(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140856
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】農業用ロボット
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20241003BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241003BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
G05D1/02 N
A01M7/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052202
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】518377562
【氏名又は名称】株式会社レグミン
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西村 祥彦
(72)【発明者】
【氏名】本多 充
(72)【発明者】
【氏名】成勢 卓裕
(72)【発明者】
【氏名】丸山 寛智
【テーマコード(参考)】
2B043
2B121
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB01
2B043AB11
2B043BA09
2B043BB08
2B043EA32
2B043EB04
2B043EB08
2B043EB16
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043EC15
2B121CB02
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2B121CB42
2B121CB47
2B121CB61
2B121CC02
2B121CC03
2B121CC31
2B121DA62
2B121DA63
2B121EA12
2B121FA04
2B121FA11
2B121FA14
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE07
5H301EE13
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301HH10
5H301HH19
(57)【要約】
【課題】施設内において対象領域外で好適に自律移動を行うことができる農業用ロボットを提供する。
【解決手段】農業用ロボット1は、移動可能な機体6と、機体6に設けられ、対象領域105の外周を非接触で検出する検出部(ライダー31)と、ライダー31にて検出された外周の方向を特定する方向特定部42aと、方向特定部42aにて特定された外周の方向と、機体6の方向との関係に基づいて、対象領域105外における機体6の移動動作を制御する制御部41と、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な機体と、
前記機体に設けられ、対象領域の外周を非接触で検出する検出部と、
前記検出部にて検出された前記外周の方向を特定する方向特定部と、
前記方向特定部にて特定された前記外周の方向と、前記機体の方向との関係に基づいて、前記対象領域外における当該機体の移動動作を制御する制御部と、
を備える農業用ロボット。
【請求項2】
前記対象領域は、平面視で外形が多角形であり、
前記制御部は、前記方向特定部にて特定された前記外周の方向を示す延長線と前記機体の前後方向を示す前後線との交点と、前記機体の旋回基準点との位置関係に基づいて、前記機体の移動動作を制御する請求項1に記載の農業用ロボット。
【請求項3】
前記制御部は、前記延長線と前記前後線としての前記機体の横幅中央に位置する中央線との交点と、前記旋回基準点としての前記機体の中心点との位置関係に基づいて、前記機体の移動動作を制御する請求項2に記載の農業用ロボット。
【請求項4】
前記機体は、鉛直軸に対して、ピボットターン又はスピンターン可能な構成であり、
前記制御部は、前記延長線と前記前後線としての前記機体の横幅で旋回内側に位置する旋回内側の前後線との交点と、前記旋回基準点としての前記機体の前記旋回内側の前後線上の旋回の中心点との位置関係に基づいて、前記機体の移動動作を制御する請求項2に記載の農業用ロボット。
【請求項5】
前記制御部は、前記交点が前記旋回基準点よりも前にある場合、前記機体の直進移動の制御を維持し、前記交点が前記旋回基準点よりも前にない場合、前記機体の前記対象領域のコーナ部に沿う旋回移動の制御を行う第1制御処理を実行する請求項2~4の何れか1項に記載の農業用ロボット。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出部にて検出された前記外周の所定方向と前記機体の前後方向とがなす角度が閾値未満であれば、前記外周と平行に前記機体を直進移動させる制御を維持し、前記角度が前記閾値以上であると、前記第1制御処理を実行する請求項5に記載の農業用ロボット。
【請求項7】
前記外周は、波板状の壁部材、連続した円柱又は円柱台が配置されることによって凹凸を有する波形である場合、前記制御部は、前記検出部にて検出された前記波形の外周を、この波形のうちの複数の凸値で構成される外周、複数の凹値で構成される外周、又は、複数の凹凸間の所定値で構成される外周に変換し、変換された外周の方向を示す延長線と前記機体の前記前後線との交点と、前記旋回基準点との位置関係に基づいて、前記機体の移動動作を制御する請求項2~4の何れか1項に記載の農業用ロボット。
【請求項8】
前記機体は、作業装置を備え、
前記制御部は、前記機体を直進移動させる場合に前記作業装置による作業を実行させ、前記機体を前記対象領域のコーナ部に沿う旋回移動させる場合に前記作業装置による作業を実行させない請求項6に記載の農業用ロボット。
【請求項9】
2つの前記対象領域が前記機体の進行方向に間隔を空けて並んでおり、
前記制御部は、前記2つの対象領域を示す2つの前記外周が前記機体の進行方向に前記間隔を空けて並んでいることが前記検出部にて検出された場合、前記間隔が規定間隔以下であれば、前記外周と平行に前記機体を直進移動させる制御を維持し、前記間隔が前記規定間隔を超えていれば、前記第1制御処理を実行する請求項6に記載の農業用ロボット。
【請求項10】
前記機体は、作業装置を備え、
前記制御部は、前記対象領域に対して前記機体を直進移動させる場合に前記作業装置による作業を実行させ、前記2つの対象領域のうちの一方から他方への前記機体の移動中の場合及び前記機体を前記対象領域のコーナ部に沿う旋回移動させる場合に前記作業装置による作業を実行させない請求項9に記載の農業用ロボット。
【請求項11】
前記作業装置は、散布装置、播種装置、移植装置、施肥装置、灌水装置、植物情報収集装置(撮影装置)、害虫防除装置、雑草防除装置、搬送装置、収穫装置、摘心装置、摘果装置、授粉装置、剪定装置、及び、間引き装置の何れかであり、前記対象領域に向けた側方作業を行う請求項8に記載の農業用ロボット。
【請求項12】
前記検出部は、前記外周を検出し、且つ、当該外周までの距離を検出し、
前記制御部は、前記検出部にて検出された距離が設定距離となるように当該機体の移動を制御する請求項5に記載の農業用ロボット。
【請求項13】
前記検出部は、2次元又は3次元のLiDAR(ライダー)である請求項12に記載の農業用ロボット。
【請求項14】
前記対象領域は、畝である請求項1~4の何れか1項に記載の農業用ロボット。
【請求項15】
前記対象領域の端部又は前記端部に設けられた囲い壁は、平面視で半八角形である請求項13に記載の農業用ロボット。
【請求項16】
前記対象領域の端部又は前記端部に設けられた囲い壁は、平面視で半八角形以外の半多角形である請求項13に記載の農業用ロボット。
【請求項17】
前記対象領域の端部又は前記端部に設けられた囲い壁は、第1の光反射特性の第1領域と、前記第1領域よりも光散乱性が高い第2の光反射特性の第2領域と、を備え、
前記検出部は、前記第2領域を非接触で検出する請求項15に記載の農業用ロボット。
【請求項18】
前記機体は、走行可能であり、
前記制御部は、前記方向特定部にて特定された前記外周の方向と、前記機体の方向との関係に基づいて、前記対象領域外で当該機体の走行動作を制御する請求項1に記載の農業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、GNSS(全世界測位システム)を用いて自律走行を行う農用作業車が記載されている。特許文献2には、経路上に設置された複数の磁気マーカを辿って走行する自律走行車が記載されている。特許文献3には、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を用いて自律走行する掃除機が記載されている。SLAMとは、移動体の自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-92818号公報
【特許文献2】特許第6342781号公報
【特許文献3】特開2022-83504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ハウスなどの施設内においてGNSSによる衛星測位信号を好適に受信できないことがあり、施設内の畝などの対象領域に沿わせるなどの自律走行ができない場合がある。特許文献2では、壁面などの物体近傍を走行する必要がある場合、走行時に機体が物体に接触しないようにマーカの設置位置を調整することに手間がかかること、マーカずれに起因する意図しない走行軌跡の変化が生じることがある。特許文献3では、自己位置推定と環境地図作成の同時実行を行うため、処理負担が増大し、高コスト化するという問題がある。
【0005】
本発明は、施設内において対象領域外で好適に自律移動を行うことができる農業用ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
農業用ロボットは、移動可能な機体と、前記機体に設けられ、対象領域の外周を非接触で検出する検出部と、前記検出部にて検出された前記外周の方向を特定する方向特定部と、前記方向特定部にて特定された前記外周の方向と、前記機体の方向との関係に基づいて、前記対象領域外における当該機体の移動動作を制御する制御部と、を備える。
【0007】
前記対象領域は、平面視で外形が多角形であり、前記制御部は、前記方向特定部にて特定された前記外周の方向を示す延長線と前記機体の前後方向を示す前後線との交点と、前記機体の旋回基準点との位置関係に基づいて、前記機体の移動動作を制御してもよい。
【0008】
前記制御部は、前記延長線と前記前後線としての前記機体の横幅中央に位置する中央線との交点と、前記旋回基準点としての前記機体の中心点との位置関係に基づいて、前記機体の移動動作を制御してもよい。
【0009】
前記機体は、鉛直軸に対して、ピボットターン又はスピンターン可能な構成であり、前記制御部は、前記延長線と前記前後線としての前記機体の横幅で旋回内側に位置する旋回内側の前後線との交点と、前記旋回基準点としての前記機体の前記旋回内側の前後線上の旋回の中心点との位置関係に基づいて、前記機体の移動動作を制御してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記交点が前記旋回基準点よりも前にある場合、前記機体の直進移動の制御を維持し、前記交点が前記旋回基準点よりも前にない場合、前記機体の前記対象領域のコーナ部に沿う旋回移動の制御を行う第1制御処理を実行してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記検出部にて検出された前記外周の所定方向と前記機体の前後方向とがなす角度が閾値未満であれば、前記外周と平行に前記機体を直進移動させる制御を維持し、前記角度が前記閾値以上であると、前記第1制御処理を実行してもよい。
【0012】
前記外周は、波板状の壁部材、連続した円柱又は円柱台が配置されることによって凹凸を有する波形である場合、前記制御部は、前記検出部にて検出された前記波形の外周を、この波形のうちの複数の凸値で構成される外周、複数の凹値で構成される外周、又は、複数の凹凸間の所定値で構成される外周に変換し、変換された外周の方向を示す延長線と前記機体の前記前後線との交点と、前記旋回基準点との位置関係に基づいて、前記機体の移動動作を制御してもよい。
【0013】
前記機体は、作業装置を備え、前記制御部は、前記機体を直進移動させる場合に前記作業装置による作業を実行させ、前記機体を前記対象領域のコーナ部に沿う旋回移動させる場合に前記作業装置による作業を実行させないとしてもよい。
【0014】
2つの前記対象領域が前記機体の進行方向に間隔を空けて並んでおり、前記制御部は、前記2つの対象領域を示す2つの前記外周が前記機体の進行方向に前記間隔を空けて並んでいることが前記検出部にて検出された場合、前記間隔が規定間隔以下であれば、前記外周と平行に前記機体を直進移動させる制御を維持し、前記間隔が前記規定間隔を超えていれば、前記第1制御処理を実行してもよい。
【0015】
前記機体は、作業装置を備え、前記制御部は、前記対象領域に対して前記機体を直進移動させる場合に前記作業装置による作業を実行させ、前記2つの対象領域のうちの一方から他方への前記機体の移動中の場合及び前記機体を前記対象領域のコーナ部に沿う旋回移動させる場合に前記作業装置による作業を実行させないとしてもよい。
【0016】
前記作業装置は、散布装置、播種装置、移植装置、施肥装置、灌水装置、植物情報収集装置(撮影装置)、害虫防除装置、雑草防除装置、搬送装置、収穫装置、摘心装置、摘果装置、授粉装置、剪定装置、及び、間引き装置の何れかであり、前記対象領域に向けた側方作業を行うものであってもよい。
【0017】
前記検出部は、前記外周を検出し、且つ、当該外周までの距離を検出し、前記制御部は、前記検出部にて検出された距離が設定距離となるように当該機体の移動を制御してもよい。
【0018】
前記検出部は、2次元又は3次元のLiDAR(ライダー)であってもよい。
【0019】
前記対象領域は、畝であってもよい。
【0020】
前記対象領域の端部又は前記端部に設けられた囲い壁は、平面視で半八角形であるとしてもよい。
【0021】
前記対象領域の端部又は前記端部に設けられた囲い壁は、平面視で半八角形以外の半多角形であるとしてもよい。
【0022】
前記対象領域の端部又は前記端部に設けられた囲い壁は、第1の光反射特性の第1領域と、前記第1領域よりも光散乱性が高い第2の光反射特性の第2領域と、を備え、前記検出部は、前記第2領域を非接触で検出してもよい。
【0023】
前記機体は、走行可能であり、前記制御部は、前記方向特定部にて特定された前記外周の方向と、前記機体の方向との関係に基づいて、前記対象領域外で当該機体の走行動作を制御してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、施設内において対象領域外で好適に自律移動を行うことができる農業用ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2A】施設園芸の施設の内部の概略平面図である。
【
図3】施設内の対象領域(栽培場所)を示す概略斜視図である。
【
図4A】農業用ロボットの制御装置などの構成を示すブロック図である。
【
図5A】農業用ロボットを施設で運行させたルートの一例を示す図である。
【
図5B】農業用ロボットを施設で運行させたルートの一例を示す図である。
【
図6】農業用ロボットのメイン運行処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】右旋回処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】左Uターン処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】施設内の対象領域(栽培場所)の長手方向端部の囲い壁を示す概略斜視図である。
【
図10】囲い壁の平面図、右側面図、正面図、及び左側面図である。
【
図11】外周検出処理による農業用ロボットの旋回運行の一例を示す図である。
【
図12】外周検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第3実施形態の移動制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】外周検出処理による農業用ロボットの旋回運行の一例を示す図である。
【
図15】第1変形例の場合の対象領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1A~
図1Cは、農業用ロボット1の右側面図、正面図及び平面図である。
図2Aは、施設園芸の施設の内部の概略平面図である。
図2Bは、施設園芸の施設の概略正面図である。農業用ロボット1は、例えば
図2A、
図2Bに示すような施設園芸の施設100、植物工場等の施設において、栽培される作物2に対して、作業(農作業)を行うロボットである。農業用ロボット1は、例えば、野菜、果実、観葉植物等の作物2に対して、散布液(薬液、肥料など)の散布作業を行うことができる。作物2は、例えば、トマト、ピーマンなどの野菜、イチゴ、スイカなどの果実、観葉植物等であるが、例示した野菜及び果実以外の作物であってもよい。
【0028】
図2A、
図2Bに示すように、施設100は、その外形を構成する構造物としてのハウス101と、ハウス101の内部に設置された機器102とを備えている。ハウス101は、例えば、プラスチックハウス、ガラスハウスなどである。ハウス101は、
図2Aに示すように平面視で長尺状形状(例えば、横方向X1に比べて縦方向Y1が十分に長い形状)となっており、
図2Bに示すように正面視でかまぼこ形状(半月形に盛り上がった形状)となっている。ハウス101の形状は、これに限定されず、平面視で正方形であってもよいし、正面視で五角形であってもよい。
【0029】
図2Aに示すように、ハウス101内には、平面視で長尺状の栽培場所である対象領域105が、横方向X1に複数列(ここでは3列)互いに間隔を空けて形成されている。
図3は、施設内の対象領域(栽培場所)を示す概略斜視図である。対象領域105は、
図2B、
図3に示すように、ハウス101内の地面103から通常の畝高さよりも高い高畝となっている。なお、対象領域105は、通常の畝高さであってもよい。また、対象領域105は、野菜、苗又は種などを植えたポット(栽培用、育苗用などのポット)の列であってもよい。なお、対象領域105は、栽培場所に限定されない。対象領域105は、例えば、水耕用のプール、荷物置き場など、農業用ロボット1の動作対象となる領域であればどのようなものであってもよい。対象領域105は、農業用ロボット1の格納庫、ハウスと格納庫を結ぶ通路などを含んでもよい。また、対象領域105は、位置情報に基づく仮想の領域(いわゆるジオフェンス;GEOFENCE)も含んでもよい。この仮想の領域と後述するマーカとの組み合わせによることで、当該仮想の領域を辿るなどの運行が可能である。
【0030】
図3に示すように、対象領域105は、その外周(側周)が波板状の壁部材107A、107Bによって囲われている。例えば、壁部材107Aが、対象領域105の長手辺(縦方向Y1に延びる辺)の位置に設置されている。壁部材107Bが、対象領域105の短手辺(横方向X1に延びる辺)の位置に設置されている。対象領域105の外周(側周)を囲う波板状の壁部材107A、107Bによって、対象領域105の壁面107が形成されている。壁部材107A、107Bは、縦パイプ104A及び横パイプ104Bによって強固に固定されている。
【0031】
ハウス101は、フレーム110と、被覆材111とを含んでいる。フレーム110は、例えば、I形鋼、H形鋼、C形鋼、角形鋼、丸形鋼等の様々な鋼材を組み合わせて、施設100の躯体を構成していて、複数の支柱部材110Aと、複数の連結部材110Bとを含んでいる。
図2A、
図2Bに示すように、複数の支柱部材110Aは、地面等から起立した部材であって、横方向X1に所定の間隔で設置され且つ縦方向Y1に所定の間隔で設置されている。
【0032】
連結部材110Bは、横方向X1に離れた複数の支柱部材110Aの上端を互いに連結する。また、連結部材110Bは、縦方向Y1に離れた複数の支柱部材110Aを互いに連結する。
【0033】
被覆材111は、少なくとも太陽光を取り入れ可能な透光性を有する部材であって、合成樹脂、ガラス等で構成されている。被覆材111は、例えば、フレーム110の外側から当該フレーム110の全体を覆っている。言い換えれば、被覆材111は、支柱部材110Aの外側、連結部材110Bの外側に配置されている。
【0034】
機器102は、作物2を栽培する際に使用する様々な機器であって、ハウス101内の温度、湿度、空気流動等を調整することができる機器である。詳しくは、機器102は、換気扇102A、循環扇102B、熱交換装置102C等である。
図2A、
図2Bに示すように、換気扇102Aは、ハウス101の出入口130側に設置され、ハウス101内の空気を外部に排出したり、外部の空気をハウス101内に取り入れたりする。
【0035】
循環扇102Bは、ハウス101内に設置されていて、ハウス101内の空気を所定の方向に循環させる。熱交換装置102Cはハウス101の温度を変更可能な装置であり、例えば、ヒートポンプ構成されている。上述した機器102は、一例であり、灌水機器、照明機器、噴霧機器などであってもよいし限定されない。
【0036】
農業用ロボット1は、自律的に運行(例えば走行又は飛行など)可能な自律運行型のロボットである。つまり、農業用ロボット1は、地上を走行するものでもよく、飛行するものでもよい。ここでは、農業用ロボット1は、地上を走行するロボットを例に挙げて説明する。また、運行の一部又は全部が自律されているものであれば、作業員が乗車するものでも構わない。また、農業用ロボット1は、
図2A、
図2Bに示す施設100内において、対象領域105(栽培場所)に栽培された作物2に対して様々な農作業、例えば、作物2の農薬散布、肥料散布、収穫、灌水、植付、剪定、農作物の画像取得、雑草防除、病害虫の検出、運搬、牽引、摘心、摘果、授粉、及び、間引きなどの農作業を行う。ここでは、農業用ロボット1が、
図1A~
図1Cに示すように、散布液(薬液、肥料など)の散布作業を行うロボットである場合を例に挙げて説明する。
【0037】
以下、農業用ロボット1について詳しく説明する。
図1A、
図1Cにおいて、矢印A1で示す方向が前方、矢印A2で示す方向が後方、矢印A3で示す方向が前後方向であるとして説明する。このため、
図1Bにおいて、矢印B1で示す方向(
図1Aの紙面の奥側)が左方であり、矢印B2で示す方向(
図1Aの紙面の手前側)が右方である。また、矢印A3(前後方向)に直交する水平方向は、機体幅方向(
図1B、
図1Cの矢印B3で示す方向)である。
【0038】
図1A~
図1Cに示すように、農業用ロボット1は、例えば自律運行型のロボットであり、移動可能な移動体3と、移動体3及び後述する散布装置4(作業装置)を制御する制御部41とを備えている。
【0039】
移動体3は、
図1A~
図1Cに示すように、機体6と、機体6を運行(例えば走行)可能に支持する運行装置(走行装置)7とを備えている。
【0040】
機体6は、平板状の台板6Aと、台板6A上に立設されたメインフレーム6Bと、散布液タンクTとを備えている。メインフレーム6Bは、台板6Aの四隅にそれぞれ立設された縦フレーム6B1と、矢印A3(前後方向)に離れて位置する2つの縦フレーム6B1同士を連結する前後連結フレーム6B2と、機体幅方向(矢印B3で示す方向)に離れて位置する2つの縦フレーム6B1同士を連結する左右連結フレーム6B3と、を備えている。台板6A上には、散布液タンクTが載置される載置台部6A1が設けられている。
図1Cに示すように、散布液タンクTは、前後連結フレーム6B2と左右連結フレーム6B3とで囲われ、且つ、台板6A上の載置台部6A1に載置された状態で機体6に取り付けられている。
【0041】
運行装置7は、クローラ型の運行装置である。運行装置7は、左側のクローラ駆動装置7Lと、右側のクローラ駆動装置7Rと、1つの後輪8Bとを備えている。左側のクローラ駆動装置7Lは、クローラベルト8Cと、駆動輪8Laと、従動輪8Lbとを備える。右側のクローラ駆動装置7Rは、クローラベルト8Cと、駆動輪8Raと、従動輪8Rbとを備える。1つの後輪8Bは、従動輪であり、機体6の下面側の後部で且つ機体幅方向の中央に配置されている。
【0042】
運行装置7は、左右のクローラ駆動装置7L、7Rを支持する支持体9を備えている。具体的には、支持体9は、機体6の下部に設けられ、左右の駆動輪8La、8Raと左右の従動輪8Lb、8Rbとをそれぞれ回動可能に支持するように構成されている。
【0043】
図4Aは、農業用ロボットの制御装置などの構成を示すブロック図である。
図1A、
図4Aに示すように、支持体9は、左側の駆動輪8Laを駆動する駆動モータM1と、右側の駆動輪8Raを駆動する駆動モータM1とが装着されている。左側の駆動モータM1は、左側の駆動輪8Laの機体幅方向(矢印B3)の内方に配置され、支持体9に取り付けられている。これと同様に、右側の駆動モータM1は、右側の駆動輪8Raの機体幅方向(矢印B3)の内方に配置され、支持体9に取り付けられている。
【0044】
駆動モータM1は、電動モータ(例えば、サーボモータ、ステッピングモータ、ブラシレスDCモータなど)であり、入力された駆動信号(パルス信号)に従って回転する。例えば、入力されたパルス信号の数に応じた角度だけ回転することができる。つまり、パルス信号の数で回転角度(回転角度=パルス信号の数×基準ステップ角(1パルスで動かせる角度))が制御される。左側及び右側の駆動モータM1は、制御部41からの駆動信号(パルス信号)によって個別に駆動され、正転と逆転とが可能である。正転用のパルス信号又は逆転用のパルス信号が駆動モータM1に入力され、駆動モータM1を正転又は逆転させることにより、各駆動輪8La、8Raの回転を正転方向と逆転方向とに切り換えることができる。
【0045】
農業用ロボット1は、前進、後進、旋回(鉛直軸に対して、ピボットターン、スピンターン、通常ターン)、停止などが可能である。具体的には、運行装置7は、制御部41からの駆動信号(パルス信号)に基づいて左側及び右側の駆動モータM1が制御されることで、左側の駆動輪8La及び右側の駆動輪8Raが駆動制御されることによって、移動体3を操向することができる。
【0046】
例えば、制御部41が同数の正転用のパルス信号を左側及び右側の駆動モータM1に出力することで、左側の駆動輪8La及び右側の駆動輪8Raが同じ速度で正転し、農業用ロボット1(移動体3)が前進する。また、制御部41が同数の逆転用のパルス信号が左側及び右側の駆動モータM1に出力することで、左側の駆動輪8La及び右側の駆動輪8Raが同じ速度で逆転し、農業用ロボット1(移動体3)が後進する。
【0047】
運行装置7は、クローラ型の運行装置であるため、各種の旋回運行(例えば旋回走行)が可能である。各種の旋回運行としては、通常ターン(通常旋回)、ピボットターン(信地旋回)、及びスピンターン(超信地旋回)があり、この順に、旋回半径が小さくなっている。例えば、スピンターン(超信地旋回)では、農業用ロボット1がその場で回転するため、旋回半径が最小である。
【0048】
制御部41は、第1数の正転用のパルス信号を左側の駆動モータM1に出力し、左側の駆動輪8Laを正転させると共に、第1数よりも多い第2数の正転用のパルス信号を右側の駆動モータM1に出力する。これにより、右側の駆動輪8Raが左側よりも多く正転し、農業用ロボット1(移動体3)をその場で左側にターンさせることができる。また、制御部41は、第2数の正転用のパルス信号を左側の駆動モータM1に出力し、左側の駆動輪8Laを正転させると共に、第1数の正転用のパルス信号を右側の駆動モータM1に出力する。これにより、左側の駆動輪8Laが右側よりも多く正転し、農業用ロボット1(移動体3)をその場で右側にターンさせることができる。
【0049】
制御部41は、左側の駆動モータM1にパルス信号を出力せず、左側の駆動輪8Laを停止させると共に、正転用のパルス信号を右側の駆動モータM1に出力する。これにより、右側の駆動輪8Raが正転し、農業用ロボット1(移動体3)をその場で左側にピボットターン(信地旋回)させることができる。また、制御部41は、右側の駆動モータM1にパルス信号を出力せず、右側の駆動輪8Raを停止させると共に、正転用のパルス信号を左側の駆動モータM1に出力する。これにより、左側の駆動輪8Laが正転し、農業用ロボット1(移動体3)をその場で右側にピボットターン(信地旋回)させることができる。
【0050】
制御部41は、逆転用のパルス信号を左側の駆動モータM1に出力すると共に、正転用のパルス信号を右側の駆動モータM1に出力する。これにより、左側の駆動輪8Laが逆転すると共に、右側の駆動輪8Raが正転し、農業用ロボット1(移動体3)をその場で左側にスピンターン(超信地旋回)させることができる。また、制御部41は、正転用のパルス信号を左側の駆動モータM1に出力すると共に、逆転用のパルス信号を右側の駆動モータM1に出力する。これにより、左側の駆動輪8Laが正転すると共に、右側の駆動輪8Raが逆転し、農業用ロボット1(移動体3)をその場で右側にスピンターン(超信地旋回)させることができる。
【0051】
図1A~
図1C、
図4Aに示すように、農業用ロボット1は、移動体3に装着された作業装置としての散布装置4を備えている。散布装置4は、対象領域105(栽培場所)に対して散布液を散布するための装置である。
【0052】
散布装置4は、散布液タンクT、電動ポンプP1、少なくとも1個以上のノズル10、及び、配管11を備えている。散布液タンクTは、散布液を貯留する容器である。電動ポンプP1は、散布液タンクTに貯留されている散布液を吐出するためのポンプである。本実施形態では、ノズル10は、複数(例えば4個)設けられている。ノズル10は、制御部41により、散布液を吐出する開状態と吐出しない閉状態との切り換え、散布量(噴霧圧)、噴霧角度が制御される。配管11は、散布液タンクTと電動ポンプP1と各ノズル10とを接続し、散布液を通すための散布液用チューブである。配管11は、柔軟性を有するチューブとしてもよい。
【0053】
図1A~
図1Cに示すように、機体6の後部には、支柱12が設けられている。
図1A、
図1Bに示すように、4個のノズル10は、支柱12の高さ方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、
図1B、
図1Cに示すように、4個のノズル10は、その吐出方向D1を機体幅方向の右方に向けた状態で支柱12に取り付けられている。散布装置4は、4個のノズル10を備えているので、作物2の背丈に応じて散布液を吐出することもできる。例えば、作物2が、支柱12の下から2番目のノズル10までの高さであれば、制御部41は、後述する撮像部21による撮像画像に基づいて作物2の高さを画像解析処理により判定し、1番目及び2番目のノズル10を適宜に開閉制御する。このため、1番目及び2番目のノズル10は、対象領域105の作物2に散布液を散布し、下から3番目及び4番目のノズル10は閉状態を維持して散布しない。また、制御部41は、4個のノズル10の全てを開閉制御してもよいし、作物2の高さ以下の複数のノズル10のうちで任意の1個又は複数個のノズル10を開閉制御してもよい。
【0054】
図4Aに示すように、農業用ロボット1は、散布液タンクT内の散布液の残量を検出する残量検出部35を備えている。残量検出部35は、例えばフロート式、静電容量式、又は超音波式の液面計(レベルセンサ)であり、散布液タンクTに設けられている。このため、残量検出部35は、散布装置4が散布する散布液の残量を検出することができる。
【0055】
なお、散布液タンクTは、複数種類の散布液を分けて貯留する複数の貯留部を有するものであってもよい。この場合には、複数の貯留部と対応するノズル10とが配管11によって接続され、制御部41の制御により、複数種類の散布液のうちで指示された散布液を散布することも可能である。
【0056】
図2Aに示すように、対象領域105(栽培場所)は平面視で矩形状であり、一対の長手辺(縦方向Y1に延びる辺)と、一対の短手辺(横方向X1に延びる辺)とを有している。
図3に示すように、対象領域105には、識別部材(マーカK)が配置されている。例えば、旋回動作を示す場合には、対象領域105の少なくとも一部又は全部のコーナ部(例えば角部又は丸角部)には、マーカKが配置されている。コーナ部は、複数の面の合わさる所であり、例えば角部又は丸角部が含まれる。つまり、コーナ部としては、角が尖っている角部であってもよい。また、コーナ部としては、角が尖っていない丸角部であってもよい。即ち、単一の面が湾曲している場合もあり、角は必ずしも尖っていなくてもよい。マーカKは、第1識別部材(マーカK1)と第2識別部材(マーカK2)とを含む。マーカK1は、対象領域105のコーナ部であることを示す。マーカK1には、例えば「1」などの数字が表示されている。また、対象領域105の一対の短手辺には、マーカK1とは異なる第2識別部材(マーカK2)が配置されている。このマーカK2には、例えば「2」などの数字が表示されている。マーカK2は、対象領域105の短手辺の横方向X1の中央箇所に配置されている。
【0057】
図1A~
図1C、
図4Aに示すように、農業用ロボット1は、対象領域105に配置されたマーカKを認識する認識部20を備えている。認識部20は、複数個(例えば3個)の撮像部21を備えている。撮像部21は、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)イメージセンサを搭載したCCDカメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサを搭載したCMOSカメラ、赤外線カメラなどの撮像装置である。この実施形態では、撮像部21は、例えばCCDカメラであり、機体6の左側、前側、及び右側の箇所にそれぞれ配置されている。このため、3個の撮像部21について、適宜に、左側の撮像部(左カメラ)21L、前側の撮像部(前カメラ)21M、右側の撮像部(右カメラ)21Rと呼ぶことがある。3個の撮像部21は、対象領域105のマーカKの高さ位置と同じ又は同程度の位置となるように、機体6のメインフレーム6Bに取り付けてもよい。
【0058】
認識部20は、機体6の後部に位置する散布装置4の支柱12よりも前側に配置されている。
図1Cに示すように、右側の撮像部21Rは、支柱12から第1配置距離F1だけ離れている。左側の撮像部21Lは、支柱12から第2配置距離F2だけ離れている。前側の撮像部21Mは、支柱12から第3配置距離F3だけ離れている。なお、各配置距離の大小関係は、第1配置距離F1<第2配置距離F2<第3配置距離F3である。なお、右側の撮像部21R及び左側の撮像部21Lは、支柱12から同じ配置距離だけ離れているとしてもよい。例えば、右側の撮像部21R及び左側の撮像部21Lは共に、第1配置距離F1又は第2配置距離F2としてもよい。
【0059】
なお、機体6は、撮像部21L、21M、21Rの直上の箇所に庇部材24を設けてもよい。この場合には、撮像部21L、21M、21Rが散布液によって濡れることを防止することができる。
【0060】
また、3個の撮像部21は、移動体3の周囲を撮影可能であって、移動体3の周囲の情報を撮影によって取得する。例えば、3個の撮像部21は、作物2を撮像することによって、例えば、作物2の大きさ、形、色、模様、傷などの品質情報、生育情報を取得することができる。
【0061】
認識部20は、画像認識部22を備えている。画像認識部22は、撮像部21にて撮像された撮像画像を画像解析することにより、当該撮像画像に含まれるマーカKを認識する。画像認識部22は、例えば、CPUなどのプロセッサと、ROM、RAMなどの記憶部とを備えた画像処理チップである。記憶部には、画像解析用プログラムとデータなどが記憶されている。このプロセッサが、記憶部に記憶された画像解析用プログラムを実行することにより、撮像画像を画像解析する画像認識部22として機能する。例えば、画像認識部22は、撮像画像と、予め記憶部に記憶された複数種類の判定用識別画像とのパターンマッチング処理を実行することにより、撮像画像中に判定用識別画像と一致する画像が含まれるか否かを判定する。画像認識部22は、一致する場合に、撮像画像にマーカKが含まれると判定し、マーカKを認識する。一方、画像認識部22は、撮像画像中に判定用識別画像と一致する画像が含まれない場合には、撮像画像にマーカKが含まれないと判定する。なお、制御部41が画像認識部22を備えるとしてもよい。
【0062】
なお、識別部材(マーカK)、第1識別部材(マーカK1)及び第2識別部材(マーカK2)は、数字以外の文字、記号、それらの組み合わせであってもよい。また、各識別部材は、一次元コード、マトリックス型二次元コード、バイナリの正方形の基準マーカ、AR(拡張現実)マーカなどであってもよい。
【0063】
また、識別部材、第1識別部材及び第2識別部材は、近距離無線通信用の対応チップ、発信機(ビーコン)などであってもよい。この場合には、認識部20は、近距離無線通信用モジュールと情報処理ユニット(例えばマイクロコンピュータなど)とを備える。認識部20は、識別部材、第1識別部材及び第2識別部材からのデータを受信又は双方向通信により取得し、識別部材、第1識別部材及び第2識別部材を認識する。
【0064】
図1A~
図1C、
図4Aに示すように、農業用ロボット1は、対象領域105(栽培場所)の外周を非接触で検出する検出部30を備えている。検出部30は、例えば、対象領域105の外周との距離情報を取得する距離情報取得部である。
図1A、
図1Bに示すように、検出部30は、機体6の前面で機体幅方向の中央箇所に設けられている。検出部30は、例えばレーザセンサ、即ち、ライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging)31である。ライダー31(レーザセンサ)は、1秒間に何百万回ものパルス状の赤外線等を照射し、跳ね返って戻ってくるまでの時間を測定することで、移動体3の周辺の2次元(つまり2D)マップを構築する2次元のライダーである。ライダー31は、その開口角が例えば270°であり、例えば開口中心を基準に左側及び右側にそれぞれ135°までを検出範囲とするものである。ライダー31の開口角は、これに限定されるものではなく、180°以上あれば問題ない。なお、ライダー31(レーザセンサ)は、移動体3の周辺の3次元(つまり3D)マップを構築する3次元のライダーであってもよい。また、検出部30は、ステレオカメラ、TOF(Time of Flight)カメラ、測距センサ(ソナーなど)、レーダー、RFID(Radio Frequency Identification)などであってもよい。
【0065】
検出部30は、
図3に示すように、対象領域105の外周(側周)に位置する壁面107を非接触で検出する。また、対象領域105の側周に壁部材107A、107Bを有さず、対象領域105の側周に複数のパイプを連続的又は離散的に立設している場合、又は、ポット(栽培用、育苗用などのポット)が配置されていたりする場合、作物が連続して特定の方向を形成している場合、フィルム農法などの栽培装置である場合がある。この場合には、検出部30は、対象領域105の外周(側周)に位置する複数のパイプを含む形状の壁面(凹凸のある壁面)、ポットを含む形状の壁面(凸のある壁面)、作物が特定の方向に並ぶことで形成される作物自体の壁面(凹凸のある面)又はフィルム壁面などを非接触で検出する。
【0066】
また、2次元のライダー31は、制御盤40の下方に位置する状態で機体6に配置されている。このため、2次元のライダー31は、制御盤40の下方において、水平方向にスキャンを行うことができ、更に、散布装置4からの散布液による濡れを防止することができる。したがって、2次元のライダー31を囲うための庇など別途用意する必要がない。なお、ライダー31を制御盤40の下方以外に配置する場合、ライダー31は、その直上に庇などを設けてもよい。
【0067】
図4Aに示すように、農業用ロボット1は、制御部41を備えている。
図1A、
図1Bに示すように、機体6の前面側に制御盤40が取り付けられている。制御盤40は、前面側に開閉扉を有する箱型の筐体40Aと、筐体40Aに収容された制御部41とを備えている。制御部41は、農業用ロボット1の動作を統括制御する。
図4Aに示すように、制御部41には、認識部20、検出部30、残量検出部35、駆動モータM1、電動ポンプP1、及び複数のノズル10が接続されている。制御部41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ41aと、ROM(Read-Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの記憶部41bと、各種の制御信号及び駆動信号の入出力ポート41cと、電源装置からの電源入力ポート41dなどが制御回路基板上に実装されて構成されている。記憶部41bには、農業用ロボット1の動作を統括制御するプログラムとデータなどが記憶されている。このプロセッサ41aが、記憶部41bに記憶されたプログラムを実行することにより、農業用ロボット1の制御部41として機能する。
【0068】
制御部41は、運行制御部42を備えている。制御部41の記憶部41bには、農業用ロボット1の運行動作を制御するための運行制御プログラムとデータなどが記憶されている。制御部41のプロセッサ41aが、記憶部41bに記憶された運行制御プログラムを実行することにより、農業用ロボット1の運行制御部42として機能する。
【0069】
運行制御部42(制御部41)は、運行装置7を制御する。即ち、運行制御部42は、左側及び右側の駆動モータM1をそれぞれ制御する。運行制御部42は、左側及び右側の駆動モータM1にパルス信号をそれぞれ出力して、左側及び右側の駆動モータM1をパルス信号に応じた角度だけ回転させることによって、運行装置7(機体6)の操舵方向の変更を行う。運行制御部42は、駆動モータM1にパルス信号を出力して、駆動モータM1の回転数又は回転方向を変更することにより、運行装置7(機体6)の速度の変更、運行装置7(機体6)の進行方向の変更を行う。
【0070】
図5Aは、農業用ロボットを施設で運行(走行)させたルートの一例を示す図である。農業用ロボット1は、
図5Aに示すように、運行制御部42の制御により、施設100において自律運行することができる。例えば、農業用ロボット1は、スタート位置STから各種矢印で示すルートを経てゴール位置GLに自律運行することが可能である。
【0071】
制御部41は、認識部20にて識別部材(例えばマーカK)を認識した回数又はパターンに基づいて、機体6を対象領域105に対して動作させる。ここで言う動作は、機体6の移動及び作業の少なくとも一方を含む。なお、マーカKを認識した回数又はパターンを動作制御の開始条件の1つとして利用することに限定されず、マーカKの認識に加えてカメラ等の別の要素を判断条件に加えてもよい。
【0072】
具体的には、制御部41は、マーカKを認識した回数又はパターンに基づいて、機体6の移動及び散布装置4の作業の少なくとも一方を含む動作内容を決定し、決定結果が示す動作内容で機体6を動作させる。また、マーカKを認識したパターンには、マーカKを認識した順序を示すパターンが含まれる。
【0073】
機体6の移動には、機体6の移動速度、機体6を対象領域105に沿わせる運行動作が含まれる。機体6の作業には、散布装置4の作業動作が含まれる。散布装置4の作業動作としては、散布液の散布量(噴霧圧)、散布液の種類(噴霧薬液の種類)、噴霧位置、噴霧角度、動作させるノズル10の数などのうちの少なくとも1つ以上が含まれるとしてもよい。
【0074】
図4Bは、データテーブルの一例を示す図である。例えば、記憶部41bは、
図4Bに示すように、マーカの種類と上記の動作内容とを対応付けたデータテーブルTB1を記憶している。データテーブルTB1は、マーカの種類を示すマーカK1と、散布動作の有無、散布液の散布量(噴霧圧)、散布液の種類(噴霧薬液の種類)、噴霧位置、噴霧角度及び移動速度の各内容E11~E15とを対応付けたデータを予め記憶している。データテーブルTB1の記憶内容は、ユーザによる入力操作、データ受信などにより、適宜に変更可能である。
【0075】
また、マーカKと環境情報と上記の動作内容とが組み合わされたデータテーブルTB2であってもよい。環境情報としては、作物2の生育状況、外気温などの生育に関する管理情報が含まれる。例えば、記憶部41bは、
図4Bに示すように、マーカの種類と環境情報と上記の動作内容とを対応付けたデータテーブルTB2を記憶してもよい。例えば、制御部41は、第1環境情報(作物2の生育状況が第1生育状況)であれば、データテーブルTB2のうちでマーカK1と第1環境情報とが対応した動作内容を使用する。また、制御部41は、第1環境情報とは異なる第2環境情報(作物2の生育状況が第1生育状況とは異なる第2生育状況)であれば、データテーブルTB2のうちでマーカK1と第2環境情報とが対応した動作内容を使用してもよい。なお、
図4BのデータテーブルTB2では、マーカK1と第2環境情報とが対応した動作内容が、第1環境情報の場合と全て異なっているが、第1環境情報の場合の少なくとも一部が異なる動作内容としてもよい。
【0076】
まず、マーカKの認識回数に基づく機体6の動作制御について説明する。
【0077】
<マーカKの認識回数に基づく対象領域105のコーナ部での旋回運行>
制御部41は、認識部20にてマーカKが認識された場合に、対象領域105におけるマーカKの認識回数が所定範囲内(例えば1~3回のいずれか)であるか否かを判別し、判別結果に基づき、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行う。制御部41は、マーカKの認識回数が所定範囲内(1~3回)であるという判別結果であれば、機体6を対象領域105のコーナ部にて90°旋回させる。
【0078】
具体的には、制御部41は、撮像画像に基づいて機体6とマーカKとの位置を判定し、認識回数と当該位置の判定との両方に基づいて、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行う。例えば、制御部41は、第1識別部材(例えばマーカK1)の認識回数が所定範囲内であり、且つ、撮像画像に基づいてマーカK1が機体6の後方に位置すると判定した場合に、機体6の対象領域105のコーナ部に沿う旋回運行の制御を行う。例えば、右側の撮像部21RにてマーカK1が認識されて、機体6を右旋回させる場合に、
図1Cに示す第1配置距離F1だけ機体6を直進させてから右旋回を行うことが好ましい。これによれば、対象領域105のコーナ部にて好適に右旋回することができ、対象領域105の長手方向の端部まで好適に散布装置4による散布を行うことができる。
【0079】
そして、制御部41は、撮像画像に基づいて対象領域105の短手辺の第2識別部材(例えばマーカK2)が機体6の前方に位置すると判定した場合に、機体6の対象領域105の短手辺に沿う直進運行の制御を行う。
【0080】
<マーカKの認識回数に基づく方向転換移動(Uターン運行)>
制御部41は、認識部20にてマーカKが認識された場合に、認識回数が、所定範囲外の規定回数(例えば4回)に到達しているか否かを判別し、当該判別結果に基づき、機体6を目的の対象領域に向かわせる方向転換移動の制御を行う。制御部41は、認識回数が規定回数(例えば4回)に到達しているとの判別結果であれば、対象領域105に対して間隔を空けて並設され、且つ、規定回数(4回)のマーカKに最も近い次の対象領域105に、機体6を向かわせるUターン運行の制御を行う。
【0081】
ここでは、方向転換移動は、Uターンとしているが、切り返しターン(Kターン)又は1つ飛ばしターンであってもよい。例えば、切り返しターンは、機体6を切り返して最も近い次の対象領域105に向かわせる方向転換移動である。1つ飛ばしターンは、最も近い次の対象領域105を飛ばして当該対象領域105から2番目に近い対象領域105に機体6を向かわせる方向転換移動である。
【0082】
例えば、1つ飛ばしターンの場合には、制御部41は、マーカK2が2回検出されたら右旋回するとすることにより、実現することが可能である。具体的には、例えば1本目の対象領域105の短手辺の右旋回のときにマーカK2が1回認識され、直進を継続して2本目の対象領域105の短手辺のマーカK2が認識(つまり、2回目の認識)されると、右旋回するとしてもよい。
【0083】
また、制御部41は、認識部20にてマーカKが認識された場合に、認識回数が、規定回数としての第1規定回数、第2規定回数及び第3規定回数の何れかに到達しているか否かを判別し、当該判別結果に基づき、機体6をUターン、切り返しターン及び1つ飛ばしターンの何れかの制御を行うとしてもよい。このように、第1規定回数であればUターン、第2規定回数であれば切り返しターン、第3規定回数であれば1つ飛ばしターンがされる。この場合には、機体6をUターン、切り返しターン及び1つ飛ばしターンという各種の方向転換移動を的確に実行することができる。また、これ以外の動作制御の内容であってもよい。例えば、周囲の通路から任意の対象領域(1つ飛ばしでなく)に向かわせる移動、バック(前後や左右に作業機がついている場合は旋回しない又はできない場合があるため)、真横への移動(オムニホイールなど)、又は、対象領域105上を飛び越えての移動(ドローンなどである場合)などであってもよい。
【0084】
次に、マーカKを認識した順序を示すパターンに基づく機体6の動作制御について説明する。
【0085】
<マーカKの認識したパターンに基づく対象領域105のコーナ部での旋回運行>
制御部41は、認識部20にてマーカKを認識したパターンが特定パターンであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行う。制御部41は、認識部20にてマーカKが認識された場合に、対象領域105におけるマーカKの認識順序を示すパターンが、特定パターン(つまり、マーカK1を1回だけ認識、2回連続に認識、又はマーカK1、マーカK1、マーカK2、マーカK1の順で認識のいずれかのパターン)であるという判別結果であれば、機体6を対象領域105のコーナ部にて90°旋回させる。
【0086】
<マーカKの認識したパターンに基づく方向転換移動(Uターン運行)>
制御部41は、対象領域105において認識部20にてマーカKを認識したパターンが規定パターンであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、機体6を目的の対象領域に向かわせる方向転換移動の制御を行う。
【0087】
例えば、制御部41は、撮像画像に基づいて機体6とマーカKとの位置を判定し、規定パターンと当該位置の判定との両方に基づいて、機体6について対象領域105のコーナ部から遠ざかる旋回を開始させ、目的の対象領域105に機体6を向かわせる移動の制御を行う。制御部41は、マーカKを認識したパターンが規定パターンであるとの判別結果であれば、対象領域105に対して間隔を空けて並設され、且つ、規定パターンの最後に認識したマーカKに最も近い次の対象領域105に、機体6を向かわせるUターン運行の制御を行う。例えば、規定パターンは、
図5Aに示すように、マーカK1、マーカK1、マーカK2、マーカK1、マーカK1の順番である。制御部41は、認識部20にてマーカKを認識したパターンが規定パターンであれば、撮像画像に基づいて対象領域105のコーナ部のマーカKが機体6の後方に位置すると判定した場合に、機体6の対象領域105のコーナ部から遠ざかる旋回を開始させ、次の対象領域105に機体6を向かわせるUターン運行の制御を行う。
【0088】
具体的には、制御部41は、前記位置の判定が、撮像画像に基づいてコーナ部のマーカKが機体6の後方に位置するとの判定である場合に、機体6について対象領域105のコーナ部から遠ざかる旋回を開始させ、目的の対象領域105に機体6を向かわせ、当該目的の対象領域105のコーナ部のマーカKが機体6の前方に位置するとの判定がされると、当該目的の対象領域105に近づく旋回を行うUターン運行の制御を行う。なお、方向転換移動は、Uターンに限らず、切り返しターン又は1つ飛ばしターンであってもよい。
【0089】
また、制御部41は、認識部20にてマーカKを認識したパターンが、規定パターンとしての第1規定パターン、第2規定パターン及び第3規定パターンの何れであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、機体6をUターン、切り返しターン及び1つ飛ばしターンの何れかの制御を行うとしてもよい。第1規定パターンは、例えば、対象領域105の角部、角部、短手辺、角部、角部の順のマーカ(K1→K1→K2→K1→K1)からなる規定パターンである。第2規定パターンは、例えば、角部、角部、短手辺、角部、切り返しの順のマーカ(K1→K1→K2→K1→切り返し用マーカ)からなる規定パターンである。第3規定パターンは、例えば、角部、角部、短手辺、角部、1つ飛ばしの順のマーカ(K1→K1→K2→K1→1つ飛ばし用マーカ)からなる規定パターンである。このように、第1規定パターンであればUターン、第2規定パターンであれば切り返しターン、第3規定パターンであれば1つ飛ばしターンがされる。この場合には、機体6をUターン、切り返しターン、及び、1つ飛ばしターンという各種の方向転換移動を実行することができる。
【0090】
<対象領域105の外周(壁面)検出運行>
運行制御部42は、方向特定部42aを備えている。方向特定部42aは、検出部30にて検出された対象領域105の外周の方向を特定する。制御部41のプロセッサ41aが、記憶部41bに記憶された運行制御プログラムを実行することにより、農業用ロボット1の方向特定部42aとして機能する。方向特定部42aは、ライダー31からの対象領域105の外周を示す検出データ(つまり、複数の検出点を含む点群データ)に基づいて、点群データが示す方向を、対象領域105の外周の方向として特定する。
【0091】
運行制御部42は、方向特定部42aにて特定された外周の方向と、機体6の方向との関係に基づいて、対象領域105外における機体6の移動動作を制御する。例えば、運行制御部42は、検出部30にて検出された壁面107と機体6の進行方向との関係に基づいて、機体6を壁面107に対して間隔を空けて対象領域105に沿うように運行(例えば走行)させる。具体的には、運行制御部42は、2次元のライダー31による検出データ(例えば2Dマップ)に基づいて、対象領域105の壁面107を検出し且つ壁面107までの距離を取得し、壁面107までの距離が設定距離となるように左側及び右側の駆動モータM1を制御して、壁面107から設定距離を空けて壁面107に沿って機体6を運行させる。設定距離は、例えば10、15、20cmなど任意の値であってもよい。
【0092】
<運行停止>
運行制御部42は、検出部30によって対象領域105の外周(例えば、壁面107)が検出されておらず、且つ、認識部20においてマーカKを認識していない期間が予め定めた第1期間に達した場合、又は、認識部20においてマーカKを認識したときから機体6を予め定めた第2期間運行させて次のマーカKが検出されない場合、機体6の運行を停止させる。
【0093】
制御部41は、認識回数が規定回数(4回)に到達した場合、残量検出部35が検出した残量が、次の対象領域105に散布するための規定量以上であれば、Uターン運行の制御を行い、残量が規定量未満である場合に、機体6をUターン運行させることなく、予め定められた補給位置に向けて運行させる。
【0094】
以上のように、農業用ロボット1は、制御部41の制御により、
図5Aに示す施設100において自律運行することができる。
【0095】
制御部41は、作業制御部43を備えている。制御部41の記憶部41bには、農業用ロボット1の散布装置4の動作を制御するための作業制御プログラムとデータなどが記憶されている。制御部41のプロセッサ41aが、記憶部41bに記憶された作業制御プログラムを実行することにより、農業用ロボット1の作業制御部43として機能する。
【0096】
作業制御部43は、機体6を直進運行させる場合に、散布装置(作業装置)4による散布液の散布(作業)を実行させる。例えば、作業制御部43は、対象領域105の壁面107を検出し、対象領域105の壁面107に沿って機体6を直進運行させる場合に、散布装置4による散布を実行させる。ここで言う、「直進運行させる場合の散布作業」には機体6が運行しながら散布すること、機体6が所定単位距離進んで一旦停止して散布することを繰り返すことを含む。
【0097】
一方、作業制御部43は、機体6を対象領域105のコーナ部(例えば角部又は丸角部)に沿う旋回運行させる場合に、散布装置4による散布(作業)を実行させない。つまり、対象領域105のコーナ部にて機体6を旋回運行させるとき、対象領域105から次の対象領域105に移動させるために機体6をUターン運行させるときには、散布装置4による散布が行われない。
【0098】
図5Aに示すように、対象領域105には、作物2の生育不良の領域又は作物2が不存在である領域を示す不良領域108を有することがある。不良領域108は、例えば欠株領域とも呼ばれる。対象領域105の一対の長手辺における不良領域108の一端及び他端に、第3識別部材(例えばマーカK3)が配置されている。マーカK3は、マーカK1及びマーカK2とは異なる。
【0099】
制御部41は、
図4Bに示すデータテーブルTB1のマーカK3に対応する動作内容を用いて機体6の動作を制御する。具体的には、作業制御部43(制御部41)は、マーカK3が認識されてから次のマーカK3が認識されるまでは散布装置4による散布を停止させる。つまり、作業制御部43は、不良領域108に対しては散布装置4による散布を実行しない。さらに言えば、作業制御部43は、対象領域105の壁面107に沿って機体6を直進運行させる場合であっても、対象領域105の不良領域108については散布装置4による散布を行わない。
【0100】
農業用ロボット1は、通信部45を備えている。通信部45は、外部機器(携帯端末、パーソナルコンピュータ、サーバ)等と通信する。例えば、通信部45は、携帯電話通信網、インターネット、又は無線LANを介して、無線で通信するためのアンテナ、IC(集積回路)、及び電気回路などから構成されている。このため、通信部45は、外部機器と無線で通信することができる。
【0101】
制御部41は、
図4Aに示すように、マップ生成部44を備えてもよい。マップ生成部44は、制御部41に設けられた電気電子回路、当該制御部41に格納されたプログラム等である。具体的には、記憶部41bには、施設100内のマップを生成するためのマップ生成制御プログラムとデータなどが記憶されている。制御部41のプロセッサ41aが、記憶部41bに記憶されたマップ生成制御プログラムを実行することにより、農業用ロボット1のマップ生成部44として機能する。
【0102】
マップ生成部44は、3個の撮像部21の各撮像画像から得られた第1種類データ(構造物の形状)と、第2種類データ(作物2の形状、対象領域105の形状)とに基づいて、施設100内のマップを生成する。マップ生成部44は、例えば、
図5Aに示したように、スタート位置STからゴール位置GLまでのルートを運行させたときの複数のセンシングデータ(撮像画像)を取得する。マップ生成部44は、複数のセンシングデータ(撮像画像)から、所定位置における構造物、作物、通路の位置関係を推定する。具体的には、マップ生成部44は、スタート位置STからゴール位置GLまでの複数の撮像画像Hnm(n=1,2,3・・・・n、カメラの番号m=1,2,3)に含まれる被写体(構造物、作物2、対象領域105)をそれぞれ抽出する。マップ生成部44は、抽出した被写体(構造物、作物2、対象領域105)のそれぞれの形状に基づいて、撮像画像H1nが撮像された撮像位置Qn(X座標:Qnx、Y座標:Qny)を推定する。また、マップ生成部44は、推定した撮像位置Qnと、撮像画像Hnmに描写された被写体(構造物、作物2、対象領域105)との距離(水平距離)を推定する。マップ生成部44は、
図5Aに示すように、農業用ロボット1の矢印で示すルート、構造物としてハウス101の平面輪郭、作物2の位置及び形状、対象領域105の位置及び形状が含まれるマップを作成する。記憶部41bは、マップ生成部44が作成したマップを記憶(保存)する。農業用ロボット1の通信部45は、マップを外部機器等に送信する。外部機器において作業記録及び作物2の生育状況を示す管理情報として活用することができる。
【0103】
図6は、農業用ロボットのメイン運行処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すメイン運行処理は、マーカKの認識回数に基づいて、農業用ロボット1の動作内容が制御される。
【0104】
農業用ロボット1が
図5Aに示すスタート位置STに位置すると、制御部41は、3つの撮像部21によるハウス101内を撮像した撮像画像と、ライダー31(レーザセンサ)によるハウス101内のセンシングデータとのうちの少なくとも一方を用いて、ハウス101内に対象領域105の有無を認識する。続いて、制御部41は、対象領域105の存在を認識すると、農業用ロボット1がハウス101内の左端の対象領域105に向かうように運行装置7を制御する。
【0105】
図6に示すように、制御部41は、撮像部21(例えば右側の撮像部21R)によるマーカK1の認識の有無を判定する(S11)。制御部41は、撮像部21(例えば右側の撮像部21R)でマーカK1を認識していない場合(S11、No)、運行処理を継続する(S12)。ここでは、マーカK1を認識していないので、制御部41は、対象領域105に向かう直進移動の制御を行う。なお、制御部41は、マーカK1の検出後については方向転換運行する場合を除いて、対象領域105の外周検出運行(つまり壁面107を検出して運行)を行う。制御部41は、マーカK1の1回目の認識から4回目の認識まで、対象領域105の外周検出運行(つまり壁面107を検出して運行)させる(S12)。
【0106】
制御部41は、撮像部21(例えば右側の撮像部21R)でマーカK1を認識した場合(S11、Yes)、マーカK1の認識回数が1回目であるか否かを判断する(S13)。ここでは、
図5Aに示すスタート位置STの直後の1本目の対象領域105の最初のマーカK1(
図5Aの紙面で対象領域105の左下のコーナ部のマーカK)の認識であるため、制御部41は、1回目であると判定し(S13、Yes)、散布装置4による散布作業を開始する(S14)。具体的には、制御部41は、
図4Bに示すデータテーブルTB1のマーカK1に対応する動作内容を用いて機体6及び散布装置4の動作を制御する。例えば、農業用ロボット1が、
図5Aに示す1本目の対象領域105の左側の壁面107に沿うように移動(例えば壁面107と平行で設定距離を空けて移動)しながら、散布装置4による散布作業が実行される。
【0107】
S13において、制御部41は、1回目でないと判定した場合(S13、No)、マーカK1の認識回数が2回目であるか否かを判断する(S15)。ここでは、
図5Aに示す1本目の対象領域105の2番目のマーカK1(
図5Aの紙面で対象領域105の左上のコーナ部のマーカK)の認識であるため、制御部41は、2回目であると判定し(S15、Yes)、散布装置4による散布作業を停止する(S16)。具体的には、制御部41は、
図4Bに示すデータテーブルTB1のマーカK2に対応する動作内容を用いて機体6の動作を制御する。なおここでは、制御部41は、散布装置4を動作させない。制御部41は、運行装置7を制御して、機体6を右旋回させる右旋回処理を実行する(S17)。
【0108】
図7は、右旋回処理の一例を示すフローチャートである。制御部41は、撮像部21による撮像画像に基づいてマーカK1が機体6の後方に位置すると判定した場合(S32、Yes)、機体6を右旋回させる(S33)。例えば、S33では急旋回がされる。制御部41は、一定時間が経過したか否かを判定する(S34)。一定時間は、例えば、機体6を概ね90°旋回(例えば、80°旋回)させるための時間である。なお、制御部41は、一定時間において、撮像部21による撮像画像の判断を行わなくてもよい。この場合には、一定時間についての画像認識の処理負担を低減することができる。制御部41は、一定時間が経過していれば(S34、Yes)、機体6の右旋回を行う(S35)。例えば、S35では、緩やかな旋回が行われる。このようにすることで、農業用ロボット1をコーナ部に、より合わせられるよう、旋回角度を調整することができる。なお、S33及びS35の旋回を同程度の旋回としてもよい。
図5Aに示すように、1本目の対象領域105の左上のコーナ部に対する右旋回が行われる。
【0109】
制御部41は、撮像部21による撮像画像に基づいて対象領域105の短手辺のマーカK2が機体6の前方に位置するか否かを判定する(S36)。制御部41は、マーカK2が機体6の前方に位置していないと判定した場合(S36、No)、S35に戻る。一方、制御部41は、マーカK2が機体6の前方に位置すると判定した場合(S36、Yes)、機体6の対象領域105の短手辺に沿う直進運行の制御を行う(S37)。つまり、マーカK2を目印に直進運行が行われる。
図5Aに示すように、1本目の対象領域105の上端部での直進運行が行われる。
【0110】
制御部41は、撮像部21による撮像画像に基づいて対象領域105のコーナ部のマーカK1が機体6の前方に位置し、且つ、マーカK2が機体6の後方に位置すると判定した場合(S38、Yes)、機体6を右旋回させる(S39)。一方、制御部41は、マーカK1が機体6の前方に位置していない場合、又は、マーカK2が機体6の後方に位置していない場合(S38、No)、S37に戻る。
【0111】
制御部41は、一定時間が経過したか否かを判定する(S40)。一定時間は、例えば、機体6を概ね90°旋回(例えば、80°旋回)させるための時間である。制御部41は、一定時間が経過していれば(S40、Yes)、機体6の右旋回を行う(S41)。制御部41は、マーカK1が機体6の後方に位置していない場合(S42、No)、S41に戻る。一方、制御部41は、マーカK1が機体6の後方に位置している場合(S42、Yes)、右旋回処理を終了する。
図5Aに示すように、1本目の対象領域105の右上のコーナ部に対する右旋回が行われる。
【0112】
S15において、制御部41は、2回目でないと判定した場合(S15、No)、マーカK1の認識回数が3回目であるか否かを判断する(S18)。ここでは、
図5Aに示す1本目の対象領域105の3番目のマーカK1(
図5Aの紙面で対象領域105の右上のコーナ部のマーカK)の認識であるため、制御部41は、3回目であると判定し(S18、Yes)、散布装置4による散布作業を開始する(S19)。
図5Aに示すように、農業用ロボット1が1本目の対象領域105の右側の壁面107に沿うように移動しながら、散布装置4による散布作業が実行される。
【0113】
S18において、制御部41は、3回目でないと判定した場合(S18、No)、マーカK1の認識回数が4回目であるか否かを判断する(S20)。ここでは、
図5Aに示す1本目の対象領域105の4番目のマーカK1(
図5Aの紙面で対象領域105の右下のコーナ部のマーカK)の認識であるため、制御部41は、4回目であると判定し(S20、Yes)、散布装置4による散布作業を停止する(S21)。
【0114】
制御部41は、マーカK1のカウントをリセットする(S22)。つまり、マーカK1の認識回数を示す値(=4回目)が、規定の値(例えば0回)にリセットされる。ここでは、3本の対象領域105(つまり、3つの畝)に作業する場合、対象領域105ごと(1つの畝ごと)にリセットし、1畝×3回のように繰り返すような場合を想定して、マーカK1の認識回数がリセットされる。制御部41は、マーカK2の認識数が上限値(例えば「3」)であるか否かを判定する(S23)。制御部41は、マーカK2の認識数が上限値(例えば「3」)でないと判定した場合(S23、No)、運行装置7を制御して、機体6を左Uターンさせる左Uターン処理を実行する(S24)。ここでは、制御部41は、
図5Aに示す1本目の対象領域105の直進運行を開始した時点以降でのマーカK2の認識数が「1」であるため、上限値(例えば「3」)でないと判定し(S23、No)、S24に進む。
【0115】
図8は、左Uターン処理の一例を示すフローチャートである。制御部41は、機体6を直進運行させ(S51)、撮像部21による撮像画像に基づいてマーカK1が機体6の後方に位置するか否かを判定する(S52)。制御部41は、マーカK1が機体6の後方に位置すると判定した場合(S52、Yes)、機体6を左旋回させる(S53)。例えば、S53では急旋回がされる。
【0116】
制御部41は、一定時間が経過したか否かを判定する(S54)。この一定時間は、例えば、機体6を概ね180°旋回(例えば、170°旋回)させるための時間である。なお、制御部41は、一定時間において、撮像部21による撮像画像の判断を行わなくてもよい。この場合には、一定時間についての画像認識の処理負担を低減することができる。制御部41は、一定時間が経過していれば(S54、Yes)、機体6の左旋回を行う(S55)。例えば、S55では、緩やかな旋回が行われる。このようにすることで、農業用ロボット1を2本目の対象領域105に、より合わせられるよう、旋回角度を調整することができる。なお、S53及びS55の旋回を同程度の旋回としてもよい。
【0117】
制御部41は、マーカK1を右側に認識しているか否かを判定する(S56)。制御部41は、マーカK1を右側に認識していない場合(S56、No)、S55に戻る。一方、制御部41は、マーカK1を右側に認識している場合(S56、Yes)、左Uターン処理を終了する。
図5Aに示すように、1本目の対象領域105の下端部から2本目の対象領域105の下端部に向かうUターンが行われる。
【0118】
図6に戻って、制御部41は、マーカK2の認識数が上限値(例えば「3」)であると判定した場合(S23、Yes)、運行装置7を制御して、機体6をゴール位置GLに移動させ、マーカK2の認識数を、規定の値(例えば0回)にリセットして、本処理を終了する。例えば、制御部41は、
図5Aに示す3本目の対象領域105の直進運行を終了した時点以降でのマーカK2の認識数が「3」であるため、上限値(例えば「3」)であると判定し(S23、Yes)、機体6をゴール位置GLに移動させる。
【0119】
図6~
図8では、メイン運行処理は、マーカKの認識回数に基づくものであったが、マーカKを認識した順序を示すパターンに基づくものであってもよい。このパターンに基づくメイン処理は、
図6に示すS13の「1回目」を特定パターン(マーカK1を1回だけ認識)に、S15の「2回目」を特定パターン(マーカK1を2回連続して認識)、S18の「3回目」を特定パターン(マーカK1、マーカK1、マーカK2、マーカK1の順で認識)に、S20の「4回目」を特定パターン(マーカK1、マーカK1、マーカK2、マーカK1、マーカK1の順番に認識)に置き換えればよい。
【0120】
ところで、制御部41は、検出部30(ライダー31)にて障害物が検出された場合、又は、認識部20にて障害物を示す第4識別部材(マーカK4)が認識された場合、機体6を停止又は障害物を回避するように運行させる。例えば、制御部41は、
図4Bに示すデータテーブルTB1のマーカK4に対応する動作内容を用いて機体6の動作を制御する。
【0121】
図5Bは、農業用ロボットを施設で運行させたルートの一例を示す図である。制御部41は、認識部20にてマーカK4が認識された場合、機体6を障害物の手前位置で停止させ、機体6を二点鎖線の矢印で示すルートで後進運行させ、右側の撮像部21RにてマーカK1が認識されると、実線の矢印で示すルートで機体6を右旋回、直進、左旋回、直進と移動させてゴール位置GLまで移動させる。また、制御部41は、ライダー31による検出データに基づき、周囲に接触しないように、機体6を二点鎖線の矢印及び実線の矢印で示すルートで機体6をゴール位置GLまで移動させてもよい。このため、農業用ロボット1によれば、障害物を回避してゴール位置GLまで機体6を移動させることができる。
【0122】
本実施形態の農業用ロボット1は、移動可能な機体6と、機体6に設けられ、対象領域105に配置された識別部材(マーカK)を認識する認識部20と、機体6に設けられ、認識部20にてマーカKを認識した回数又はパターンに基づいて、当該機体6を対象領域105に対して動作させる制御部41と、を備える。
【0123】
この構成によれば、制御部41は、認識部20にてマーカKを認識した回数又はパターンに基づいて、機体6を対象領域105に対して動作させる。このため、農業用ロボット1は、施設内において対象領域105に応じた動作を好適に行うことができる。
【0124】
制御部41は、認識部20にてマーカKを認識した回数又はパターンに基づいて、機体6の移動及び作業の少なくとも一方を含む動作内容を決定し、決定結果が示す動作内容で当該機体6を動作させる。
【0125】
この構成によれば、制御部41は、認識部20にてマーカKを認識した回数又はパターンに基づいて、当該機体6の移動及び作業の少なくとも一方の動作内容を決定し、決定結果が示す動作内容で機体6を動作させる。このため、対象領域105に対する移動及び作業を好適に実行することができる。
【0126】
マーカKは、旋回動作を示す場合には、対象領域105の少なくとも一部又は全部のコーナ部に配置され、制御部41は、認識部20にてマーカKが認識された場合に、対象領域105におけるマーカKの認識回数が所定範囲内であるか否かを判別し、判別結果に基づき、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行う。
【0127】
この構成によれば、制御部41は、認識部20にてマーカKが認識された場合に、対象領域105におけるマーカKの認識回数が所定範囲内であるか否かを判別して、当該判別結果に基づき、機体6の対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動の制御を行う。このため、機体6を対象領域105のコーナ部に沿う旋回の自律移動を的確に実行することができる。
【0128】
制御部41は、認識部20にてマーカKが認識された場合に、認識回数が、所定範囲外の規定回数に到達しているか否かを判別し、当該判別結果に基づき、機体6を目的の対象領域105に向かわせる方向転換移動の制御を行う。
【0129】
この構成によれば、制御部41は、対象領域105におけるマーカKの認識回数が規定回数に到達しているか否かを判別し、当該判別結果に基づき、目的の対象領域105に、機体6を向かわせる方向転換移動の制御を行う。このため、機体6を目的の対象領域105に移動させる方向転換移動を的確に実行することができる。
【0130】
制御部41は、認識部20にてマーカKが認識された場合に、認識回数が、規定回数としての第1規定回数、第2規定回数及び第3規定回数の何れかに到達しているか否かを判別し、当該判別結果に基づき、機体6をUターン、切り返しターン及び1つ飛ばしターンの何れかの制御を行う。
【0131】
この構成によれば、制御部41は、対象領域105におけるマーカKの認識回数が第1規定回数、第2規定回数及び第3規定回数の何れかに到達しているか否かを判別し、当該判別結果に基づき、Uターン、切り返しターン(Kターン)及び1つ飛ばしターンの何れかの制御を行う。このため、機体6をUターン、切り返しターン及び1つ飛ばしターンという各種の方向転換移動を的確に実行することができる。
【0132】
認識部20は、撮像部21と、撮像部21にて撮像された撮像画像を画像解析することにより当該撮像画像に含まれるマーカKを認識する画像認識部22と、を備え、制御部41は、撮像画像に基づいて機体6とマーカKとの位置を判定し、認識回数と当該位置の判定との両方に基づいて、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行う。
【0133】
この構成によれば、制御部41は、撮像画像に基づいて機体6とマーカKとの位置を判定し、認識回数と当該位置の判定との両方に基づいて、機体6の対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動の制御を行う。このため、自律移動において旋回移動を的確に実行することができる。
【0134】
制御部41は、位置の判定が、撮像画像に基づいてマーカKが機体6の後方に位置するとの判定である場合に、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行う。
【0135】
この構成によれば、制御部41は、撮像部21による撮像画像に基づいてマーカKが機体6の後方に位置すると判定した場合に、機体6の対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動の制御を行う。このため、自律移動において旋回移動を的確に実行することができる。
【0136】
マーカKは第1識別部材(マーカK1)であり、対象領域105は平面視で矩形状であり、一対の長手辺と一対の短手辺とを有し、当該一対の短手辺には、マーカK1とは異なる第2識別部材(マーカK2)が配置され、制御部41は、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行い、位置の判定が、撮像画像に基づいて短手辺のマーカK2が機体6の前方に位置するとの判定である場合に、機体6の短手辺に沿う直進移動の制御を行う。
【0137】
この構成によれば、機体6の旋回開始後に短手辺のマーカK2が前方に位置すると、旋回から直進に変更することができ、自律移動において旋回から直進に的確に変更することができる。
【0138】
マーカKは、旋回動作を示す場合には、対象領域105の少なくとも一部又は全部のコーナ部に配置され、制御部41は、対象領域105において認識部20にてマーカKを認識したパターンが特定パターンであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行う。
【0139】
この構成によれば、制御部41は、認識部20にてマーカKを認識したパターンが特定パターンであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、対象領域105のコーナ部に対する機体6の旋回移動の制御を行う。このため、機体6を対象領域105のコーナ部に沿う旋回の自律移動を的確に実行することができる。
【0140】
制御部41は、対象領域105において認識部20にてマーカKを認識したパターンが規定パターンであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、機体6を目的の対象領域105に向かわせる方向転換移動の制御を行う。
【0141】
この構成によれば、制御部41は、対象領域105において認識部20にてマーカKを認識したパターンが規定パターンであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、目的の対象領域105に、機体6を向かわせる方向転換移動の制御を行う。このため、機体6を目的の対象領域105に移動させる方向転換移動を的確に実行することができる。
【0142】
制御部41は、マーカKを認識したパターンが、規定パターンとしての第1規定パターン、第2規定パターン及び第3規定パターンの何れかであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、機体6をUターン、切り返しターン及び1つ飛ばしターンの何れかの制御を行う。
【0143】
この構成によれば、制御部41は、対象領域105におけるマーカKの認識したパターンが第1規定パターン、第2規定パターン及び第3規定パターンの何れかであるか否かを判別し、当該判別結果に基づき、Uターン、切り返しターン及び1つ飛ばしターンの何れかの制御を行う。このため、機体6をUターン、切り返しターン及び1つ飛ばしターンという各種の方向転換移動を実行することができる。
【0144】
認識部20は、撮像部21と、撮像部21にて撮像された撮像画像を画像解析することにより当該撮像画像に含まれるマーカKを認識する画像認識部22と、を備え、制御部41は、撮像画像に基づいて機体6とマーカKとの位置を判定し、規定パターンと当該位置の判定との両方に基づいて、機体6について対象領域105のコーナ部から遠ざかる旋回を開始させ、目的の対象領域105に機体6を向かわせる移動の制御を行う。
【0145】
この構成によれば、制御部41は、撮像画像に基づいて機体6とマーカKとの位置を判定し、規定パターンと当該位置の判定との両方に基づいて、機体6の対象領域105のコーナ部から遠ざかる旋回を開始させ、目的の対象領域105に機体6を向かわせる移動の制御を行う。このため、機体6の方向転換移動を好適に実行することができる。
【0146】
制御部41は、位置の判定が、撮像画像に基づいてコーナ部のマーカKが機体6の後方に位置するとの判定である場合に、機体6について対象領域105のコーナ部から遠ざかる旋回を開始させ、目的の対象領域105に機体6を向かわせ、当該目的の対象領域105のコーナ部のマーカKが機体6の前方に位置するとの判定がされると、当該目的の対象領域105に近づく旋回を行うことを含む方向転換移動の制御を行う。
【0147】
この構成によれば、制御部41は、撮像部21による撮像画像に基づいてマーカKが機体6の後方に位置すると判定した場合に、機体6の対象領域105のコーナ部から遠ざかる旋回を開始させ、目的の対象領域105に機体6を向かわせ、当該目的の対象領域105のコーナ部のマーカKが機体6の前方に位置するとの判定がされると、当該目的の対象領域105に近づく旋回を行うことを含む方向転換移動の制御を行う。このため、機体6を目的の対象領域105に移動させる方向転換移動を的確に実行することができる。
【0148】
機体6に設けられ、対象領域105の外周を非接触で検出する検出部30と、検出部30にて検出された外周の方向を特定する方向特定部42aと、を備え、制御部41は、方向特定部42aにて特定された外周の方向と、機体6の方向との関係に基づいて、対象領域105外における当該機体6の移動動作を制御する。
【0149】
この構成によれば、制御部41は、方向特定部42aにて特定された対象領域105の外周の方向と、機体6の方向との関係に基づいて、対象領域105外における機体6の移動動作を制御する。このため、機体6を対象領域105外で自律移動させることができる。
【0150】
制御部41は、検出部30によって外周が検出されておらず、且つ、認識部20においてマーカKを認識していない期間が予め定めた第1期間に達した場合、又は、認識部20においてマーカKを認識したときから機体6を予め定めた第2期間移動させて次のマーカKが検出されない場合、機体6の移動を停止させる。
【0151】
この構成によれば、意図せずに所定の移動ルートを逸脱した場合に、機体6を自動で停止させることができる。したがって、機体6の移動動作の安全性を向上させることができる。
【0152】
機体6は、散布装置4(作業装置)を備え、制御部41は、機体6を直進移動させる場合に散布装置4による作業を実行させ、機体6を対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動させる場合に散布装置4による作業を実行させない。
【0153】
この構成によれば、機体6が対象領域105に沿って直進移動する場合に散布装置4による作業を行い、機体6が対象領域105のコーナ部に沿って旋回移動する場合に散布装置4による作業を実行させない。このため、対象領域105のコーナ部について過剰に作業が施されることを防止でき、対象領域105に対して均等に散布装置4による作業を行うことができる。
【0154】
対象領域105は平面視で矩形状であり、一対の長手辺と一対の短手辺とを有し、不良領域を有し、当該一対の長手辺における不良領域の一端及び他端に、マーカKとは異なる第3識別部材(マーカK3)が配置され、制御部41は、マーカK3が認識されてから次のマーカK3が認識されるまでは散布装置4による作業を停止させる。
【0155】
この構成によれば、制御部41は、マーカK3が認識されてから次のマーカK3が認識されるまでは散布装置4による作業を停止させる。このため、対象領域105の不良領域(例えば欠株である領域など)について作業を行わず、散布装置4による作業を効率良く行うことができる。
【0156】
機体6は、散布装置4を備え、散布装置4が散布する散布液の残量を検出する残量検出部を備え、制御部41は、認識回数が規定回数に到達した場合、残量検出部が検出した残量が、次の対象領域105に散布するための規定量以上であれば、方向転換移動の制御を行い、残量が規定量未満である場合に、機体6を方向転換移動させることなく、予め定められた補給位置に向けて移動させる。この構成によれば、散布液の散布を対象領域105単位で確実に行うことができる。
【0157】
制御部41は、識別部材を認識した回数、つまり、マーカK1のカウントを規定の値にリセットする。詳述すると、制御部41は、3本の対象領域105(つまり、3つの畝)に作業する場合、対象領域105ごと(1つの畝ごと)にリセットし、1畝×3回のように繰り返すような場合を想定して、リセットしている。この構成によれば、対象領域105の単位で動作(移動および作業)の制御を行うことができる。なお、上記のリセットは、動作を初期化する場合、スタートしたとき、ゴールしたとき、途中停止した場合(非常停止など)、エラーから復旧したとき(今後の動作について影響がある場合は反対にリセットしない)、一連の動作が完了した時(3畝に作業する場合、1畝ごとにリセットし、1畝×3回のように繰り返すような場合)、リセットのマーカを読み込んだ時、特定の動作との組み合わせ、電源が遮断したとき、リセット用のスイッチが押されたときにされてもよい。
【0158】
制御部41は、検出部30にて障害物が検出された場合、又は、認識部20にて障害物を示す第4識別部材(マーカK4)が認識された場合、機体6を停止又は障害物を回避するように移動させる。
【0159】
この構成によれば、制御部41は、検出部30にて障害物が検出された場合、又は、認識部20にて障害物を示すマーカK4が認識された場合、機体6を停止又は障害物を回避するように移動させる。このため、機体6が障害物に衝突することを回避することができる。
【0160】
検出部30は、外周を検出し、且つ、当該外周までの距離を検出し、制御部41は、検出部30にて検出された距離が設定距離となるように当該機体6の移動を制御する。
【0161】
この構成によれば、検出部30は、外周を検出し、且つ、当該外周までの距離を検出する。制御部41は、検出部30にて検出された距離が設定距離となるように当該機体6の移動を制御する。このため、対象領域105の外周から設定距離を維持した自律移動を行うことができる。
【0162】
検出部30は、2次元又は3次元のLiDAR(ライダー31)である。この構成によれば、外周の検出及び測距を好適に行うことができる。また、2D LiDAR(2次元ライダー)であれば、平面(水平面)の距離情報を取得することができ、平面の距離情報について処理するだけでよいので、処理負担を低減することができる。2次元ライダーは、3次元ライダーに比べて、安価、壊れにくい、小型のため取り付けやすい。また、3次元ライダーであれば中間処理のため高性能なCPUが必要となるが、2次元ライダーであれば、高性能なCPUが不要である。補助的な部品が2次元ライダーの周囲に付けやすい。また、3D LiDAR(3次元ライダー)であれば、高さ方向の距離情報を取得することができ、2次元ライダーよりも処理負担が増加するものの、任意の高さの平面の距離情報について処理することができ、検出範囲の自由度を向上させることができる。2次元ライダーであれば、複数個用いることができる。3次元ライダーであれば、互いに光線が阻害する可能性があるからである。
【0163】
機体6は、運行可能であり、マーカKは、旋回動作を示す場合には、対象領域105の少なくとも一部又は全部のコーナ部に配置され、制御部41は、認識部20にてマーカKを認識した回数又はパターンに基づいて、機体6を対象領域105に沿うように運行させる。この構成によれば、制御部41は、認識部20にてマーカKを認識した回数又はパターンに基づいて、当該機体6を対象領域105に沿うように運行させる。このため、機体6を対象領域105に沿わせる自律運行を好適に行うことができる。
【0164】
また、第1実施形態の構成によれば、以下の第1~第4方式に比べて以下のような利点がある。第1方式(衛星測位信号に基づく自律走行方式:特開2008-92818号公報)では、農業用ハウス内において衛星測位信号を好適に受信できないことがあり、農業用ハウス内では自律走行ができないことがある。上記の構成によれば、衛星測位信号を用いないので、農業用ハウス内において対象領域105の壁面に沿った自律運行を行うことができる。また、第2方式(鳥瞰画像に基づく自律走行方式:特許第6735303号公報)では、作物列を含むエリアについての鳥瞰画像を作成し、この鳥瞰画像から作物列を認識する処理が必要であり、これらの処理が非常に煩雑である。上記の構成によれば、鳥瞰画像の作成処理及び鳥瞰画像中の作物列の認識処理を不要とすることができ、簡易な処理で自律運行を実行することができる。また、第3方式(動作を割り当てたAR(拡張現実:「ARマーカを用いた経路選択を行うための自律走行制御の検討」)マーカに基づく自律走行方式)では、作業内容又は走行ルートを変更する際に、3種類のARマーカ(右方向旋回、左方向旋回及び停止の表示)の設置位置をその都度変更する必要があり、手間がかかる。上記の構成によれば、ARマーカの設置位置の変更を不要とすることができ、省力化を図ることができる。また、第4方式(位置情報が割り当てられたマーカに基づく自律走行方式:特開2006-321583号公報)では、認識したマーカによって自己位置を取得して自律走行を行うため、膨大な数、種類のマーカが必要であり、それらのマーカを設置するための作業に非常に負担がかかるという問題がある。上記の構成によれば、必要最小限のマーカで精度よく自律運行を行うことができる。
【0165】
記憶部41bには、コンピュータ(例えばプロセッサ41a)を、農業用ロボット1に備えられる制御部41として機能させるためのプログラムが記憶されている。この構成によれば、コンピュータがプログラムを実行することにより、コンピュータを、認識部20にてマーカKを認識した回数又はパターンに基づいて機体6を対象領域105に対して動作させる制御部41として機能させることができる。
【0166】
[第2実施形態]
第1実施形態では、マーカKの認識による旋回を行っているが、第2実施形態では、対象領域105のコーナ部の外周検出(壁面検出)による旋回を行うことが、第1実施形態とは異なっている。なお、対象領域105の側周に壁部材107A、107Bを有さず、対象領域105の側周に複数のパイプを連続的又は離散的に立設している場合、又は、ポット(栽培用、育苗用などのポット)が配置されている場合、作物が連続して特定の方向を形成している場合、フィルム農法などの栽培装置である場合であっても、壁面近似すれば対象領域105の外周を検出することができる点は、第1実施形態と同様である。
【0167】
図9は、施設内の対象領域(栽培場所)の長手方向端部の囲い壁を示す概略斜視図である。第2実施形態では、
図9に示すように、対象領域105の長手方向(縦方向Y1)の端部には、囲い壁120がそれぞれ設けられている。
【0168】
図10は、囲い壁の平面図、右側面図、正面図、及び左側面図である。囲い壁120は、平面視で半八角形とした金属製の板状部材である。囲い壁120は、右側の側面部121、右側の斜面部122、前面部123、左側の斜面部122、及び、左側の側面部121を有する。囲い壁120は、平面視で、側面部121と斜面部122とがなす角度(内角)、斜面部122と前面部123とがなす角度(内角)が、それぞれ135°となっている。この内角は135°に限定されない。このため、対象領域105は、その両端が半八角形であることから、全体として見れば、平面視で外形が多角形(ここでは八角形)となっている。
【0169】
右側及び左側の側面部121、121には、切欠き部121aが形成されている。対象領域105の周囲に固定された横パイプ104Bの先端部が切欠き部121a内に位置している。切欠き部121aにより、横パイプ104Bの先端部が囲い壁120に干渉しないようにできる。なお、側面部121は、切欠き部121aを有さなくてもよい。
【0170】
囲い壁120は、第1の光反射特性の第1領域120Bと、第1領域120Bよりも光散乱性が高い第2の光反射特性の第2領域120Aと、を備えている。つまり、第2領域120Aは、第1領域120Bよりも光反射率が低い。例えば、反射率65%程度以下の艶が少なめのもの、できれば反射率5%程度以下の艶消しが望ましい。ライダー31は、光反射率が低い第2領域120Aの方が、第1領域120Bよりも検出精度が高い。第2領域120A及び第1領域120Bは、反射率、色、表面粗度を異なる値としてもよい。例えば、第1領域120Bを非光沢とし、第1領域120Bを光沢とし、第1領域120Bの光散乱性が高いとしてもよい。このように、ライダー31の検出精度が高くなるようにしてもよい。
【0171】
ライダー31(検出部30)は、第2領域120Aにおける
図10に示すスキャン位置SCを非接触で検出する。つまり、ライダー31は、第2領域120Aの切欠き部121aでない箇所を検出することで、切欠き部121aによる検出データの欠落を防止し、外周の方向の検出精度を確保している。
【0172】
なお、囲い壁120は、金属部材としているが、合成樹脂(プラスチック)、木材、陶器、石材その他の材料による部材で形成されてもよい。また、囲い壁120は、平面視で半八角形以外の半多角形(半四角形、半五角形、半六角形、半十角形など)であってもよい。
【0173】
なお、対象領域105の長手方向(縦方向Y1)の端部自体が、平面視で半八角形であってもよい。また、端部自体が、半八角形以外の半多角形(半四角形、半五角形、半六角形、半十角形など)であってもよい。また、多角形以外の曲線の場合であっても、例えば直線近似処理することで外周検出(壁面検出)ができる。
【0174】
ライダー31は、対象領域105の外周を非接触で検出する。方向特定部42aは、ライダー31にて検出された外周の方向を特定する。制御部41は、方向特定部42aにて特定された外周の方向と、機体6の方向との関係に基づいて、対象領域105外における機体6の移動動作を制御する。
【0175】
図11は、外周検出処理による農業用ロボットの旋回運行の一例を示す図である。
図11に示す外周検出処理は、対象領域105の外周(例えば)の壁面107(囲い壁120を含む)を検出して農業用ロボット1を自律運行させるための処理である。
【0176】
図11での第2状況に示すように、制御部41は、方向特定部42aにて特定された外周の方向を示す延長線L1と機体6の前後方向を示す前後線L2との交点CPと、機体6の旋回基準点RPとの位置関係に基づいて、農業用ロボット1(機体6)の移動動作を制御する。
【0177】
例えば、制御部41は、囲い壁120の延長線L1と機体6の前後線L2との交点CPと、旋回基準点RPとの位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。前後線L2は、例えば機体6の横幅中央に位置する中央線である。旋回基準点RPは、機体6の中心点である。
【0178】
具体的には、制御部41は、交点CPが旋回基準点RPよりも前にある場合(例えば
図11の第2状況の場合)、機体6の直進移動の制御を維持し、交点CPが旋回基準点RPよりも前にない場合(例えば
図11の第3状況の場合)、機体6の対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動の制御を行う第1制御処理を実行する。
【0179】
制御部41は、ライダー31にて検出された外周の所定方向と機体6の前後方向とがなす角度βが閾値α(例えば、45°)未満であれば、外周と平行に当該外周に設定距離を空けて機体6を直進移動させる制御を維持し、角度βが閾値α以上であると、上記の第1制御処理、つまり、交点CPと旋回基準点RPとの位置関係に基づく旋回移動の制御を実行する。
【0180】
例えば
図11の第1状況であれば、ライダー31にて検出された外周の所定方向は、囲い壁120の側面部121の長手方向(水平方向)であり、延長線L1の方向である。延長線L1と機体6の前後方向(つまり前後線L2)とが平行であり、両者がなす角度βは0°である。このため、延長線L1と前後線L2とがなす角度β(0°)は、閾値α(45°)未満である。制御部41は、外周(ここでは囲い壁120の側面部121)と平行に機体6を直進移動させる制御を維持する。なお、対象領域105の囲い壁120以外の箇所、つまり、壁部材107Aの箇所であれば、壁部材107Aと平行に農業用ロボット1(機体6)が直進移動される。
【0181】
一方、例えば
図11の第2状況であれば、延長線L1と前後線L2とがなす角度βが45°以上となる。このため、制御部41は、角度βが閾値α(例えば、45°)以上であるため、上記の第1制御処理を実行する。
【0182】
制御部41は、ライダー31にて検出された外周が凹凸を有する波形である場合、波形の外周を、この波形のうちの複数の凸値で構成される外周、複数の凹値で構成される外周、又は、複数の凹凸間の所定値で構成される外周に変換し、変換された外周の方向を示す延長線L1と機体6の前後線L2との交点CPと、旋回基準点RPとの位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。
【0183】
図12は、外周検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0184】
方向特定部42aは、ライダー31で検出した対象領域105の平面(壁面107)の延長と、角度βとを算出する(S61)。具体的には、方向特定部42aは、
図11の第1状況に示すように、対象領域105の外周の方向、つまり、延長線L1を算出し、延長線L1と機体6の前後方向を示す前後線L2とがなす角度βを算出する。
【0185】
制御部41は、角度βが閾値α未満であるか否かを判定する(S62)。制御部41は、角度βが閾値α未満である場合(S62、Yes)、対象領域105の外周と平行に農業用ロボット1(機体6)を直進移動させる(S63)。
図11の第1状況では、側面部121の延長線L1と前後線L2とが平行であり、両者がなす角度βは0°である。このため、
図11の第1状況では、制御部41は、囲い壁120の側面部121と平行に農業用ロボット1を直進移動させる。
【0186】
制御部41は、角度βが閾値α以上である場合(S62、No)、第1制御処理、つまり、交点CPと旋回基準点RPとの位置関係に基づく旋回移動の制御を実行する。具体的には、制御部41は、角度βが閾値α以上である場合(S62、No)、囲い壁120の斜面部122の延長線L1が機体6の中心点よりも前にあるか否かを判定する(S64)。制御部41は、延長線L1が機体6の中心点よりも前にある場合(S64、Yes)、農業用ロボット1を直進移動させる(S65)。
図11の第2状況では、延長線L1が機体6の中心点よりも前にある。言い換えれば、延長線L1と機体6の前後線L2との交点CPが旋回基準点RPよりも前にある。
図11の第2状況では、制御部41は、農業用ロボット1を直進移動させる。
【0187】
一方、制御部41は、延長線L1が機体6の中心点よりも前にない場合(S64、No)、農業用ロボット1を右旋回させる(S66)。
図11の第3状況では、延長線L1が機体6の中心点よりも後にある。言い換えれば、延長線L1と機体6の前後線L2との交点CPが旋回基準点RPよりも後にある。このため、
図11の第3状況では、制御部41は、農業用ロボット1の右旋回を開始し、
図11の第4状況に示すように右旋回させる。なお、延長線L1が機体6の中心点よりも後にある期間(交点CPが旋回基準点RPよりも後にある期間)において、右旋回が継続される。
【0188】
図11の第5状況では、延長線L1が機体6の中心点よりも前にある(交点CPが旋回基準点RPよりも前にある)状態に変化している。このため、
図11の第5状況では、制御部41は、延長線L1が機体6の中心点よりも前にあると判定(S64、Yes)し、農業用ロボット1を直進移動させる(S65)。
【0189】
図11の第6状況では、延長線L1が機体6の中心点よりも後にある。言い換えれば、延長線L1と機体6の前後線L2との交点CPが旋回基準点RPよりも後にある。
図11の第6状況では、制御部41は、農業用ロボット1の右旋回を開始し、
図11の第6状況に示すように右旋回させる。なお、延長線L1が機体6の中心点よりも後にある期間(交点CPが旋回基準点RPよりも後にある期間)において、右旋回が継続される。
【0190】
第2実施形態の農業用ロボット1は、移動可能な機体6と、機体6に設けられ、対象領域105の外周を非接触で検出する検出部30(ライダー31)と、ライダー31にて検出された外周の方向を特定する方向特定部42aと、方向特定部42aにて特定された外周の方向と、機体6の方向との関係に基づいて、対象領域105外における当該機体6の移動動作を制御する制御部41と、を備える。
【0191】
この構成によれば、制御部41は、方向特定部42aにて特定された対象領域105の外周の方向と、機体6の方向との関係に基づいて、対象領域105外における機体6の移動動作を制御する。このため、農業用ロボット1は、施設内において対象領域105外で好適に自律移動させることができる。
【0192】
対象領域105は、平面視で外形が多角形であり、制御部41は、方向特定部42aにて特定された外周の方向を示す延長線L1と機体6の前後方向を示す前後線L2との交点CPと、機体6の旋回基準点RPとの位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。
【0193】
この構成によれば、制御部41は、対象領域105の外周の方向を示す延長線L1と機体6の前後方向線との交点CPと、機体6の旋回基準点RPとの位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。このため、自律移動において直進移動と旋回移動とを的確に実行することができる。
【0194】
制御部41は、延長線L1と前後線L2としての機体6の横幅中央に位置する中央線との交点CPと、旋回基準点RPとしての機体6の中心点との位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。
【0195】
制御部41は、対象領域105の外周の方向を示す延長線L1と機体の横幅中央に位置する中央線との交点CPと、機体6の中心点との位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。このため、自律移動において直進移動と旋回移動(通常ターン)とを的確に実行することができる。
【0196】
制御部41は、交点CPが旋回基準点RPよりも前にある場合、機体6の直進移動の制御を維持し、交点CPが旋回基準点RPよりも前にない場合、機体6の対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動の制御を行う第1制御処理を実行する。
【0197】
この構成によれば、制御部41は、第1制御処理を実行する。第1制御処理は、対象領域105の外周の方向を示す延長線L1と機体6の中央線との交点CPが機体6の旋回基準点RPよりも前にある場合に機体6を直進移動させる処理と、当該交点CPが機体6の旋回基準点RPよりも前にない場合に機体6を対象領域105のコーナ部に沿うように旋回移動させる処理とを含む。このため、対象領域105のコーナ部において機体6を的確に旋回移動させることができる。
【0198】
制御部41は、ライダー31にて検出された外周の所定方向と機体6の前後方向とがなす角度βが閾値α未満であれば、外周と平行に機体6を直進移動させる制御を維持し、角度βが閾値α以上であると、第1制御処理を実行する。
【0199】
この構成によれば、制御部41は、ライダー31にて検出された外周の所定方向と機体6の前後方向とのなす角度βが閾値α未満であれば、対象領域105の外周と平行に機体6を直進移動させる制御を維持するので、第1制御処理を行うことなく、機体6を対象領域105の外周と平行に直進移動させることができ、直進移動の際の処理負担を低減することができる。また、制御部41は、当該角度βが閾値α以上であると、第1制御処理を実行するので、機体6が対象領域105のコーナ部に差し掛かったときに、正確な旋回移動に移行することができる。
【0200】
外周は、波板状の壁部材、連続した円柱又は円柱台が配置されることによって凹凸を有する波形である場合、制御部41は、ライダー31にて検出された波形の外周を、この波形のうちの複数の凸値で構成される外周、複数の凹値で構成される外周、又は、複数の凹凸間の所定値で構成される外周に変換し、変換された外周の方向を示す延長線L1と機体6の前後線L2との交点CPと、旋回基準点RPとの位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。
【0201】
この構成によれば、ライダー31にて検出された外周が波形である場合、平面的な外周に変換することができ、この変換された外周の方向を示す延長線L1と機体6の前後線L2との交点CPと、機体6の旋回基準点RPとの位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御するので、波形の外周についても的確な自律移動を行うことができる。
【0202】
機体6は、散布装置4を備え、制御部41は、機体6を直進移動させる場合に散布装置4による作業を実行させ、機体6を対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動させる場合に散布装置4による作業を実行させない。
【0203】
この構成によれば、機体6が対象領域105に沿って直進移動する場合に散布装置4による作業を行い、機体6が対象領域105のコーナ部に沿って旋回移動する場合に散布装置4による作業を実行させない。このため、対象領域105のコーナ部について過剰に作業が施されることを防止でき、対象領域105に対して均等に散布装置4による作業を行うことができる。
【0204】
対象領域105の端部又は端部に設けられた囲い壁120は、平面視で半八角形である。この構成によれば、対象領域105の端部又は端部に設けられた囲い壁120は、平面視で半八角形であるので、対象領域105の端部又は囲い壁120が示す外周の方向を特定し易くなる。このため、対象領域105の端部又は囲い壁120に沿う旋回移動を精度良く実行することができる。
【0205】
対象領域105の端部又は端部に設けられた囲い壁は、平面視で半八角形以外の半多角形である。この構成によれば、対象領域105の端部又は端部に設けられた囲い壁は、平面視で半八角形以外の半多角形であるので、対象領域105の端部又は囲い壁が示す外周の方向を特定することができる。このため、対象領域105の端部又は囲い壁に沿う旋回移動を実行することができる。
【0206】
対象領域105の端部又は端部に設けられた囲い壁120は、第1の光反射特性の第1領域と、第1領域よりも光散乱性が高い第2の光反射特性の第2領域と、を備え、ライダー31は、第2領域を非接触で検出する。
【0207】
この構成によれば、ライダー31は、第1領域120Bよりも光散乱性が高い第2領域120Aを非接触で検出するので、外周の方向を検出する精度を高めることができる。
【0208】
第2実施形態では、外周検出における機体6の旋回は通常ターンであるが、これに限定されない。例えば、外周検出における機体6の旋回を機体6がピボットターン又はスピンターンとしてもよい。機体6の旋回がピボットターン又はスピンターンである場合について
図14を用いて説明する。
図14は、外周検出処理による農業用ロボットの旋回運行の一例を示す図である。
【0209】
制御部41は、延長線L1と前後線L2としての機体6の横幅で旋回内側に位置する旋回内側の前後線L21との交点CPと、旋回基準点RP1としての機体6の旋回内側の前後線L21上の旋回の中心点(旋回基準点RP1)との位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。
図14の第11状況では、側面部121の延長線L1と前後線L21とが平行であり、両者がなす角度βは0°である。このため、
図14の第11状況では、制御部41は、囲い壁120の側面部121と平行に農業用ロボット1を直進移動させる。
【0210】
図14の第12状況では、制御部41は、角度βが閾値α(例えば、45°)以上であると判定し(S62、No)、第1制御処理、つまり、交点CPと旋回基準点RP1との位置関係に基づく旋回移動の制御を実行する。具体的には、制御部41は、角度βが閾値α以上である場合(S62、No)、囲い壁120の斜面部122の延長線L1が機体6の旋回基準点RP1よりも前にあるか否かを判定する(S64)。制御部41は、延長線L1が機体6の旋回基準点RP1よりも前にある場合(S64、Yes)、農業用ロボット1を直進移動させる(S65)。延長線L1が機体6の旋回基準点RP1よりも前にある。言い換えれば、延長線L1と機体6の前後線L21との交点CPが旋回基準点RP1よりも前にある。
図14の第12状況では、制御部41は、農業用ロボット1を直進移動させる。
【0211】
図14の第14状況では、延長線L1が機体6の旋回基準点RP1よりも後にある。言い換えれば、延長線L1と機体6の前後線L21との交点CPが旋回基準点RP1よりも後にある。
図14の第14状況では、制御部41は、農業用ロボット1の右旋回を開始し、
図14の第14状況に示すように右旋回させる。なお、延長線L1が機体6の旋回基準点RP1よりも後にある期間(交点CPが旋回基準点RP1よりも後にある期間)において、右旋回が継続される。
【0212】
機体6は、第1実施形態と同様に、鉛直軸に対して、ピボットターン又はスピンターン可能な構成である。制御部41は、延長線L1と前後線L2としての機体6の横幅で旋回内側に位置する旋回内側の前後線L21との交点CPと、旋回基準点RP1としての機体6の旋回内側の前後線L21上の旋回の中心点との位置関係に基づいて、機体6の移動動作を制御する。
【0213】
この構成によれば、自律移動において直進移動と旋回移動(ピボットターン又はスピンターン)とを的確に実行することができる。
【0214】
また、第2実施形態の構成によれば、以下の第1、第5、第6方式に比べて以下のような利点がある。第1方式(衛星測位信号に基づく自律走行方式:特開2008-92818号公報)では、農業用ハウス内において衛星測位信号を好適に受信できないことがあり、農業用ハウス内では自律走行ができないことがある。上記の構成によれば、衛星測位信号を用いないので、農業用ハウス内において対象領域の壁面に沿った自律運行を行うことができる。また、第5方式(経路に沿って複数個設置されたマーカを辿って走行する自律走行方式:特許第6342781号公報)では、壁面などの物体近傍を走行する必要がある場合、走行時に機体が物体に接触しないようにマーカの設置位置を調整することに手間がかかること、マーカずれに起因する意図しない走行軌跡の変化が生じることがある。上記の構成によれば、マーカの設置及び位置調整作業を不要とすることができ、作業者に作業負担を大幅に低減することができる。また、マーカずれに起因する意図しない運行軌跡の変化を招来することが低減できる。また、第6方式(SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)に基づく自律走行方式:特開2022-83504号公報)では、自己位置推定と環境地図作成の同時実行を行うため、処理負担が増大し、高コスト化するという問題がある。上記の構成によれば、簡易な処理で的確な自律運行を行うことができる。SLAMを用いないので、環境地図作成(例えば、作業エリアのマップ作成)が不要であるので、省力化を図ることができる。また、処理負担が増大し、高コスト化するという問題が招来しない。
【0215】
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態のマーカKの認識による旋回と、第2実施形態の対象領域105のコーナ部の外周検出による旋回とを組み合わせた構成である。
【0216】
制御部41は、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されている場合には、マーカKに基づく旋回移動の制御を行う。
【0217】
制御部41は、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されておらず、且つ、検出部30(ライダー31)によって対象領域105のコーナ部の外周が検出されている場合には、コーナ部の外周検出に基づく旋回移動の制御を行う。
【0218】
図13は、第3実施形態の移動制御処理の一例を示すフローチャートである。制御部41は、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されているか否かを判定する(S71)。制御部41は、マーカKが認識されている場合(S71、Yes)、マーカKに基づく旋回移動の制御を行う(S72)。つまり、制御部41は、第1実施形態の
図7に示す右旋回処理を行う。
【0219】
制御部41は、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されておらず(S71、No)、且つ、検出部30(ライダー31)によって対象領域105のコーナ部の外周が検出されている場合(S73、Yes)、コーナ部の外周検出に基づく旋回移動の制御を行う(S74)。つまり、制御部41は、第2実施形態の
図12に示す右旋回処理を行う。
【0220】
制御部41は、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されておらず(S71、No)、且つ、検出部30(ライダー31)によって対象領域105のコーナ部の外周が検出されていない場合(S73、No)、農業用ロボット1(機体6)を異常停止させる(S75)。なお、制御部41は、農業用ロボット1を異常停止させたことを、通信部45によって外部機器に通知する。
【0221】
第3実施形態によれば、制御部41は、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されている場合には、マーカKに基づく旋回移動の制御を行い、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されておらず、且つ、検出部30(ライダー31)によって対象領域105のコーナ部の外周が検出されている場合には、コーナ部の外周検出に基づく旋回移動の制御を行う。
【0222】
この構成によれば、制御部41は、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されている場合には、マーカKに基づく旋回移動の制御を行う。一方、制御部41は、認識部20にて対象領域105のコーナ部のマーカKが認識されておらず、且つ、ライダー31によって対象領域105のコーナ部の外周が検出されている場合には、コーナ部の外周検出に基づく旋回移動の制御を行う。このため、対象領域105のコーナ部に配置されたマーカKが認識できない場合があっても、外周検出によってコーナ部を補完して認識することができ、対象圃場のコーナ部の旋回移動を確実に実行することができる。したがって、機体6の移動動作の安定性を向上させることができる。
【0223】
[第1変形例]
第1変形例は、進行方向に規定間隔J以下で2つの外周が並ぶ場合は旋回なしとする構成である。
図15は、第1変形例の場合の対象領域の一例を示す図である。
図15に示すように、2つの対象領域105がその長手方向(縦方向Y1)に間隔J1を空けて並んでいる。対象領域105の長手方向(縦方向Y1)は、機体6の進行方向と一致する。
【0224】
例えば3本目の対象領域105を農業用ロボット1が運行しているときに、ライダー31(検出部30)は、
図15に示すように、機体6の進行方向に間隔J1を空けて並んでいる2つの対象領域105を示す2つの外周、つまり、2つの壁面107を検出する。制御部41は、間隔J1を空けて並ぶ2つの壁面107が検出されると、間隔J1が規定間隔J以下であるか否かを判定する。
【0225】
制御部41は、間隔J1が規定間隔J以下であれば、外周と平行に機体6を直進移動させる制御を維持する。この場合、制御部41は、2つの壁面107を結ぶ仮想線VLを仮想的な壁面107とみなし、仮想線VLと平行に仮想線VLに対して設定距離を空けて機体6を直進移動させる。
【0226】
一方、制御部41は、間隔J1が規定間隔Jを超えていれば、対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動の制御を行う第1制御処理を実行する。
図15では、間隔J1が規定間隔Jを超えていないので、旋回移動させない。
【0227】
また、制御部41は、対象領域105に対して機体6を直進移動させる場合に散布装置4による散布を実行させる。一方、制御部41は、2つの対象領域105の間隔J1の移動中(つまり、仮想線VLに平行に移動)の場合及び機体6を対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動させる場合に散布装置4による散布を停止させている。
【0228】
第1変形例によれば、制御部41は、2つの対象領域105を示す2つの外周が機体6の進行方向に間隔J1を空けて並んでいることがライダー31(検出部30)にて検出された場合、間隔J1が規定間隔J以下であれば、外周と平行に機体6を直進移動させる制御を維持し、間隔J1が規定間隔Jを超えていれば、第1制御処理を実行する。
【0229】
この構成によれば、機体の進行方向に2つの対象領域105が規定間隔J以下で並ぶ場合であっても、機体を旋回させることなく、これらの対象領域105に平行に直進移動させることができる。また、規定間隔Jを超えて位置する遠い方の対象領域105については、別の対象領域105であると判断することができ、2つの対象領域105の間で、機体を適切に旋回させることができる。
【0230】
制御部41は、対象領域105に対して機体6を直進移動させる場合に散布装置4(作業装置)による作業を実行させ、間隔J1を空けて並ぶ2つの対象領域105のうちの一方から他方への機体の移動中(つまり、間隔J1の移動中)の場合及び機体6を対象領域105のコーナ部に沿う旋回移動させる場合に散布装置4による作業を実行させない。
【0231】
この構成によれば、対象領域105に対して機体を直進移動する場合に散布装置4(作業装置)による作業を行い、2つの対象領域105のうちの一方から他方への機体の移動中の場合及び機体が対象領域105のコーナ部に沿って旋回移動する場合に散布装置4による作業を実行させない。このため、2つの対象領域105の間隔J1、つまり、対象領域105でない区間について誤って作業が施されることを防止でき、対象領域105のコーナ部について過剰に作業が施されることを防止でき、対象領域105に対して均等に散布装置4による作業を行うことができる。
【0232】
なお、上述の第1実施形態では、
図3に示すように、マーカKは、対象領域105上に配置されているが、これに限定されない。例えば、マーカKは、
図3に示す壁部材107A、107Bの壁面107、
図9の囲い壁120などに設けてもよい。
【0233】
なお、上述の実施形態では、農業用ロボット1の運行装置7は、クローラ型としているが、車輪型であってもよい。例えば、車輪型の運行装置としては、3輪型、4輪型などが挙げられる。4輪型の運行装置は、機体6の前部の左側に配置された左前輪と、機体6の前部の右側に配置された右前輪と、機体6の後部の左側に配置された左後輪と、機体6の後部の右側に配置された右後輪とを備え、駆動モータM1を、左前輪及び右前輪のみ、左後輪及び右後輪のみ、又は、4輪の車輪の全てに備えていればよい。また、運行装置7は、3輪型であってもよく、駆動モータM1を左右の車輪に備えていればよい。
【0234】
また、農業用ロボット1は、クワッドローター又はマルチコプターなどの無人航空機(所謂、ドローンなど)のような自律飛行型のロボットであってもよい。
【0235】
なお、上述の農業用ロボット1は、作業装置として散布装置4を備え、対象領域105に向けた側方作業(散布作業)を行っているが、これに限定されない。農業用ロボット1は、例えば、作業装置として、播種装置、移植装置、施肥装置、灌水装置、植物情報収集装置(撮影装置)、害虫防除装置、雑草防除装置、搬送装置、収穫装置、摘心装置、摘果装置、授粉装置、剪定装置、及び、間引き装置の何れかを備え、対象領域105に向けた側方作業を行うとしてもよい。
【0236】
この構成によれば、作業装置は、散布装置、播種装置、移植装置、施肥装置、灌水装置、植物情報収集装置(撮影装置)、害虫防除装置、雑草防除装置、搬送装置、収穫装置、摘心装置、摘果装置、授粉装置、剪定装置、及び、間引き装置の何れかであり、対象領域に向けた側方作業を行う。機体6が対象領域に沿って直進移動する場合に、散布、播種、移植、施肥、潅水、植物情報収集(撮影)、害虫防除、雑草防除、搬送、収穫、摘心、摘果、授粉、剪定、及び、間引きのいずれかの作業を行い、機体6が対象領域のコーナ部に沿って旋回移動する場合に、散布、播種、移植、施肥、潅水、植物情報収集(撮影)、害虫防除、雑草防除、搬送、収穫、摘心、摘果、授粉、剪定、及び、間引きの作業を実行させない。このため、対象領域のコーナ部について過剰に散布、播種、移植、施肥、潅水、植物情報収集(撮影)、害虫防除、雑草防除、搬送、収穫、摘心、摘果、授粉、剪定、及び、間引きの作業が施されることを防止でき、対象領域に対して均等に散布、播種、移植、施肥、潅水、植物情報収集(撮影)、害虫防除、雑草防除、搬送、収穫、摘心、摘果、授粉、剪定、及び、間引きのいずれかの作業を行うことができる。
【0237】
また、上述の農業用ロボット1は、作物2を収穫するためのロボットハンドを有する収穫装置を作業装置として備えてもよい。この場合には、農業用ロボット1は、自律運行して移動し、対象領域105の作物2を収穫装置のロボットハンドによって収穫することができる。
【0238】
なお、上記の各実施形態及び変形例において、農業用ロボット1は、複数種類のマーカを同時に認識した場合、種々の動作を実行することが可能である。例えば、マーカK1とマーカK2とを同時に認識した場合は、マーカK1を単独で認識したときとマーカK2を単独で認識したときとのどちらでもない別の動作を行ってもよい。また、マーカK1とマーカK2とのうちであらかじめ定めた優先度の高い方の動作を実行したり、マーカK1とマーカK2との動作を両方実行したりするとしてもよい。
【0239】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0240】
1 :農業用ロボット
2 :作物
4 :散布装置(作業装置)
6 :機体
20 :認識部
21 :撮像部
21L :左側の撮像部(左カメラ)
21M :前側の撮像部(前カメラ)
21R :右側の撮像部(右カメラ)
22 :画像認識部
30 :検出部
31 :ライダー
35 :残量検出部
41 :制御部
42 :運行制御部
42a :方向特定部
43 :作業制御部
100 :施設
105 :対象領域
120 :囲い壁
K :マーカ(識別部材)
K1 :マーカ(第1識別部材)
K2 :マーカ(第2識別部材)
K3 :マーカ(第3識別部材)