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特開2024-140888遠隔医療補助システム、遠隔医療補助方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140888
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】遠隔医療補助システム、遠隔医療補助方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0245 20060101AFI20241003BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B5/0245 A
A61B5/11 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052249
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】野坂 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】式井 愼一
(72)【発明者】
【氏名】米田 亜旗
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AC20
4C017BD06
4C017CC02
4C017DD14
4C017FF05
4C038VA04
4C038VB19
4C038VB32
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】より多様な行為を可能にするための遠隔医療補助システム等を提供する。
【解決手段】遠隔医療補助システムは、衣服99に一体化されるシート状部材100であって、センサ部101を含むシート状部材100と、センサ部101との間で信号の送受信を行う制御装置130と、を備え、センサ部101は、信号の送受信によってセンサ部101上に画像を表示するディスプレイ機能部111と、信号の送受信によってセンサ部101上にかかる圧力分布を測定する圧力分布測定機能部121と、を有し、制御装置130は、ディスプレイ機能部111を用いて表示させる、画像を生成する表示制御機能部131と、圧力分布測定機能部121を動作させ、測定結果を取得する測定制御機能部132と、画像を生成するための表示用情報を取得する取得機能部133と、取得された測定結果を出力する出力機能部134と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服を着用した状態で使用される遠隔医療補助システムであって、
前記衣服に一体化されるシート状部材であって、少なくとも一部にセンサ部を含むシート状部材と、
前記センサ部との間で信号の送受信を行う制御装置と、を備え、
前記センサ部は、
信号の送受信によって前記センサ部上に画像を表示するディスプレイ機能部と、
信号の送受信によって前記センサ部上にかかる圧力分布を測定する圧力分布測定機能部と、を有し、
前記制御装置は、
前記ディスプレイ機能部を用いて表示させる、前記画像を生成する表示制御機能部と、
前記圧力分布測定機能部を動作させ、測定結果を取得する測定制御機能部と、
前記画像を生成するための表示用情報を取得する取得機能部と、
取得された前記測定結果を出力する出力機能部と、を有する、
遠隔医療補助システム。
【請求項2】
前記センサ部は、互いに交差する経糸と緯糸とによって織られた織物であり、前記経糸及び前記緯糸のそれぞれは、前記経糸及び前記緯糸の交点において前記ディスプレイ機能部の1画素として機能する表示繊維と、前記経糸及び前記緯糸の交点において前記圧力分布測定機能部の1画素として機能する測定繊維と、を少なくとも含む、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項3】
前記取得機能部は、前記センサ部の領域内における所定位置を指定する位置情報を含む前記表示用情報を取得し、
前記表示制御機能部は、
指定された前記所定位置を表示する前記画像を生成し、
取得した前記表示用情報に、付加情報であって、向き、強さ及び時間の少なくとも1つを示す付加情報がさらに含まれている場合、前記付加情報をさらに表示する前記画像を生成する、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記測定制御機能部及び前記出力機能部をONする触診モードと、前記測定制御機能部及び前記出力機能部をOFFする節電モードと、を有し、
前記表示制御機能部によって生成された前記画像が、前記ディスプレイ機能部によって表示されたことを契機に前記節電モードから前記触診モードに切り替え、
前記測定結果が取得され、かつ、前記測定結果が出力されたことを契機に前記触診モードから前記節電モードに切り替える、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
取得した前記測定結果に基づいて、圧力分布の特性が適正であるか否かを判定し、
判定結果において圧力分布が適正でなければ、(i)及び(ii)の少なくとも一方を行い、
前記(i)では、前記表示制御機能部が、圧力分布が適正でないことを表示する前記画像を生成し、
前記(ii)では、前記出力機能部が、前記測定結果の代わりに圧力分布が適正でないことを示す情報を出力する、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項6】
前記表示制御機能部は、取得した前記測定結果に基づいて、圧力分布の特性を表示する前記画像を生成する、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項7】
前記取得機能部に対して前記表示用情報を出力し、前記出力機能部によって出力された前記測定結果を取得する、前記制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、
前記外部制御装置は、取得した前記測定結果を疑似カラー画像又は3次元グラフに変換して表示する変換機能部を有する、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項8】
前記取得機能部に対して前記表示用情報を出力し、前記出力機能部によって出力された前記測定結果を取得する、前記制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、
前記外部制御装置は、取得した前記測定結果から、圧力分布に対応する触覚を生成し、前記外部制御装置の操作者が使用する触覚提示デバイスに出力する触覚提示機能部を有する、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記測定制御機能部をONする心拍測定モードを有し、
前記心拍測定モードでは、所定時間内に取得した前記測定結果に基づいて心拍由来の振動を抽出する、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記制御装置を操作する操作者が、前記センサ部に設けられた心拍測定モード移行位置を一定時間押圧し続けたことを契機にその他のモードから前記心拍測定モードに切り替える、
請求項9に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項11】
前記取得機能部に対してモード移行指示情報を出力し、前記制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記外部制御装置から前記モード移行指示情報を取得したことを契機にその他のモードから前記心拍測定モードに切り替える、
請求項9に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項12】
前記制御装置は、前記衣服の着用者に対して体動の静止を要求する静止要求を提示するための提示機能部を有し、
前記心拍測定モードでは、
前記測定結果に示される圧力分布の周波数特性を算出し、
前記周波数特性に基づいて、圧力分布に心拍由来の振動ではない成分が検出された場合に、圧力分布に体動由来の振動が検出されたと判定して(iii)及び(iv)の少なくとも一方を行い、
前記(iii)では、前記測定制御機能部が、前記体動由来の振動が検出されなくなるまで測定を継続し、
前記(iv)では、前記提示機能部が、前記静止要求を提示し、
前記提示機能部は、前記静止要求の提示として前記ディスプレイ機能部に体動の静止を要求する前記画像を表示する前記表示制御機能部である、又は、(a)前記静止要求の提示として前記制御装置に搭載された表示装置に体動の静止を要求する画像を表示する、もしくは、(b)前記制御装置に搭載された再生装置で体動の静止を要求する音声を再生する前記表示制御機能部とは異なる機能部である、
請求項9に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項13】
前記制御装置は、
前記衣服の着用者に対して着用状態の改善を要求する改善要求を提示するための提示機能部を有し、
前記心拍測定モードにおいて取得された前記測定結果を用いて、衣服の着用状態が適正であるか否かを判定し、着用状態が適正でない場合、前記提示機能部が、前記改善要求を提示し、
前記提示機能部は、前記改善要求の提示として前記ディスプレイ機能部に装着状態の改善を要求する前記画像を表示する前記表示制御機能部である、又は、(a)前記改善要求の提示として前記制御装置に搭載された表示装置に装着状態の改善を要求する画像を表示する、もしくは、(b)前記制御装置に搭載された再生装置で装着状態の改善を要求する音声を再生する前記表示制御機能部とは異なる機能部である、
請求項9に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項14】
前記出力機能部によって出力された前記測定結果を取得する、前記制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記心拍測定モードにおいて取得された前記測定結果を用いて、過去の前記測定結果と比較を行い、前記衣服の着用者が被測定者であるか否かを判定し、判定結果を前記外部制御装置に出力する、
請求項9に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項15】
前記衣服の着用者の体動を測定する体動センサ部を備え、
前記制御装置は、
前記体動センサ部による体動の測定をONする体動測定モードを有し、
前記体動測定モードで測定された体動に基づいて、前記衣服の着用者の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方を出力する、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項16】
前記体動センサ部は、前記衣服に一体化された加速度センサであり、
前記加速度センサは、前記センサ部とともに前記衣服に一体化されている、又は、前記衣服に外付けされるセンサである、
請求項15に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項17】
前記体動センサ部は、
前記センサ部の圧力分布測定機能部であり、
前記測定結果から体動由来の成分を抽出することにより、前記衣服の着用者の体動を測定する、
請求項15に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項18】
出力された前記衣服の着用者の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方を取得する、前記制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、
前記外部制御装置は、
互いに紐づけられた前記衣服の着用者の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方と、測定日が属する曜日、測定時刻、及び、前記制御装置の所在地における環境に関する環境情報を含む体動関連情報を記憶し、
記憶された前記体動関連情報と新たに取得された前記体動関連情報とを比較することによって、前記衣服の着用者の体動が正常の範囲内であるか否かを判定し判定結果を出力する、
請求項15に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項19】
前記センサ部は、少なくとも一部の領域をタッチ入力に利用できるタッチ入力部を有する、
請求項1に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項20】
前記制御装置に対して前記タッチ入力部によって受け付ける入力内容を変更するための入力変更情報を出力する、前記制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記ディスプレイ機能部を用いて表示させる前記画像のうち、前記タッチ入力部の領域の画像を前記外部制御装置から取得した前記入力変更情報に応じて変更し、
前記タッチ入力部の領域において圧力分布測定機能部により測定した圧力分布の変化を前記外部制御装置から取得した前記入力変更情報に応じたタッチ入力として受け付ける、
請求項19に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項21】
前記センサ部を構成する前記経糸及び前記緯糸は、前記衣服を織るときの経糸及び緯糸である、
請求項2に記載の遠隔医療補助システム。
【請求項22】
着用した状態で用いられる衣服に一体化されるシート状部材であって、少なくとも一部にセンサ部を含むシート状部材と、前記センサ部との間で信号の送受信を行う制御装置と、を備える遠隔医療補助システムを用いた遠隔医療補助方法であって、
画像を生成するための表示用情報を取得するステップと、
前記画像を生成するステップと、
前記センサ部上に前記画像を表示させるステップと、
前記センサ部上にかかる圧力分布を測定するステップと、
測定結果を取得するステップと、
取得された前記測定結果を出力するステップと、を含む、
遠隔医療補助方法。
【請求項23】
請求項22に記載の遠隔医療補助方法をコンピュータに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔医療補助システム、遠隔医療補助方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク品質の向上などを背景に、医療機関に居る医師が、当該医療機関とは離間した施設(遠隔地)に居る患者に対して、治療に関する行為を、ネットワークを利用して遠隔のまま行うことが求められている。例えば、特許文献1には、医療機関内の患者に医療的な対応をすることが必要なことが検知された場合に、簡単に且つ即座に遠隔医療支援機関に伝えることができる遠隔医療支援(補助)の技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-3984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されるような遠隔医療支援の技術は、それによって可能となる行為が限られるという点で、さらなる改善が求められている。そこで、本開示では、より多様な行為を可能にするための遠隔医療補助システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る遠隔医療補助システムは、衣服を着用した状態で使用される遠隔医療補助システムであって、前記衣服に一体化されるシート状部材であって、少なくとも一部にセンサ部を含むシート状部材と、前記センサ部との間で信号の送受信を行う制御装置と、を備え、前記センサ部は、信号の送受信によって前記センサ部上に画像を表示するディスプレイ機能部と、信号の送受信によって前記センサ部上にかかる圧力分布を測定する圧力分布測定機能部と、を有し、前記制御装置は、前記ディスプレイ機能部を用いて表示させる、前記画像を生成する表示制御機能部と、前記圧力分布測定機能部を動作させ、測定結果を取得する測定制御機能部と、前記画像を生成するための表示用情報を取得する取得機能部と、取得された前記測定結果を出力する出力機能部と、を有する。
【0006】
また、本開示の一態様に係る遠隔医療補助方法は、着用した状態で用いられる衣服に一体化されるシート状部材であって、少なくとも一部にセンサ部を含むシート状部材と、前記センサ部との間で信号の送受信を行う制御装置と、を備える遠隔医療補助システムを用いた遠隔医療補助方法であって、画像を生成するための表示用情報を取得するステップと、前記画像を生成するステップと、前記センサ部上に前記画像を表示させるステップと、前記センサ部上にかかる圧力分布を測定するステップと、測定結果を取得するステップと、取得された前記測定結果を出力するステップと、を含む。
【0007】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、上記に記載の遠隔医療補助方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より多様な行為を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る衣服及びセンサ部の構成について説明するための図である。
図3図3は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
図8図8は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
図9図9は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
図10図10は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
図11図11は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の概要)
近年、ネットワーク品質の向上が進み、遠隔地であってもほぼ時間差なく情報の送受信が可能な基盤が整えられつつある。このような背景から、医療機関とは離間した遠隔地に居ながら、その医療機関に居る医師等による治療に関する行為を受けるという遠隔医療の実現が望まれている。例えば、特許文献1には、医療機関内の患者に医療的な対応をすることが必要なことが検知された場合に、簡単に且つ即座に遠隔医療支援機関に伝えることができる遠隔医療支援の技術について開示されている。特許文献1に開示された遠隔医療支援の技術では、患者は、医療機関(遠隔地)に居ながら、当該医療機関とは離間した遠隔医療支援機関に居る専門医などから治療に関する行為を受けることができるように、医療的な対応をすることが必要なことが検知された場合に、即座に遠隔医療支援機関情報伝達が行われる。
【0011】
一方で、治療に関する行為のうち、現状の遠隔医療支援の技術などで可能となるのは、問診などの一部の行為に限られるという実情がある。そこで、本開示では、より多様な行為を可能にするための遠隔医療補助システム等を提供することを目的とする。
【0012】
上記を実現するための本開示の概要は以下の通りである。
【0013】
本開示の第1態様に係る遠隔医療補助システムは、衣服を着用した状態で使用される遠隔医療補助システムであって、衣服に一体化されるシート状部材であって、少なくとも一部にセンサ部を含むシート状部材と、センサ部との間で信号の送受信を行う制御装置と、を備え、センサ部は、信号の送受信によってセンサ部上に画像を表示するディスプレイ機能部と、信号の送受信によってセンサ部上にかかる圧力分布を測定する圧力分布測定機能部と、を有し、制御装置は、ディスプレイ機能部を用いて表示させる、画像を生成する表示制御機能部と、圧力分布測定機能部を動作させ、測定結果を取得する測定制御機能部と、画像を生成するための表示用情報を取得する取得機能部と、取得された測定結果を出力する出力機能部と、を有する。
【0014】
このような遠隔医療補助システムは、センサ部を用いて、着用された衣服に一体化された状態で画像の表示と圧力分布の測定とを行うことができる。そして、その測定結果を出力することができる。例えば、衣服の着用者がいる遠隔地と、当該遠隔地とは離間した、医師のいる医療機関とで、遠隔医療補助システムを用いて、治療に関する行為の一部を行うことができる。具体的に、例えば、画像の表示で指示が出され、その指示に従って衣服の所定の位置を押圧し、その圧力のかかり方が適切かを圧力分布の測定によって判断することができる。これにより、医師がその場に居ずとも、適切な位置に適切な強さの圧力がかかっているかを圧力分布によって判断することができる。つまり、医療機関に居る医師のもとに圧力分布が出力されるようになっていれば、医師の判断で、圧力のかかり方が適切であるかを判断できるし、別の圧力適否判定装置などに圧力分布が出力されるようになっていれば、装置の判断で、圧力のかかり方が適切であるかを判断できる。このようにして、治療に関する行為として、従来の触診に近い行為を行うことが可能となる。よって、遠隔医療補助システムでは、従来にない行為、すなわちより多様な治療に関する行為を可能にすることができる。
【0015】
また、本開示の第2態様に係る遠隔医療補助システムは、第1態様に係る遠隔医療補助システムであって、センサ部は、互いに交差する経糸と緯糸とによって織られた織物であり、経糸及び緯糸のそれぞれは、経糸及び緯糸の交点においてディスプレイ機能部の1画素として機能する表示繊維と、経糸及び緯糸の交点において圧力分布測定機能部の1画素として機能する測定繊維と、を少なくとも含む。
【0016】
これによれば、織物にすることでマトリクス状に経糸及び緯糸の交点が形成され、その交点をディスプレイ機能部の1画素又は圧力分布測定機能部の1画素として用いることができる。マトリクス状(二次元状)の圧力分布データは一般的な表現手法であるため、データ処理などの観点でも既存の技術を流用でき、さらに、データの理解のしやすさとしても優れている。
【0017】
また、本開示の第3態様に係る遠隔医療補助システムは、第1又は第2態様に係る遠隔医療補助システムであって、取得機能部は、センサ部の領域内における所定位置を指定する位置情報を含む表示用情報を取得し、表示制御機能部は、指定された所定位置を表示する画像を生成し、取得した表示用情報に、付加情報であって、向き、強さ及び時間の少なくとも1つを示す付加情報がさらに含まれている場合、付加情報をさらに表示する画像を生成する。
【0018】
これによれば、センサ部で表示される画像によって、圧力をかけるべき位置がわかりやすく表示されるため、そのような画像の表示に従うだけで、正確な位置の押圧をしやすいというメリットがある。
【0019】
また、本開示の第4態様に係る遠隔医療補助システムは、第1~第3態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、制御装置は、測定制御機能部及び出力機能部をONする触診モードと、測定制御機能部及び出力機能部をOFFする節電モードと、を有し、表示制御機能部によって生成された画像が、ディスプレイ機能部によって表示されたことを契機に節電モードから触診モードに切り替え、測定結果が取得され、かつ、測定結果が出力されたことを契機に触診モードから節電モードに切り替える。
【0020】
これによれば、圧力分布測定機能を必要な場合にのみONすることにより、低消費電力化が可能である。
【0021】
また、本開示の第5態様に係る遠隔医療補助システムは、第1~第4態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、制御装置は、取得した測定結果に基づいて、圧力分布の特性が適正であるか否かを判定し、判定結果において圧力分布が適正でなければ、(i)及び(ii)の少なくとも一方を行い、(i)では、表示制御機能部が、圧力分布が適正でないことを表示する画像を生成し、(ii)では、出力機能部が、測定結果の代わりに圧力分布が適正でないことを示す情報を出力する。
【0022】
これによれば、その場のセンサ部を用いた画像表示、及び、圧力分布の測定結果の代わりに出力される情報により当該出力先において情報を受け取ることの少なくとも一方によって、圧力のかかり方の妥当性を判定することができる。例えば、圧力のかかり方が妥当でなければ、自身の判断で着用者がやり直したり、着用者へのやり直しを指示したりすることができる。
【0023】
また、本開示の第6態様に係る遠隔医療補助システムは、第1~第5態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、表示制御機能部は、取得した測定結果に基づいて、圧力分布の特性を表示する画像を生成する。
【0024】
これによれば、圧力分布の特性がその場で画像として表示される。圧力分布の特性は、例えば、押圧の時間、強さ、向き及び位置などを含んでおり、現在の圧力のかかり方が適正かをその場で判断しながら押圧し、必要であれば修正するなどができる。
【0025】
また、本開示の第7態様に係る遠隔医療補助システムは、第1~第6態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、取得機能部に対して表示用情報を出力し、出力機能部によって出力された測定結果を取得する、制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、外部制御装置は、取得した測定結果を疑似カラー画像又は3次元グラフに変換して表示する変換機能部を有する。
【0026】
これによれば、測定結果の出力先では、圧力分布を疑似カラー画像又は3次元グラフとして表示することができる。一般に圧力分布を表示する際に用いられやすい、疑似カラー画像又は3次元グラフが表示されるため、圧力分布の適否を容易に把握しやすくなるというメリットがある。
【0027】
また、本開示の第8態様に係る遠隔医療補助システムは、第1~第7態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、取得機能部に対して表示用情報を出力し、出力機能部によって出力された測定結果を取得する、制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、外部制御装置は、取得した測定結果から、圧力分布に対応する触覚を生成し、外部制御装置の操作者が使用する触覚提示デバイスに出力する触覚提示機能部を有する。
【0028】
これによれば、測定結果の出力先が外部制御装置であり、外部制御装置の操作者が触覚提示デバイスを使用している場合に、その測定結果の圧力分布に対応する触覚を、触覚提示デバイスを介して知覚することができる。そのため、外部制御装置の操作者が医師であれば、通常の触診に近い測定結果の提示を行うことができる。
【0029】
また、本開示の第9態様に係る遠隔医療補助システムは、第1~第8態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、制御装置は、測定制御機能部をONする心拍測定モードを有し、心拍測定モードでは、所定時間内に取得した測定結果に基づいて心拍由来の振動を抽出する。
【0030】
これによれば、上記の触診に近い治療に関する行為の他に、心拍由来の振動を得ることができ、診断の際に考慮することができる。
【0031】
また、本開示の第10態様に係る遠隔医療補助システムは、第9態様に係る遠隔医療補助システムであって、制御装置は、制御装置を操作する操作者が、センサ部に設けられた心拍測定モード移行位置を一定時間押圧し続けたことを契機にその他のモードから心拍測定モードに切り替える。
【0032】
これによれば、着用者側(遠隔地)において、心拍測定モードの開始タイミングを選ぶことができる。心拍は、被測定者の状況に応じて、刻々と数値が変化してしまうので、適切なタイミング(例えば、被測定者が落ち着いた状況)で開始されることが好ましく、上記によれば、このような好ましいタイミングでの心拍測定モードの開始を、着用者側が判断して行うことができる。
【0033】
また、本開示の第11態様に係る遠隔医療補助システムは、第9又は10態様に係る遠隔医療補助システムであって、取得機能部に対してモード移行指示情報を出力し、制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、制御装置は、外部制御装置からモード移行指示情報を取得したことを契機にその他のモードから心拍測定モードに切り替える。
【0034】
これによれば、外部制御装置からモード移行指示情報を送信することができ、例えば、外部制御装置の操作者が医師であれば、当該医師が適切と判断したタイミングでモード移行指示情報を送信すれば、適切なタイミングでの心拍測定モードの開始を行うことができる。
【0035】
また、本開示の第12態様に係る遠隔医療補助システムは、第9~第11態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、制御装置は、衣服の着用者に対して体動の静止を要求する静止要求を提示するための提示機能部を有し、心拍測定モードでは、測定結果に示される圧力分布の周波数特性を算出し、周波数特性に基づいて、圧力分布に心拍由来の振動ではない成分が検出された場合に、圧力分布に体動由来の振動が検出されたと判定して(iii)及び(iv)の少なくとも一方を行い、(iii)では、測定制御機能部が、体動由来の振動が検出されなくなるまで測定を継続し、(iv)では、提示機能部が、静止要求を提示し、提示機能部は、静止要求の提示としてディスプレイ機能部に体動の静止を要求する画像を表示する表示制御機能部である、又は、(a)静止要求の提示として制御装置に搭載された表示装置に体動の静止を要求する画像を表示する、もしくは、(b)制御装置に搭載された再生装置で体動の静止を要求する音声を再生する表示制御機能部とは異なる機能部である。
【0036】
これによれば、心拍測定モードにおいて、心拍に由来する振動を得る際のノイズとなる体動の影響を抑制することができる。まず、体動由来の振動が含まれているかの判定を行い、その結果、体動由来の振動が含まれていると判定されれば、体動由来の振動が検出されなくなるまで測定を継続して、結果的に体動由来の振動が含まれていない測定結果を得ること、及び、体動の静止を要求する画像又は音声を、センサ部又は制御装置のいずれかによって提示することで、着用者自身の体動の静止を促して体動由来の振動が含まれていない測定結果を得ることの少なくとも一方を行うことができる。
【0037】
また、本開示の第13態様に係る遠隔医療補助システムは、第9~第11態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、制御装置は、衣服の着用者に対して着用状態の改善を要求する改善要求を提示するための提示機能部を有し、心拍測定モードにおいて取得された測定結果を用いて、衣服の着用状態が適正であるか否かを判定し、着用状態が適正でない場合、提示機能部が、改善要求を提示し、提示機能部は、改善要求の提示としてディスプレイ機能部に装着状態の改善を要求する画像を表示する表示制御機能部である、又は、(a)改善要求の提示として制御装置に搭載された表示装置に装着状態の改善を要求する画像を表示する、もしくは、(b)制御装置に搭載された再生装置で装着状態の改善を要求する音声を再生する表示制御機能部とは異なる機能部である。
【0038】
これによれば、圧力分布への影響を及ぼす衣服の着用状態について、適正であるか否かを判定したうえで、着用状態が適正でない場合、提示機能部が、着用状態の改善を要求する画像又は音声を、センサ部又は制御装置のいずれかによって提示することで、着用者自身の着用状態の改善を促すことができる。
【0039】
また、本開示の第14態様に係る遠隔医療補助システムは、第9~第11態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、出力機能部によって出力された測定結果を取得する、制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、制御装置は、心拍測定モードにおいて取得された測定結果を用いて、過去の測定結果と比較を行い、衣服の着用者が被測定者であるか否かを判定し、判定結果を外部制御装置に出力する。
【0040】
これによれば、測定結果の出力先が外部制御装置であり、心拍測定モードでの測定結果から、制御装置が判定した衣服の着用者が被測定者であるか否かを外部制御装置へと出力することができる。外部制御装置の操作者が医師であれば、医師が着用者が被測定者であるか否かを知ることができる。
【0041】
また、本開示の第15態様に係る遠隔医療補助システムは、第1~第14態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、衣服の着用者の体動を測定する体動センサ部を備え、制御装置は、体動センサ部による体動の測定をONする体動測定モードを有し、体動測定モードで測定された体動に基づいて、衣服の着用者の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方を出力する。
【0042】
これによれば、着用者の体動由来の振動を得ることができ、診断の際に考慮することができる。
【0043】
また、本開示の第16態様に係る遠隔医療補助システムは、第15態様に係る遠隔医療補助システムであって、体動センサ部は、衣服に一体化された加速度センサであり、加速度センサは、センサ部とともに衣服に一体化されている、又は、衣服に外付けされるセンサである。
【0044】
これによれば、センサ部とともに衣服に一体化されている、又は、衣服に外付けされる加速度センサによって着用者の体動由来の振動を得ることができる。
【0045】
また、本開示の第17態様に係る遠隔医療補助システムは、第15又は16態様に係る遠隔医療補助システムであって、体動センサ部は、センサ部の圧力分布測定機能部であり、測定結果から体動由来の成分を抽出することにより、衣服の着用者の体動を測定する。
【0046】
これによれば、センサ部の圧力分布測定機能部によって着用者の体動由来の振動を得ることができる。
【0047】
また、本開示の第18態様に係る遠隔医療補助システムは、第15~第17態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、出力された衣服の着用者の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方を取得する、制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、外部制御装置は、互いに紐づけられた衣服の着用者の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方と、測定日が属する曜日、測定時刻、及び、制御装置の所在地における環境に関する環境情報を含む体動関連情報を記憶し、記憶された体動関連情報と新たに取得された体動関連情報とを比較することによって、衣服の着用者の体動が正常の範囲内であるか否かを判定し判定結果を出力する。
【0048】
これによれば、体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方を外部制御装置において取得することができる。外部制御装置は、過去の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方と、現在の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方とを、紐づけられた各情報などとともに、正常であるか否かを判定することができる。そして、着用者の体動から異変がないかを知ることができる。
【0049】
また、本開示の第19態様に係る遠隔医療補助システムは、第1~第18態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、センサ部は、少なくとも一部の領域をタッチ入力に利用できるタッチ入力部を有する。
【0050】
これによれば、センサ部を用いてタッチ入力することができる。
【0051】
また、本開示の第20態様に係る遠隔医療補助システムは、第19態様に係る遠隔医療補助システムであって、制御装置に対してタッチ入力部によって受け付ける入力内容を変更するための入力変更情報を出力する、制御装置とは離間して設けられた外部制御装置をさらに備え、制御装置は、ディスプレイ機能部を用いて表示させる画像のうち、タッチ入力部の領域の画像を外部制御装置から取得した入力変更情報に応じて変更し、タッチ入力部の領域において圧力分布測定機能部により測定した圧力分布の変化を外部制御装置から取得した入力変更情報に応じたタッチ入力として受け付ける。
【0052】
これによれば、タッチ入力部を、表示させる画像と受け付ける入力との単位で、2以上のパターンにおいて共用できるので、タッチ入力部を小型化することができる。例えば、タッチ入力部には、高密度の圧力分布の測定が可能なセンサ部を構成し、それ以外は低密度の圧力分布の測定が可能なセンサ部とするなど、センサ部を安価にするために効果的に作用する。
【0053】
また、本開示の第21態様に係る遠隔医療補助システムは、第2又は第2態様を引用する第3~第20態様のいずれか1態様に係る遠隔医療補助システムであって、センサ部を構成する経糸及び緯糸は、衣服を織るときの経糸及び緯糸である。
【0054】
これによれば、衣服を織ると同時にセンサ部を織り込むことができる。
【0055】
また、本開示の第22態様に係る遠隔医療補助方法は、着用した状態で用いられる衣服に一体化されるシート状部材であって、少なくとも一部にセンサ部を含むシート状部材と、センサ部との間で信号の送受信を行う制御装置と、を備える遠隔医療補助システムを用いた遠隔医療補助方法であって、画像を生成するための表示用情報を取得するステップと、画像を生成するステップと、センサ部上に画像を表示させるステップと、センサ部上にかかる圧力分布を測定するステップと、測定結果を取得するステップと、取得された測定結果を出力するステップと、を含む。
【0056】
これによれば、上記に記載の遠隔医療補助システムと同様の効果を奏することができる。
【0057】
また、本開示の第23態様に係るプログラムは、第23態様に係る遠隔医療補助方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0058】
これによれば、コンピュータを用いて上記に記載の遠隔医療補助システムと同様の効果を奏することができる。
【0059】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の包括的または具体的な例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップおよびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0060】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺などは必ずしも一致していない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0061】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る遠隔医療補助システムの構成図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムの機能構成を示すブロック図である。また、図2は、実施の形態に係る衣服及びセンサ部の構成について説明するための図である。なお、図2では、吹き出し内に衣服99の一部を拡大して表示している。
【0062】
図1に示すように、遠隔医療補助システムは、遠隔地である患者の元に設置された制御装置130及び衣服99と、遠隔地とは離れた医療機関などに設置された外部制御装置300とを備える。
【0063】
制御装置130と外部制御装置300とは、ネットワーク150を介して互いに通信可能である。つまり、ネットワーク150越しに、制御装置130から外部制御装置300、又は、外部制御装置300から制御装置130へと情報を送信することが可能である。制御装置130は、外部制御装置300と通信することと、衣服99に備えられたセンサ部101を制御することとを行う処理端末であり、エッジサーバなどによって実現される。
【0064】
衣服99は、布地を裁断、縫製して作られた着用可能な衣類である。ただし、衣服99は通常の衣服とは異なり、天然繊維又は化成繊維の他に少なくとも一部に導電性の繊維を含んでいる。あるいは、衣服99は、導電性の繊維のみで作られていてもよい。衣服99は、シート状部材100によって構成されている。例えば、シート状部材100は、センサ部101をその一部に含み、衣服99に一体化されている。シート状部材100は、衣服99の着用者の体に沿って曲がる可撓性を有する。ここでは、シート状部材100は、衣服99本体と一体に作られている例を説明する。つまり、本実施の形態では、シート状部材100及びセンサ部101は、経糸及び緯糸によって織られた織物であり、衣服99の本体を織っている経糸及び緯糸の一部として、これらのシート状部材100及びセンサ部101を織っている経糸及び緯糸が含まれている。言い換えると、シート状部材100及びセンサ部101を織っている経糸及び緯糸は、衣服99の本体を織っている経糸及び緯糸そのものである。
【0065】
ただし、シート状部材100を、可撓性を有して衣服の本体に貼り付けできるのであれば、衣服の本体とは独立したシート状部材100が用いられてもよい。また、シート状部材100は織物でなくてもよい。
【0066】
図2に示すように、本実施の形態では、衣服99は、シート状部材100そのものであり、センサ部101とその他の部分とからなっている。センサ部101は、衣服99の一部であり、例えば、着用者の胴に対応する一部の領域に設けられている。センサ部101は、その設けられている領域に特に限定はなく、少なくとも治療の対象とする疾患に関連する位置に設けられていればよい。
【0067】
衣服99のセンサ部101に当たる部分は、図2の拡大図に示すように、通常の衣服と同じ天然繊維又は化成繊維からなる非導電性の経糸及び緯糸の繊維Fと、経糸の表示繊維Dv及び緯糸の表示繊維Dh(いずれもドットハッチングで示す)と、経糸の測定繊維Sv及び緯糸の測定繊維Sh(いずれもハッチングで示す)とを含む。
【0068】
本実施の形態では、表示繊維Dvを透明な導電性ゲルで構成し、表示繊維Dhを硫化亜鉛蛍光体で構成する。このとき、表示繊維Dvと表示繊維Dhとが交差する部分(破線円)に電位差があれば局所的な電界が発生し、この部分を発光させることができる。つまり、表示繊維Dvと表示繊維Dhとに電位差を生じさせるように電気信号を印加すれば、繊維同士の交点を独立に発光させることができ、これを1画素として、複数画素のマトリクスを形成することができる。つまり、センサ部101では、複数の表示繊維Dvと複数の表示繊維Dhとを用いて、2次元面状に表示画素が並ぶディスプレイ機能部111を構成することができる。例えば、複数の表示繊維Dvと複数の表示繊維Dhとの全てにおいて、高速に印加する電圧制御を行うことによって、衣服99のセンサ部101上に任意の画像を表示させることができる。
【0069】
一方で、本実施の形態では、測定繊維Sv及び測定繊維Shのそれぞれを、例えば、断面が長方形となるような絶縁体かつ弾性体の繊維で構成すればよい。このような繊維で織られた織物は、布面と平行する面に電極を貼り付けることによって、交差部において静電容量が発生するので、圧力を加えられた際の静電容量の変化をもとに圧力を推定することができる。繊維同士の交点において独立に圧力を測定することができるので、これを1画素として、複数画素のマトリクスを形成することができる。つまり、センサ部101では、複数の測定繊維Svと複数の測定繊維Shとを用いて、2次元面状に測定画素が並ぶ圧力分布測定機能部121を構成することができる。なお、測定画素を構成する別の方法として、圧電特性を持つ繊維を用いることによって、印加された圧力による電圧の変動をもとに圧力を推定する方法や、測定繊維Svと測定繊維Shとのそれぞれを柔軟性のある光ファイバとし、その端部で入射光と出射光の強度の比及び周波数特性が圧力印可時に変化することを利用して圧力を推定する方法を適用することもできる。
【0070】
衣服99には、上記のようにして織り込まれたセンサ部101を備えるシート状部材100が含まれる。なお、シート状部材100が衣服99と一体化されることは、シート状部材100付き衣服99が製造される際に行われるが、シート状部材100を衣服本体に貼り付ける場合は、シート状部材100と衣服とを個別に入手してから、入手した者が貼り付けることでシート状部材100が衣服99と一体化される場合もある。つまり、遠隔地では、シート状部材100と、制御装置130とを入手すれば、既存の衣服にシート状部材100を貼り付けて、医療機関などに置かれた外部制御装置300と通信接続することにより、遠隔医療補助システムを実現することができる。
【0071】
制御装置130は、センサ部との間で信号の送受信を行う装置であり、表示制御機能部131、測定制御機能部132、取得機能部133、出力機能部134、及び、図示しないカメラなどを備える。制御装置130の各機能部は、プロセッサ及びメモリを用いて所定のプログラムが実行されることによって実現される。したがって、制御装置130は、プロセッサ及びメモリ、ならびに、所定のプログラムで実現されるといえる。なお、カメラなどの図示されていない構成については、さらに、撮像素子などの物理的なモジュールが含まれる。
【0072】
表示制御機能部131は、ディスプレイ機能部を用いて表示させる画像を生成する機能部である。表示制御機能部131は、画像を表示するための情報を取得機能部133経由で取得したり、図示しない記憶部などから読み出しを行って取得したりする。そして、取得した情報に基づいて、画像を生成して、その画像が表示されるようにディスプレイ機能部111に出力される電気信号を決定する。表示制御機能部131によって決定された電気信号に沿うように、ディスプレイコントローラなどによって電気信号がディスプレイ機能部111に送られ、画像が表示される。
【0073】
測定制御機能部132は、圧力分布測定機能部121を動作させ、測定結果を取得する機能部である。測定制御機能部132は、圧力分布測定機能部121の電位の計測を行い、その変化量などをモニタすることによって、圧力を電位変化の物理量として測定する。そして、予め組み込まれた変換関数などによって、電位変化の物理量からセンサ部101に付与されている圧力を推定する。その後、推定した圧力を測定結果として出力する。
【0074】
取得機能部133は、画像を生成するための表示用情報を取得する機能部である。取得機能部133は、特に、外部制御装置300からの指示による画像の表示のために機能を発揮し、外部制御装置300とネットワーク150を介して通信することによって表示用情報を取得する。外部制御装置300側から見れば、表示用情報をネットワーク150越しに取得機能部133に送信することにより、ディスプレイ機能部111に表示される画像を制御(又は選択とみなしてもよい)する。
【0075】
出力機能部134は、取得された測定結果を出力する機能部である。出力機能部134は、特に、外部制御装置300への測定結果の送信のために機能を発揮し、外部制御装置300とネットワーク150を介して通信することによって測定結果を出力する。外部制御装置300側から見れば、測定結果をネットワーク150越しに出力機能部134から受信することにより、測定結果を外部制御装置300において表示などすることができる。
【0076】
カメラは、画像を撮影して外部制御装置300へと送信するために用いられる。カメラで撮られた画像は、衣服99の着用状態や、圧力のかけ方などが適正であるか否かを医療機関側で確認するために、外部制御装置300のカメラ画像表示部及び表示装置などによって表示される。
【0077】
このほか、制御装置130は、各機能部及び接続された各デバイスのON/OFFや動作モードの制御を行うこと、衣服99との通信を行うことの必要がある。そのため、制御装置130には、図示しない各デバイスのON/OFFや動作モードの制御を行う制御機能部、及び、衣服99との通信のための通信モジュールが備えられている。なお、衣服99と制御装置130との通信は有線であってもよく無線であってもよい。またその通信方式に特に限定はない。
【0078】
外部制御装置300は、取得部301、変換機能部302、出力部303、触覚提示機能部304、及び、図示しないカメラ画像表示部などを備える。外部制御装置300の各機能部は、プロセッサ及びメモリを用いて所定のプログラムが実行されることによって実現される。したがって、外部制御装置300は、プロセッサ及びメモリ、ならびに、所定のプログラムで実現されるといえる。なお、触覚提示機能部304、及び、図示しないカメラ画像表示部などに接続される触覚提示装置及び表示装置などの物理的なモジュールが併せて用いられる。
【0079】
取得部301は、出力機能部134とネットワーク150を介して通信することで、測定結果などの情報を受信する機能部である。
【0080】
変換機能部302は、受信した測定結果を表示装置などに表示する際に、疑似カラー画像又は3次元グラフに変換するための機能部である。例えば、取得した測定結果は、マトリクス状に並ぶ二次元面において各マトリクスに圧力の数値を持っている3次元のデータである。そのため、3次元のデータを視覚的にわかりやすく表示するため、圧力の数値の次元をカラーバーとして示す疑似カラー画像又は圧力の数値の次元を高さ(マトリクスの2次元を幅及び奥行とする)として示す3次元グラフへの変換は有効である。
【0081】
出力部303は、取得機能部とネットワーク150を介して通信することで、表示用情報などの情報を送信する機能部である。
【0082】
触覚提示機能部304は、取得した測定結果から、圧力分布に対応する触覚を生成し、外部制御装置300の操作者(医師など)が使用する触覚提示デバイス(いわゆるハプティックデバイス)に出力する機能部である。この結果、圧力が大きい箇所に対応する空間座標で、触覚提示デバイスに大きな反力が作用するので、圧力分布を医師が触覚として感覚的に理解しやすいというメリットがある。一例として、センサ部101の全ての測定画素を同じ圧力で押圧したときに、衣服99の着用者にしこりなどの物理的に硬い部分があると、当然その部分は、衣服99の内部からの反力も大きく、結果的に他に比べて大きな圧力を示すことになる。そして、そのようなしこりが、触覚提示デバイスによって遠隔で「触診する」ことができるので、医師の経験的な指先感覚などをそのままに活かして治療に関する行為を行うことが可能となる。
【0083】
カメラ画像表示部は、カメラによって撮影された画像を表示装置に表示させる機能部である。
【0084】
なお、上記した各機能の他に、衣服99の着用者などがセンサ部101の一部の領域をタッチすることで、そのタッチの有無によって外部制御装置300との間で情報の送受信を行う機能も有する。具体的には、センサ部101は、衣服99のうち、治療の対象とする疾患に関連する位置以外の位置などをタッチの有無だけを圧力分布における圧力変化から読み取るタッチ入力部を備える。タッチ入力部は一定の位置にある必要はなく、その時、その条件ごとに適切な位置に表示位置を変更できるとしてもよい。
【0085】
タッチ入力部は、例えば、十字キーやYes/Noキーなどを表示し、それらのキーが触られたことをトリガに、十字キー及び確定キーやYes/Noキーなどのうち対応する操作として入力されればよい。例えば、医師からいくつかの選択肢の中から当てはまるものを選ぶように指示があった場合に、十字キーをタッチして選択したい選択肢に移動し、決定キーをタッチしてその選択肢を選択する操作が入力される。そして、その選択肢の情報や、選択動作でのキー操作のログなどが外部制御装置300に送信されて医師がチェックすることができる。このようなやり取りは、選択肢そのものに意味がある場合もあるし、選択動作でのキー操作の違和感などから、診察の一環として用いる場合もある。タッチ入力部では、必要な画像と、タッチがあったと判定する圧力検知のエリアとをその都度変化させて、多様な質疑をタッチ入力部のみでも行うことを可能にできる。
【0086】
そのため、外部制御装置300は、制御装置130に対してタッチ入力部によって受け付ける入力内容を変更するための入力変更情報を送信する。制御装置130は、ディスプレイ機能部111を用いて表示させる画像のうち、タッチ入力部の領域の画像を外部制御装置300から取得した入力変更情報に応じて変更し、タッチ入力部の領域において圧力分布測定機能部121により測定した圧力分布の変化を外部制御装置300から取得した入力変更情報に応じたタッチ入力として受け付ける。
【0087】
また、上記した各機能の他に、測定した圧力分布によって衣服99の着用者の心拍を測定する心拍測定モードを実現するための、情報処理部を行う機能も有する。心拍測定モードでは、この情報処理部が、所定時間内に取得した測定結果(特に、衣服99の着用者の胸部付近での測定結果)に基づいて心拍由来の振動を抽出する処理を行い、衣服99の着用者の心拍として出力する。心拍測定モードへの移行は、遠隔医療補助システムが起動された後の一定期間が自動的に心拍測定モードに割り当てられていて、起動を契機に制御装置130がその他のモードから心拍測定モードに切り替えてもよい。本実施の形態では、心拍測定モードへは制御装置130の操作者(着用者又は着用者に付きそい操作を行う別の者)、又は、外部制御装置300の操作者(医師など)によって切り替えが行われる。
【0088】
例えば、制御装置130の操作者は、センサ部101に設けられた心拍測定モード移行位置を一定時間押圧し続ける。すると、制御装置130は、心拍測定モード移行位置を一定時間押圧し続けたことを契機にその他のモードから心拍測定モードに切り替えを行う。心拍測定モード移行位置は、あらかじめ設定され、直接印字されたアイコンなどが付されていてもよいし、ディスプレイ機能部111によって画像が表示されてもよい。
【0089】
また、外部制御装置300の操作者は、外部制御装置300に設けられた心拍測定モード移行ボタンを押下する。すると、外部制御装置300は、取得機能部133に対してモード移行指示情報を出力する。制御装置130は、外部制御装置300からモード移行指示情報を取得したことを契機にその他のモードから心拍測定モードに切り替えを行う。
【0090】
測定された心拍測定の結果は、単に心拍の数値(バイタルデータ)として用いられてもよいし、個人認証のために用いられてもよい。圧力分布から情報処理によって得られた心拍由来の振動(すなわち心拍波形)をもとに、事前に登録された心拍波形に許容範囲内の類似性を示すか否かを判定し、許容範囲外の類似性の場合は、衣服99の着用者が予め設定された被測定者(対象の患者)でないと判定することができる。これにより、被測定者を取り違える医療事故などの抑制に寄与することができる。
【0091】
心拍測定には、正確な圧力分布の測定と、心拍由来の振動以外の成分を適切に取り除くことが必要となる。そこで、本実施の形態では、制御装置130は、衣服99の着用者に対して体動の静止を要求する静止要求を提示するための提示機能部を有する。提示機能部は、静止要求の提示としてディスプレイ機能部111に体動の静止を要求する画像を表示する表示制御機能部131の一機能として組み込まれている。また、(a)静止要求の提示として制御装置130自体に搭載された表示装置(例えば、制御装置130がPCである場合のディスプレイなど)に体動の静止を要求する画像を表示する、もしくは、(b)制御装置130に搭載された再生装置(例えば、制御装置130がPCである場合のスピーカなど)で体動の静止を要求する音声を再生する表示制御機能部131とは異なる機能部であってもよい。
【0092】
心拍測定モードでは、測定結果に示される圧力分布の周波数特性を算出し、周波数特性に基づいて、圧力分布に心拍由来の振動ではない成分が検出された場合に、圧力分布に体動由来の振動が検出されたと判定して提示機能部が、静止要求を提示する。このような静止要求を受けて衣服99の直用者が体動を静止し、より正確な圧力分布の測定が可能となる。
【0093】
あるいは、前記心拍測定モードでは、測定結果に示される圧力分布の周波数特性を算出し、周波数特性に基づいて、圧力分布に心拍由来の振動ではない成分が検出された場合に、測定制御機能部132が、体動由来の振動が検出されなくなるまで測定を継続してもよい。なお、これら両方を行うようにしてもよい。
【0094】
また、衣服99の着用状態が適正でない場合、心拍測定はもとより、本来の圧力分布の測定でさえも悪影響を受ける可能性が有る。そこで、本実施の形態では、制御装置130は、衣服99の着用者に対して着用状態の改善を要求する改善要求を提示するための提示機能部を有する。上記の提示機能部は、この改善要求を提示する機能も有する。つまり、改善要求の提示としてディスプレイ機能部111に衣服99の着用状態の改善を要求する画像を表示する表示制御機能部131の一機能として組み込まれている。また、(a)改善要求の提示として制御装置130自体に搭載された表示装置に衣服99の着用状態の改善を要求する画像を表示する、もしくは、(b)制御装置130に搭載された再生装置で衣服99の着用状態の改善を要求する音声を再生してもよい。
【0095】
制御装置130は、心拍測定モードにおいて取得された測定結果を用いて、衣服99の着用状態が適正であるか否かを判定し、着用状態が適正でない場合、提示機能部が、改善要求を提示する。この結果、正確な圧力分布の測定が可能になるので、心拍測定モードも正常に作用しやすくなるうえ、本来の圧力分布の測定も正確な測定結果が得られるという点でメリットがある。
【0096】
衣服99の着用状態の適正さという観点では、衣服99の着用者の身体への接触位置などが一定化されるとよい。そこで、本実施の形態における衣服99には、衣服99を着用者の身体に固定するための構成が備えられている。具体的には、衣服99には、その一部に、紐やゴムなどを通すための輪が複数備えられており、この輪に紐やゴムなどを通して、胴回り等を一周させた後に紐やゴムなどを軽く引き締めて結ぶことによって、複数の輪の着用者の身体に対する位置が動きにくくすることができる。
【0097】
さらに、このとき、圧力分布の測定を行って測定結果に基づいて引き締めの強さを定量することができる。そのため、過度の引き締めが行われていないか、又は、引き締めが弱すぎないかを数値として出力できるので、引き締めの強さを一定にしやすく、衣服99の着用者の身体への接触位置などが一定化されやすい。また、衣服99の着用者の身体への接触位置を一定化するという観点では、胸部付近の心拍由来の振動が最も大きい位置が複数回の着用において同じ位置になるように調整すればよい。また、この調整のための画像表示などを行ってもよい。例えば、過去の心拍最大位置マーカーと、現在の心拍最大位置とを表示してこれらが重なるようにするなどしてもよい。
【0098】
圧力分布測定機能部121、又は、衣服99に別途(外付けすることで)備えられる加速度センサ等を用いて、着用者に対する問診などを行いながらの着用者の体動を測定する体動センサ部を備えることもできる。制御装置130は、体動センサ部による体動の測定をONする体動測定モードを有し、体動測定モードで測定された着用者の体動に基づいて、衣服99の着用者の体動由来の振動及び姿勢の変化の少なくとも一方を出力することができる。このような体動の成分は、心拍測定モードではノイズとして排除するように情報処理されたものの、体動自体にも、患者の治療という観点で有用な用途があるので、体動を別途出力させることは有効である。
【0099】
上記のように、体動センサ部は、衣服に一体化された加速度センサであり、圧力分布測定機能部121を用いて、センサ部101とともに衣服99に一体化するようにして実現することもできるし、衣服99に外付けされる加速度センサとして実現することもできる。
【0100】
体動センサ部を、圧力分布測定機能部121を用いて実現する場合、圧力分布の測定結果から体動由来の成分を抽出することにより、衣服99の着用者の体動(体動由来の振動及び姿勢の変化)を測定することができる。
【0101】
出力された体動を保存しておき、平常時の体動の傾向と異なる体動の傾向を検出した場合、その検出結果を外部制御装置300において出力する機能を備えてもよい。例えば、測定した体動の特徴量(体の部位ごとの体動の頻度、大きさなど)、及び、その測定時における環境の特徴量(測定日が属する曜日、測定時刻、及び、前記制御装置の所在地における環境に関する環境情報など)を、互いに紐づけて記憶しておき、新たに得られた体動の特徴量及び環境の特徴量の分布(ベクトル座標などで管理)が比較の結果、大きく異なる場合に、衣服の着用者の体動が正常の範囲内でないと判定し(平常時と異なる可能性を示す)、アラートを発出してもよい。
【0102】
[動作]
次に、図3図11を参照して、上記のように構成された遠隔医療補助システムの動作について説明する。図3は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムの動作の一例を示すフローチャートである。また、図4図11は、実施の形態に係る遠隔医療補助システムにおいてセンサ部に表示される画像の一例を示す図である。
【0103】
図3に示すように、遠隔医療補助システムでは、取得機能部133が外部制御装置300から表示用情報を取得する(ステップS11)。取得機能部133は、センサ部101の領域内における所定位置を指定する位置情報を含み、さらに、場合により(含まれない場合がある)向き、強さ及び時間の少なくとも1つを示す付加情報がさらに含まれている表示用情報を取得する。表示制御機能部131は、指定された所定位置を表示し、付加情報がさらに含まれている場合、付加情報をさらに表示する画像を生成する(ステップS12)。そして、画像を表示するための電気信号を表示繊維Dv及び表示繊維Dhに出力することで、画像を表示する(ステップS13)。
【0104】
図4では、所定位置を示す画像の一例が示されている。この画像には付加情報も含められている。例えば、図4では、中央に4方向の矢印及び円形によって押圧する方向を示すアイコンを構成する画像が表示されている。そのアイコンの上側の半円弧は、押圧の時間の目安を示し、アイコンの下側の半円弧は、押圧の強さの目安が示されている。例えば図4に示す例では、垂直の方向に押圧し、中程度の時間押圧を続け、その押圧の強さは弱めであることが分かる。図5は、図4と同じ定義で、別の付加情報が付されていた場合の画像を示している。図4に比べて、図5の例では、下の方向に押圧し、長時間の時間押圧を続け、その押圧の強さは中程度であることが分かる。
【0105】
また、図6に示すように、アイコン部分を使って押圧の強さを画像に表示してもよい。具体的には、図6では(a)に押圧の強さが強めである場合を示し、(b)に押圧の強さが弱めである場合を示している。つまり、方向を示す矢印の大きさによって押圧の強さを画像に表示することもできる。図3に戻り、制御装置130は、測定制御機能部132及び出力機能部134をONする触診モードと、測定制御機能部132及び出力機能部134をOFFする節電モードと、を有し、表示制御機能部131によって生成された画像が、ディスプレイ機能部111によって表示されたことを契機に節電モードから触診モードに切り替える。その結果、圧力分布測定機能部121によって圧力分布の測定が行われ(ステップS14)、測定制御機能部132が測定結果を取得する(ステップS15)。そして、出力機能部134が測定結果を外部制御装置300へと出力する(ステップS16)。このように、ステップS13が行われたことをトリガとして圧力分布の測定及び測定結果の出力が開始される。
【0106】
また、制御装置130は、測定結果が取得され、かつ、測定結果が出力されたことを契機に触診モードから節電モードに切り替えるこれにより、測定が完了すれば、圧力分布の測定及び測定結果の出力のための構成がOFFされるので、節電の効果が高い。
【0107】
ところで、上記のように、付加情報を画像として表示する場合、単にゲージを表示するだけでは具体的にどの程度(強さ及び時間)押圧をすればよいのか理解できない場合がある。そこで、本実施の形態では、取得した測定結果に基づいて、圧力分布の特性(ここでは、押圧の方向、時間及び強さすべて)を表示する画像を生成して表示する。例えば、図7に示すように、付加情報として押圧の強さ及び時間を表示する際に、目標値と、測定中の圧力分布に基づく実績値とを表示してもよい。図7では、アイコン部分の左側において、押圧の時間における目標値(右側)及び実績値(左側)が表示されており、実績値が目標値に達するまでもう少しの時間押圧を続ける必要があることが一目でわかる。また、図7では、アイコン部分の下側において、押圧の強さにおける目標値(上側)及び実績値(下側)が表示されており、実績値が目標値に達するまでもう少しの強く押圧をする必要があることが一目でわかる。
【0108】
また、実績値の表示の別の態様として、押圧を継続している時間のみを画像として表示し、その表示条件に押圧の強さを組み込むとしてもよい。具体的には、図8に示すように、押圧の時間における目標がアイコン部分を周回するゲージ1周分に割り振られている。例えば、1分押圧する場合、1周ゲージが進むために1分間の押圧(10秒で60度進む)が必要になっており、10秒押圧する場合、1周ゲージが進むために10秒の押圧(1秒で36度進む)が必要になっている。ここで、押圧時間のゲージがカウントアップされるためには、押圧の強さが目標値に達していることが必要になっており、適切な強さになるまで、押圧の強さを徐々に強めていけば、必要な強さにおいてカウントアップが開始されるので押圧の強さを把握することが可能である。
【0109】
制御装置130は、取得した前記測定結果に基づいて、圧力分布の特性(ここでは、押圧の方向、時間及び強さすべて)が適正であるか否かを判定し、判定結果において圧力分布が適正でなければ、表示制御機能部131が、圧力分布が適正でないことを表示する画像を生成して表示する。例えば、図9では、(a)に圧力分布が適正であった場合の画像を示し、(b)に圧力分布が適正でなかった場合の画像を示している。着用者は、この画像を見て、圧力分布が適正であれば次の治療に移り、圧力分布が適正でなければ、同じ治療を再度繰り返せばよい。
【0110】
なお、判定結果において圧力分布が適正でなければ、出力機能部134が、測定結果の代わりに圧力分布が適正でないことを示す情報を出力し、外部制御装置300においてこれを知ることができてもよい。
【0111】
また、上記では、押圧の方向の一例として、4つの矢印のそれぞれのON/OFFによって方向を示す例を示したが、図10に示すように、1つの矢印が方向を示しており、その画像のON/OFFではなく、別の画像(つまり別の向きの矢印の画像)への切り替えによって押圧の方向を表示してもよい。また、この場合、垂直方向は、例えば、図11に示すように矢印の無い画像によって表示してもよい。
【0112】
以上のようにして、本実施の形態では、所定位置を表示しながら、着用者自身(又は操作者などでもよい)によって必要な部位の押圧を行い、その時の圧力分布を得ることができる。この技術によって、触診に代わる診察が遠隔でもおこなうことが可能となるため、より多様な行為を可能にするという点でメリットがある。
【0113】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る遠隔医療補助システム等について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0114】
例えば、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0115】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0116】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0117】
例えば、本発明は、コンピュータが実行する情報処理方法として実現されてもよいし、このような情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0118】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
遠隔医療の実現において広く有用である。
【符号の説明】
【0120】
99 衣服
Dh、Dv 表示繊維
Sh、Sv 測定繊維
100 シート状部材
100 制御装置
101 センサ部
111 ディスプレイ機能部
121 圧力分布測定機能部
130 制御装置
131 表示制御機能部
132 測定制御機能部
133 取得機能部
134 出力機能部
150 ネットワーク
300 外部制御装置
301 取得部
302 変換機能部
303 出力部
304 触覚提示機能部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11