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特開2024-140929単粒研磨評価方法及び単粒研磨評価装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140929
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】単粒研磨評価方法及び単粒研磨評価装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/12 20060101AFI20241003BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20241003BHJP
   G01N 3/56 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B24B49/12
B24D3/00 320Z
G01N3/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052305
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 駿太
【テーマコード(参考)】
3C034
3C063
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034AA20
3C034BB93
3C034CA05
3C034CA22
3C034CB01
3C034CB04
3C034CB14
3C034DD10
3C063AA02
3C063BB02
3C063BB03
3C063BB04
3C063BG01
3C063BG06
3C063BH07
3C063EE10
3C063FF08
(57)【要約】
【課題】#140以下の粒度(JISB4130)を有する砥粒単体の研磨性能を評価できる、単粒研磨評価方法及び単粒研磨評価装置を提供する。
【解決手段】#140以下の粒度の粒径を有する単体の砥粒44が一定荷重で被研磨部材38の一面に押圧されつつ、単体の砥粒44が被研磨部材38の一面内の一方向に相対移動させられ、被研磨部材38の一面に形成された単体の砥粒44の研磨痕Kに基づいて、単体の砥粒44の被研磨部材38に対する研磨性能が評価される。これにより、#140以下の粒度を有する単体の砥粒44の研磨性能を評価でき、研磨工具についての開発が速やかとなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒度が#140(JISB4130)の砥粒の粒径以下の粒径を有する砥粒単体の被研磨部材に対する研磨性能を評価する単粒研磨評価方法であって、
前記砥粒単体を一定荷重で前記被研磨部材の一面に押圧しつつ、前記砥粒単体を前記被研磨部材の一面内の一方向に相対移動させ、
前記被研磨部材の一面に形成された前記砥粒単体の研磨痕に基づいて、前記砥粒単体の前記被研磨部材に対する研磨性能を評価する
ことを特徴とする単粒研磨評価方法。
【請求項2】
前記砥粒単体の前記被研磨部材に対する研磨性能は、レーザ顕微鏡により観察された、前記被研磨部材の一面に形成された研磨痕の深さに基づいて評価される
ことを特徴とする請求項1の単粒研磨評価方法。
【請求項3】
前記砥粒単体の前記被研磨部材に押圧される一定荷重は、1~10Nである
ことを特徴とする請求項1の単粒研磨評価方法。
【請求項4】
粒度が#140(JISB4130)の砥粒の粒径以下の粒径を有する砥粒単体の被研磨部材に対する研磨性能を評価する単粒研磨評価装置であって、
前記被研磨部材を載置し、前記被研磨部材の一面内の一方向に移動可能に設けられた移動テーブルと、
前記砥粒単体が固定された砥粒固定部材を前記移動テーブルに載置された前記被研磨部材の一面に向かって移動可能に保持し、前記砥粒固定部材を一定が荷重で前記被研磨部材の一面に向かって付勢する砥粒付勢装置と、
前記移動テーブルを前記被研磨部材の一面内の一方向に移動させる移動テーブル駆動装置と、を含む
ことを特徴とする単粒研磨評価装置。
【請求項5】
前記砥粒単体の前記被研磨部材に対する研磨性能は、レーザ顕微鏡により観察された、前記被研磨部材の一面に形成された研磨痕の深さに基づいて評価される
ことを特徴とする請求項4の単粒研磨評価装置。
【請求項6】
前記砥粒単体の前記被研磨部材に押圧される一定荷重は、1~10Nである
ことを特徴とする請求項4の単粒研磨評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥粒自体の研磨能力を単粒で評価する単粒研磨評価方法及び単粒研磨評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体に用いるSiC、GaNなどの難研磨材料を研磨する技術が注目されている。このような難研磨材料を高精度で研磨する需要が高まっている。これに対して、SiC基板の表面加工装置及び表面加工方法(特許文献1)や研磨組成物(特許文献2)が提案されている。
【0003】
これらは、砥粒を含む研磨組成物を用いて機械的に研磨することに加えて、電解液等を用いて化学的に研磨する、所謂CMP研磨に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-180854号公報
【特許文献1】特開2022-188798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の引用文献1及び引用文献2に記載の技術は、砥粒を含む研磨組成物及び電解液の総合的な研磨作用を評価するものであることから、砥粒或いは砥粒を用いた研磨工具を開発する上で、砥粒自体の研磨能力についての直接的な評価情報がなく、砥粒の選定に困難性があり、開発期間が長くなっていた。特に#140以下の粒度(平均粒径105μm:JISB4130)を有する砥粒を用いた研磨工具についての開発に困難性があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、粒度が#140の砥粒の粒径以下の粒度を有する砥粒単体の研磨性能を評価できる、単粒研磨評価方法及び単粒研磨評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の要旨とするところは、(a)粒度が#140(JISB4130)の砥粒の粒径以下の粒径を有する砥粒単体の被研磨部材に対する研磨性能を評価する単粒研磨評価方法であって、(b)前記砥粒単体を一定荷重で前記被研磨部材の一面に押圧しつつ、前記砥粒単体を前記被研磨部材の一面内の一方向に相対移動させ、(c)前記被研磨部材の一面に形成された前記砥粒単体の研磨痕に基づいて、前記砥粒単体の前記被研磨部材に対する研磨性能を評価することにある。
【0008】
第2発明の要旨とするところは、(a)粒度が#140(JISB4130)の砥粒の粒径以下の粒径を有する砥粒単体の被研磨部材に対する研磨性能を評価する単粒研磨評価装置であって、(b)前記被研磨部材を載置し、前記被研磨部材の一面内の一方向に移動可能に設けられた移動テーブルと、(c)前記砥粒単体が固定された砥粒固定部材を前記移動テーブルに載置された前記被研磨部材の一面に向かって移動可能に保持し、前記砥粒固定部材を一定が荷重で前記被研磨部材の一面に向かって付勢する砥粒付勢装置と、(d)前記移動テーブルを前記被研磨部材の一面内の一方向に移動させる移動テーブル駆動装置と、を含むことにある。
【発明の効果】
【0009】
第1発明の単粒研磨評価方法によれば、前記#140の砥粒の粒径以下の粒径を有する砥粒単体が一定荷重で前記被研磨部材の一面に押圧されつつ、前記砥粒単体が前記被研磨部材の一面内の一方向に相対移動させられ、前記被研磨部材の一面に形成された前記砥粒単体の研磨痕に基づいて、前記砥粒単体の前記被研磨部材に対する研磨性能が評価される。これにより、#140の砥粒の粒径以下の粒径を有する砥粒単体の研磨性能を評価でき、研磨工具についての開発が速やかとなる。
【0010】
第2発明の単粒研磨評価装置によれば、砥粒付勢装置により、砥粒固定部材を一定が荷重で前記移動テーブルに載置された被研磨部材の一面に向かって付勢された状態で、移動テーブル駆動装置により移動テーブルが駆動されると、前記#140の砥粒の粒径以下の粒径を有する砥粒単体が一定荷重で前記被研磨部材の一面に押圧されつつ、前記砥粒単体が前記被研磨部材の一面内の一方向に相対移動させられる。これにより、#140の砥粒の粒径以下の粒径を有する砥粒単体の研磨性能を評価でき、研磨工具についての開発が速やかとなる。
【0011】
好適には、第1発明及び第2発明において、前記砥粒単体の前記被研磨部材に対する研磨性能は、レーザ顕微鏡により観察された、前記被研磨部材の一面に形成された研磨痕の深さに基づいて評価される。これにより、前記砥粒単体の前記被研磨部材に対する研磨性能が客観的に評価される。
【0012】
好適には、第1発明及び第2発明において、前記砥粒単体の前記被研磨部材に押圧される一定荷重は、1~10Nである。これにより、前記砥粒単体相対移動により前記被研磨部材の一面に形成される研磨痕の深さが、明確となり定量的に測定される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例の作用砥粒判定方法が適用される、単粒研磨評価装置の構成を説明する図である。
図2図1の単粒研磨評価装置に装着される砥粒チップを説明する模式図である。
図3】単粒研磨評価前の砥粒チップを斜め上から撮像した拡大写真である。
図4】単粒研磨評価前の被研磨部材の表面を撮像したす拡大写真である。
図5】単粒研磨評価後の砥粒チップを斜め上から撮像した拡大写真である。
図6】単粒研磨評価後の被研磨部材の表面に形成された研磨痕を撮像した拡大写真である。
図7図1の単粒研磨評価装置を用いた単粒研磨評価方法を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は発明に関連する要部を説明するものであり、寸法及び形状等は必ずしも正確に描かれていない
【実施例0015】
図1は、本発明の一実施例の単粒研磨評価装置10を示す正面図である。単粒研磨評価装置10は、たとえば平面研磨盤において遊離砥粒として或いは固定砥粒として用いる砥粒44の研磨性能を、単粒で評価するためのものである。
【0016】
単粒研磨評価装置10は、基台12と、基台12上に固設され、移動テーブル駆動装置として機能するX軸モータ16によって水平なX方向に送られると共にY軸モータ18によってX方向に直交する水平なY方向に送られる移動テーブルであるXYテーブル20と、XYテーブル20に固設され、X方向に直交する水平軸まわりに傾動可能な載置面22を有し、傾動モータ24によって載置面22が上記水平軸まわりに傾動させられるゴニオテーブル26と、基台12に立設された支柱28に設けられ、Z軸モータ30によって上下方向に移動させられる上下テーブル32と、砥粒チップ40が下端部に保持されてZ方向に案内された砥粒チップホルダ36及び砥粒チップホルダ36に一定の押圧荷重が付与する電動アクチュエータ34を有して上下テーブル32に設けられ、ゴニオテーブル26の載置面22に真空チャック37を介して載置された被研磨部材38に向かって砥粒チップ40を一定の押圧荷重で押圧する砥粒チップ押圧装置42と、を備えている。被研磨部材38は、たとえばSi基板、SiC基板、GaN基板等の半導体基板である。
【0017】
砥粒チップ40は、図2に示すように、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒、溶融アルミナ質の砥粒、炭化珪素質の砥粒等の、研磨性能の評価対象である1個の砥粒44が、接着層46を介して、セラミックス或いは金属等から構成される板状のべース部材48の一面に固定されることにより構成されている。
【0018】
砥粒44の単粒での単粒研磨性能は、以下のように評価される。
先ず、研磨性能の評価対象である1個の砥粒44を、接着層46を介して、ガラス、セラミックス、或いは金属等から構成される板状のべース部材48の一面に固定することで、砥粒チップ40を作成する(図3の砥粒チップ作成工程P1)。次に、砥粒チップ40を砥粒チップ押圧装置42に装着するとともに、ゴニオテーブル26の載置面22に被研磨部材38を載置し、真空チャックを用いて被研磨部材38を固定する(図3の単粒砥粒評価準備行程P2)。次いで、単粒研磨評価装置10を起動し、電動アクチュエータ34を用いて砥粒チップ40をゴニオテーブル26の載置面22に載置された被研磨部材38に向かってたとえば1~10N程度の一定の押圧荷重で押圧しつつ、X軸モータ16によってX軸テーブル20をX方向に所定速度で移動させ、砥粒44を一定荷重で押圧された状態で被研磨部材38上をX方向に移動させる(図3の研磨工程P3)。そして、被研磨部材38を、ゴニオテーブル26の載置面22から取り外し、被研磨部材38の表面に長手状に形成された研磨痕Kの有無及び研磨痕Kの深さを測定し、砥粒44の研磨性能を評価する(図3の研磨性能評価工程P4)。
【0019】
研磨性能評価工程P4において、研磨痕Kの深さは、たとえばレーザ顕微鏡を用いて研磨痕Kを横断する方向の被研磨部材38の表面のプロファイルを測定し、そのプロファイルの凹み寸法に基づいて算出される。砥粒44の研磨性能は、上記研磨痕Kの深さが大きいほど高く評価される。
【0020】
図4は、図3の単粒研磨性能の評価前における砥粒チップ40を顕微鏡写真で示し、図5は、図3の研磨工程P3前における被研磨部材38の表面を顕微鏡写真で示している。この段階では、砥粒チップ40の砥粒44には、摩耗が生じておらず、被研磨部材38の表面には、研磨痕Kが形成されていない。しかし、図3の研磨工程P3後では、砥粒チップ40は図6に示すように摩耗し、被研磨部材38の表面には、図7に示すように研磨痕Kが形成される。
【0021】
本発明者は、単粒研磨評価装置10を用いて、以下に示す研磨試験条件下で、一定の寸法で砥粒44を被研磨部材38に押し込んだ状態で研磨を行なう定寸研磨試験、及び、一定の荷重で砥粒44を被研磨部材38に押し付けつつ研磨を行なう定荷重研磨試験を、砥粒44の複数の粒径について研磨性能の評価試験を行なった。評価試験結果は表1に示す。
【0022】
(研魔試験条件)
<砥粒チップ>
砥粒:ダイヤモンド砥粒
砥粒の粒径:100μmφ、50μmφ、15μmφ
接着層:エポキシ樹脂
べース部材:ガラス板(30mm×10mm×1mmt)
<定寸研磨試験条件>
砥粒押込量: 2μm
砥粒移動速度: 5mm/sec
被研磨部材: SiCウエハ(3インチφ)
<定荷重研磨試験条件>
砥粒押圧荷重: 1N
砥粒移動速度: 5mm/sec
【0023】
上記の研磨試験に用いた砥粒は、砥粒メーカによりその粒径を含む粒度(JISB4130)が表示された砥粒群選択され、且つレーザ顕微鏡にて粒径が確認されたものである。たとえば、粒径100μmの砥粒は、粒度#140(140/170:平均粒径105μm)の砥粒群から選択され、且つレーザ顕微鏡にて粒径が100μmφ±5%であることが確認されたものである。たとえば、粒度50μmφの砥粒は、粒度#270(270/325:平均粒径53μm)の砥粒群から選択され、且つレーザ顕微鏡にて粒径が50μmφ±5%であることが確認されたものである。粒径15μmφの砥粒は、粒度#1200の砥粒群から選択され、且つレーザ顕微鏡にて粒径が15μmφ±5%であることが確認されたものである。
【0024】
(表1)
研磨性能評価結果
砥粒の粒径 定寸研磨試験 定荷重研磨試験
100μm ○ ○
50μm △ ○
15μm × ○
【0025】
表1は、砥粒44の粒径が100μmφ、50μmφ、15μmφについての研磨性能の評価結果を示している。表1の○印は、明確に研磨痕Kが確認でき、高い研磨性能が確認できたことを示している。表1の△印は、明確に研磨痕Kは確認できるが、長手方向の途中で消滅していて、それほど高い研磨性能が確認できていないことを示している。表1の×印は、明確に研磨痕Kは確認できないので、十分な研磨性能が得られないことを示している。
【0026】
上述のように、本実施例の単粒研磨評価方法によれば、粒度が#140以下の粒径すなわち105μ以下の平均粒径を有する単体の砥粒44が一定荷重で被研磨部材38の一面に押圧されつつ、単体の砥粒44が被研磨部材38の一面内の一方向に相対移動させられ、被研磨部材38の一面に形成された単体の砥粒44の研磨痕Kに基づいて、単体の砥粒44の被研磨部材38に対する研磨性能が評価される。これにより、粒度が#140以下の粒径を有する単体の砥粒44の研磨性能を評価でき、研磨工具についての開発が速やかとなる。
【0027】
本実施例の単粒研磨評価装置10によれば、砥粒付勢装置により、砥粒固定部材を一定の荷重でXYテーブル(移動テーブル)20上に載置された被研磨部材38の一面に向かって付勢された状態で、X軸モータ(移動テーブル駆動装置)16によりXYテーブル20が駆動されると、粒度が#140以下の粒径すなわち105μ以下の平均粒径を有する単体の砥粒44が一定荷重で被研磨部材38(被研磨部材の一面に押圧されつつ、単体の砥粒44が被研磨部材38の一面内の一方向に相対移動させられる。これにより、#140以下の粒径を有する単体の砥粒44の研磨性能を評価でき、研磨工具についての開発が速やかとなる。
【0028】
本実施例によれば、単体の砥粒44の被研磨部材38に対する研磨性能は、レーザ顕微鏡により観察された、被研磨部材38の一面に形成された研磨痕Kの深さに基づいて評価される。これにより、単体の砥粒44の被研磨部材38に対する研磨性能が客観的に評価される。
【0029】
本実施例によれば、単体の砥粒44が被研磨部材38に押圧される一定荷重は、1~10Nである。これにより、単体の砥粒44の相対移動により被研磨部材38の一面に形成される研磨痕Kの深さが、明確となり定量的に測定され得る。
【0030】
以上、本発明の一実施例を図面を用いて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0031】
たとえば、前述の実施例の単粒研磨評価装置10では、被研磨部材38がXYテーブル20と共に移動させられることにより、砥粒チップ40が被研磨部材38上を摺動させられていたが、砥粒チップ40が位置固定の被研磨部材38上を移動させられることで、砥粒チップ40が被研磨部材38上を摺動させられてもよい。
【0032】
また、前述の実施例の単粒研磨評価装置10では、砥粒チップ40が水平に位置する被研磨部材38上を摺動させられていたが、砥粒チップ40が垂直に位置する被研磨部材38上を摺動させられていてもよい。
【0033】
また、前述の実施例の砥粒44は、実質的に単粒として取り扱いが可能であれば、複数個の微小な砥粒が結合されることで形成された1個の団粒構造であってもよい。
【0034】
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。
【符号の説明】
【0035】
10:単粒研磨評価装置
12:基台
16:X軸モータ(移動テーブル駆動装置)
18:Y軸モータ
20:XYテーブル(移動テーブル)
22:載置面
24:傾動モータ
26:ゴニオテーブル
28:支柱
30:Z軸モータ
32:上下テーブル
34:電動アクチュエータ
36:砥粒チップホルダ
37:真空チャック
38:被研磨部材
40:砥粒チップ
42:砥粒チップ押圧装置
44:砥粒
46:接着層
48:べース部材
P1:砥粒チップ作成工程
P2:単粒砥粒評価準備行程
P3:研磨工程
P4:研磨性能評価工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7