(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140857
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】水素製造システム及び水素製造システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
C25B 1/042 20210101AFI20241003BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241003BHJP
C25B 15/021 20210101ALI20241003BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20241003BHJP
F22D 1/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B15/021
C25B15/08
F22D1/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052203
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩井 康
(72)【発明者】
【氏名】眞竹 徳久
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】入江 弘毅
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA09
4K021CA12
4K021DC03
(57)【要約】
【課題】SOECにおいて水蒸気の電気分解で生成される水素の製造コストを抑制するとともに電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大できる水素製造システム及び水素製造システムの運転方法を提供する。
【解決手段】水素製造システムは、水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、供給水を加熱して水蒸気を生成する水蒸気生成装置と、SOECの水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器とを備え、水蒸気生成装置は、供給水の少なくとも一部と燃焼器において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより供給水の少なくとも一部が加熱されて水蒸気の少なくとも一部が生成されるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、
供給水を加熱して前記水蒸気を生成する水蒸気生成装置と、
前記SOECの水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器と
を備え、
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記燃焼器において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより前記供給水の少なくとも一部が加熱されて前記水蒸気の少なくとも一部が生成されるように構成されている水素製造システム。
【請求項2】
前記水素極から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ラインを備え、
前記水蒸気生成装置は、前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気と前記供給水とが熱交換する主熱交換器を備え、
前記水蒸気排出ラインには、前記主熱交換器よりも上流側に前記燃焼器が設けられている、請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項3】
前記SOECの酸素極から排出された排ガスが流通するガス排出ラインと、
前記ガス排出ラインと前記燃焼器とを連通する酸素含有ガス供給ラインと
を備える、請求項2に記載の水素製造システム。
【請求項4】
前記酸素極に酸素含有ガスを供給するガス供給ラインと、
前記ガス供給ラインと前記ガス排出ラインとを連通する排ガス再循環ラインと、
前記排ガス再循環ラインを流通する排ガスを昇圧する昇圧機と
を備え、
前記酸素含有ガス供給ラインは、前記排ガス再循環ラインが前記ガス排出ラインから分岐する位置よりも下流側において前記ガス排出ラインから分岐している、請求項3に記載の水素製造システム。
【請求項5】
前記酸素極に酸素含有ガスを供給するガス供給ラインと、
前記ガス供給ラインと前記ガス排出ラインとを連通する排ガス再循環ラインと、
前記排ガス再循環ラインを流通する排ガスを昇圧する昇圧機と
を備え、
前記酸素含有ガス供給ラインは、前記昇圧機よりも下流側において前記排ガス再循環ラインから分岐している、請求項3に記載の水素製造システム。
【請求項6】
前記水素極から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ラインと、
前記SOECの酸素極から排出された排ガスが流通するガス排出ラインと、
を備え、
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記酸素極から排出された前記排ガスとが熱交換する第1熱交換器をさらに含み、
前記ガス排出ラインには、前記第1熱交換器よりも上流側に前記燃焼器が設けられ、
前記燃焼器は、水素含有ガス供給ラインを介して前記水蒸気排出ラインと連通している、請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項7】
前記水蒸気生成装置は、前記燃焼器よりも上流側で前記ガス排出ラインに設けられた第2熱交換器をさらに備え、
前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器のそれぞれにおいて、前記供給水の少なくとも一部と前記ガス排出ラインを流通する排ガスとが熱交換するように構成されている、請求項6に記載の水素製造システム。
【請求項8】
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気とが熱交換する主熱交換器を備え、
前記水素製造システムは、
前記主熱交換器に前記供給水を供給する給水ラインと、
前記給水ラインと前記第1熱交換器とを連通する給水分岐ラインと、
前記主熱交換器と前記水素極とを連通する水蒸気供給ラインと、
前記第1熱交換器と前記水蒸気供給ラインとを連通する水蒸気ラインと、
前記主熱交換器に供給される前記供給水の流量と前記給水分岐ラインを流通する供給水の流量とを調節する第1流量調節装置と
を備える、請求項6に記載の水素製造システム。
【請求項9】
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気とが熱交換する主熱交換器を備え、
前記水素製造システムは、
前記主熱交換器に前記供給水を供給する給水ラインと、
前記給水ラインと前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の両方とを連通する給水分岐ラインと、
前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の両方と前記水蒸気供給ラインとを連通する水蒸気ラインと、
前記主熱交換器に供給される前記供給水の流量と前記給水分岐ラインを流通する供給水の流量とを調節する第1流量調節装置と
を備える、請求項7に記載の水素製造システム。
【請求項10】
前記水素極から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ラインと、
前記SOECの酸素極から排出された排ガスが流通するガス排出ラインと、
前記水蒸気排出ラインと前記燃焼器とを連通する水蒸気抽気ラインと、
前記ガス排出ラインと前記燃焼器とを連通する排ガス抽気ラインと
を備え、
前記水蒸気生成装置は、
前記前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気と前記供給水とが熱交換する主熱交換器と、
前記主熱交換器において生成された水蒸気と前記燃焼器において生成した燃焼ガスとが熱交換する過熱器と
を備える、請求項1に記載の水素製造システム。
【請求項11】
前記水蒸気抽気ラインに設けられるとともに該水蒸気抽気ラインを流通する水蒸気の流量を調節する第2流量調節装置を備える、請求項10に記載の水素製造システム。
【請求項12】
前記排ガス抽気ラインに設けられるとともに該排ガス抽気ラインを流通する排ガスの流量を調節する第3流量調節装置を備える、請求項11に記載の水素製造システム。
【請求項13】
前記第1流量調節装置によって、前記給水分岐ラインを流通する前記供給水の流量を調節するステップを含む、請求項9に記載の水素製造システムの運転方法。
【請求項14】
前記第2流量調節装置によって前記過熱器における前記水蒸気の過熱度を調節するステップを含む、請求項11に記載の水素製造システムの運転方法。
【請求項15】
前記第2流量調節装置及び前記第3流量調節装置によって前記過熱器における前記水蒸気の過熱度を調節するステップを含む、請求項12に記載の水素製造システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素製造システム及び水素製造システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、固体酸化物形電解セル(SOEC)において水蒸気を電気分解することにより水素を製造する水素製造システムが記載されている。この水素製造システムでは、ボイラで生成した水蒸気は、SOECの水素極から排出されたガス(水蒸気の電気分解で生成した水素と未反応の水蒸気とを含む)と熱交換器において熱交換することにより加熱されて、SOECの水素極に供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、SOECにおいて電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大しようとすると、ボイラや熱交換器等の設備が大型化し、運転コスト上昇の原因となる。また、通常の運転範囲を超えた非定常な運転への対応などを考慮して、SOECにおける水蒸気の電解量が多い条件でボイラや熱交換器等の設備を設計すると、オーバースペックとなって、SOECにおける水蒸気の電解量が設計点より少ない通常の運転条件の場合に、水蒸気を消費しきれなくなったり、ボイラの運転条件が非効率的になったり、運転コストが増加したりするおそれがある。また、低負荷運転時においては、供給される水蒸気の温度が低下して電解電力が増大し、運転コストが増加するおそれがある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、SOECにおいて水蒸気の電気分解で生成される水素の製造コストを抑制するとともに電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大できる水素製造システム及び水素製造システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る水素製造システムは、水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、供給水を加熱して前記水蒸気を生成する水蒸気生成装置と、前記SOECの水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器とを備え、前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記燃焼器において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより前記供給水の少なくとも一部が加熱されて前記水蒸気の少なくとも一部が生成されるように構成されている
【発明の効果】
【0007】
本開示の水素製造システムによれば、水蒸気を生成するのに必要な熱量が不足した場合に、水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼器で燃焼させ、生成した燃焼ガスを含むガスと、供給水の少なくとも一部とを熱交換させることにより、生成される水蒸気量が増加するので、SOECにおいて水蒸気の電気分解で生成される水素の製造コストを抑制するとともに電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態1に係る水素製造システムの構成模式図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係る水素製造システムの変形例の構成模式図である。
【
図3】本開示の実施形態1に係る水素製造システムの別の変形例の構成模式図である。
【
図4】本開示の実施形態1に係る水素製造システムのさらに別の変形例の構成模式図である。
【
図5】本開示の実施形態2に係る水素製造システムの構成模式図である。
【
図6】本開示の実施形態2に係る水素製造システムの変形例の構成模式図である。
【
図7】本開示の実施形態2に係る水素製造システムの別の変形例の構成模式図である。
【
図8】本開示の実施形態2に係る水素製造システムのさらに別の変形例の構成模式図である。
【
図9】本開示の実施形態2に係る水素製造システムのさらに別の変形例の構成模式図である。
【
図10】本開示の実施形態2に係る水素製造システムのさらに別の変形例の構成模式図である。
【
図11】本開示の実施形態3に係る水素製造システムの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態による水素製造システムについて、図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
(実施形態1)
<本開示の実施形態1に係る水素製造システムの構成>
図1に示すように、本開示の実施形態1に係る水素製造システム1は、水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)2と、SOEC2に電圧を印加する電源装置3と、SOEC2に供給される水蒸気を生成する水蒸気生成装置5とを備えている。水蒸気生成装置5は主熱交換器5aを備え、主熱交換器5aは例えばボイラである。
【0011】
SOEC2は、水素極2aと、酸素極2bと、水素極2a及び酸素極2bとの間に設けられた固体電解質2cとを備えている。
図1には、1つのSOEC2のみが描かれているが、複数のSOEC2が筐体6内に収容された構成でもよい。電源装置3は、水素極2a及び酸素極2b間に電圧を印加するように構成されている。
【0012】
水素極2aには、水素極2aと主熱交換器5aとを連通する水蒸気供給ライン10と、水素極2aから排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ライン11とが接続されている。主熱交換器5aには、主熱交換器5aに水を供給する給水ライン18の一端が接続され、給水ライン18の他端は給水源12に接続されている。給水ライン18にはポンプ13が設けられている。主熱交換器5aは、給水ライン18を介して給水源12から供給された供給水と水蒸気排出ライン11を流通する水蒸気とが熱交換するように構成されている。
【0013】
水蒸気排出ライン11には燃焼器19が設けられている。後述するように、水蒸気排出ライン11を流通する水蒸気には水素が含まれており、燃焼器19は、水蒸気排出ライン11を流通する水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させるためのものである。このため、燃焼器19には、例えば空気のような酸素含有ガスを燃焼器19に供給するための酸素含有ガス供給ライン17が接続されている。水蒸気排出ライン11には、主熱交換器5aよりも下流側に、凝縮器14を設けてもよい。
【0014】
酸素極2bには、酸素極2bに供給される酸素含有ガス、例えば空気が流通するガス供給ライン20と、酸素極2bから排出された排ガスが流通するガス排出ライン21とが接続されている。ガス供給ライン20には、空気を圧縮するコンプレッサ22が設けられ、ガス排出ライン21には、酸素極2bから排出された排ガスによって駆動されるパワータービン23が設けられている。
【0015】
<本開示の実施形態1に係る水素製造システムの動作>
次に、本開示の実施形態1に係る水素製造システム1の動作について説明する。給水源12から供給された供給水が、ポンプ13により加圧されて給水ライン18を流通し、主熱交換器5aにおいて加熱されて水蒸気となる。主熱交換器5aにおいて生成した水蒸気は、水蒸気供給ライン10を流通して水素極2aに流入する。一方、コンプレッサ22によって圧縮された空気は、ガス供給ライン20を流通して酸素極2bに流入する。
【0016】
電源装置3が水素極2a及び酸素極2b間に電圧を印加することにより、水素極2a内の水蒸気が電気分解されて、水素と酸素イオン(O2-)とが生成される(下記反応式(1)参照)。酸素イオンは固体電解質2cを通過し、酸素極2bにおいて酸素となる(下記反応式(2)参照)。水素極2aから排出される水蒸気には、電気分解により生成された水素が含まれ、水素を含んだ水蒸気は水蒸気排出ライン11を流通する。酸素極2bから排出された排ガスは、ガス排出ライン21を流通し、パワータービン23に流入してパワータービン23を駆動する。
H2O+2e-→H2+O2- ・・・(1)
2O2-→O2+4e- ・・・(2)
【0017】
水素極2aから排出された水蒸気(水素を含む)は、水蒸気排出ライン11を流通し、主熱交換器5aにおいて、ポンプ13により加圧された供給水と熱交換する。主熱交換器5aにおいて、供給水は加熱されて水蒸気となり、水素極2aから排出された水蒸気は冷却される。主熱交換器5aから排出された水蒸気は、水蒸気排出ライン11を流通し、凝縮器14に流入する。凝縮器14では、水蒸気が水に凝縮されることで、水と水素とが気液分離される。凝縮器14で凝縮された水は排水処理されるか、又は、任意の装置で再利用され、水素は、図示しない水素消費装置又は水素貯蔵装置に送られる。
【0018】
主熱交換器5aにおいて、給水源12から供給された供給水と水素極2aから排出された水蒸気とを熱交換するだけでは、SOEC2において電気分解される水蒸気量を増加させようとしたときに、主熱交換器5aにおいて水蒸気を生成するのに必要な熱量が不足してしまう場合がある。このような場合、実施形態1では、燃焼器19において、水素極2aから排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる。燃焼器19における水素の燃焼により生成された燃焼ガスを含む水蒸気は、水素の燃焼熱により温度が上昇する。そのため、燃焼器19において水素の燃焼を行わない場合と比べて、主熱交換器5aに供給される水蒸気は高温となり、主熱交換器5aに供給される供給水との熱交換で生成される水蒸気量を増加させることができる。これにより、SOEC2において必要な量の水蒸気を供給することが可能になる。尚、酸素含有ガス供給ライン17を介して供給される空気の量を調節することにより、燃焼器19から排出される水蒸気の温度を調節可能である。
【0019】
このように、水蒸気生成装置5において水蒸気を生成するのに必要な熱量が不足した場合に、水素極2aから排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼器19で燃焼させ、生成した燃焼ガスを含むガスと、供給水とを熱交換させることにより、生成される水蒸気量を増加させることができるので、SOEC2において電気ボイラの追加等の蒸気生成装置のコスト増加を抑制するとともに電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大することができる。
【0020】
<本開示の実施形態1に係る水素製造システムの変形例>
実施形態1では、燃焼器19に供給される酸素含有ガスの供給元を特定しなかったが、酸素含有ガス供給ライン17に圧縮機を設けて、圧縮機を駆動させることにより大気中の空気を燃焼器19に供給してもよいし、酸素含有ガスの貯蔵タンクや酸素含有ガスの製造装置から酸素含有ガスを燃焼器19に供給してもよい。また、
図2に示すように、ガス排出ライン21と燃焼器19とを連通するように酸素含有ガス供給ライン17を設け、酸素極2bから排出された排ガスの一部を酸素含有ガスとして燃焼器19に供給してもよい。
図2の構成によれば、酸素含有ガスとして高温(水蒸気と同程度の温度)の排ガスを利用することができるので、水蒸気を生成するのに必要な熱量を得るために燃焼器19で消費される水素の量を低減することができ、その結果、水素製造システム1における水素の製造コストを低減することができる。
【0021】
また、酸素極2bから排出された排ガスの一部を酸素含有ガスとして燃焼器19に供給する構成の代替的な構成として、
図3に示すように、酸素極2bから排出された排ガスの一部を酸素極2bに循環させる目的で、ガス供給ライン20とガス排出ライン21とを連通する排ガス再循環ライン24が設けられているとともに排ガス再循環ライン24に昇圧機25が設けられている場合、排ガス再循環ライン24がガス排出ライン21から分岐する位置Aよりも下流側において酸素含有ガス供給ライン17がガス排出ライン21から分岐するように構成してもよい。このような構成によれば、排ガスの循環系統(具体的には、排ガス再循環ライン24を流通する排ガス)への影響を抑えながら、排ガスを燃焼器19に供給することができる。
【0022】
また、
図4に示すように、昇圧機25よりも下流側において酸素含有ガス供給ライン17が排ガス再循環ライン24から分岐するように構成してもよい。この構成によれば、昇圧機25によって昇圧された状態の排ガスが燃焼器19に供給されるので、燃焼器19に排ガスを供給するために酸素含有ガス供給ライン17に圧縮機を設ける必要がなくなる。また、昇圧機25よりも下流側において排ガス再循環ライン24に、排ガスから熱回収するための熱交換器26が設けられている場合には、昇圧機25と熱交換器26との間において酸素含有ガス供給ライン17が排ガス再循環ライン24から分岐するように構成してもよい。この構成によれば、熱交換器26において冷却される前の排ガスを燃焼器19に供給することができるので、燃焼器19における水素の消費量を抑制することができる。尚、熱交換器26は、後述する実施形態2の
図5に示される第1熱交換器5bと同じように使用することもできる。
【0023】
(実施形態2)
次に、本開示の実施形態2に係る水素製造システムについて説明する。実施形態2に係る水素製造システムは、実施形態1に対して、燃焼器19を設ける位置を変更したものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0024】
<本開示の実施形態2に係る水素製造システムの構成>
図5に示すように、本開示の実施形態2に係る水素製造システム1では、燃焼器19はガス排出ライン21に設けられている。水素極2aから排出された水素を含む水蒸気(水素含有ガス)の一部を燃焼器19に供給するために、燃焼器19には、水蒸気排出ライン11から分岐した水素含有ガス供給ライン30が接続されている。
【0025】
水蒸気生成装置5は、主熱交換器5aに加えて、燃焼器19よりも下流側でガス排出ライン21に設けられた第1熱交換器5bを備えている。第1熱交換器5bは、給水源12から供給される供給水の一部とガス排出ライン21を流通する排ガスとを熱交換するためのものである。第1熱交換器5bには、給水源12から供給される供給水の一部を第1熱交換器5bに供給するために、ポンプ13よりも下流側で給水ライン18から分岐した給水分岐ライン32が接続されている。後述する動作により第1熱交換器5bにおいて水蒸気が生成されるが、この水蒸気を水蒸気供給ライン10に供給するために、第1熱交換器5bと水蒸気供給ライン10とを連通する水蒸気ライン33が設けられている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0026】
<本開示の実施形態2に係る水素製造システムの動作>
次に、本開示の実施形態2に係る水素製造システム1の動作について説明する。給水源12からの供給水は、一部が給水分岐ライン32を流通して第1熱交換器5bに流入し、残りが主熱交換器5aに流入する。主熱交換器5aでは、実施形態1と同様に、水素極2aから排出された水蒸気と供給水とが熱交換することにより供給水が加熱されて水蒸気となり、主熱交換器5aから排出される。
【0027】
第1熱交換器5bに流入した供給水は、酸素極2bから排出されてガス排出ライン21を流通する排ガスと熱交換することにより加熱されて水蒸気となる。この水蒸気は、第1熱交換器5bから排出された後、水蒸気ライン33を流通して水蒸気供給ライン10に流入し、主熱交換器5aから排出された水蒸気と混合されて水素極2aに流入する。SOEC2における水蒸気の電気分解の動作と、水素極2aから排出された水蒸気が主熱交換器5aにおいて供給水と熱交換した後の動作と、酸素極2bに空気を供給する動作とについては実施形態1と同じである。
【0028】
実施形態2においてSOEC2に供給する水蒸気量を増加させようとする場合の動作は実施形態1と異なる。次に、実施形態2におけるこの動作について説明する。水蒸気量を増加させる場合、実施形態2では、燃焼器19において、水素含有ガス供給ライン30を介して燃焼器19に供給される水蒸気中の水素を、ガス排出ライン21を流通する排ガス中の酸素を用いて燃焼させる。供給される水蒸気は排ガスと同程度の温度となっているので、燃焼器19における水素の燃焼により生成された排ガス(燃焼排ガス)は、水素の燃焼熱により温度が上昇する。そのため、燃焼器19において水素の燃焼を行わない場合と比べて、第1熱交換器5bに供給される排ガスは高温となり、第1熱交換器5bに供給される供給水との熱交換で生成される水蒸気量を増加させることができる。これにより、SOEC2において必要な量の水蒸気を供給することが可能になる。尚、水素含有ガス供給ライン30を介して供給される水蒸気の量を調節することにより、燃焼器19から排出される排ガスの温度を調節可能である。
【0029】
このように、実施形態2においても、実施形態1と同様に、SOEC2において電気分解できる水蒸気量の範囲を広くカバーできる。ただし、実施形態1では、水素極2aから排出された水蒸気中に酸素含有ガスが供給されるので、水素製造システム1の製品水素の純度が低下するおそれがある。これに対し、実施形態2では、水蒸気排出ライン11を流通する水蒸気から抽気された水蒸気を燃焼器19に供給することにより、水蒸気排出ライン11を流通する水蒸気に酸素含有ガスが供給されない構成としているので、水素製造システム1の製品水素の純度が低下することを防止できる。
【0030】
<本開示の実施形態2に係る水素製造システムの変形例>
図6に示すように、水蒸気生成装置5の構成の一部として、燃焼器19よりも上流側でガス排出ライン21に、給水源12から供給される供給水の一部とガス排出ライン21を流通する排ガスとを熱交換する第2熱交換器5cをさらに追加して設けてもよい。
図6には、給水源12から供給される供給水が第1熱交換器5bにおいて排ガスと熱交換した後に、第2熱交換器5cにおいて排ガスと熱交換する構成が描かれているが、この形態に限定するものではない。給水源12から供給される供給水が第2熱交換器5cにおいて排ガスと熱交換した後に、第1熱交換器5bにおいて排ガスと熱交換する構成であってもよいし、給水源12から供給される供給水が2つの流れに分割された後に第1熱交換器5b及び第2熱交換器5cのそれぞれに供給され、第1熱交換器5b及び第2熱交換器5cのそれぞれにおいて生成した水蒸気が合流した後に、又は別々に水蒸気供給ライン10に流入する構成であってもよい。
【0031】
この構成では、燃焼器19に流入する排ガスは、第2熱交換器5cにおいて水又は水蒸気と熱交換することにより冷却される。このため、燃焼器19に流入する排ガスの温度が
図5の構成に比べて低下する。燃焼器19において生成する燃焼ガスの温度が高くなり過ぎると、燃焼器19の耐熱性に起因して、燃焼器19における可能な燃焼量が制約を受けるが、燃焼器19に流入する排ガスの温度を抑制することにより、燃焼器19における可能な燃焼量を増大できるので、SOEC2において電気分解できる水蒸気量の範囲をさらに拡大することができる。
【0032】
図7に示すように、水素極2aから排出された水蒸気の一部を水素極2aに循環させる目的で、水蒸気供給ライン10と水蒸気排出ライン11とを連通する水蒸気再循環ライン34が設けられているとともに水蒸気再循環ライン34に昇圧機35が設けられている場合、水蒸気再循環ライン34が水蒸気排出ライン11から分岐する位置Bよりも下流側において水素含有ガス供給ライン30が水蒸気排出ライン11から分岐するように構成してもよい。このような構成によれば、水蒸気の循環系統(具体的には、水蒸気再循環ライン34を流通する水蒸気)に直接的な影響を与えずに、水蒸気に含まれる水素を燃焼器19に供給することができる。
【0033】
また、
図8に示すように、昇圧機35よりも下流側において水素含有ガス供給ライン30が水蒸気再循環ライン34から分岐するように構成してもよい。この構成によれば、昇圧機35によって昇圧された状態の水蒸気(水素含有ガス)が燃焼器19に供給されるので、燃焼器19に水素を供給するために水素含有ガス供給ライン30に昇圧機を設ける必要がなくなる。
【0034】
さらに、
図9に示すように、水素製造システム1が、主熱交換器5aの下流側における水蒸気排出ライン11と水蒸気供給ライン10又は主熱交換器5a内の蒸発器(図示せず)とを連通する低温水蒸気再循環ライン36と、低温水蒸気再循環ライン36に設けられた昇圧機37とを備える構成において、昇圧機37よりも下流側において水素含有ガス供給ライン30が低温水蒸気再循環ライン36から分岐するように構成すれば、
図8の構成と同様に、昇圧機37によって昇圧された状態の水蒸気が燃焼器19に供給されるので、燃焼器19に水蒸気を供給するために水素含有ガス供給ライン30に圧縮機を設ける必要がなくなる。また、
図8の昇圧機35と比べて、昇圧機37が低温で動作するため、圧縮動力の低減や昇圧機本体の低廉化が可能となる。
【0035】
図10に示すように、給水源12から供給される供給水に対して、主熱交換器5aに供給される供給水の流量と給水分岐ライン32を流通する供給水の流量とを調節する第1流量調節装置38を設けてもよい。第1流量調節装置38の構成については特に限定するものではなく、例えば、給水分岐ライン32に設けられた流量調節バルブ38aであってもよい。第1流量調節装置38が流量調節バルブの場合、流量調節バルブは、給水分岐ライン32ではなく、給水分岐ライン32が給水ライン18から分岐する位置よりも下流側で給水ライン18に設けられてもよく、または、給水分岐ライン32及び給水ライン18のそれぞれに流量調節バルブを設けてもよい。
【0036】
このような構成によれば、流量調節バルブ38aの開度を調節することにより、主熱交換器5aに供給される供給水の流量と給水分岐ライン32を流通する供給水の流量とのそれぞれが調節され、主熱交換器5a及び第1熱交換器5bのそれぞれで生成する水蒸気の量を調節することができる。その結果、水素製造システム1で発生する余剰の熱を最大限利用しながら、低負荷時や負荷変動時においても、SOEC2における水蒸気の電気分解に必要な量の水蒸気を適切に供給することが可能になる。また、第1流量調節装置38が設けられる場合、主熱交換器5aへ供給される供給水の流量を調節する機構を設け、この機構により、供給水の流量が水素製造システム1の運転に必要な流量となるように調節してもよい。これにより、主熱交換器5a及び第1熱交換器5bにおいて生成される水蒸気量を個別に調節することができる。尚、この機構の構成については特に限定するものではなく、例えば、ポンプ13が設けられている場合には、ポンプ13の吐出量を調節する装置であってもよい。
【0037】
尚、
図10は、実施形態2(
図5)の構成に対して第1流量調節装置38を設けた構成であるが、この形態に限定するものではない。実施形態2の各変形例(
図6~9)の構成に対して第1流量調節装置38を設けた構成としても、同様の動作により同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
(実施形態3)
次に、本開示の実施形態3に係る水素製造システムについて説明する。実施形態3に係る水素製造システムは、実施形態1に対して、水蒸気生成装置5が、生成された水蒸気を過熱するための過熱器を備え、過熱器の熱源として燃焼器で発生した燃焼熱を利用するようにしたものである。尚、実施形態1において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、構成上の矛盾がない限り、実施形態1で説明した変形例の構成を実施形態3にも適用可能である。
【0039】
<本開示の実施形態3に係る水素製造システムの構成>
図11に示すように、本開示の実施形態3に係る水素製造システム1において、水蒸気生成装置5は、主熱交換器5aと、主熱交換器5aにおいて生成された水蒸気と燃焼器19において生成した燃焼ガスとが熱交換する過熱器5dとを備えている。燃焼器19には、水蒸気排出ライン11から分岐した水蒸気抽気ライン40と、ガス排出ライン21から分岐した排ガス抽気ライン41とがそれぞれ接続されている。すなわち、水蒸気抽気ライン40は水蒸気排出ライン11と燃焼器19とを連通し、排ガス抽気ライン41はガス排出ライン21と燃焼器19とを連通している。燃焼器19は、燃焼ガス供給ライン42を介して過熱器5dに連通し、燃焼ガス排出ライン43を介して、排ガス抽気ライン41がガス排出ライン21から分岐する位置Cよりも下流側でガス排出ライン21に連通している。
【0040】
水蒸気抽気ライン40には、水蒸気抽気ライン40を流通する水蒸気の流量を調節する第2流量調節装置44を設けてもよい。さらに、排ガス抽気ライン41には、排ガス抽気ライン41を流通する排ガスの流量を調節する第3流量調節装置45を設けてもよい。第2流量調節装置44及び第3流量調節装置45のそれぞれの構成については特に限定するものではなく、例えば、流量調節バルブ44a及び45aであってもよい。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0041】
<本開示の実施形態3に係る水素製造システムの動作>
実施形態1と同様にして、主熱交換器5aでは、給水源12から供給された供給水と水素極2aから排出された水蒸気とが熱交換することにより供給水が加熱されて水蒸気となる。主熱交換器5aから排出された水蒸気は過熱器5dにおいて、後述する動作によって燃焼器19で生成した燃焼ガスと熱交換することによりさらに過熱された過熱蒸気となる。実施形態3では、水素極2aに流入する水蒸気の温度をさらに高めることができるので、SOEC2の動作条件を低負荷の運転時においても所望の範囲内に維持することができる。
【0042】
尚、実施形態3において、燃焼器19には、水蒸気排出ライン11を流通する水蒸気の一部が水蒸気抽気ライン40を介して供給されるとともに、ガス排出ライン21を流通する排ガスの一部が排ガス抽気ライン41を介して供給され、水蒸気に含まれる水素が排ガスに含まれる酸素によって燃焼される。供給される水蒸気及び排ガスは同程度の温度となっているので、燃焼器19における水素の燃焼により生成された燃焼ガス(燃焼排ガス)は、水素の燃焼により温度が上昇する。そのため、生成された燃焼ガス(燃焼排ガス)は過熱器5dにおいて、主熱交換器5aから排出された水蒸気と熱交換することにより水蒸気を過熱することができ、供給水が主熱交換器5aと過熱器5dにおいて熱交換することにより生成される水蒸気量を増加させることができる。過熱器5dにおいて水蒸気と熱交換した燃焼ガスは、燃焼ガス排出ライン43を介してガス排出ライン21に流入し、ガス排出ライン21を流通する排ガスと混合される。
【0043】
水蒸気抽気ライン40に流量調節バルブ44aが設けられている場合には、流量調節バルブ44aを用いて過熱器5dにおける水蒸気の過熱度を調節することにより、水素極2aに流入する水蒸気の温度を所望の温度に制御できるので、SOEC2の動作条件を最適な状態に維持することができる。流量調節バルブ44aに加えて、排ガス抽気ライン41に流量調節バルブ45aが設けられている場合には、流量調節バルブ44a及び45aを用いて過熱器5dにおける水蒸気の過熱度を調節することにより、水素極2aに流入する水蒸気の温度の制御がさらに容易となるので、より幅広いSOEC2の運転領域においても安定した運転が可能となる。
【0044】
(本開示の水蒸気生成装置と燃焼器との関係)
本開示において、実施形態1では水蒸気生成装置5は主熱交換器5aを備え、主熱交換器5aにおいて、給水源12から供給された供給水と燃焼器19において生成した燃焼ガスを含む水蒸気とが熱交換することにより供給水が加熱されて水蒸気が生成される。実施形態2では水蒸気生成装置5は、主熱交換器5a及び第1熱交換器5bを備える構成、又は、主熱交換器5aと第1熱交換器5b及び第2熱交換器5cを備える構成を有し、第1熱交換器5b及び第2熱交換器5cにおいて、給水源12から供給された供給水の一部と、水素極2aから排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器19において生成した燃焼ガスを含む排ガスとが熱交換することにより、供給水が加熱されて水蒸気が生成される。実施形態3では水蒸気生成装置5は、主熱交換器5a及び過熱器5dを備え、過熱器5dにおいて、主熱交換器5aから排出された水蒸気と、水素極2aから排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器19において生成した燃焼ガスとが熱交換することにより、水蒸気がさらに過熱されて、水素極2aに流入する過熱蒸気が生成される。実施形態1~3によれば、水蒸気生成装置5は、水素製造システム1に、供給水の少なくとも一部と、水素極2aから排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器19において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより、供給水(主熱交換器5aにおいて生成した水蒸気も含む)の少なくとも一部が加熱されて水蒸気の少なくとも一部が生成され、全体として生成される水蒸気量が増加するように構成されていると言える。
【0045】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0046】
[1]一の態様に係る水素製造システムは、
水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)(2)と、
供給水を加熱して前記水蒸気を生成する水蒸気生成装置(5)と、
前記SOEC(2)の水素極(2a)から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器(19)と
を備え、
前記水蒸気生成装置(5)は、前記供給水の少なくとも一部と前記燃焼器(19)において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより前記供給水の少なくとも一部が加熱されて前記水蒸気の少なくとも一部が生成されるように構成されている。
【0047】
本開示の水素製造システムによれば、水蒸気を生成するのに必要な熱量が不足した場合に、水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼器で燃焼させ、生成した燃焼ガスを含むガスと、供給水の少なくとも一部とを熱交換させることにより、生成される水蒸気量が増加するので、SOECにおいて水蒸気の電気分解で生成される水素の製造コストを抑制するとともに電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大することができる。
【0048】
[2]別の態様に係る水素製造システムは、[1]の水素製造システムであって、
前記水素極(2a)から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ライン(11)を備え、
前記水蒸気生成装置(5)は、前記水蒸気排出ライン(11)を流通する水蒸気と前記供給水とが熱交換する主熱交換器(5a)を備え、
前記水蒸気排出ライン(11)には、前記主熱交換器(5a)よりも上流側に前記燃焼器(19)が設けられている。
【0049】
このような構成によれば、水蒸気を生成するのに必要な熱量が不足した場合に、供給水と燃焼器において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより、供給水がさらに加熱されて生成される水蒸気量が増加するので、SOECにおいて電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大することができる。
【0050】
[3]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[2]の水素製造システムであって、
前記SOEC(2)の酸素極(2b)から排出された排ガスが流通するガス排出ライン(21)と、
前記ガス排出ライン(21)と前記燃焼器(19)とを連通する酸素含有ガス供給ライン(17)と
を備える。
【0051】
このような構成によれば、水素を燃焼させるために必要な酸素含有ガスとして高温の排ガスを利用することができるので、水蒸気を生成するのに必要な熱量を得るために燃焼器で消費される水素の量を低減することができ、その結果、水素製造システムにおける水素の製造コストを低減することができる。
【0052】
[4]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[3]の水素製造システムであって、
前記酸素極(2b)に酸素含有ガスを供給するガス供給ライン(20)と、
前記ガス供給ライン(20)と前記ガス排出ライン(21)とを連通する排ガス再循環ライン(24)と、
前記排ガス再循環ライン(24)を流通する排ガスを昇圧する昇圧機(25)と
を備え、
前記酸素含有ガス供給ライン(17)は、前記排ガス再循環ライン(24)が前記ガス排出ライン(21)から分岐する位置(A)よりも下流側において前記ガス排出ライン(21)から分岐している。
【0053】
このような構成によれば、水素を燃焼させるために必要な酸素含有ガスとしてさらに高温の排ガスを低負荷時や負荷変動時にも安定して燃焼器で利用することができるので、水蒸気を生成するのに必要な熱量を得るために燃焼器で消費される水素の量を低減することができ、その結果、水素製造システムにおける水素の製造コストを低減することができる。
【0054】
[5]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[3]の水素製造システムであって、
前記酸素極(2b)に酸素含有ガスを供給するガス供給ライン(20)と、
前記ガス供給ライン(20)と前記ガス排出ライン(21)とを連通する排ガス再循環ライン(24)と、
前記排ガス再循環ライン(24)を流通する排ガスを昇圧する昇圧機(25)と
を備え、
前記酸素含有ガス供給ライン(17)は、前記昇圧機(25)よりも下流側において前記排ガス再循環ライン(24)から分岐している。
【0055】
このような構成によれば、水素を燃焼させるために必要な酸素含有ガスを燃焼器に供給するときに、ガス排出ラインの圧力よりも高い圧力へ昇圧する必要がある場合でも、酸素含有ガスの昇圧用として昇圧機を別置きする必要がなく、排ガス再循環ラインに設けられた昇圧機によって昇圧された酸素含有ガスとしての排ガスを燃焼器に供給できるので、水素製造システムにおける水素の製造コストを低減することができる。
【0056】
[6]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[1]の水素製造システムであって、
前記水素極(2a)から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ライン(11)と、
前記SOEC(2)の酸素極(2b)から排出された排ガスが流通するガス排出ライン(21)と、
を備え、
前記水蒸気生成装置(5)は、前記供給水の少なくとも一部と前記酸素極(2b)から排出された前記排ガスとが熱交換する第1熱交換器(5b)をさらに含み、
前記ガス排出ライン(21)には、前記第1熱交換器(5b)よりも上流側に前記燃焼器(19)が設けられ、
前記燃焼器(19)は、水素含有ガス供給ライン(30)を介して前記水蒸気排出ライン(11)と連通している。
【0057】
[2]~[5]の構成では、水素極から排出された水蒸気中に酸素含有ガスが供給されるので、水素製造システムの製品水素の純度が低下するおそれがある。これに対し、[4]の構成によれば、水蒸気排出ラインを流通する水蒸気から抽気された水素を含んだ水蒸気を燃焼器に供給することにより、水蒸気排出ラインを流通する水蒸気に酸素含有ガスが供給されないので、水素製造システムの製品水素の純度が低下することを防止できる。
【0058】
[7]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[6]の水素製造システムであって、
前記水蒸気生成装置(5)は、前記燃焼器(19)よりも上流側で前記ガス排出ライン(21)に設けられた第2熱交換器(5c)をさらに備え、
前記第1熱交換器(5b)及び前記第2熱交換器(5c)のそれぞれにおいて、前記供給水の少なくとも一部と前記ガス排出ラインを流通する排ガスとが熱交換するように構成されている。
【0059】
このような構成によれば、第2熱交換器における排ガスと供給水との熱交換において排ガスが冷却されることにより、燃焼器に流入する排ガスの温度が[6]の構成に比べて低下する。燃焼器において生成する燃焼ガスの温度が高くなり過ぎると、燃焼器の耐熱性に起因して、燃焼器における可能な燃焼量が制約を受けるが、燃焼器に流入する排ガスの温度を低下させることにより、燃焼器における可能な燃焼量を増大できるので、生成される水蒸気量を増加でき、SOECにおいて電気分解できる水蒸気量の範囲をさらに拡大することができる。
【0060】
[8]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[6]の水素製造システムであって、
前記水蒸気生成装置(5)は、前記供給水の少なくとも一部と前記水蒸気排出ライン(11)を流通する水蒸気とが熱交換する主熱交換器(5a)を備え、
前記水素製造システム(1)は、
前記主熱交換器(5a)に前記供給水を供給する給水ライン(18)と、
前記給水ライン(18)と前記第1熱交換器(5b)とを連通する給水分岐ライン(32)と、
前記主熱交換器(5a)と前記水素極(2a)とを連通する水蒸気供給ライン(10)と、
前記第1熱交換器(5b)と前記水蒸気供給ライン(10)とを連通する水蒸気ライン(33)と、
前記主熱交換器(5a)に供給される前記供給水の流量と前記給水分岐ライン(32)を流通する供給水の流量とを調節する第1流量調節装置(38)と
を備える。
【0061】
このような構成によれば、主熱交換器と第1熱交換器とのそれぞれにおける供給水の加熱量を調節できるので、水素製造システムで発生する余剰の熱利用を最大限に行いながら、SOECにおいて電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大でき、電気分解に必要な水蒸気量が増加しても水蒸気を確保することが可能になる。
【0062】
[9]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[7]の水素製造システムであって、
前記水蒸気生成装置(5)は、前記供給水の少なくとも一部と前記水蒸気排出ライン(11)を流通する水蒸気とが熱交換する主熱交換器(5a)を備え、
前記水素製造システム(1)は、
前記主熱交換器(5a)に前記供給水を供給する給水ライン(18)と、
前記給水ライン(18)と前記第1熱交換器(5b)及び前記第2熱交換器(5c)の両方とを連通する給水分岐ライン(32)と、
前記第1熱交換器(5b)及び前記第2熱交換器(5c)の両方と前記水蒸気供給ライン(10)とを連通する水蒸気ライン(33)と、
前記主熱交換器(5a)に供給される前記供給水の流量と前記給水分岐ライン(32)を流通する供給水の流量とを調節する第1流量調節装置(38)と
を備える。
【0063】
このような構成によれば、主熱交換器と第1熱交換器と第2熱交換器とのそれぞれにおける供給水の加熱量を調節できるので、さらに幅広い運転条件で運転される水素製造システムで発生した余剰の熱を最大限に利用しながら、SOECにおいて電気分解できる水蒸気量の範囲を拡大でき、電気分解に必要な水蒸気量が増加しても水蒸気を確保することが可能になる。尚、水素含有ガス供給ライン(30)は水蒸気排出ライン(11)に接続された水蒸気再循環ライン(34)の分岐点(B)より下流(
図7参照)、又は、水蒸気再循環ライン(34)の昇圧機(35)より下流(
図8参照)、又は、主熱交換器(5a)の下流に接続された低温水蒸気再循環ライン(36)の昇圧機(37)の下流(
図9参照)に接続されてもよい。
【0064】
[10]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[1]の水素製造システムであって、
前記水素極(2a)から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ライン(11)と、
前記SOEC(2)の酸素極(2b)から排出された排ガスが流通するガス排出ライン(21)と、
前記水蒸気排出ライン(11)と前記燃焼器(19)とを連通する水蒸気抽気ライン(40)と、
前記ガス排出ライン(21)と前記燃焼器(19)とを連通する排ガス抽気ライン(41)と
を備え、
前記水蒸気生成装置(5)は、
前記前記水蒸気排出ライン(11)を流通する水蒸気と前記供給水とが熱交換する主熱交換器(5a)と、
前記主熱交換器(5a)において生成された水蒸気と前記燃焼器(19)において生成した燃焼ガスとが熱交換する過熱器(5d)と
を備える。
【0065】
このような構成によれば、水蒸気生成装置で生成された水蒸気を過熱器において過熱することにより、水素極に流入する水蒸気の温度をさらに高めることができるので、SOECの動作温度を低負荷運転時でも所望の範囲内に維持することができ、運転コストの増大を抑制することができる。
【0066】
[11]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[10]の水素製造システムであって、
前記水蒸気抽気ライン(40)に設けられるとともに該水蒸気抽気ライン(40)を流通する水蒸気の流量を調節する第2流量調節装置(44)を備える。
【0067】
このような構成によれば、第2流量調節装置によって過熱器における水蒸気の過熱を調節することにより、SOECの水素極に流入する水蒸気の温度の制御が容易となるので、SOECの動作温度を低負荷運転時でも所望の範囲内に維持することができ、運転コストの増大を抑制することができる。
【0068】
[12]さらに別の態様に係る水素製造システムは、[11]の水素製造システムであって、
前記排ガス抽気ライン(41)に設けられるとともに該排ガス抽気ライン(41)を流通する排ガスの流量を調節する第3流量調節装置(45)を備える。
【0069】
このような構成によれば、第2流量調節装置及び第3流量調節装置によって過熱器における水蒸気の過熱を調節することにより、SOECの水素極に流入する水蒸気の温度の制御がさらに容易となるので、より幅広い運転領域におけるSOECの安定した運転が可能となり、運転コストの増大を抑制することができる。
【0070】
[13]一の態様に係る水素製造システムは、
[9]の水素製造システムの運転方法であって、
前記第1流量調節装置(38)によって、前記給水分岐ライン(32)を流通する前記供給水の流量を調節するステップを含む。
【0071】
本開示の水素製造システムの運転方法によれば、主熱交換器及び第1熱交換器のそれぞれで生成する水蒸気の量を調節することができるので、水素製造システムで発生する余剰の熱利用を最大限行いながら、低負荷時や負荷変動時においても、SOECにおける水蒸気の電気分解に必要な量の水蒸気を適切に供給することが可能になる。
【0072】
[14]一の態様に係る水素製造システムは、
[11]の水素製造システムの運転方法であって、
前記第2流量調節装置(44)によって前記過熱器(5d)における前記水蒸気の過熱度を調節するステップを含む。
【0073】
本開示の水素製造システムの運転方法によれば、第2流量調節装置によって過熱器における水蒸気の過熱度を調節することにより、水素極に流入する水蒸気の温度を所望の温度に制御できるので、SOECの動作条件を最適な状態に維持することができる。
【0074】
[15]一の態様に係る水素製造システムは、
[12]の水素製造システムの運転方法であって、
前記第2流量調節装置(44)及び前記第3流量調節装置(45)によって前記過熱器(5d)における前記水蒸気の過熱度を調節するステップを含む。
【0075】
本開示の水素製造システムの運転方法によれば、第2流量調節装置及び第3流量調節装置によって過熱器において生成したい水蒸気の過熱度に応じた水素ガス含有ガスの流量と酸素含有ガスの流量と燃焼器に供給するように調節することにより、水素極に流入する水蒸気の温度の制御がさらに容易となるので、より幅広いSOECの運転領域においても安定した運転が可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1 水素製造システム
2 固体酸化物形電解セル(SOEC)
2a 水素極
2b 酸素極
5 水蒸気生成装置
5a 主熱交換器
5b 第1熱交換器
5c 第2熱交換器
5d 過熱器
10 水蒸気供給ライン
11 水蒸気排出ライン
12 給水源
13 ポンプ
17 酸素含有ガス供給ライン
18 給水ライン
19 燃焼器
20 ガス供給ライン
21 ガス排出ライン
24 排ガス再循環ライン
25,35,37 昇圧機
30 水素含有ガス供給ライン
32 給水分岐ライン
33 水蒸気ライン
38 第1流量調節装置
40 水蒸気抽気ライン
41 排ガス抽気ライン
44 第2流量調節装置
45 第3流量調節装置
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、
供給水を加熱して前記水蒸気を生成する水蒸気生成装置と、
前記SOECの水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器と、
前記水素極から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ラインと、
前記SOECの酸素極から排出された排ガスが流通するガス排出ラインと、
前記ガス排出ラインと前記燃焼器とを連通する酸素含有ガス供給ラインと、
前記酸素極に酸素含有ガスを供給するガス供給ラインと、
前記ガス供給ラインと前記ガス排出ラインとを連通する排ガス再循環ラインと、
前記排ガス再循環ラインを流通する排ガスを昇圧する昇圧機と
を備え、
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記燃焼器において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより前記供給水の少なくとも一部が加熱されて前記水蒸気の少なくとも一部が生成されるように構成され、
前記水蒸気生成装置は、前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気と前記供給水とが熱交換する主熱交換器を備え、
前記水蒸気排出ラインには、前記主熱交換器よりも上流側に前記燃焼器が設けられ、
前記酸素含有ガス供給ラインは、前記排ガス再循環ラインが前記ガス排出ラインから分岐する位置よりも下流側において前記ガス排出ラインから分岐している水素製造システム。
【請求項2】
水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、
供給水を加熱して前記水蒸気を生成する水蒸気生成装置と、
前記SOECの水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器と、
前記水素極から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ラインと、
前記SOECの酸素極から排出された排ガスが流通するガス排出ラインと、
前記酸素極に酸素含有ガスを供給するガス供給ラインと、
前記ガス供給ラインと前記ガス排出ラインとを連通する排ガス再循環ラインと、
前記排ガス再循環ラインを流通する排ガスを昇圧する昇圧機と、
前記排ガス再循環ラインと前記燃焼器とを連通する酸素含有ガス供給ラインと
を備え、
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記燃焼器において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより前記供給水の少なくとも一部が加熱されて前記水蒸気の少なくとも一部が生成されるように構成され、
前記水蒸気生成装置は、前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気と前記供給水とが熱交換する主熱交換器を備え、
前記水蒸気排出ラインには、前記主熱交換器よりも上流側に前記燃焼器が設けられ、
前記酸素含有ガス供給ラインは、前記昇圧機よりも下流側において前記排ガス再循環ラインから分岐している水素製造システム。
【請求項3】
水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、
供給水を加熱して前記水蒸気を生成する水蒸気生成装置と、
前記SOECの水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器と、
前記水素極から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ラインと、
前記SOECの酸素極から排出された排ガスが流通するガス排出ラインと、
を備え、
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記燃焼器において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより前記供給水の少なくとも一部が加熱されて前記水蒸気の少なくとも一部が生成されるように構成され、
前記ガス排出ラインには前記燃焼器が設けられ、
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記燃焼器における水素の燃焼により生成された燃焼排ガスとが熱交換する第1熱交換器をさらに含み、
前記燃焼器は、水素含有ガス供給ラインを介して前記水蒸気排出ラインと連通している水素製造システム。
【請求項4】
前記水蒸気生成装置は、前記燃焼器よりも上流側で前記ガス排出ラインに設けられた第2熱交換器をさらに備え、
前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器のそれぞれにおいて、前記供給水の少なくとも一部と前記ガス排出ラインを流通する排ガスとが熱交換するように構成されている、請求項3に記載の水素製造システム。
【請求項5】
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気とが熱交換する主熱交換器を備え、
前記水素製造システムは、
前記主熱交換器に前記供給水を供給する給水ラインと、
前記給水ラインと前記第1熱交換器とを連通する給水分岐ラインと、
前記主熱交換器と前記水素極とを連通する水蒸気供給ラインと、
前記第1熱交換器と前記水蒸気供給ラインとを連通する水蒸気ラインと、
前記主熱交換器に供給される前記供給水の流量と前記給水分岐ラインを流通する前記供給水の流量とを調節する第1流量調節装置と
を備える、請求項3に記載の水素製造システム。
【請求項6】
前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気とが熱交換する主熱交換器を備え、
前記水素製造システムは、
前記主熱交換器に前記供給水を供給する給水ラインと、
前記給水ラインと前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の両方とを連通する給水分岐ラインと、
前記主熱交換器と前記水素極とを連通する水蒸気供給ラインと、
前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の両方と前記水蒸気供給ラインとを連通する水蒸気ラインと、
前記主熱交換器に供給される前記供給水の流量と前記給水分岐ラインを流通する前記供給水の流量とを調節する第1流量調節装置と
を備える、請求項4に記載の水素製造システム。
【請求項7】
水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、
前記SOECの水素極から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ラインと、
前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気と供給水とが熱交換することにより前記供給水を加熱して前記水蒸気を生成する主熱交換器と、
前記水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器と、
前記主熱交換器において生成された水蒸気と前記燃焼器において生成した燃焼ガスとが熱交換する過熱器と、
前記SOECの酸素極から排出された排ガスが流通するガス排出ラインと、
前記水蒸気排出ラインと前記燃焼器とを連通する水蒸気抽気ラインと、
前記ガス排出ラインと前記燃焼器とを連通する排ガス抽気ラインと
を備える水素製造システム。
【請求項8】
前記水蒸気抽気ラインに設けられるとともに該水蒸気抽気ラインを流通する水蒸気の流量を調節する第2流量調節装置を備える、請求項7に記載の水素製造システム。
【請求項9】
前記排ガス抽気ラインに設けられるとともに該排ガス抽気ラインを流通する排ガスの流量を調節する第3流量調節装置を備える、請求項8に記載の水素製造システム。
【請求項10】
前記第1流量調節装置によって、前記給水分岐ラインを流通する前記供給水の流量を調節するステップを含む、請求項6に記載の水素製造システムの運転方法。
【請求項11】
前記第2流量調節装置によって前記過熱器における前記水蒸気の過熱度を調節するステップを含む、請求項8に記載の水素製造システムの運転方法。
【請求項12】
前記第2流量調節装置及び前記第3流量調節装置によって前記過熱器における前記水蒸気の過熱度を調節するステップを含む、請求項9に記載の水素製造システムの運転方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る水素製造システムは、水蒸気を電気分解する固体酸化物形電解セル(SOEC)と、供給水を加熱して前記水蒸気を生成する水蒸気生成装置と、前記SOECの水素極から排出された水蒸気に含まれる水素の一部を燃焼させる燃焼器と、前記水素極から排出された水蒸気が流通する水蒸気排出ラインと、前記SOECの酸素極から排出された排ガスが流通するガス排出ラインと、前記ガス排出ラインと前記燃焼器とを連通する酸素含有ガス供給ラインと、前記酸素極に酸素含有ガスを供給するガス供給ラインと、前記ガス供給ラインと前記ガス排出ラインとを連通する排ガス再循環ラインと、前記排ガス再循環ラインを流通する排ガスを昇圧する昇圧機とを備え、前記水蒸気生成装置は、前記供給水の少なくとも一部と前記燃焼器において生成した燃焼ガスを含むガスとが熱交換することにより前記供給水の少なくとも一部が加熱されて前記水蒸気の少なくとも一部が生成されるように構成され、前記水蒸気生成装置は、前記水蒸気排出ラインを流通する水蒸気と前記供給水とが熱交換する主熱交換器を備え、前記水蒸気排出ラインには、前記主熱交換器よりも上流側に前記燃焼器が設けられ、前記酸素含有ガス供給ラインは、前記排ガス再循環ラインが前記ガス排出ラインから分岐する位置よりも下流側において前記ガス排出ラインから分岐している。