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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140916
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】円環整列装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02K15/06
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052284
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕也
(72)【発明者】
【氏名】花房 謙太郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 智也
(72)【発明者】
【氏名】片桐 拓哉
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615PP01
5H615QQ03
5H615QQ27
5H615SS10
(57)【要約】
【課題】生産効率を向上させることができる円環整列装置を提供する。
【解決手段】円環整列装置は、複数のコイルセグメントを一列に並べて保持するコイル保持部と、複数のコイルセグメントを円環整列させる円環整列部と、先頭コイルセグメントを円環整列部へと送り出すコイル送出部と、を備え、コイル保持部は、直線状であって、複数のコイルセグメントが一列に並べて架け渡される第1レールを有し、コイル送出部は、直線状であって、コイル保持部から受け取った先頭コイルセグメントが架け渡され、架け渡された先頭コイルセグメントを移動させて円環整列部へと送り出す第2レールを有し、第1レールは、円環整列部の側が重力方向の下側となり、円環整列部とは反対側が重力方向の上側となるように傾斜し、第2レールは、円環整列部の側が重力方向の下側となり、コイル保持部の側が重力方向の上側となるように傾斜している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが細線をU字状に折り曲げた形状の複数のコイルセグメントをコイルの形状に円環整列させる円環整列装置であって、
円環整列させる前における前記複数のコイルセグメントを一列に並べて保持するコイル保持部と、
前記複数のコイルセグメントを1個ずつ順次に受け取り、受け取った前記複数のコイルセグメントを円環整列させる円環整列部と、
前記コイル保持部により一列に並べて保持されている前記複数のコイルセグメントのうちの先頭に配置された先頭コイルセグメントを取り出し、取り出した前記先頭コイルセグメントを前記円環整列部へと送り出すコイル送出部と、
を備え、
前記コイル保持部は、直線状であって、前記複数のコイルセグメントが一列に並べて架け渡される第1レールを有し、
前記コイル送出部は、直線状であって、前記コイル保持部から受け取った前記先頭コイルセグメントが架け渡され、架け渡された前記先頭コイルセグメントを移動させて前記円環整列部へと送り出す第2レールを有し、
前記第1レールは、前記円環整列部の側が重力方向の下側となり、前記円環整列部とは反対側が重力方向の上側となるように傾斜し、
前記第2レールは、前記円環整列部の側が重力方向の下側となり、前記コイル保持部の側が重力方向の上側となるように傾斜している
円環整列装置。
【請求項2】
前記コイル保持部は、前記第1レールに架け渡された前記複数のコイルセグメントのうちの前記先頭コイルセグメントの位置および姿勢を規制するストッパを有し、
前記ストッパは、
前記先頭コイルセグメントを、U字における中央から開口に向かうコイル垂直方向が、前記第1レールが傾斜する方向に対して垂直となる姿勢で、所定の位置に規制し、
前記先頭コイルセグメントの位置および姿勢を規制することにより、前記複数のコイルセグメントを、前記先頭コイルセグメントと同一姿勢で、前記先頭コイルセグメントを先頭にして積み重ねて保持し、
前記第2レールは、前記第1レールが傾斜する方向に対して垂直な方向に移動可能であり、
前記コイル送出部は、前記先頭コイルセグメントを前記コイル保持部から前記円環整列部へと送り出す場合、前記第2レールを移動させることにより、前記先頭コイルセグメントを前記第2レールに係合させて、前記先頭コイルセグメントに対する前記ストッパによる規制を解除し、前記ストッパによる規制が解除された前記先頭コイルセグメントを前記第2レールに沿って自重で前記円環整列部へと移動させる
請求項1に記載の円環整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円環整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ/ジェネレータを備えるハイブリッド車両が知られている。モータ/ジェネレータのステータを構成するコイルは、複数のU字型のコイルセグメントを円環状に整列させ、円環状に整列された複数のコイルセグメントのそれぞれの先端を溶接により接続することにより製造される。
【0003】
特許文献1には、コイルセグメントを円環状に整列させる円環整列装置が開示されている。特許文献1に記載された円環整列装置は、コイルセグメントを送り出す送り動作を行う送り機構を備え、コイルセグメントの供給を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-343836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、送り用ブロックと揺動ストッパとにより複数のコイルセグメントを、直線状に一列に整列させて保持させ、押圧部によって1つずつコイルセグメントを円環整列装置に送り出す機構が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された機構は、送り用ブロックおよび揺動ストッパを備えるので、部品点数が増加し、さらに、送り用ブロックおよび揺動ストッパを稼働させるための部品も必要となるので、構造が複雑である。
【0006】
また、直線状に一列に整列された複数のコイルセグメントから、先頭のコイルセグメントを円弧状に持ち上げて切り出し、持ち上げたコイルセグメントを傾斜により滑らせて円環整列装置の本体へと送り出す機構も知られている。しかしながら、このような機構は、切り出し時において、持ち上げたコイルセグメントを円弧上に移動させるので、例えば、切り出し時にガイドと切り出し用の爪との間にコイルセグメントが噛み込んだり、2本のコイルセグメントを同時に切り出してしまったり、切り出しができずにコイルセグメントを落としたりしてしまっていた。
【0007】
また、このような機構は、最後の1個のコイルセグメントを円弧状に持ち上げる場合、一列に整列されているコイルセグメントを送り出すための力が不足し、切り出し用の爪にコイルセグメントを載せることができなかったり、コイルセグメントが載ったとしても円弧状の動作中に落としたりする場合があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、コイルセグメントを確実に送り出して円環整列させ、生産効率を向上させることができる円環整列装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る円環整列装置は、それぞれが細線をU字状に折り曲げた形状の複数のコイルセグメントをコイルの形状に円環整列させる円環整列装置であって、円環整列させる前における前記複数のコイルセグメントを一列に並べて保持するコイル保持部と、前記複数のコイルセグメントを1個ずつ順次に受け取り、受け取った前記複数のコイルセグメントを円環整列させる円環整列部と、前記コイル保持部により一列に並べて保持されている前記複数のコイルセグメントのうちの先頭に配置された先頭コイルセグメントを取り出し、取り出した前記先頭コイルセグメントを前記円環整列部へと送り出すコイル送出部と、を備え、前記コイル保持部は、直線状であって、前記複数のコイルセグメントが一列に並べて架け渡される第1レールを有し、前記コイル送出部は、直線状であって、前記コイル保持部から受け取った前記先頭コイルセグメントが架け渡され、架け渡された前記先頭コイルセグメントを移動させて前記円環整列部へと送り出す第2レールを有し、前記第1レールは、前記円環整列部の側が重力方向の下側となり、前記円環整列部とは反対側が重力方向の上側となるように傾斜し、前記第2レールは、前記円環整列部の側が重力方向の下側となり、前記コイル保持部の側が重力方向の上側となるように傾斜している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で、コイルセグメントを確実に送り出して円環整列させ、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、円環整列装置の外観を示す図である。
図2図2は、円環整列された複数のコイルセグメントを示す図である。
図3図3は、コイルセグメントを切り出す前におけるコイル保持部およびコイル送出部を示す図である。
図4図4は、コイルセグメントを切り出した状態におけるコイル保持部およびコイル送出部を示す図である。
図5図5は、コイルセグメントの送出途中におけるコイル保持部およびコイル送出部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係る円環整列装置10を示す図である。円環整列装置10は、例えば、ハイブリッド車両に用いられるモータ/ジェネレータのステータを構成するコイルを製造する工程おいて用いられる。円環整列装置10は、複数のコイルセグメント20を、ステータを構成するコイルの形状に円環整列させる。
【0014】
複数のコイルセグメント20のそれぞれは、細線をU字状に折り曲げた形状となっている。複数のコイルセグメント20のそれぞれは、直線状の2本の足部24と、2本の足部24を接続する折曲部26とを含む。2本の足部24は、平行となるように成形される。折曲部26は、2本の足部24のそれぞれにおける一方の端同士を接続する。折曲部26は、例えば略山型に成形される。折曲部26は、円弧状またはその他の形状に成形されてもよい。
【0015】
なお、複数のコイルセグメント20のそれぞれにおける細線に平行な方向であって、2本の足部24と垂直な方向を、コイル導線方向αと呼ぶ。2本の足部24に平行な方向、すなわち、複数のコイルセグメント20のそれぞれにおけるU字の中央部分から開口部分に向かう方向を、コイル垂直方向βと呼ぶ。
【0016】
円環整列装置10は、コイル保持部32と、円環整列部34と、コイル送出部36とを備える。
【0017】
コイル保持部32は、円環整列させる前における複数のコイルセグメント20を保持する。コイル保持部32は、円環整列部34に向かう方向に、複数のコイルセグメント20を同一の姿勢で一列に並べて保持する。コイル保持部32は、複数のコイルセグメント20のそれぞれを、コイル導線方向αおよびコイル垂直方向βのそれぞれに垂直な方向に重ね合わせて保持する。
【0018】
円環整列部34は、複数のコイルセグメント20をコイル送出部36から1個ずつ順次に受け取り、受け取った複数のコイルセグメント20を円環整列させる。例えば、円環整列部34は、入力部42と、ガイド部44とを有する。入力部42は、コイルセグメント20を1個ずつ順次にコイル送出部36から受け取る。ガイド部44は、入力部42が受け取ったコイルセグメント20を、略円周状の経路に沿って移動させて、円環状における予め定められた位置に配置する。円環整列部34は、予め定められた個数のコイルセグメント20を整列させることにより、溶接により接続前の状態におけるコイルを形成することができる。
【0019】
コイル送出部36は、コイル保持部32により一列に並べて保持されている複数のコイルセグメント20を1個ずつ取り出す。この場合、コイル送出部36は、一列に並べられた複数のコイルセグメント20における円環整列部34側の端部から取り出す。
【0020】
なお、コイル保持部32により一列に並べて保持されている複数のコイルセグメント20のうちの円環整列部34側の先頭に配置されたコイルセグメント20を、先頭コイルセグメント20-Sと呼ぶ。コイル送出部36は、順次に先頭コイルセグメント20-Sを取り出し、取り出した先頭コイルセグメント20-Sを取り出す毎に、取り出した先頭コイルセグメント20-Sを円環整列部34の入力部42へと送り出す。
【0021】
図2は、モータ/ジェネレータのステータを構成するコイルの製造工程を示す図である。複数のコイルセグメント20は、図2に示すように円環状に配列して組み合わされることにより、円環状に整列されたコイルセグメント群54を構成する。
【0022】
コイルは、円環の直径が異なる複数のコイルセグメント群54を組み合わせることにより構成される。例えば、図2の例において、コイルは、円環の直径が最も小さい第1コイルセグメント群54-1と、円環の直径が2番目に小さい第2コイルセグメント群54-2と、円環の直径が最も大きい第3コイルセグメント群54-3とを組み合わせることにより構成される。
【0023】
そして、複数のコイルセグメント群54が組み合された後、コイルセグメント20の先端部が2個毎溶接により接続される。これにより、モータ/ジェネレータのステータに用いられるコイルが構成される。本実施形態に係る円環整列装置10は、このようなコイルの製造工程における、複数のコイルセグメント20を円環整列してコイルセグメント群54を生成する工程に用いられる。
【0024】
図3は、コイルセグメント20を切り出す前におけるコイル保持部32、コイル送出部36、および、円環整列部34の入力部42の概略図である。
【0025】
コイル保持部32は、第1レール62と、ストッパ64とを有する。
【0026】
第1レール62は、直線状であって、複数のコイルセグメント20が一列に並べて架け渡される。より詳しくは、第1レール62は、U字における折曲部26が重力方向の上側、U字における開口部分が重力方向の下側に向けて、複数のコイルセグメント20が架け渡される。
【0027】
第1レール62は、直線部分が、円環整列部34の入力部42の側が重力方向の下側となり、円環整列部34の入力部42とは反対側が重力方向の上側となるように傾斜している。第1レール62が傾斜する方向を、第1方向Xとする。従って、第1レール62に架け渡された複数のコイルセグメント20は、自重によって円環整列部34の側に移動し、第1方向Xに対して一列に並んで、同一の姿勢で積み重なる。
【0028】
ストッパ64は、第1レール62に架け渡された複数のコイルセグメント20のうちの先頭コイルセグメント20-Sの位置および姿勢を規制する。
【0029】
より詳しくは、ストッパ64は、U字における中央部分から開口部分に向かうコイル垂直方向βが、第2方向Yに平行となるように、先頭コイルセグメント20-Sを規制する。また、ストッパ64は、先頭コイルセグメント20-Sの2本の足部24が第1方向Xにおける同一の位置となるように、先頭コイルセグメント20-Sを規制する。なお、第2方向Yは、第1方向Xと重力方向とにより形成される面内における、第1方向Xと垂直な方向である。
【0030】
さらに、ストッパ64は、第1方向Xにおける所定の位置で静止するように、このような姿勢の先頭コイルセグメント20-Sを規制する。このように先頭コイルセグメント20-Sの位置および姿勢を規制することにより、先頭コイルセグメント20-Sを除く複数のコイルセグメント20は、第1レール62の傾斜により第1方向Xにおける円環整列部34の側に移動し、先頭コイルセグメント20-Sと同一姿勢で、先頭コイルセグメント20-Sに対して積み重なる。これにより、ストッパ64は、複数のコイルセグメント20を、同一姿勢で第1方向Xに対して一列に並べて積み重ねて保持することができる。
【0031】
本実施形態においては、第1レール62は、右側第1レール72と、左側第1レール74とを含む。右側第1レール72および左側第1レール74のそれぞれは、棒状である。右側第1レール72および左側第1レール74は、第1方向Xに対して平行に設けられる。右側第1レール72は、第1方向Xにおける円環整列部34に向かう方向を見て右側に設けられる。左側第1レール74は、第1方向Xにおける円環整列部34に向かう方向を見て左側に設けられる。
【0032】
右側第1レール72は、コイルセグメント20の折曲部26における、第1方向Xにおける円環整列部34に向かう方向を見て右肩部分を支持する。左側第1レール74は、コイルセグメント20の折曲部26における、第1方向Xにおける円環整列部34に向かう方向を見て左肩部分を支持する。このような右側第1レール72および左側第1レール74は、U字における折曲部26が重力方向の上側、U字における開口部分が重力方向の下側となる姿勢で、複数のコイルセグメント20を保持することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、ストッパ64は、右上ストッパ82と、左上ストッパ84と、右下ストッパ86と、左下ストッパ88とを含む。
【0034】
右上ストッパ82は、右側第1レール72における円環整列部34の側の端部に一体的に形成される突起部である。右上ストッパ82は、右側第1レール72における上側に突出した形状となっている。右上ストッパ82は、右側第1レール72に架け渡された先頭コイルセグメント20-Sの右上部分が、第1方向Xにおける円環整列部34の側に移動しないように、所定の位置において規制する壁として機能する。
【0035】
左上ストッパ84は、左側第1レール74における円環整列部34の側の端部に一体的に形成される突起部である。右上ストッパ82は、左側第1レール74における上側に突出した形状となっている。左上ストッパ84は、左側第1レール74に架け渡された先頭コイルセグメント20-Sの左上部分が、第1方向Xにおける円環整列部34の側に移動しないように、所定の位置において規制する壁として機能する。
【0036】
右下ストッパ86は、先頭コイルセグメント20-Sの右側の足部24の端部近傍に設けられる。右下ストッパ86は、先頭コイルセグメント20-Sの右側の足部24における端部が、第1方向Xにおける円環整列部34の側に移動しないように、所定の位置において規制する。
【0037】
左下ストッパ88は、先頭コイルセグメント20-Sの左側の足部24の端部近傍に設けられる。左下ストッパ88は、先頭コイルセグメント20-Sの左側の足部24における端部が、第1方向Xにおける円環整列部34の側に移動しないように、所定の位置において規制する。
【0038】
このような右上ストッパ82、左上ストッパ84、右下ストッパ86および左下ストッパ88は、右側第1レール72および左側第1レール74上を自重により第1方向Xにおける円環整列部34の側に移動した先頭コイルセグメント20-Sを、所定の位置に規制することができる。
【0039】
さらに、このような右上ストッパ82、左上ストッパ84、右下ストッパ86および左下ストッパ88は、U字における中央部分から開口部分に向かうコイル垂直方向βを第2方向Yに平行となる姿勢に、先頭コイルセグメント20-Sを保持することができる。
【0040】
このように、コイル保持部32は、第1レール62およびストッパ64を有することにより、円環整列させる前における複数のコイルセグメント20を、所定の姿勢で一列に並べて保持することができる。
【0041】
図4は、コイルセグメント20を切り出した状態におけるコイル保持部32、コイル送出部36、および、円環整列部34の入力部42の概略図である。図5は、先頭コイルセグメント20-Sの送出途中におけるコイル保持部32、コイル送出部36、および、円環整列部34の入力部42の概略図である。
【0042】
コイル送出部36は、第2レール92と、脱落防止部94とを有する。
【0043】
第2レール92は、コイル保持部32と、円環整列部34の入力部42との間に配置される。第2レール92は、直線状であって、円環整列部34の入力部42の側が重力方向の下側となり、コイル保持部32の側が重力方向の上側となるように傾斜している。第2レール92が傾斜する方向を、第3方向Zとする。本実施形態においては、第3方向Zは、第1方向Xと平行である。
【0044】
第2レール92は、第1レール62が傾斜する方向に対して垂直な方向に移動可能である。すなわち、第2レール92は、第2方向Yに移動可能である。
【0045】
第2レール92は、第2方向Yに移動することにより、先頭コイルセグメント20-Sをコイル保持部32から円環整列部34へと送り出す。第2レール92は、先頭コイルセグメント20-Sをコイル保持部32から円環整列部34へと送り出す場合、次のように動作する。
【0046】
まず、第2レール92は、第2方向Yにおける下側、すなわち、先頭コイルセグメント20-SにおけるU字の開口側に位置している。そして、第2レール92は、第2方向Yにおける下側から上側に移動する。すなわち、第2レール92は、第2方向Yにおける、U字における開口部分側から、U字における中央部側へと移動する。
【0047】
第2レール92は、コイル保持部32の側の端部部分が、先頭コイルセグメント20-Sと第1方向Xにおいて重なり、先頭コイルセグメント20-Sに隣接する他のコイルセグメント20とは第1方向Xにおいて重ならない位置に配置されている。これにより、第2レール92は、第2方向Yにおける下側から上側に移動することにより、コイル保持部32側の端部部分が、先頭コイルセグメント20-Sにおける折曲部26の下側から係合する。
【0048】
図4に示すように、第2レール92は、先頭コイルセグメント20-Sに係合した状態で、さらに、第2方向Yにおける下側から上側に移動する。これにより、第2レール92は、一列に並べられた複数のコイルセグメント20から先頭コイルセグメント20-Sのみを切り出して、先頭コイルセグメント20-Sを第2方向Yにおける下側から上側に持ち上げる。この結果、第2レール92は、U字における折曲部26が重力方向の上側、U字における開口部分が重力方向の下側に向けた姿勢で、先頭コイルセグメント20-Sが架け渡される。
【0049】
さらに、図5に示すように、第2レール92は、先頭コイルセグメント20-Sを第2方向Yにおける下側から上側に持ち上げることにより、ストッパ64による先頭コイルセグメント20-Sに対する位置および姿勢の規制が解除される。ストッパ64による規制が解除された先頭コイルセグメント20-Sは、第2レール92が傾斜していることにより、自重により円環整列部34における入力部42の方向へと移動する。そして、第2レール92の上を移動した先頭コイルセグメント20-Sは、円環整列部34における入力部42へ与えられる。
【0050】
このように第2レール92は、第2方向Yにおける下側から上側へと移動することにより、コイル保持部32の第1レール62により保持されている先頭コイルセグメント20-Sを受け取り、コイル保持部32から受け取った先頭コイルセグメント20-Sが架け渡され、架け渡された先頭コイルセグメント20-Sを移動させて円環整列部34の入力部42へと送り出す。
【0051】
第2レール92は、先頭コイルセグメント20-Sを円環整列部34の入力部42へと送り出した後に、第2方向Yにおける上側から下側に移動する。そして、以後、第2レール92は、第2方向Yにおける下側から上側への移動と、第2方向Yにおける上側から下側への移動とを交互に繰り返し、コイル保持部32により保持された複数のコイルセグメント20を端部から1つずつ取り出して、円環整列部34へと送出する。
【0052】
脱落防止部94は、第2レール92に先頭コイルセグメント20-Sが係合した状態において、先頭コイルセグメント20-Sが第2レール92における円環整列部34とは反対側に脱落しないように、第2レール92の円環整列部34とは反対側の端部に沿って壁を形成する。これにより、脱落防止部94は、第2レール92が、第2方向Yにおける下側から上側へと移動中に、先頭コイルセグメント20-Sが脱落することを防止することができる。
【0053】
このように、コイル送出部36は、第2レール92および脱落防止部94を有することにより、コイル保持部32により一列に並べて保持されている複数のコイルセグメント20のうちの先頭に配置された先頭コイルセグメント20-Sを取り出し、取り出した先頭コイルセグメント20-Sを円環整列部34へと送り出すことができる。さらに、先頭コイルセグメント20-Sをコイル保持部32から円環整列部34へと送り出す場合において、コイル送出部36は、第2レール92を先頭コイルセグメント20-SのU字における開口部分側から中央部分側へ向かう方向に移動させることにより、先頭コイルセグメント20-Sを第2レール92に係合させて、先頭コイルセグメント20-Sに対するストッパ64による規制を解除し、ストッパ64による規制が解除された先頭コイルセグメント20-Sを第2レール92に沿って自重で円環整列部34へと移動させる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る円環整列装置10は、コイル保持部32が、傾斜している第1レール62に架け渡して、円環整列前における複数のコイルセグメント20を保持している。これにより、円環整列装置10によれば、円環整列前における複数のコイルセグメント20を送り出すための機構を備えなくてよいので、生産設備を簡易化し、生産効率を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る円環整列装置10は、コイル送出部36が、傾斜して保持されている複数のコイルセグメント20のうちの先頭コイルセグメント20-Sを、保持されている姿勢の状態で移動させて、すなわち、傾斜した方向に対して垂直な方向に移動させて、先頭コイルセグメント20-Sを取り出す。これにより、円環整列装置10によれば、先頭コイルセグメント20-Sを、他のコイルセグメント20と衝突させることなく、安定な姿勢で取り出すことができ、生産効率を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る円環整列装置10は、コイル送出部36が、先頭コイルセグメント20-Sを傾斜している第2レール92に架け渡して、先頭コイルセグメント20-Sの自重により円環整列部34に送り出す。これにより、円環整列装置10によれば、取り出した先頭コイルセグメント20-Sを送り出すための機構を備えなくてよいので、生産設備を簡易化し、生産効率を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る円環整列装置10は、円弧上に持ち上げる従前の装置において生じていた噛み込み、2本同時取り出しおよび落下等の問題を解消することができるので、例えばコイルセグメント20に傷がついたり、コイルセグメント20の被覆が剥がれたりすることがなくなり、生産効率を向上させることができる。また、本実施形態に係る円環整列装置10は、最後の1個のコイルセグメント20の取り出し時においても、他のコイルセグメント20と同様の力で取り出しをすることができるので、コイル保持部32に保持されている複数のコイルセグメント20を全て円環整列部34に送出することができ、生産効率を向上させることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
10 円環整列装置、20 コイルセグメント、20-S 先頭コイルセグメント、24 足部、26 折曲部、32 コイル保持部、34 円環整列部、36 コイル送出部、42 入力部、44 ガイド部、54 コイルセグメント群、62 第1レール、64 ストッパ、72 右側第1レール、74 左側第1レール、82 右上ストッパ、84 左上ストッパ、86 右下ストッパ、88 左下ストッパ、92 第2レール、94 脱落防止部、α コイル導線方向、β コイル垂直方向、X 第1方向、Y 第2方向、Z 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5