(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140875
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置、及び情報機器
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241003BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20241003BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20241003BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F21S2/00 431
G02B5/02 C
G02F1/13357
G02F1/1335
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052234
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承亨
【テーマコード(参考)】
2H042
2H291
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA05
2H042BA12
2H042BA15
2H042BA20
2H291FA02Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA38Z
2H291FA48Z
2H291FA54Z
2H291FA55Z
2H291FA60Z
2H291FA61Z
2H291FA62Z
2H291FA71Z
2H291FA85Z
2H291FA86Z
2H291GA19
2H291LA24
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB08
2H391AC13
2H391AC25
2H391AC26
2H391AC27
2H391AC53
2H391EA02
2H391EA13
3K244AA01
3K244BA07
3K244BA08
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244EA02
3K244EA12
3K244GA01
3K244GA02
(57)【要約】
【課題】輝度の低下を抑制できる光拡散シートを提供する。
【解決手段】光拡散シート44の一面には、略逆四角錐状の複数の凹部44cが設けられ、他面には、所定の方向に延びる複数の線状構造64が設けられる。複数の凹部44cの開口形状は、対向する一対の角がそれぞれ95°以上130°以下の略四辺形である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射面となる第1面と、光入射面となる第2面とを有する光拡散シートであって、
前記第1面及び前記第2面のうちの一方に、略逆四角錐状の複数の凹部が設けられ、
前記第1面及び前記第2面のうちの他方に、所定の方向に延びる複数の線状構造が設けられ、
前記複数の凹部の開口形状は、対向する一対の角がそれぞれ95°以上130°以下の略四辺形である
光拡散シート。
【請求項2】
前記一対の角はそれぞれ、100°以上120°以下である
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項3】
前記略四辺形は、略菱形である
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項4】
前記複数の線状構造は、プリズム、ヘアライン、レンチキュラー、又は回折格子を構成する
請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項5】
液晶表示装置に組み込まれ、光源から発せられた光を表示画面に導くエッジライト型のバックライトユニットであって、
前記光源が側端に設けられた導光部材と、
前記表示画面と前記導光部材との間に設けられた、請求項1~4のいずれか1項に記載の光拡散シートと
を備え、
前記光拡散シートは、前記複数の凹部を前記表示画面の方に向けて配置される、
バックライトユニット。
【請求項6】
前記導光部材は、前記光拡散シートから見て前記表示画面の反対側に設けられた反射部材の上に配置される
請求項5に記載のバックライトユニット。
【請求項7】
前記略四辺形における2つの対角線のうち長い対角線と、前記光源の出光方向とが実質的に平行である
請求項5に記載のバックライトユニット。
【請求項8】
前記複数の線状構造が延びる方向と、前記光源の出光方向とが実質的に平行である
請求項5に記載のバックライトユニット。
【請求項9】
前記略四辺形における2つの対角線のうち長い対角線と、前記光源の出光方向とがなす角度は、5°以上20°以下である
請求項5に記載のバックライトユニット。
【請求項10】
前記複数の線状構造が延びる方向と、前記光源の出光方向とがなす角度は、5°以上20°以下である
請求項5に記載のバックライトユニット。
【請求項11】
前記表示画面と前記光拡散シートとの間に輝度向上シートが設けられる、
請求項5に記載のバックライトユニット。
【請求項12】
請求項5に記載のバックライトユニットと、
液晶表示パネルとを備える
液晶表示装置。
【請求項13】
請求項12に記載の液晶表示装置を備える情報機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置、及び情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット端末、VR(Virtual Reality)ゴーグルなどの各種情報機器の表示装置として、液晶表示装置(以下、液晶ディスプレイということもある)が広く利用されている。液晶ディスプレイのバックライトとしては、光源が液晶パネルの側面の近傍に配置されるエッジライト方式、又は、光源が液晶パネルの背面に配置される直下型方式が主流となっている。
【0003】
エッジライト型のバックライトユニットは、導光板と、導光板の端部に光を入射させる光源と、導光板に積層された光学シートとを備える(特許文献1参照)。光学シートは、光源からの光の角度の変更や光の拡散等の機能を有し、光拡散シートを含む複数の光学シートを組み合わせて用いることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光拡散シートは、シート表面に凹凸形状を付与することで生じる拡散や、シート基材内に当該基材と異なる屈折率を有する微粒子を分散させることで生じる拡散を利用して、光を拡散させて表示画面での輝度を均一化させる。
【0006】
ところが、従来、光拡散シートの輝度均一化能力を向上させようとすると、輝度自体が低下してしまうという問題があった。
【0007】
本開示は、輝度の低下を抑制できる光拡散シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本開示に係る光拡散シートは、光出射面となる第1面と、光入射面となる第2面とを有する光拡散シートであって、前記第1面及び前記第2面のうちの一方に、略逆四角錐状の複数の凹部が設けられ、前記第1面及び前記第2面のうちの他方に、所定の方向に延びる複数の線状構造が設けられ、前記複数の凹部の開口形状は、対向する一対の角がそれぞれ95°以上130°以下の略四辺形である。
【0009】
本開示に係る光拡散シートによると、凹部の開口形状である略四辺形における対向する一対の角がそれぞれ95°未満又は130°超である場合と比べて、輝度を増大させることができる。
【0010】
尚、本開示において、「光拡散シート」は、板状の「光拡散板」や膜状の「光拡散フィルム」を包含するものとする。
【0011】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記一対の角がそれぞれ100°以上120°以下であると、輝度をさらに増大させることができる。
【0012】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記略四辺形が略菱形であると、光拡散シートの製造が容易となる。
【0013】
本開示に係る光拡散シートにおいて、前記複数の線状構造が、プリズム、ヘアライン、レンチキュラー、又は回折格子を構成すると、エッジライト型のバックライトユニットに配置された場合に、端部に設けられた光源から表示画面に概ね平行に出射された光を表示画面に誘導することができる。
【0014】
本開示に係るバックライトユニットは、液晶表示装置に組み込まれ、光源から発せられた光を表示画面に導くエッジライト型のバックライトユニットであって、前記光源が側端に設けられた導光部材と、前記表示画面と前記導光部材との間に設けられた前述の本開示に係る光拡散シートとを備え、前記光拡散シートは、前記複数の凹部を前記表示画面の方に向けて配置される。
【0015】
本開示に係るバックライトユニットによると、前述の本開示に係る光拡散シートを備えるため、輝度の低下を抑制しながら、輝度を均一化させることができる。
【0016】
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記導光部材が、前記光拡散シートから見て前記表示画面の反対側に設けられた反射部材の上に配置されると、輝度をさらに増大させることができる。
【0017】
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記略四辺形における2つの対角線のうち長い対角線と、前記光源の出光方向とが実質的に平行であると、他の配置と比べて、輝度を増大させることができる。
【0018】
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記複数の線状構造が延びる方向と、前記光源の出光方向とが実質的に平行であると、他の配置と比べて、導光部材から光拡散シートに入射した光を表示画面の方に、より好ましい角度で屈折させることができる。
【0019】
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記略四辺形における2つの対角線のうち長い対角線と、前記光源の出光方向とがなす角度は、5°以上20°以下であってもよい。このようにすると、モアレの発生を抑制するために、複数の線状構造が延びる方向と光源の出光方向とがなす角度を5°以上20°以下にした場合にも、他の配置と比べて、輝度を増大させることができる。
【0020】
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記複数の線状構造が延びる方向と、前記光源の出光方向とがなす角度が、5°以上20°以下であると、他の配置と比べて、モアレの発生を抑制し、輝度均一性を向上させることができる。
【0021】
本開示に係るバックライトユニットにおいて、前記表示画面と前記光拡散シートとの間に輝度向上シートが設けられると、輝度をより一層増大させることができる。
【0022】
本開示に係る液晶表示装置は、前述の本開示に係るバックライトユニットと、液晶表示パネルとを備える。
【0023】
本開示に係る液晶表示装置によると、前述の本開示に係るバックライトユニットを備えるため、輝度の低下を抑制しながら、輝度を均一化させることができる。
【0024】
本開示に係る情報機器は、前述の本開示に係る液晶表示装置を備える。
【0025】
本開示に係る情報機器によると、前述の本開示に係る液晶表示装置を備えるため、輝度の低下を抑制しながら、輝度を均一化させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の技術によると、輝度の低下を抑制できる光拡散シート、並びに当該光拡散シートを用いたバックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施形態の液晶表示装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態のバックライトユニットの構成を説明する模式的な断面図及び平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の光拡散シートの模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態の光拡散シートの逆ピラミッド層を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態の光拡散シートの逆ピラミッド層の形状を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態の光拡散シートの逆ピラミッド層における凹部の開口形状を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態の光拡散シートの線状構造層(線状構造がプリズムを構成する場合)の形状を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施形態の光拡散シートの線状構造層のバリエーションを示す断面図であって、(a)は、線状構造がヘアラインを構成する場合を示し、(b)は、線状構造がレンチキュラーを構成する場合を示し、(c)は、線状構造が回折格子を構成する場合を示す。
【
図9】
図9は、実施形態の光拡散シートにおいてモアレを抑制する構造を説明する図である。
【
図10】
図10は、実施形態の光拡散シートにおいてモアレを抑制する他の構造を説明する図である。
【
図11】
図11は、実施例において、光拡散シートの逆ピラミッド層の凹部開口形状である四辺形の形状を変化させた際の輝度の変化を調べた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態)
以下、実施形態に係る光拡散シート、バックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器について、図面を参照しながら説明する。尚、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0029】
<液晶表示装置>
図1は、本実施形態の液晶表示装置50を例示する模式的断面図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置50は、液晶表示パネル5と、液晶表示パネル5の下面に貼付された第1偏光板6と、液晶表示パネル5の上面に貼付された第2偏光板7と、液晶表示パネル5の背面側に第1偏光板6を介して設けられたバックライトユニット40とを備えている。
【0031】
液晶表示パネル5は、互いに対向するように設けられたTFT基板1及びCF基板2と、TFT基板1とCF基板2との間に設けられた液晶層3とを備える。
【0032】
TFT基板1は、例えば、ガラス基板上にマトリクス状に設けられた複数のTFTと、各TFTを覆うように設けられた層間絶縁膜と、層間絶縁膜上にマトリクス状に設けられ且つ複数のTFTにそれぞれ接続された複数の画素電極と、各画素電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。CF基板2は、例えば、ガラス基板上に格子状に設けられたブラックマトリクスと、ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層を含むカラーフィルターと、ブラックマトリクス及びカラーフィルターを覆うように設けられた共通電極と、共通電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。液晶層3は、電気光学特性を有する液晶分子を含むネマチック液晶材料等により構成される。第1偏光板6及び第2偏光板7は、例えば、一方向の偏光軸を有する偏光子層と、その偏光子層を挟持するように設けられた一対の保護層とを備える。
【0033】
バックライトユニット40は、端部に設けられた光源41が液晶表示パネル5に対して概ね平行に発する光48を液晶表示パネル5の方に誘導するエッジライト型のバックライトユニットである。
【0034】
液晶表示装置50の表示画面50aを正面(
図1の上方)から見た形状は、原則、長方形又は正方形であるが、これに限らず、長方形の角が丸くなった形状、楕円形、円形、台形、又は、自動車のインストルメントパネルなどの任意の形状であってもよい。
【0035】
液晶表示装置50においては、各画素電極に対応する各サブ画素において、液晶層3に所定の大きさの電圧を印加して液晶層3の配向状態を変える。これにより、バックライトユニット40から第1偏光板6を介して入射した光の透過率を調整される。透過率が調整された光は第2偏光板7を介して出射されて画像が表示される。
【0036】
本実施形態の液晶表示装置50は、種々の情報機器(例えばカーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ノートパソコンやタブレット等の携帯情報端末、VRゴーグル、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、現金自動預け払い機等)に組み込まれる表示装置として用いられる。
【0037】
<バックライトユニット>
図2は、本実施形態に係るバックライトユニット40の構成の一例を示す。
【0038】
図2(左方の断面図)に示すように、バックライトユニット40は、面発光部47、光拡散シート44、第1のプリズムシート45及び第2のプリズムシート46をこの順に積層して構成される。
図2では、各構成要素の間隔をあけて示しているが、バックライトユニット40において各構成要素は実質的に接していてもよい。また、
図2では、各構成要素の断面を模式的に示しているが、一部の構成要素については切断の方向が図示の方向と異なる場合がある。
【0039】
第1のプリズムシート45及び第2のプリズムシート46は、面発光部47からの光を表示画面50aに向けて集約することにより、液晶表示パネル5の全面における高輝度化に寄与する。但し、プリズムシート45、46が輝度向上シートとしての機能を発揮するためには、プリズムシート45、46に所定範囲の角度で光が入射することが望ましい。
【0040】
一方、面発光部47は、端部に光源41を備えるエッジライト型であるから、面発光部47から出射される光は、表示画面50aに対して平行に近い角度で出射される。従って、面発光部47上に第1のプリズムシート45及び第2のプリズムシート46を直接設けたとすると、プリズムシート45、46に対して光が入射する角度は必ずしも望ましい角度とならず、輝度の低下を招く場合がある。
【0041】
そこで、本実施形態では、面発光部47と第1のプリズムシート45との間に光拡散シート44を配置し、当該光拡散シート44の入光面に後述する線状構造層63を設けることによって、面発光部47から出射された光を第1のプリズムシート45の方に屈折させて、プリズムシート45、46に望ましい角度で光を入射させる。これにより、バックライトユニット40は均一且つ高輝度な発光を実現できる。
【0042】
図2の右方の図は、積層された各構成要素を積層方向(
図2の左方の断面図の上下方向)から見た平面構成を模式的に示している。これらの平面図は、バックライトユニット40において実際に各構成要素が積層される向きに合わせて示されている。個々の構成要素の詳細については後述するが、積層された各構成要素の向きは以下のように設定される。まず、光源41から光48が出射される方向と、面発光部47の導光板43におけるレンチキュラーレンズ43aの延びる方向と、光拡散シート44の線状構造層63におけるプリズム稜線44bの延びる方向とは互いに平行である。また、光拡散シート44の逆ピラミッド層62における凹部44cの開口形状である四辺形(本例では菱形)の2つの対角線のうち長い対角線と、線状構造層63のプリズム稜線44bとは互いに平行である。さらに、第1のプリズムシート45のプリズム稜線45aと、第2のプリズムシート46のプリズム稜線46aとは互いに直交し、プリズム稜線45aと、光拡散シート44の線状構造層63のプリズム稜線44bとは互いに直交する。
【0043】
尚、本開示で言う「平行」及び「直交」とは、幾何学的に厳密な平行及び直交に加えて、工業的な誤差の範囲、又は、本開示の技術の作用効果が失われない範囲で、実質的に平行及び直交とみなせる場合を含む。言い換えると、2つの方向がなす角が0°(平行の場合)又は90°(直交の場合)からずれていることは許容される。許容される「ずれ」の程度は、10°以下、好ましくは5°以下、より好ましくは3°以下、さらに好ましくは1°以下である。
【0044】
以下、バックライトユニット40の各構成要素について詳述する。
【0045】
<面発光部>
面発光部47は、反射部材である反射シート42と、その上に積層された導光部材である導光板43と、導光板43の側端に設けられた光源41とを備える。光源41、反射シート42及び導光板43は、互いに接着せずに枠体の内部に密着させて収納してもよい。光源41は、導光板43の表面に概ね平行に光48を導光板43内に入射させる。導光板43は、光48を光源41の反対方向に誘導すると共に、導光板43の表面に対して比較的小さい角度で光拡散シート44の方に光を出射させる。反射シート42は、光拡散シート44の反対方向に出射した光を反射して光拡散シート44に向かわせる。
【0046】
反射シート42は、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、銀蒸着フィルム等により構成される。導光板43は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂等からなるレンチキュラーレンズシートであっても良い。この場合、各レンチキュラーレンズ43a(
図2の平面図を参照)は、光48の入射する方向に伸びることが好ましい。光48は光源41から一定の広がりをもって出射されるので、光48の入射する方向とは、光源41から出射される光48の中心が進む方向であり、例えば、導光板43における光源41が設けられた側端面に垂直な方向である。
【0047】
導光板43の平面形状は、基本的に四角形であってもよいが、各角部が面取りされた八角形であってもよい。導光板43は、例えば数cm程度の端辺を有し、当該端辺に沿って複数個の光源41が一列に配列されてもよい。
【0048】
光源41の種類は特に限定されないが、例えばLED素子やレーザー素子等であってもよく、コスト、生産性等の観点からLED素子を用いてもよい。LED素子を用いる場合、複数のLEDチップを含んでいても良い。光源41は、白色光源であってもよい。青色光源等の有色光源を用いる場合は、光拡散シート44、プリズムシート45、46に加えて、バックライトユニット40に色変換シートを配置する。
【0049】
<光拡散シート>
図2及び
図3に示すように、光拡散シート44の第1面(本例では出光面)には、略逆四角錐に形成された複数の凹部44cが設けられ、第2面(本例では入光面)には、互いに隣り合うように形成され且つ横断面が二等辺三角形である複数の線状構造63が設けられる。
図3に示す例示では、光拡散シート44は、基材層61と、基材層61の一方の面に設けられた逆ピラミッド層62と、基材層61の他方の面に設けられた線状構造層63とを有する。本例では、面発光部47と対向するように線状構造層63が配置される。光拡散シート44の全体の厚さは、例えば50μm程度以上で且つ300μm程度以下であってもよい。
【0050】
[基材層]
基材層61は、光を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成される。基材層61の主成分は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等を用いてもよい。尚、「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。基材層61は、拡散剤その他の添加剤を含有してもよいし、或いは、実質的に添加剤を含有しなくてもよい。含有可能な添加剤は、特に限定されないが、例えば、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の無機粒子であってもよいし、例えば、アクリル、アクリルニトリル、シリコーン、ポリスチレン、ポリアミド等の有機粒子であってよい。
【0051】
基材層61の平均厚さの下限としては、10μm程度が好ましく、35μm程度がより好ましく、50μm程度がさらに好ましい。基材層61の平均厚さの上限としては、500μm程度が好ましく、250μm程度がより好ましく、180μm程度がさらに好ましい。基材層61の平均厚さが前記下限に満たないと、逆ピラミッド層62や線状構造層63を形成した場合にカールを発生するおそれがある。逆に、基材層61の平均厚さが前記上限を超えると、液晶表示装置50の輝度が低下するおそれがあると共に、液晶表示装置50の薄型化の要請に沿えないおそれがある。尚、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
【0052】
[逆ピラミッド層]
逆ピラミッド層62には、光を拡散させる凹凸形状、本例では略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の複数の凹部44cが設けられている。逆ピラミッド層62は、光線を透過させる必要があるので、透明(例えば無色透明)の合成樹脂を主成分として形成されてもよい。逆ピラミッド層62、基材層61となる母材樹脂の押出成形の際に基材層61と一体に成形してもよいし、或いは、基材層61の成形後に、紫外線硬化型樹脂等を用いて別途成形してもよい。
【0053】
複数の凹部44cは、例えば
図4に示すように、二次元マトリクス状に配列されてもよい。隣り合う凹部44c同士は、稜線44aによって区画される。稜線44aは、凹部44cが配列される方向に沿って延びる。凹部44cの配列ピッチは、例えば50μm程度以上500μm程度以下であってもよい。凹部44cの中心44e(最深部となる逆ピラミッドの頂点)は、凹部44cの最深部である。凹部44cの中心44eは、基材層61の表面に達していてもよい。言い換えると、凹部44cの深さは、逆ピラミッド層62の厚さと等しくてもよい。尚、
図4では、簡単のため、凹部44cが4×4のマトリクス状に配置された様子を例示しているが、凹部44cの実際の配列数ははるかに多い。
【0054】
図5は、逆ピラミッド層62の形状を示す。
図5には、逆ピラミッド層62の平面図と、一方の稜線44aに平行で且つ凹部44cの中心44eを通る断面図(平面図において断面の位置を破線で表す)とを示している。当該断面において、凹部44cが除かれた残部65は三角形であり、基材層61と接する辺が底辺である。
【0055】
残部65の高さ(凹部44cの深さ)hは、10μm程度以上で且つ200μm程度以下であってもよい。残部65のピッチ(凹部44cの配列ピッチ)pは、20μm程度以上で且つ400μm程度以下であってもよい。残部65の頂角θは、60°程度以上で且つ150°程度以下であってもよい。
【0056】
本実施形態では、逆ピラミッド状(略逆四角錐状)の凹部44cを二次元マトリクス状に配列して凹凸形状を設けたが、凹部44cは、本開示の技術の作用効果が失われない程度にランダムに配列されてもよい。本例では、凹部44cを隙間無く規則的に2次元配列したが、これに代えて、例えば稜線44aを幅広に形成して、凹部44c同士の間に隙間を設けてもよいし。
【0057】
本開示では、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な逆四角錐の凹部を形成することが難しいことを考慮して、「略逆四角錐」との表記を用いるが、「略逆四角錐」は、真正の又は実質的に逆四角錐とみなせる形状を含むものとする。また、「略」とは、近似可能であることを意味し、「略逆四角錐」とは、逆四角錐に近似可能な形状をいう。例えば、底部が平坦な「逆四角錐台形」についても、本開示の技術の作用効果が失われない程度であれば、「略逆多角錐」に包含されるものとする。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で「逆四角錐」から変形した形状も、「略逆四角錐」に包含されるものとする。
【0058】
本実施形態の特徴の1つとして、凹部44cの開口形状は、対向する一対の角がそれぞれ95°以上130°以下、好ましくは100°以上120°以下の略四辺形(例えば略菱形)である。凹部44cの開口形状は、凹部44cの稜線44aにより囲まれる形状である。
図6に示す例では、凹部44cの開口形状である四辺形は菱形100である。菱形100は、長い対角線(以下、長軸ということもある)101と、短い対角線(以下、短軸ということもある)102とを有する。前述の通り、本例では、菱形100の長軸101が、線状構造層63のプリズム稜線44bつまり光源41から光48が出射される方向と実質的に平行になるように、凹部44cが配列される。菱形100において短軸102と稜線44aとがなす角度φは、47.5°以上65°以下、好ましくは50°以上60°以下である。菱形100は、角度φが前述の角度範囲内であれば、真正の菱形でなくてもよい。例えば、面発光部47の出光特性に応じて、長軸101又は短軸102に対して非対称な四辺形であってもよい。
【0059】
本開示では、通常の形状転写技術により幾何学的に厳密な四辺形又は菱形の開口を持つ凹部を形成することが難しいことを考慮して、「略四辺形」又は「略菱形」との表記を用いるが、「略四辺形」又は「略菱形」は、真正の又は実質的に四辺形又は菱形とみなせる形状を含むものとする。また、「略」とは、近似可能であることを意味し、「略四辺形」又は「略菱形」とは、四辺形又は菱形に近似可能な形状をいう。例えば角部が欠けたり丸められた四辺形又は菱形についても、本開示の技術の作用効果が失われない程度であれば、「略四辺形」又は「略菱形」に包含されるものとする。また、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で四辺形又は菱形から変形した形状も、「略四辺形」又は「略菱形」に包含されるものとする。
【0060】
尚、光拡散シート44の載置面(水平面)に対して垂直な面(縦断面)で、菱形100の長軸101に沿って凹部44cを切断したときに現れる断面において、凹部44cの斜辺同士がなす角は、110°以上で135°以下であることが好ましく、113°以上で128°以下であることがさらに好ましい。これにより、輝度が向上する効果を得ることができる。
【0061】
[線状構造層]
本例の線状構造層63では、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように設けられ、隣り合う一対の溝条に挟まれた三角柱部分によって線状構造(本例ではプリズム)64が構成される。線状構造層63は、例えばUV硬化型アクリル系樹脂を用いて形成される。
【0062】
各線状構造64のプリズム稜線44bは、前述の通り、面発光部47のレンチキュラーレンズ43aの延びる方向、つまり光源41から光48が出射される方向と同じ方向に延びるように配置される。
【0063】
図7は、線状構造層63及び線状構造64の形状を示す。
図7には、線状構造層63の平面図と、プリズム稜線44bに垂直な断面図(平面図において断面の位置を破線で表す)とを示している。各線状構造64となるプリズムの断面形状は二等辺三角形であり、基材層61と接する辺が底辺である。
【0064】
線状構造64の高さhは、8μm程度以上で且つ100μm程度以下であってもよい。線状構造64のピッチpは、15μm程度以上で且つ200μm程度以下であってもよい。線状構造64の頂角θは、60°程度以上で且つ120°程度以下が好ましく、80°程度以上で且つ100°程度以下がさらに好ましい。
【0065】
尚、
図7に示す例では、線状構造64の断面形状が、幾何学的に厳密な二等辺三角形として示され、且つ、隣り合う線状構造64同士が接するように示されている。しかしながら、本開示の技術の作用効果が失われない範囲内、又は、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内であれば、例示の形状と異なってもよい。例えば、頂点(プリズム稜線44b)が丸まっていてもよいし、平坦な台形状になっていてもよい。この場合、頂角θは、三角形であると想定して、底辺の両端から延びる辺を延長した際の交差角である。また、隣り合う線状構造64同士が隙間をあけて配置されてもよい。
【0066】
また、
図7に示す例では、線状構造64として、プリズムを設けたが、線状構造64は、所定の方向に延びる凸状体を含むものであれば、特に限定されるものではない。例えば
図8に示すように、線状構造64は、ヘアライン(
図8の(a))、レンチキュラー(
図8の(b))、回折格子(
図8の(c))などを構成してもよい。線状構造64となるヘアラインは、例えば、基材層61の表面に対して単一方向へ研磨を行って生成した細長い筋目であってもよい。線状構造64となるレンチキュラーは、例えば、基材層61の表面に設けた微細で細長いカマボコ状の凸レンズ体であってもよい。線状構造64となる回折格子は、例えば、基材層61の表面に周期的に並置された直線状の凹凸からなる格子パターンであってもよい。
【0067】
本例のプリズムを含め、いずれの形状の線状構造64の場合も、各線状構造64が延びる方向と、光源41の出光方向とが実質的に平行であると、他の配置と比べて、導光板43から光拡散シート44に入射した光をプリズムシート45、46の方に、より好ましい角度で屈折させることができる。
【0068】
ところで、本実施形態のバックライトユニット40において、発光面にモアレが発生し、輝度の均一性が低下する場合がある。これを抑制するための線状構造層63の変形例を
図9及び
図10に示す。
図9及び
図10に示す構成によって、モアレの発生を抑制し、輝度均一性を向上させることができる。尚、モアレは、例えば、面発光部47、導光板43、光拡散シート44等の各構成要素の寸法の関係等によって発生するので、
図9及び
図10に示す構成が不要な場合もある。
【0069】
図9では、光拡散シート44の線状構造層63において、溝条及びこれにより残される線状構造(プリズム)64が繰り返し曲がった波形に形成される。結果として、プリズム稜線44bも波形になる。
【0070】
図10では、面発光部47における光48の出射方向(図中で矢印により示す)に対し、溝条及び線状構造64(プリズム稜線44b)の延びる方向が平行ではなく、例えば5°程度~20°程度の角度をなしている。
図2等に示す構成と比較すると、
図10に示す構成では、線状構造層63を、シート法線方向を中心軸として僅かな角度(例えば5°~20°)だけ回転させて基材層61上に配置した構成となっている。この場合、光拡散シート44の逆ピラミッド層62において、菱形100の長軸101の延びる方向も、プリズム稜線44bの延びる方向と同様に、光48の出射方向に対し、例えば5°程度~20°程度の角度をなしていると、他の配置と比べて、輝度を向上させることができる。
【0071】
<光拡散シートの製法>
光拡散シート44の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下に説明する製造方法のいずれかを用いて光拡散シート44の製造が可能である。
【0072】
第1の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、凸ピラミッド形状を表面に持つロール、他方のロールとして、所定の方向に延びる複数の線状凹形状を表面に有するロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に逆ピラミッド形状(凹部44c)、他面に線状凸形状(線状構造64)を持つ光拡散シート44を作製する。この製造方法では、基材層61、逆ピラミッド層62及び線状構造層63は、一体に形成される。
【0073】
第2の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、凸ピラミッド形状を表面に持つロール、他方のロールとして、鏡面ロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に逆ピラミッド形状(凹部44c)、他面に鏡面を持つシート(基材層61と逆ピラミッド層62とが一体となったシート)を作製する。続いて、当該シートを一対の押圧ロール間に送りつつ、一対の押圧ロールの直前で基材層61の裏面に紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。ここで、紫外線硬化型樹脂に接する側の押圧ロールとしては、外周面に所定の方向に延びる複数の線状凹部を有するものを用いる。紫外線硬化型樹脂が供給された前記シートを一対の押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって紫外線硬化型樹脂を硬化させ、逆ピラミッド形状(凹部44c)を付与した前記シートの反対面側に、複数の線状凹部の反転形状である複数の線状突起(線状構造64)を転写する。この製造方法では、線状構造層63だけが別体で形成される。
【0074】
第3の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、所定の方向に延びる複数の線状凹部を表面に持つロール、他方のロールとして、鏡面ロールを使用し、当該両ロールを樹脂フィルムに圧着して、一面に複数の線状凹部の反転形状である複数の線状突起(線状構造64)、他面に鏡面を持つシート(基材層61と線状構造層63とが一体となったシート)を作製する。次に、当該シートを一対の押圧ロール間に送りつつ、一対の押圧ロールの直前で基材層61の表面側に紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。ここで、紫外線硬化型樹脂に接する側の押圧ロールとしては、外周面に複数の略正四角錐状の凸部を有するものを用いる。紫外線硬化型樹脂が供給された前記シートを一対の押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって紫外線硬化型樹脂を硬化させ、複数の線状突起(線状構造64)を付与した前記シートの反対面に、複数の略正四角錐状の凸部の反転形状である複数の逆ピラミッド形状(凹部44c)を転写する。この製造方法では、逆ピラミッド層62だけが別体で形成される。
【0075】
第4の製造方法では、まず、例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする基材層61を用意する。この基材層61を一対の第1押圧ロール間に送りつつ、一対の第1押圧ロールの直前で、基材層61の裏面側に第1紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。ここで、第1紫外線硬化型樹脂に接する側の第1押圧ロールとしては、外周面に所定の方向に延びる複数の線状凹部を有するものを用いる。第1紫外線硬化型樹脂が供給された基材層61を一対の第1押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって第1紫外線硬化型樹脂を硬化させ、基材層61の裏面側に、複数の線状凹部の反転形状である複数の線状凸形状(線状構造64)を転写したシート(基材層61と線状構造層63とが積層されたシート)を作製する。次に、当該シートを一対の第2押圧ロール間に送りつつ、一対の第2押圧ロールの直前で、複数の線状凸形状(線状構造64)を転写した前記シートの表面側に第2紫外線硬化型樹脂(突起形成用樹脂組成物)を供給する。第2紫外線硬化型樹脂に接する側の第2押圧ロールとしては、外周面に複数の略正四角錐状の凸部を有するものを用いる。第2紫外線硬化型樹脂が供給された前記シートを一対の第2押圧ロールで押圧した後、紫外線を照射することによって第2紫外線硬化型樹脂を硬化させ、複数の線状突起(線状構造64)を付与した前記シートの反対面側に、複数の略正四角錐状の凸部の反転形状である複数の逆ピラミッド形状(凹部44c)を転写する。この製造方法では、基材層61、逆ピラミッド層62及び線状構造層63はそれぞれ、別体で形成される。
【0076】
第5の製造方法では、まず、ペレット状の母材樹脂(プラスチック樹脂)を押出成形機によって樹脂フィルム化する。その後、2台の金属平板のうち一方の平板として、凸ピラミッド形状を表面に持つ金属平板、他方の平板として、所定の方向に延びる複数の線状凹形状を表面に有する金属平板を使用し、当該両金属平板を樹脂フィルムに圧着(熱プレス)して、一面に逆ピラミッド形状(凹部44c)、他面に線状凸形状(線状構造64)を持つ光拡散シート44を作製する。この製造方法では、基材層61、逆ピラミッド層62及び線状構造層63は、一体に形成される。
【0077】
<プリズムシート>
図2に示す例では、光拡散シート44上には、輝度向上シートとして、第1のプリズムシート45及び第2のプリズムシート46が設けられる。プリズムシート45、46は、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように設けられ、隣り合う一対の溝条に挟まれた三角柱部分によってプリズムが構成された構成を有する。プリズムシート45及び46としては、例えば、例えば、PET(polyethylene terephthalate)フィルムにUV硬化型アクリル系樹脂を用いてプリズム形状をつけたものを用いてもよい。
【0078】
図2の断面図に示すように、第1及び第2のプリズムシート45及び46は、いずれもプリズムが面発光部47の反対方向に配置されている。
【0079】
図2の平面図に示すように、第1のプリズムシート45は、そのプリズム稜線45aが光拡散シート44のプリズム稜線44bと直交するように配置されると共に、第2のプリズムシート46は、そのプリズム稜線46aが光拡散シート44のプリズム稜線44bと平行に配置される。従って、第1及び第2のプリズムシート45及び46は、それぞれのプリズム稜線45a及び46aが直交するように配置される。第2のプリズムシート46の裏面(プリズムが設けられた面の反対面)には、モアレの発生や異物の視認等を防止するために、複数の突起46bを設けてもよい。
【0080】
尚、輝度向上シートとして上記のような2つのプリズムシート45及び46を用いることに代えて、プリズムシートを1枚み若しくは3枚以上を用いてもよいし、又は、プリズムシートとは異なる種類の輝度向上シートを用いてもよい。
【0081】
<実施形態の特徴>
以上に説明した本実施形態の光拡散シート44によると、一面に略逆四角錐状の複数の凹部44cを設け、他面に所定の方向に延びる複数の線状構造64を設け、各凹部44cの開口形状は、対向する一対の角がそれぞれ95°以上130°以下の略四辺形に構成されている。このため、凹部44cの開口形状である略四辺形における対向する一対の角がそれぞれ95°未満又は130°超である場合と比べ、輝度を増大させることができる。
【0082】
本実施形態の光拡散シート44において、前記一対の角がそれぞれ100°以上120°以下であると、輝度をさらに増大させることができる。
【0083】
本実施形態の光拡散シート44において、凹部44cの開口形状が略菱形であると、光拡散シート44の製造が容易となる。
【0084】
本実施形態の光拡散シート44において、線状構造64がプリズム、ヘアライン、レンチキュラー、又は回折格子を構成すると、エッジライト型のバックライトユニット40に光拡散シート44が配置された場合に、光源41から表示画面50aに概ね平行に出射された光を表示画面50aに誘導することができる。
【0085】
本実施形態のエッジライト型のバックライトユニット40は、液晶表示装置50に組み込まれ、光源41から発せられた光を表示画面50aに導く。バックライトユニット40は、光源41が側端に設けられた導光板43、表示画面50aと導光板43との間に設けられた光拡散シート44とを備え、光拡散シート44は、凹部44cを表示画面50aの方に向けて配置される。
【0086】
本実施形態のバックライトユニット40によると、光拡散シート44を備えるため、輝度の低下を抑制しながら、輝度を均一化させることができる。
【0087】
本実施形態のバックライトユニット40において、導光板43が、光拡散シート44から見て表示画面50aの反対側に設けられた反射シート42の上に配置されると、輝度をさらに増大させることができる。
【0088】
本実施形態のバックライトユニット40において、凹部44cの開口形状である略四辺形における2つの対角線101、102のうち長い対角線101と、光源41の出光方向とが実質的に平行であると、他の配置と比べて、輝度を増大させることができる。
【0089】
本実施形態のバックライトユニット40において、線状構造64が延びる方向と、光源41の出光方向とが実質的に平行であると、他の配置と比べて、導光板43から光拡散シート44に入射した光を表示画面50aの方に、より好ましい角度で屈折させることができる。
【0090】
本実施形態のバックライトユニット40において、凹部44cの開口形状である略四辺形における2つの対角線101、102のうち長い対角線101と、光源41の出光方向とがなす角度は、5°以上20°以下であってもよい。このようにすると、モアレの発生を抑制するために、線状構造64が延びる方向と光源41の出光方向とがなす角度を5°以上20°以下にした場合にも、他の配置と比べて、輝度を増大させることができる。
【0091】
本実施形態のバックライトユニット40において、線状構造64が延びる方向と、光源41の出光方向とがなす角度が、5°以上20°以下であると、他の配置と比べて、モアレの発生を抑制し、輝度均一性を向上させることができる。
【0092】
本実施形態のバックライトユニット40において、表示画面50aと光拡散シート44との間に輝度向上シート(本例ではプリズムシート45、46)が設けられると、輝度をより一層増大させることができる。
【0093】
本実施形態の液晶表示装置50は、バックライトユニット40を備えるため、輝度の低下を抑制しながら、輝度を均一化させることができる。液晶表示装置50を備える各種の情報機器についても同様である。
【0094】
<実施例>
実施例では、光拡散シート44の評価サンプルとして、
図6に示す角度φを5°から85°まで5°刻みで変化させたものを用意し、
図2に示すバックライトユニット40と基本的に同様の構成において各サンプルシートの輝度を評価した。
【0095】
詳しくは、光拡散シート44の基材層61の厚さを82μmとし、当該基材層61の一面に逆ピラミッド層62を設け、他面に線状構造層63を設けた。
【0096】
逆ピラミッド層62における各凹部44cの深さ(残部65の高さ)は20μmとし、
図6に示す長軸101に対応する対角線の延びる方向と光源41の出光方向とを一致させた。尚、各凹部44cの逆ピラミッド形状は、高さ20μm、ピッチ40μm(つまり頂角90°)のプリズムを用意し、このプリズムを、
図6に示す角度φの2倍の角度2φで交差させて合成することによって形成した。従って、各サンプルシートの凹部44cの開口形状(
図6参照)において、長軸101及び短軸102に対応する各対角線の長さは角度φに応じて変化し、具体的には、「長軸101に対応する対角線の長さ」=2×(深さ20μm)/cosφ=40/cosφ[μm]であり、「短軸102に対応する対角線の長さ」=2×(深さ20μm)/sinφ=40/sinφ[μm]である。
【0097】
線状構造層63の線状構造64としては、頂角90°、高さ12μmのプリズムを設け、プリズム稜線44bの延びる方向と光源41の出光方向とを一致させた。
【0098】
第1のプリズムシート45としては、厚さ66μmの基材層の入光面を鏡面とし、出光面に頂角90°、高さ12μmのプリズムを設けたもの(屈折率1.68)を用意し、プリズム稜線45aと光源41の出光方向とを直交させた。
【0099】
第2のプリズムシート46としては、厚さ96μmの基材層の入光面を鏡面とし、出光面に頂角90°、高さ12μmのプリズムを設けたもの(屈折率1.67)を用意し、プリズム稜線46aと光源41の出光方向とを一致させた。
【0100】
尚、各サンプルシートの輝度評価には、導光板43の側端に光源41が設けられたエッジライト型の面発光部47に代えて、当該面発光部47と同様の配光特性(出光角度特性)及び輝度値を持つ波長450nm、発光領域10mm×10mmの単色面光源(LED)を、反射シートは配置せずに用いた。
【0101】
以上に説明したバックライトユニット構成において、
図6に示す角度φが異なる各サンプルシートを配置し、トプコンテクノハウス社製の2次元分光放射計SR-5000HSを用いて、鉛直方向上向き(面光源から表示画面に向かう方向)の輝度を8mm×8mmの範囲について測定した。次に、得られた二次元輝度分布画像に対し、全画素の輝度の平均値を算出した。その結果を
図11に示す。尚、
図11において、輝度は、φが45°のとき(凹部44cの開口形状が正方形のとき)の値を基準とする相対輝度で示している。また、参考までに、
図11には、
図6に示す平面構成と、光源41から出射される光48の進行方向との関係を示している。
【0102】
図11に示すように、φが45°の場合の輝度と比べて、φが47.5°から65°までの範囲(凹部44cの開口形状である四辺形における対向する一対の角がそれぞれ95°以上130°以下の範囲)で輝度が向上した。特に、φが50°から60°までの範囲(凹部44cの開口形状である四辺形における対向する一対の角がそれぞれ100°以上120°以下の範囲)では、φが45°の場合の輝度と比べて、輝度が10%以上向上し、φが55°の場合の最大輝度では12%以上向上した。
【0103】
(その他の実施形態)
以上、本開示についての実施形態(実施例を含む。以下同じ。)を説明したが、本開示は前述の実施形態のみに限定されず、開示の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、前述の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示の技術によると、輝度の低下を抑制できる光拡散シートを提供できるので、当該光拡散シートを用いたバックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器として有用である。
【符号の説明】
【0105】
1 TFT基板
2 CF基板
3 液晶層
5 液晶表示パネル
6 第1偏光板
7 第2偏光板
40 バックライトユニット
41 光源
42 反射シート
43 導光板
43a レンチキュラーレンズ
44 光拡散シート
44a 稜線
44b プリズム稜線
44c 凹部
44e 凹部の中心
45 第1のプリズムシート
45a プリズム稜線
46 第2のプリズムシート
46a プリズム稜線
46b 突起
47 面発光部
48 光
50 液晶表示装置
50a 表示画面
61 基材層
62 逆ピラミッド層
63 線状構造層
64 線状構造
65 残部
100 菱形
101 長い対角線
102 短い対角線