(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140906
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】フォーク
(51)【国際特許分類】
A47G 21/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47G21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052271
(22)【出願日】2023-03-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1. ▲1▼放送日 令和4年10月31日 ▲2▼番組名 TBS Nスタ ▲3▼公開者 株式会社TBSテレビ 2. ▲1▼配布日 令和4年11月2日 ▲2▼配布した場所 スターバックスコーヒージャパン株式会社の各店舗 ▲3▼公開者 スターバックスコーヒージャパン株式会社 3. ▲1▼放送日 令和4年11月22日 ▲2▼番組名 読売テレビ 朝生ワイド す・またん!さかなのとれたてFISHING ▲3▼公開者 讀賣テレビ放送株式会社 4. ▲1▼展示日 令和5年2月15日~2月17日 ▲2▼展示会名、開催場所 第57回スーパーマーケットトレードショー2023 幕張メッセ全館(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1) ▲3▼公開者 シーピー化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中谷 和史
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA02
3B115AA22
3B115BA12
3B115DA09
(57)【要約】
【課題】刺突部の中央部分の2本の櫛歯が左右方向において互いに近接するように変形するのを抑制し、複数本の櫛歯で絡めとった麺類などを櫛歯から落ちにくくする。
【解決手段】フォーク(10)は、複数本の櫛歯(3~6)のうち、中央部分の隣接する2本の櫛歯(4、5)の間の溝(C)の長さL1と、2本の櫛歯(4、5)のY方向外側にそれぞれ位置する溝(B、D)の長さL2とが、L1>L2を満たし、側方からみて、刺突部(2)は、把持部(1)のX方向の軸線に対して湾曲し、その先端は、把持部(1)の上面よりも上に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、当該把持部の先端側の刺突部と、を備え、前記刺突部は前記把持部側から先端の側に向けて伸びる複数本の櫛歯からなる、熱可塑性樹脂製のフォークであって、
前記刺突部の複数本の櫛歯のうち、中央部分の隣接する2本の櫛歯の間の溝の長さL1と、当該中央部分の隣接する2本の櫛歯の幅方向外側にそれぞれ位置する溝の長さL2とが、L1>L2を満たし、
側方からみたとき、前記刺突部は、前記把持部の長さ方向の軸線に対して湾曲し、その先端は、前記把持部の上面よりも上に位置する、フォーク。
【請求項2】
前記刺突部の、前記把持部側の基端から先端の側までの長さL3に対して、
前記L1は、22%~65%であり、
前記L2は、18%~61%である、請求項1に記載のフォーク。
【請求項3】
前記L1は、10mm~39mmであり、
前記L2は、10mm~36mmであり
前記L3は、46mm~65mmである、請求項2に記載のフォーク。
【請求項4】
中央部分の隣接する2本の櫛歯の間の溝は、当該中央部分の隣接する2本の櫛歯の幅方向外側にそれぞれ位置する溝よりも、前記把持部側に窪んで形成されている、請求項1に記載のフォーク。
【請求項5】
中央部分の隣接する2本の櫛歯は、当該2本の櫛歯の間の溝の把持部側の端部から少なくとも1/2L1までの部分において、幅が厚さよりも大きい、請求項1に記載のフォーク。
【請求項6】
前記刺突部の複数本の櫛歯は、幅方向外側から順に第1櫛歯、第2櫛歯、第3櫛歯、第4櫛歯の4本構造であり、
前記中央部分の隣接する2本の櫛歯は、前記第2櫛歯および前記第3櫛歯であり、
前記L1は、前記第2櫛歯と前記第3櫛歯との間の溝の長さであり、
前記L2は、前記第1櫛歯と前記第2櫛歯との間の溝の長さ、および前記第3櫛歯と前記第4櫛歯との間の溝の長さ、である、請求項1に記載のフォーク。
【請求項7】
前記先端へ向かう方向において、前記第1櫛歯および前記第4櫛歯の断面積は、前記第2櫛歯および前記第3櫛歯の断面積に比べて大きい、請求項6に記載のフォーク。
【請求項8】
前記複数本の櫛歯は、それぞれ前記先端側において前記先端に向けて断面積が次第に小さくなる先細り形状である、請求項1に記載のフォーク。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂を含む、請求項1に記載のフォーク。
【請求項10】
前記生分解性樹脂が、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を含む、請求項9に記載のフォーク。
【請求項11】
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)、およびポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される1種類以上である、請求項10に記載のフォーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークに関する。
【背景技術】
【0002】
食事用フォークは、一般的に、把持部と、当該把持部の先端側の刺突部とからなり、前記刺突部は前記把持部側の基端から先端の側に向けて伸びる複数本の櫛歯からなる形状である。食事用フォークとしては従来から種々の提案が行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、スプーンの先端がフォーク状になった、樹脂製のスプーンフォークが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂製のフォークは、金属製のフォークに比べて強度が劣る。それゆえ、樹脂製のフォークは、食事の際、刺突部の複数本の櫛歯のうち、中央部分の2本の櫛歯が左右方向に変形して、口内や唇を挟んでしまうという問題が生じる場合があることがわかった。
【0006】
さらに、樹脂製のフォークには、例えば、刺突部の複数本の櫛歯で絡めとった麺類などを櫛歯から落ちにくくするといった、フォーク本来の機能が要求される。
【0007】
本発明の一態様は、刺突部の複数本の櫛歯のうち、中央部分の2本の櫛歯が左右方向において互いに近接するように変形することを抑制でき、かつ複数本の櫛歯で絡めとった麺類などを櫛歯から落ちにくくすることができる、樹脂製のフォークを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフォークは、把持部と、当該把持部の先端側の刺突部と、を備え、前記刺突部は前記把持部側から先端の側に向けて伸びる複数本の櫛歯からなる、熱可塑性樹脂製のフォークであって、前記刺突部の複数本の櫛歯のうち、中央部分の隣接する2本の櫛歯の間の溝の長さL1と、当該中央部分の隣接する2本の櫛歯の幅方向外側にそれぞれ位置する溝の長さL2とが、L1>L2を満たし、
側方からみたとき、前記刺突部は、前記把持部の長さ方向の軸線に対して湾曲し、その先端は、前記把持部の上面よりも上に位置する、構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、刺突部の複数本の櫛歯のうち、中央部分の2本の櫛歯が左右方向において互いに近接するように変形することを抑制でき、かつ複数本の櫛歯で絡めとった麺類などを櫛歯から落ちにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るフォークの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るフォークの概略構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るフォークの概略構成を示す側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るフォークの概略構成を示す底面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るフォークの概略構成を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るフォークの概略構成を示す背面図である。
【
図7】
図1に示すフォークにおける4本の櫛歯を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
【0012】
(フォーク)
図1は、本実施形態に係るフォーク10の概略構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るフォーク10の概略構成を示す平面図である。
図3は、本実施形態に係るフォーク10の概略構成を示す側面図である。
図4は、本実施形態に係るフォーク10の概略構成を示す底面図である。
図5は、本実施形態に係るフォーク10の概略構成を示す正面図である。
図6は、本実施形態に係るフォーク10の概略構成を示す背面図である。
図1~
図6において、フォーク10の長さ方向(長手方向)をX方向とし、幅方向(左右方向)をY方向とし、X方向およびY方向の両方に垂直な高さ方向をZ方向(上下方向)とする。
【0013】
本実施形態に係るフォーク10は、熱可塑性樹脂製であり、把持部1と、刺突部2と、を備えている。刺突部2は、把持部1の先端側に配されている。刺突部2は、複数本の櫛歯からなる。そして、これら櫛歯は、一般的なフォークと同様に、刺突部2において、把持部1側から先端の側へ向けて伸びている。また、
図3、に示すように、刺突部2は、一般のフォークと同様に、
図1~
図6に示す構成では、刺突部2の複数本の櫛歯は、Y方向外側から櫛歯3(第1櫛歯)、櫛歯4(第2櫛歯)、櫛歯5(第3櫛歯)、櫛歯6(第4櫛歯)の4本構造である。そして、櫛歯3、4、5、6は、一般的なフォークと同様に、刺突部2において、把持部1側の基端2Aから先端3a、4a、5a、6aの側に向けて伸びている。Y方向において、先端3a、4a、5a、および6aは、同じ位置にある。
【0014】
また、フォーク10は、Y方向において、線対称の形状である。このため、4本の櫛歯3、4、5、6のうち、中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5は、互いに同じ形状である。また、Y方向の外側に位置する2本の櫛歯3および6は、互いに同じ形状である。
【0015】
また、フォーク10では、4本の櫛歯3、4、5、および6によって、3つの溝B、CおよびDが形成されている。溝Bは、櫛歯3と櫛歯4との間に形成されている。溝Cは、櫛歯4と櫛歯5との間に形成されている。溝Dは、櫛歯5と櫛歯6との間に形成されている。溝BおよびDは同じ形状である。
【0016】
フォーク10では、刺突部2の複数本の櫛歯のうち、中央部分の隣接する2本の櫛歯の間の溝の長さL1と、当該中央部分の隣接する2本の櫛歯のY方向外側にそれぞれ位置する溝の長さL2との関係に特徴がある。
図1~6に示す構成では、長さL1は、櫛歯4と櫛歯5との間の溝Cの長さである。また、長さL2は、櫛歯3と櫛歯4との間の溝Bの長さ、および櫛歯5と櫛歯6との間の溝Dの長さである。フォーク10では、L1>L2を満たす。ここでいう、溝Cの長さL1とは、Y方向において、溝Cの把持部1側の端部C1と、先端4aまたは5aとの距離である。同様に、溝Bの長さL2とは、Y方向において、溝Bの把持部1側の端部B1と、先端3aまたは4aとの距離である。溝Dの長さL2とは、Y方向において、溝Dの把持部1側の端部D1と、先端5aまたは6aとの距離である。
【0017】
フォーク10は、樹脂製である。このため、食事の際、刺突部2の櫛歯3、4、5、および6はZ方向(上下方向)に変形しやすい構造となっている。フォーク10によれば、L1>L2を満たすので、食事の際、櫛歯4および5は、これら櫛歯の基端部分(
図2に示す点線4bおよび5b)でZ方向に変形しやすくなる。このため、櫛歯4および5がZ方向に変形するとき、先端4aと先端5aとは、Y方向において、互いに遠くなるように移動する。よって、フォーク10によれば、食事の際、刺突部2の4本の櫛歯3、4、5、および6のうち、中央部分の2本の櫛歯4および5がY方向において互いに近接するように変形することを抑制できる。
【0018】
また、
図1~6に示す構成では、L1>L2であることにより、フォーク10を横向きにして食品を切断する際に、刺突部2の櫛歯3または6の強度が向上するという効果も奏する。
【0019】
さらに、
図1~
図6に示すフォーク10では、先端3a、4a、5a、6aそれぞれへ向かう方向(すなわちX方向)において、櫛歯3および6の断面積は、櫛歯4および5の断面積に比べて大きくなっていることが好ましい。これにより、フォーク10を横向きにして食品を切断する際の櫛歯3および6の強度が向上する。なお、当該断面積は、櫛歯3、4、5、6のX方向に垂直な断面積を意図する。
【0020】
なお、本実施形態に係るフォークにおいて、櫛歯の数は、
図1および
図2に示すような、4つに限定されない。中央部分に2本の櫛歯を配置できる構成であれば、櫛歯の数は、任意の数を採用することができる。櫛歯の数が4本以上である場合、中央部分の2本の櫛歯の間の溝の長さL1’(L1に相当)と、中央部分の2本の櫛歯それぞれと当該2本の櫛歯それぞれに対して外側で隣り合う外側の2本の櫛歯それぞれとの間の溝の長さL2’(L2に相当)との関係が、L1’>L2’であればよい。
【0021】
図3に示すように、側方からみたとき、刺突部2は、把持部1のX方向の軸線X1に対して湾曲している。より具体的には、刺突部2は、基端2Aから、軸線X1に対して下方に湾曲し、所定位置から先端へ向けて、軸線X1に対して上方へ湾曲する。そして、刺突部2の先端部である先端3a、4a、5a、6aは、把持部1の上面1Aよりも上に位置している。なお、刺突部2の把持部1側の基端2Aは、刺突部2における湾曲が開始する端であるといえる。
【0022】
このように刺突部2が湾曲していることにより、側方から見て、刺突部2は、U字状となり、複数本の櫛歯3、4、5、6により絡めとった麺類等が保持されやすくなる。それゆえ、フォーク10によれば、複数本の櫛歯3、4、5、6で絡めとった麺類などを櫛歯から落ちにくくすることができる。
【0023】
また、本実施形態に係るフォーク10では、複数本の櫛歯3、4、5、6は、それぞれ先端3a、4a、5a、6a側において、先端3a、4a、5a、6aに向けて断面積が次第に小さくなる先細り形状であることが好ましい。これにより、飲食に供されている調理済の食品に突き刺すことを容易にすることができる。さらに、このような各櫛歯が先細り形状となった樹脂製のフォークにおいては、上述した中央部分の隣接する2本の櫛歯が左右方向において互いに近接するように変形する問題が顕著となるが、フォーク10はL1>L2となっているので、上記問題を解消し得る。なお、当該断面積は、櫛歯3、4、5、6のX方向に垂直な断面積を意図する。
【0024】
さらに、中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5の間の溝Cは、当該中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5のY方向外側にそれぞれ位置する溝B、Dよりも、把持部1側に窪んで形成されていることが好ましい。すなわち、溝Cの端部C1は、溝B、Dそれぞれの端部B1、D1よりも、把持部1側に位置している。これにより、刺突部2の4本の櫛歯3、4、5、および6のうち、中央部分の2本の櫛歯4および5がY方向において互いに近接するように変形することをより一層抑制できる。
【0025】
また、2本の櫛歯4および5がY方向において互いに近接するように変形するという効果を奏すれば、上記L1およびL2の寸法は、任意に設定し得る。好ましくは、上記L1およびL2の寸法は、次のように設定されることが好ましい。
【0026】
すなわち、刺突部2の、把持部1側の基端2Aから先端3a(4a、5a、6a)までの長さL3に対して、L1は、22%~65%であることが好ましく、35%~55%であることがより好ましい。また、上記L2は、L3に対して、18%~61%であることが好ましく、26%~50%であることがより好ましい。
【0027】
さらに、上記L1は、10mm~39mmであることが好ましく、16mm~35mmであることがより好ましい。また、上記L2は、10mm~36mmであることが好ましく、12mm~32mmであることがより好ましい。また、上記L3は、46mm~65mmであることが好ましく、44mm~60mmであることがより好ましい。
【0028】
また、
図4に示すように、強度補強のために、フォーク10は、リブ7を備えている。リブ7は、把持部1および刺突部2の下面に、把持部1および刺突部2に跨って形成されている。リブ7は、側方リブ7aおよび7cと、中央リブ7bと、を備えている。側方リブ7aおよび7cは、それぞれ、把持部1および刺突部2のY方向の側縁部に沿って、先端3a、6aまで延びている。また、中央リブ7bは、把持部1および刺突部2の中央にX方向に沿って延びている。中央リブ7bは、刺突部2の櫛歯4および5まで伸びていない。側方リブ7aおよび7cの寸法、および中央リブ7bの寸法は、フォーク10の強度を補強できれば、適宜設定可能である。
【0029】
側方リブ7aおよび7cそれぞれの幅は、0.5mm~4.0mmであることが好ましく、1.0mm~3.0mmであることがより好ましい。また、側方リブ7aおよび7cそれぞれの高さは、0.5mm~5.0mmであることが好ましく、1.0mm~3.0mmであることがより好ましい。
【0030】
また、中央リブ7bの幅は、0.5mm~4.0mmであることが好ましく、1.0mm~3.0mmであることがより好ましい。また、中央リブ7bの高さは、0.5mm~5.0mmであることが好ましく、1.0mm~3.0mmであることがより好ましい。
【0031】
図7は、
図1に示すフォーク10における櫛歯3、4、5、および6を拡大した斜視図である。
図7に示すように、フォーク10では、中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5は、当該2本の櫛歯4および5の間の溝Cの把持部1側の端部C1から少なくとも1/2L1までの部分において、幅Wが厚さEよりも大きいことが好ましい。このように櫛歯4および5は、厚さ方向よりも幅方向に広がった形状であるので、Y方向に沿って変形しにくくなる。
【0032】
なお、
図1~
図7に示すフォーク10は、刺突部2が4本の櫛歯を有する構成であった。しかし、本実施形態に係るフォークにおいて、刺突部2の櫛歯は、4本に限定されない。中央部分に2本の櫛歯を配置でき、上記効果を奏する構成であれば、櫛歯の本数および配置は、任意に設定可能である。
【0033】
(熱可塑性樹脂)
本実施形態に係るフォークは、熱可塑性樹脂製である。当該熱可塑性樹脂は、特に限定されない。好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリロニトリル、ブタジエン、ポリスチレン、アクリル系ポリマー等の汎用樹脂のほか、例えば、P3HA系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂が挙げられる。また、熱可塑性樹脂は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0034】
特に、本実施形態に係るフォークに使用される熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂を含むことが好ましい。さらに、当該生分解性樹脂は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂(以下、P3HA系樹脂と称する場合がある)を含むことが好ましい。本明細書において、「P3HA系樹脂」とは、一般式:〔-CHR-CH2-CO-O-〕で示される3-ヒドロキシアルカン酸繰り返し単位(式中、Rは、CnH2n+1で表されるアルキル基で、nは、1以上15以下の整数である。)を繰り返し単位として含む、ポリヒドロキシアルカノエートである。
【0035】
より具体的には、P3HA系樹脂としては、3-ヒドロキシブチレート(3HB)単位を含むのが好ましい。3HB単位を含むP3HA系樹脂としては、好ましくは、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)(P3HB3HV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HV3HH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)、およびポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される。P3HA系樹脂としては、1種のみ含んでいても良く、2種以上含んでも良い。
【0036】
P3HA系樹脂としては、微生物により産生されるP3HA系樹脂(微生物産生P3HA系樹脂)が好ましい。微生物産生P3HA系樹脂は、通常、D体(R体)のポリヒドロキシアルカノエートモノマー単位のみから構成される。微生物産生P3HA系樹脂の中でも、工業的生産が容易である点から、P3HB、P3HB3HH、P3HB3HV、P3HB3HV3HH、P3HB4HBが好ましく、P3HB、P3HB3HH、P3HB3HV、P3HB4HBがより好ましい。
【0037】
P3HA系樹脂は、例えば、国際公開第2010/013483号公報に記載された方法によっても製造され得る。P3HA系樹脂の市販品としては、例えば、株式会社カネカ「カネカ生分解性ポリマー PHBH(登録商標)」等が挙げられる。
【0038】
また、前記P3HA系樹脂は、3HB単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体を少なくとも1種含み、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂における3-ヒドロキシブチレート単位が、全繰り返し単位(100モル%)中、65.0~99.0モル%であり、好ましくは68.0~98.5モル%であり、より好ましくは70.0~98.5モル%であり、さらに好ましくは、70.0~98.0モル%であるのが好ましい。
【0039】
3HB繰り返し単位の組成比が90.0モル%以上であることにより、P3HA系樹脂の剛性がより向上し、また、結晶化速度が速くなり、バリが低減される、生産性向上する傾向がある。一方、3HB繰り返し単位の組成比が99.0モル%以下であることにより、融点が熱分解温度を下回るため、安定かつ連続生産が可能となる。なお、P3HA系樹脂のモノマー組成比は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる(例えば、国際公開第2014/020838号参照)。
【0040】
P3HA系樹脂の分子量は、目的とする用途で実質的に十分な物性を示すものであればよく、特に限定されない。P3HA系樹脂の重量平均分子量の範囲は、10万~100万が好ましく、より好ましくは15万~70万、さらに好ましくは20万~50万、特に好ましくは25万~45万である。重量平均分子量が10万以上であると、適度な機械的強度が得られる。また、分子量が100万以下であると溶融粘度の上昇を抑制することができ、成形性に優れる。
【0041】
前記重量平均分子量の測定方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(昭和電工社製「Shodex GPC-101」)を用い、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K-804」)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めることができる。この際、検量線は重量平均分子量31,400、197,000、668,000、1,920,000のポリスチレンを使用して作成する。当該GPCにおけるカラムとしては、前記分子量を測定するのに適切なカラムを使用すればよい。
【0042】
また、本実施形態に係るフォークの材料には、本発明の効果を阻害しない範囲で、熱可塑性樹脂と共に使用可能な添加剤が含まれていてもよい。そのような添加剤としては、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、シリカなどの無機充填剤、顔料、染料などの着色剤、活性炭、ゼオライト等の臭気吸収剤、バニリン、デキストリン等の香料、可塑剤、酸化防止剤、抗酸化剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、滑剤、離型剤、撥水剤、抗菌剤、摺動性改良剤等が挙げられる。添加剤としては1種のみが含まれていてもよいし。2種以上が含まれていてもよい。これら添加剤の含有量は、その使用目的に応じて当業者が適宜設定可能である。
【0043】
本実施形態によれば、フォークの原料としてP3HA系樹脂を用いた場合、廃棄による海洋汚染を抑制することができ、これにより、例えば、目標12「持続可能な消費生産形態を確保する」や目標14「持続可能な開発のために、海・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」等の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
【0044】
本実施形態に係るフォークは、上述した熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を用いて、例えば射出成形によって製造される。当該射出成形の方法は、従来公知の方法を採用することができる。例えば、熱可塑性樹脂がP3HA系樹脂を含む場合、例えば国際公開2022/209602号に開示された射出成形技術によって、本実施形態に係るフォークを製造することができる。
【0045】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0046】
すなわち、本発明の一実施形態は、以下である。
【0047】
<1>把持部1と、当該把持部1の先端側の刺突部2と、を備え、前記刺突部2は前記把持部1側から先端の側に向けて伸びる複数本の櫛歯3~6からなる、熱可塑性樹脂製のフォーク10であって、
前記刺突部2の複数本の櫛歯3~6のうち、中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5の間の溝Cの長さL1と、当該中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5の幅方向(Y方向)外側にそれぞれ位置する溝BおよびCの長さL2とが、L1>L2を満たし、
側方からみたとき、前記刺突部2は、前記把持部1の長さ方向(X方向)の軸線X1に対して湾曲し、その先端(先端3a、4a、5a、6a)は、前記把持部1の上面1Aよりも上に位置する、フォーク。
【0048】
<2>前記刺突部2の、前記把持部1側の基端2Aから先端(先端3a、4a、5a、6a)の側までの長さL3に対して、
前記L1は、22%~65%であり、
前記L2は、18%~61%である、<1>のフォーク。
【0049】
<3>前記L1は、10mm~39mmであり、
前記L2は、10mm~36mmであり
前記L3は、46mm~65mmである、<2>のフォーク。
【0050】
<4>中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5の間の溝Cは、当該中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5の幅方向(Y方向)外側にそれぞれ位置する溝BおよびDよりも、前記把持部1側に窪んで形成されている、<1>~<3>の何れかのフォーク。
【0051】
<5>中央部分の隣接する2本の櫛歯4および5は、当該2本の櫛歯4および5の間の溝Cの把持部1側の端部C1から少なくとも1/2L1までの部分において、幅Wが厚さEよりも大きい、<1>~<4>の何れかのフォーク。
【0052】
<6>前記刺突部2の複数本の櫛歯3~6は、幅方向(Y方向)外側から順に第1櫛歯(櫛歯3)、第2櫛歯(櫛歯4)、第3櫛歯(櫛歯5)、第4櫛歯(櫛歯6)の4本構造であり、
前記中央部分の隣接する2本の櫛歯は、前記第2櫛歯および前記第3櫛歯であり、
前記L1は、前記第2櫛歯と前記第3櫛歯との間の溝の長さであり、
前記L2は、前記第1櫛歯と前記第2櫛歯との間の溝の長さ、および前記第3櫛歯と前記第4櫛歯との間の溝の長さ、である、<1>~<5>の何れかのフォーク。
【0053】
<7>前記先端へ向かう方向において、前記第1櫛歯および前記第4櫛歯の断面積は、前記第2櫛歯および前記第3櫛歯の断面積に比べて大きい、<6>のフォーク。
【0054】
<8>前記複数本の櫛歯3~6は、それぞれ前記先端側において前記先端に向けて断面積が次第に小さくなる先細り形状である、<1>~<7>の何れかのフォーク。
【0055】
<9>前記熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂を含む、<1>~<8>の何れかのフォーク。
【0056】
<10>前記生分解性樹脂が、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を含む、<9>のフォーク。
【0057】
<11>前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)、およびポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される1種類以上である、<10>のフォーク。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のフォークは、例えば調理済み食品の外販に関する産業において、利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 把持部
1A 上面
2 刺突部
2A 基端
3 櫛歯(第1櫛歯)
4 櫛歯(第2櫛歯)
5 櫛歯(第3櫛歯)
6 櫛歯(第4櫛歯)
3a、4a、5a、6a 先端
10 フォーク
B1、C1、D1 端部
X1 軸線