(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140902
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電力ケーブルの接続部
(51)【国際特許分類】
H02G 15/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02G15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052267
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000213884
【氏名又は名称】住電機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】大森 正規
【テーマコード(参考)】
5G375
【Fターム(参考)】
5G375AA01
5G375CD02
5G375DA33
5G375DB32
5G375DB42
5G375EA17
(57)【要約】
【課題】遮蔽層に対してシースがずれることを抑制できる電力ケーブルの接続部を提供する。
【解決手段】遮蔽層と前記遮蔽層の外周を覆うシースとを有する複数の電力ケーブルと、前記複数の電力ケーブルの各々における前記シースの外周面に装着されて前記複数の電力ケーブルを束ねているゴムスペーサーと、前記ゴムスペーサーを締め付けるように前記ゴムスペーサーの外周面を把持しているブラケットと、前記ゴムスペーサーよりも前記複数の電力ケーブルの各々の先端に近い位置において前記複数の電力ケーブルの各々における前記シースの外周面を覆っている常温収縮チューブと、を備え、前記常温収縮チューブの端面は、前記ゴムスペーサーの端面に接触していて、隣り合う前記常温収縮チューブの外周面同士は互いに接触している、電力ケーブルの接続部。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽層と前記遮蔽層の外周を覆うシースとを有する複数の電力ケーブルと、
前記複数の電力ケーブルの各々における前記シースの外周面に装着されて前記複数の電力ケーブルを束ねているゴムスペーサーと、
前記ゴムスペーサーを締め付けるように前記ゴムスペーサーの外周面を把持しているブラケットと、
前記ゴムスペーサーよりも前記複数の電力ケーブルの各々の先端に近い位置において前記複数の電力ケーブルの各々における前記シースの外周面を覆っている常温収縮チューブと、を備え、
前記常温収縮チューブの端面は、前記ゴムスペーサーの端面に接触していて、
隣り合う前記常温収縮チューブの外周面同士は互いに接触している、
電力ケーブルの接続部。
【請求項2】
隣り合う前記常温収縮チューブの外周面同士が前記常温収縮チューブの軸に沿って互いに接触している長さは、前記常温収縮チューブの軸に沿った長さの10%以上の長さである、請求項1に記載の電力ケーブルの接続部。
【請求項3】
隣り合う前記常温収縮チューブの外周面同士が前記常温収縮チューブの軸周りに沿って互いに接触している長さは、前記常温収縮チューブの周長の3%以上の長さである、請求項1または請求項2に記載の電力ケーブルの接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力ケーブルの接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、遮蔽層とシースとを有する電力ケーブルと、スプリングリングと、収縮チューブと、介在テープと、固定ブラケットとを備える電力ケーブル端末部を開示している。スプリングリングは、シースの外周面に食い込むように巻き付けられている。収縮チューブは、スプリングリングとシースの外周面とをまとめて覆っている。スプリングリングによって収縮チューブには膨らみ部が形成されている。介在テープは、膨らみ部よりも電力ケーブルの先端から遠い位置において収縮チューブの外周面に巻きつけられている。固定ブラケットは、介在テープの外周面を挟んでいる二つの分割片を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-210642号公報
【特許文献2】特開平8-340627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シースは、製造過程上、電力ケーブルの長さに沿った方向に対して引張の歪みが残留している。この残留歪みは、例えば外気温度の変化や通電といったヒートサイクルの熱影響によって開放される。残留歪みが開放されると、シースの長さに沿った方向にシースが収縮する。このシースの収縮はシュリンクバックと言われる。シースが収縮すると、シースが遮蔽層に対してずれる。遮蔽層は、シースの収縮により負荷がかかることによって損傷するおそれがある。
【0005】
特許文献1では、シースに食い込ませたスプリングリングと、スプリングリングによって形成された収縮チューブの膨らみ部とによって、遮蔽層に対するシースのずれを抑制している。
【0006】
本開示は、遮蔽層に対してシースがずれることを効果的に抑制できる電力ケーブルの接続部を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電力ケーブルの接続部は、
遮蔽層と前記遮蔽層の外周を覆うシースとを有する複数の電力ケーブルと、
前記複数の電力ケーブルの各々における前記シースの外周面に装着されて前記複数の電力ケーブルを束ねているゴムスペーサーと、
前記ゴムスペーサーを締め付けるように前記ゴムスペーサーの外周面を把持しているブラケットと、
前記ゴムスペーサーよりも前記複数の電力ケーブルの各々の先端に近い位置において前記複数の電力ケーブルの各々における前記シースの外周面を覆っている常温収縮チューブと、を備え、
前記常温収縮チューブの端面は、前記ゴムスペーサーの端面に接触していて、
隣り合う前記常温収縮チューブの外周面同士は互いに接触している。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電力ケーブルの接続部は、遮蔽層に対してシースがずれることを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態の電力ケーブルを示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《本開示の実施形態の説明》
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の一態様の電力ケーブルの接続部は、
遮蔽層と前記遮蔽層の外周を覆うシースとを有する複数の電力ケーブルと、
前記複数の電力ケーブルの各々における前記シースの外周面に装着されて前記複数の電力ケーブルを束ねているゴムスペーサーと、
前記ゴムスペーサーを締め付けるように前記ゴムスペーサーの外周面を把持しているブラケットと、
前記ゴムスペーサーよりも前記複数の電力ケーブルの各々の先端に近い位置において前記複数の電力ケーブルの各々における前記シースの外周面を覆っている常温収縮チューブと、を備え、
前記常温収縮チューブの端面は、前記ゴムスペーサーの端面に接触していて、
隣り合う前記常温収縮チューブの外周面同士は互いに接触している。
【0012】
上記(1)の電力ケーブルの接続部は、各常温収縮チューブの端面がゴムスペーサーの端面に接触していて、隣り合う常温収縮チューブの外周面同士が接触していることで、遮蔽層に対してシースがずれることを効果的に抑制できる。
【0013】
(2)上記(1)の電力ケーブルの接続部において、
隣り合う前記常温収縮チューブの外周面同士が前記常温収縮チューブの軸に沿って互いに接触している長さは、前記常温収縮チューブの軸に沿った長さの10%以上の長さであってもよい。
【0014】
上記(2)の電力ケーブルの接続部は、隣り合う常温収縮チューブの外周面同士が常温収縮チューブの軸に沿って互いに接触している長さが常温収縮チューブの軸に沿った長さの10%未満の長さである場合に比較して、遮蔽層に対してシースがずれることをより効果的に抑制できる。
【0015】
(3)上記(1)または上記(2)の電力ケーブルの接続部において、
隣り合う前記常温収縮チューブの外周面同士が前記常温収縮チューブの軸周りに沿って互いに接触している長さは、前記常温収縮チューブの周長の3%以上の長さであってもよい。
【0016】
隣り合う常温収縮チューブの外周面同士が常温収縮チューブの軸周りに沿って互いに接触している長さが常温収縮チューブの周長の3%以上の長さであることで、隣り合う常温収縮チューブの外周面同士が互いに押し合って接触している。そのため、上記(3)の電力ケーブルの接続部は、遮蔽層に対してシースがずれることをより効果的に抑制できる。
【0017】
《本開示の実施形態の詳細》
本開示の電力ケーブルの接続部の詳細を、以下に説明する。図中の同一符号は同一または相当部分を示す。各図面が示す部材の大きさは、説明を明確にする目的で表現されており、必ずしも実際の寸法を表すものではない。
【0018】
《実施形態》
〔電力ケーブルの接続部〕
図1から
図4を参照して、実施形態の電力ケーブルの接続部1を説明する。電力ケーブルの接続部1は、
図1に示されるように、複数の電力ケーブル2と、ゴムスペーサー3と、ブラケット4と、複数の常温収縮チューブ5とを備える。各電力ケーブル2は、遮蔽層25と遮蔽層25の外周を覆うシース26とを備える。ゴムスペーサー3は、各電力ケーブル2のシース26の外周面に装着されて複数の電力ケーブル2を束ねている。ブラケット4は、ゴムスペーサー3を締め付けるようにゴムスペーサー3の外周面を把持している。各常温収縮チューブ5は、特定の位置においてシース26の外周面を覆っている。電力ケーブルの接続部1の特徴の一つは、各常温収縮チューブ5がゴムスペーサー3の端面に接触している端面を有する点にある。以下、電力ケーブルの接続部1が電力ケーブルの端末接続部である場合を例に説明する。以下の説明では、ゴムスペーサー3、ブラケット4、および各常温収縮チューブ5において、電力ケーブル2の先端に近い位置を第一の位置といい、電力ケーブル2の先端から遠い位置を第二の位置という。
【0019】
[電力ケーブル]
各電力ケーブル2は、内周から順に、導体、内部半導電層、絶縁体、外部半導電層、遮蔽層25、およびシース26を備える。導体、内部半導電層、絶縁体、および外部半導電層の図示は省略されている。各電力ケーブル2は、内部半導電層と外部半導電層とを必要に応じて備えていなくてもよい。各電力ケーブル2の先端は段剥ぎされている。段剥ぎされていることで、導体および絶縁体がシース26から露出している。露出している導体からシース26の端部にわたって図示が省略されたゴムモールド部品によって覆われている。本例の電力ケーブル2の数は3本である。即ち、電力ケーブルの接続部1は、3心(3相)の電力ケーブル2を備える。シース26の材質は、例えばポリエチレン樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂である。ポリエチレン樹脂のシース26はシュリンクバックが生じ易い。しかし、後述するゴムスペーサー3、ブラケット4、および各常温収縮チューブ5によって、シュリンクバックが生じ易いシース26であっても遮蔽層25に対してシース26がずれることが効果的に抑制され易い。本例の各電力ケーブル2およびゴムモールド部品は、公知の電力ケーブルおよびゴムモールド部品で構成できる。
図3では、説明の便宜上、シース26の内部の図示が省略されている。
【0020】
[ゴムスペーサー]
ゴムスペーサー3は、
図3に示されるように、各電力ケーブル2のシース26の外周面に装着されて複数の電力ケーブル2を束ねる。本例のゴムスペーサー3は、3心(3相)の電力ケーブル2を一括して束ねている。ゴムスペーサー3は、ゴムモールド部品よりも電力ケーブル2の先端から遠い位置に設けられている。ゴムスペーサー3は、後述するブラケット4によって締め付けられている。そのため、ゴムスペーサー3は各シース26の外周面に所定の面圧を付加する。よって、各シース26に対してゴムスペーサー3がずれることが効果的に抑制される。ゴムスペーサー3は、公知のゴムスペーサーで構成できる。
【0021】
ゴムスペーサー3は、円柱状体である。ゴムスペーサー3は、
図4に示されるように、第一の位置にある第一端面31と、第二の位置にある第二端面32とを有する。ゴムスペーサー3は、
図3に示されるように、複数の収納孔35と複数の切欠部36とを有する。各収納孔35は、各電力ケーブル2が収納される。収納孔35の数は、電力ケーブル2の数と同数である。本例の収納孔35の数は3つである。各収納孔35は、ゴムスペーサー3の軸に沿った方向に沿って形成されている。各収納孔35は、第一端面31と第二端面32とを貫通している。各切欠部36は、ゴムスペーサー3の外側から各電力ケーブル2を収納孔35に嵌め込むための開口である。各切欠部36の数は、収納孔35の数と同数である。本例の切欠部36の数は3つである。各切欠部36は、収納孔35に一連に形成されている。
【0022】
ゴムスペーサー3は、
図1、
図2、
図4に示されるように、第一鍔部33を更に有していてもよい。第一鍔部33は、ゴムスペーサー3の第一の位置の端部の外周縁に形成されている。第一鍔部33は、
図2、
図4に示されるように、後述する第一端面411a、421aを覆っている。各シース26に対してゴムスペーサー3がずれることを第一鍔部33が第一端面411a、421aに当て止めされることでも抑制できる。そのため、ゴムスペーサー3によって、遮蔽層25に対して各シース26がずれることが効果的に抑制され易い。ゴムスペーサー3は、
図1、
図4に示されるように、第二鍔部34を更に有していてもよい。第二鍔部34は、ゴムスペーサー3の第二の位置の端部の外周縁に形成されている。ゴムスペーサー3は、第二鍔部34を有していなくてもよい。第二鍔部34は、
図4に示されるように、後述する第二端面411b、421bを覆っている。第一鍔部33および第二鍔部34によって、ブラケット4に対してゴムスペーサー3が電力ケーブル2の先端に近づく方向と上記先端から遠ざかる方向のいずれの方向にもずれることが抑制される。
【0023】
[ブラケット]
ブラケット4は、
図1に示される複数の電力ケーブル2を取付対象に取り付ける。ブラケット4は、
図3に示されるように、ゴムスペーサー3の外周面を把持している。ブラケット4は、ゴムスペーサー3を締め付けている。このブラケット4によって締め付けられたゴムスペーサー3が各シース26に所定の面圧を付加する。ブラケット4の材質は、例えば鋼、鋳鉄、アルミニウム、またはアルミニウム合金である。ブラケット4は、公知のブラケットで構成できる。本例のブラケット4は、本体41と押え部材42と締付部材43とを備える。
【0024】
(本体)
本体41は、ブラケット4自体を取付対象に固定するためのものである。本体41は、半円状の湾曲部411と、湾曲部411の両側に形成されるフランジ部412と、湾曲部411の外側面に形成される固定台413とを備える。湾曲部411は、後述する押え部材42の湾曲部421との間にゴムスペーサー3を配置する。湾曲部411は、ゴムスペーサー3の外周面の一部を囲む。湾曲部411は、
図4に示されるように第一の位置にある第一端面411aと、第二の位置にある第二端面411bとを有する。第一端面411aは、
図2、
図4に示されるように、第一鍔部33によって覆われている。第二端面411bは、第二鍔部34によって覆われている。両フランジ部412は、
図3に示されるように、押え部材42を本体41に固定するためのものである。各フランジ部412には、後述する締付部材43が挿通される貫通孔412hが形成されている。固定台413は、本体41を取付対象に固定する。取付対象は、例えば腕金である。固定台413には、本体41を取付対象に固定するための締付部材が挿通される貫通孔が形成されている。締付部材および貫通孔の図示は省略されている。締付部材は、ボルトが利用できる。
【0025】
(押え部材)
押え部材42は、本体41と共にゴムスペーサー3を挟む。押え部材42は、本体41の湾曲部411およびフランジ部412の内側面と向かい合っている。押え部材42と本体41との間にゴムスペーサー3が配置されている。押え部材42は、半円状の湾曲部421と、湾曲部421の両側に形成されるフランジ部422とを備える。湾曲部421は、ゴムスペーサー3の外周面の一部を囲む。湾曲部421は、
図4に示されるように、第一の位置にある第一端面421aと、第二の位置にある第二端面421bとを有する。第二端面421bは、第二鍔部34によって覆われている。各フランジ部422は、
図3に示されるように、本体41の各フランジ部412に締付部材43で固定される。各フランジ部422には、締付部材43を挿通させる貫通孔422hが形成されている。
【0026】
(締付部材)
締付部材43は、本体41のフランジ部412と押え部材42のフランジ部422とを一体に締め付けて本体41と押え部材42とを固定する。この締付部材43によって、本体41の湾曲部411と押え部材42の湾曲部421とは、両湾曲部411、421の間に配置されたゴムスペーサー3を締め付けるように挟む。締付部材43は、ボルトが利用できる。
【0027】
[常温収縮チューブ]
各常温収縮チューブ5は、
図1、
図4に示されるように、ブラケット4よりも各電力ケーブル2の先端に近い位置において各シース26の外周面を覆っている。
図4は、説明の便宜上、常温収縮チューブ5のみ断面で示されている。本例の各常温収縮チューブ5は、
図2に示されるように一重構造である。
図2では、説明の便宜上、各常温収縮チューブ5の内部の図示が省略されている。各常温収縮チューブ5は、各シース26の外周面を十分に締め付けているため摩擦によって各シース26に対してずれない。常温収縮チューブ5の材質は、例えば、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチレンゴム、シリコンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、またはシリコーン変性エチレンプロピレンゴムである。常温収縮チューブ5は、公知の常温収縮チューブで構成できる。公知の常温収縮チューブは、例えば、特開平11-98674号公報の外層構造体が利用できる。
【0028】
各常温収縮チューブ5は、
図4に示されるように、第一の位置にある第一端面51と、第二の位置にある第二端面52とを有する。各第二端面52は、第一端面31に接触している。隣り合う常温収縮チューブ5の外周面同士は互いに接触している。各第二端面52が第一端面31に接触していて、隣り合う常温収縮チューブ5の外周面同士が接触していることで、各遮蔽層25に対して各シース26がずれることが効果的に抑制される。
【0029】
図4に示されるように、隣り合う常温収縮チューブ5の外周面同士が常温収縮チューブ5の軸に沿って互いに接触している長さを第一接触長さL1という。第一接触長さL1は、例えば常温収縮チューブ5の軸に沿った長さの10%以上の長さである。第一接触長さL1が常温収縮チューブ5の軸に沿った長さの10%以上の長さであることで、第一接触長さL1が常温収縮チューブ5の軸に沿った長さの10%未満の長さである場合に比較して、各遮蔽層25に対して各シース26がずれることがより効果的に抑制され易い。第一接触長さL1は、更に常温収縮チューブ5の軸に沿った長さの15%以上の長さであってもよいし、特に常温収縮チューブ5の軸に沿った長さの20%以上の長さであってもよい。複数の電力ケーブル2の先端に向かうにしたがって隣り合う電力ケーブル2同士の間隔が広くなる。そのため、第一接触長さL1は、例えば常温収縮チューブ5の軸に沿った長さの50%以下の長さである。
【0030】
図2に示されるように、隣り合う常温収縮チューブ5の外周面同士が常温収縮チューブ5の軸周りに沿って互いに接触している長さを第二接触長さL2という。第二接触長さL2は、例えば常温収縮チューブ5の周長の3%以上の長さである。第二接触長さL2が常温収縮チューブ5の周長の3%以上の長さであることで、第二接触長さL2が常温収縮チューブ5の周長の3%未満の長さである場合に比較して、隣り合う常温収縮チューブ5の外周面同士が互いに押し合って接触している。そのため、第二接触長さL2が常温収縮チューブ5の周長の3%以上の長さであることで、第二接触長さL2が常温収縮チューブ5の周長の3%未満の長さである場合に比較して、各遮蔽層25に対してシース26がずれることがより効果的に抑制され易い。第二接触長さL2は、更に常温収縮チューブ5の周長の5%以上の長さであってもよいし、特に常温収縮チューブ5の周長の10%以上の長さであってもよい。各電力ケーブル2の径にもよるが、第二接触長さL2は、例えば常温収縮チューブ5の周長の20%以下の長さである。
【0031】
各常温収縮チューブ5は、次のようにして作製できる。拡径状態の各常温収縮チューブ5を各シース26の外周に配置する。各常温収縮チューブ5の拡径は、公知の拡径筒によって行える。公知の拡径筒は、例えば、特開平11-98674号公報のコア部材が利用できる。上記コア部材は、紐状にほつれることで解体される。拡径状態の各常温収縮チューブ5の内部に配置された拡径筒を漸次分解して引き抜くことで、各常温収縮チューブ5を縮径させて各シース26の外周面に装着させることができる。
【0032】
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0033】
1 電力ケーブルの接続部
2 電力ケーブル
25 遮蔽層
26 シース
3 ゴムスペーサー
31 第一端面
32 第二端面
33 第一鍔部
34 第二鍔部
35 収納孔
36 切欠部
4 ブラケット
41 本体
411 湾曲部
411a 第一端面
411b 第二端面
412 フランジ部
412h 貫通孔
413 固定台
42 押え部材
421 湾曲部
421a 第一端面
421b 第二端面
422 フランジ部
422h 貫通孔
43 締付部材
5 常温収縮チューブ
51 第一端面
52 第二端面
L1 第一接触長さ
L2 第二接触長さ