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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140873
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241003BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/559 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/24 20210101ALI20241003BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/293
H01M50/559
H01M50/213
H01M50/291
H01M50/24
H01M50/505
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052232
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三重堀 正
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA32
5H040AY08
5H043AA04
5H043BA07
5H043BA17
5H043CA03
5H043FA04
5H043KA22
5H043LA01D
5H043LA02F
(57)【要約】
【課題】十分な防水性を得ることの可能な電池パックを提供する。
【解決手段】本技術の一側面に係る電池パックは、複数の電池と、複数の電池を支持することの可能なホルダと、電池とホルダとの間に設けられる弾性体とを備えている。各電池は、凸状の正極端子が形成された端面を有している。ホルダは、正極端子と対向する箇所に第1開口部が設けられた側板部を有している。弾性体は、シート部と、凸部とを有している。シート部は、電池の端面とホルダの側板部との間の領域に配置されている。シート部には、正極端子と対向する箇所に第1開口部よりも小さな開口径の第2開口部が設けられている。凸部は、シート部の側板部側および正極端子側の双方に突出するとともに、側板部および正極端子に接するように構成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池と、
前記複数の電池を支持することの可能なホルダと、
前記電池と前記ホルダとの間に設けられる弾性体と
を備え、
各前記電池は、凸状の正極端子が形成された端面を有し、
前記ホルダは、前記正極端子と対向する箇所に第1開口部が設けられた側板部を有し、
前記弾性体は、
前記端面と前記側板部との間の領域に配置され、前記正極端子と対向する箇所に前記第1開口部よりも小さな開口径の第2開口部が設けられたシート部と、
前記シート部の前記側板部側および前記正極端子側の双方に突出するとともに、前記側板部および前記正極端子に接する凸部と
を有する
電池パック。
【請求項2】
前記凸部は、前記正極端子の上面の端部に接するとともに、前記第1開口部の内壁に接している
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記凸部は、垂直断面において前記シート部を中心として上下対称の形状となっている
請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記凸部は、
前記シート部の前記側板部側および前記正極端子側の双方に突出するとともに、前記正極端子の上面の端部に接する第1凸部と、
前記シート部の前記側板部側および前記正極端子側の双方に突出するとともに、前記第1開口部の側面に接する第2凸部と
を有する
請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1凸部において、前記シート部の前記側板部側に突出する部分と、前記シート部の前記正極端子側に突出する部分とが、前記シート部を介して互いに対向する位置に設けられており、
前記第2凸部において、前記シート部の前記側板部側に突出する部分と、前記シート部の前記正極端子側に突出する部分とが、前記シート部を介して互いに対向する位置に設けられている
請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1凸部は、垂直断面において前記シート部を中心として上下対称の形状となっており、
前記第2凸部は、垂直断面において前記シート部を中心として上下対称の形状となっている
請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記第2凸部の高さは、前記第1凸部の高さよりも高くなっている
請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記側板部を介して前記端面と対向する位置に配置され、前記複数の二次電池を電気的に接続するとともに、前記正極端子に固定される金属製タブを更に備え、
前記凸部は、前記金属製タブにも接している
請求項1に記載の電池パック。
【請求項9】
前記側板部を介して前記端面と対向する位置に配置され、前記複数の二次電池を電気的に接続するとともに、前記正極端子に固定される金属製タブを更に備え、
前記第1凸部は、前記正極端子の上面の端部および前記金属製タブに接しており、
前記第2凸部は、前記第1開口部の側面および前記金属製タブに接している
請求項4に記載の電池パック。
【請求項10】
前記金属製タブは、前記第1開口部および第2開口部を介して前記正極端子に固定される金属製凸部を有し、
前記第1凸部は、前記金属製凸部の側面に接しており、
前記第2凸部は、前記金属製タブのうち、前記金属製凸部の裾野部分に接している
請求項9に記載の電池パック。
【請求項11】
前記第2凸部の高さは、前記第1凸部の高さよりも高くなっている
請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
前記弾性体は、垂直断面において前記シート部を中心として上下対称の形状となっている
請求項1に記載の電池パック。
【請求項13】
前記弾性体は、ゴムで形成されている
請求項1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リチウムイオン二次電池等の電池を有する電池モジュールは、ケースに収納された状態で用いられる。電池モジュール内に水分などが侵入すると電池が故障するおそれがある。そこで、例えば、下記の特許文献1に記載の発明では、正極端子と電池収納部との間にゴムリングを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-073864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池パックでは、更なる防水性の向上が求められている。防水性が向上した電池パックを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の一側面に係る電池パックは、複数の電池と、複数の電池を支持することの可能なホルダと、電池とホルダとの間に設けられる弾性体とを備えている。各電池は、凸状の正極端子が形成された端面を有している。ホルダは、正極端子と対向する箇所に第1開口部が設けられた側板部を有している。弾性体は、シート部と、凸部とを有している。シート部は、電池の端面とホルダの側板部との間の領域に配置されている。シート部には、正極端子と対向する箇所に第1開口部よりも小さな開口径の第2開口部が設けられている。凸部は、シート部の側板部側および正極端子側の双方に突出するとともに、側板部および正極端子に接するように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本技術の一側面に係る電池パックでは、電池とホルダとの間に弾性体が設けられている。弾性体には、弾性体のシート部の側板部側および正極端子側の双方に突出するとともに、ホルダの側板部および電池の正極端子に接する凸部が設けられている。これにより、弾性体の弾性力を利用して、ホルダの側板部と凸部とが密着するとともに、電池の正極端子と凸部とが密着する。その結果、正極端子内への水分の侵入を防止することができる。従って、十分な防水性を得ることができる。
【0007】
なお、本技術の効果は、必ずしもここで説明された効果に限定されるわけではなく、後述する本技術に関連する一連の効果のうちのいずれの効果でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本技術の一実施形態に係る電池パックの斜視構成例を表す図である。
図2図2は、図1の電池パックに収容される電池モジュールの斜視構成例を表す図である。
図3図3は、図2の電池モジュールの展開斜視構成例を表す図である。
図4図4は、図3の電池、ホルダおよび弾性防水部材の断面構成例を表す図である。
図5図5は、図3の電池の一端(正極部分)の斜視構成例を表す図である。
図6図6は、図3の電池の一端(正極部分)の断面構成例を表す図である。
図7図7は、図2の電池モジュールの一部(正極部分およびその近傍)の断面構成例を表す図である。
図8図8は、図7の一部を拡大して表す図である。
図9図9は、図2の電池モジュールから金属製タブを取り外したときの断面構成例を表す図である。
図10図10は、図9の一部を拡大して表す図である。
図11図11は、図9の弾性防水部材の断面構成例を表す図である。
図12図12は、図11の弾性防水部材の上面構成例を表す図である。
図13図13は、図11の弾性防水部材の裏面構成例を表す図である。
図14図14は、比較例および実施例の電池パックの浸水試験結果の一例を表す図である。
図15図15は、比較例1に係る電池パックに収容される電池モジュールの一部(正極部分およびその近傍)の断面構成例を表す図である。
図16図16は、図11の弾性防水部材の断面構成の一変形例を表す図である。
図17図17は、図11の弾性防水部材の断面構成の一変形例を表す図である。
図18図18は、図11の弾性防水部材の断面構成の一変形例を表す図である。
図19図19は、図7の電池モジュールの一部(正極部分およびその近傍)の断面構成の一変形例を表す図である。
図20図20は、比較例および実施例の電池パックの浸水試験結果の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本技術を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施形態
1-1.構成
1-2.効果
2.変形例
2-1.変形例A
2-2.変形例B
2-3.変形例C
2-4.変形例D
【0010】
<1.第1の実施形態>
まず、本技術の一実施形態の電池パック1に関して説明する。
【0011】
ここで説明する電池パック1は、複数の電池を備えた電源であり、電子機器などの多様な用途に適用される。電池の種類は、特に限定されないため、一次電池でもよいし、二次電池でもよい。二次電池の種類は、特に限定されないが、具体的には、リチウムイオンの吸蔵放出を利用して電池容量が得られるリチウムイオン二次電池などである。電池の数は、特に限定されないため、任意に設定可能である。以下では、電池が二次電池(リチウムイオン二次電池)である場合に関して説明する。
【0012】
[1-1.構成]
図1は、本技術の一実施形態の電池パック1の斜視構成例を表したものである。図2は、電池パック1の収容物の斜視構成例を表したものである。図3は、電池パック1の収容物の展開斜視構成例を表したものである。
【0013】
電池パック1は、例えば、図1図2に示したように、外装ケース10と、外装ケース10に収容される電池モジュール20とを備えている。電池モジュール20は、制御基板30を有している。制御基板30は、例えば、後述の各電池40の正負極端子に接続されており、各電池40の電圧計測や、各電池40の残容量の検出、各電池40から出力される電流を計測して過電流の有無の検知などをする回路を有している。
【0014】
外装ケース10は、例えば、図3に示したように、下部ケース10aおよび上部ケース10bによって構成されている。下部ケース10aおよび上部ケース10bが互いに重ね合されることによって、電池モジュール20を収容する収容空間が形成される。外装ケース10は、電池モジュール20を収容することが可能となっている。外装ケース10(例えば、下部ケース10a)には、制御基板30に接続された外部端子11が設けられている。外部端子11には、制御基板30を介して複数の電池40が接続されている。
【0015】
外装ケース10は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの共重合合成樹脂(ABS)、ポリアセタール(POM)等の樹脂材料によって構成されている。外装ケース10は、例えば、金属もしくは導電性フィラー等の導電性材料が分散された樹脂材料によって構成されていてもよい。このときの樹脂材料は、上述の樹脂材料であってもよい。
【0016】
電池パック1は、電池モジュール20から出力された電力を、外部端子11を介して負荷に供給する放電モードを有している。電池パック1は、さらに、外部端子11に接続された電源から、外部端子11を介して供給された電力を電池モジュール20に蓄積する充電モードを有していてもよい。電池40が二次電池である場合、制御基板30は、外部端子11に接続された被接続物の種類に応じて、放電モードと充電モードとを切り替えるようになっている。電池40が一次電池である場合、制御基板30は放電モードだけを実行するようになっている。
【0017】
電池モジュール20は、複数の電池40および複数の金属製タブ60を有している。複数の電池40は、複数の金属製タブ60を介して電気的に接続されている。例えば、複数の電池40のうちの一部である複数の電池40が複数の金属製タブ60によって互いに直列に接続されており、さらに、互いに直列に接続された複数の電池40を直列ユニットと称したとき、複数の直列ユニットが複数の金属製タブ60によって互いに並列に接続されている。なお、複数の電池40の接続態様は、上記に限定されるものではない。
【0018】
各金属製タブ60は、例えば、金属製のリード板によって構成されている。各電池40は、一次電池または二次電池である。各電池40が二次電池である場合、二次電池の種類は、特に限定されないが、具体的には、リチウムイオンの吸蔵放出を利用して電池容量が得られるリチウムイオン二次電池などである。以下では、各電池40が二次電池(リチウムイオン二次電池)である場合に関して説明する。すなわち、以下で説明する電池パック1は、複数の二次電池を備えた電源である。
【0019】
電池モジュール20は、さらに、複数の電池40を支持することの可能なホルダ50を有している。ホルダ50は、例えば、図3図4に示したように、一対のホルダ50aおよびホルダ50bにより構成されている。ホルダ50a,50bは、ともに、共通の構造となっている。図4は、ホルダ50b、電池40および弾性防水部材70(後述)の断面構成例を表したものである。
【0020】
ホルダ50a,50bは、それぞれ、例えば、図4に示したように、側板部51を有している。ホルダ50aの側板部51と、ホルダ50bの側板部51とは、各電池40の延在方向(正極端子41および負極端子42が互いに対向する方向)において、複数の電池40を間にして互いに対向配置されている。ホルダ50a,50bにおいて、側板部51は、各電池40の正極端子41および負極端子42と対向する箇所に開口部52を有している。従って、開口部52には、正極端子41または負極端子42が露出している。
【0021】
ホルダ50a,50bは、それぞれ、さらに、例えば、図4に示したように、複数の電池40を所定の間隙を介して階層状に支持する支持部53を有している。図4には、複数の電池40を最下層および最上層の2階層で支持するように支持部53が設けられている様子が例示されている。支持部53の一方の端部に側板部51が連結されており、支持部53の一方の端部は、開口部54となっている。支持部53には、開口部52と開口部54とに連結された収容部55が設けられている。収容部55には、電池40の一部が収容される。
【0022】
図5は、電池40の一端の斜視構成例を表したものである。図6は、電池40の一端の断面構成例を表したものである。
【0023】
電池40は、図4図5に示したように、互いに対向する第1端面40aおよび第2端面40bと、第1端面40aに設けられた正極端子41と、第2端面40bに設けられた負極端子42とを有している。電池40は、例えば、第1端面40aおよび第2端面40bが互いに対向する方向に延在する円柱形状となっており、第1端面40aおよび第2端面40bは、それぞれ、円形状となっている。電池40の形状は、円柱形状に限られるものではない。第1端面40aおよび第2端面40bの形状は、円形状に限られるものではない。
【0024】
正極端子41は、金属部材によって構成されている。正極端子41は、第1端面40aにおいて突出した形状(凸部)となっている(図6参照)。第1端面40aにおいて、正極端子41の周囲には1または複数のスリット部43が設けられている。第1端面40aにおいて、正極端子41の裏面側には、空隙が設けられており、この空隙は、1または複数のスリット部43と連通している。この空隙の底部には、開裂弁44が設けられている。開裂弁44は、電池40が異常発熱を起こしたときに電池40内部で発生したガスを外部に排出する機能を有している。負極端子42は、金属部材によって構成されている。負極端子42は、第2端面40bにおいて平坦面を構成している。
【0025】
複数の電池40が電池40の長手方向(電池40において第1端面40aおよび第2端面40bが互いに対向する方向)と直交する二次元方向(第1の方向および第1の方向と直交する第2の方向)に並んで配置されているとする。このとき、電池パック1内に設けられた複数の電池40における一の電池40(第1の電池)の第1端面40aと、電池パック1内に設けられた複数の電池40における他の電池40(第2の電池)の第2端面40bとが同一平面内に配置されている。例えば、複数の第1端面40aおよび複数の第2端面40bが、同一平面内の、第1の方向および第2の方向の少なくとも一方において交互に配置されている。複数の金属製タブ60は、電池パック1内に設けられた複数の電池40を、電池40の延在方向から挟んで互いに対向するように配置されている。
【0026】
本明細書において、「電池40の延在方向」とは、電池40が、第1端面および第2端面が互いに対向する方向に延在する柱形状となっている場合には、第1端面および第2端面が互いに対向する方向と平行な方向を指している。本明細書において、「電池40の配列方向」とは、電池40が、第1端面および第2端面が互いに対向する方向に延在する柱形状となっている場合には、第1端面および第2端面が互いに対向する方向と直交する方向を指している。
【0027】
図7は、電池モジュール20の一部(正極端子41およびその近傍)の断面構成例を表したものである。図8は、図7の一部を拡大して表したものである。図9は、図7の電池モジュール20から金属製タブ60を取り外したときの断面構成例を表したものである。図10は、図9の一部を拡大して表したものである。
【0028】
金属製タブ60は、側板部51を介して第1端面40aと対向する位置に配置されている。金属製タブ60は、第1の電池の第1端面40aにおける正極端子41と、第2の電池の第2端面40bにおける負極端子42とに電気的に接続されている。金属製タブ60は、正極端子41に固定されている。金属製タブ60は、負極端子42に固定されている。金属製タブ60を正極端子41に固定する方法としては、例えば、溶接が挙げられる。溶接には、例えば、レーザ溶接や抵抗溶接が用いられる。金属製タブ60を正極端子41に固定する方法は、上記に限定されるものではなく、溶接以外の方法であってもよく、例えば、ねじ止めによる接続や、かしめによる接続などでもよい。
【0029】
金属製タブ60は、正極端子41と対向する箇所に、正極端子41側に突出した凸部61(金属製凸部)を有している。凸部61は、ホルダ50の開口部52と、後述の弾性防水部材70の開口部71aとに挿入されており、ホルダ50の開口部52と、後述の弾性防水部材70の開口部71aを介して、正極端子41の上面に固定されている。挿入とは、凸部61の少なくとも一部がホルダ50の開口部52と、弾性防水部材70の開口部71aとに差し込まれている状態を指している。
【0030】
電池モジュール20は、例えば、図4図7図10に示したように、電池40の第1端面40aとホルダ50の側板部51との間に設けられた弾性防水部材70を有している。弾性防水部材70は、例えば、シリコーンゴム等のゴム素材によって構成されている。ゴム素材は、弾性体の一具体例に相当する。弾性防水部材70は、例えば、ゴム素材以外の弾性体によって構成されていてもよい。弾性防水部材70は、例えば、図7図10に示したように、シート部71と、凸部72,73とを有している。
【0031】
シート部71には、正極端子41と対向する箇所に開口部52よりも小さな開口径の開口部71aが設けられている。開口部71aは、開口部52と対向する領域内に設けられている。凸部72は、シート部71のうち、凸部73よりも開口部71a寄りの位置に設けられており、正極端子41と対向する位置に設けられている。凸部73は、シート部71のうち、凸部72よりも開口部71aから離れた位置に設けられており、第1端面40aのうち、正極端子41と非対向の位置(例えば、スリット部43の周囲の凸状の領域)に設けられている。
【0032】
凸部72は、シート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出している。凸部72は、さらに、側板部51、正極端子41および金属製タブ60に接している。凸部72は、正極端子41の上面の端部に接するとともに、側板部51の開口部52の側面に接している。正極端子41の上面とは、正極端子41における凸形状の部分のうち、金属製タブ60と接する面を指している。凸部72は、正極端子41および金属製タブ60によって、正極端子41と金属製タブ60とが互いに対向する方向に圧縮されている。また、凸部72は、正極端子41および側板部51の開口部52の側面によって、正極端子41と側板部51の開口部52の側面とが互いに対向する方向に圧縮されている。そのため、凸部72は、金属製タブ60の凸部61の側面(図8のαで囲まれた部分)および裾野部分(図8のγで囲まれた部分)と、正極端子41の上面の端部(図8のβ)とに密着するとともに、側板部51の開口部52の内壁(図8のδで囲まれた部分)にも密着している。凸部72は、弾性防水部材70を電池モジュール20から取り出したとき、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称(Z軸方向において対称)の形状となっている。
【0033】
凸部72は、例えば、図7図10に示したように、凸部72a,72bを有している。凸部72aは、弾性防水部材70を平面視したときに、弾性防水部材70の中心寄りの位置(つまり、開口部71a寄りの位置)に設けられている。凸部72bは、弾性防水部材70を平面視したときに、凸部72aとの位置関係で、弾性防水部材70の中心からより離れた位置に設けられている。凸部72aは、シート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出するとともに、正極端子41の上面の端部および金属製タブ60(凸部61の側面)に接するように構成されている。凸部72bは、シート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出するとともに、側板部51の開口部52の側面および金属製タブ60(金属製タブ60の裾野部分)に接するように構成されている。凸部72aは、正極端子41および金属製タブ60によって、正極端子41と金属製タブ60とが互いに対向する方向に圧縮されている。また、凸部72bは、正極端子41および側板部51の開口部52の側面によって、正極端子41と側板部51の開口部52の側面とが互いに対向する方向に圧縮されている。そのため、凸部72aは、金属製タブ60の凸部61の側面(図8のαで囲まれた部分)と、正極端子41の上面の端部(図8のβで囲まれた部分)とに密着している。凸部72bは、金属製タブ60の凸部61の裾野部分(図8のγで囲まれた部分)と、側板部51の開口部52の内壁(図8のδで囲まれた部分)とに密着している。
【0034】
凸部72aにおいて、シート部71の側板部51側に突出する部分と、シート部71の正極端子41側に突出する部分とが、シート部71を介して互いに対向する位置に設けられている。凸部72bにおいて、シート部71の側板部51側に突出する部分と、シート部71の正極端子41側に突出する部分とが、シート部71を介して互いに対向する位置に設けられている。凸部72aは、弾性防水部材70を電池モジュール20から取り出したとき、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称の形状となっている。凸部72bは、弾性防水部材70を電池モジュール20から取り出したとき、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称の形状となっている。
【0035】
凸部73は、例えば、図7図10に示したように、凸部73a,73bを有している。凸部73aは、弾性防水部材70を平面視したときに、弾性防水部材70の中心寄りの位置(つまり、開口部71a寄りの位置)に設けられている。凸部73bは、弾性防水部材70を平面視したときに、凸部73aとの位置関係で、弾性防水部材70の中心からより離れた位置に設けられている。凸部73a,73bは、それぞれ、シート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出するように構成されている。凸部73a,73bは、側板部51(図8のεで囲まれた部分)に接するように構成されており、さらに、凸部73a,73bのうち、少なくとも一方が、正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域(図8のζで囲まれた部分))に接するように構成されている。凸部73a,73bは、側板部51および正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)によって、側板部51と正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)とが互いに対向する方向に圧縮されている。そのため、凸部73a,73bは、側板部51(図8のεで囲まれた部分)に密着しており、さらに、凸部73a,73bのうち、少なくとも一方が、正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域(図8のζで囲まれた部分))に密着している。
【0036】
凸部73aにおいて、シート部71の側板部51側に突出する部分と、シート部71の正極端子41側に突出する部分とが、シート部71を介して互いに対向する位置に設けられている。凸部73bにおいて、シート部71の側板部51側に突出する部分と、シート部71の正極端子41側に突出する部分とが、シート部71を介して互いに対向する位置に設けられている。凸部73aは、弾性防水部材70を電池モジュール20から取り出したとき、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称の形状となっている。凸部73bは、弾性防水部材70を電池モジュール20から取り出したとき、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称の形状となっている。
【0037】
図11は、弾性防水部材70の、電池モジュール20から取り出したときの断面構成例を表したものである。図12は、図11の弾性防水部材70の上面構成例を表したものである。図13は、図11の弾性防水部材70の裏面構成例を表したものである。弾性防水部材70は、例えば、図11図13に示したように、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称の形状となっている。さらに、凸部72a,72b,73a,73bおよび開口部71aは、例えば、図11図13に示したように、同心円状となっている。従って、弾性防水部材70には、表裏の区別がない。
【0038】
凸部72a,72bの高さは、正極端子41および金属製タブ60による圧縮を考慮した高さとなっている。例えば、凸部72bの高さは、凸部72aの高さよりも高くなっている。凸部72aの高さとは、凸部72aのうちシート部71の上面側に設けられた部分の頂点P1から、凸部72aのうちシート部71の裏面側に設けられた部分の頂点P2までの距離を指している。凸部72bの高さとは、凸部72bのうちシート部71の上面側に設けられた部分の頂点P3から、凸部72bのうちシート部71の裏面側に設けられた部分の頂点P4までの距離を指している。
【0039】
凸部73a,73bの高さは、正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)および側板部51による圧縮を考慮した高さとなっている。凸部73a,73bの高さは、例えば、互いに等しくなっている。凸部73aの高さとは、凸部73aのうちシート部71の上面側に設けられた部分の頂点P5から、凸部73aのうちシート部71の裏面側に設けられた部分の頂点P6までの距離を指している。凸部73bの高さとは、凸部73bのうちシート部71の上面側に設けられた部分の頂点P7から、凸部73bのうちシート部71の裏面側に設けられた部分の頂点P8までの距離を指している。
【0040】
次に、比較例の電池パックと対比して、実施例の電池パック1の防水性について説明する。図14は、防水性試験の結果を示したものである。図14の比較例1の電池パックに収容された電池モジュールは、例えば、図15に記載の構成となっている。図15に記載の電池モジュールは、実施例の電池パック1において弾性防水部材70の代わりに弾性防水部材170が設けられたものに相当する。実施例1,2,3では、製造ロットが互いに異なっている点を除いて、電池パック1の構成は互いに共通している。
【0041】
弾性防水部材170は、例えば、シリコーンゴム等のゴム素材によって構成されている。ゴム素材は、弾性体の一具体例に相当する。弾性防水部材170は、例えば、ゴム素材以外の弾性体によって構成されていてもよい。弾性防水部材170は、例えば、図15に示したように、シート部171と、凸部172,173とを有している。
【0042】
シート部171には、正極端子41と対向する箇所に開口部52よりも小さな開口径の開口部171aが設けられている。開口部171aは、開口部52と対向する領域内に設けられている。凸部172は、シート部71のうち、凸部173よりも開口部171a寄りの位置に設けられており、正極端子41と対向する位置に設けられている。凸部173は、シート部171のうち、凸部172よりも開口部171aから離れた位置に設けられており、第1端面40aのうち、正極端子41と非対向の位置(例えば、スリット部43の周囲の凸状の領域)に設けられている。
【0043】
凸部172は、シート部71の側板部51側だけに突出しており、側板部51、正極端子41および金属製タブ60に接している。凸部172は、正極端子41の上面の端部に接するとともに、側板部51の開口部52の側面に接している。凸部172は、正極端子41および金属製タブ60によって、正極端子41と金属製タブ60とが互いに対向する方向に圧縮されている。また、凸部172は、正極端子41および側板部51の開口部52の側面によって、正極端子41と側板部51の開口部52の側面とが互いに対向する方向に圧縮されている。しかし、実施例の電池パック1と比べると、凸部172に正極端子41側に突出する部分が設けられてない分だけ、凸部172を圧縮する力が弱い。そのため、凸部172は、正極端子41の上面の端部、金属製タブ60、および側板部51の開口部52の側面に軽く接している。
【0044】
凸部172は、例えば、図15に示したように、凸部172a,172bを有している。凸部172aは、弾性防水部材170を平面視したときに、弾性防水部材170の中心寄りの位置(つまり、開口部171a寄りの位置)に設けられている。凸部172bは、弾性防水部材170を平面視したときに、凸部172aとの位置関係で、弾性防水部材170の中心からより離れた位置に設けられている。凸部172aは、シート部171の側板部51側だけに突出するとともに、正極端子41の上面の端部および金属製タブ60(凸部61の側面)に接するように構成されている。凸部172bは、シート部171の側板部51側だけに突出するとともに、側板部51の開口部52の側面および金属製タブ60(金属製タブ60の裾野部分)に接するように構成されている。凸部172aは、正極端子41および金属製タブ60によって、正極端子41と金属製タブ60とが互いに対向する方向に圧縮されている。また、凸部172bは、正極端子41および側板部51の開口部52の側面によって、正極端子41と側板部51の開口部52の側面とが互いに対向する方向に圧縮されている。しかし、実施例の電池パック1と比べると、凸部172a,172bに正極端子41側に突出する部分が設けられてない分だけ、凸部172a,172bを圧縮する力が弱い。そのため、凸部172a,172bは、正極端子41の上面の端部、金属製タブ60、および側板部51の開口部52の側面に軽く接している。
【0045】
凸部173は、例えば、図15に示したように、凸部173a,173bを有している。凸部173aは、弾性防水部材170を平面視したときに、弾性防水部材170の中心寄りの位置(つまり、開口部171a寄りの位置)に設けられている。凸部173bは、弾性防水部材170を平面視したときに、凸部173aとの位置関係で、弾性防水部材170の中心からより離れた位置に設けられている。凸部173a,173bは、それぞれ、シート部171の側板部51側だけに突出するように構成されている。凸部173a,173bは、側板部51に接するように構成されている。凸部173a,173bは、側板部51および正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)によって、側板部51と正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)とが互いに対向する方向に圧縮されている。しかし、実施例の電池パック1と比べると、凸部173a,173bに正極端子41側に突出する部分が設けられてない分だけ、凸部173a,173bを圧縮する力が弱い。そのため、凸部173a,173bは、側板部51、および側板部51と正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)に軽く接している。
【0046】
浸水試験の方法について説明する。まず、満充電状態にした電池パック(実施例の電池パック1、及び、比較例の電池パック)を、電池パック全体が水に浸かった状態で72時間放置した。続いて、それぞれの電池パックを24時間自然乾燥させた。その後、電池パックを分解して、正極端子41を観察した。正極端子41に錆や腐食が発生していなかった場合には、防水性試験に合格と判定とした。一方、正極端子41に錆や腐食が発生していた場合には、防水性試験に不合格と判定した。
【0047】
図14から、実施例1,2,3の電池パック1では、全てのサンプルが防水性試験に合格していることがわかる。このことから、弾性防水部材70の作用によって高い防水性が得られていると言える。一方、比較例1の電池パックでは、30サンプル中、5つが防水性試験に合格できなかったことがわかる。
【0048】
<1-2.効果>
次に、電池パック1の効果について説明する。
【0049】
一般に、リチウムイオン二次電池等の電池を有する電池モジュールは、ケースに収納された状態で用いられる。電池モジュール内に水分などが侵入すると電池が故障するおそれがある。そこで、例えば、上記の特許文献1に記載の発明では、正極端子と電池収納部との間にゴムリングを設けることが提案されている。ところで、電池パックでは、更なる防水性の向上が求められている。
【0050】
一方、本実施の形態では、電池40とホルダ50との間に弾性防水部材70が設けられている。弾性防水部材70には、シート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出するとともに、側板部51および正極端子41に接する凸部72が設けられている。これにより、弾性体の弾性力を利用して、側板部51と凸部72とが密着するとともに、正極端子41と凸部72とが密着する。その結果、正極端子41内への水分の侵入を防止することができる。従って、十分な防水性を得ることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、凸部72が正極端子41の上面の端部に接するとともに、開口部52の側面に接している。これにより、弾性体の弾性力を利用して、正極端子41の上面の端部と凸部72とが密着するとともに、側板部51の開口部52の側面と凸部72とが密着する。その結果、正極端子41内への水分の侵入を防止することができる。従って、十分な防水性を得ることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、凸部72が、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称の形状となっている。これにより、弾性防水部材70に表裏がなくなるので、電池パック1を製造する過程において、弾性防水部材70の表裏の確認をする必要がなくなる。その結果、電池パック1を製造する過程において、弾性防水部材70の表裏の確認をする工数をなくすことができ、また、弾性防水部材70の表裏の確認をするための検査装置を省略することもできる。
【0053】
また、本実施の形態では、凸部72aがシート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出するとともに、正極端子41の上面の端部に接しており、凸部72bがシート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出するとともに、側板部51の開口部52の側面に接している。これにより、凸部72は、正極端子41および金属製タブ60によって、正極端子41と金属製タブ60とが互いに対向する方向に圧縮されている。また、凸部72は、正極端子41および側板部51の開口部52の側面によって、正極端子41と側板部51の開口部52の側面とが互いに対向する方向に圧縮されている。その結果、凸部72は、正極端子41の上面の端部に密着するとともに、側板部51の開口部52の側面にも密着している。従って、正極端子41内への水分の侵入を防止することができるので、十分な防水性を得ることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、凸部72aにおいて、シート部71の側板部51側に突出する部分と、シート部71の正極端子41側に突出する部分とが、シート部71を介して互いに対向する位置に設けられている。さらに、凸部72bにおいて、シート部71の側板部51側に突出する部分と、シート部71の正極端子41側に突出する部分とが、シート部71を介して互いに対向する位置に設けられている。これにより、弾性防水部材70に表裏がなくなるので、電池パック1を製造する過程において、弾性防水部材70の表裏の確認をする必要がなくなる。その結果、電池パック1を製造する過程において、弾性防水部材70の表裏の確認をする工数をなくすことができ、また、弾性防水部材70の表裏の確認をするための検査装置を省略することもできる。
【0055】
また、本実施の形態では、凸部72a,72bがそれぞれ、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称の形状となっている。これにより、弾性防水部材70に表裏がなくなるので、電池パック1を製造する過程において、弾性防水部材70の表裏の確認をする必要がなくなる。その結果、電池パック1を製造する過程において、弾性防水部材70の表裏の確認をする工数をなくすことができ、また、弾性防水部材70の表裏の確認をするための検査装置を省略することもできる。
【0056】
また、本実施の形態では、凸部72bの、シート部71からの高さは、凸部72aの、シート部71からの高さよりも高くなっている。これにより、凸部72a,72bの形状を、凸部72a,72bを正極端子41および側板部51によって挟み込んだときに正極端子41と側板部51との間に形成される空隙の形状に近づけることができる。その結果、凸部72a,72bを比較的均等に圧縮することができ、凸部72a,72bと、正極端子41および側板部51との密着性を向上させることができる。従って、正極端子41内への水分の侵入を防止することができるので、十分な防水性を得ることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、凸部72が金属製タブ60にも接している。これにより、凸部72と金属製タブ60とを密着させることができるので、凸部72が金属製タブ60にも接していない場合よりも高い防水性を得ることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、凸部72aは正極端子41の上面の端部および金属製タブ60に接しており、凸部72bは側板部51の開口部52の側面および金属製タブ60に接している。これにより、弾性体の弾性力を利用して、正極端子41の上面の端部と金属製タブ60とが密着するとともに、側板部51の開口部52の側面と金属製タブ60とが密着する。その結果、正極端子41内への水分の侵入を防止することができる。従って、十分な防水性を得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、凸部72aは凸部61の側面に接しており、凸部72bは金属製タブ60のうち、凸部61の裾野部分に接している。これにより、弾性体の弾性力を利用して、凸部72aと凸部61の側面とが密着するとともに、凸部72bと金属製タブ60のうち、凸部61の裾野部分とが密着する。その結果、正極端子41内への水分の侵入を防止することができる。従って、十分な防水性を得ることができる。
【0060】
また、本実施の形態では、凸部72bの、シート部71からの高さは、凸部72aの、シート部71からの高さよりも高くなっている。これにより、凸部72a,72bの形状を、凸部72a,72bを正極端子41および金属製タブ60によって挟み込んだときに正極端子41と金属製タブ60との間に形成される空隙の形状に近づけることができる。その結果、凸部72a,72bを比較的均等に圧縮することができ、凸部72a,72bと、金属製タブ60との密着性を向上させることができる。従って、正極端子41内への水分の侵入を防止することができるので、十分な防水性を得ることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、弾性防水部材70が、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下対称の形状となっている。これにより、弾性防水部材70に表裏がなくなるので、電池パック1を製造する過程において、弾性防水部材70の表裏の確認をする必要がなくなる。その結果、電池パック1を製造する過程において、弾性防水部材70の表裏の確認をする工数をなくすことができ、また、弾性防水部材70の表裏の確認をするための検査装置を省略することもできる。
【0062】
また、本実施の形態では、弾性防水部材70がゴムで形成されている。これにより、弾性防水部材70の弾性力によって、正極端子41と側板部51もしくは金属製タブ60とが密着する。その結果、正極端子41内への水分の侵入を防止することができる。従って、十分な防水性を得ることができる。
【0063】
<2.変形例>
次に、上記実施の形態に係る電池パック1の変形例について説明する。
【0064】
<2-1.変形例A>
上記実施の形態において、凸部73は、シート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出する3つ以上の凸部を有していてもよい。上記実施の形態において、凸部73は、例えば、図16に示したように、凸部73は、シート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出する3つの凸部73a,73b,73cを有していてもよい。凸部73cは、例えば、図16に示したように、凸部73a,73bとの位置関係で、弾性防水部材70の中心からより離れた位置に設けられている。このようにした場合であっても、上記実施の形態と同様、凸部73と、側板部51および正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)とを密着させることができる。その結果、正極端子41内への水分の侵入を防止することができる。従って、十分な防水性を得ることができる。
【0065】
<2-2.変形例B>
上記実施の形態において、弾性防水部材70が、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下非対称の形状となっていてもよい。
【0066】
凸部72bにおいて、例えば、図17に示したように、シート部71の側板部51側に突出する部分と、シート部71の正極端子41側に突出する部分とが、シート部71を介して互いに正対しない位置に設けられていてもよい。これは、凸部72bにおいて、シート部71の側板部51側に突出する部分が、金属製タブ60の凸部61の裾野部分(図8のγで囲まれた部分)と、側板部51の開口部52の内壁(図8のδで囲まれた部分)とに密着することが可能となっている限りにおいて許容される。
【0067】
同様に、凸部73a,73bにおいて、例えば、図17に示したように、シート部71の側板部51側に突出する部分と、シート部71の正極端子41側に突出する部分とが、シート部71を介して互いに正対しない位置に設けられていてもよい。これは、凸部73a,73bが、側板部51(図8のεで囲まれた部分)に接するように構成され、さらに、凸部73a,73bのうち、少なくとも一方が、正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域(図8のζで囲まれた部分))に接するように構成される限りにおいて許容される。
【0068】
このように、本変形例では、弾性防水部材70が、凸部72bと金属製タブ60および側板部51との密着性、ならびに凸部73a,73bと側板部51および正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)との密着性が損なわれない範囲内で、垂直断面(XZ平面における断面)においてシート部71を中心として上下非対称の形状となっている。従って、上記実施の形態と同様、十分な防水性を得ることができる。
【0069】
なお、本変形例において、凸部72a,72bの高さは、正極端子41および金属製タブ60による圧縮を考慮した高さとなっている。例えば、凸部72bの高さは、凸部72aの高さよりも高くなっている。本変形例における凸部72aの高さとは、頂点P1を含む、シート部71と平行な平面F1と、頂点P2を含む、シート部71と平行な平面F2との距離を指している。また、本変形例における凸部72bの高さとは、頂点P3を含む、シート部71と平行な平面F3と、頂点P4を含む、シート部71と平行な平面F4との距離を指している。
【0070】
凸部73a,73bの高さは、正極端子41の周囲(スリット部43の周囲の凸状の領域)および側板部51による圧縮を考慮した高さとなっている。凸部73a,73bの高さは、例えば、互いに等しくなっている。凸部73aの高さとは、頂点P5を含む、シート部71と平行な平面F5と、頂点P6を含む、シート部71と平行な平面F6との距離を指している。凸部73bの高さとは、頂点P7を含む、シート部71と平行な平面F7と、頂点P8を含む、シート部71と平行な平面F8との距離を指している。
【0071】
<2-3.変形例C>
上記実施の形態において、凸部72は、例えば、図18に示したように、シート部71の側板部51側および正極端子41側の双方に突出する1つの凸部によって構成されていてもよい。このようにした場合であっても、凸部72は、金属製タブ60の凸部61の側面(図8のαで囲まれた部分)および裾野部分(図8のγで囲まれた部分)と、正極端子41の上面の端部(図8のβ)とに密着するとともに、側板部51の開口部52の内壁(図8のδで囲まれた部分)にも密着する。その結果、正極端子41内への水分の侵入を防止することができる。従って、上記実施の形態と同様、十分な防水性を得ることができる。
【0072】
<2-4.変形例D>
上記実施の形態において、金属製タブ60が、例えば、図19に示したように、凸部61に1または複数のスリット62を有していてもよい。1または複数のスリット62が凸部61に設けられている場合、1または複数のスリット62を介して水分等が正極端子41内へ侵入するおそれがある。しかし、1または複数のスリット62と、正極端子41内との間には、弾性防水部材70が設けられている。これにより、正極端子41内への水分の侵入を防止することができる。従って、十分な防水性を得ることができる。
【0073】
次に、比較例2の電池パックと対比して、実施例4(変形例D)の電池パック1の防水性について説明する。図20は、金属製タブ60にスリットを設けた状態での防水性試験を行った結果を示したものである。比較例2の電池パックは、比較例1の電池パックにおいて金属製タブ60にスリットを設けた構成となっている。実施例4(変形例D)の電池パック1は、実施例1の電池パックにおいて金属製タブ60にスリット62を設けた構成となっている。なお、防水性試験の方法は、<1.第1の実施形態>で説明した方法と同様である。
【0074】
図20から、実施例4の電池パック1では、全てのサンプルが防水性試験に合格していることがわかる。このことから、金属製タブ60にスリット62を設けた場合であっても、弾性防水部材70の作用によって高い防水性が得られていると言える。一方、比較例2の電池パックでは、金属製タブ60にスリット62を設けられていることにより、スリット62を介して水分が侵入したものが、30サンプル中、14もあったことがわかる。
【0075】
以上、一実施形態を挙げながら本技術を説明したが、本技術は上記した一実施形態において説明した態様に限定されず、その本技術に関しては種々の変形が可能である。
【0076】
例えば、二次電池の電極反応物質としてリチウムを用いたが、その電極反応物質の種類は、特に限定されない。具体的には、電極反応物質は、ナトリウムおよびカリウムどの長周期型周期表における他の1族の元素でもよいし、マグネシウムおよびカルシウムなどの長周期型周期表における2族の元素でもよいし、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。
【0077】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…電池パック、10…外装ケース、10a…下部ケース、10b…上部ケース、11…外部端子、20…電池モジュール、30…制御基板、40…電池、40a…第1端面、40b…第2端面、41…正極端子、42…負極端子、43…スリット部、44…開裂弁、50,50a,50b…ホルダ、51…側板部、52…開口部、53…支持部、54…開口部、55…収容部、60…金属製タブ、61…凸部、62…スリット、70…弾性防水部材、71…シート部、71a…開口部、72,72a,72b,73,73a,73b,73c…凸部、P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8…頂点。
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