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特開2024-140874燃料電池モジュール、燃料電池装置及び燃料電池セルスタック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140874
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール、燃料電池装置及び燃料電池セルスタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241003BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20241003BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20241003BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/0606
H01M8/2475
H01M8/04014
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052233
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】内 一隆
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126FF10
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA13
5H127BA18
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA34
5H127BB02
5H127BB19
5H127BB27
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】発電効率の向上が可能な燃料電池モジュール、燃料電池装置及び燃料電池セルスタックが提供される。
【解決手段】燃料電池モジュールは、燃料ガスと酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池セルスタック(12)と、原燃料ガスを改質して燃料ガスとする改質器(13)と、燃料電池セルスタック及び改質器を収容する収容容器(30)と、を備え、燃料ガスとして再利用するために、燃料電池セルスタック(12)より回収され、収容容器(30)外に配置される第1熱交換器(52)にて熱交換した後の燃料オフガスを燃料電池セルスタック(12)に流すリサイクル流路(50)の少なくとも一部が、収容容器(30)の内部に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池セルスタックと、
原燃料ガスを改質して前記燃料ガスとする改質器と、
前記燃料電池セルスタック及び前記改質器を収容する収容容器と、を備え、
前記燃料ガスとして再利用するために、前記燃料電池セルスタックより回収され、前記収容容器外に配置される第1熱交換器にて熱交換した後の燃料オフガスを前記燃料電池セルスタックに流すリサイクル流路の少なくとも一部が、前記収容容器の内部に位置する、燃料電池モジュール。
【請求項2】
前記リサイクル流路は、前記収容容器の内部であって、前記改質器の上流の脱硫器との間の位置で接続される、請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記リサイクル流路は、前記改質器の下流の前記燃料電池セルスタックとの間の位置で接続される、請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記リサイクル流路は、前記燃料電池セルスタックに接続される、請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項5】
前記燃料電池セルスタックは、前記燃料ガスの入口である燃料ガス入口、前記燃料オフガスの出口である燃料オフガス出口、前記酸化剤ガスの入口である酸化剤ガス入口、酸化剤オフガスの出口である酸化剤オフガス出口及びリサイクルされる前記燃料オフガスの入口であるリサイクルガス入口を有する、請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項6】
燃焼熱により改質器を加熱する燃焼器と、
前記燃料電池セルスタックから前記第1熱交換器へ排出される前記燃料オフガスと、前記第1熱交換器から前記燃焼器に排出される前記燃料オフガスと熱交換を行う第2熱交換器と、を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料電池モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の燃料電池モジュールと、
前記燃料電池セルスタックから排出される前記燃料オフガスを用いて、媒体と熱交換を行い、前記収容容器の側面の外側に配置される前記第1熱交換器と、を備える、燃料電池装置。
【請求項8】
前記収容容器の側面を法線方向から見た場合に、前記第1熱交換器と、第2熱交換器の少なくとも一部が重なる、請求項7に記載の燃料電池装置。
【請求項9】
燃料ガスの入口である燃料ガス入口、燃料オフガスの出口である燃料オフガス出口、酸化剤ガスの入口である酸化剤ガス入口、酸化剤オフガスの出口である酸化剤オフガス出口及びリサイクルされる前記燃料オフガスの入口であるリサイクルガス入口を有する、燃料電池セルスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池モジュール、燃料電池装置及び燃料電池セルスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
水素含有ガスと酸素含有ガスとを導入して発電する燃料電池には、さらなる発電効率の向上が求められている。例えば特許文献1は、セルスタックから熱交換器を流過して燃焼器に送給される燃料オフガス(アノードオフガス)の一部が脱硫器の上流側に戻され、原燃料ガスに水素を添加することによって、燃料利用率の向上を図るシステムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-198116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、熱交換器を流過した燃料オフガスを戻す場合に、流路の構成によっては燃料オフガスの温度低下を生じさせる。燃料オフガスの温度低下が生じると、混合される燃料ガスの温度にも影響し、セルスタックにおいて必要な発電温度が保持されないことがあり得る。例えば先行文献1の技術では、燃料オフガスを、高温ハウジングの外に配置されている脱硫器の上流側に戻す。そのため、少なくとも脱硫器の上流側において燃料オフガスの温度は低下し、セルスタックにおいて必要な発電温度が保持されず、十分に発電効率を向上させることができない。
【0005】
本開示の目的は、本発明の構成を用いない場合と比べ発電効率の向上が可能な燃料電池モジュール、燃料電池装置及び燃料電池セルスタックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係る燃料電池モジュールは、
燃料ガスと酸化剤ガスの電気化学反応により発電する燃料電池セルスタックと、
原燃料ガスを改質して前記燃料ガスとする改質器と、
前記燃料電池セルスタック及び前記改質器を収容する収容容器と、を備え、
前記燃料ガスとして再利用するために、前記燃料電池セルスタックより回収され、前記収容容器外に配置される第1熱交換器にて熱交換した後の燃料オフガスを前記燃料電池セルスタックに流すリサイクル流路の少なくとも一部が、前記収容容器の内部に位置する。
【0007】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記リサイクル流路は、前記収容容器の内部であって、前記改質器の上流の脱硫器との間の位置で接続される。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記リサイクル流路は、前記改質器の下流の前記燃料電池セルスタックとの間の位置で接続される。
【0009】
(4)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記リサイクル流路は、前記燃料電池セルスタックに接続される。
【0010】
(5)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記燃料電池セルスタックは、前記燃料ガスの入口である燃料ガス入口、前記燃料オフガスの出口である燃料オフガス出口、前記酸化剤ガスの入口である酸化剤ガス入口、酸化剤オフガスの出口である酸化剤オフガス出口及びリサイクルされる前記燃料オフガスの入口であるリサイクルガス入口を有する。
【0011】
(6)本開示の一実施形態として、(1)から(5)のいずれかにおいて、
燃焼熱により改質器を加熱する燃焼器と、
前記燃料電池セルスタックから前記第1熱交換器へ排出される前記燃料オフガスと、前記第1熱交換器から前記燃焼器に排出される前記燃料オフガスと熱交換を行う第2熱交換器と、を備える。
【0012】
(7)本開示の一実施形態に係る燃料電池装置は、
(6)の燃料電池モジュールと、
前記燃料電池セルスタックから排出される前記燃料オフガスを用いて、媒体と熱交換を行い、前記収容容器の側面の外側に配置される前記第1熱交換器と、を備える。
【0013】
(8)本開示の一実施形態として、(7)において、
前記収容容器の側面を法線方向から見た場合に、前記第1熱交換器と、第2熱交換器の少なくとも一部が重なる。
【0014】
(9)本開示の一実施形態に係る燃料電池セルスタックは、
燃料ガスの入口である燃料ガス入口、燃料オフガスの出口である燃料オフガス出口、酸化剤ガスの入口である酸化剤ガス入口、酸化剤オフガスの出口である酸化剤オフガス出口及びリサイクルされる前記燃料オフガスの入口であるリサイクルガス入口を有する。
【発明の効果】
【0015】
本開示の実施形態によれば、発電効率の向上が可能な燃料電池モジュール、燃料電池装置及び燃料電池セルスタックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る燃料電池装置の概略構成図である。
図2図2は、燃料電池燃料電池装置の別の構成を示す概略図である。
図3図3は、燃料電池燃料電池装置のさらに別の構成を示す概略図である。
図4図4は、燃料電池セルスタックの斜視図である。
図5図5は、燃料電池セルスタックにおけるガスの出口及び入口の位置の例を示す図である。
図6図6は、燃料電池セルスタックにおけるガスの出口及び入口の位置の別の例を示す図である。
図7図7は、燃料電池セルスタックにおけるガスの出口及び入口の位置の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示の実施形態に係る燃料電池モジュール、燃料電池装置及び燃料電池セルスタックが説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。以下の実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。また、図は模式的なものである。
【0018】
図1は、本実施形態に係る燃料電池装置200の概略構成図である。燃料電池装置200は、燃料電池モジュール11と、脱硫器51と、第1熱交換器(排熱回収用熱交換器)52とを備える。燃料電池モジュール11は、少なくとも燃料電池セルスタック12と、改質器13と、収容容器30と、を備える。燃料電池セルスタック12は、燃料ガス(例えば水素含有ガス)と酸化剤ガス(例えば酸素含有ガス)の電気化学反応により発電する。改質器13は水を気化させて、原燃料ガスと水蒸気を改質して燃料ガスを生成する。つまり、改質器13には水及び原燃料ガスが供給されて、改質器13が原燃料ガスを改質して燃料ガスとする。そして、改質器13は燃料ガスを燃料電池セルスタック12に供給する。酸化剤ガスとして、空気が用いられてよい。収容容器30(筐体)は、燃料電池セルスタック12及び改質器13を収容する。収容容器30は、例えばSUSなどの金属により形成されてよい。ここで、改質器13は、燃料電池セルスタック12に対して上下方向に離れて配置される。図1図3において共通の直交座標が設定されている。直交座標は、収容容器30の直方体形状の各辺に対応するように設定されている。z軸方向が高さ方向に対応する。本実施形態において、z軸負方向を下にして燃料電池モジュール11が設置される。そのため、z軸方向が上下方向に対応する。x軸方向とy軸方向はそれぞれz軸に垂直な方向であって、x軸方向が幅方向に対応し、y軸方向が奥行方向に対応する。
【0019】
図1に示すように、燃料電池セルスタック12は、燃料ガス入口121及び酸化剤ガス入口123を有する。燃料ガス入口121は燃料ガスの入口(供給口)である。また、酸化剤ガス入口123は酸化剤ガスの入口(供給口)である。上記のように、燃料電池セルスタック12は、燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する。燃料電池セルスタック12において未反応の燃料ガス及び未反応の酸化剤ガスは、燃料電池セルスタック12から排出される。未反応の燃料ガスは本明細書において燃料オフガスと称される。また、未反応の酸化剤ガスは本明細書において酸化剤オフガスと称される。燃料電池セルスタック12は、燃料オフガス出口122及び酸化剤オフガス出口124を有する。燃料オフガス出口122は燃料オフガスの出口(排出口)である。また、酸化剤オフガス出口124は酸化剤オフガスの出口(排出口)である。
【0020】
図1に示すように、燃料電池モジュール11は燃焼器22を備えてよい。燃焼器22は、燃焼熱により改質器13を加熱してよい。つまり、燃料電池セルスタック12から排出された燃料オフガスと酸化剤オフガスが混合されて、燃焼器22において燃焼され、燃焼により発生する熱を用いて改質器13が加熱されてよい。ここで、燃料電池モジュール11は第3熱交換器(酸化剤ガス予熱用熱交換器)54を備えてよい。第3熱交換器54は、燃焼器22から排出される排ガスの熱によって、燃料電池セルスタック12に供給される酸化剤ガスを熱する予熱を行う。酸化剤ガスの予熱によって、燃料電池モジュール11の発電効率を高めることができる。
【0021】
本実施形態に係る燃料電池モジュール11は、燃料オフガスを燃料ガスとして再利用する。図1に示すように、燃料電池モジュール11は、燃料ガスとして再利用するために、燃料電池セルスタック12より回収され、収容容器30外に配置される第1熱交換器52にて熱交換した後の燃料オフガスを燃料電池セルスタック12に流すリサイクル流路50を有する。リサイクル流路50とは、第1熱交換器52にて熱交換した後の燃料オフガスが、燃料電池セルスタック12に直接的又は間接的に供給される流路をいう。リサイクル流路50の少なくとも一部は、収容容器30の内部に位置するように構成される。収容容器30内で熱せられた(温度が低下しない)燃料オフガスが、燃料電池セルスタック12に送られて再利用されるため、従来技術に比べて発電効率を向上させることができる。例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)は、600℃~800℃という高温で動作する燃料電池であり、必要な発電温度を保持しなければならない。例えば上記の特許文献1の技術のように、燃料電池に送られる燃料オフガスの温度が低いと、必要な発電温度を保持できず、発電効率が低下する問題がある。本実施形態に係る燃料電池モジュール11は、リサイクル流路50が収容容器30の内部に位置することによって、必要な発電温度を保持して、発電効率の向上が可能である。
【0022】
リサイクル流路50は、接続部Cで、燃料ガス又は原燃料ガスの供給路に接続される。本実施形態においては、リサイクル流路50を流れる燃料オフガスは、改質器13を介して燃料電池セルスタック12に流れる。接続部Cは特定の位置に限定されない。例えば図1に示すように、リサイクル流路50は、収容容器30の内部であって、改質器13の上流の脱硫器51との間の位置で接続されてよい。脱硫器51は、収容容器30の外側に設けられる、原燃料ガスから硫黄を除く装置である。ここで、収容容器30を構成する各面に対して、燃料電池セルスタック12を収容する側が内側であり、その反対側が外側である。脱硫器51は水添脱硫を行う装置であってよい。収容容器30内で熱せられた(温度が低下しない)燃料オフガスが、改質器13に送られるため、改質器13において気化が起こりやすくなり、安定した改質反応が行われて発電効率が向上する。また、再利用される燃料オフガスも改質反応の対象となる場合があり、再度改質器13を通した上で、燃料電池モジュール11に供給することができる。ここで、リサイクル流路50からの燃料オフガスは硫黄を含んでいないため、脱硫器51を通す必要がない。
【0023】
また、例えば図2に示すように、リサイクル流路50は、改質器13の下流の燃料電池セルスタック12との間の位置で接続されてよい。改質器13を通ることによって燃料オフガスの熱が奪われることがあり得るが、図2に示される構成では、改質器13を通らないため、そのような燃料オフガスの温度低下が生じず、さらに発電効率を向上させることができる。
【0024】
ここで、燃料オフガスの熱の一部は熱交換に用いられてよい。本実施形態において、燃料電池モジュール11は、第2熱交換器53を備える。第1熱交換器52は、燃料電池セルスタック12から排出される燃料オフガスを用いて、媒体と熱交換を行う。第1熱交換器52は、収容容器30の側面の外側に配置される。図1及び図2において、第1熱交換器52は、収容容器30のx軸方向に沿った側面の外側に配置されているが、これに限られるものではない。例えば図3に示すように、第1熱交換器52は、z軸方向に沿った収容容器30の側面の外側、言い換えれば収容容器30の底面側に設けられてよい。第1熱交換器52で熱交換される媒体は例えば水であって、第1熱交換器52において温められて、蓄熱タンクにお湯として蓄えられる。ここで、蓄熱タンクは、燃料電池モジュール11に含まれない部材であって、燃料電池モジュール11から離れて配置され、燃料電池モジュール11と媒体用の流路(パイプ)で接続されてよい。この場合に、燃料電池モジュール11は軽量化が可能であり、例えば住宅において壁掛けで設置されてよい。第1熱交換器52は、気液分離器を含んでよい。燃料オフガスから分離された水は回収されて水タンクに蓄えられてよい。
【0025】
また、第2熱交換器53は、燃料電池セルスタック12から第1熱交換器52へ排出される燃料オフガスを用いて、第1熱交換器52から燃焼器22に排出される燃料オフガスと熱交換を行う。第2熱交換器53は、収容容器30の側面の内側に配置される。収容容器30の側面を法線方向(図1図2の例でx軸方向、図3の例でz軸方向)から見た場合に、第1熱交換器52と、第2熱交換器53の少なくとも一部が重なる。図1の例において、領域Lが重なる部分に対応する。ここで、第1熱交換器52が収容容器30の外側にあるため、第1熱交換器52に接続されるリサイクル流路50の一部も収容容器30の外側にある。ただし、第1熱交換器52が収容容器30の側方に配置されることにより、リサイクル流路50の収容容器30の外側にある部分を短くすることができ、燃料オフガスの温度の低下を抑えて、発電効率を向上させることができる。また、上記のように、第1熱交換器52と第2熱交換器53の少なくとも一部が重なるように配置されることによって、発電効率を向上させながら、第1熱交換器52と第2熱交換器53の有効面積を大きくできる。
【0026】
ここで、リサイクル流路50は、燃料電池セルスタック12に直接的に接続されてよい。接続部Cから燃料電池セルスタック12までの流路において熱が奪われることがないため、燃料オフガスの高温が維持されて、発電効率の向上の効果が高まる。図4は、燃料電池セルスタック12の構成例を示す斜視図である。燃料電池セルスタック12は、複数の板状の電気化学セル120を積層させることにより構成される。積層させた電気化学セル120は、積層方向における両端の第1のエンドプレート12a及び第2のエンドプレート12bにより挟まれていてよい。積層方向は、図4及び後述する図5図7で、w軸方向で示されている。積層方向はz軸方向と平行であってよいし、z軸方向に対して傾いていてよい。この燃料電池セルスタック12を収容容器30内に収納するにあたり、図1図2に示すように、y軸方向が、燃料電池セルスタック12を構成する電気化学セル120の積層方向となるように配置してよく、図3に示すように、z軸方向が積層方向となるように配置してよい。また、リサイクル流路50が燃料電池セルスタック12の下方と接続するようにしてよい。
【0027】
燃料電池セルスタック12には、ガスの入口、出口及び流路が設けられている。上記のように、燃料電池セルスタック12は、ガスの入口及び出口として、燃料ガス入口121、燃料オフガス出口122、酸化剤ガス入口123及び酸化剤オフガス出口124を有する。また、リサイクル流路50が燃料電池セルスタック12に接続される場合に、燃料電池セルスタック12は、リサイクルされる燃料オフガスの入口であるリサイクルガス入口125(図5図7参照)を有していてよい。燃料ガス入口121から燃料ガスが供給されるとともに、リサイクルガス入口125からリサイクル流路50を通ったリサイクルガス(燃料オフガスの一部)が供給されるため、燃料電池セルスタック12の発電効率が向上する。ここで、配管(流路)同士の干渉を防ぐために、ガスの入口及び出口のそれぞれが、第1のエンドプレート12a及び第2のエンドプレート12bのうちの1つだけにあってよい。
【0028】
例えば図5のように、燃料ガス入口121、酸化剤オフガス出口124及びリサイクルガス入口125が第1のエンドプレート12aにあり、燃料オフガス出口122及び酸化剤ガス入口123が第2のエンドプレート12bにあってよい。このとき、酸化剤オフガス出口124、燃料オフガス出口122及び酸化剤ガス入口123が、それぞれ2つ存在し、積層方向から見た場合に対向している辺のそれぞれの近くにあってよい。
【0029】
また、例えば図6のように、燃料ガス入口121、燃料オフガス出口122、酸化剤ガス入口123及び酸化剤オフガス出口124が第1のエンドプレート12aにあり、リサイクルガス入口125が第2のエンドプレート12bにあってよい。このとき、リサイクルガス入口125が、積層方向から見た場合に燃料ガス入口121に対向する部分にあってよい。また、例えば図7のように、図6と異なる位置関係で、燃料ガス入口121、燃料オフガス出口122、酸化剤ガス入口123、酸化剤オフガス出口124及びリサイクルガス入口125が配置されてよい。
【0030】
また、上述の燃料電池モジュール11において、燃料電池セルスタック12の積層方向(y軸方向)と、燃料電池セルスタック12、燃焼器22の配置方向(z軸方向)とが直交するように配置された例を示した。ただし、図3に示すように、燃料電池セルスタック12の積層方向と、燃料電池セルスタック12、燃焼器22の配置方向とが同じ方向となるように、燃料電池セルスタック12が配置されてよい。
【0031】
また、燃料電池装置200は、上記の燃料電池モジュール11、脱硫器51、第1熱交換器52に加えて、燃料電池モジュールを動作させる補助機能を備える補機と、を備えて構成してよい。補機は、燃料電池モジュールの動作の開始及び停止を指示するプロセッサを含んで構成されてよい。
【0032】
以上に説明したように、本実施形態に係る燃料電池モジュール11、燃料電池装置200及び燃料電池セルスタック12は、上記のようにリサイクル流路50が構成され、温度が低下しないリサイクルガスが供給されることで、発電効率を向上させることが可能である。
【0033】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0034】
また、図1図3は、酸化剤ガス、原燃料ガスなどの配管(流路)の位置を限定するものでない。例えば収容容器30の特定の面に配管が集中して存在するようにして、配管の無い面が薄く(幅が小さく)なるように収容容器30を構成することができる。このような構成によって、燃料電池モジュール11の設置の自由度が向上し、容易に壁掛けによる設置ができる。また、燃料電池セルスタック12の異なる面から配管が引き出されるようにすることで、配管の干渉を抑制するようにしてよい。
【0035】
また、リサイクル流路50が燃焼器22の近くを通るように構成することができる。この場合に、燃焼器22の熱を利用して燃料オフガスの温度を維持することができるため、さらに発電効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0036】
11 燃料電池モジュール
12 燃料電池セルスタック
12a 第1のエンドプレート
12b 第2のエンドプレート
13 改質器
22 燃焼器
30 収容容器
50 リサイクル流路
51 脱硫器
52 第1熱交換器
53 第2熱交換器
54 第3熱交換器
120 電気化学セル
121 燃料ガス入口
122 燃料オフガス出口
123 酸化剤ガス入口
124 酸化剤オフガス出口
125 リサイクルガス入口
200 燃料電池装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7