(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140804
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】運転支援システム、運転支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241003BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052143
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 崇徳
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL08
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】従来よりも運転者を支援することができる運転支援システム等を提供する。
【解決手段】運転支援システム1は、運転席の正面に配置された表示部110及び電子サイドミラー120を備える車両100の運転者に対して運転支援を行う運転支援システムであって、運転者が運転する車両100において、所定の条件が満たされているか否かを判断する表示条件判断部12と、所定の条件が満たされている場合、車両100の周辺を含む俯瞰画像を生成する画像処理部23と、画像処理部23が生成した俯瞰画像を含む第1画像を電子サイドミラー120に表示させる第1制御装置40と、画像処理部23が生成した俯瞰画像を含む第2画像を表示部110に表示させる第2制御装置50とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の正面に配置された第1表示装置及び電子サイドミラーを備える車両の運転者に対して運転支援を行う運転支援システムであって、
前記運転者が運転する前記車両において、所定の条件が満たされているか否かを判断する判断部と、
前記所定の条件が満たされている場合、前記車両の周辺を含む俯瞰画像を生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記俯瞰画像を含む第1画像を前記電子サイドミラーに表示させる第1制御部と、
前記生成部が生成した前記俯瞰画像を含む第2画像を前記第1表示装置に表示させる第2制御部とを備える
運転支援システム。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記車両が所定値より狭い道路に右折又は左折で進入する場合、前記第1表示装置に表示される前記俯瞰画像の表示位置を、前記車両が右折するか左折するかに応じて異ならせる
請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記車両が右折する場合、前記第1表示装置における左側の領域に前記俯瞰画像を表示させ、前記車両が左折する場合、前記第1表示装置における右側の領域に前記俯瞰画像を表示させる
請求項2に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記第2画像は、前記第1表示装置に表示させる第3画像及び前記俯瞰画像を含む画像である
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項5】
前記第2画像は、前記俯瞰画像のみを含む画像である
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記電子サイドミラーの表示領域のうち車体側の領域に前記俯瞰画像を表示させる
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項7】
前記生成部は、前記車両の周囲の障害物又は脱輪リスクがある部分を強調して表示する前記俯瞰画像を生成する
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項8】
前記所定の条件は、前記車両の速度が所定速度以下であり、かつ、前記車両が備えるウインカーレバーが操作されている第1条件を含み、
前記判断部は、前記第1条件を満たす場合、前記所定の条件が満たされていると判定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項9】
前記所定の条件は、前記車両のナビゲーションシステムにおいて右折又は左折を経て所定値より狭い道路に進入する場合、前記右折又は前記左折を行う領域において前記車両が所定速度以下の状態である第2条件を含み、
前記判断部は、前記第2条件を満たす場合、前記所定の条件が満たされていると判定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項10】
前記所定の条件は、前記車両がマップデータ上において所定値より狭い道路を走行中の状態である第3条件を含み、
前記判断部は、前記第3条件を満たす場合、前記所定の条件が満たされていると判定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項11】
前記判断部は、前記車両のウインカーレバーが元の位置に戻された場合、前記車両が右折又は左折後に所定距離以上走行した場合、又は、走行中の道路が所定値より広いと判定された場合、前記所定の条件が満たされていないと判定し、
前記第1制御部及び前記第2制御部は、前記所定の条件が満たされている状態から前記所定の条件が満たされていない状態に遷移すると、前記俯瞰画像の表示を停止する
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項12】
さらに、前記俯瞰画像の表示機能のオン及びオフを切り替えるための操作部を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項13】
さらに、前記運転席の正面に配置された第2表示装置を備え、
前記第2制御部は、前記第1表示装置及び前記第2表示装置のうちいずれの表示装置に前記俯瞰画像を表示させるかが事前に設定された設定情報において前記第1表示装置が設定されている場合、前記第1表示装置に前記第2画像を表示させる
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項14】
前記第1表示装置は、ヘッドアップディスプレイ又はインストルメントクラスターである
請求項1~3のいずれか1項に記載の運転支援システム。
【請求項15】
運転席の正面に配置された表示装置及び電子サイドミラーを備える車両の運転者に対して運転支援を行う運転支援方法であって、
前記運転者が運転する前記車両において、所定の条件が満たされているか否かを判断し、
前記所定の条件が満たされている場合、前記車両の周辺を含む俯瞰画像を生成し、
生成された前記俯瞰画像を含む第1画像を前記電子サイドミラーに表示させ、
生成された前記俯瞰画像を含む第2画像を前記表示装置に表示させる
運転支援方法。
【請求項16】
請求項15に記載の運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援システム、運転支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者を支援する各種技術が検討されている。例えば、特許文献1には、車両周辺を監視し、障害物を検知すると運転者に報知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、クリアランスソナーを用いているので、特定の障害物を検知することが困難であり、運転者に対する支援には改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、従来よりも運転者を支援することができる運転支援システム、運転支援方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る運転支援システムは、運転席の正面に配置された第1表示装置及び電子サイドミラーを備える車両の運転者に対して運転支援を行う運転支援システムであって、前記運転者が運転する前記車両において、所定の条件が満たされているか否かを判断する判断部と、前記所定の条件が満たされている場合、前記車両の周辺を含む俯瞰画像を生成する生成部と、前記生成部が生成した前記俯瞰画像を含む第1画像を前記電子サイドミラーに表示させる第1制御部と、前記生成部が生成した前記俯瞰画像を含む第2画像を前記第1表示装置に表示させる第2制御部とを備える。
【0007】
本開示の一態様に係る運転支援方法は、運転席の正面に配置された表示装置及び電子サイドミラーを備える車両の運転者に対して運転支援を行う運転支援方法であって、前記運転者が運転する前記車両において、所定の条件が満たされているか否かを判断し、前記所定の条件が満たされている場合、前記車両の周辺を含む俯瞰画像を生成し、生成された前記俯瞰画像を含む第1画像を前記電子サイドミラーに表示させ、生成された前記俯瞰画像を含む第2画像を前記表示装置に表示させる。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、上記の運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、従来よりも運転者を支援することができる運転支援システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る運転支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、車両の左折時における、実施の形態に係る運転支援システムの運転支援内容を説明するための図である。
【
図3】
図3は、車両の右折時における、実施の形態に係る運転支援システムの運転支援内容を説明するための図である。
【
図4】
図4は、左折時における車両の俯瞰画像を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る運転支援システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例1に係る車両の内部構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例1に係る車両の内部構成の他の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例2に係る運転支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った経緯)
本開示の説明に先立ち、本開示に至った経緯について説明する。
【0012】
車両が狭い道を直進する又は車両が狭い道へ右左折する際、車両の前方及び側方へ注意を向け、衝突の危険性がある障害物又は脱輪に繋がる側溝などとの距離を確認しつつ前進する必要がある。このとき、以下の2つの課題が存在する。
【0013】
1つ目の課題は、車両の前方及び側方のどちらかに意識を集中する際、もう一方への注意がおろそかになり、障害物への衝突又は脱輪に繋がる危険性があるという課題である。1つ目の課題は、例えば、運転者が運転初心者である場合に特に懸念される課題である。
【0014】
2つ目の課題は、車体と障害物又は側溝との距離感を掴めずに、衝突又は脱輪してしまう危険性が高まるという課題がある。2つ目の課題は、例えば、カーシェアリング、レンタカーなどのサービスで借りた車など、運転者が慣れていない車両を運転する場合に特に懸念される課題である。
【0015】
例えば、狭い道へ右左折する際、車両の前方及び側方の双方への注意を維持しつつ、車両周辺の大小様々な障害物や側溝との距離を運転者が容易に認知できることが望ましく、そのような運転支援が可能な装置等が求められる。しかしながら、上記特許文献1の技術では、背が低い障害物や側溝を検知することが困難であり、十分な運転支援が行えるとは言い難い。
【0016】
そこで、本願発明者は、従来よりも運転者を支援することができる運転支援システム等について鋭意検討を行い、以下に示す運転支援システム等を創案した。
【0017】
本開示の第1態様に係る運転支援システムは、運転席の正面に配置された第1表示装置及び電子サイドミラーを備える車両の運転者に対して運転支援を行う運転支援システムであって、前記運転者が運転する前記車両において、所定の条件が満たされているか否かを判断する判断部と、前記所定の条件が満たされている場合、前記車両の周辺を含む俯瞰画像を生成する生成部と、前記生成部が生成した前記俯瞰画像を含む第1画像を前記電子サイドミラーに表示させる第1制御部と、前記生成部が生成した前記俯瞰画像を含む第2画像を前記第1表示装置に表示させる第2制御部とを備える。
【0018】
これにより、車両の運転者が前方を注視している際、及び、側方の障害物を警戒するために電子サイドミラーを注視している際のいずれにおいても、運転者の視界中に俯瞰画像を表示することができる。よって、運転者は車両の前方及び側方への適切な配分で意識を配りつつ、障害物、側溝との距離などの車両周辺状況を容易に認知することが可能となるので、従来よりも運転者を支援することができる運転支援システムを実現することができる。
【0019】
また、例えば、本開示の第2態様に係る運転支援システムは、第1態様に係る運転支援システムであって、前記第2制御部は、前記車両が所定値より狭い道路に右折又は左折で進入する場合、前記第1表示装置に表示される前記俯瞰画像の表示位置を、前記車両が右折するか左折するかに応じて異ならせてもよい。
【0020】
これにより、狭い道路に右折又は左折で進入する場合に応じた表示位置に俯瞰画像が表示されるので、狭い道路への右折又は左折に適した運転支援を実現することができる。
【0021】
また、例えば、本開示の第3態様に係る運転支援システムは、第1態様又は第2態様に係る運転支援システムであって、前記第2制御部は、前記車両が右折する場合、前記第1表示装置における左側の領域に前記俯瞰画像を表示させ、前記車両が左折する場合、前記第1表示装置における右側の領域に前記俯瞰画像を表示させてもよい。
【0022】
これにより、右折及び左折のいずれの場合においても、前方を注視している運転者の視界中により確実に俯瞰画像を表示させることができる。
【0023】
また、例えば、本開示の第4態様に係る運転支援システムは、第1態様~第3態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記第2画像は、前記第1表示装置に表示させる第3画像及び前記俯瞰画像を含む画像であってもよい。
【0024】
これにより、第3画像が運転者に提示されなくなることを抑制しつつ、運転者による運転を支援することができる。
【0025】
また、例えば、本開示の第5態様に係る運転支援システムは、第1態様~第3態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記第2画像は、前記俯瞰画像のみを含む画像であってもよい。
【0026】
これにより、運転者に俯瞰画像を効果的に視認させることができる。
【0027】
また、例えば、本開示の第6態様に係る運転支援システムは、第1態様~第5態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記第1制御部は、前記電子サイドミラーの表示領域のうち車体側の領域に前記俯瞰画像を表示させてもよい。
【0028】
これにより、俯瞰画像が電子サイドミラーによる運転者の後方確認の妨げになることを抑止しつつ、運転者による運転を支援することができる。
【0029】
また、例えば、本開示の第7態様に係る運転支援システムは、第1態様~第6態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記生成部は、前記車両の周囲の障害物又は脱輪リスクがある部分を強調して表示する前記俯瞰画像を生成してもよい。
【0030】
これにより、障害物への衝突又は脱輪に繋がる危険性を運転者が認知しやすくなるので、運転者による運転を効果的に支援することができる。
【0031】
また、例えば、本開示の第8態様に係る運転支援システムは、第1態様~第7態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記所定の条件は、前記車両の速度が所定速度以下であり、かつ、前記車両が備えるウインカーレバーが操作されている第1条件を含み、前記判断部は、前記第1条件を満たす場合、前記所定の条件が満たされていると判定してもよい。
【0032】
これにより、車両の速度が遅く、かつ、ウインカーレバーが操作されているといった運転者が右左折をしようとしていることが予測される場面において、運転者による右左折を効果的に支援することができる。
【0033】
また、例えば、本開示の第9態様に係る運転支援システムは、第1態様~第8態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記所定の条件は、前記車両のナビゲーションシステムにおいて右折又は左折を経て所定値より狭い道路に進入する場合、前記右折又は前記左折を行う領域において前記車両が所定速度以下の状態である第2条件を含み、前記判断部は、前記第2条件を満たす場合、前記所定の条件が満たされていると判定してもよい。
【0034】
これにより、所定値より狭い道路に右折又は左折で進入する場面において、運転者による右左折を効果的に支援することができる。
【0035】
また、例えば、本開示の第10態様に係る運転支援システムは、第1態様~第9態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記所定の条件は、前記車両がマップデータ上において所定値より狭い道路を走行中の状態である第3条件を含み、前記判断部は、前記第3条件を満たす場合、前記所定の条件が満たされていると判定してもよい。
【0036】
これにより、車両が所定値より狭い道路を走行中に、運転者による運転を効果的に支援することができる。
【0037】
また、例えば、本開示の第11態様に係る運転支援システムは、第1態様~第10態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記判断部は、前記車両のウインカーレバーが元の位置に戻された場合、前記車両が右折又は左折後に所定距離以上走行した場合、又は、走行中の道路が所定値より広いと判定された場合、前記所定の条件が満たされていないと判定し、前記第1制御部及び前記第2制御部は、前記所定の条件が満たされている状態から前記所定の条件が満たされていない状態に遷移すると、前記俯瞰画像の表示を停止してもよい。
【0038】
これにより、所定の条件を満たさない場合に俯瞰画像が表示されないので、運転支援システムにおける処理量を低減することができる。
【0039】
また、例えば、本開示の第12態様に係る運転支援システムは、第1態様~第11態様のいずれかに係る運転支援システムであって、さらに、前記俯瞰画像の表示機能のオン及びオフを切り替えるための操作部を備えてもよい。
【0040】
これにより、運転者が必要な場合に俯瞰画像が表示されるので、運転者による運転をさらに効果的に支援することができる。
【0041】
また、例えば、本開示の第13態様に係る運転支援システムは、第1態様~第12態様のいずれかに係る運転支援システムであって、さらに、前記運転席の正面に配置された第2表示装置を備え、前記第2制御部は、前記第1表示装置及び前記第2表示装置のうちいずれの表示装置に前記俯瞰画像を表示させるかが事前に設定された設定情報において前記第1表示装置が設定されている場合、前記第1表示装置に前記第2画像を表示させてもよい。
【0042】
これにより、運転者が注視しやすい位置に配置された表示装置に俯瞰画像が表示されることで、運転者による運転をさらに効果的に支援することができる。
【0043】
また、例えば、本開示の第14態様に係る運転支援システムは、第1態様~第13態様のいずれかに係る運転支援システムであって、前記第1表示装置は、ヘッドアップディスプレイ又はインストルメントクラスターであってもよい。
【0044】
これにより、運転者の視界内に配置されすい、ヘッドアップディスプレイ又はインストルメントクラスターに俯瞰画像を表示することができる。
【0045】
また、本開示の第15態様に係る運転支援方法は、運転席の正面に配置された表示装置及び電子サイドミラーを備える車両の運転者に対して運転支援を行う運転支援方法であって、前記運転者が運転する前記車両において、所定の条件が満たされているか否かを判断し、前記所定の条件が満たされている場合、前記車両の周辺を含む俯瞰画像を生成し、生成された前記俯瞰画像を含む第1画像を前記電子サイドミラーに表示させ、生成された前記俯瞰画像を含む第2画像を前記表示装置に表示させる。また、本開示の第16態様に係るプログラムは、上記の運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0046】
これにより、上記の運転支援システムと同様の効果を奏する。
【0047】
なお、これらの全般的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0048】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0049】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0050】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0051】
また、本明細書において、同一などの要素間の関係性を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(あるいは、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0052】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0053】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る運転支援システムについて、
図1~
図6を参照しながら説明する。
【0054】
[1.運転支援システムの構成]
まず、本実施の形態に係る運転支援システムの構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る運転支援システム1の機能構成を示すブロック図である。運転支援システム1は、運転者による運転を支援するための情報処理システムであり、例えば、狭い道へ右左折して進入する場合などに運転者による運転を支援する。なお、運転支援システム1が支援する場面は、右左折に限定されず、車両が直進している場合(例えば、狭い道を直進している場合)などであってもよい。また、運転支援システム1は、車両の俯瞰視において、車両の進行方向を軸として車両の左右の両方を運転者が確認しながら走行する場合に、運転者による運転を支援する。また、運転支援システム1は、車両が前進している場合に、運転者による運転を支援する。以下では運転者に対して俯瞰画像を表示する(例えば、追加で表示する)ことで当該運転者を支援する例を説明するが、俯瞰画像は、車両が前進及び後進のうち前進している場合に表示されるものとする。
【0055】
図1に示すように、運転支援システム1は、運転支援装置10と、画像処理装置20と、カメラモジュール30と、第1制御装置40と、第2制御装置50と、第3制御装置60とを備える。運転支援システム1が備える各構成要素は車両に搭載されるが、少なくとも一部は車両外の装置であって当該車両と通信可能に接続される装置(例えば、サーバ装置)により実現されてもよい。
【0056】
また、車両は、例えば、運転者が運転する自動車等である。図示しないが、車両は、運転者からの操作を受け付けるボタン、タッチパネル等の操作部(例えば、
図2に示す操作部130)、ウインカー(方向指示器)レバー、速度センサ、GPS(Global Positioning System)センサ等の車両の走行に関わる各種センサ、ナビゲーションシステム、マップ情報等を記憶する記憶部等の少なくとも1つを備える。
【0057】
運転支援装置10は、機能情報取得部11aと、入力情報取得部11bと、車速情報取得部11cと、自己位置情報取得部11dと、ナビ経路情報取得部11eと、マップ情報取得部11fと、表示条件判断部12と、信号送信部13と、画像受信部14と、画像解析部15と、画像編集部16と、送信先判断部17と、画像送信部18とを備える。運転支援装置10の各機能構成は、例えば、1つのECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)(第1ECU)により実現される。
【0058】
機能情報取得部11aは、俯瞰画像を表示する表示機能に関する情報を取得する。機能情報取得部11aは、例えば、表示機能をオンするかオフするかに関する運転者の機能設定情報を取得する。機能情報取得部11aは、記憶部(図示しない)に記憶された機能設定情報を読み出してもよいし、運転者が操作部130を操作したことが検知された検知情報を機能設定情報として取得してもよいし、通信回路(通信モジュール)を含んで構成され、外部の装置からの通信により機能設定情報を取得してもよい。
【0059】
入力情報取得部11bは、車両の走行における運転者の操作に関する情報を取得し、例えば、車両の走行における右左折に対する運転者の操作を取得する。入力情報取得部11bは、例えば、運転者によりウインカーレバーが操作された場合、右左折のいずれに対する操作がなされたかを示す入力情報を取得する。入力情報は、例えば、車両がナビゲーションシステムによる経路情報を用いずに走行している場合、車両が次にどちら側に曲がるかを運転支援装置10が予測するために用いられる。入力情報取得部11bは、ウインカーレバーに対する操作を検知するセンサから入力情報を取得してもよい。
【0060】
車速情報取得部11cは、車両の車速に関する車速情報を取得する。車速情報取得部11cは、例えば、車速を検知する速度センサから車速情報を取得してもよい。車速は、例えば、現時点の車速である。
【0061】
自己位置情報取得部11dは、車両の現在位置に関する自己位置情報を取得する。自己位置情報取得部11dは、例えば、車両の現在位置を検知するセンサ(例えば、GPSセンサ)から車両の自己位置情報を取得してもよい。さらに、自己位置情報取得部11dは、現在位置及び地図情報等に基づいて、現在位置から交差点等の特定の位置までの距離を取得してもよい。
【0062】
ナビ経路情報取得部11eは、車両に搭載されたナビゲーションシステムにおいて設定されている車両の移動経路に関する情報を取得する。ナビ経路情報取得部11eは、例えば、現在位置から目的地までの移動経路を示す情報を取得する。ナビ経路情報取得部11eは、ナビゲーションシステムと通信可能に構成される。
【0063】
マップ情報取得部11fは、車両の周辺のマップ情報を取得する。マップ情報取得部11fは、例えば、記憶部に記憶されているマップ情報を読み出してもよいし、通信回路(通信モジュール)を含んで構成され、外部の装置から通信によりマップ情報を取得してもよい。
【0064】
マップ情報は、例えば、車両がナビゲーションシステムの経路案内機能を使用せずに走行している場合に用いられる。マップ情報は、車両の周辺の道路に関する情報を含み、例えば、車両が右左折して進入する道路の幅を取得するために用いられる。道路に関する情報には、道路幅を示す情報が含まれる。
【0065】
表示条件判断部12は、各種取得部が取得した情報の少なくとも1つに基づいて、車両において所定の条件が満たされているか否かを判断する。また、表示条件判断部12は、所定の開始条件又は所定の終了条件を満たすか否かに応じて、俯瞰画像の表示の開始及び終了を判断する。表示条件判断部12は、俯瞰画像の表示を行う表示条件を満たしているか否かを判断するとも言える。表示条件判断部12は、所定の開始条件(所定の条件)を満たす場合、俯瞰画像の表示を開始すると判断し、俯瞰画像の表示中に所定の終了条件を満たす場合、俯瞰画像の表示を終了すると判断する。表示条件判断部12は、判断部の一例である。
【0066】
所定の開始条件は、車両が右左折を行うことが判断可能な条件であり、例えば、車両の走行速度が任意の数値以下の状態で、かつ、ウインカーレバーが左右どちらかに入力されていることであってもよいし、ナビゲーションシステムにおいて右左折を経て道路幅が所定値以下の狭い道へ進入する経路案内となっている場合に、右左折直前の一定の領域(例えば、右左折する地点の10m手前の領域など)に走行速度が任意の数値以下(例えば、10km/h以下)の状態で車両が存在することであってもよい。走行速度が任意の数値以下とは、車両が減速していることを意味する。
【0067】
また、所定の開始条件は、車両がマップデータ上において所定値より狭い道路を走行中の状態であることであってもよく、例えば、車両がマップデータ上において所定値より狭い道路を走行中である場合、車両が道路の特定の地点へ所定速度以下の状態で進入することであってもよい。また、所定の開始条件は、マップデータ上において狭い道に繋がっている道を車両が走行中であり、走行中の道の特定の地点へ任意の走行速度以下で車両が進入することであってもよい。なお、マップデータには、ナビゲーションシステム上のマップデータやセンサを使って車載機器内で作成したマップデータなどが含まれる。特定の地点は、例えば、交差点、T字路、道幅が所定値以上狭くなる地点などである。
【0068】
また、所定の開始条件は、表示スイッチ(例えば、後述する操作部130)を運転者が押下することであってもよい。例えば、スイッチを2つ用意し、一方を押せば左後方を写す電子サイドミラー120L及び運転席正面のディスプレイ、もう一方を押せば右後方を写す電子サイドミラー120R及び運転席正面のディスプレイに、俯瞰画像を表示するとしてもよい。
【0069】
また、所定の開始条件は、運転者が専用スイッチ(例えば、後述する操作部130)を押下し続けていることであってもよい。例えば、スイッチを2つ用意し、一方を押し続けていれば左後方を写す電子サイドミラー120L及び運転席正面のディスプレイ、もう一方を押し続けていれば右後方を写す電子サイドミラー120R及び運転席正面のディスプレイに、俯瞰画像を表示するとしてもよい。
【0070】
また、所定の開始条件は、表示開始と紐づけられた特定のジェスチャが検知されることであってもよい。例えば、運転者によるウインクや指差しなどであってもよい。また、所定の開始条件は、音声入力によって運転者から表示開始が指示されることであってもよい。また、所定の開始条件は、インフラ設備から表示開始の指示を受けることであってもよい。インフラ設備としては、例えば、信号機、専用機器等が例示される。インフラ設備は、例えば、車両のウインカーの指示内容、車両の走行レーンなどの車両が右左折するか否かを判定するための情報を取得可能に構成される。
【0071】
所定の開始条件としては、上記の各条件が例示される。また、所定の終了条件としては、以下の各条件が例示される。
【0072】
所定の終了条件は、ウインカーレバーが元の位置に戻ったことが検知されることであってもよいし、車両が曲がった先の狭い道を一定距離以上走行することであってもよいし、走行中の道路の幅が所定値より広いと判定されることであってもよい。一定距離以上走行することは、前述のマップデータ上における自車両の位置から判断可能である。また、所定の終了条件は、表示停止用のスイッチが押下されることであってもよいし、専用スイッチの押下されることであってもよい。また、所定の終了条件は、表示終了と紐づけられた特定のジェスチャが検知されることであってもよい。例えば、運転者によるウインクや指差しなどがある。また、所定の終了条件は、音声入力によって運転者から表示終了が指示されることであってもよい。また、所定の終了条件は、インフラ設備から表示終了の指示を受けることであってもよい。
【0073】
信号送信部13は、画像処理装置20に対して俯瞰画像の生成の開始及び終了を示す信号を送信する。信号送信部13は、表示条件判断部12が俯瞰画像の表示を開始すると判断した場合、画像処理装置20に対して俯瞰画像の生成を開始することを示す開始信号を送信し、表示条件判断部12が俯瞰画像の表示を終了すると判断した場合、画像処理装置20に対して俯瞰画像の生成を終了することを示す終了信号を送信する。これにより、開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの期間、画像処理装置20に対して俯瞰画像を生成させることができる。
【0074】
画像受信部14は、画像処理装置20が生成した俯瞰画像を、画像送信部24から受信する。画像受信部14は、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。
【0075】
画像解析部15は、俯瞰画像の画像解析により、車両の走行の障害となる物体であって、運転者が視認必要な物体(又は危険領域)を検知し、当該物体(又は危険領域)の輪郭を抽出する。画像解析部15は、例えば、俯瞰画像に映っている障害物、側溝、縁石等の物体を検知し、検知された物体の輪郭を抽出する。
【0076】
画像編集部16は、画像解析部15により抽出された輪郭を強調する表示を俯瞰画像に追加する(例えば、重畳する)。画像編集部16は、例えば、輪郭を強調する線(後述する
図4に示す線L1、L2を参照)を俯瞰画像に追加してもよい。
【0077】
送信先判断部17は、運転席の正面側に配置されるディスプレイが複数ある場合、複数のディスプレイのうち俯瞰画像を送信する送信先となる1以上のディスプレイを判断する。例えば、ヘッドアップディスプレイ(表示部110)及びインストルメントクラスター(例えば、
図7に示す表示部110a又は
図8に示す表示部110b)の両方が車両に搭載されている場合、送信先判断部17は、運転者が事前に設定したリスト情報に基づいて、ヘッドアップディスプレイ及びはインストルメントクラスターのいずれか一方又は両方に俯瞰画像を送信すると判断する。なお、表示部110、110a及び110bは、第1表示装置の一例である。
【0078】
具体的には、送信先判断部17は、俯瞰画像を表示するディスプレイをリスト化したリスト情報に基づいて、ディスプレイを制御するための第1制御装置40、第2制御装置50、第3制御装置60等の複数の制御装置の中から俯瞰画像の送信先となる2以上の制御装置を判断する。2以上の制御装置には、電子サイドミラー120R及び120Lを制御する1以上の制御装置(例えば、第1制御装置40)と、運転者が前方を視認した場合に視界に入るディスプレイを制御する1以上の制御装置(例えば、表示部110を制御する第2制御装置50)とを含む。
【0079】
リスト情報は、運転者等により予め設定され、記憶部に記憶されている。リスト情報には、車両に搭載された複数のディスプレイのうちどのディスプレイに俯瞰画像を表示させるかを示す情報が含まれる。
【0080】
画像送信部18は、送信先判断部17により判断された2以上の送信先に、画像編集部16が編集した俯瞰画像を送信する。2以上の送信先に送信される俯瞰画像は、例えば、同一の画像である。画像送信部18は、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。
【0081】
画像処理装置20は、信号受信部21と、画像取得部22と、画像処理部23と、画像送信部24とを備える。画像処理装置20の各機能構成は、例えば、1つのECU(第2ECU)により実現される。第2ECUは、例えば、第1ECUとは別体のECUである。
【0082】
信号受信部21は、信号送信部13から送信された開始信号及び終了信号を受信する。信号受信部21は、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。
【0083】
画像取得部22は、カメラモジュール30と通信可能に接続され、カメラモジュール30から俯瞰画像を生成するための1以上のカメラ画像を取得する。カメラモジュール30から取得するカメラ画像は、例えば、車両の周辺を撮像した画像である。
【0084】
画像処理部23は、車両の状況が上記所定の開始条件を満たす場合、画像取得部22により取得された複数の画像から、車両を鉛直方向の上方から見下ろすように視点変換処理を行った俯瞰画像を生成する。画像処理部23は、生成部の一例である。
【0085】
画像送信部24は、画像処理部23により生成された俯瞰画像を運転支援装置10(画像受信部14)に送信する。画像送信部24は、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。
【0086】
カメラモジュール30は、俯瞰画像を生成可能な画像を撮像可能であり、車両の周囲を撮像可能な1以上のカメラを含む。カメラモジュール30は車両に搭載されているが、これに限定されず、例えば、車外に設置されていてもよい。
【0087】
複数の制御装置のそれぞれは、車両に搭載された複数のディスプレイを制御可能な制御装置である。複数の制御装置の機能構成は、例えば共通であり、以下では第1制御装置40を例に説明する。また、以下では、第2制御装置50の各構成要素を、第1制御装置40の各構成要素の符号を用いて説明する。
【0088】
第1制御装置40は、電子サイドミラー120R及び120Lの表示を制御する制御装置であり、画像受信部41と、描画部42と、ディスプレイ制御部43と有する。第1制御装置40の各機能構成は、例えば、1つのECU(第3ECU)により実現される。第3ECUは、第1ECU及び第2ECUとは別体のECUである。第1制御装置40は、第1制御部の一例である。
【0089】
なお、電子サイドミラー120Rは、車両の右後方を撮像した右後方画像を表示可能な表示部を有するサイドミラーであり、電子サイドミラー120Lは、車両の左後方を撮像した左後方画像を表示可能な表示部を有するサイドミラーである。また、以降において、電子サイドミラー120R及び120Lを区別せずに記載する場合、又は、両方を含む場合、電子サイドミラー120とも記載する。
【0090】
画像受信部41は、画像送信部18から送信された俯瞰画像を受信する。画像受信部41は、例えば、通信回路(通信モジュール)を含んで構成される。
【0091】
描画部42は、電子サイドミラー120R及び120Lに表示する画像を生成する。描画部42は、画像受信部41が俯瞰画像を受信すると、表示レイアウト情報に基づいて、俯瞰画像以外の表示物も含めて表示する画像を描画する。描画部42は、例えば、電子サイドミラー120Rが右後方画像及び俯瞰画像を一画面上に同時に表示するための表示画像を生成し、かつ、電子サイドミラー120Lが左後方画像及び俯瞰画像を一画面上に同時に表示するための表示画像を生成する。
【0092】
電子サイドミラー120Rが表示する画像の生成を例に説明すると、描画部42は、右後方画像上に俯瞰画像を重畳して表示させてもよいし、右後方画像を縮小し、空いた表示スペースに俯瞰画像を表示させてもよいし、右後方画像(例えば、元々表示されている表示物を含む画像)を非表示とし俯瞰画像のみを表示させてもよい。また、描画部42は、右後方画像上に俯瞰画像を重畳して表示させる場合、俯瞰画像の全体又は一部を半透明として重畳させてもよい。
【0093】
なお、表示レイアウト情報には、いずれの態様で俯瞰画像を表示させるか、及び、電子サイドミラー120Rにおける俯瞰画像の表示位置を示す情報が含まれる。表示レイアウト情報は、例えば予め運転者により設定され、記憶部に記憶されている。
【0094】
ディスプレイ制御部43は、描画部42が生成した表示画像を電子サイドミラー120R及び120Lに表示させるための制御信号を生成し、電子サイドミラー120R及び120Lに出力する。ディスプレイ制御部43は、電子サイドミラー120R及び120Lに表示画像を表示させる制御を実行する。
【0095】
第2制御装置50は、運転席の正面に配置されるディスプレイを制御する制御装置であり、本実施の形態では、ヘッドアップディスプレイの表示部110の表示を制御する。第2制御装置50は、第2制御部の一例である。
【0096】
なお、ヘッドアップディスプレイは、車両に関するあらゆる情報を、画像(例えば、数字、文字及び矢印などの図形を含む視覚情報)として当該車両を操作する運転者に対して視認させる表示装置である。ヘッドアップディスプレイは、例えば、車両のコックピットの前方に設置されるウインドシールド(フロントガラス)やコンバイナを表示媒体として、当該ウインドシールド等に画像を投影して反射させることによって、画像を虚像として運転者に視認させる。この際、ウインドシールドやコンバイナが透光性を有することにより、車両の外側から入射する光は、ウインドシールド越しに見える景色として虚像とともに運転者に視認される。表示部110は、例えば、フロントガラスの一部により実現される。
【0097】
第3制御装置60は、運転席の正面に配置されるディスプレイを制御する制御装置であり、例えば、インストルメントクラスターの表示を制御する制御装置である。
【0098】
操作部130は、俯瞰画像の表示機能のオン及びオフを切り替えるためのスイッチであり、例えば、ハンドル等に設けられる。操作部130は、例えば、専用のボタンであってもよい。また、操作部130が押されるごとに俯瞰画像の表示機能のオン及びオフが切り替えられてもよいし、操作部130が押されている期間のみ俯瞰画像の表示機能がオンされてもよい。
【0099】
なお、車両には、操作部130に替えて、又は、操作部130とともに、音声、ジェスチャ等により俯瞰画像の表示機能のオン及びオフを切り替えるため装置(例えば、集音装置又は撮像装置)が設けられてもよい。
【0100】
なお、上記では、操作部130により俯瞰画像の表示機能のオン及びオフが切り替えられる例について説明したがこれに限定されず、例えば、常時俯瞰画像の表示機能をオンにする設定があってもよい。運転者が俯瞰画像を常時表示するように事前に設定することで、右左折する際に運転者が操作部130を操作する必要がなくなるので、右左折における安全性を向上させることができる。なお、この場合における所定の開始条件は、常時俯瞰画像の表示機能をオンにする設定になっていることである。
【0101】
次に、上記のように構成される運転支援システム1の運転支援内容について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
図2は、車両100の左折時における、本実施の形態に係る運転支援システム1の運転支援内容を説明するための図である。例えば、
図2は、所定値(所定幅)より狭い道路210への左折進入を行う場合の各ディスプレイの表示内容を示す。
図2の(a)~(c)は、左折時のイメージ図を示す。
図2の(a)は、車両100の前方に表示される画像を示す図であり、
図2の(b)は、車両100の左側の電子サイドミラー120Lに表示される画像を示す図であり、
図2の(c)は、車両100の右側の電子サイドミラー120Rに表示される画像を示す図である。
【0102】
図2の状況において、運転者が右前方に視線を向けている場合、塀220Rを視認できるが車両100の左側の塀(
図4に示す塀220L)への注意がおろそかになりやすい。また、運転者が右前方に視線を向けている場合であっても、運転者が車両100の運転に慣れていない場合、塀220Rとの距離感を掴みにくいことがある。
【0103】
また、
図2の状況において、運転者が左側方の確認のため電子サイドミラー120Lに視線を向けている場合、電子サイドミラー120L越しに塀220Lを視認できるが右側の塀220Rへの注意がおろそかになりやすい。
【0104】
また、車両100が右折する場合にも同様の課題が発生し得る。
図3は、車両100の右折時における、本実施の形態に係る運転支援システム1の運転支援内容を説明するための図である。例えば、
図3は、所定値より狭い道路210への右折進入を行う場合の各ディスプレイの表示内容を示す。
図3の(a)~(c)は、右折時のイメージ図を示す。具体的には、
図3の(a)は、車両100の前方に表示される画像を示す図であり、
図3の(b)は、車両100の左側の電子サイドミラー120Lに表示される画像を示す図であり、
図3の(c)は、車両100の右側の電子サイドミラー120Rに表示される画像を示す図である。
【0105】
図3の状況において、運転者が左前方に視線を向けている場合、建物221Lを視認できるが車両100の右側の塀220Rへの注意がおろそかになりやすい。また、運転者が左前方に視線を向けている場合であっても、運転者が車両100の運転に慣れていない場合、建物221Lとの距離感を掴みにくいことがある。
【0106】
また、
図3の状況において、運転者が右側方の確認のため電子サイドミラー120Rに視線を向けている場合、電子サイドミラー120R越しに塀220Rを視認できるが左前方の建物221Lへの注意がおろそかになりやすい。
【0107】
このように、例えば、車両100が狭い道に左折進入及び右折進入する場合、上記の1つ目及び2つ目の課題が発生し得る。なお、上記の1つ目及び2つ目の課題は、車両100が狭い道を直進する場合等にも発生し得る。
【0108】
そこで、運転支援システム1は、
図2の(a)~(c)に示すように、車両100の俯瞰画像P1を表示部110、電子サイドミラー120R及び120Lのそれぞれに表示させる。これにより、運転支援システム1は、運転者が車両100の前方を注視している際と、側方の障害物を警戒するために電子サイドミラー120Lを注視している際のいずれにおいても、運転者の視界中に俯瞰画像P1を表示することができる。俯瞰画像P1は、例えば、車両100と、塀、側溝などとの距離を把握しやすい画像であり、かつ、車両100の周囲の状況を1つの画像で把握させることが可能な画像である。よって、運転者は、車両100の前方及び側方へ適切な配分で意識を配りつつ、障害物や側溝との距離などの車両100の周辺状況を容易に確認することが可能となる。これは、障害物への衝突や脱輪が発生することを抑制することにつながる。
【0109】
なお、表示部110、電子サイドミラー120R及び120Lのそれぞれに表示される俯瞰画像P1は同一の画像(例えば、
図4に示す画像)である。
【0110】
運転支援システム1は、車両100の俯瞰画像P1を、電子サイドミラー120R及び120L、並びに、運転席正面に設置されている表示部110に同時に表示させる。運転支援システム1は、右左折のどちらであるかに応じて俯瞰画像P1の表示位置を異ならせてもよい。描画部42は、右左折のそれぞれで、表示部110における俯瞰画像P1の表示位置を異ならせる。描画部42は、例えば、車両が所定値より狭い道路210に右折又は左折で進入する場合、表示部110に表示される俯瞰画像P1の表示位置を、車両が右折するか左折するかに応じて異ならせてもよい。
【0111】
この場合、表示レイアウト情報は、右左折のそれぞれに対して設定される。そして、描画部42は、車両100が左折する場合、左折時の表示レイアウト情報に基づいて俯瞰画像P1の表示位置を決定し、車両100が右折する場合、右折時の表示レイアウト情報に基づいて俯瞰画像の表示位置を決定する。
【0112】
図2の(a)に示すように、第2制御装置50は、左折時には表示部110の右側の領域に俯瞰画像P1を表示させ、例えば、表示部110の右端に俯瞰画像P1を表示させてもよい。これにより、左折時に運転者が前方の障害物や側溝に視線を向けている間、俯瞰画像P1が運転者の視界に入りやすくなる。なお、左折時に表示部110に表示される俯瞰画像P1を含む画像は、第2画像の一例である。
【0113】
図3の(a)に示すように、第2制御装置50は、右折時には表示部110の左側の領域に俯瞰画像P2を表示させ、例えば、表示部110の左端に俯瞰画像P2を表示させてもよい。これにより、右折時に運転者が前方の障害物や側溝に視線を向けている間、俯瞰画像P2が運転者の視界に入りやすくなる。なお、右折時に表示部110に表示される俯瞰画像P2を含む画像は、第2画像の一例である。
【0114】
このような第2画像は、例えば、所定の開始条件を満たす場合、生成された俯瞰画像P1を含む第2画像を表示させる第2制御情報が、第2制御装置50のディスプレイ制御部43から表示部110に出力されることで表示される。
【0115】
また、運転支援システム1は、電子サイドミラー120R及び120Lへの俯瞰画像の表示を、運転者による後方確認の妨げにならない態様で表示させる。描画部42は、例えば、表示レイアウト情報に基づいて、電子サイドミラー120R及び120Lの表示領域のうち車体側の領域に表示させてもよい。車体側の領域とは、電子サイドミラー120R及び120Lの正面視において、表示領域の半分より車体側(内側)の領域であってもよく、さらには表示領域の1/3より車体側(内側)の領域であってもよい。
【0116】
描画部42は、例えば、
図2の(b)及び(c)並びに
図3の(b)及び(c)に示すように、表示領域の半分より車体側であって、かつ、表示領域の上部(例えば、上部隅)の領域に俯瞰画像を表示させてもよい。表示領域の上部の領域に表示とは、表示領域の上部の領域及び下部の領域のうち、上部の領域に俯瞰画像の面積の半分以上が表示されていることを意味する。電子サイドミラー120R及び120Lに表示される俯瞰画像P1を含む画像は、第1画像の一例である。
【0117】
このような第1画像は、例えば、所定の開始条件を満たす場合、生成された俯瞰画像P1を含む第1画像を表示させる第1制御情報が、第1制御装置40のディスプレイ制御部43から電子サイドミラー120R及び120Lに出力されることで表示される。
【0118】
ここで俯瞰画像P1について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、左折時における車両100の俯瞰画像P1を示す図である。俯瞰画像P1が表示されることで、例えば、背が低い障害物や側溝などであっても、画像で確認を行うことができる。
【0119】
画像編集部16は、俯瞰画像P1中の障害物や側溝の輪郭を検知し、色をつけて強調表示させてもよい。画像編集部16は、障害物や側溝と車両100との距離に応じて色をグラデーション的に変化させてもよく、例えば、車両100に近いほど濃い赤で表示し、車両100から遠いほど薄い赤で輪郭を表示してもよい。例えば、画像編集部16は、障害物(又は側溝)との衝突又は脱輪リスクの高い部分は濃い赤とし、リスクが高い部分から離れるにつれて薄い赤へと色を変化させてもよい。側溝は、脱輪リスクがある部分の一例である。また、画像編集部16は、生成部の一部として機能する。
【0120】
図4では、線L1は塀220Rの輪郭を示しており、車両100との距離が近いほど濃い線としている。また、線L2は塀220Lの輪郭を示しており、車両100との距離が近いほど濃い線としている。
【0121】
[2.運転支援システムの動作]
続いて、上記のように構成される運転支援システム1の動作について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係る運転支援システム1の動作(運転支援方法)を示すシーケンス図である。
【0122】
図5に示すように、運転支援装置10は、俯瞰画像の表示条件(例えば、所定の開始条件)を満たすと判定する(S10)と、画像処理装置20に俯瞰画像を生成するための指示を信号送信部13を介して送信し、画像処理装置20は当該指示を信号受信部21を介して受信する(S20)。
【0123】
次に、画像処理装置20の画像取得部22は、カメラモジュール30から俯瞰画像を生成するためのカメラ画像を取得する(S30)。画像取得部22は、俯瞰画像の表示条件を満たすと判定された時点及びそれ以降に撮像されたカメラ画像を取得する。カメラ画像には、車両の周囲の障害物、側溝等が含まれ得る。画像取得部22は、例えば、所定の時間間隔ごとにカメラ画像を取得する。
【0124】
次に、画像処理装置20の画像処理部23は、画像取得部22により取得されたカメラ画像に基づいて、車両100を含む車両100の周辺の俯瞰画像を生成する(S40)。画像処理部23は、例えば、所定の時間間隔ごとに俯瞰画像を生成する。
【0125】
次に、画像処理装置20は、生成された俯瞰画像を画像送信部24を介して運転支援装置10に送信し、運転支援装置10は、画像処理装置20からの俯瞰画像を画像受信部14を介して受信する(S50)。運転支援装置10は、俯瞰画像に対して解析及び編集を実行してもよい。
【0126】
次に、運転支援装置10の送信先判断部17は、運転者が事前に設定した情報に基づいて、俯瞰画像の送信先のディスプレイを判断する(S60)。送信先判断部17は、例えば、当該情報を記憶部等から読み出し、読み出した情報が示すディスプレイを俯瞰画像の送信先のディスプレイであると判断する。
図5の例では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の表示部110が俯瞰画像の送信先のディスプレイであると判定された場合のシーケンス図を示す。なお、電子サイドミラー120には、必ず俯瞰画像が送信される。
【0127】
なお、ステップS60の処理は、車両100の運転席の正面に複数のディスプレイが配置される場合に実行される。
【0128】
次に、運転支援装置10の画像送信部18は、判断された送信先のディスプレイのそれぞれに俯瞰画像を送信する(S70、S80)。画像送信部18は、例えば、判断された送信先のディスプレイのそれぞれに共通の俯瞰画像を送信する。これにより、表示部110及び電子サイドミラー120のそれぞれにおいて、同一の俯瞰画像を表示させることができる。
【0129】
次に、第1制御装置40の描画部42は、画像受信部41が俯瞰画像を受信する(S70)と、表示物を描画する(S90)。描画部42は、例えば、もともと表示部110に表示させる表示物(第3画像)に俯瞰画像を重畳等することで表示部110に表示させる表示画像を生成してもよい。描画部42は、俯瞰画像を半透明状態(例えば、透過率50%等)とし、表示物に重畳させてもよい。また、描画部42は、表示部110に表示させる予定の第3画像の表示を停止し、俯瞰画像のみを表示させてもよい。また、描画部42は、表示部110に表示させる予定の第3画像の表示レイアウトを変更し、表示レイアウトが変更されたに第3画像及び俯瞰画像を同時に表示させてもよい。第3画像及び俯瞰画像を同時に表示するための画像は、第2画像の一例である。
【0130】
なお、第3画像は、俯瞰画像ではない画像であり、また所定の開始条件を満たすか否かに関わらず表示される画像である。第3画像は、車両の走行を支援するための画像であってもよく、例えば、経路案内、車両状態等を示す画像であってもよい。
【0131】
なお、俯瞰画像を表示物に重畳させるか否か、第3画像の表示レイアウトを変更させるか否か等は、運転者により予め設定されていてもよい。この場合、描画部42は、運転者により予め設定された情報を読み出し、読み出した情報に基づいて、俯瞰画像を表示物に重畳させるか否か、第3画像の表示レイアウトを変更させるか否か等のいずれを実行するかを判断してもよい。
【0132】
次に、ディスプレイ制御部43は、描画部42が生成した表示画像を表示するための制御情報を表示部110に出力し、表示部110は、当該制御情報を取得する(S100)。
【0133】
次に、表示部110は、ディスプレイ制御部43から取得した制御情報に基づいて表示画像を表示する(S110)。
【0134】
また、第2制御装置50の描画部42は、画像受信部41が俯瞰画像を受信する(S80)と、表示物を描画する(S120)。第2制御装置50の描画部42は、例えば、もともと電子サイドミラー120に表示させる表示物(画像)に俯瞰画像を重畳等することで電子サイドミラー120に表示させる表示画像を生成してもよい。第2制御装置50の描画部42は、俯瞰画像を半透明状態(例えば、透過率50%等)とし、表示物に重畳させてもよい。なお、第2制御装置50の描画部42は、第1制御装置40の描画部42が実行する他の方法により俯瞰画像を表示させてもよい。
【0135】
次に、第2制御装置50のディスプレイ制御部43は、描画部42が生成した表示画像を表示するための制御情報を電子サイドミラー120に出力し、電子サイドミラー120は、当該制御情報を取得する(S130)。
【0136】
次に、電子サイドミラー120は、第2制御装置50のディスプレイ制御部43から取得した制御情報に基づいて表示画像を表示する(S140)。ステップS140において、電子サイドミラー120R及び120Lのそれぞれが俯瞰画像を含む表示画像を表示してもよいし、車両100の進行方向に応じた一方の電子サイドミラー120のみが俯瞰画像を含む表示画像を表示してもよい。
【0137】
なお、ステップS70、ステップS90~S110の処理と、ステップS80、ステップS120~S140の処理とは、平行して実行される。例えば、ステップS110及びS140は、同時に実行される。例えば、表示部110の表示画像における俯瞰画像の表示期間と、電子サイドミラー120における俯瞰画像の表示期間とは、少なくとも一部が重なる。これにより、運転者が前方側を確認しているときであっても、側方を確認しているときであっても、運転者に俯瞰画像を視認させることが可能である。
【0138】
次に、運転支援装置10の動作について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係る運転支援装置10の動作(運転支援方法)を示すフローチャートである。
【0139】
図6に示すように、運転支援装置10の表示条件判断部12は、各取得部が取得した情報に基づいて、現在の車両100が俯瞰画像の表示条件を満たしているか否かを判定する(S210)。表示条件判断部12は、上記で説明した条件のいずれかを満たす場合、俯瞰画像の表示条件を満たすと判定する。なお、俯瞰画像の表示条件は、所定の条件(所定の開始条件)の一例である。ステップS210でYesと判定されることは、
図5に示すステップS10に対応する。
【0140】
次に、運転支援装置10の信号送信部13は、表示条件判断部12により車両100の状況が俯瞰画像の表示条件を満たしていると判定する(S210でyes)と、画像処理装置20に対して俯瞰画像の生成の指示を送信する(S220)。ステップS220は、
図5に示すステップS20に対応する。これにより、画像処理装置20により俯瞰画像が生成される。
【0141】
次に、運転支援装置10の画像受信部14は、画像処理装置20から俯瞰画像を取得する(S230)。ステップS230は、
図5に示すステップS50に対応する。
【0142】
次に、運転支援装置10の送信先判断部17は、運転者により予め設定された情報に基づいて、画像送信先のディスプレイを判断する(S240)。ステップS240は、
図5に示すステップS60に対応する。
【0143】
次に、運転支援装置10の画像送信部18は、第1制御装置40及び第2制御装置50のそれぞれに俯瞰画像を出力する(S250)。ステップS250は、
図5に示すステップS70及びS80に対応する。
【0144】
次に、運転支援装置10は、運転停止するか否かを判定する(S260)。運転支援装置10は、例えば、自車両が目的地に到着した場合、又は、運転者から運転を停止する操作を受け付けた場合、運転停止すると判定してもよい。運転支援装置10は、運転停止すると判定した場合(S260でyes)、俯瞰画像を表示するための処理を終了し、運転停止しないと判定した場合(S260でno)、ステップS210に戻り処理を継続する。
【0145】
また、運転支援装置10の表示条件判断部12は、車両100の状況が俯瞰画像の表示条件を満たしていないと判定する(S210でno)と、さらに現在が俯瞰画像を表示中か否かを判定する(S270)。表示条件判断部12は、例えば、ステップS210でnoと判定される前の直近のステップS210の判定結果に基づいてステップS270の判定を行ってもよい。
【0146】
運転支援装置10は、現在が俯瞰画像を表示中であると表示条件判断部12が判定する(S270でyes)と、俯瞰画像を非表示とする処理を実行する(S280)。例えば、運転支援装置10の信号送信部13は、俯瞰画像の生成の終了を示す信号を画像処理装置20に送信する。画像処理部23は、当該信号を信号受信部21を介して取得すると、俯瞰画像を生成する処理を停止する。
【0147】
また、運転支援装置10は、現在が俯瞰画像を表示中ではないと表示条件判断部12が判定する(S270でno)と、ステップS210に戻り処理を継続する。
【0148】
(実施の形態の変形例1)
以下では、運転支援システムの支援対象である車両の別の例について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、実施の形態と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0149】
図7は、本変形例に係る車両の内部構成の一例を示す図である。
図7では、運転席の正面に配置されるインストルメントクラスターが表示部110aである例について説明する。
【0150】
図7に示すように、車両には、メータ等の機器の周辺に表示部110a(
図7の例では、マルチインフォメーションディスプレイ)が搭載されている。第2制御装置50は、例えば、表示部110aに表示される画像を制御する。第2制御装置50は、俯瞰画像の表示条件を満たしている場合、表示部110aに車両の俯瞰画像を含む第2画像を表示させる。
【0151】
なお、マルチインフォメーションディスプレイは、インストルメントパネル内に備えられる表示システムのことである。
【0152】
また、ヘッドアップディスプレイ及びインストルメントクラスターの両方が車両に搭載されている場合、運転者は、どちらに俯瞰画像を表示するかを設定可能であってもよい。そして、第2制御装置50は、当該設定を読み出し、読み出した設定が示すディスプレイに俯瞰画像を含む画像を表示させてもよい。
【0153】
図8は、本変形例に係る車両の内部構成の他の一例を示す図である。
【0154】
図8に示すように、表示部110bは、インストルメントパネルの横方向における中央付近に配置されていてもよい。第2制御装置50は、インストルメントパネルの横方向における中央付近に配置された表示部110bに俯瞰画像を含む画像を表示させてもよい。
【0155】
(実施の形態の変形例2)
以下では、本変形例に係る運転支援システムについて、
図9を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、実施の形態と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0156】
図9は、本変形例に係る運転支援システム1aの機能構成を示すブロック図である。
【0157】
図9に示すように、本変形例に係る運転支援システム1aは、運転支援装置10aと、カメラモジュール30と、第1制御装置40と、第2制御装置50と、第3制御装置60とを備える。運転支援システム1aは、実施の形態に係る運転支援システム1の運転支援装置10及び画像処理装置20に替えて、運転支援装置10aを備える。
【0158】
運転支援装置10aは、運転支援装置10及び画像処理装置20の両方の機能を有する。具体的には、運転支援装置10aは、機能情報取得部11aと、入力情報取得部11bと、車速情報取得部11cと、自己位置情報取得部11dと、ナビ経路情報取得部11eと、マップ情報取得部11fと、表示条件判断部12と、信号送信部13と、画像受信部14と、画像解析部15と、画像編集部16と、送信先判断部17と、画像送信部18と、画像取得部22aと、画像処理部23aとを備える。画像取得部22aは画像取得部22と同様の機能を有し、画像処理部23aは画像処理部23と同様の機能を有する。運転支援装置10aの各機能構成は、例えば、1つのECUにより実現される。
【0159】
なお、当該1つのECUは、さらに各制御装置の機能を実現可能であってもよい。例えば、当該1つのECUは、さらに、第1制御装置40、第2制御装置50及び第3制御装置60の少なくとも1つ(例えば、全て)の機能を実行可能であってもよい。
【0160】
(その他の実施の形態)
以上、一つ又は複数の態様に係る運転支援システム等について、実施の形態等に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態等に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示に含まれてもよい。
【0161】
例えば、上記実施の形態等では、右左折のそれぞれにおいて電子サイドミラー120R及び120Lのそれぞれに俯瞰画像が表示される例について説明したが、これに限定されない。電子サイドミラー120R及び120Lのうち車両が曲がる方向に応じた電子サイドミラー120R又は120Lのみに俯瞰画像が表示されてもよい。例えば、車両100が左折する場合、電子サイドミラー120R及び120Lのうち電子サイドミラー120Lのみに俯瞰画像が表示され、車両100が右折する場合、電子サイドミラー120R及び120Lのうち電子サイドミラー120Rのみに俯瞰画像が表示されてもよい。
【0162】
また、上記実施の形態等における車両100の周囲画像から俯瞰画像を生成する方法は、既知のいかなる方法が用いられてもよい。
【0163】
また、上記実施の形態等では、運転席の正面に配置されるディスプレイとして表示部110等を例示したが、これらに限定されず、例えば、運転席の正面に固定されたスマートフォンなどのディスプレイが運転席の正面に配置されるディスプレイとして用いられてもよい。
【0164】
また、上記実施の形態等では、描画部42は、表示レイアウト情報に基づいて俯瞰画像の表示位置を決定する例について説明したが、運転者を撮像した画像等に基づいて検知された運転者の視線に基づいて俯瞰画像の表示位置を決定してもよい。描画部42は、例えば、運転者の視線の方向と表示部110とが交差する点を含む領域に、俯瞰画像を表示させてもよい。
【0165】
また、近年、自動運転などの先進機能を利用者へ提供するため、従来複数のECUに分かれて搭載されていた機能を1つのECUへ統合する動きがある。ECUの統合において、1つのECUに複数の仮想的なコンピュータを動作させるために仮想化技術が利用されている。その仮想的なコンピュータは仮想マシンと呼ばれ、複数の仮想マシンを動作させる仮想化基盤となるソフトウェアはハイパーバイザと呼ばれる。本開示では、複数の仮想マシンは、運転支援装置10、10aが実行する機能を実行可能な運転支援アプリを動作させるオペレーティングシステムである仮想マシン、画像処理装置20が実行する機能を実行可能な画像処理アプリを動作させるオペレーティングシステムである仮想マシン、及び、各種制御装置が実行する機能を実行可能な制御アプリを動作させるオペレーティングシステムである仮想マシン等を含む。本開示における情報の出力、送信とは、ハイパーバイザ上で動作する一のアプリから他のアプリに情報が受け渡されること(例えば、1つのチップ内で情報が受け渡されること)を含む。
【0166】
また、上記実施の形態等において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0167】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が他のステップと同時(並列)に実行されてもよいし、上記ステップの一部は実行されなくてもよい。
【0168】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0169】
また、上記実施の形態等に係る運転支援装置、画像処理装置、各種制御装置等の情報処理装置のそれぞれは、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置により実現されてもよい。当該情報処理装置が複数の装置によって実現される場合、当該情報処理装置が有する各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。情報処理装置が複数の装置で実現される場合、当該複数の装置間の通信方法は、特に限定されず、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。また、装置間では、無線通信及び有線通信が組み合わされてもよい。
【0170】
また、上記実施の形態等で説明した各構成要素は、ソフトウェアとして実現されても良いし、典型的には、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路(専用のプログラムを実行する汎用回路)又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)又は、LSI内部の回路セルの接続若しくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。
【0171】
システムLSIは、複数の処理部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0172】
また、本開示の一態様は、
図5及び
図6のいずれかに示される運転支援方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。
【0173】
また、例えば、プログラムは、コンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布又は流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本開示は、運転者による車両の運転を支援する支援システム等に有用である。
【符号の説明】
【0175】
1、1a 運転支援システム
10、10a 運転支援装置
11a 機能情報取得部
11b 入力情報取得部
11c 車速情報取得部
11d 自己位置情報取得部
11e ナビ経路情報取得部
11f マップ情報取得部
12 表示条件判断部(判断部)
13 信号送信部
14、41 画像受信部
15 画像解析部
16 画像編集部(生成部)
17 送信先判断部
18、24 画像送信部
20 画像処理装置
21 信号受信部
22、22a 画像取得部
23、23a 画像処理部(生成部)
30 カメラモジュール
40 第1制御装置(第1制御部)
42 描画部
43 ディスプレイ制御部
50 第2制御装置(第2制御部)
60 第3制御装置
100 車両
110、110a、110b 表示部(第1表示装置)
120L、120R 電子サイドミラー
130 操作部
210 道路
220L、220R 塀
221L 建物
L1、L2 線
P1、P2 俯瞰画像