(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140865
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ポール、及び、充放電システム
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20241003BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K5/03 D
H02J7/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052216
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】田端 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】大橋 辰介
【テーマコード(参考)】
4E360
5G503
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360BC04
4E360BC06
4E360BD02
4E360EB03
4E360FA14
4E360FA20
4E360GA07
4E360GB91
5G503AA05
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503FA01
(57)【要約】
【課題】ポールの先端部分を構成する棒状体の頭頂部と蓋状部材が、寸法精度に関わりなく適切に締結可能なポール、及び、充放電システムを開示する。
【解決手段】ポールであって、上端が開口する棒状のポール本体と、ポール本体の上端に装着されて開口を塞ぐ蓋状部材と、を備え、蓋状部材は、開口を覆う蓋本体部と、蓋本体部の縁沿いに形成される縁部と、縁部の下端に形成されており、ポール本体の開口沿いに形成される上端面に対して突き当てられる下端面と、縁部に離散的に形成されており、ポール本体に係合する係合部と、を有し、ポール本体は、開口沿いにおいて係合部に対応する位置に離散的に形成されており、係合部と係合する被係合部を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口する棒状のポール本体と、
前記ポール本体の上端に装着されて前記開口を塞ぐ蓋状部材と、を備え、
前記蓋状部材は、
前記開口を覆う蓋本体部と、
前記蓋本体部の縁沿いに形成される縁部と、
前記縁部の下端に形成されており、前記ポール本体の前記開口沿いに形成される上端面に対して突き当てられる下端面と、
前記縁部に離散的に形成されており、前記ポール本体に係合する係合部と、を有し、
前記ポール本体は、前記開口沿いにおいて前記係合部に対応する位置に離散的に形成されており、前記係合部と係合する被係合部を有する、
ポール。
【請求項2】
前記被係合部は、穴であり、
前記係合部は、
前記被係合部の穴の縁に対し斜めに接触する接触面を形成する屈曲部分と、
前記屈曲部分を前記被係合部の穴に入る方向へ付勢する弾性部分と、を有する、
請求項1に記載のポール。
【請求項3】
前記屈曲部分は、前記被係合部の穴の縁のうち前記蓋本体部寄りの部分に対し前記接触面を斜めに接触させ、
前記弾性部分は、前記被係合部の穴の縁への前記接触面の接触により前記屈曲部分に発生する前記蓋本体部から前記ポール本体へ向かう方向の力を、前記蓋本体部を前記ポール本体へ押し当てる引張荷重として前記蓋本体部に伝達する、
請求項2に記載のポール。
【請求項4】
前記ポール本体は、角柱体であり、
前記蓋状部材は、前記ポール本体が形成する方形の前記開口を塞ぐ方形の部材である、
請求項1に記載のポール。
【請求項5】
前記係合部は、前記蓋状部材を形成する方形の辺の中央部に形成されている、
請求項4に記載のポール。
【請求項6】
前記ポール本体と前記蓋状部材は、何れも板金をプレス加工した部材である、
請求項1に記載のポール。
【請求項7】
前記ポール本体は、所定の側面に開閉用の蓋が少なくとも前記ポール本体の上端に達する位置に設けられており、
前記下端面は、前記ポール本体の前記開口沿いのうち前記蓋の部分を除いた部分に形成される前記上端面に対して突き当てられ、
前記蓋は、前記ポール本体の上端における前記開口の左右両側付近で前記ポール本体にネジ止めされる、
請求項1に記載のポール。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載のポールを備えた充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポール、及び、充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上等に設置される多種多様な工作物の一種として、垂直に立つ棒状のポールが存在する。ポールは、例えば、道路沿いのガードレールや道路標識、敷地境界に設置される柵、電気機器を格納した筐体、その他各種の工作物を支持する支持手段として多用されている。このようなポールは、通常、中空の棒状体の頭頂部にある開口端部をキャップのような蓋状部材で覆う形態が一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中空の棒状体の頭頂部にある開口端部を蓋状部材で覆う場合、開口端部を外周側も含めて覆うように蓋状部材を開口端部に嵌合させる形態が典型的である。しかし、この場合、蓋状部材の嵌合部分と開口端部の両者に寸法精度が要求される。例えば、蓋状部材の嵌合部分が開口端部よりやや小さいと、蓋状部材の嵌合部分が開口端部に嵌らない。また、蓋状部材の嵌合部分が開口端部よりやや大きいと、嵌合による締結力が失われ、蓋状部材が開口端部から容易に外れる。嵌合部分におけるこのような寸法精度の問題は、開口部分が円形のものよりも角形といった非円形のものの方が顕著に出現する。
【0005】
そこで、本願は、ポールの先端部分を構成する棒状体の頭頂部と蓋状部材が、寸法精度に関わりなく適切に締結可能なポール、及び、充放電システムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、上端が開口する棒状のポール本体と、ポール本体の上端に装着されて開口を塞ぐ蓋状部材と、を備えるポールにおいて、開口を覆う蓋本体部の縁沿いに形成される縁部に、ポール本体の開口沿いに形成される上端面に対して突き当てられる下端面を形成し、更に、縁部に離散的に係合部を設けることにした。
【0007】
詳細には、本発明は、ポールであって、上端が開口する棒状のポール本体と、ポール本体の上端に装着されて開口を塞ぐ蓋状部材と、を備え、蓋状部材は、開口を覆う蓋本体部と、蓋本体部の縁沿いに形成される縁部と、縁部の下端に形成されており、ポール本体の開口沿いに形成される上端面に対して突き当てられる下端面と、縁部に離散的に形成されており、ポール本体に係合する係合部と、を有し、ポール本体は、開口沿いにおいて係合部に対応する位置に離散的に形成されており、係合部と係合する被係合部を有する。
【0008】
このようなポールであれば、ポール本体の上端の開口端部を外周側も含めて覆うように蓋状部材を開口端部に嵌合させる形態になっていないため、蓋状部材の縁部とポール本体の上端の開口端部の両者に要求される寸法精度が高くない。すなわち、下端面を上端面に突き当てるような形態で蓋状部材がポール本体に載せられ、蓋状部材とポール本体との係合は係合部で行われるので、蓋状部材の縁部とポール本体の上端の開口端部の寸法精度が低くても、蓋状部材をポール本体に適切に取り付けることができる。
【0009】
なお、被係合部は、穴であり、係合部は、被係合部の穴の縁に対し斜めに接触する接触面を形成する屈曲部分と、屈曲部分を被係合部の穴に入る方向へ付勢する弾性部分と、を有するものであってもよい。これによれば、弾性部分の付勢により屈曲部分が被係合部に入るので、係合部を被係合部に容易に係合することができる。
【0010】
また、屈曲部分は、被係合部の穴の縁のうち蓋本体部寄りの部分に対し接触面を斜めに接触させ、弾性部分は、被係合部の穴の縁への接触面の接触により屈曲部分に発生する蓋本体部からポール本体へ向かう方向の力を、蓋本体部をポール本体へ押し当てる引張荷重として蓋本体部に伝達するものであってもよい。これによれば、弾性部分の付勢により、蓋本体部がポール本体へ押し当てられるので、蓋本体部の下端面とポール本体の上端面の密着を保つことができる。
【0011】
また、ポール本体は、角柱体であり、蓋状部材は、ポール本体が形成する方形の開口を塞ぐ方形の部材であってもよい。ポール本体が角柱体の場合、ポール本体の上端の開口端部を外周側も含めて覆うように蓋状部材を開口端部に嵌合させる形態では、角形に要求される寸法精度が高い。しかし、上記ポールであれば、下端面を上端面に突き当てるような形態で蓋状部材がポール本体に載せられ、蓋状部材とポール本体との係合は係合部で行われるので、蓋状部材の縁部とポール本体の上端の開口端部の寸法精度が低くても、蓋状部材をポール本体に適切に取り付けることができる。
【0012】
また、係合部は、蓋状部材を形成する方形の辺の中央部に形成されていてもよい。これによれば、被係合部に容易に係合できる係合部を形成することができる。
【0013】
また、ポール本体と蓋状部材は、何れも板金をプレス加工した部材であってもよい。プレス加工の場合には、蓋状部材の縁部とポール本体の上端の開口端部の両者に高い寸法精度を求めることが容易でない。しかし、上記のポールであれば、下端面を上端面に突き当てるような形態で蓋状部材がポール本体に載せられ、蓋状部材とポール本体との係合は係合部で行われるので、蓋状部材の縁部とポール本体の上端の開口端部の寸法精度が低くても、蓋状部材をポール本体に適切に取り付けることができる。
【0014】
また、ポール本体は、所定の側面に開閉用の蓋が少なくともポール本体の上端に達する位置に設けられており、下端面は、ポール本体の開口沿いのうち蓋の部分を除いた部分に形成される上端面に対して突き当てられ、蓋は、ポール本体の上端における開口の左右両側付近でポール本体にネジ止めされてもよい。ポール本体にこのような開口が設けられてると、ポール本体の上端の開口端部に高い寸法精度を求めることが容易でない。しかし、上記のポールであれば、下端面を上端面に突き当てるような形態で蓋状部材がポール本体に載せられ、蓋状部材とポール本体との係合は係合部で行われるので、ポール本体の上端の開口端部の寸法精度が低くても、蓋状部材をポール本体に適切に取り付けることができる。
【0015】
また、本発明は、上記何れかのポールを備えた充放電システムであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記のポール、及び、充放電システムであれば、ポールの先端部分を構成する棒状体の頭頂部と蓋状部材が、寸法精度に関わりなく適切に締結可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、充放電システムの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、充放電装置本体を斜め後ろ側から見た場合の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、ポールを分解した様子を示した図である。
【
図4】
図4は、ポール本体の上端部付近を拡大した第1の図である。
【
図5】
図5は、ポール本体の上端部付近を拡大した第2の図である。
【
図6】
図6は、上部カバーの取付方法を示した第1の図である。
【
図7】
図7は、上部カバーの取付方法を示した第2の図である。
【
図8】
図8は、係合状態にある係合爪と被係合穴を詳細に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<適用例>
本発明の適用例として、充放電システムを
図1に示す。本願では、説明の便宜上、「充放電」という文言を用いているが、「充放電」とは、充電と放電の両方が可能であることに限定するものではなく、充電または放電のみが可能であることを含む。よって、充放電システム1とは、充電と放電の両方が可能なものに限定されない。充放電システム1は、充電のみが可能なものであってもよいし、放電のみが可能なものであってもよい。
【0019】
充放電システム1の充放電装置本体2は、建物の外壁に設置されない場合、
図1に示すように、背面筐体3を介してポール6に固定される。そして、
図3に示すように、ポール6は、固定ネジ64を外してポール本体62とベース金具63を分離したり、ポール本体62から蓋65を外してポール背面62cの開口を開いたり、ポール本体62から上部カバー61を外したりすることができる。
【0020】
本適用例におけるポール6は、
図4及び
図5に示すように、ポール6の天面部分を形成する略平板状の蓋本体部61cの縁沿いに形成される縁部61dが、ポール本体62の上端の開口端部に対応する形状となっている。このため、
図6に示すように、上部カバー61をポール本体62の上部に取り付けると、縁部61dの下端を形成する下端面61eが、ポール本体62の上端の開口端部を形成する上端面62fに対して突き当てられる状態となる。すなわち、上部カバー61は、ポール本体62の上端の開口端部を上側から覆うのみであり、ポール本体62の上端の開口端部を外周側(側方側)から縁部61dで囲まない。このため、本適用例であれば、上部カバー61の縁部61dとポール本体62の上端の開口端部の両者に要求される寸法精度が高くない。すなわち、下端面61eを上端面62fに突き当てるような形態で上部カバー61がポール本体62に載せられ、上部カバー61とポール本体62との係合は係合爪61aや留めネジ61fで行われるので、上部カバー61の縁部61dとポール本体62の上端の開口端部の寸法精度が低くても、上部カバー61をポール本体62に適切に取り付けることができる。
【0021】
<実施形態>
以下、実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の内容に限定するものではない。
【0022】
図1は、充放電システムの外観斜視図である。充放電システム1は、電動式移動体用のシステムである。電動式移動体とは、電動式の移動体であり、地上を走行する電動式自動車、水上を進む電動式船舶、空中を飛行する電動式飛行体、その他各種の移動体が挙げられる。移動体は、人が乗降可能な乗り物であってもよいし、或いは、無人で移動するものであってもよい。また、充放電システム1が設置される箇所としては、戸建て住宅や集合住宅、宿泊施設、商業施設、行政関連施設、道路沿いの休憩施設、空港施設、港湾施設等が挙げられる。電動式自動車としては、バッテリの電力のみで走行するBEV(Battery Electric Vehicle)、バッテリと内燃機関を併用するPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、燃料電池の電力で走行するFCV(Fuel Cell Vehicle)、その他各種の電動式自動車
(以下、「EV」という)が挙げられる。充放電システム1は、このような、駆動用の電気モータへ給電するバッテリを内蔵した電動式移動体の充電を行う充電設備、或いは、バッテリの充電とバッテリから外部への充放電の両方を司る充放電設備として利用される。
本実施形態では、充放電システム1を充放電する設備という前提で説明するが、充放電システム1は充電専用の設備であってもよい。
【0023】
充放電システム1は、屋外を移動する電動式移動体用の充放電設備であるため、風雨に晒されることを想定した屋外仕様の設計となっている。すなわち、充放電システム1には、充放電装置本体2、充放電装置本体2を壁面等に取り付け可能にするための背面筐体3、電動式移動体に接続する充放電ケーブルのコネクタを固定するためのコネクタホルダ4、充放電ケーブルを保管するためのケーブルホルダ5、充放電装置本体2を支持するポール6が備わっている。
【0024】
充放電装置本体2は、スイッチングコンバータ等の電力変換装置を内蔵した装置である。電動式移動体への給電は直流電力で行うことを前提とした規格になっているが、電力系統には交流電力が流れている。このため、電力系統と電動式移動体とを繋ぐ充放電システム1の充放電装置本体2は、電力の交直変換を行う。また、充放電装置本体2は、電動式移動体や電力系統が許容する電圧及び電流となるように、電圧の昇降圧や電流制御を行う。
【0025】
充放電装置本体2は、このような電力変換を司るスイッチング素子や制御装置等の電子部品を有するものであるため、電子部品を内蔵する本体筐体21、本体筐体21の開口を塞ぐ正面カバー22、充放電装置本体2を操作するための操作パネル23を有する。本体筐体21と正面カバー22は、
図1に示されるように、略直方体の外観を形成する。そして、操作パネル23は、ユーザが操作しやすいように、充放電装置本体2の正面部分を形成する正面カバー22に配置されている。
【0026】
背面筐体3は、充放電装置本体2を建物の壁面或いは充電ポールに取り付けるための部材である。充放電装置本体2の背面には放熱用のフィン等を備えたヒートシンクが配置されている。このため、充放電装置本体2の背面と充放電装置本体2の取り付け面との間を離間させるために、充放電装置本体2の背面と充放電装置本体2の取り付け面との間に背面筐体3を挟む形態となっている。
【0027】
背面筐体3は、略直方体の外観の充放電装置本体2の背面側に取り付けるものであるため、充放電装置本体2の背面の外観形状に対応した略矩形の部材となっている。そして、背面筐体3は、充放電装置本体2が背面筐体3を介して取り付け面に設置された状態において、背面筐体3の上面や側面、底面が露出する形態となっている。このため、背面筐体3の側面31には、
図1に示されるように、コネクタホルダ4が取り付け可能となっている。また、背面筐体3の上面には、放熱用の通気口32が設けられている。
図1には図示されていないが、背面筐体3の下面にも、通気口32と同様の通気口が設けられている。
【0028】
コネクタホルダ4は、背面筐体3の側面31に取り付け可能なホルダである。コネクタホルダ4は、内部の金具を覆う背面カバー41と正面カバー42、正面カバー42に形成されたコネクタ装着用のコネクタ差込孔43を有する。
【0029】
ケーブルホルダ5は、
図1に示すように、充放電装置本体2の下部に装着されるフック状の部材であり、アーム部51、受け部52、爪部53を有する。ケーブルホルダ5は、アーム部51と受け部52と爪部53によってフック状に形成される部材であるため、巻かれた状態のケーブルを受け部52に吊り下げ状態で架けることができる。よって、受け部52に架かった状態のケーブルは、充放電装置本体2の後方側へはアーム部51により移動が阻まれ、充放電装置本体2の前方側へは爪部53により移動が阻まれる。このため、ケーブルホルダ5は、巻かれた状態のケーブルを落とさないように吊り下げ状態で保持することができる。
【0030】
ポール6は、
図1に示すように、角柱のポールであり、背面筐体3を介して固定された充放電装置本体2を支持する。ポール6は、角柱のポール本体62と、ポール本体62の上端開口を塞ぐ上部カバー61と、基礎部分に固定されるベース金具63と、ポール本体62をベース金具63に固定するための固定ネジ64とを有する。充放電装置本体2は、ポール本体62のポール正面62aに背面筐体3を介して固定される。また、審美性を考慮し、固定ネジ64は、ポール本体62のポール側面62bの底部付近に設けられる。
【0031】
図2は、充放電装置本体2を斜め後ろ側から見た場合の外観斜視図である。
図2を見ると判るように、ポール6の背面側には、蓋65がポール本体62のポール背面62cの開口を塞ぐようにして設けられている。この蓋65は、ポール本体62の下端から上端まで延在するポール背面62cの開口を塞ぐために、ポール本体62の下端から上端まで延在する形態となっている。このため、蓋65は、上端がポール本体62の上端に達している。
【0032】
蓋65は、適宜の箇所に設けられた複数の留めネジ65aにより、ポール背面62cに固定されている。また、上部カバー61は、ポール本体62の上端付近に設けられた被係合穴62dに係合すると共に、留めネジ61fにより蓋65に固定されている。
【0033】
図3は、ポール6を分解した様子を示した図である。ポール6は、固定ネジ64を外してポール本体62とベース金具63を分離することができる。また、ポール6は、
図3に示すように、ポール本体62から蓋65を外してポール背面62cの開口を開いたり、ポール本体62から上部カバー61を外したりすることができる。ポール背面62cの開口は、ポール本体62の下端から上端まで延在しているため、蓋65が外されると、ポール本体62の内側をポール本体62の下端から上端まで殆どすべて開放したような状態となる。上部カバー61とポール本体62と蓋65とベース金具63は、何れも板金をプレス加工して形成された部材であるが、一部又は全部が樹脂等で形成されていてもよい。
【0034】
ポール本体62から蓋65と上部カバー61を外す際は、上部カバー61のネジ穴61bを通じて蓋65のネジ穴に螺合されている留めネジ61fを外す。そして、被係合穴62dに係合している係合爪61aを被係合穴62dから外す。これにより、上部カバー61がポール本体62から外れる。次に、蓋65のネジ穴65bを通じてポール背面62cのネジ穴62eに螺合されている留めネジ65aを外す。これにより、蓋65がポール本体62から外れる。蓋65と上部カバー61をポール本体62に取り付ける際は、これらの手順を逆の順序で行う。
【0035】
図4は、ポール本体62の上端部付近を拡大した第1の図である。また、
図5は、ポール本体62の上端部付近を拡大した第2の図である。上部カバー61は、ポール6の天面部分を形成する略平板状の蓋本体部61cと、蓋本体部61cの縁沿いに形成される縁部61dとを有する全体視略長方形の板状の部材である。
【0036】
縁部61dは、蓋本体部61cの縁沿いを下方に向かって突設されるように形成される壁状の部位である。そして、縁部61dは、ポール本体62の上端の開口端部に対応する形状となっている。このため、上部カバー61をポール本体62の上部に取り付けると、縁部61dの下端を形成する下端面61eが、ポール本体62の上端の開口端部を形成する上端面62fに対して突き当てられる状態となる。すなわち、上部カバー61は、ポール本体62の上端の開口端部を上側から覆うのみであり、ポール本体62の上端の開口端部を外周側(側方側)から縁部61dで囲まない。
【0037】
そして、縁部61dには、上部カバー61が形成する略長方形において2つある短辺の
それぞれの中央部付近に係合爪61aが設けられている。短辺のそれぞれの中央部付近であれば、被係合穴62dに容易に係合できる係合爪61aを形成可能である。しかし、上部カバー61には、係合爪61aが縁部61dに離散的に配置されていればよく、上部カバー61が形成する略長方形において2つある短辺のそれぞれの中央部付近に係合爪61aが設けられる形態に限定されるものではない。
【0038】
係合爪61aは、弾性変形可能な爪であり、ポール本体62の上端の開口沿いの係合爪61aに対応する部分に形成される被係合穴62dに嵌る屈曲部分を有している。
【0039】
図6は、上部カバー61の取付方法を示した第1の図である。また、
図7は、上部カバー61の取付方法を示した第2の図である。ポール本体62への上部カバー61の取り付けは、蓋65をポール本体62へ取り付けた後に行う。
【0040】
すなわち、ポール本体62への上部カバー61の取り付けは、
図6(A)及び
図7(A)に示すように、蓋65がポール本体62から取り外されている状態で行う。この状態で、
図6(B)及び
図7(B)に示すように、ポール本体62に蓋65を取り付ける。ポール本体62に蓋65を取り付ける際は、蓋65のネジ穴65bをポール本体62のネジ穴62eに位置合わせし、ネジ穴65bを通じてネジ穴62eに留めネジ65aを螺合する。これにより、ポール本体62への蓋65の取り付けが完了する。
【0041】
次に、
図6(C)及び
図7(C)に示すように、上部カバー61をポール本体62に上から載せて下方へ押す。すると、
図6(C)の拡大図に示すように、上部カバー61の下端面61eがポール背面62cの上端面62fに突き当てられた状態となる。また、上部カバー61が下方へ押される際に係合爪61aがポール本体62に押されて一時的に弾性変形し、
図7(C)に示すように、係合爪61aの屈曲部分が被係合穴62dに嵌る。係合爪61aの屈曲部分が被係合穴62dに嵌ると、上部カバー61の下端面61eがポール背面62cの上端面62fに係合爪61aの弾性力で密着した状態となる。また、係合爪61aの屈曲部分が被係合穴62dに嵌ると、ポール本体62に対する上部カバー61の相対的な位置関係が、設計により意図された位置関係どおりに定まる。そして、上部カバー61のネジ穴61bを通じて蓋65のネジ穴65dに留めネジ61fが螺合されることにより、上部カバー61がポール本体62から外れない状態となる。これにより、ポール本体62への上部カバー61の取り付けが完了する。
【0042】
図8は、係合状態にある係合爪61aと被係合穴62dを詳細に示した図である。
図8に示すように、係合爪61aには、被係合穴62dの縁61aMに対し斜めに接触する接触面62dEを形成する屈曲部分61aKと、屈曲部分61aKを被係合穴62dに入る方向へ付勢する弾性部分61aDが設けられている。屈曲部分61aKの接触面62dEは、被係合穴62dの縁61aMのうち蓋本体部61c寄りの部分に接触している。このため、弾性部分61aDの付勢力により、被係合穴62dの縁61aMから屈曲部分61aKの接触面62dEに対し、蓋本体部61cからポール本体62へ向かう方向の反力が発生する。この反力は、屈曲部分61aKから弾性部分61aDを介して蓋本体部61cへ伝達される。この結果、接触面62dEに作用する反力が、
図8で白抜きの矢印が示すように、蓋本体部61cをポール本体62へ押し当てる引張荷重として蓋本体部61cに伝達される。そして、これにより、上部カバー61の下端面61eがポール背面62cの上端面62fに突き当てられた状態で密着する。また、係合爪61aの屈曲部分61aKが被係合穴62dに嵌ることで、ポール本体62に対する上部カバー61の相対的な位置関係が、設計により意図された位置関係どおりに定まる。本実施形態のポール6であれば、上部カバー61をポール本体62に上から載せて下方へ押すだけで、このような係合爪61aと被係合穴62dの係合を実現することができる。
【0043】
ところで、前述したように、ポール本体62のポール背面62cには、ポール本体62の下端から上端へ至る開口が形成されている。このため、ポール本体62は、上から見ると、環の一部を切り欠いたコの字状或いはCの字状の形態となっている。よって、環の切欠き部分の間がやや開いたり閉じたりすると、ポール本体62の上端の開口端部の形状が、縁部61dの形状と合わなくなる可能性がある。すなわち、上部カバー61をポール本体62に上から載せた際、下端面61eの一部が上端面62fに対して位置ずれし、突き当てられない可能性がある。しかし、ポール本体62は、ポール背面62cの開口部分に蓋65を留めネジ65aで固定する形態となっているため、ポール本体62に蓋65が固定されることで、環の切欠き部分の間の距離が、設計により意図された距離に定まる。このため、蓋65をポール本体62に取り付けた後に上部カバー61をポール本体62へ取り付ければ、縁部61dの外周面がポール側面62bと面一の状態になる。
【0044】
このようなポール6であれば、ポール本体62の上端の開口端部を外周側も含めて覆うように上部カバー61を開口端部に嵌合させる形態になっていないため、上部カバー61の縁部61dとポール本体62の上端の開口端部の両者に要求される寸法精度が高くない。すなわち、下端面61eを上端面62fに突き当てるような形態で上部カバー61がポール本体62に載せられ、上部カバー61とポール本体62との係合は係合爪61aや留めネジ61fで行われるので、上部カバー61の縁部61dとポール本体62の上端の開口端部の寸法精度が低くても、上部カバー61をポール本体62に適切に取り付けることができる。
【0045】
本実施形態のポール6は、ポール6内へのケーブルの通線作業を容易にするために、ポール本体62のポール背面62cをポール本体62の下端から上端まで開口する形態を採っている。このような開口がポール本体62の上端に至っているため、通常であれば、ポール本体62の上端の開口端部の寸法精度を高精度に保つことが難しい。この点、本実施形態のポール6のように、上部カバー61をポール本体62の上端に突き当てる形態であれば、ポール背面62cの開口がポール本体62の上端に至っていても、寸法精度の問題が生じない。
【0046】
なお、上記実施形態のポール6は、以下のように適宜変形してもよい。
【0047】
上記実施形態では、ポール6は、角柱状のポールであったが、円柱状のポールやその他の形態のポールであってもよい。
【0048】
また、ポール6は、ポール背面62cに開口を有するポール本体62を用いたものに限定されるものではない。ポール6は、例えば、ポール背面62cに開口を有しないポール本体62を用いたものであってもよい。
【0049】
また、ポール6は、充放電装置本体2を支持するポールに限定されるものではない。ポール6は、充放電装置本体2以外の工作物を支持するものであってもよい。充放電装置本体2以外の工作物としては、道路沿いのガードレールや道路標識、敷地境界に設置される柵、電気機器を格納した筐体、その他各種の工作物が挙げられる。
【0050】
なお、本願は、以下の付記的事項を含む。
<付記1>
上端が開口する棒状のポール本体(62)と、
前記ポール本体の上端に装着されて前記開口を塞ぐ蓋状部材(61)と、を備え、
前記蓋状部材は、
前記開口を覆う蓋本体部(61c)と、
前記蓋本体部の縁沿いに形成される縁部(61d)と、
前記縁部の下端に形成されており、前記ポール本体の前記開口沿いに形成される上端面(62f)に対して突き当てられる下端面(61e)と、
前記縁部に離散的に形成されており、前記ポール本体に係合する係合部(61a)と、を有し、
前記ポール本体は、前記開口沿いにおいて前記係合部に対応する位置に離散的に形成されており、前記係合部と係合する被係合部(62d)を有する、
ポール(6)。
<付記2>
前記被係合部は、穴であり、
前記係合部は、
前記被係合部の穴の縁に対し斜めに接触する接触面を形成する屈曲部分(61aK)と、
前記屈曲部分を前記被係合部の穴に入る方向へ付勢する弾性部分(61aD)と、を有する、
付記1に記載のポール。
<付記3>
前記屈曲部分は、前記被係合部の穴の縁のうち前記蓋本体部寄りの部分に対し前記接触面を斜めに接触させ、
前記弾性部分は、前記被係合部の穴の縁への前記接触面の接触により前記屈曲部分に発生する前記蓋本体部から前記ポール本体へ向かう方向の力を、前記蓋本体部を前記ポール本体へ押し当てる引張荷重として前記蓋本体部に伝達する、
付記2に記載のポール。
<付記4>
前記ポール本体は、角柱体であり、
前記蓋状部材は、前記ポール本体が形成する方形の前記開口を塞ぐ方形の部材である、
付記1から3の何れか一項に記載のポール。
<付記5>
前記係合部は、前記蓋状部材を形成する方形の辺の中央部に形成されている、
付記4に記載のポール。
<付記6>
前記ポール本体と前記蓋状部材は、何れも板金をプレス加工した部材である、
付記1から5の何れか一項に記載のポール。
<付記7>
前記ポール本体は、所定の側面に開閉用の蓋が少なくとも前記ポール本体の上端に達する位置に設けられており、
前記下端面は、前記ポール本体の前記開口沿いのうち前記蓋の部分を除いた部分に形成される前記上端面に対して突き当てられ、
前記蓋は、前記ポール本体の上端における前記開口の左右両側付近で前記ポール本体にネジ止めされる、
付記1から6の何れか一項に記載のポール。
<付記8>
付記1から7の何れか一項に記載のポールを備えた充放電システム。
【符号の説明】
【0051】
1・・充放電システム
2・・充放電装置本体
3・・背面筐体
4・・コネクタホルダ
5・・ケーブルホルダ
6・・ポール
61・・上部カバー
62・・ポール本体
63・・ベース金具
64・・固定ネジ
65・・蓋