(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140887
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】測定装置及び、測定方法
(51)【国際特許分類】
B22D 11/16 20060101AFI20241003BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B22D11/16 104X
G01B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052247
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【弁理士】
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【弁理士】
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】宮原 洋
(72)【発明者】
【氏名】太田 宏之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 佳祐
【テーマコード(参考)】
2F065
4E004
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA06
2F065BB06
2F065GG04
2F065RR06
2F065SS11
4E004MD02
(57)【要約】
【課題】 鋳型及び、ロールを含む部材の配置寸法を相対的に測定することが可能な測定装置を提供する。
【解決手段】 連続鋳造設備の部材である鋳型及び前記鋳型から引き抜かれた鋳片を挟み込んで案内するロールの配置寸法を測定する測定装置である。測定装置は、前記鋳型の軸方向に沿って移動可能に設けられている昇降部と、前記昇降部と前記鋳型の基準位置との位置合わせを行う位置合わせ部と、前記昇降部に設けられ前記基準位置から前記部材までの距離を測定する距離測定部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造設備の部材である鋳型及び前記鋳型から引き抜かれた鋳片を挟み込んで案内するロールの配置寸法を測定する測定装置であって、
前記鋳型の軸方向に沿って移動可能に設けられている昇降部と、
前記昇降部と前記鋳型の基準位置との位置合わせを行う位置合わせ部と、
前記昇降部に設けられ前記基準位置から前記部材までの距離を測定する距離測定部と、を有する、測定装置。
【請求項2】
前記鋳型の軸方向に沿って延びて形成されたフレームを有し、
前記昇降部は、前記フレームに設けられている、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記フレームは、前記鋳型の軸方向に沿って伸縮自在に形成されている、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記距離測定部は、レーザ距離計である、請求項1~3のいずれかに記載の測定装置。
【請求項5】
前記距離測定部によって測定された距離情報を取得する距離情報取得部と、
前記基準位置から前記部材までの距離の基準となる基準データを取得する基準データ取得部と、
前記基準データ及び、前記距離情報に基づいて、前記部材の配置態様に関する配置データを生成する配置データ生成部と、
前記配置データ生成部によって生成された配置データに基づいた報知を行う報知部と、を有する、請求項1~3のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
前記距離測定部によって測定された距離情報を取得する距離情報取得部と、
前記基準位置から前記部材までの距離の基準となる基準データを取得する基準データ取得部と、
前記基準データ及び、前記距離情報に基づいて、前記部材の配置態様に関する配置データを生成する配置データ生成部と、
前記配置データ生成部によって生成された配置データに基づいた報知を行う報知部と、を有する、請求項4に記載の測定装置。
【請求項7】
連続鋳造設備の部材である鋳型及び前記鋳型から引き抜かれた鋳片を挟み込んで案内するロールの配置寸法を測定する測定方法であって、
基準位置から前記部材までの距離を測定する距離測定工程と、
前記距離測定工程において測定された距離情報を取得する距離情報取得工程と、
前記基準位置から前記部材までの距離の基準となる基準データを取得する基準データ取得工程と、
前記基準データ及び、前記距離情報に基づいて、前記部材の配置態様に関する配置データを生成する配置データ生成工程と、
前記配置データ生成工程において生成された配置データに基づいた報知を行う報知工程と、を有する、測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造設備を構成する部材の配置寸法を測定する測定装置及び、測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造設備には、鋳型が設けられ、また鋳型の下方にはロールが設けられている。
【0003】
鋳型は、溶鋼と接触するため、熱及び、荷重の影響を受ける。また、ロールは、鋳型を経た鋼片と接触するため、熱及び、荷重の影響を受ける。連続鋳造設備の鋳型やロールの配置寸法は、製品の寸法に影響を及ぼす。このため、従来から連続鋳造設備の部材である鋳型やロール等の配置寸法を測定することが行われている。
【0004】
連続鋳造設備の部材の配置寸法は、例えば、マイクロメーターを用いて測定される。また、鋳型の幅寸法を計測する測定器を用いて鋳型の配置寸法を測定することも行われている。このような測定器としては、鋳型の幅方向に伸出して鋳型の幅を検出する鋳型幅検出器を備えた鋳型幅測定装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マイクロメーターを用いて鋳型の配置寸法を測定する場合、ユーザは互いに対向する壁部間の距離を測定することにより行っている。また、特許文献1に記載の鋳型幅測定装置を用いて鋳型の幅を測定する場合、鋳型の壁面に鋳型幅検出器を当接させて測定する。
【0007】
しかしながら、このような従来の配置寸法の測定では、鋳型や、ロールに歪が生じた場合であっても、幅方向の長さが規定値以内であればその歪を検出することが困難である。特に、鋳型及び、ロールの配置関係のズレである、いわゆるミスアライメントが生じた場合に、幅方向の長さが規定値であれば、当該ミスアライメントを検出することが困難である。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、鋳型及び、ロールを含む部材の配置寸法を相対的に測定することが可能な測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の特徴を有する。
【0010】
[1]
連続鋳造設備の部材である鋳型及び前記鋳型から引き抜かれた鋳片を挟み込んで案内するロールの配置寸法を測定する測定装置であって、
前記鋳型の軸方向に沿って移動可能に設けられている昇降部と、
前記昇降部と前記鋳型の基準位置との位置合わせを行う位置合わせ部と、
前記昇降部に設けられ前記基準位置から前記部材までの距離を測定する距離測定部と、を有する、測定装置。
[2]
前記鋳型の軸方向に沿って延びて形成されたフレームを有し、
前記昇降部は、前記フレームに設けられている、[1]に記載の測定装置。
[3]
前記フレームは、前記鋳型の軸方向に沿って伸縮自在に形成されている、[2]に記載の測定装置。
[4]
前記距離測定部は、レーザ距離計である、[1]~[3]のいずれかに記載の測定装置。
[5]
前記距離測定部によって測定された距離情報を取得する距離情報取得部と、
前記基準位置から前記部材までの距離の基準となる基準データを取得する基準データ取得部と、
前記基準データ及び、前記距離情報に基づいて、前記部材の配置態様に関する配置データを生成する配置データ生成部と、
前記配置データ生成部によって生成された配置データに基づいた報知を行う報知部と、を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の測定装置。
[6]
連続鋳造設備の部材である鋳型及び前記鋳型から引き抜かれた鋳片を挟み込んで案内するロールの配置寸法を測定する測定方法であって、
基準位置から前記部材までの距離を測定する距離測定工程と、
前記距離測定工程において測定された距離情報を取得する距離情報取得工程と、
前記基準位置から前記部材までの距離の基準となる基準データを取得する基準データ取得工程と、
前記基準データ及び、前記距離情報に基づいて、前記部材の配置態様に関する配置データを生成する配置データ生成工程と、
前記配置データ生成工程において生成された配置データに基づいた報知を行う報知工程と、を有する、測定方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の測定装置によれば、昇降部と鋳型の基準位置との位置合わせを行う位置合わせ部及び、当該基準位置から部材までの距離を測定する距離測定部を有する。このため、基準位置からの連続鋳造設備の部材までの配置寸法を測定することが可能となる。これにより、鋳型及び、ロールを含む部材の配置寸法を相対的に測定することが可能となる。具体的には、本発明の測定装置は、基準位置からの鋳型及び、ロールの配置寸法を測定することにより、いわゆるミスアライメントを検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1のフレームを収縮させた際の態様を示す説明図である。
【
図4】距離測定装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図5】距離測定装置による距離測定方法の処理フローである。
【
図7】距離測定装置による距離測定の態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、測定装置の構成を示している。
図1に示すように、連続鋳造設備の鋳型10は、筒状に形成されている。連続鋳造設備は、鋳型10及び、鋳型10の下方に設けられているロール13を部材として有する。
【0014】
鋳型10は、互いに対向して配置された一対の長辺及び、これらの長辺に挟持されかつ、互いに対向して配置された一対の短辺を含んで構成されている。鋳型10は、一対の長辺及び、一対の短辺によって筒状に形成されている。鋳型10は、開口11を有している。
【0015】
ロール13は、円筒状の部材である。ロール13は、連続鋳造設備において鋳型10に続いて互いに対向して設けられている。ロール13は、上流側から下流側にかけて列状に複数設けられている。ロール13は、鋳型から引き抜かれた鋳片を挟み込んで、当該鋳片を連続鋳造設備の下流側に案内する。
【0016】
測定装置100は、鋳型10及び、ロール13を含む部材の配置寸法を測定する装置である。以下、配置寸法を測定する連続鋳造設備の部材として、鋳型10及び、ロール13を挙げて説明するが、配置寸法を測定する対象となる部材は、ユーザが任意に設定することができる。
【0017】
測定装置100は、フレーム20を有する。フレーム20は、矩形の枠状に形成されている。本実施形態においては、フレーム20は、開口11の軸方向AXに沿って延びて形成されている。フレーム20は、一端側に配されている第1フレーム21と、第1フレーム21に接続されている第2フレーム22を有する。
【0018】
第1フレーム21の一端側(上方側)には、開口11に測定装置100を取り付ける取付部30が設けられている。取付部30は、開口11の幅方向に延びる枠状に形成されている。取付部30の形態は特には限定されず、開口11においてフレーム20を支持することが可能な形態であればよく、例えば、棒状に形成されていてもよい。
【0019】
取付部30には、フレーム20の幅方向の中央において突起状に形成された位置合わせ部31が設けられている。位置合わせ部31は、ユーザが目視することができればよく、その形状は特には限定されず、例えば、マークが記載されたシールなどが取付部30に貼付されていてもよい。
【0020】
第1フレーム21の一端には、表示部40が設けられている。表示部40は、測定装置100が測定した鋳型10及び、ロール13の配置寸法の測定結果が表示される。表示部40は、例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイを用いることができる。
【0021】
第2フレーム22の他端側(下方側)には、開口11の軸AXの方向に沿って移動可能に昇降部50が設けられている。本実施形態においては、昇降部50は第2フレーム22の先端面に位置する。尚、昇降部50が設けられている位置は特には限定されず、例えば、フレーム20内をその長手方向(軸AX方向)にスライド可能に設けられてもよい。
【0022】
昇降部50には、距離測定部60が設けられている。距離測定部60は、特には限定されないが、例えば、出射光が物体で反射された反射光を測定することにより距離を測定するレーザ距離計を用いることができる。レーザ距離計を用いることで、距離を測定する機構を小型化及び、軽量化を図ることができる。これにより、携帯性を高めるとともに、鋳型10より下方に位置するロール13まで昇降部50を移動させることが容易になるため、測定範囲を広げることが可能となる。また、レーザ距離計は、距離測定を素早く行うことができるため、測定作業を迅速に行うことが可能となる。
【0023】
本実施形態においては、フレーム20の幅方向において配列されるようにレーザ距離計61,62が設けられている。レーザ距離計61、62は、フレーム20の幅方向において互いに逆向きとなる方向に出射光を出射可能に設けられている。具体的には、レーザ距離計61、62は、互いに対向する方向において、逆方向(互いに離れる方向)に出射光を出射可能に設けられている。
【0024】
昇降部50は、第1フレーム21の一端と接続手段70によって接続されている。接続手段70は、第1フレーム21の一端に設けられているハンドル71と、第2フレーム22の他端に設けられている固定部72と、を接続する接続部材73を有する。
【0025】
接続部材73には、特には限定されないが、チェーン、ベルト等を用いることができる。本実施形態においては、接続部材73にチェーンが用いられている。接続部材73は、上方へのチェーンの移動を規制する規制部材74及び、ギア75に架け渡されて接続されている。
【0026】
規制部材74は、第1フレーム21の他端側に設けられている。規制部材74は、第1フレーム21の枠で囲まれる領域に対して垂直な方向に突出した棒状に形成されている。
【0027】
ギア75は、第1フレーム21内を長手方向にスライドして移動可能な板76に取り付けられている。ギア75は、当該板76の側面において、軸回りに回動自在に取り付けられている。
【0028】
図2は、フレーム20を収縮させた際の態様を示している。第1フレーム21は、その長手方向に沿って溝(図示せず)が形成されている。第2フレーム22は、第1フレーム21の溝と係合する突起(図示せず)が形成されている。第2フレーム22の突起は、第1フレーム21の溝をスライド可能に設けられている。
【0029】
図2に示されているように、第2フレーム22は、ハンドル71を操作して接続部材73が巻き取られることにより、第1フレーム21の枠内に収容可能である。また、ハンドル71を操作して接続部材73を開放することにより、第1フレーム21の枠内から延出可能である。このように、フレーム20は、開口11の軸方向AXに沿って伸縮自在に形成されている。このようにフレーム20が形成されていることで、測定装置100の携帯性を高めることができる。また、このようにフレーム20が形成されていることで、昇降部50を安定して移動させることができる。その結果、測定装置100の測定精度を高めることができる。
【0030】
図3は、測定装置の上面を示している。
図3に示されているように、開口11には、開口11の幅方向の中間位置を示す標識14が設けられている。標識14は、基準位置として示す場所に設けられていればよく、開口11の幅方向の中間位置以外の場所に設けられているようにしてもよい。
【0031】
標識14は、ユーザが目視することができればよく、その形状は特には限定されず、例えば、位置合わせ部31と同様に突起状に形成されてもよいし、マークが記載されたシールなどが開口11に貼付されていてもよい。
【0032】
したがって、ユーザは、位置合わせ部31を、標識14が設けられている位置に合わせて開口11に挿入することで、測定装置100を基準位置に設置することが可能となる。言い換えれば、このようにして測定装置100を設置することで、昇降部50と開口11の基準位置との位置合わせを行うことが可能となる。尚、表示部40は、距離測定部60によって測定された基準位置からの距離を表示する。
【0033】
図4は、測定装置100の機能ブロックを示している。
図4に示すように、表示部40、距離測定部60及び、制御部80は、バス90を介して互いに通信可能に接続されている。
【0034】
制御部80は、測定装置100の動作の全体を制御する。制御部80は、CPU、ROM,RAMを含むコンピュータによって構成される。ROMは、本発明の実施形態に係る距離測定方法を実行する制御プログラムと、測定装置100全体の動作を制御する処理プログラムや処理データを記憶している。CPUは、ROM内に記憶されている制御プログラム及び処理プログラムに従って測定装置100全体の動作を制御する。RAMは、CPUが実行する処理に関する処理プログラムや処理データを一時的に記憶し、CPUのワーキングエリアとして機能する。
【0035】
制御部80は、距離測定部60によって測定された距離情報を取得する距離情報取得部81を有する。制御部80は、基準位置から鋳型10の内壁又は、ロール13までの距離の基準となる基準データを取得する基準データ取得部82を有する。制御部80は、基準データ及び、距離情報に基づいて、鋳型10又は、ロール13の配置態様に関する配置データを生成する配置データ生成部83を有する。制御部80は、配置データ生成部83によって生成された配置データを表示部40に表示させる。
【0036】
図5は、測定装置100による距離測定方法の処理フローを示している。ユーザによって次のようにして距離が測定される。ユーザは、測定装置100を開口11から挿入し、取付部30を開口11の縁に固定する。ユーザは、表示部40に表示されている測定開始ボタン(図示せず)を押下し距離測定部60による距離測定を開始させる。ユーザは、ハンドル71を操作し、測定したい任意の位置まで昇降部50を移動させる。ユーザは、表示部40に表示されている測定終了ボタン(図示せず)を押下し距離測定部60による距離測定を終了させる。
【0037】
図5に示すように、距離測定部60は、レーザ距離計61、62によって測定された距離を逐次ROMに格納する(ステップS01)。ステップS01の距離測定工程において、距離測定部60は、ROMに予め格納されている基準位置からレーザ距離計61までの第1距離及び、基準位置からレーザ距離計62までの第2距離を取得する。距離測定部60は、レーザ距離計61が測定した距離と、第1距離を足し合わせて、基準位置から一の方向における鋳型10及び、ロール13までの第3距離を算出する。
【0038】
同様に、距離測定部60は、レーザ距離計62が測定した距離と、第2距離を足し合わせて、基準位置から他の方向における鋳型10又は、ロール13までの第4距離を算出する。距離測定部60は、第3距離及び、第4距離を距離情報としてROMに格納する。
【0039】
距離情報取得部81は、第3距離及び、第4距離をROMから読み出して、距離情報を取得する(ステップS02)。
【0040】
基準データ取得部82は、第3距離の基準となる距離である第3基準距離及び、第4距離の基準となる距離である第4基準距離を基準データとしてROMから読み出して取得する(ステップS03)。
【0041】
第3基準距離及び、第4基準距離は、基準データとして予めROMに格納されているようにするとよい。尚、ステップS02の距離情報取得工程及び、ステップS03の基準データ取得工程は、どちらが先に行われてもよいし、同時に行われるようにしてもよい。
【0042】
配置データ生成部83は、第3距離と、第3基準距離と、を比較して、比較結果を配置データとして生成する(ステップS04)。同様に、配置データ生成部83は、第4距離と、第4基準距離と、を比較して、比較結果を配置データとして生成する。配置データ生成部83が生成したこれらの配置データは、ROMに格納される。
【0043】
制御部80は、ステップS04の配置データ生成工程で生成された配置データを表示部40に表示させることにより報知する(ステップS05)。ステップS05の報知工程において、制御部80は、ROMから配置データを読み出して表示部40に表示させる。このように、表示部40は、配置データ生成部83によって生成された配置データに基づいた報知を行う報知部として機能する。
【0044】
図6は、表示部40の表示例を示している。表示部40は、距離測定部60によって測定された距離を順次表示する。例えば、ハンドル71を一定の速度で操作した場合、昇降部50は当該操作速度に応じて昇降する。表示部40は、距離測定部60によって測定された距離を順次表示する。
【0045】
図6に示す表示例では、表示部40は、昇降部50の位置に応じた距離が示されている。距離測定部60がロール13の近傍を順次距離を測定する場合、ロール13の上端からロール13の軸(図示せず)に近づくにつれて距離が徐々に短く計測される。また、ロール13の軸からロール13の下端に近づくにつれて距離が徐々に長く計測される。
【0046】
図6に示す表示例では、このように距離が順次変化する領域と、それ以外の領域を分けて表示される。
図6に示す表示例では、右上がりの斜線で囲まれた領域を距離の変化が少ない領域、右下がりの斜線で囲まれた領域を距離の変化が多い領域として表示されている。
【0047】
また、
図6に示す表示例では、右下がりの斜線で囲まれた領域における最も距離が短くなる位置、すなわち、ロール13の軸の位置におけるロール13間の距離(XX mm:Xは数値)が示されている。
【0048】
さらに、表示部40の右下の表示領域おいては、当該距離が正常範囲内であるか、否かの判定結果が配置データとして示されている。このように、配置データが報知されることにより、ユーザは、迅速に配置寸法の異常及び、配置寸法の異常の度合いを認識することができる。
【0049】
図7は、測定装置100による距離測定の態様を示している。
図7に示すように、測定装置100は、基準位置BPから一の方向における鋳型10又は、ロール13までの第3距離D31,D32,D33を取得可能である。測定装置100は、基準位置BPから他の方向における鋳型10又は、ロール13までの第3距離D41,D42,D43を取得可能である。
【0050】
従来の技術では、第3距離D31及び、第4距離D41の合計と、第3距離D33及び、第4距離D43の合計と、を比較することが行われている。このため、従来の技術では、例えば、第3距離D33及び、第4距離D43の測定位置において、ロール13が位置ずれを起こしている場合であっても、両者が閾値以下であれば当該位置ずれを検知することが困難である。
【0051】
測定装置100によれば、基準位置BPから片側ずつ距離を測定することが可能である。このため、第3距離D31及び、第3距離D33並びに、第4距離D41及び、第4距離D43を比較することが可能となる。したがって、第3距離D31及び、第4距離D41の合計と、第3距離D33及び、第4距離D43の合計が同じ場合であったとしても、当該位置ずれを検知することが可能となる。このように、測定装置100によれば、鋳型10及びロール13間のズレ(ミスアライメント)やロール13のミスアライメントを測定することが可能となる。また、測定装置100によれば、簡易に測定できるため、ユーザがマイクロメーターを用いた測定の約半分の時間で測定することができる。
【0052】
上述の通り、従来の測定装置では鋳型とロールとのミスアライメントを測定することが困難である。このようなミスアライメントが発生すると、鋳片のシェルが薄い段階では、バルジングやシェルの押し込みが発生し、いわゆるブレークアウト等のトラブルが発生するおそれがある。本発明の測定装置100によれば、鋳型10及び、ロール13を含む部材の配置寸法を相対的に測定することができるため、このような、鋳型10とロール13とのミスアライメントも検知することができる。したがって、ブレークアウト等のトラブルの発生を抑制することができる。
【0053】
従来の測定設備は、特に距離を測定する機構が大型であるため、事前準備や、測定に労力と時間を要する。本発明の測定装置100によれば、レーザ距離計61,62を用いて距離を計測しているため、距離を測定する機構を小型化かつ、軽量化を図ることができる。これにより、ユーザは、測定装置100を容易に持ち運びすることができる。したがって、高稼働率の連続鋳造機であっても、手軽に測定することが可能となるため、測定頻度を高めることができ、異常の早期発見やトラブルを未然に防止することができる。
【0054】
さらに、本願の測定装置100は、昇降部50を移動させることにより、例えば、鋳型10の直下に配置されている垂直ロール帯における基準位置から部材までの距離を測定することができる。これにより、従来の測定態様で行う場合よりも測定範囲を広くすることができる。
【0055】
尚、上述の実施形態においては、フレーム20を設けた測定装置100の例を説明した。しかし、昇降部50が開口11の軸AX方向に移動させることができればよく、フレーム20は、ユーザの実施態様に応じて任意に設けることができる。
【符号の説明】
【0056】
100 測定装置
10 鋳型
11 開口
13 ロール
14 標識
20 フレーム
40 表示部
50 昇降部
60 距離測定部
70 接続手段