個包装シートと、剥離シートと、1枚以上のティシューと、を備える吸収性物品の個包装体であって、長手方向に離間しそれぞれ幅方向に延びる第一折り線及び第二折り線によって三つ折り状態にされており、個包装シートは、三つ折り状態における第一折り線と第二折り線との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第一切れ目を有し、かつ、第一切れ目を有する面とは吸収性物品を隔てた反対側の面における、第一折り線と第二折り線との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第二切れ目を有する、吸収性物品個包装体を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を含む吸収性物品と、前記吸収性物品の非肌側面側に配置される個包装シートと、前記吸収性物品と前記個包装シートの間に、前記吸収性物品の非肌側面側に塗布されたズレ止め粘着剤を完全に覆うように配置される剥離シートと、前記剥離シートと前記個包装シートの間に配置される1枚以上のティシューと、を備える吸収性物品の個包装体であって、
個包装体は、長手方向に離間しそれぞれ幅方向に延びる第一折り線及び第二折り線によって三つ折り状態にされており、
前記個包装シートは、三つ折り状態における前記第一折り線と前記第二折り線との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第一切れ目を有し、かつ、前記第一切れ目を有する面とは前記吸収性物品を隔てた反対側の面における、前記第一折り線と前記第二折り線との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第二切れ目を有することを特徴とする、吸収性物品個包装体。
【請求項2】
前記第一切れ目は、スリット又はミシン目のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項3】
三つ折り状態における個包装体の幅方向の寸法が100mm以上130mm以下で、長手方向の寸法が60mm以上90mm以下であり、
幅方向の両端部において前記個包装シートが接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項4】
前記剥離シートは、長手方向のいずれか一端のみ、接着剤を塗布して形成した幅方向接着部を介して、再剥離可能な状態で前記個包装シートと接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項5】
前記吸収性物品及び前記剥離シートは、前記第一折り線及び前記第二折り線と同じ位置で前記個包装シートと共に折られており、
個包装体を展開した状態における、前記吸収性物品の前記第一折り線から前記第一折り線に近い方の長手方向端部までの長手方向の距離と、前記個包装シートの前記第一折り線から前記第一折り線に近い方の長手方向端部までの長手方向の距離との差は、5mm以上20mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品個包装体。
【請求項6】
前記ティシューは、水解性を有し、
三つ折り状態における個包装体の厚さは5mm以上20mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品個包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品を個包装した吸収性物品個包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、生理用ナプキンとして、様々なタイプの吸収性物品が販売されている。
【0003】
これらの吸収性物品は、複数個をまとめたものが1つのパッケージとして販売されていることが一般的であるが、そのような販売形態の場合、パッケージを開封すると、吸収性物品もまた1個ごとに個包装されていることが多い。
【0004】
そのような吸収性物品個包装体の先行技術文献として、例えば特許文献1には、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体を設けたナプキン本体と、ナプキン本体をバックシートが外側となる状態に畳んで包装した包装シートとを具備する包装生理用ナプキンにおいて、バックシートに絵柄を設けたことを特徴とする包装生理用ナプキンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生理用ナプキンは外出先でも使うものであるが、体調により必要な日とそうでない日があるため、日常的に持ち歩いていない場合もあり、持ってくることを忘れてしまう可能性がある。
【0007】
しかし、従来の一般的な形状のナプキン類の個包装姿は、一目で生理用ナプキンであると分かってしまいやすい見た目をしている。そのため、多くの場合生理用ナプキンの個包装をポーチに入れるなどして人目につかないように持ち運ぶ必要があり、必要なときに気軽にさっと取り出して持ち運ぶことができない。
また、災害時などに必要な人に配る際にも、それを見た製品をよく知らない人のイメージや偏見によって消費者が心理的に傷つけられたり、間違えたイメージを抱かれたりすることもある。
【0008】
特許文献1に開示された吸収性物品は、使用前の状態において、生理用ナプキンであるとは分からないよう外観をカムフラージュするために、バックシートに絵柄を設けている。しかし、形状は生理用ナプキンの個包装のままである上、使用時の取り出し性や、使用後の汚れた物品の収納性も考慮されていない。
【0009】
また、従来の個包装は個包装端部にタブテープを設けているが、接着の精度によってはタブテープだけ取れてしまったり、反対にタブテープが剥がれず個包装体が破れてしまったりするため、ナプキン廃棄時に包みづらいという問題が発生する。
加えて、そのような個包装は、使用前に個包装シート又はその端部に備えられるタブテープをつまんで、個包装体を展開し、個包装シートを吸収性物品本体から剥がす、という複数の手順が必要となり、煩わしい。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、見た目の印象を気にせず持ち歩くことができ、携帯性に優れ、個包装の開封のしやすさ及び吸収性物品の廃棄のしやすさも良好である吸収性物品個包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は鋭意検討を行い、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を含む吸収性物品と、吸収性物品の非肌側面側に配置される個包装シートと、吸収性物品の非肌側面側に塗布されたズレ止め粘着剤を完全に覆うように配置される剥離シートと、剥離剤と個包装シートの間に配置される1枚以上のティシューと、を備える吸収性物品の個包装体において、個包装体を第一折り線及び第二折り線によって三つ折りとし、個包装シートに、三つ折り状態における第一折り線と第二折り線との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第一切れ目を設け、かつ、第一切れ目を有する面とは吸収性物品を隔てた反対側の面における、第一折り線と第二折り線との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第二切れ目を設けることで、見た目の印象を気にせず持ち歩くことができ、携帯性に優れ、個包装の開封のしやすさや吸収性物品の廃棄のしやすさも良好である吸収性物品個包装体とすることができ、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を含む吸収性物品と、前記吸収性物品の非肌側面側に配置される個包装シートと、前記吸収性物品と前記個包装シートの間に、前記吸収性物品の非肌側面側に塗布されたズレ止め粘着剤を完全に覆うように配置される剥離シートと、前記剥離シートと前記個包装シートの間に配置される1枚以上のティシューと、を備える吸収性物品の個包装体であって、個包装体は、長手方向に離間しそれぞれ幅方向に延びる第一折り線及び第二折り線によって三つ折り状態にされており、前記個包装シートは、三つ折り状態における前記第一折り線と前記第二折り線との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第一切れ目を有し、かつ、前記第一切れ目を有する面とは前記吸収性物品を隔てた反対側の面における、前記第一折り線と前記第二折り線との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第二切れ目を有することを特徴とする、吸収性物品個包装体である。
【0013】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記第一切れ目は、スリット又はミシン目のいずれかであることを特徴とするものである。
【0014】
(3)本発明の第3の態様は、(1)に記載の吸収性物品個包装体であって、三つ折り状態における個包装体の幅方向の寸法が100mm以上130mm以下で、長手方向の寸法が60mm以上90mm以下であり、幅方向の両端部において前記個包装シートが接着されていることを特徴とするものである。
【0015】
(4)本発明の第4の態様は、(1)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記剥離シートは、長手方向のいずれか一端のみ、接着剤を塗布して形成した幅方向接着部を介して、再剥離可能な状態で前記個包装シートと接着されていることを特徴とするものである。
【0016】
(5)本発明の第5の態様は、(1)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記吸収性物品及び前記剥離シートは、前記第一折り線及び前記第二折り線と同じ位置で前記個包装シートと共に折られており、個包装体を展開した状態における、前記吸収性物品の前記第一折り線から前記第一折り線に近い方の長手方向端部までの長手方向の距離と、前記個包装シートの前記第一折り線から前記第一折り線に近い方の長手方向端部までの長手方向の距離との差は、5mm以上20mm以下であることを特徴とするものである。
【0017】
(6)本発明の第6の態様は、(1)に記載の吸収性物品個包装体であって、前記ティシューは、水解性を有し、三つ折り状態における個包装体の厚さは5mm以上20mm以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、見た目の印象を気にせず持ち歩くことができ、携帯性に優れ、個包装の開封のしやすさ及び吸収性物品の廃棄のしやすさも良好である吸収性物品個包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品個包装体の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のY
1-Y
1切断線における長手方向の模式的な断面図である。
【
図3】
図1から展開した状態の吸収性物品個包装体を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図3のY
2-Y
2切断線における長手方向の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る吸収性物品個包装体1について、図面を参照しつつ説明する。本明細書では次のように定義する。吸収性物品10の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、吸収性物品10を身体に装着した状態をいう。長手方向は、吸収性物品10を着用したときに着用者の前後にわたる方向であり、図中のY軸に平行な方向である。幅方向は長手方向に対して直交する方向であり、図中のX軸に平行な方向である。厚み方向とは長手方向及び幅方向を含む一平面(例えば
図4に示す平面)に対して略垂直な方向であり、図中のZ軸に平行な方向である。
さらに、吸収性物品10を身体に着用したときに、着用者の肌に当接するか又は該肌を臨む表面を肌側面、着用者の衣類に接触するか又は該衣類を臨む表面を非肌側面、とする。また、体液とは、尿、血液や軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。
【0021】
<吸収性物品個包装体>
図1は、吸収性物品個包装体1(以下、単に個包装体1とも称する)の外観斜視図であり、
図2は
図1のY
1-Y
1切断線における長手方向の断面図である。なお、
図2及び後述する
図4では構成部材の各層に隙間があるように積層されているが、本実施形態は、全ての層間に隙間を有さない実施形態をも包含する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の吸収性物品個包装体1は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を含む吸収性物品10と、吸収性物品10の非肌側面側に配置される個包装シート20と、吸収性物品10と個包装シート20の間に、吸収性物品10の非肌側面側に塗布されたズレ止め接着剤を完全に覆うように配置される剥離シート30と、剥離シート30と個包装シート20の間に配置される1枚以上のティシュー40と、を備えるものである。
【0023】
個包装体1は、長手方向に離間しそれぞれ幅方向に延びる第一折り線23及び第二折り線24によって三つ折り状態にされている。このような三つ折り状態の個包装体1とすることにより、個包装体1の外観がポケットティシューのようなデザインとなるため、一目で生理用ナプキンであると分かりづらくなり、見た目の印象を気にせず持ち歩くことができる。また、日常的に持ち歩くことが多いポケットティシューと同一の外観とすることで、外出時に持ち出すことを忘れにくくすることができる。
【0024】
図1に示す三つ折り状態における、個包装体1の幅方向の寸法は100mm以上130mm以下であることが好ましく、長手方向の寸法は60mm以上90mm以下であることが好ましい。各方向の寸法を上記の数値範囲内とすることにより、携帯性に優れる個包装体1とすることができる。
【0025】
また、
図1及び
図2に示す三つ折り状態の個包装体1の厚さは5mm以上20mm以下であることが好ましい。このとき、個包装体1には三つ折り状態の吸収性物品10、ティシュー40がいずれも含まれた状態で三つ折りされているものとする。
なお、開封前に個包装体1内部のティシュー40等が脱落することを防ぐために、個包装体1は幅方向の両端部において個包装シート20が接着されている(
図1に示す長手方向接着部51を備える)ことが好ましい。
【0026】
(個包装シート)
個包装シート20に用いられる素材は特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン包装フィルム、ポリエチレン包装フィルム、ポリスチレン包装フィルム等を用いることができる。
個包装体1内部の吸収性物品10が香り付きである場合等は、ポリエチレンテレフタレート包装フィルムやポリ塩化ビニリデン包装フィルム等、その機能に応じたガスバリア性の高い包装フィルムや、透湿性の低い包装フィルムを個包装シート20として用いるようにしてもよい。なお、個包装シート20の素材は、吸収性物品10の取り出し時(開封時)に剥離シート30との接着部分が破壊されない(個包装シート20が破れない)ように、ある程度の強度を有していることが望ましい。
【0027】
また、個包装シート20は、三つ折り状態における第一折り線23と第二折り線24との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第一切れ目21を有する。個包装シート20において端部にタブテープを設ける代わりに、個包装シート20に第一切れ目21を設けることにより、開封時にタブテープがとれてしまったり、タブテープが剥がれず個包装シート20が破れてしまったりする等の問題がなく、個包装体1を開封しやすいものとすることができる。
【0028】
なお、第一切れ目21は開封のしやすさを考慮して、スリット又はミシン目のいずれかであることが好ましい。第一切れ目21の長さは特に限定されないが、開封のしやすさを考慮して、50mm以上110mm以下であることが好ましい。また、第一切れ目21がミシン目である場合、ミシン目はカット部と非カット部から形成されるが、ボンド率(非カット部の長さ÷(カット部の長さ+非カット部の長さ))は40%以上70%以下であることが好ましい。
【0029】
さらに、個包装シート20は、第一切れ目21を有する面とは吸収性物品10を隔てた反対側の面における、第一折り線23と第二折り線24との長手方向における間の領域に、幅方向に延びる第二切れ目22を有する。第二切れ目22を設けることにより、個包装シート20を2つの切れ目から二等分することができ、より開封しやすくなる。
なお、第二切れ目22はスリットであってもミシン目であってもよいが、開封のしやすさを考慮して、第一切れ目21と同じであることが好ましい。
【0030】
なお、個包装体1は
図2(a)に示すように、吸収性物品10の両端部が個包装体1の内部に完全に収納される形態が好ましいが、
図2(b)に示すように、吸収性物品10のうち、後述する幅方向接着部50が形成される側の端部が、第一切れ目21より個包装体1の外部に露出される形態であってもよい。この場合、個包装シート20に形成される第一切れ目21はスリットに限定される。
【0031】
(剥離シート)
剥離シート30は、
図2及び後述する
図4に示すように、吸収性物品10と個包装シート20の間に配置される。このとき、吸収性物品10の非肌側面側にはズレ止め粘着剤が塗布されるが、剥離シート30は、塗布されたズレ止め粘着剤を完全に覆うように配置される。
剥離シート30の材質は特に限定されないが、紙又はフィルムであることが好ましい。フィルムとしては、吸収性物品に用いられることが多い樹脂フィルムであることが好ましく、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなるフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。
【0032】
また、ズレ止め粘着剤に用いられる粘着性を有する成分としては、特に限定されず、例えば、吸収パッド(尿取りパッド、軽失禁パッド等)や生理用ナプキンのズレ止め等に使用される成分と同じものを採用できる。粘着性を有する成分の具体例としては、例えば、溶剤型のアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ホットメルト型の合成ゴム系粘着剤であるスチレンブタジエン共重合体、スチレンイソプレン共重合体等が挙げられる。
なお、剥離シート30の肌側面には剥離剤が塗布されていることが好ましい。剥離剤の種類は、ズレ止め粘着剤の材料等を考慮して決定することができ、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤等が挙げられる。
【0033】
さらに、剥離シート30は、長手方向のいずれか一端のみ、接着剤を塗布して形成した幅方向接着部50を介して、再剥離可能な状態で個包装シート20と接着されていることが好ましい。幅方向接着部50を介して、再剥離可能な状態で接着されることにより、後述する個包装体1の開封時に、ワンタッチで吸収性物品10を個包装体1から取り出すことができ、取り換えにかかる時間と手間を軽減できる。
【0034】
なお、幅方向接着部50を形成するために塗布する接着剤としては、樹脂フィルム、紙、不織布等に対して接着性を示す接着剤であれば特に限定されず、公知の接着剤を使用できるが、例えば、ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。
【0035】
(吸収性物品)
図3は、
図1から展開した状態の個包装体1の模式的平面図であり、
図4は
図3のY
2-Y
2切断線における長手方向の断面図である。
吸収性物品10は、既知の吸収性物品と同様に、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を含む。
吸収性物品10は
図3に示す展開した状態において、長手方向の寸法は130mm以上400mm以下であることが好ましく、幅方向の寸法は50mm以上130mm以下であることが好ましい。
【0036】
また、吸収性物品10の厚さは、
図3に示す展開した状態において2mm以上5mm以下であることが好ましく、
図2に示す三つ折りにした状態において6mm以上15mm以下であることが好ましい。さらに、吸収性物品10は、2カ所以上折られていることが好ましく、
図3に示すように個包装シート20と同じ位置で三つ折りされている(個包装シート20と共に折られている)ことがより好ましい。
なお、吸収性物品10は、個包装を開封する際につまんで引き出しやすいよう、
図3に示すように端部の形状が緩やかな円弧状であることが好ましい。
【0037】
さらに、
図3に示すように、個包装体1を展開した状態における、吸収性物品10の第一折り線23から第一折り線23に近い方の長手方向端部までの長手方向の距離L1と、個包装シート20の第一折り線23から第一折り線23に近い方の長手方向端部までの長手方向の距離L2との差(L1-L2)は、5mm以上20mm以下であることが好ましい。距離の差を上記の数値範囲内とすることで、個包装体1の開封時に、第一切れ目21から吸収性物品10の端部をつまみやすくなる。
【0038】
(トップシート)
トップシートは、体液が吸収体へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布など公知の親水性不織布等を使用できる。また、トップシートには、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシートには、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
強度及び加工性の点から、トップシートの坪量は、20g/m2以上40g/m2以下であることが好ましい。トップシートの形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体へと誘導するために必要とされる、吸収体を覆う形状であればよい。
【0039】
(バックシート)
バックシートとしては、吸収体が保持する体液が漏れないような液不透過性の基材を特に限定なく使用できる。例えば、不織布、樹脂フィルム、これらの2種以上の積層体である複層シート等が挙げられる。不織布としては、製法が特に限定されることはなく、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの積層体である複合シート等が挙げられる。また、着用時の蒸れを防止するために、バックシートは、透湿性を有することが好ましい。透湿性を付与する方法としては、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合することや、バックシートに穿孔のためのエンボス加工を施すことが挙げられる。
バックシートの坪量は特に限定されないが、例えば15g/m2以上35g/m2以下の範囲である。
【0040】
(吸収体)
吸収体は、例えば、吸収基材と、吸収基材に担持される吸収成分と、を含む。吸収基材としては、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に含まれる吸収基材を特に限定なく使用でき、例えば、フラッフパルプ、親水性シート等が挙げられる。フラッフパルプとしては、例えば、木材パルプ、合成繊維や、合成樹脂繊維等の非木材パルプ等の綿状の解繊物等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。また、アセテートトウの開繊体を吸収基材として使用できる。吸収成分としても公知のものを特に限定なく使用でき、例えば、高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下「SAP」ともいう)が挙げられる。高吸収性ポリマーとしては公知のものを使用でき、その中でも面積当たりの体液吸収量等の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。
【0041】
吸収体は、例えば、上記の吸収基材及び吸収成分を用いて、単層又は複層のシート状に構成される。これらの中でも、木材パルプフラッフのような、フラッフパルプのウェブの親水性繊維マトリックスをSAP粒子と混合して形成したものが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体の形状を安定させるために、吸収体をティシュー等の親水性シートに包んでもよい。さらに、体液の拡散をコントロールするとともに、使用者の体型に応じて吸収体を容易に変形させるために、吸収体の表面にエンボス加工を施してもよい。吸収体中の高吸収性ポリマーの坪量は特に限定されないが、例えば100g/m2以上700g/m2以下の範囲である。
【0042】
(ティシュー)
ティシュー40は、
図2及び
図4に示すように、剥離シート30と個包装シート20の間に配置される。このように個包装体1として一体化された(個包装体1の内部に配置された)ティシュー40は、使用済みの吸収性物品10を廃棄する際に包むために使用したり、トイレットペーパーとして体液や水、汚れ等を拭き取ったりすることができる。
なお、ティシュー40の材質は特に限定されず、パルプ紙や不織布であることが好ましいが、トイレットペーパーとして使用可能とするために、水に流すことができる、いわゆる水解性を有することが好ましい。ティシュー40は1枚以上あればよいが、個包装体1の厚さを考慮すると、5枚以上20枚以下あることが好ましい。
【0043】
(個包装体の開封)
個包装体1の開封方法としては、
図2(a)及び
図2(b)に示す両実施形態とも共通で、まず吸収性物品10の端部をつまみ、そのまま引き出すと、吸収性物品10と剥離シート30が一緒に個包装外に出てくる。そして、個包装シート20の片端部と剥離シート30の片端部は幅方向接着部50により接着されているため、そのまま吸収性物品10のみを引っ張れば、吸収性物品10と剥離シート30の間のズレ止め粘着剤が剥がれ、吸収性物品10のみを取り出すことができる。
このように、本発明の実施形態に係る個包装体1では、ワンタッチで吸収性物品10を個包装体1から取り出すことができ、取り換えにかかる時間と手間を軽減できる。
【0044】
<個包装体の製造方法>
個包装体1は、従来の吸収性物品個包装体と同様にして作製できる。例えば、既知の方法で製造した吸収性物品10の非肌側面にズレ止め粘着剤を塗布して、塗布されたズレ止め粘着剤を完全に覆うように剥離シート30を積層する工程と、剥離シート30の非肌側面の長手方向片端部に接着剤を塗布して、個包装シート20を接着して積層する工程と、個包装シート20を吸収性物品10及び剥離シート30と共に第一折り線23及び第二折り線24で三つ折りする工程と、個包装シート20に第一切れ目21及び第二切れ目22を形成する工程と、を含む製造方法により、個包装体1が得られる。こうして得られる個包装体1は、所定の個数でまとめて袋詰めすることにより、製品化される。
【0045】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0046】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
本発明の実施形態に係る吸収性物品個包装体と、従来の吸収性物品個包装体とをそれぞれ作成し、テスト対象者20名で実使用テストを行った。
【0048】
「見た目の印象」、「個包装状態での持ち歩きやすさ(携帯性)」、「廃棄しやすさ」、「開封しやすさ」の4項目について、従来品と比較して「悪い」「変わらない」「良い」のいずれかで各対象者が評価し、それぞれの評価をした人数を集計した。
【0049】
【0050】
表1の結果から、本発明に係る吸収性物品個包装体によれば、見た目の印象を気にせず持ち歩くことができ、携帯性に優れ、個包装の開封のしやすさ及び吸収性物品の廃棄のしやすさも良好である吸収性物品個包装体を提供できることが確認された。