(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014091
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】検知器、検知システムおよび検知器の充電方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/16 20060101AFI20240125BHJP
G08B 21/14 20060101ALI20240125BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G08B21/16
G08B21/14
H02J7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116676
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 大輔
【テーマコード(参考)】
5C086
5G503
【Fターム(参考)】
5C086AA02
5C086AA05
5C086CB01
5C086CB11
5C086DA40
5C086FA01
5C086FA11
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB09
5G503CB13
5G503DB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保安機器としての目的を果たしつつ充電時の蓄電池の劣化を抑制することが可能な検知器、検知システム及び検知器の充電方法を提供する。
【解決手段】検知器100は、周囲環境の異常を検知する検知部10と、検知部10の検知結果に応じて報知する報知部20と、蓄電池1を収容するための電池収容部及び電力供給源2との接続部32を含む電源回路部30と、電力供給源2による蓄電池1の充電の制御を行う制御部40と、を備える。制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部30により蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始する制御を行い、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池1の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲環境の異常を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に応じて報知する報知部と、
蓄電池を収容するための電池収容部および電力供給源との接続部を含む電源回路部と、
前記電力供給源による前記蓄電池の充電の制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記接続部が前記電力供給源と接続された時、
電源オン状態かつ前記異常の非報知中の第1状態である場合、前記電源回路部により前記蓄電池からの電力供給を切断して前記蓄電池の充電を開始する制御を行い、
電源オン状態かつ前記異常の報知中の第2状態である場合、前記蓄電池の充電を開始せずに前記異常の報知を継続する制御を行う、検知器。
【請求項2】
前記制御部は、前記接続部が前記電力供給源と接続された時、前記第2状態である場合、前記異常の報知が終了して前記第1状態に切り替わることに応じて前記蓄電池の充電を開始するように構成されている、請求項1に記載の検知器。
【請求項3】
前記制御部は、前記接続部が前記電力供給源と接続された時、電源オフ状態である場合、電源オフ状態のまま前記蓄電池の充電を開始するように構成されている、請求項2に記載の検知器。
【請求項4】
前記電源回路部は、前記蓄電池の充電中、前記検知部への電力供給を切断しつつ、前記電力供給源からの電力を前記制御部に供給するように構成されている、請求項3に記載の検知器。
【請求項5】
電源オン状態と電源オフ状態とを切り替える操作を受け付ける電源スイッチと、前記電源スイッチとは異なる他の入力操作を受け付ける操作スイッチと、をさらに備え、
前記制御部は、前記接続部が前記電力供給源と接続された時、前記第1状態である場合、前記操作スイッチへの入力操作の有無に関わらず、前記蓄電池からの電力供給を切断して前記蓄電池の充電を開始するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の検知器。
【請求項6】
前記検知部は、検知対象ガスを検知するガスセンサを含み、
前記報知部は、スピーカー、報知ランプ、および信号出力部の少なくともいずれかを含み、所定濃度以上の前記検知対象ガスが検知されたことを報知するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の検知器。
【請求項7】
周囲環境の異常を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に応じて報知する報知部と、蓄電池を収容するための電池収容部および接続部を含む電源回路部と、を含む検知器と、
電力供給源と接続可能に構成され、前記接続部と接続されることにより前記検知器に電力供給を行う充電器と、
前記電力供給源による前記蓄電池の充電の制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記接続部が前記電力供給源と接続された時、
電源オン状態かつ前記異常の非報知中の第1状態である場合、前記電源回路部により前記蓄電池からの電力供給を切断して前記蓄電池の充電を開始する制御を行い、
電源オン状態かつ前記異常の報知中の第2状態である場合、前記蓄電池の充電を開始せずに前記異常の報知を継続する制御を行う、検知システム。
【請求項8】
周囲環境の異常を検知し、検知結果に応じて異常の報知を行う、充電可能な検知器の充電方法であって、
前記検知器が電力供給源と接続された時、前記検知器の状態判定を行うステップと、
状態判定の結果、前記検知器が電源オン状態かつ前記異常の非報知中の第1状態である場合、前記検知器の蓄電池からの電力供給を切断して前記蓄電池の充電を開始するステップと、
状態判定の結果、前記検知器が電源オン状態かつ前記異常の報知中の第2状態である場合、前記蓄電池の充電を開始せずに前記異常の報知を継続するステップと、を備える、検知器の充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検知器、検知システムおよび検知器の充電方法に関し、特に、蓄電池を備えた検知器、検知システムおよび検知器の充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電池を備えるガス検知器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ガスセンサ、圧電ブザーおよびリチウムイオン電池を備え、充電動作を行うことが可能な可搬型ガス警報器が開示されている。可搬型ガス警報器は、硫化水素ガス、可燃性ガス、一酸化炭素ガス、酸素ガスなどを検知し、人が立ち入ることで危険性のある環境にあることを圧電ブザーにより報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には記載されていないが、蓄電池を備えた充電可能な検知器では、検知器の電源をオンにしたまま(蓄電池から放電したまま)充電を行うと、蓄電池の充電にかかる時間が長くなり、さらに蓄電池の劣化も早くなる。そのため、検知器の電源をオフにして(蓄電池から放電しない状態で)充電を行うのが望ましい。しかし、周囲環境の異常を報知する検知器は、使用者の安全を確保するために用いられる保安機器であるため、検知器の電源をオフにして充電を行う場合、充電の際に、検知結果に基づく報知が中断されかねず、保安機器としての目的を果たせない可能性が生じるという問題がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、保安機器としての目的を果たしつつ充電時の蓄電池の劣化を抑制することが可能な検知器、検知システムおよび検知器の充電方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による検知器は、周囲環境の異常を検知する検知部と、検知部の検知結果に応じて報知する報知部と、蓄電池を収容するための電池収容部および電力供給源との接続部を含む電源回路部と、電力供給源による蓄電池の充電の制御を行う制御部と、を備え、制御部は、接続部が電力供給源と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部により蓄電池からの電力供給を切断して蓄電池の充電を開始する制御を行い、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行う。
【0008】
この発明の第1の局面による検知器では、上記のように、接続部が電力供給源と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部により蓄電池からの電力供給を切断して蓄電池の充電を開始する制御を行い、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行う制御部を設ける。これにより、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合に検知器が電力供給源と接続されれば、蓄電池からの電力供給を切断した状態(つまり、蓄電池が放電しない状態)で蓄電池の充電が開始される。この結果、蓄電池から電力供給(放電)したまま充電を行う場合と比べて、蓄電池の充電にかかる時間を短くすることができるとともに、蓄電池の劣化を抑制できる。そして、異常の報知中である第2状態にある場合には、検知器が電力供給源と接続されても、蓄電池の充電を開始せずに異常の報知が継続される。そのため、異常の報知が充電開始のために中断されることがないので、使用者の安全を確保するための報知を行うという保安機器としての目的(機能)を果たすことができる。以上から、保安機器としての目的を果たしつつ充電時の蓄電池の劣化を抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による検知器において、好ましくは、制御部は、接続部が電力供給源と接続された時、第2状態である場合、異常の報知が終了して第1状態に切り替わることに応じて蓄電池の充電を開始するように構成されている。このように構成すれば、異常の報知中に接続部が電力供給源と接続された場合でも、異常の報知が終了した後には、自動的に蓄電池からの電力供給を切断した状態で蓄電池の充電を開始できる。そのため、異常の報知を優先した動作を実現しつつ、蓄電池の充電時間の短縮および蓄電池の劣化抑制を図ることができる。また、異常の報知を優先した場合でも、使用者がわざわざ検知器の電源をオフ(蓄電池からの電力供給を切断)する操作などを行うことなく、速やかに充電動作を開始することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、接続部が電力供給源と接続された時、電源オフ状態である場合、電源オフ状態のまま蓄電池の充電を開始するように構成されている。このように構成すれば、電源オフ状態で接続部が電力供給源と接続された場合でも、電源オン状態に切り替わることなく、蓄電池が放電しない状態での充電を自動的に開始できる。このため、使用者がわざわざ検知器の電源をオフ(蓄電池からの電力供給を切断)する操作などを行うことなく、充電動作を開始することができる。
【0011】
接続部が電力供給源と接続された時、電源オフ状態である場合、電源オフ状態のまま蓄電池の充電を開始する構成において、好ましくは、電源回路部は、蓄電池の充電中、検知部への電力供給を切断しつつ、電力供給源からの電力を制御部に供給するように構成されている。このように構成すれば、蓄電池から放電を行うことなく蓄電池の充電を行いつつ、制御部への電力供給を行える。
【0012】
上記第1の局面による検知器において、好ましくは、電源オン状態と電源オフ状態とを切り替える操作を受け付ける電源スイッチと、電源スイッチとは異なる他の入力操作を受け付ける操作スイッチと、をさらに備え、制御部は、接続部が電力供給源と接続された時、第1状態である場合、操作スイッチへの入力操作の有無に関わらず、蓄電池からの電力供給を切断して蓄電池の充電を開始するように構成されている。このように構成すれば、充電時に操作スイッチへの入力操作があったとしても、蓄電池からの電力供給を切断して蓄電池の充電を開始できる。このため、操作スイッチへの入力操作によって蓄電池の充電が中断されることを防止できるので、蓄電池の充電をより短時間で行うことができる。
【0013】
上記第1の局面による検知器において、好ましくは、検知部は、検知対象ガスを検知するガスセンサを含み、報知部は、スピーカー、報知ランプ、および信号出力部の少なくともいずれかを含み、所定濃度以上の検知対象ガスが検知されたことを報知するように構成されている。このように構成すれば、たとえば危険性のあるガスのガス漏れ発生など、検知対象ガスに関わる異常を検知するガス検知器において、報知の中断を回避しつつ充電時の蓄電池の劣化を抑制することができる。ガス検知器による報知は、視覚的に把握できない異常から使用者の安全を確保するために極めて重要であることが多いので、報知の中断を回避できることが保安機器としての検知器の機能上特に有用であるとともに、蓄電池の劣化を抑制しつつ短時間で充電が可能であることが、ガス検知器の利便性向上に寄与する。
【0014】
この発明の第2の局面による検知システムは、周囲環境の異常を検知する検知部と、検知部の検知結果に応じて報知する報知部と、蓄電池を収容するための電池収容部および接続部を含む電源回路部と、を含む検知器と、電力供給源と接続可能に構成され、接続部と接続されることにより検知器に電力供給を行う充電器と、電力供給源による蓄電池の充電の制御を行う制御部と、を備え、制御部は、接続部が電力供給源と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部により蓄電池からの電力供給を切断して蓄電池の充電を開始する制御を行い、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行う。
【0015】
この発明の第2の局面による検知システムでは、上記のように、接続部が電力供給源と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部により蓄電池からの電力供給を切断して蓄電池の充電を開始する制御を行い、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行う制御部を備える。これにより、上記第1の局面による検知器と同様に、蓄電池からの電力供給を切断した状態(つまり、蓄電池が放電しない状態)で蓄電池の充電が開始されるので、蓄電池から電力供給(放電)したまま充電を行う場合と比べて、蓄電池の充電にかかる時間を短くすることができるとともに、蓄電池の劣化を抑制できる。そして、異常の報知が充電開始のために中断されることがないので、使用者の安全を確保するための異常の報知を行うという保安機器としての目的(機能)を果たすことができる。以上から、保安機器としての目的を果たしつつ充電時の蓄電池の劣化を抑制することができる。
【0016】
この発明の第3の局面による検知器の充電方法は、周囲環境の異常を検知し、検知結果に応じて異常の報知を行う、充電可能な検知器の充電方法であって、検知器が電力供給源と接続された時、検知器の状態判定を行うステップと、状態判定の結果、検知器が電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、検知器の蓄電池からの電力供給を切断して蓄電池の充電を開始するステップと、状態判定の結果、検知器が電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池の充電を開始せずに異常の報知を継続するステップと、を備える。
【0017】
この発明の第3の局面による検知器の充電方法では、上記のように、状態判定の結果、検知器が電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、検知器の蓄電池からの電力供給を切断して蓄電池の充電を開始するステップと、状態判定の結果、検知器が電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池の充電を開始せずに異常の報知を継続するステップと、を備える。これにより、上記第1の局面による検知器と同様に、蓄電池からの電力供給を切断した状態(つまり、蓄電池が放電しない状態)で蓄電池の充電が開始されるので、蓄電池から電力供給(放電)したまま充電を行う場合と比べて、蓄電池の充電にかかる時間を短くすることができるとともに、蓄電池の劣化を抑制できる。そして、異常の報知が充電開始のために中断されることがないので、使用者の安全を確保するための異常の報知を行うという保安機器としての目的(機能)を果たすことができる。以上から、保安機器としての目的を果たしつつ充電時の蓄電池の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、保安機器としての目的を果たしつつ充電時の蓄電池の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態による検知器の構成を示したブロック図である。
【
図3】検知器の電源オン状態を説明するための模式図である。
【
図4】検知器の電源オフ状態を説明するための模式図である。
【
図5】検知器の充電状態を説明するための模式図である。
【
図6】検知器が電力供給源と接続された時に報知を継続する状態を説明するための模式図である。
【
図7】検知器の充電動作の制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第2実施形態による検知システムを示した模式図である。
【
図9】第2実施形態による検知システムの構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1~
図6を参照して、第1実施形態による検知器100の構成について説明する。検知器100は、周囲環境の異常の検知を行い、異常を検知した場合に報知を行う装置である。
【0022】
(検知器の構成)
図1に示すように、検知器100は、検知部10と、報知部20と、電源回路部30と、制御部40と、を備える。検知器100は、蓄電池1を備え、蓄電池1からの電力供給により異常の検知および報知を行うことが可能である。検知器100は、検知器100の外部の電力供給源2と接続可能である。検知器100は、電力供給源2からの電力供給により蓄電池1の充電を行うことが可能である。検知部10と、報知部20と、電源回路部30と、制御部40とは、回路基板41に設けられ、筐体50に収容されている。
【0023】
図2に示すように、筐体50は、上面、下面、左右側面、前面50aおよび背面を有する箱状形状に形成されている。筐体50は、使用者の装着物(衣類、またはベルトなどの装身具)に検知器100を取り付けるための取付部51を有する。このように、第1実施形態の検知器100は、使用者が装着可能な携帯型のガス検知器である。
【0024】
図1に戻り、検知部10は、周囲環境の異常を検知するように構成されている。検知対象である周囲環境の異常は、特に限定されない。異常そのものを検知してもよいし、異常の発生を示唆する現象を検知してもよい。検知部10は、異常を検知するためのセンサを備える。検知器100は、使用者の安全を確保するための保安機器であり、検知対象となる異常は、特に、使用者の安全を損なう可能性がある異常である。
【0025】
第1実施形態では、周囲環境の異常は、所定濃度以上の検知対象ガスの存在である。検知部10は、検知対象ガスを検知するガスセンサ11を含む。検知対象ガスは、たとえば可燃性ガスであり、具体的にはメタンガスなどの燃料ガスである。なお、検知対象ガスに応じて、第1実施形態の検知器100は、所定の防爆規格に基づく防爆構造(本質安全防爆構造)を有している。つまり、検知器100の正常時および異常時に検知器100において発生する可能性がある電気火花または高温部に起因して爆発性ガスに点火しない構造を、検知器100は有している。爆発性雰囲気で使用されない場合、検知器100は防爆構造を有していなくてもよい。
【0026】
ガスセンサ11は、検知器100の周囲の雰囲気中の検知対象ガス濃度に応じた信号を生じるように構成されている。ガスセンサ11の構造および種類(検知原理)は特に限定されないが、第1実施形態では、ガスセンサ11は、熱線型半導体式のメタンガスセンサである。熱線抵抗式のガスセンサ11は、通電により感応部が所定温度に加熱されると、検知対象ガスの濃度に応じて電気抵抗値が変化する状態になる。検知部10は、ガスセンサ11の電気抵抗値を検出するための検出回路(図示せず)を含む。
【0027】
検知部10は、制御部40による制御の下、蓄電池1からセンサ給電回路12を介してガスセンサ11への電力供給を受けることによって、検知動作を行う。センサ給電回路12は、蓄電池1の電源電圧をガスセンサ用の所定電圧に調整する電圧レギュレータを含む。
【0028】
報知部20は、検知部10の検知結果に応じて報知するように構成されている。報知部20は、使用者が認知可能な方法で報知を行うことができる。報知部20は、使用者が携行する別の電子機器への信号出力の形式で、報知を行ってもよい。たとえば、報知部20は、スピーカー、報知ランプ、および信号出力部の少なくともいずれかを含む。第1実施形態では、報知部20は、スピーカー21と報知ランプ(第1報知ランプ22および第2報知ランプ23)とを含んでいる。スピーカー21は、蓄電池1からの電力供給により、音声(ブザー音、合成音声、または録音された音声など)を出力することにより、使用者への報知を行う。報知ランプ(第1報知ランプ22および第2報知ランプ23)は、蓄電池1からの電力供給により発光することにより、使用者への報知を行う。報知ランプ(第1報知ランプ22および第2報知ランプ23)は、たとえばLED(Light-Emitting Diode)からなる。後述するように、報知部20は、制御部40による制御の下、所定濃度以上の検知対象ガスが検知されたことを報知するように構成されている。
【0029】
報知部20は、検知部10の検知結果に基づく報知の他に、検知器100の電源状態や検知器100のエラー状態を報知することが可能に構成されている。すなわち、報知部20は、電源/エラーランプ24をさらに含む。電源/エラーランプ24は、複数の発光色で発光可能であり、たとえばLEDからなる。電源/エラーランプ24は、制御部40の制御の下、発光色と、発光パターン(たとえば継続点灯および点滅)との組み合わせを異ならせて発光することにより、蓄電池1の電池残量の状態などの様々な情報を報知できる。電源/エラーランプ24は、さらに同時点灯(点滅)する他のランプ(第1報知ランプ22および第2報知ランプ23など)との組み合わせにより、各種のエラー状態を報知できる。
【0030】
電源回路部30は、蓄電池1を収容するための電池収容部31(
図2参照)と、電力供給源2との接続部32と、を含む。電池収容部31(
図2参照)は、蓄電池1を収容するケース(またはホルダ)であり、蓄電池1を回路基板41の電気回路に電気的に接続する。蓄電池1の種類は特に限定されないが、蓄電池1は、たとえば、リチウムイオン二次電池である。接続部32は、電力供給源2に接続するためのコネクタ(接続端子)である。第1実施形態では、電力供給源2は商用電源などであり、接続部32は、ACアダプタ3を介して電力供給源2と接続される。ACアダプタ3は、電力供給源2への接続用端子と、接続部32への接続用端子とを有し、電力供給源2の交流電力を直流電力に変換(AC/DC変換)して、変換した直流電力を接続部32に供給する。接続部32は、開閉可能なカバー(
図2参照)に覆われ、ACアダプタ3の接続用端子が着脱可能に構成されている。
【0031】
また、第1実施形態では、電源回路部30は、充電回路部33と、第1給電回路34aと、第2給電回路34bと、切替部35と、を含む。電源回路部30のこれらの各部の構成は、後述する。なお、報知部20は、蓄電池1の充電中の状態にあるか否かを示す充電ランプ25を含んでいる。充電ランプ25は、充電回路部33と接続されており、充電中に点灯し、非充電中には消灯する。
【0032】
制御部40は、電力供給源2による蓄電池1の充電の制御を行うように構成されている。第1実施形態では、制御部40は、充電の制御のみならず、検知動作の制御など、検知器100の全体の動作制御を行うように構成されている。制御部40は、マイコンまたはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサからなる。制御部40は検知器100の動作制御に関わる情報を記憶する記憶部42と接続されている。記憶部42は、不揮発性メモリからなる。
【0033】
制御部40は、給電電圧監視ライン43aを介して、接続部32の出力電圧を取得するように構成されている。制御部40は、接続部32の出力電圧に基づき、接続部32が電力供給源2と接続されたか否かを検知できる。制御部40は、充電開始制御ライン43bを介して充電回路部33に接続されている。制御部40は、充電開始制御ライン43bを介して、充電回路部33による蓄電池1の充電動作の開始および停止を制御する。
【0034】
制御部40は、検知部10(ガスセンサ11)と接続され、検知部10(ガスセンサ11)の動作制御を行う。制御部40は、ガスセンサ11に通電(電力供給をオン)することにより、検知対象ガスを検知する制御を行う。制御部40は、ガスセンサ11の電気抵抗値に基づいて、検知部10による検知結果としての検知対象ガスの濃度値(濃度検出値)を取得する。
【0035】
制御部40は、検知部10の検知結果が、記憶部42に予め記憶された報知条件を満たしたか否かに応じて、報知部20による報知を行うか否かを判定する処理を行う。そして、報知を行うと判定した場合、制御部40は、報知部20による所定の報知動作の制御を行う。
【0036】
具体的には、制御部40は、濃度検出値と閾値(報知条件)との比較に基づいて、報知部20による報知を行うか否かを判定する。第1実施形態では、閾値が2段階に設定されている。濃度検出値が、第1閾値以上となる場合、制御部40は、第1段階の報知(警報)動作を行うように報知部20を制御する。濃度検出値が、第1閾値よりも高値の第2閾値以上となる場合、制御部40は、第2段階の報知(警報)動作を行うように報知部20を制御する。
【0037】
一例として、第1段階の報知動作は、第1報知ランプ22の点滅と、スピーカー21によるブザー音の第1周期での断続鳴動である。第2段階の報知動作は、第2報知ランプ23の点滅と、スピーカー21によるブザー音の第2周期での断続鳴動である。ここで、第1報知ランプ22と第2報知ランプ23とは、発光色が異なり、発光色の相違により第1段階の報知であるか第2段階の報知であるかを視覚的に識別する。第1報知ランプ22の発光色はたとえば橙色であり、第2報知ランプ23の発光色はたとえば赤色である。ブザー音の鳴動周期の第2周期は、第1周期よりも短い。第2段階の報知動作は、警戒色である赤色の発光と、より短い第2周期でのブザー鳴動とによって、第1段階よりも警戒度が高いことを示す。
【0038】
濃度検出値が第1閾値未満の場合、制御部40は、報知部20による報知動作を行わない。また、濃度検出値が第1閾値以上となり報知動作を行っている状態で、濃度検出値が第1閾値未満まで低下すると、制御部40は、報知部20による報知動作を停止する。
【0039】
図1の例では、検知器100は、温度センサ44と、電源スイッチ45と、操作スイッチ46とを備える。温度センサ44と、電源スイッチ45と、操作スイッチ46とは、それぞれ、制御部40に電気的に接続されている。温度センサ44は、検知器100の周囲環境の温度を検知するように構成されている。温度センサ44は、たとえばサーミスタを含む。制御部40は、温度センサ44の検出温度にも基づいて、蓄電池1の充電動作の制御を行う。電源スイッチ45は、電源オン状態と電源オフ状態とを切り替える操作を受け付ける。操作スイッチ46は、電源スイッチ45とは異なる他の入力操作を受け付ける。操作スイッチ46は、たとえばスピーカー21の音量設定の切り替え、および、検知器100の動作モードの切り替えなどの入力操作を受け付ける。
【0040】
図2に示したように、筐体50の前面50aには、筐体50内のガスセンサ11へ雰囲気ガスを取り込むためのガス検知口52と、スピーカー21の音声を筐体50の外部に出力するための放音孔53とが設けられている。筐体50の前面50aには、電源スイッチ45および操作スイッチ46が設けられている。筐体50の前面50aには、報知ランプ(第1報知ランプ22および第2報知ランプ23)の光を出力する発光表示部54aと、電源/エラーランプ24の光を出力する発光表示部54bと、充電ランプ25の光を出力する発光表示部54cと、が設けられている。発光表示部54a~54cは、筐体50の一部に設けられた透光性を有する窓部分であり、筐体50内のランプの光を透過する。筐体50のうち、発光表示部54a~54c以外の部分は、非透光部となっている。
【0041】
(蓄電池の充電に関する詳細構成)
次に、蓄電池1の充電に関する構成の詳細を説明する。
【0042】
まず、電源回路部30の構成を説明する。
図1に示すように、接続部32は、充電回路部33に電気的に接続されている。充電回路部33は、蓄電池1に電気的に接続されている。充電回路部33は、制御部40からの制御信号に応じて、接続部32からの電力を蓄電池1へ供給する充電動作を実行する。充電回路部33は、蓄電池1への充電電圧や充電電流などを制御する充電制御IC(Integrated Circuit)を有する。
【0043】
蓄電池1は、第2給電回路34b、センサ給電回路12およびスピーカー21にそれぞれ(並列で)接続されている。蓄電池1は、第2給電回路34bを介して、制御部40および制御部40に接続された記憶部42、各種ランプや温度センサ44への電力供給を行う。蓄電池1は、充電ライン37からの電力によって充電される。充電ライン37は、接続部32および充電回路部33を経由して蓄電池1と接続し、電力供給源2からの電力を蓄電池1へ供給する電力供給経路である。
【0044】
第2給電回路34bは、切替部35を介して、制御部40に接続されている。切替部35は、単極双投型の切替器であり、制御部40と第1給電回路34aとを接続する状態と、制御部40と第2給電回路34bとを接続する状態とのいずれかに、選択的に切り替え可能である。これにより、切替部35は、制御部40からの制御信号に応じて、制御部40を、第1給電回路34aを含む外部電力供給ライン38aに接続するか、第2給電回路34bを含む内蔵電力供給ライン38bに接続するかを、切り替える。
【0045】
外部電力供給ライン38aは、接続部32、第1給電回路34aおよび切替部35の一方接点を経由して制御部40と接続し、電力供給源2からの電力を制御部40へ供給する電力供給経路である。内蔵電力供給ライン38bは、蓄電池1、第2給電回路34bおよび切替部35の他方接点を経由して制御部40と接続し、蓄電池1からの電力を制御部40へ供給する電力供給経路である。外部電力供給ライン38aは、蓄電池1を経由せずに接続部32と制御部40とを接続する。外部電力供給ライン38aと内蔵電力供給ライン38bとは、切替部35によって、制御部40に対して並列接続されている。
【0046】
制御部40は、給電電圧監視ライン43aを介して接続部32の電力供給源2との接続を検知しない状態では、内蔵電力供給ライン38bを制御部40と接続するように切替部35を制御する。制御部40は、接続部32の電力供給源2との接続を検知すると、切替部35に切替信号を出力して、外部電力供給ライン38aを制御部40と接続するように切替部35を制御する。
【0047】
なお、第1実施形態では、検知部10(ガスセンサ11)およびスピーカー21は、内蔵電力供給ライン38b(蓄電池1)と接続されている一方、外部電力供給ライン38aとは接続されていない。このため、検知部10(ガスセンサ11)およびスピーカー21は、蓄電池1からの電力供給によって動作し、外部の電力供給源2からの電力では動作しないようになっている。
【0048】
第1給電回路34aおよび第2給電回路34bは、いずれも、制御部40へ供給する電圧を所定値に調整する電圧レギュレータを含む。第1給電回路34aは、電力供給源2(接続部32)からの外部電力供給ライン38aの電圧を所定の電圧となるように調整する。第2給電回路34bは、蓄電池1からの内蔵電力供給ライン38bの電圧を所定の電圧となるように調整する。
【0049】
〈充電動作制御〉
第1実施形態では、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、検知器100の電源状態(電源オンか電源オフか)と、報知状態(検知部10の検知結果に応じた異常の報知中か、非報知中か)と、に基づいて、蓄電池1の充電を開始するか否かを制御する。
【0050】
具体的には、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部30により蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始する制御を行うように構成されている。そして、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池1の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行うように構成されている。また、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、電源オフ状態である場合、電源オフ状態のまま蓄電池1の充電を開始するように構成されている。
【0051】
図3~
図6の各々は、
図1の一部を抜粋した説明図であり、検知器100の各状態において使用される電力供給経路を示している。
図3~
図6では、図示された状態において使用される電力供給経路を太線で示し、使用されない電力供給経路を点線で示している。
【0052】
第1実施形態では、電源オン状態とは、
図3および
図6に示すように、蓄電池1から、少なくとも検知部10(ガスセンサ11)に電力供給される状態である。電源オン状態は、検知部10(ガスセンサ11)へ電力を供給している状態と言い換えてもよい。
【0053】
なお、制御部40には、電源のオンオフに関わらず電力が供給されるが、蓄電池1からの電力が制御部40に供給(
図3、
図4および
図6参照)されるか、電力供給源2からの電力が制御部40に供給(
図5参照)されるかは、上記の通り、接続部32と電力供給源2との接続状態によって決まる。
【0054】
電源オフ状態とは、
図4および
図5に示すように、検知部10に電力供給を行っていない状態である。そのため、電源オフ状態では、検知結果に基づく報知は行われない。電源オフ状態は、検知部10に電力供給を行っていない状態と言い換えてもよい。
【0055】
ここで、
図3に示される電源オン状態では、検知部10による検知が行われる。そのため、電源オン状態では、検知結果に応じて、報知部20による異常の報知中でない(非報知中の)第1状態と、報知部20による異常の報知中である第2状態と、がありうる。
【0056】
〈第1状態〉
そして、制御部40は、第1状態(異常の非報知中)の時に、接続部32が電力供給源2と接続されたことを検知すると、
図5に示すように、蓄電池1から検知部10(ガスセンサ11)および制御部40への電力供給を切断(停止)して、蓄電池1からの放電が行われないようにする。つまり、制御部40は、電源オン状態から、自動的に、電源オフ状態に切り替える制御を行う。そして、制御部40は、充電開始制御ライン43b(
図1参照)を介して充電回路部33に充電開始を指示することにより、充電ライン37を介して、電力供給源2からの電力によって蓄電池1を充電する。
【0057】
このようにして、制御部40は、第1状態の時に接続部32が電力供給源2と接続されたことを検知すると、電源回路部30により蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始する制御を行う。
図5に示すように、電源回路部30は、蓄電池1の充電中、検知部10への電力供給を切断しつつ、電力供給源2からの電力を制御部40に供給するように構成されている。つまり、内蔵電力供給ライン38bを介した蓄電池1からの電力供給(放電)を行うことなく、外部電力供給ライン38aを介して制御部40に電力供給が行われる。
【0058】
また、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、第1状態である場合、操作スイッチ46(
図1参照)への入力操作の有無に関わらず、蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始するように構成されている。つまり、制御部40は、操作スイッチ46(
図1参照)への入力操作があったとしても、強制的に電源オン状態から電源オフ状態に切り替え、蓄電池1の充電を開始する。
【0059】
〈第2状態〉
一方、制御部40は、電源オン状態(
図3参照)で、かつ、第2状態(異常の報知中)の時に、接続部32が電力供給源2と接続されたことを検知すると、
図6に示すように、蓄電池1から検知部10(ガスセンサ11)およびスピーカー21への電力供給を継続することにより、報知部20による異常の報知を継続するとともに検知部10による異常の検知も継続する。この場合、制御部40は、充電回路部33に充電開始を指示しないことにより、蓄電池1の充電を開始しない。つまり、充電ライン37を介した蓄電池1への電力供給が行われない。
【0060】
このようにして、制御部40は、第2状態の時に接続部32が電力供給源2と接続されたことを検知すると、蓄電池1の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行う。この場合、制御部40、検知部10(ガスセンサ11)およびスピーカー21へは蓄電池1からの電力が供給される。
図6において、蓄電池1の充電は行われないため、蓄電池1が充電と放電とを同時に行うことはない。
【0061】
異常の報知は、検知部10(ガスセンサ11)による検知結果が報知条件を満たさなくなること(つまり、濃度検出値が第1閾値未満になること)で、終了する。この場合、検知器100は、第2状態から、電源オン状態で、かつ、異常の非報知中である第1状態に、遷移する。その結果、報知の終了時には、制御部40は、
図5に示したように、蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始する。このように、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、第2状態である場合、異常の報知が終了して第1状態に切り替わることに応じて蓄電池1の充電を開始するように構成されている。
【0062】
〈充電中〉
図5に示すように、充電中の状態では、検知器100は電源オフ状態となり、検知部10による異常の検知は行われない。充電中の状態では、制御部40は、電源スイッチ45および操作スイッチ46への入力操作があっても、電源オン状態には復帰しない。
【0063】
(検知器の充電制御)
次に、
図7を参照して、第1実施形態の検知器100の充電動作の制御の流れについて説明する。充電動作の制御処理は、制御部40により実行される。また、以下の制御処理は、第1実施形態による検知器の充電方法を実施するものである。
【0064】
すなわち、第1実施形態による検知器の充電方法は、周囲環境の異常を検知し、検知結果に応じて異常の報知を行う、充電可能な検知器100の充電方法であって、少なくとも、以下のステップ(1)~(3)を備える。
(1)検知器100が電力供給源2と接続された時、検知器100の状態判定を行うステップ(ステップS1、S11およびS3)。
(2)状態判定の結果、検知器100が電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合(ステップS3でNO)、検知器100の蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始するステップ(ステップS15)。
(3)状態判定の結果、検知器100が電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合(ステップS3でYES)、蓄電池1の充電を開始せずに異常の報知を継続するステップ(ステップS4)。
【0065】
以下、充電動作の制御処理の具体的な説明を行う。充電動作の制御処理は、ACアダプタ3を介した電力供給源2との接続検知に応じて開始される。充電動作の制御処理は、電力供給源2との接続検知時に、電源オン状態にあるか電源オフ状態にあるかに応じて、処理が異なる。
【0066】
〈電源オン状態〉
電源オン状態にある場合、ステップS1において、制御部40がACアダプタ3を介した電力供給源2との接続を検知すると、制御部40はステップS2に処理を進める。
【0067】
ステップS2において、制御部40は、検知器100にエラーが発生しているか否かを判断する。判断されるエラーは、たとえば、ガスセンサ11の異常、ガスセンサ11の初期値異常、その他の検知器100の本体エラーなどである。なお、初期値異常とは、ガスセンサ11の濃度検出値に影響するガスが存在する状態で電源オン状態にした場合などの濃度検出値の異常である。
【0068】
ステップS2において、エラーが発生していないと判断した場合、制御部40は、ステップS3において、第2状態か否か、すなわち、検知部10の検知結果に基づく異常の報知を行っている状態か否か、を判断する。制御部40は、現在第2状態である場合、ステップS4に処理を進める。制御部40は、第2状態でない場合、すなわち、第1状態(異常の非報知状態)である場合、ステップS7に処理を進める。
【0069】
ステップS4において、制御部40は、蓄電池1の充電を開始せず、検知部10の検知結果に基づく異常の報知を継続(
図6参照)する。ステップS5において、制御部40は、報知を終了するか否かを判断する。すなわち、検知部10の検知結果が報知条件を満たさなくなった(濃度検出値が第1閾値未満になった)場合には報知を終了すると判断しステップS7へ処理を進める。制御部40は、検知部10の検知結果が報知条件を満たしている(濃度検出値が第1閾値以上を維持している)場合には報知を終了しないと判断し、ステップS6へ処理を進める。
【0070】
ステップS6において、制御部40は、蓄電池1の電池切れ(電池残量不足)か否かを判断し、電池切れである場合にはステップS7に処理を進める。制御部40は、電池切れでない場合にはステップS5に処理を戻す。そのため、第2状態では、電力供給源2と接続されたとしても、検知部10の検知結果が報知条件を満たしている間、電池切れになるまで、蓄電池1からの電力を利用して、報知部20による報知動作が継続される。
【0071】
ステップS7では、制御部40は、検知器100の電源状態を、電源オン状態から電源オフ状態に切り替える。つまり、蓄電池1から検知部10(ガスセンサ11)への電力供給を切断(停止)する。したがって、ステップS3で第1状態である(第2状態でない)と判断された場合には、ステップS7において、直ちに電源オフ状態に切り替えられる。その後、制御部40は、ステップS12に処理を進め、電源オフ状態での制御(ステップS12~S16)に移行する。
【0072】
一方、ステップS2でエラーが発生していると判断した場合、制御部40は、ステップS8において、蓄電池1の充電を開始せずにエラー報知の動作を実行する。すなわち、制御部40は、エラーの種別に応じて、報知部20(電源/エラーランプ24、スピーカー21など)によるエラー報知を行う。その後、ステップS9で蓄電池1が電池切れになると、検知器100は電源オフ状態に遷移するため、制御部40は、ステップS7へ処理を進めることになる。
【0073】
この他、電源オン状態では、制御部40は、任意のタイミングで、ステップS10に示す電源オフ操作の入力を、電源スイッチ45を介して受け付ける。その場合、制御部40は、割り込み処理として、ステップS7へ処理を進めて、電源オン状態から電源オフ状態に切り替える。
【0074】
〈電源オフ状態〉
電源オフ状態にある場合、ステップS11において、制御部40が電力供給源2との接続を検知すると、処理をステップS12に進める。したがって、電源オン状態からステップS7で電源オフ状態に切り替わった場合も、電源オフ状態で電力供給源2と接続された場合も、共に、ステップS12に進む。ステップS12において、制御部40は、制御部40が内蔵電力供給ライン38bと接続する状態から、制御部40が外部電力供給ライン38aと接続する状態へ、切り替えるように切替部35を制御する。その後、制御部40は、ステップS13に処理を進める。
【0075】
ステップS13において、制御部40は、給電電圧監視ライン43aの電圧値に基づき、電力供給源2からの供給電圧が正常か否かを判断する。制御部40は、供給電圧が予め設定された許容範囲以内である場合、正常であると判断し、ステップS14に処理を進める。制御部40は、供給電圧が許容範囲外である場合、異常であると判断し、ステップS16に処理を進める。
【0076】
ステップS14において、制御部40は、温度センサ44の検知結果に基づき、検知器100の周囲温度が正常か否かを判断する。周囲温度は、温度センサ44の検知温度そのもの、または、温度センサ44の検知温度から算出された温度である。制御部40は、周囲温度が予め設定された許容範囲以内である場合、正常であると判断し、ステップS15に処理を進める。制御部40は、周囲温度が許容範囲外である場合、異常であると判断し、ステップS16に処理を進める。
【0077】
ステップS15において、制御部40は、蓄電池1の充電を開始する。すなわち、制御部40は、充電開始制御ライン43bを介して充電回路部33に対して充電を開始するための制御信号を送信する。制御信号に応じて、充電回路部33は、充電ライン37を通じて、非放電状態の蓄電池1に、電力供給源2からの電力を供給(
図5参照)する。充電中、充電ランプ25が点灯される。
【0078】
一方、制御部40は、ステップS13またはS14で異常であると判断した場合、ステップS16において、蓄電池1の充電を開始せず、報知部20に充電エラーを報知させる。たとえば、電源/エラーランプ24の発光と充電ランプ25の発光とを組み合わせることにより、充電エラーの状態であることが報知される。
【0079】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
第1実施形態の検知器100および第1実施形態の検知器100の充電方法では、上記のように、接続部32が電力供給源2と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部30により蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始する制御を行い、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池1の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行う。これにより、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合に検知器100が電力供給源2と接続されれば、蓄電池1からの電力供給を切断した状態(つまり、蓄電池1が放電しない状態)で蓄電池1の充電が開始される。この結果、蓄電池1から電力供給(放電)したまま充電を行う場合と比べて、蓄電池1の充電にかかる時間を短くすることができるとともに、蓄電池1の劣化を抑制できる。そして、異常の報知中である第2状態にある場合には、検知器100が電力供給源2と接続されても、蓄電池1の充電を開始せずに異常の報知が継続される。そのため、異常の報知が充電開始のために中断されることがないので、使用者の安全を確保するための異常の報知を行うという保安機器としての目的(機能)を果たすことができる。以上から、保安機器としての目的を果たしつつ充電時の蓄電池1の劣化を抑制することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、第2状態である場合、異常の報知が終了して第1状態に切り替わることに応じて蓄電池1の充電を開始するように構成されている。これにより、異常の報知中に接続部32が電力供給源2と接続された場合でも、異常の報知が終了した後には、自動的に蓄電池1からの電力供給を切断した状態で蓄電池1の充電を開始できる。そのため、異常の報知を優先した動作を実現しつつ、蓄電池1の充電時間の短縮および蓄電池1の劣化抑制を図ることができる。また、異常の報知を優先した場合でも、使用者がわざわざ検知器100の電源をオフ(蓄電池1からの電力供給を切断)する操作などを行うことなく、速やかに充電動作を開始することができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、電源オフ状態である場合、電源オフ状態のまま蓄電池1の充電を開始するように構成されている。これにより、電源オフ状態で接続部32が電力供給源2と接続された場合でも、電源オン状態に切り替わることなく、蓄電池1が放電しない状態での充電を自動的に開始できる。このため、使用者がわざわざ検知器100の電源をオフ(蓄電池1からの電力供給を切断)する操作などを行うことなく、充電動作を開始することができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、電源回路部30は、蓄電池1の充電中、検知部10への電力供給を切断しつつ、電力供給源2からの電力を制御部40に供給するように構成されている。これにより、蓄電池1から放電を行うことなく蓄電池1の充電を行いつつ、制御部40への電力供給を行える。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部40は、接続部32が電力供給源2と接続された時、第1状態である場合、操作スイッチ46への入力操作の有無に関わらず、蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始するように構成されている。これにより、充電時に操作スイッチ46への入力操作があったとしても、蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始できる。このため、操作スイッチ46への入力操作によって蓄電池1の充電が中断されることを防止できるので、蓄電池1の充電をより短時間で行うことができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、検知部10は、検知対象ガスを検知するガスセンサ11を含み、報知部20は、スピーカー21、報知ランプ(第1報知ランプ22および第2報知ランプ23)、および信号出力部の少なくともいずれかを含み、所定濃度以上の検知対象ガスが検知されたことを報知するように構成されている。これにより、検知対象ガスに関わる異常を検知するガス検知器において、報知の中断を回避しつつ充電時の蓄電池1の劣化を抑制することができる。ガス検知器による報知は、視覚的に把握できない異常から使用者の安全を確保するために極めて重要であることが多いので、充電時にも報知の中断を回避できることが保安機器としての検知器100の機能上特に有用であるとともに、蓄電池1の劣化を抑制しつつ短時間で充電が可能であることが、ガス検知器の利便性向上に寄与する。
【0086】
[第2実施形態]
次に、
図8および
図9を参照して、第2実施形態の検知システム400について説明する。この第2実施形態は、検知器100にACアダプタ3を直接接続し、制御部40が蓄電池1の充電の制御を行う構成例を示した第1実施形態とは異なり、検知器200と、充電器300とを備えた検知システム400の例を説明する。なお、第2実施形態の検知器200において、上記第1実施形態の検知器100と同じ構成については、上記第1実施形態と同じ符号を付すとともに、説明を省略する。
【0087】
図8に示すように、第2実施形態の検知システム400は、検知器200と、充電器300と、充電器制御部240と、を備える。充電器制御部240は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
図8の例では、充電器制御部240が充電器300に設けられている例を示しているが、充電器制御部240が検知器200および充電器300とは別個に独立して設けられていてもよい。
【0088】
検知器200は、検知部10、報知部20、および電源回路部130を備える。電源回路部130は、蓄電池1を収容するための電池収容部31と、接続部132とを備える。接続部132は、上記第1実施形態とは異なり、充電器300の接続部232と電気的に接続するためのコネクタ(端子部)である。第2実施形態の検知器200は、ACアダプタ3とは直接接続されない。
【0089】
充電器300は、電力供給源2と接続可能に構成され、接続部132と接続されることにより検知器200に電力供給を行う。充電器300は、ACアダプタ3を介して、電力供給源2と接続可能である。充電器300は、AC/DC変換回路を内蔵していてもよく、その場合、ACアダプタ3に代えて、AC/DC電力変換機能を有しない電源ケーブルなどを用いることができる。充電器300は、検知器200の接続部132と電力供給源2とを接続するための接続部232を備える。接続部132と接続部232とは、互いに対応し脱着可能なコネクタのペアである。充電器300は、たとえば、検知器200を設置可能な台座型(ドック型またはクレードル型)の充電器である。
【0090】
充電器制御部240は、電力供給源2による蓄電池1の充電の制御を行う。充電器制御部240は、蓄電池1の充電に関して、上記第1実施形態による制御部40と同等の制御を行う。つまり、充電器制御部240は、検知器200の接続部132が電力供給源2と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部130により蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始する制御を行う。充電器制御部240は、検知器200の接続部132が電力供給源2と接続された時、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池1の充電を開始せずに異常の報知を継続させる制御を行う。
【0091】
図9に示すように、検知器200の電源回路部130は、第1給電回路34a、第2給電回路34bおよび切替部35を含む。なお、検知器200は、上記第1実施形態の制御部40に対応する構成として、検知器制御部140を備える。検知器制御部140は、蓄電池1の充電動作以外の制御(検知および報知の制御)に関して、上記第1実施形態の制御部40と同様の動作を行う。
【0092】
充電器300は、充電回路部233および充電ランプ225を備える。したがって、第2実施形態では、上記第1実施形態において検知器100に設けられていた電源回路部30の一部(充電回路部)が、充電器300側に設けられている。接続部132および接続部232は、相互接続によって、外部電力供給ライン38aと、充電ライン137と、通信ライン139とを構築する。なお、検知器200は、上記第1実施形態と同様の内蔵電力供給ライン38bを備える。
【0093】
外部電力供給ライン38aは、接続部232および接続部132、第1給電回路34a、切替部35の一方接点を介して、検知器制御部140と接続し、電力供給源2からの電力を検知器制御部140へ供給する。充電ライン137は、充電回路部233、接続部232および接続部132を経由して蓄電池1と接続し、電力供給源2からの電力を蓄電池1へ供給する。通信ライン139は、接続部232および接続部132を介して、充電器制御部240と検知器制御部140とを通信可能に接続する。この通信ライン139を介して、充電器制御部240は、検知器制御部140から、検知器200の電源オン/オフ状態の情報、温度センサ44の検知結果(周囲温度)の情報、検知器200のエラーの有無、電源スイッチ45の入力操作に応じて電源オン状態に切り替えることの通知を取得する。充電器制御部240は、充電開始制御ライン243を介して充電回路部233による充電動作の開始および停止の制御を行う。
【0094】
充電器制御部240は、検知器制御部140から取得した情報に基づいて、
図7に示した各ステップの制御を行う。なお、ステップS12における電力供給ラインの切り替えは、給電電圧監視ライン43aの電圧に応じて検知器制御部140が切替部35の制御を行うことにより実行される。充電器制御部240は、検知器制御部140から取得した情報に基づいて、第2状態か否かの判断(ステップS3)を行い、検知器制御部140に対して制御信号を送信することによって、第1状態および第2状態の各々に応じた制御動作を検知器制御部140に実行させる。第2実施形態では、検知器制御部140は、充電器制御部240からの制御信号に応じて、電源オン状態と電源オフ状態とを切り替える。電源オフ状態では、充電器制御部240は、ACアダプタ3の出力電圧に基づいてステップS13の判定を行い、検知器制御部140から取得した周囲温度に基づいてステップS14の判定を行い、ステップS13およびステップS14の判定結果がそれぞれ正常である場合に、充電回路部233による充電動作を開始させる制御を行う。
【0095】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0096】
第2実施形態では、上記のように、接続部132が電力供給源2と接続された時、電源オン状態かつ異常の非報知中の第1状態である場合、電源回路部130により蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始する制御を行い、電源オン状態かつ異常の報知中の第2状態である場合、蓄電池1の充電を開始せずに異常の報知を継続する制御を行う充電器制御部240を備える。これにより、上記第1実施形態と同様に、蓄電池1からの電力供給を切断した状態(つまり、蓄電池1が放電しない状態)で蓄電池1の充電が開始されるので、蓄電池1から電力供給(放電)したまま充電を行う場合と比べて、蓄電池1の充電にかかる時間を短くすることができるとともに、蓄電池1の劣化を抑制できる。そして、異常の報知が充電開始のために中断されることがないので、使用者の安全を確保するための異常の報知を行うという保安機器としての目的(機能)を果たすことができる。以上から、保安機器としての目的を果たしつつ充電時の蓄電池1の劣化を抑制することができる。
【0097】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0098】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0099】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、検知器がガス検知器である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、周囲環境の異常を検知し、検知結果に応じて報知する検知器であれば、その検知対象となる異常はどのようなものであってもよい。検知対象となる異常は、たとえば、気圧または気温、電場または磁場の強さ、放射線量などであってもよい。
【0100】
また、上記第1および第2実施形態では、検知部10(ガスセンサ11)の検知対象ガスの一例として、可燃性ガスであるメタンガスを示したが、本発明はこれに限られない。検知部がガスセンサを備える場合の検知対象ガスは、たとえば、人体に毒性を有するガスでもよい。人体に毒性を有するガスは、たとえば硫化水素、一酸化炭素などでありうる。また、検知対象ガスは、大気濃度では人体に毒性を有しないが、所定の低濃度や高濃度の場合に安全を損なう可能性があるガスでもよく、そのようなガスはたとえば酸素および二酸化炭素でありうる。
【0101】
また、上記第1および第2実施形態では、検知部10に1つのセンサ(ガスセンサ11)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。検知部は、複数のセンサを備えてもよい。複数のセンサは、それぞれ異なる検知対象を検知するセンサであってよいし、同一の検知対象を異なる感度で検知するセンサであってもよい。また、検知部は、たとえば筐体50の外部の空気をガスセンサ11へ供給し、ガスセンサ11での検知済みの空気を排出するための吸引手段(エアポンプなど)を備えていてもよい。
【0102】
また、上記第1実施形態では、検知器100の全体の制御を行う制御部40が蓄電池1の充電の制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検知器100の全体の制御を行う制御部と、蓄電池1の充電の制御を行う制御部とを、別々に設けてもよい。
【0103】
また、上記第1および第2実施形態では、検知部10(ガスセンサ11)が蓄電池1の内蔵電力供給ライン38bと接続される一方、外部電力供給ライン38aとは接続されず、電力供給源2からの電力では検知動作を行わない例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検知部10(ガスセンサ11)が電力供給源2(外部電力供給ライン38a)と接続されて電力供給源2からの電力で検知動作を行えるようにしてもよい。
【0104】
また、上記第1および第2実施形態では、接続部32が電力供給源2と接続された時、第2状態である場合、異常の報知が終了して第1状態に切り替わることに応じて蓄電池1の充電を開始する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力供給源2と接続された時に第2状態である場合、異常の報知が終了しても充電を開始せずに電源オン状態のままにしてもよい。この場合、電源スイッチ45による操作入力を受け付けることで、電源オフ状態に切り替えるとともに充電を開始してもよい。また、異常の報知が終了した後、一定時間は検知動作を継続し、上記一定時間経過後に電源オフ状態にして充電を開始してもよい。
【0105】
また、上記第1および第2実施形態では、検知部10の検知結果が報知条件を満たさなくなることで報知が終了する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば報知中に操作スイッチ46が入力されると報知を終了するように検知器を構成してもよい。この場合、操作スイッチ46の入力受付とともに電源オフ状態への切り替えおよび充電が開始されうる。
【0106】
また、上記第1および第2実施形態では、接続部32が電力供給源2と接続された時、電源オフ状態である場合、電源オフ状態のまま蓄電池1の充電を開始する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力供給源2と接続された時に電源オフ状態である場合、自動的に電源オン状態にして検知部10による検知を行い、第1状態である(報知条件を満たさない)ことを確認した上で、再度電源オフ状態に戻して蓄電池1の充電を開始してもよい。
【0107】
また、上記第1および第2実施形態では、蓄電池1の充電中、検知部10への電力供給を切断しつつ、電力供給源2からの電力を制御部40に供給する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蓄電池1からの電力供給(放電)を遮断した状態で、電力供給源2からの電力を蓄電池1だけでなく検知部10にも供給して、充電中も異常の検知を行えるようにしてもよい。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、接続部32が電力供給源2と接続された時、第1状態である場合、操作スイッチ46への入力操作の有無に関わらず、蓄電池1からの電力供給を切断して蓄電池1の充電を開始する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力供給源2と接続された時に第1状態である場合に、操作スイッチ46への入力操作を受け付けると、充電を開始せずに、操作スイッチ46への入力操作に応じた処理を優先して実行してもよい。
【0109】
また、上記第1および第2実施形態では、報知部20が、スピーカー21および報知ランプ(第1報知ランプ22および第2報知ランプ23)を含み、音声(ブザー音)および発光により異常を報知する例を示したが、本発明はこれに限られない。報知部20は、スピーカーおよび報知ランプの一方のみを含んでいてもよい。また、報知部20は、スピーカーおよび報知ランプに代えて、または加えて、検知器の外部の機器に信号を出力する信号出力部を含んでいてもよい。信号出力部は、たとえば、近距離無線通信および赤外線通信などの無線通信によって信号を出力する無線通信デバイスを含む。信号出力部は、たとえば使用者が携行する端末(スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末など)や、使用環境に設置されている報知設備に対して報知信号(メッセージ)を出力することにより、使用者への報知を行ってもよい。
【0110】
なお、報知ランプを設ける場合、報知ランプは2種類には限られず、1種類でも、3種類以上でもよい。多色点灯可能な白色LEDなどにより、1つの報知ランプで、異なる発光色による報知を行ってもよい。報知部20は、スピーカー、報知ランプおよび信号出力部以外の他の報知手段を備えていてもよい。たとえば、報知部20は、振動により報知を行う振動子またはアクチュエータを含んでいてもよい。
【0111】
また、上記第1および第2実施形態では、蓄電池1が、筐体50内の電池収容部31に収容される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電池収容部31が筐体50から着脱可能に構成されていたり、電池収容部31から蓄電池1が着脱可能に構成されていたりしてもよい。
【0112】
また、上記第2実施形態では、検知システム400が1つの検知器と1つの充電器とを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。検知システムは、複数の検知器と、複数の検知器を接続可能な1つの充電器とを備えていてもよい。この場合、1つの制御部が、1つの充電器に接続された個々の検知器の状態が第1状態であるか第2状態であるかに応じて、それぞれの検知器に設けられた蓄電池の充電の制御を行ってもよい。
【0113】
また、
図7に示した充電制御のフローチャートでは、電力供給源2との接続を検知(ステップS1)した後に、第1状態か第2状態かの判定(ステップS3)を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1状態か第2状態かの判定を行った後に、電力供給源2と接続されているか否かを判定してもよい。
【0114】
また、上記第1実施形態では、接続部32が電力供給源2と接続された時に第2状態である場合、制御部40、検知部10(ガスセンサ11)およびスピーカー21へは蓄電池1からの電力が供給される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、接続部32が電力供給源2と接続された時に、第2状態(報知中)の場合でも、外部電力供給ライン38aを制御部40と接続するように切替部35を制御してもよい。この場合、制御部40には外部電力供給ライン38aを介して電力供給源2からの電力が供給される一方、検知部10(ガスセンサ11)およびスピーカー21へは蓄電池1からの電力が供給される。
【0115】
具体的には、
図7に示した充電制御のフローチャートにおいて、ステップS1で制御部40がACアダプタ3を介した電力供給源2との接続を検知すると、第1状態であるか第2状態であるかに関わらず、ステップS2の前に、電源供給ラインの切り替え(ステップS12参照)の処理を実施するようにすればよい。ステップS7で電源オフ状態に切り替わった後は、ステップS12を経由せずにステップS13に処理を進めればよい。
【0116】
また、上記第1実施形態では、充電中の状態では、制御部40は、電源スイッチ45および操作スイッチ46への入力操作があっても、電源オン状態には復帰しないように構成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部40は、充電中に電源スイッチ45が入力された場合に、電源オン状態に復帰する制御を行ってもよい。
【0117】
また、
図7では、供給電圧(ステップS13)または周囲温度(ステップS14)が異常であると判断した場合、ステップS16において蓄電池1の充電を開始しない例を示したが、本発明はこれに限られない。ステップS13またはS14において異常がみられ、充電開始しない場合(ステップS16)であっても、ステップS16に移行した後、供給電圧、周囲温度のうちいずれか一方もしくは両方の確認を定期的に行い、異常が解消した際に充電開始(ステップS15)に移行してもよい。つまり、ステップS16における充電を開始せず充電エラー報知を行う処理の後、所定時間間隔で処理をステップS13に戻すことで、異常が解消するまでステップS13、S14およびS16をループするようにしてもよい。
【0118】
また、
図7では、供給電圧(ステップS13)および周囲温度(ステップS14)が正常であると判断した場合、ステップS15において蓄電池1の充電を開始する例を示したが、本発明はこれに限られない。ステップS15における充電開始後、定期的に、供給電圧および周囲温度が正常であるかの確認を行い、いずれかに異常がある場合には充電を停止するようにしてもよい。たとえば、ステップS15で充電を開始した後、所定時間経過後に処理をステップS13に戻すことで、充電中の間、ステップS13~S15をループするようにしてもよい。ループ中のステップS15は、充電を継続するという処理になる。そして、充電中に供給電圧(ステップS13)または周囲温度(ステップS14)に異常が生じた場合、処理をステップS16に移行させて充電を停止するようにしてもよい。
【0119】
また、上記第1実施形態において、
図2に示した検知器100の外形形状は、特に限定されず、任意である。
【符号の説明】
【0120】
1 蓄電池
2 電力供給源
10 検知部
11 ガスセンサ
20 報知部
21 スピーカー
22 第1報知ランプ(報知ランプ)
23 第2報知ランプ(報知ランプ)
30、130 電源回路部
31 電池収容部
32、132 接続部
40 制御部
45 電源スイッチ
46 操作スイッチ
100、200 検知器
240 充電器制御部(制御部)
300 充電器
400 検知システム